●リプレイ本文
「それでは、知っている者もいるが、自己紹介でもしようか。私の名はUNKNOWN(
ga4276)」
「私の名前は水鏡・シメイ(
ga0523)です」
「ファルロス(
ga3559)だ」
「俺は藤村 瑠亥(
ga3862)」
「俺の名は黒羽・勇斗(
ga4812)だ」
「私なつき(
ga5710)と言います」
「‥アンジェリナ(
ga6940)‥」
「僕、霧雨 夜々(
ga7866)」
「俺はこの依頼を頼んだ海道であっちは仲間の3人」
呼ばれた3人はぺこりとお辞儀する。
「早速で悪いが、これを着けて貰えないか?」
全員にある物を渡す。
「これを‥ですか?」
なつきは疑問を口にする。
全員に渡されたのはどくろをモチーフとした死神の仮面だった。
「これは、全員が着ける事によって、特定の人物を分からなくする為だ‥」
なつきは納得した様子で引き下がる。
「黒いマントを貸して欲しい」
そう言ったのは藤村。
「それは用意しておいたから、着たい者は着てくれ」
そして作戦相談に移る。
「罠を張り巡らさないか?」
最初にそう提案したのはファルロスだった。
全員がその意見に賛成し、UPCに申請し持ってきた色々な物や、ここにある物の中から、色々と考え、6個の案纏まり。
「敵が来る前に作ろうか」
UNKNOWNの掛け声で罠作りが始まる。
●罠作り
藤村とUNKNOWNとなつきの3人で教会の床の罠と窓枠の罠を担当した。
藤村とUNKNOWNの後ろにぴたっと着くなつき。
(「また同じ依頼で嬉しい‥」)
なつきは二人がいて心強かった。
(「あっ、海道さんに聞きたいことがあったんだ」)
「すいません、少し席をはずしてもよろしいですか?」
「ああ、ここは任せろ」
藤村の言葉になつきはぺこりとお辞儀し、海道の元に向かう。
「俺はなつきが危なくなったら、スリーマンセルを解除して助けに向かおうと思うが‥」
「いい案だな‥だが‥私はおそらく助けにはいけない、な」
「あんたは、スナイパーだからな」
(「そういう事ではない、が」)
程なくしてなつきが帰ってきたが、顔色は浮かない顔。
「‥どうした、なつき?」
それは何もかも知っているような様子でUNKNOWNは尋ねた。
「海道さんに疑問に思った事を口にしたら‥はぐらかされてしまって」
(「やはりな‥」)
UNKNOWNは初めからこの依頼には違和感があると感じていた。
(「何か、誰かに操られているか、ね?」)
UNKNOWNにとって知らない事は嫌悪の対象だった。
「何があっても必ず成功させる‥それが俺たちの役目だからな‥」
「そう‥ですよね」
「大丈夫だ‥俺達傭兵がいる限り‥誰が来ようと負けはしない」
安心させるようになつきに言い罠の設置を再開させた。
●梁の上
梁の上の罠設置は水鏡と霧雨が担当していた。
その他にも、降りるロープの配置や、罠を仕掛ける場所などの重要な仕事。
(「さて、どこで落としましょうかね」)
水鏡は罠を仕掛けるポイントを探していた。
霧雨シスターの服に着替え、梁の上にロープを吊るした後、自分が考えた罠を設置していた。
「‥っと重い‥シメイ手伝って」
「どうしたのですか霧雨さん?」
そう言って協力して霧雨が作った罠を設置した。
「‥これで完璧」
霧雨が誇らしげに呟く。
水鏡は突っ込みたい衝動に駆られたが我慢する。
そう、霧雨が作った罠は、盥に水を入れて梁の上に用意しい、くつかの盥には紐をつるしておき「引いてはいけません」と書く‥と言う罠。
「それでは残っている罠を設置しましょうか」
水鏡と霧雨は2人以上でしかできない、残っている罠を設置する作業に移った。
●見張りと‥
ファルロスは何やら罠を創作していた。
(「これで完璧だ‥後は‥これを仕掛ければ」)
ファルロスはある物を手に持ち‥何処かへ向かう。
一方黒羽とアンジェリナは、1時間は敵が来ないと言われているが念の為敵が来ないか教会の外を見回る。
(「敵戦力不明、外は見えない状態で、入り口は正面の一つだけ。状況が把握できねぇしかも死神の仮面を付けなきゃなんねぇし。とにかく、参加したからには不利でもやらねぇと」)
あれこれ考えた挙句、黒羽はポジティブに考えることにした。
「――どんな任務であろうが‥目的は果たす」
(「それが私の心得だ」)
今一度アンジェリナは自分に言い聞かせる。
そして教会の周りを慎重に一回りし、不審者がいないことを確認し中に戻った。
●WB
「‥‥というような事で頼む」
海道がWBメンバーに言い、仲間全員が頷く。
「‥悪いなこんな事になって」
「いいんだよそんな事、最後に強い奴とやれて悔いはない」
それがここにいるWBメンバー全員の気持ちを代弁していた。
解散し程なくして、なつきが来た。
「どうかしたか?」
「海藤さん。何か、私達に隠してます‥?」
それは確信を突く様なストレートな言葉。
だが、海道はいうわけにはいかなかった。
「何の事だ?」
「わたし疑問に思ったんです。仮面を付けなければいけないのには、何か訳があるのでしょうか。‥相手に顔を見られたらいけない為? また、何故教会なのに神父やシスターが居ないのでしょう?」
海道は苦笑する。
(「困ったな」)
海道は男なら『お前には関係ない』など言ったが、相手が女の子であるため、どうはぐらかすか悩んでいる。
「答えたくないのなら、無理にとは言いません」
(「だけど‥」)
なつき達が入って来た時やさっき仲間の人と話していた海道の顔は‥死を覚悟した人の顔と同じ‥。
(「だから‥」)
「無理はしないで下さい」
「ありがとう」
そう言って、なつきの頭を撫でた。
●教会侵入者
全員が梁の上に待機し、覚醒状態になっていた。
「さて‥これだけの罠の中、相手はどう出るか‥?」
藤村が呟く。
そして‥。
壁を破壊し、スタングレネードが教会内に放たれ10人の人間がやってきた。
(「‥どういう事だ‥」)
傭兵の多くはそんな心境だった。
だがこれは依頼。
すぐに我に返る。
(「今ですね」)
タイミングを見計らい水鏡がGのおもちゃを投下後、暗幕を降ろしたが、相手の弾頭矢でそれは阻止された。
「行くぞ‥」
藤村の掛け声とともに、黒羽とアンジャェリナも一緒にロープをつたい飛び降りた。
(「いた!」)
ある人物を見つけ、海道もロープから飛び降りる。
「なつき、着いて来てくれ」
ファルロスの誘導で、2人は移動する。
「私達は隅の方に移動しましょうか。」
霧雨と水鏡は目立たなく、敵全員を狙える位置に場所に移動した。
「では、遊ぶか」
UNKNOWNは楽しそうに笑い、再度敵を確認する。
「――奴らが敵、か? ‥まあいい」
それはUGメンバーを除き、全員が知り合いだった。
(「1人ずつ‥確実に」)
もうUNKNOWNの姿は無かった。
●黒羽&アンジェリナ&藤村
三人の前に対峙したのは、三人の男女だった。
「俺が囮になるから、あんたらはその隙に一人ずつ倒‥」
言い終わらないうちに、女は俊敏な動きでアンジェリナを狙い。
「‥ぐぅ」
アンジェリナから苦悶の声が漏れた。
さらに追い討ちをかけるように、男が追撃しようとしたが。
(「なめるな」)
黒羽の技で吹っ飛ばす。
敵の男が標準を黒羽に定め撃ったが藤村が前に出て、ガードした。
(「長期戦になるな‥あっちは大丈夫か」)
周りの様子に気を配りながら、そう考えていた。
藤村の考えていた通り膠着状態が続いていたが‥突如としてそれは破られた。
仲間が放った銃撃で、相手のスナイパーが、倒れる。
(「チャンスだぜ」)
(「好機」)
(「今だ‥!?」)
藤村にとって最悪のタイミングでなつき達が降りてきて、女2人と対峙していた。
一瞬迷ったが、藤村はそこに向かった。
一方残された2人は唖然としていた。
(「ちょっ‥そんな聞いてないぜ」)
(「仕方ない‥二人でも」)
唖然とした一瞬を狙われ、アンジェリナの右肩と鳩尾に当たり。
「‥不覚」
アンジェリナは意識を手放した。
(「これは逃げるしか‥でも」)
逃がしてもらえるほど甘くは無く。
(「隙が無ねぇ」)
そんな時仲間の援護射撃が来た。
(「今だぜ」)
黒羽は離れた所のロープをつたい逃げようと試みたが、背中に鈍い音を感じ‥意識が無くなった。
●ファルロス&なつき
「あいつらに罠を投げるぞ」
小声で言うファルロスになつきは頷いた。
そして女二人に、色々な物を投げつけたが‥全てかわされた。
(「そう甘くはないか」)
なつきとファルロスはロープをつたい飛び降りる。
そして、敵と対峙するが‥それは長くは続かなかった。
(「えっ‥」)
なつきは一瞬何が起こったのかわからなかった。
そして分かったのは両腹の痛み。
なつきは前のめりに倒れ横を向き‥藤村の姿が見えた。
(「‥藤村‥さん」)
なつきの意識が途切れた。
ファルロスに向おうとした時は距離をとった。
「やらせん―――!」
理由は‥藤村が現れたからだった。
そして藤村は倒れているなつきを見る。
「悪く思うな、加減は油断に繋がる。ゆえに、手加減などできない。」
援護射撃の効果もあり、敵は傷負った‥だが、これが致命的となる。
一人の女の空気が激変する。
(「‥速い」)
藤村は一撃目をガードするだけで精一杯で。
三撃くらい、吹っ飛ばされたが、幸い致命傷にはならず、意識は保っていた。
(「何なんだよ‥この化け物は」)
ファルロスは持っていた火炎瓶やポケットに入れていた小麦粉を使った粉塵爆発も避けられ、万事休すかと思ったが、助けてくれたのは‥味方じゃなく敵だった。
(「くそったれが‥使ってやるぜ」)
最後の切り札‥それはこの教会の下に埋めた爆弾の起爆スイッチ。
「これで終わりだぁぁぁぁ‥‥みんなぁぁぁ‥‥」
だが、ファルロスがそれを押すより早く、敵の攻撃が当たり、昏倒した。
●水鏡&霧雨
(「まずいですね」)
水鏡は下で隠れているUNKNOWNと連携し何人かの敵を気絶させることに成功したが、戦況は思わしくなく、さらに梁の上に敵の侵入を許してしまう。
(「だけどこれはチャンスでもあります」)
足場が狭い梁の上では回避するのは難しかった。
「う〜‥誰も引っかからなかった‥かなりの自信作だったのに」
後ろに居て気落ちしている霧雨を気に掛けている余裕がない
そして‥チャンスを窺い。
(「今です」)
矢を発射し、UNKNOWNの射撃との連携で、二人を梁の下に落とした。
(「もう一撃‥」)
そう思っていた矢先、すごい速さで距離を詰められ、ライフルを使った殴打は肩に当たり、続けざまに来た剣は弓矢でガードしたが‥敵もろとも梁の上から落ちていった。
(「やられましたね」)
敵の意図に気付いたのは落ちている最中だった。
残された霧雨はカメラは取り出そうとした‥気付いた。
(「あれ‥暗転って爆破されたんだっけ‥」)
「僕、シスターです」
そんな嘘が通じるはずも無く、首に衝撃を感じ、気絶した。
●暗躍
UNKNOWNは存在が居ないかのように気配を消して、見つけておいた狙撃地点で、 水鏡が打った矢と同じターゲットや仲間が危ない時に撃っていて、最初からエネルギーガンに変える。
(「今回は、体力がある者が多い」)
狙いはスナイパーやエクセレンターで、相手の近くに人が居ない事や仲間が援護できない位置に居たら撃つ。
倒したら、そうでない者の隙を狙い撃ってきたが、今の現状では数で圧倒的にあちらが有利だった。
(「それでは行くか、な」)
懐に入れておいたある物を握りしめ、全体が見渡せる位置に移動した。
上に向かって銃を撃ち、注目を集め、死神の仮面を外し。
敵の殆どが驚きの表情を浮かべる。
そうUNKNOWNはUGメンバー以外は顔見知りだった。
隙無く海道と戦っている男に銃を向ける。
戦っている神城と仮面の男に隙無く銃を向ける。
全員に響き渡るような声で。
「第3の結末があるのだよ‥らいおんさん、登場だ」
ライオンのお面を被り。
「――全員を捕まえろ。全て吐いてもらおう、か」
とUNKNOWNは言った。
(「驚きの結末に声も出ない、か」)
辺りが一瞬静寂になった後、傭兵達はUNKNOWNに一斉攻撃を試みた。
「何故だ」
UNKNOWNは数瞬考え理解する。
(「私は誰かに恨まれている、か? ‥もしくは‥」)
藤村と水鏡を加わり、戦いは続いたが6対3では数の面で圧倒的に分が悪すぎたが、少なからず手傷を負わせた。
(「そろそろ頃合か」)
「気絶させられる前に退却する、ぞ」
二人は頷き、敵が壁を破壊した所から退却した。
「こちらの負けでしょうね」
追撃してこないことを確認し、水鏡は溜息を零す。
「仕方ない、世の中の理だ。悪が正義に負ける、とな」
UNKNOWNはタバコをふかす。
「悪になった覚えは無いがな」
藤村は、そう呟いた。
●背中合わせに進む道は
あの頃より数段上になっていた海道より、はるか上をいっていた。
(「分かっているぜ、手加減しているって事」)
その男の名は神城仁。
俺の唯一の親友とも呼べる人物。
神城は、実力もあり仲間思いの良い奴だが、一つだけ欠点がある。
それは、友達同士の試合に手を抜く事。
本人は気付かず無意識にやっている事だったが、俺は悔しくて‥結果今のような状態となっていた。
(「‥できれば‥お前とチームを組みたかったな」)
それは叶わぬ夢だと海道自身が一番分かっていた。
ちらりと横を見ると仲間が死体になっていて、戦いも最終局面を迎えていた。
(「ごめん嬢ちゃん‥約束守れそうも無い」)
バン! と2発の銃声が鳴り響き、最後まで立っていたのは‥。
神城だった。
(「このお人好しが」)
海道は生きていた。
それから、爆弾をショートさせ、海道は人質の場所を言い、神城と二人だけになった。
「勝ちたかった‥死ぬ覚悟でいったが結局は勝てなかったな‥なんで殺さなかった」
(「俺はあのとき殺すつもりでいた」)
返ってきた言葉は震えてた。
「俺さ、誰も仲間を死なせたくなかった。だけど‥実際には仲間がたくさん死んで、仲間の中に裏切る者が居るから探せと言われ‥仲間にしたくも無い疑いの眼をかけて、WGに親友が入って殺し合いをして‥お前を‥殺せるはずないだろう」
最後は声にならない声で‥神城は泣いていた。
「ごめんな‥」
(「お前の気持ちを考えないで‥」)
そして海道はある決意をした。
●その後
それから程なく気絶した者達が起きた。
落ちていた自分の刀を振って血を振り落としゆっくりと鞘に収めた。
「――任務完了」
今は、あちらのメンバーと一緒に教会の修理をしていた。
「あー大変だぜ」
黒羽は一人ごちる。
「これも任務の内だ」
アンジャェリナはもくもくと作業していた。
「皆さん飲み物いかがですか?」
「‥いかが?」
なつきと霧雨は、雑用を任され。
ファルロスと水鏡と藤村とUNKNOWNは感謝の意を述べ、飲み物を受け取った。
まだまだ修理は始まったばかりであった。