●リプレイ本文
●これ、何の集団?
「大阪って初めて来たんですよ〜♪ 大阪出身の茜ちゃんに、ロケーションを聞いてはいたのですが凄いパワーですね!」
メイド服を着た小川 有栖(
ga0512)が腰を振って踊っている町並みに感動を交えた声をだす。
「いや、これは本来の大阪の姿やない! もっと、人情にあつく! 活気があるものなんや!」
小川の頭をハリセンで叩きながら、セーラー服姿の戎橋 茜(
ga5476)は熱く語った。
「人がまるでゴ‥‥ふっ!?」
何かやばそうなことを言おうとしたのか、体操服、ブルマー姿の熊谷真帆(
ga3826)が茜から突っ込みをいれられる。
「遊んでにゃいで、解決しにいくにゃ〜♪」
「そうよ、マジカルシスターズの参上よ! 伊達や酔狂でこのようなツインロールをしていないことを教えてあげるわ!」
西村・千佳(
ga4714)と天道 桃華(
gb0097)がおそろいのセーラー服と混乱するCD、DVDの販売・レンタル店『ニートレンド』からレンタルしてきたCDを片手に気合をいれた。
「茜ちゃん、乙女組も負けてられないよ!」
「そやな、乙女組ファイトや!」
その様子をみていた住人達はこの集団が傭兵と知るのは後の話である。
●メン・イン・ブラック&ガール・イン・ノーマル?
「おおぅ、こ、これはレアなDVDなのです」
プロモーションビデオ(PV)担当として、路地裏のニートレンドに訪れたレア・デュラン(
ga6212)はプルプルと震えた手で古い映画のDVDを握っていた。
『これ以上踊りたくなければPVをとめろ』
サングラスにスーツで決めたラウル・カミーユ(
ga7242)が店員に向けてスケッチブックをかざしていた。
「そっこ、そこそこー」
涙目で踊り、なぜかリズムに合わせて手で電源のある場所を店員は指していた。
「ありがとね、でやっ!」
ぶちっとな。
店員に背を向けて電源を抜くと、音楽も止まり、今まで踊っていたニートレンドの客や店員は踊りを止めた。
「このDVDを僕たち傭兵が押収します」
「ちょっと待った。そっちの洋画DVDは後でかいに来ようね」
レアが回収するも、ラウルがとめる。
「ほ、ほらもって行くのにケースがっ!」
「このぬいぐるみに入れれば大丈夫、どんなディスクでも安全に運べるよ」
キランと歯を光らせて、背中に背負ったクマのぬいぐるみをラウルはレアに見せた。
「すみません、あとで買いにきますから!」
店頭においてあったDVDを戻して、レアは回収したPVの収録されたDVDをラウルのクマの口から中に入れる。
「隣のお店‥‥ウマウマ堂だね」
めったに会えないレアなグッズや同人誌などを取り扱う店に向かって二人は駆け出した。
一方、大通りに面した3店を攻略に向かっていたのは佐竹 優理(
ga4607)、瑛椰 翼(
ga4680)、月夜魅(
ga7375)の3人。
交通網はストップしていて、大通りは人ごみになっていた。
「いや〜、皆様楽しそうに踊ってますね〜、街中‥‥っておおすぎやーん!」
月夜魅が明らかに多すぎな人ごみに大声と共にハリセンで突っ込みを入れる。
大声で10秒ほど正気に戻るも、すぐに人々は踊りだした。
「踊るなら、盆踊りで踊りやがれぇぇぇっ!」
新人アイドルでもある瑛椰はアフロヘヤにサングラスという様相でハリセンを振り回し、PVの流れている関西地区でのチェーン家電量販店、松たいら2000号への道を開く。
「失礼‥‥」
瑛椰が正気に戻した一般人を佐竹が優美な手刀で挨拶をして抜けていった。
松たいら2000号にいくと、店頭のでかいディスプレイでデジタルアイドル・りりあーのが踊っている。
紅いゴシックロリータファッションでツインロールが優美に揺れていた。
「何か、この人どっかでみたことあるよーなー」
「これは二次元ですからっ! 残念っ!」
月夜魅の言葉に佐竹が古い芸人の突っ込みを入れる。
「そうだよねーそうなんだよねー?」
「ほら、さっさといくぞ」
瑛椰にせかされ、月夜魅は納得できないながらもPVの流れているDVDデッキを電源を抜いてとめ、ディスクを回収したあと次の店へと向かった。
●二次元アイドル VS 三次元アイドル
一方、この街中では更なる混乱が起きようとしていた。
小さいビルの上、二つの影が現れる。
「たとえ、知識が無くっても〜」
「街の平和はうちらが守る!」
影はPVから流れる音楽に負けない大きな声で口上を述べだした。
「眩き太陽の情熱オトメオレンジ!」
橙色の爆炎に包まれ影の一人、茜が覚醒をする。
「同じく、無芸大食 オトメブラック〜♪」
髪の色が白銀に変化し、もう一つの影である小川が覚醒をした。
「天下無敵の純情美少女『乙女組』、そろそろ全開やぁぁ!」
セーラー服とメイド服を来た二人は少女漫画のヒロインのごとく華麗に小さいビルの屋上から飛び降りる。
茜が巨大ハリセンで叩いて、意識を取り戻させた。
「はーい、最後尾はこっちでーす。早くしないとなくなっちゃいますよ」
そうして元に戻った大通りの人々を真帆がPVの止まっている路地裏の方へ誘導していく。
他にもいろいろと作戦を考えていたのだが、佐竹に『一般人に罪は無いんで、失礼な行動とっちゃあいかんよ』と釘をさされ誘導だけにとどまった。
(「バスに軟禁したり、ちょっとワイヤーで捕縛するだけだったんだけど‥‥」)
佐竹などに止められた十分問題のあることを思いつつ、真帆はお好み焼き店へ元に戻った人を店員の許可のもと、入れていく。
「さて、それじゃあそろそろマジカルシスターズの出番と行くにゃ♪」
「あたしの方は、これがデビューだけど気後れしてられないわよね!」
松たいら2000号の北側にある店、ライトユーザー向けのアニメショップ『キャラメル探偵』の対面に千佳と桃華は陣取った。
桃華の目に、ダンスを踊るりりあーのの姿が見える。
「くっ‥‥二次元でも敵ながら可愛いじゃないの‥‥いいわ、ここは私が三次元の魅力を見せてあげる!」
「僕『達』にゃよ〜。それじゃあ、ミュージックスタート! マジカルレッドいくにゃ〜♪」
「マジカルブルーも歌うわよ!」
歌う歌は、ロボットアニメソングながら、ラブソングにも似た歌から始まった。
「ダンスもいくにゃよ〜♪ れっつ、だんしんぐ♪」
向こうのダンスソングに対して、相殺するかのようにボリュームを上げてアニメソングメドレーをはじめる。
「くぉら! そんな電気信号の集合体に一々萌えてるんじゃない! こっちに本物の萌えロリ美少女縦ロールがあるでしょ!」
あまりにもなびかず、しびれをきらした桃華がメガホン、ピコハンの二刀流で大通りに飛び出してりりあーのと一緒に踊っている人を叩いていった。
「人を叩いちゃいけないにゃ〜 だめ だめにゃ〜♪」
歌いながら千佳が桃華に注意し、踊り続ける。
その間に、PV担当班である佐竹と瑛椰が止め、合図を送って最後の店『PC専門店キーボードクラッシャー』の方へと向かう。
「こっちは片付いたよ」
「飲食店のほうへ真帆さんが元に戻った人を誘導してます」
狭い路地からラウルとレアがでてきて、状況を報告した。
「レアちゃんの方無事に片付いたんだね〜♪」
「はい、ボクも月夜さんを手伝います!」
友人同士のレアと月夜魅はお互いが無事目標をクリアしたことを喜びあう。
「あ、でも次のところはレアちゃんは来ないほうがいいと思うよ‥‥」
次の店であるキーボードクラッシャーは子供は買ってはいけないゲームなども取り扱っているのだ。
「それじゃあ、僕たちは広場みたいなところを見つけてそこでライブやっているにゃね♪」
そのことを察したのか一度、ラジカセをとめた千佳は移動しだすが、桃華は恨めしそうにキーボードクラッシャーの方を見ている。
「マジカルブルー、早くいくにゃよー」
「それじゃあ、月夜さんがんばってね!」
「ライブやるなら、ギターを担当するぜ」
千佳にせかされると、桃華とレアは動きだし、アフロのサングラスの瑛椰が背負ったギターを取り出して二人の後に続いた。
ちなみに、桃華が見ていた理由は、えっちぃゲームを買おうとしていたことだとわかり、全員に止められたのは言うまでもない。
●任務完了
「ピピーッ、レッドカード!」
「はい、退場してくださいっ! エッチなのはいけないとおもいます」
呼笛ッを吹いてラウルが人垣をおさえ、月夜魅がちょっと壁に貼ってあるポスターなどから目をそらせながら突っ込みを入れていった。
「PVの停止及びディスクの回収完了。大通りにあったのはコピーのようだね」
佐竹がディスクを確認しつつ、ふぅと息をついた。
「そっちもコピー? 僕のほうで回収したのもコピーだったよ」
ラウルが佐竹にクマのぬいぐるみに入っているディスクを見せた。
ラベルのない白いディスクに『デジタルアイドル”りりあーの”』とだけ書かれている。
「早くこんなお店出ましょう!」
火照るように赤い月夜魅に言われ、ラウルと佐竹は大通りに戻った。
「みなさ〜ん、大丈夫ですか?」
覚醒をといていつものノンビリモードになった小川が救急箱を片手にやってくる。
元に戻って逆に混雑した部分もあり、怪我人が少々でて手当てしていたのだ。
「こっちは大丈夫だよ」
片手を挙げて佐竹が小川に答える。
「酷い目にあいました‥‥」
誘導をしていて人波に流された真帆がボロボロになりつつ合流した。
この後も、真帆はこの通りで体操服ブルマ姿の写真撮影会の予約があったり、同人誌の打ち合わせがあったりと忙しい。
「盆踊りは終わったようやけど、結局戻っても踊ってる集団もいるんやね。すごいパワーやわ」
合流するときに見た千佳と桃華そしてアフロ瑛椰のミニライブとそれと一緒に踊る人々を見て、ここに来る住人のパワーに茜も唖然となった。
「あ、そうだ。茜さんこれ上げます。お好み焼き屋さんが繁盛したお礼にくれたのですが、焼く暇がありませんので」
真帆は思い出したかのようにお好み焼きの素や材料を手渡す。
「おおきに、ひさっしぶりに本場のものが焼けそうやな。ディスクの解析もあるなら、うちの兵舎でお好みやき食べつつやらへん?」
茜の提案にミニライブをしているメンバー以外は頷き、一路LHへと戻る事となった。
●バルサミコ酢はいらない
「オカワリもあるから、みんなドンドン食べてや!」
LHの兵舎”お好み焼き屋『茜屋』”では茜がスジ肉とキムチ入りの特製お好み焼を小川と一緒に作って振舞っていた。
衣装はセーラー服とメイド服のままである。
「う〜ん、完全に焼き増しだね〜」
ディスクを再生させつつラウルはスーツにサングラス姿で唸る。
「オリジナルが無いみたいだから、不審なディスクに触らないように注意を促すしかないだろうね。もちろん、回収したディスクは解析中のものも含めて、後程全て破棄するとしてね」
お好み焼きをはふはふ食べつつ佐竹が同意した。
「茜ちゃ〜ん、これマヨネーズでハート書いてもいいかな?」
「それなら、バルサミコ酢をつけて食べたいけど」
小川とラウルの要望に茜はハリセンをもって答えた。
「どっちも邪道やっ!」
スッパーンと警戒な音が兵舎に響く。
大阪のとある街の平和はこうして守られた。