●リプレイ本文
●大阪某所にて
「ゲーマーとして、開発には一度携わってみたいと思っておりましたが‥‥まさかこのような場所とは」
依頼主のマンションにきたジェイ・ガーランド(
ga9899)はため息をついた。
大阪の夏は暑い。
いろんな意味でアツイ。
今回の依頼主は同人ゲーム製作チームであり、マンションの一室にスタッフが集まって作業中だった。
ちなみに全員男である。
「すごい熱気です‥‥あぁ‥‥頭がっ」
男達の熱気にやられ、穂波 遥(
ga8161)が倒れた。
「あー、冷房とかは‥‥」
「これでもガンガンにかけてますよ。パソコンがダウンするので‥‥」
「それじゃあ、濡れタオルだけも貸してもらえます?」
倒れた穂波を心配して、蓮沼千影(
ga4090)が代表者の角という男にタオルを借りて介抱をしだす。
しかし、代表者である角以外はこちらに気づいてすらいないかのようにパソコンにかじりついて作業をしていた。
「なんと言うか、これが‥‥修羅場‥‥っ!」
ミア・エルミナール(
ga0741)はその光景にやや興奮している。
室内の温度と湿度はかなり高いが、ミアは気にしていなかった。
「この暑さでしたら、この水着の選抜はあながち間違っていなかったようですわね」
大量の武器を背負い、なぜか露出の高い水着姿の鷹司 小雛(
ga1008)が微笑むとカタカタと作業をしていた男達の手が止まる。
「あら?」
「「水着美女キタァァァ!」」
首をかしげる小雛に熱き男達の賞賛と写メール攻めが始まった。
「なんか、先行き不安でありやがるです‥‥」
シーヴ・フェルセン(
ga5638)がなんともいえない表情で、角を見る。
「と、とりあえず休憩とそちらのストーリー構成とかの話を別の部屋でしましょう。少々狭いですけど、我慢してください」
角は乾いた笑いをしながら、能力者たちを別の部屋へと隔離した。
●ゲームの設定を作ろう
突然、南米の密林に出現した塔の様な巨大建造物。
バグアの新しい施設の可能性も考えられ、派遣される傭兵達
調査が進む中、突然発動した仕掛けにより散り散りになってしまう
何とか再会した仲間は様子がおかしく戦わざるを得ない
真実は何のか、敵の目的は‥‥
それを確かめるため、生き抜くために傭兵たちは武器を取った
「とまぁ、こんな流れでどうだろ? 後、クエストモードで雑魚モンスターと戦うモードもいいカナーと思うのだけど」
葵 コハル(
ga3897)は温くなったジュースを飲みつつ、設定を語ったあと席についた。
「シナリオとしては、ピンで向かう形で先任者が洗脳されている方がらしいかなと思います。クエストモードはドッターが死にそうなので、今回はなしでバージョンアップで搭載考えます」
コハルの要望に角はやや白くすすけながらこたえる。
あと一ヶ月でモンスターデザインは死を意味するものだ。
「システム部分はこんなのをやりたいのだけどできるかしら?」
シャロン・エイヴァリー(
ga1843)が紙に書いたメモを渡す。
『体力ゲージの下に覚醒ゲージが存在、ダメージを与えるか受けることで
ゲージが溜まり、最大まで溜まった時にボタンで覚醒発動
覚醒中はどこでもキャンセルが可能で、超必殺技が解禁される
覚醒状態は一定時間か超必殺技使用にて解除、覚醒ゲージはゼロに戻る』
「ボタンが弱中強で特殊といったところですかね? 四ボタンで済むなら問題ありません。プログラマーもガチに行きたいといってましたので採用できますね」
角が内容を見つつ面白そうだと頷いた。
「それなら、良かったわ。私自身は格闘ゲームがよくわからないから‥‥少し不安だったのよ」
「あ、システム面でもう1つ意見が‥‥」
シャロンが苦笑していると、貧血から立ち直った穂波が意見をいいにやってくる。
「意見は入れれる限りやってみますが、貴方のほうが心配です」
「こーゆーの一度やってみたかったので大丈夫です。暴れすぎると床が落ちて下の階層に行くとかあると面白いかと思うのですが‥‥」
「ステージエフェクトですか‥‥それもバージョンアップで考えます。雑魚を倒して登っていくパターンとあわせた方が効果的とおもいます」
とにかく時間がないというのが、角の意見だった。
面白い物への拘りはあるのだが、妥協点を見定めないと8月の完成は難しい。
「半ば体験版みたいな形になるかもしれませんな」
ジェイが角との相談を聞いていてぽつりともらした。
「せめて、β版といってください。えっと、ボスは貴方ですか?」
「私は隠しキャラで、メインは女性陣でございますね」
「ボスは俺! 俺! スーツな企業戦士で」
千影はジェイと角の間に割って入り、存在をアピールする。
「では、依頼主ということでメインストーリーは王道の方がやりやすいですし‥‥」
そういいながら、角が今回集まった能力者の似顔絵を紙に書きつつ簡単な人間関係を整理していった。
ストーリーライン構築のネタである。
「あ、私はローマ法王庁から派遣されたということでお願いします♪」
穂波がそれに便乗して設定の詰めをおこなっていった。
●キャラを作ろう
「とりゃー! てえい! あっぱー! そりゃー!」
「も、もうちょっと声を小さく頼むッス。音割れしてるッス」
ミアの気合の入りすぎている声に音声収録担当の男がヘッドホンを思わず投げる。
マイクによる収録は普通の戦いと違って別のところに神経をつかわなければならなかった。
「Get Set! SnipeShot! RisingBullets! HiddenStep!」
ジェイは流暢な英語で発音し、音声の収録をおこなう。
本場の英語とあって、作業をしていた男達から「おぉ」という声があがった。
「格闘ゲームって、乳揺れとかするのですよね? 色っぽく揺らしてくださいましね?」
角と打ち合わせをしていた部屋ではちょっとした撮影会がおこなわれている。
小雛がきわどい水着で武器をもち、ポーズをとって撮影しているスタッフをからかっていた。
「それは、もう『ある人』は揺らさせていただきます」
「でも脱衣はNGなんで、そこんとこよろしくでやがるです」
セクシーでかつ豊満な小雛のボディーに魅せられたスタッフがそう答えると、シーヴが黒のゴシックワンピース姿で、大剣を突きつけて牽制する。
「18禁ニハシマセンヨ」
シーヴの真剣な眼をみたスタッフは両手を上げて降伏した。
また、プログラム組をしているスタッフの方には千影が様子をみている。
「へー、こうやってゲームは作っているんだ」
「エディタを使ってますけれど‥‥時間はかなりかかります。何よりネタとか‥‥」
パソコンでいくつもウィンドウを広げ、必殺技の入力や、覚醒エフェクトなどを調整していた。
「当たり判定とか、こんな具合ですか?」
画面では千影の写真が貼られ技を出したポーズで止まっている。
剣が赤い四角で囲まれ、そこがダメージを与えられる部分らしかった。
「うんうん、そんな感じで。あと特殊は1人だけ飛び道具がいいかなと‥‥勝手なこといってごめんなさい」
「あたしは皆に比べると地味かなー」
千影が注文をしていると、コハルも顔をのぞかせて画面をチェックする。
「純粋な剣士系でいいと思いますよ。調整はコンボ重視でつなぎやすいキャラにしときます」
「シーヴは格ゲー素人でありやがるんで調整は任せるです」
撮影や声取りを終えた小雛やシーヴが千影やコハルと交代して様子を見に来た。
「そういえば、普段の姿は撮ったでやがるですが覚醒時やスキルを見せて見本取りしなくていいのでやがるですか?」
「あー、それ忘れて忘れていましたー。外へいったん行きましょう! 中で使ったら部屋壊れます!」
撮影していたスタッフが思い出したかのように能力者たちを外へ連れ出していく。
「わたくし達がいる間に終わるのでしょうか‥‥少し不安になってきましたわ」
胸をたゆんたゆんと揺らしながら、きわどい水着姿の小雛は外へでていった。
●完成! タワー・オブ・マーセナリー
「できたー。デバッグはこれからだが、とにかく遊べる程度には仕上がったー!」
角が各部で作ったデータやプログラムをまとめ、一本の作品に仕上げ終わる。
能力者のボイスや、覚醒写真なども織り交ぜ、ゲームとして動くようになっていた。
「遊びたい! 遊びたいぞー! 一番乗りー」
ミアが早速、コントローラーをもってポジションにつく。
自分をモデルとしたキャラでストーリーモードが始めると、企業からの依頼人として千影が姿をだした。
「おおー、俺がでてきた!」
『私の名前は千影 蓮。貴方に依頼があります‥‥何人もの傭兵に調査を出しているバグアのものらしい塔があるのですが、誰も戻ってきません。そこで貴方に調査をお願いしたいと思います』
このような出だしでシナリオは始まる。
あくまでも依頼の傭兵はモデルであるため、名前や姿はゲーム用に調整されるとのことだ。
「私は姿を変えて欲しかったので助かります♪」
グラフィッカーをに精一杯お願いして服デザインを注文していた穂波はニコニコ顔である。
「私はどういう流れなのでしょうか?」
「千影 蓮の依頼ではなく独自で入ったといった感じですね、現在は不明ってことで」
隠しキャラ担当のジェイの疑問に角は苦笑しながら答えた。
詳細不明とは便利な言葉である。
「ちょりゃー、あっぱー! でーいっ!」
キャラクターの声と共にミアが叫びつつCPUキャラクターと対戦していく。
「ふふ、ここは乱入するのが筋でしょうか‥‥」
ゲーマーを自称するジェイがおもむろに乱入ボタンを押して2P対戦モードに入った。
「パワーファイターの貴方になら同じパワーで‥‥」
選んだキャラは小雛をモデルした『雛子』が現れる。
『その武器、素敵ですわね♪』
小雛のセクシーボイスが響いた。
「それじゃあ。対戦だね!」
「私の実力を見せてあげよう」
キャラクターである美愛対雛子の対決が始まろうとしている。
コミレザ開始まで後半月、完成に向けてゲームは完成して言った。
●キャラクター紹介
名前:未奈留 美愛(ミナル・ミア)
(CV:ミア・エルミナール)
攻撃:B
防御:C
速度:B
操作:C
覚醒:瞳が異様な輝きを帯びて全身の筋肉が若干隆起し、犬歯がそれと分かるほど伸びる。
台詞:「いちょありー!」
「ドジこいたー!」
設定:
迷い込んだ傭兵の1人、バトルアックスを振り回して敵を凪ぐ。
性格は天真爛漫
基本性能:
ジャンプは低く、動きも遅くないので嵩にかかって攻めると強い。反面無敵技がなかったり振りの遅いのがネック。
名前:雛子(ひなこ)
(CV:鷹司 小雛)
攻撃:A
防御:C
速度:C
操作:D
覚醒:眼帯を取り赤眼を晒す
台詞:「その武器、素敵ですわね♪」
「やっぱりわたくしの武器が一番ですわ」
設定:
幻の武器を求める武器フェチお嬢様。塔にも武器探しでやって来て、いつでも武器の事ばかり語る。
武器を沢山持つ為に防具が水着でセクシーボイスと豊満な体が一番の武器との噂も‥‥。
基本性能:
弱中などで武器を持ち替えるキャラ。
技が多く近中遠万能に闘える上に火力も高いが、いろんな意味で癖の強いキャラ。
名前:エイシャ・ロンビー
(CV:シャロン・エイヴァリー)
攻撃:D
防御:C
速度:A
操作:C
覚醒:両の手にはめたメタルナックルが放電のような光をまとう
台詞:「さあ、どっからでもかかってらっしゃいっ」
「青いイナズマの力、見せてあげるわ!」
設定:
”青い稲妻”の通称で知られる傭兵の女性。元軍人で行方不明の兄がいるらしく探すために世界中の依頼を受けて資金を稼いでいる。
基本性能:
メタルナックルで戦う格闘タイプ、超必殺技以外に飛び道具がないため、距離が開くと不利になる。
しかし、コンボ性能は高く、通常技からの連続攻撃が得意。
名前:フェルセーヴ
(CV:シーヴ・フェルセン)
攻撃:B
防御:B
速度:C
操作:C
覚醒:瞳が紅に変化して右手甲にケン、左手甲にウルのルーン文字が、紅光と共に現れる。
台詞:「訳分かんねぇですが‥‥結果オーライ?」
「‥‥痛ぇでありやがるです」
設定:
無表情・生真面目・天然ボケの三拍子傭兵
特に深くは考えず「任務でありやがるので」と塔の調査に乗り出した。
基本性能:
攻撃は大剣・殴り・蹴り
スピードは然程ないが、ノーモーションからの攻撃が読み難い。
名前:湖春(コハル)
(CV:葵 コハル)
攻撃:B
防御:C
速度:C
操作:B
覚醒:髪が銀色に染まり耳が獣の様に細長くなる
台詞:「ま、どーにかなるよね〜」
「紅牙・天地双破!」
設定:
ヒマを持て余してた所に塔の出現を聞き、依頼に参加した少女。
葵顕流という剣術を使う。
基本性能:
技は飛び道具・対空・突進とバランスが良い反面、意外性に欠け攻めが単調になりがち。
名前:ハルカ
(CV:穂波 遥)
攻撃:D
防御:D
速度:C
操作:E
覚醒:背後に長身で禿頭、両耳の先がピンと尖っていて刺又を持つ天使が光臨する。
台詞:「宇宙を支配するのはローマカトリックです‥‥amen」
「きゃあ! ‥‥あれ? なんで寝ているのですか?」
設定:
教皇庁に調査を依頼された傭兵にして見習シスター。窮地に陥ると悪魔が現れるが、当人は天使と思っている。
記憶喪失らしく、なぜか当身投げができたりと不思議な部分が多い。
聖書による攻撃や拳銃などを所持する。
基本性能:
覚醒状態に持ち込むまでが勝負のキャラ。覚醒してからの短期決戦を必要とするエッジな性能を持つ。
覚醒中は攻撃エフェクトなどがかわり、攻撃、防御がAになる。
名前:千影 蓮(ちかげ れん)
(CV:蓮沼千影)
攻撃:B
防御:A
速度:A
操作:A
覚醒:髪色とオーラが紫に。
台詞:「すまねぇな、宇宙征服のためだ」
「ノルマ‥‥達成」
設定:
塔に案内した依頼人であり、数々の傭兵を倒して最強の力を得ようとする男。
その目的はわからないが、塔の一部の昨日を掌握しているらしい。
基本性能:
基本性能は平均的に高いが、必殺技は見た目重視で超必殺以外威力は強くない。
東洋剣と西洋剣の二刀流と名刺による飛び道具を持つ万能キャラ。
名前:J(ジェイ)
(CV:ジェイ・ガーランド)
攻撃:?
防御:?
速度:?
操作:?
覚醒:両腕に青白い雷光が走る。
台詞:「Okey−dokey」
「Blast!」
設定:
ベレー帽に軍服という姿で塔を徘徊している謎の男。銃を武器にしているが詳細は不明。