タイトル:【DoL】アンナの防衛戦マスター:緑野まりも

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/02/29 02:24

●オープニング本文


 ULTで依頼を受けた傭兵達は、作戦室にて依頼の詳しい内容を受けることとなった。彼らの前に現れたのは、UPCの軍服を着た若い女性士官。ショートボブに切り揃えられたシルバーの髪、気の強そうな吊り目がちの瞳、均整の取れた体躯。一見して、真面目で強気な性格の女性といった感じだ。そんな彼女が、背筋をピンと伸ばし傭兵達の前で仁王立ちする。
「こんにちは、傭兵の諸君。私はアンナ・ディアキン、UPCの中尉でエミタ能力者だ。つまり、対バグアのエリートというわけだな」
 まず、自分の紹介をする女性士官。アンナと名乗った彼女は、自信と誇りを持った笑みを浮かべ、集まった傭兵達を見渡した。
「今回の依頼、というかこれはUPCの任務なのだが。諸君も知っている通り、我々UPCはこれよりシカゴ奪回という大規模作戦を行なう。もちろん、そちらにも多くのエミタ能力者の傭兵が投入されることになっている。だがバグアは、我らの動きを察知したのか、その作戦を牽制するかのごとく、防衛の拠点オタワ・デトロイトへと攻撃を開始した」
 アンナは苦虫を噛み潰したような表情で現状を説明する。彼女の表情から察すると、どうやら戦況は思わしくないようだ。
「そこで諸君らの出番だ。諸君は、これより私の指揮下に入り、デトロイト防衛に当たってもらう。すでに察していると思うが、UPCの正規の兵力だけでは、防衛が難しいのだ。これ以上兵力をこちらに割くわけにもいかないしな」
 そう言って、肩の力を抜くように竦める。そして、一同の顔を眺めた。
「デトロイトはシカゴ奪回のための、陸上部隊の駐屯地としての重要拠点だ。ここを叩かれては、作戦に大きな支障をきたす。我々の任務は重大だ。だが安心して欲しい、デトロイト防衛には諸君ら以外にも多くの者達が参加している。我々は、その一部隊でしかない。もし、失敗したとしても、戦況に大きく影響すると言うことは無いだろう。しかし、だからと言って、負けが許されるわけではない。我らが戦果を挙げれば、それだけ友軍が楽になるのだ。むしろ、私が率いる部隊が負けるわけにはいかない! ことあるごとに意地悪をするあの少佐の鼻を明かしてやらねばならないのだ!」
 任務を説明する間に口調が熱くなってきて、ドン! と、備え付けのテーブルを叩くアンナ。察するに、正規兵ではなく傭兵の指揮を任されたのも、その意地悪の一つのようだ。一同の視線に気づいたアンナが、照れ隠しに軽く咳払いをして話を続ける。
「あ〜、ゴホン。敵兵力はバグアのヘルメットワームだ。各々、KV(ナイトフォーゲル)は支給されていると思う。それらを駆り、バグアの戦闘機を撃破して欲しい。もちろん、市街に被害を出すわけには行かない。極力、デトロイトから離れた位置での戦闘を行ないたいと思う」
 アンナは、地図のデトロイトとワシントンの間、人類とバグアの競合地域付近を指す。
「私は、一部のものが言うような、傭兵が正規兵に劣っているとは思っていない。錬度の低さは否めないが、士気、技量共に、十分なものを持っていると信じている」
 強い言葉と共に、真剣な表情で一同を見つめ。小さく頷いた。
「それでは、各自準備を開始してくれ。準備が終わり次第、出撃する。ああ、そうそう、戦闘の作戦においてなにか提案のある者は、遠慮なく言ってくれ。最終的に作戦を立てるのは私だが、諸君らの意見は参考にさせてもらう」
 そう言うと、最後に作戦開始時間を伝える。そして、一同は出撃のための準備を開始するのだった。

●参加者一覧

フェブ・ル・アール(ga0655
26歳・♀・FT
伊藤 毅(ga2610
33歳・♂・JG
熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
木嗚塚 果守(ga6017
17歳・♂・EL
ノエル・イル・風花(ga6259
14歳・♀・SN
秋月 祐介(ga6378
29歳・♂・ER
ダニエル・A・スミス(ga6406
28歳・♂・FT

●リプレイ本文

 依頼を受け集まった一同は、アンナに対し自己紹介を行なうこととなった。
「自分はフェブ・ル・アール(ga0655)であります。中尉殿の力になれるよう全力を持って当たらせていただきます」
 まずフェブが背筋を伸ばし敬礼をして、自己紹介を行なう。
「よろしく頼む。だが、そんなに形式張った口調でなくても構わないぞ」
「はっ! ですが、所属が違うとは言え、士官の階級を持つ方です。兵隊の自分には、上官にフランクな態度を取れと言う方が苦痛でありますよ」
「そうか、わかった。軍属の経験がある者が参加してくれるのは心強い、期待している」
「それと、糞ムカつく‥‥失敬、鬱陶しい上官を持つのは、自分も経験無いではありません。是非ともその少佐殿の鼻を明かして差し上げたくあります」
「あ〜‥‥まぁ‥‥。この戦いは私ではなく、全ての人類のための戦いだからな。そのつもりで頼む」
「はっ、了解であります!」
 フェブがニヤリと笑みを浮かべると、アンナは困ったように苦笑して窘める。フェブはそれに対しもう一度敬礼をして返したのだった。
「伊藤 毅(ga2610)であります。日本で、航空自衛隊に所属しておりました」
「そうか、よろしく頼む」
「はっ」
 毅は簡潔に自己紹介をする。口数は少なく、必要なことしか口にしない様子に、アンナはふむと少し感心したように頷いた。
「自分は熊谷真帆(ga3826)、G01ミサイルによる一撃離脱を得意とします。その戦功で得た称号に恥じぬ様頑張ります」
「日本での活躍は聞いている。こんなに若い少女とは思っていなかったが‥‥。もちろん、歳や性別で君の力を疑うことはしない、期待しているよ」
「はい! ご期待に沿えるよう頑張ります」
 真帆は優等生のようにきびきびとしたハッキリした口調で答える。アンナはその様子に、少し優しげな口調で返し、肩に手を置いた。
「アルヴァイム(ga5051)です。守るための戦い、出来る限り尽力をすることに努めさせていただきます」
「ああ、街に住んでいる人達を守るため。そして、次の戦いに勝つために、我々は負けられない。よろしく頼むぞ」
「この戦いに勝つことで、少しでも早く戦争が終わればいいのですが」
「‥‥そうだな」
 アルヴァイムのつい溢した言葉に、アンナは感情を抑えた声で返す。この戦いが、いまの戦争にほんの僅かしか影響しないことはわかっている。だがそれでも、この戦いに勝つことで、少しでも平和に向かって進んでいると思わずにはいられない。そう思わなければ、人として戦いに赴くことはできないのだ。
「木嗚塚 果守(ga6017)だ。空戦の経験はまだ少ない、悪いが指示を頼む」
「大丈夫だ、そのために私がいる。それに、自分が未熟であると自覚していることは大事なことだ。君はきっと良い兵士になるだろう。そのためにも、必ず生き残ってくれ」
「了解した。だが、足手まといになるつもりは無い。こっちにも意地がある」
「そうか、わかった期待している」
 果守は淡々とした口調ながらも、強い意思を持った瞳でアンナを見つめる。その瞳の強さに、アンナは少し目を細め頷いた。
「ノエル・イル・風花(ga6259)‥‥であります」
「こんな少女まで‥‥。いや、今の我々にはそんなことを言う余裕もないか‥‥。風花君、よろしく頼む」
 アンナは、ノエルの姿を見ると一瞬険しい表情で小さく呟く。だが、すぐに自分に言い聞かせるように呟くと、他の者と同じようなしっかりとした口調でノエルに声をかけた。
「あの‥‥」
「ん、なんだ?」
「中尉には是非‥‥出世していただきたいのであります」
「あ、ああ‥‥?」
 ノエルの言葉に一瞬目を丸くするアンナ。とりあえず頷くが、ノエルのその変化の乏しい表情からは、その真意を読み取ることは出来ず、アンナは少しの戸惑いを覚えるのだった。
「秋月 祐介(ga6378)です。電子戦での補助を得意としています。よろしくお願いします」
「電子戦用機体でのサポートは重要な任務だ。よろしく頼む」
「はい」
 祐介に真剣な表情で頷くアンナ。それだけ、彼の役割を重要視していることが見て取れた。
「ダニエル・A・スミス(ga6406)だ、よろしくな」
「でかいな‥‥」
 ダニエルが挨拶をすると、アンナはダニエルを見上げるように顔を上げた。240cm近い身長と、ガッチリした体格。インパクトは十分である。
「本当にKVに搭乗できるのか?」
「おぅ、なんとかな。だが毎回思うんだが、KVのコクピットってリトルサイズだぜ。もう少しラージにしても良いと思うんだが」
「お前がでかすぎるんだ。ともかく、これだけの体格だ、期待してるぞ」
「オーケー! 空戦じゃ体格はあまり関係ないけどな!」
 ポンポンとダニエルの筋肉を叩くアンナに、ダニエルは親指を立てて、白い歯を見せて笑った。
「では、全員出撃までしばらく待機していてもらう。その間に準備をしておくように。私は、部隊の作戦を考える。もし意見があるのなら、書類で提出するように」
 自己紹介が終わると、アンナは一同にスケジュールを説明して、出撃の準備を始めるのだった。

「中尉、よろしいですか。編成・戦術意見を纏めましたので、御検討下さい。一応、運用の効率も考えてあります‥‥」
「ん、わかった、参考にさせてもらおう」
 出撃前、待機中のアンナに祐介が戦術の意見を纏めた書類を手渡す。アンナはそれを受け取ると、書類に目を通し始めた。表情は真剣そのもので、今回の戦いへの意気込みが感じられる。しかし、その様子になんとなく焦りのようなものも感じられ、祐介は声をかけた。
「気を張り過ぎないで下さい。さもないと面倒事は次々と押しつけられますよ‥‥軽く流して、機が熟したら反撃‥‥これ自分が読んでいた本ですが使えますよ。読書は文化の極みですから」
「?」
 声を掛けられるとは思っていなかったのか、アンナは祐介を見て一瞬キョトンとする。そして、差し出された本に視線を移し、再び祐介を見た。
「あ、ああ‥‥、わかっている。私とて、初めての出撃というわけではないからな。っと、まさか少佐のことを言っているのか? なんだ、戦いに私情を挟むようなことはしないぞ? これは、孫子か‥‥たしか古代中国の兵法書だな。いや、気持ちだけ受け取っておくよ、ありがとう」
 アンナは祐介の言葉に少し苦笑して返すと、差し出された本をやんわりと断る。
「そうですか‥‥。ああ、それと‥‥笑顔の方が良いですよ。その方が似合いますし、部下も安心出来ます」
「そ、そうか? 軍にいると、あまり笑う機会も少なくてな‥‥。こ、こうか?」
 祐介は、少し残念そうに本を引っ込めると、何気ない口調でアドバイスを口にして微笑んだ。アンナはその言葉に少し困ったような表情をするが、無理に引き攣ったような笑顔を見せるのだった。

「全機発進!」
 接近してくるバグアの航空部隊を迎撃するため、デトロイト基地から数多くのKVが発進される。アンナ隊もその中に含まれ、正規軍と共に防衛の一端を担うこととなる。
「作戦は説明したとおり! 我々は敵右翼を叩くことになる。各自編隊を組み、バグアの航空部隊を撃滅せよ!」
 アンナの指示のもと、4機編隊を組みながら、交戦予定地点へと向かう一行。作戦の大まかな部分は、アンナが祐介達の考えを汲み、意見書に沿ったものになった。
「木嗚塚、緊張して無いか〜?」
「別に」
 フェブはからかうように果守に声を掛ける。空戦は初めてだという果守を気遣って、あえて軽い調子で声を掛けたようだ。それに対し、果守はいつもの調子で淡々と答えた。
「私らは、遊撃と仲間の援護だ。決まった場所を守るんじゃなく、臨機応変に対応しなくちゃならない」
「ああ、わかっている」
「にゃんだけど、あんまり深く考えるにゃ♪ 私ら一兵士は、考えるより反応するほうが先だ。焦らず生き残ることに集中しろ。戦況を見極めるのは隊長に任せるにゃ」
「にゃ‥‥? ‥‥まあいい、了解した」
 同じチームを組んだ果守に、アドバイスをするフェブ。だが、そのおちゃらけた口調に、少し不安を覚える果守であった。
「伊藤さん、よろしくお願いしますね」
「‥‥‥」
 真帆がチームを組んだ毅に声を掛ける。しかし、毅からは返事が無い。
「あの、伊藤さん聞こえてますか?」
「‥‥こちらNEMO、了解した。悪いですが作戦中の私語はあまり‥‥」
「あ、そうですね! すいません‥‥。こちらガーベラ、了解しました!」
 毅に窘められて、真帆は慌てて口を押さえる。そして、はっきりとした声で返事を返した。まぁ、聞くところによれば毅の口数の少なさは、人見知りによるものという噂もあるのだが。ちなみに、NEMOやガーベラは作戦中の愛称、TACネームというものである。
「こちらGiftradio、前方に機影を発見。バグアの部隊と思われます」
「予定通りだな。リーダーより各機へ、これより戦闘を開始する。一機たりとも、ここを通すな! アタック!」
「了解!」
 部隊上空で索敵を行なっていた祐介からの報告に、アンナが全員に指示を出す。一行は、作戦の指示のもと、迫り来るバグアの戦闘機に向かって攻撃を開始するのであった。

「こちらGiftradio、敵は小型ヘルメットワーム6機、3機編隊の模様。戦場を視る‥‥電波で、敵には撹乱の毒を‥‥味方には情報の贈り物を‥‥」
 祐介の瞳が蒼く光り、敵の戦力を読み取る。そして、機体に備わったジャミング機能で、バグアのジャミングを中和、味方の戦闘を優位にする。
「中型はいないんですね。よし、先制攻撃開始!」
「NEMO、FOX2」
 まず先制で真帆と毅のホーミングミサイルが発射された。計4発のミサイルが、敵編隊へと向かっていく。それに対し、バグアも散開しつつお返しとばかりに射撃を放ってくる。
「ヒットを確認。しかし、敵機体いまだ健在!」
「牽制だ、怯むな! こちらも二機タッグで散開し、各個撃破を狙え!」
 お互いに牽制し合いつつ、交戦距離は縮まって、やがて戦いはドッグファイトの様相を呈してくるのだった。

「ふふっ、見せてもらおうか、UPCのエリートの実力を」
「ノエル? ‥‥覚醒すると性格が変わるタイプか‥‥」
 戦いの中で、覚醒し伸びた髪を掻き上げてノエルが楽しそうに呟く。ノエルの少女らしからぬ様子に、一瞬戸惑うアンナだが、すぐに納得したように独りごちた。アンナの同僚にも似たようなタイプの者がいる、特に珍しいものでもないことを認識していた。ちなみに、アンナは覚醒後も変化が少ないタイプである。
「来たぞっ、星を稼いで小癪な少佐の鼻をあかしてやれ中尉。ノエル・イル・風花、目標を攻撃する」
「しかし、随分と変化したものだ‥‥まぁいい、いくぞノエル!」
 ノエルとアンナは、牽制からの立ち直りが遅い一機に狙いを定めると、一気に接近し近接射撃を開始する。ノエルのレーザー砲とアンナのバルカン砲が火を吹き、ヘルメットワームに命中する。しかし、相手もそう簡単には落ちず、ダメージを受けつつも反撃を行なってくる。それを上手く回避しつつ、連続で攻撃を行なう二人。
「さすがは、UPCのエリートということか」
「ノエルもなかなかやるな!」
「止めは中尉が」
「わかった」
 お互いの動きに賞賛しつつ、すでにボロボロになった敵戦闘機に、アンナが止めの一撃を加える。そして、ついにヘルメットワームは爆散するのだった。
「この戦いで、中尉には戦果を上げて欲しい。中尉みたいなのが上に来てくれれば、UPCも少しは風通しが良くなるだろう? それに、私も少佐のやりようは好かない」
「評価してくれるのはありがたいが‥‥。そういった話は後だ。次に向かうぞ!」
「了解」

「貴様を通しては、我が知らぬ誰かが死ぬかもしれん‥‥そうはさせんよ!」
 アルヴァイムのレーザー砲が敵に命中、それが致命傷になったか、敵は墜落していく。
「アルヴァイム、ナイスだ! この調子で行こうぜ!」
 それにダニエルが賞賛の声をあげる。二人は上手く連携を取りながら、次の獲物へと向かおうとする。
「オーガ、チェック6!」
 そこへ、毅からの通信。オーガはダニエルのこと、チェック6は‥‥。
「シット! いつのまにか後ろをつかれたぜ! だが、生身じゃこう簡単にアヴォイドできないが、KVは機敏なんだぜ」
 ダニエルの後ろに、いつのまにか敵機体が。ダニエルは急いで回避行動に入るが、相手もそう簡単には引き離されない。
「こいつ、結構スピーディだぜ!」
「さっきのとは違う、改良機か」
 ダニエルを追いかけてくる機体の動きが、さきほど落とした機体よりも早いことに、眉を顰めるアルヴァイム。ダニエルは後ろからの射撃を何とか避け続けるが、なかなか反撃に出ることができない。
「オラオラオラ! いい気になるのもそこまでだぜ!」
 そこへ、突然ミサイルが敵機体に命中、相手は態勢を崩しダニエルへの追撃をやめる。そしてそこへ、フェブのガトリング砲が追撃ちをかける。
「大丈夫か?」
「サンキュー、助かったぜ!」
 ダニエルに果守が声をかける。どうやら、最初のミサイルは果守によるもののようだ。
「このまま一気に畳み掛けるぞ」
「オーケー! やられたお返しはたっぷり返してやるぜ!」
 アルヴァイムの言葉に、ダニエルは伸びた犬歯をむき出しにして、お返しとばかりに短距離ミサイルを全弾相手に撃ち込むのだった。そしてさすがの高機動とはいえ、一斉に攻撃されればひとたまりも無く爆散した。

「こちらGiftradio。敵の中に高機動型を確認、おそらく隊長機と思われる」
「よし、高機動型は私とノエル、フェブ、果守で叩く。アルヴァイム、ダニエルは真帆達の援護を」
「了解!」
 アンナの指示に頷く一同。真帆と毅のチームは、3機に狙われていたが、彼らが相手を引き寄せてくれていたおかげで、他のチームが各個撃破に成功していた。
 やがて、数的にかなり優勢になった部隊は、そのままの勢いで敵部隊を全滅する。
「諸君! どうやらバグア共は撤退を開始したようだ。この戦い、我々の勝利だ!」
 その後、すぐに敵部隊撤退の報を受け、アンナが全員に勝利宣言する。
「諸君の奮闘のおかげで、我が部隊は一人も欠けることなく、戦いに勝利できた。君達にはこれからも、この調子で活躍していってほしい」
 全部隊からみれば、この戦いでも少なからず被害がでた。しかし、それ以上にバグアに対し損害を与えたことは間違いなく。また、一行の活躍は、今後の傭兵の見方にも影響を与えてくるだろう。
「さぁ、帰還するぞ諸君。戦いはまだ終わりではない、いやこれからが本番なのだ」