●リプレイ本文
休日の朝10時、四天王はそれぞれの場所で傭兵達と待ち合わせをしている。
今回UPCから人数分の携帯、市街地マップが支給された。
●御剣拳子の場合
(「ん〜確かここのはずなんだけどな〜、又場所間違ったのかなー」)
ネール(
gb0342)は大手パチンコ屋から5分の所にある公園の噴水付近で待ち合わせていた。
ネールの右手に紙袋がしっかりと握っていて、その中には武器が隠されている。
きょろきょろと見渡すと、写真の人物、御剣拳子の姿を見つけ。
(「失敗しないよう誠心誠意頑張ります‥」)
と心の中で考え、駆け出したはいいものの、しょっぱなから何も無い所で転び。
「あわわ‥いたたた‥まっまたやっちゃいました」
拳子さんから心配され、他の傭兵さんには内緒にしようと、ネールは心に誓う。
(「でもわっ私って、直嘘がばれちゃうからな〜」)
ネールは酷く気落ちした。
「で、あなたが、今回の私の護衛の人?」
「はぁ、はい!」
緊張で、がちがちのネールに、
「そんなにかし困らなくてもいいよ。何もとって食おうとしてるわけじゃないんだし」
苦笑雑じりで、拳子がリラックスする様に促す。
数十分談笑し、ネールも幾分肩の力が抜けてきて。
拳子は本題に入る。
「それにしても、ネールって何歳なの?」
「えっ、えっと15歳ですけど」
何か? と言うようなポーズをネールはしたが、実は今日いく所は、18歳未満立ち入り禁止の所で。
「まぁなるようになれだし、いっか。行くわよネール」
深く考えない拳子であり。
そんな事は知らないネールは、パチンコという物が知らないので。
(「行くのが楽しみです」)
ネールは意気揚々でと行ったはいいが。
「すいません18歳未満禁止なので」
ネールを見て、直に来た店員は言い。
結果、ネールは門前払いをくらい。
(「あわわ、そっそうだったんですか」)
知らなかったネールは拳子の方を見た。
「あっあはは〜」
と拳子はなにやらあさっての方向を向いて。
「ごめんね、二時間で帰ってくるからそこら辺で待ってて」
と、隠れるように、慌てて拳子は中に入っていった。
(「にっ2時間も何しようかな‥って今護衛中だししっかり見張らないと」)
そしてネールは、パチンコ店の入り口付近で、『探査の眼』を使い、網にかかるのをじっと待った。
●姫野乙女の場合
大手デパートの前で、犬塚 綾音(
ga0176)は対象である姫野乙女を待っていた。
(「さて、今回の依頼はUG本部『四天王』の警護だね。ま、正直あたしらよりよっぽど強いんだろうけど‥一緒に戦って得るものがあるかもしれないし、ね」)
当初犬神は、拳子と気が合いそうだと思っていたが、パチンコは熱中してしまうので、乙女にした。
(「まぁ、ファンシーショップ巡りと聞いてるけど、ファンシーショップはそう嫌いでもないし‥猫のぬいぐるみはあるかねぇ? まぁ、衣装の類ならちょっと遠慮したいけどね‥第一私にはそんな服似合わないしねぇ」)
犬塚は、尾行者が現れた場合に備えて、袋に刀を入れている。
数分後、対象の人物‥乙女が現れた。
「あんたが姫島乙女さんだねぇ」
「ひょっとして今日の護衛してくれる人」
「そうだよ。わたしは犬塚っていうんだ、よろしくねぇ」
「わぁ、女の人で良かったぁ〜、男の人だったら緊張しちゃうから〜」
「それは良かったね〜」
などと犬塚は言いながら。
(「男の人なんて、ファンシーショップ巡りだと分かっていたら誰もしたがらないと思うがねぇ」)
犬塚はそう思う。
そして、犬塚達はそのデパートに入っていった。
●狂大巨漢の場合
ルティア・モース・倉火(
ga2411)は別名『大食い通り』と呼ばれる道の指定された店の前に来ていた。
(「私は、大食いの趣味は無い。必要な物を必要なだけ摂取する‥最近の傾向は栄養食品‥それだけで十分」)
「あんたがおらの警護の人だが〜」
巨漢は護衛の人は誰か知らなかったが、指定した場所にいたという理由だけでルティアに話しかけた。
(「これが巨漢。名前通りの人」)
ルティアは真上付近を見上げた。
「名前はなんだぁ〜おらは巨漢だぁ〜」
「ルティア」
「早速行ってみるだかぁ〜おら腹が減って死にそうだぁ〜」
2人は目の前の店に入る。
●無手神竜の場合
古い建物が立ち並ぶ場所にはいた。
南雲 莞爾(
ga4272)は消去法で無手神 竜の護衛に決める。
(「賭博に興味は無い上に、買い物に付き合う気は無い上に食べ歩きなど論外中の論外だ」)
食べ歩きしている自分の姿を想像して、南雲は鳥肌が立つ。
約束の時間に、一人の男が現れ、南雲は男の方に歩み寄る。
「あんたが 無手神さんか?」
無手神は頷く。
「今日護衛をする南雲だ、宜しくな」
「無手神竜だ」
2人は握手を交わし、ここら辺では有名な古本屋に入る。
●最初の尾行者発見
2時間後、かなり不機嫌な拳子が出てきて、二人でパチンコ屋から去ろうとした時、尾行者が網にかかった。
(「UNKNOWNさんに連絡しないと」)
ネールは携帯電話を手に取った。
街の中心部付近、マフィアと呼ばれても遜色が無い服装に人々は、その人物を避けて通る。
等の人物はそんなことお構いなしに、タバコを吸いつつ、連絡を待つ。
そう‥その人物はUNKNOWN(
ga4276)だった。
(――また、罠が含まれているという所か。それでも構わん‥UGの依頼は果たそう。‥嘘のある依頼には知らんが、ね?)
そう言って愉快そうに笑う。
そんな折、ネールから電話が入る。
「来たか」
UNKNOWNは携帯電話を耳に当てる。
「もしもし、ライオンさん、だ」
「えっ、あわわ、まっ間違えました」
「冗談だ、UNKNOWN、だ」
その内容は尾行者を発見したと言う内容だった。
地図を広げ、UNKNOWNはある道に入るよう指示し電話を切る。
「ここから5分てとこ、だな」
UNKNOWNは近くに停車した1300ccアメリカンバイクに跨り、懐の仮面と、UPCに支給したある物があるか確認し、バイクを走らせる。
(このバイクをどうしたかって‥それは秘密、だ)
数日後盗難バイクが発見されるが‥。
ネールは尾行者に悟られない様小声で話す。
「びっ尾行者を見つけましたので、仲間と協力してつっ捕まえます」
「気配が感じてたんだが、よく分かったね」
「そっそれだけが取得ですから」
ネールは恥ずかしそうに俯く。
「見つけたらギタギタにしてやる」
それは単なる負けた腹いせだとは思うが、ネールは口にしない事にした。
(「びっ尾行者さん同情します」)
ネールの誘導の元、目的地である、路地裏に来た。
(「あいつら‥、か」)
路地裏にあるベランダに身を隠し、あるお面を既に着けていた。
「‥運命の悪戯か」
双眼鏡で敵を確信し、それは‥。
(「知り合いか、前の用に安心せず、先手必勝、だ」)
知っている者‥だが前回の教訓から、知り合いが相手でも、即座に攻撃を行うと心に誓っていたUNKNOWN。
そして射程圏内まで来て。
「‥らいおんさん、参上。――狩られる兎、バニーになりたまえ」
立ち上がり、投網を投げ目の位置を狙い、銃を構えペイント弾を放つ‥が。
投網は避けられ、ペイント弾は手でガードされた。
後ろで銃声が鳴り2人は振り向く。
「よっしゃ! いくよ、ネール」
「はぁ、はい!」
駆け寄ると女の子が2人‥1人は拳子が知る人物だった。
「音遠、まさかあんたとわね‥覚悟はできているんでしょうね」
UNKNOWNはもう1人の女と睨み合う。
1人取り残されるネール。
(「あわわ‥どっどうしよう」)
まさに一触即発の状態にネールは。
「皆待ってください!」
大きな声で叫ぶ。
あまりの大きな声に、呆気に取られて全員が振り向く。
「なっなんで尾行なんてしたんですか?」
彼女達は理由を話し‥。
「まぁ分かったけど、ネールにUNKNOWNだっけ‥もう言っていいわよ‥つか邪魔だから」
「どっどうしましょう?」
ネールはUNKNOWNに聞く。
「聞くだけ野暮だ。私達は次のストーカー? 狩りに行く、か」
「はぁはい、頑張ります」
そんな会話をしながら、ネールとUNKNOWNは路地裏を出て、2人はバイクに跨る。
「えっえっと、このバイクどうしたんですか?」
意味ありげな視線をUNKNOWNはネールに向ける。
「ふっ、聞いてきた、な。ネールもこれで共犯者、だ」
「そっそっそんなぁ〜」
2人は次の目的地に移動する。
●犬塚の危機
小物とか置いてある可愛い置物の所を見ていた時は良かった。
(「猫のぬいぐるみはあるかねぇ?」)
などと、周りを注意しながら楽しんで物色していた。
しかし、今は。
「ほっほっほらね、あたしみたいなのは似合わないし、ねぇ?」
「これ似合うと思うんだけど、試着してくれないの〜」
衣類系のファンシーショップは正直遠慮したかったが、駄々を捏ねられ、結局行く事になり‥。
犬塚は泣きそうな乙女の目を見て‥。
乙女が持っていた、ふりふりの黄色いスカートと、可愛らしいピンクのトップスを手に持ち‥わなわなと震える。
(「きっきっ着ないといけないかね」)
犬塚は、乙女の方を見る。
まるで犬塚が着ると信じて疑わない目。
「これだけだからねぇ」
これから2時間、地獄の‥トラウマになる時間が来るとは犬塚はまだ知らなかった。
げんなりと酷く落ちこむ犬塚の姿。
「どうしたの〜綾音ちゃ〜ん」
(「どうしたって‥見れば分かるとおもうがねぇ」)
「尾行者ならもう見つけたよ〜」
犬塚の近くまで来て、小声で話す。
気配は感じていたが、誰かは分からなかった。
「ほらっ、あのカップルだよ〜」
随分後ろにいるカップルの方を見たが、顔は見えないが、これといって違和感は感じなかった。
「もう1人の方UG社員なんだよね〜。何でこんな事するのかな〜」
(「さすがスナイパーだねぇ‥UNKNOWNに連絡しとくかね」)
走行中UNKNOWNの携帯が鳴る。
「もしもしライオンさん、だ」
「‥‥犬塚だよ」
「ふむ、犬塚はスルー、か」
それから詳しい場所を聞き、UNKNOWNは電話を切る。
「逆方向のデパート、か」
バイクをUターンさせ疾走する。
「あわわ、落ちそうです〜」
犬塚と乙女は屋上のアミューズメントパークに来た。
もちろん尾行者を捕まえるために。
「ねぇ、どうやって尾行者を捕まえるの〜」
任せてといった犬塚の言葉に興味津々な、乙女。
「まぁ、見ててくださいね」
犬塚は含み笑いを乙女に向ける。
ライオンのきぐるみに入っている男と、ウサギのきぐるみに入っている女がいた。
その中身はUNKNOWNとネール。
初めは子供が駆け寄って来たが、UNKNOWNが纏う異質な空気を敏感に感じ取り、遠ざかる。
(「うむ、きぐるみで姿は見えないはず、だが」)
UNKNOWNは考え込む。
(「UNKNOWNさん、きっ来ましたよ」)
ネールは駆け寄り耳打ちする。
(「そうか‥それでは行こう、か」)
数分後、後ろの方で騒ぎがあった。
犬塚は、振り返り。
「見つけたみたいだねぇ。昔とった杵柄ってやつでね、喧嘩は慣れてるのさ!」
騒ぎのあった方に駆け寄った。
「どうしてこんな事するの〜」
縄で捕らえられた二人に乙女が問う。
随分間が経ち、女が耳打ちして‥男が話し始める。
(「やはり、さっきのは嘘だったのだ、な」)
UNKNOWNはこちらが真実だと理解する。
「さて、ネールさん、大塚さん、行きましょうか」
縄を解き、尾行者と、乙女にペイント弾を渡し。
「後はお任せします、よ」
「しっ失礼します」
「じゃあねぇ。楽しかったよ」
と言って3人は去る。
●大食い!
ルティアのお腹はパンパンになっている。
今入っているお店は、8件目。
各お店で、お水3杯しか頼んでいないルティアでも既に22杯目。
「切腹は〜したくないです〜」
「あはは〜俺には分からないけど、ここでもお水三杯か〜」
「お許しお〜」
ルティアは土下座する。
「あはは〜、面白いなお前は〜。おらに付き合ってもらってるのに、何も強制はしないだ〜」
「本当か〜」
なら今までのパンパンになるまで水を飲んだ苦労はなんだったのかルティアは思う。
「でも、あんまり食べないと、おらみたいに大きくなれないだ〜、最近の流行は大食いだからだな〜」
「本当か〜」
流行に疎いルティアにとって、それは知らない情報だった。
もっとも、本当かどうかは定かではないが‥。
巨漢の前に5kgのカレーが置かれ、ルティアの前には100gのカレーが置かれた。
それがルティアの限界ぎりぎりの量だった。
30分後、ルティアが何とか食べ終わった頃には、巨漢は既に食い終わっていた。
(「恐るべし巨漢」)
8軒の食べ歩きで思ったルティアの感想。
しばらく2人は歩き、倉庫街まで来た時、尾行者が姿を現した。
(「来た‥」)
ルティアは何十m後に尾行者がつけていると感じていたが。
「ほんとにいたんだか〜」
巨漢はまったく気付いていなかった。
「へい、ガール。そこのマンをわたしてもらお〜か〜」
「やです」
渡してくれと言われて、渡す奴がどこにいるかとルティアは思う。
「仕方あ〜りませんね。パートナ〜やっちゃいなさ〜い」
もう一人の男は既に逃げていた。
「ここは、おらがやるからもう1人の人をおってくれだ〜」
ルティアは頷き、携帯電話を手にし、去っていく。
「来たか」
3人になったので、バイクから路上に止めてあったワゴン車に換え、UNKNOWNは携帯電話を手に取る。
「はぁ犯罪者です」
「あんまり気にする事無いよ。後で返せばいいだけの話だしねぇ」
「そうか‥分かった」
(「丁度良かった、な」)
今、倉庫街まで後1km直進の所にいた。
巨漢と恵比寿は闘っていた。
巨漢はでっかい剣入れバックに入れていた大剣を取り出し、重く、速い攻撃を繰り出しているが、恵比寿に紙一重でかわされている。
「おらの攻撃当たらないだ〜」
巨漢は頭が混乱し、限界速度まで大きな剣を振り下ろす‥が。
「どこ狙っているんだ、巨漢さ〜ん」
恵比寿は既に後ろに回りこんでいた。
巨漢は図体がでかく、パワー重視なため、一撃の繰り出してからのタイムラグは長く‥かわされ、後ろに回り込まれた時点で、勝敗は決していた。
「巨漢は裏切り者か」
「いやそいつは違う、な」
答えたのは、ライオンの頭のきぐるみだけ被ったUNKNOWNだった。
ルティアは気配を感じ倉庫の中に入る。
そこは何も無い廃倉庫。
(「確かここだと‥くっ」)
ルティアの体の中に電気が入り、痙攣状態になる。
(「超機械‥この感じはスパークマシーン」)
ルティアは、即座に分かり、罠に嵌められた事に気付く。
身構えるようにしていたルティアに第2射はこず。
変わりに‥。
「探しましたよ、ルティアさん」
仲間の声が聞こえた。
●裏切り者
南雲は自分の懐古趣味に興じつつ、周囲を警戒していた。
それは、光の裏側を歩んだ以前の何かを秘めるが故の物。
「‥そろそろ行こう」
「ああ」
無手神に言われ、店を出る。
「この後どこに行く」
南雲が尋ねる。
「港だ」
「ほっ本当なんですか」
「にわかには信じがたいねぇ」
「そうで〜す」
「南雲から‥連絡‥あれば」
「いや、それからだと既に遅い可能性がある。南雲に連絡してみても、目的地を変えられるか、強硬手段に高じる可能性があるの、だ」
UNKNOWNが運転席で助手席にネール、後部座席に大塚、恵比寿、ルティアが座っていた。
そして、一点の曇りなく、UNKNOWNは次の目的地を港だと言う。
理由は、あの時‥巨漢が追い詰められたとき話したが、1つは逃亡手段、もう1つは‥。
「最悪なシナリオには‥させませんよ」
ここから2時間、UNKNOWNが密かに乗せたある物と一緒に、車は疾走する。
〜熊本港〜
船同士が行き交っていた港も今や閑散としている。
「そろそろ出てきたらどうだ‥神城」
長い沈黙の後‥尾行者が姿を現した。
南雲も知っていた人物なので軽い驚きを見せる。
「‥神城と話がある‥悪いがもう一人のほうを頼む」
南雲は頷き、相手の方も同じ意見だったらしく、南雲ともう一人の男は、その場から数百m離れ‥どちらからともなく。
「―――敵性存在確認。R.O.C.K. On‥‥」
戦闘を開始する。
先行したのは南雲‥瞬天速で一気に間合いをつめ、剣を振り下ろす。
が、相手にガードされ、次の行動はまったく一緒で‥。
反対の手に、銃を持っていて、撃とうとし‥距離をとる。
だが‥それが間違いだった。
相手はナイフを投げ、それを避けたが、間合いを詰められ、攻撃行動が若干遅れる。
相手は懐から小銃を取り出し、剣を振り上げ、銃を南雲の腹部めがけて撃つ。
(「くっ‥やはり強いな」)
体を捻り致命傷は避けたが、血は滴り落ちる。
そして距離をとる。
「あんたには恨みはないが‥これで終わりだ」
それは全スキルを使っての、神速攻撃。
「天剱絶刀―――猟犬の爪牙、あんたに理解出来まい」
相手は吹っ飛ばされ、倉庫のシャッターと激しく衝突するが、何とか起き上がり‥再び対峙する。
だがこれ以上の戦闘はなかった。
何故なら意外な人物が現れたからだった。
●熊本警察特殊課参上!
「‥そこまでにしていただきましょうか」
「ネタは上がってんだ」
「そうよ、観念しなさい」
「おっほほほ、あがくがいいわ」
新撰組の様な上着にピンク地に白い花柄模様が描かれている、4人の男女が陸地方向からやってきた。
そう熊本警察特殊課の新嶋零、陣野馬気、雨射岩子、中ノ字乙姫である。
状況がつかめない南雲は。
「何の事だ‥」
と聞き返した。
新嶋は頷き。
「失礼しました‥実は‥」
「ほっ本当にここにいたんですね」
「やれやれ、当たらなければ良かったんだがねぇ」
「信じられませ〜ん」
「‥当たり」
同じく、陸地方向から来たのはネール、犬塚、ルティア、恵比寿。
数分後に他の四天王やその護衛者達も来た。
「皆さんもお気づきになっていると思いますが、UGにWBのスパイがいたと言う情報が入りました。その人物の名前は‥」
UNKNOWN達は港付近で車を折り、UNKNOWNは密かに乗せていたバイクで裏切り者の所に向かって疾走していた。
そして目の前には、無手神の前に片膝をついて座っている神城の姿が。
「‥‥話が違う様だな。受けたのは『UGからの依頼』だ。WBからではない」
こちらに気付いた無手神が、神城に向けていた銃をUNKNOWNに向ける。
(「唸れ‥ライオンさん」)
最高速まで速度を上げ無手神のところまで突っ込み、無手神は横へと逃げる。
「もう大丈夫、だ」
ライオンのお面はしっかり着けていた。
そしてもう一度無手神のほうへバイクを走らせ。
(「弁償はUGに払って貰おう、か」)
UNKNOWNはバイクを飛び降り、横の体制になりながら正確にバイクを射抜き、爆炎を上げる。
「こちらは通行止めだ」
そして、総勢20名が無手神の周りを取り囲む。
(「成程、そういう事か‥あんたとはこうなると思っていた所だ。さしずめ現実に愛想が尽き果てたか、それ以外の何か‥か」)
内心、裏切り者の人間性をガキ同然と、淡々と評価を下しつつ南雲はそう思う。
「竜ちゃん、嘘だよね〜」
「おら難しい事はわかんねーけど、竜は仲間だ」
「竜、嘘だよね、そんなことする筈無いわよね?」
四天王を含め必死に説得を試みたが‥。
「悪いな‥俺は俺の道を歩く‥例えお前達と違う道を歩いても」
それは明確な拒否の台詞。
(「難しい事は百も承知だ‥だがそれでも俺はやらねばならない」)
一様に皆が捕まえようと決心し、南雲はそう思っていた。
包囲網がじりじりと狭まるが無手神は平然とし、UNKNOWNや軍事知識に長けているルティアは近づく轟音に悪寒する。
「皆の者下がれ」
「‥下がる」
無手神から距離を取る一同。
数秒遅れて、轟音とともに来たのは‥ナイトフォーゲル。
無手神はナイトフォーゲルの手に乗り。
「さらばだ‥皆‥」
無手神は言い。
「ごめんな‥拳子、巨漢、乙女」
最後の方は小声でつぶやき、海の方に逃げていく。
●信頼
「うわわわ〜ん」
巨漢が大声で泣き
「竜ちゃ〜ん。うえぇ〜ん」
乙女が両目に手をあて、泣く。
「こんなのってないよ! 私達は仲間じゃなかったの!?」
拳子は拳で地面を叩き、涙が地面を濡らす。
彼等はUG設立当初からの仲間で、共にチームとして、友達として‥お互いが信頼していたと思っていた。
信頼していた分だけ、裏切られた時の反動はでかく、誰も四天王に声をかける事はできず、そっとその場を後にする。
「なんとも後味の悪い結果になったねぇ」
「かっ可哀想過ぎますっ」
「最悪の次ぐらいの結果になった、か」
「完了?」
「そうだ、俺等ができる事は全て終わった」
名残惜しそうに‥傭兵達はここを後にした。
1人が裏切り、それぞれの心にぽっかりと穴が空く。
だが‥それは‥後にせまりくる悲劇のほんの幕開けに過ぎなかった。