タイトル:T町征服の野望マスター:三橋 優

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/01/15 23:07

●オープニング本文


 今現在の世界情勢にも関わらず、平和な町というのはどこにでも存在する。
 しかし、その平穏を破る者もまた、どこにでも現れるのだ。
「フッ‥‥フハハハハ! 天は私を選んだ! 今日からこのT町は私が支配するっ!」
 公園のジャングルジムの上で高笑いをする、無精髭の中年ひとり。
 通りすがりの人達は見ぬふりをして早足で立ち去ってゆく。
「ねーお母さん、あれなにー?」
「しっ、見ちゃいけません」
 ‥‥この町に現れた『平穏を破る者』は、物凄く頭が軽かったようである‥‥


 しかしこのおっさんの珍妙な発言、それなりの根拠はあったらしい。
 2日後、町役場前のだだっぴろい空き地に巨大建造物が姿を現していた。
 コンクリートのような石の壁。
 範囲はだいたい1辺30mほどの正方形か?
 高さは‥‥かなりのものだ。20m以上はある。
 そして人が集まってきた所で、響き渡るスピーカーの声。
「T町の諸君! 私の名はドクターテリブル! この町は私が支配する!」
 ‥‥はあ? だの、何言ってるんだこいつ、だのという反応。
 まあ当然である。
 だがそんな事をまるで無視したかのように言葉を続けるドクターテリブル。
「フハハ! 怯えろ! 我がキメラ軍団にひれ伏すがよい!」
 なんか言ってるぜー、とか、警察呼ぶか? とかいう声が上がるが‥‥
 まあとりあえずキメラ言ってるし一応ULTに報告しとこう、という事でこの場はおひらきとなった。

 その後もえんえんと荒唐無稽な会話を聞かされ続けた役所の人達は御疲れ様である。


 ちなみに、わざわざ来てくれたULT職員が正面扉を開けてみたところ‥‥
 部屋の中央に骸骨型キメラが剣と盾を持って立っており、石を投げてみたら盾で防がれ、その盾も含めてフォースフィールドが発現した。
「‥‥‥‥お邪魔しました」
 なぜか襲っては来ないようなので、ULT職員は黙って扉を閉めた。

 ULT職員が帰っていく様子を塔の屋上から眺めていたドクターテリブル。
「ククク‥‥愚かな人間が、我がキメラに恐れをなしたか!」
 花からの香りのおかげでキメラが従っているという事にも気付いていないのだろう。
「ワーッハッハッハ!」
 だいたい、支配するとかひれ伏せとか言ってるわりに住民に何も命令してない。
 とりあえず人より強くなった事で、1人で勝手に他人を見下しているだけ。
 ‥‥敵がみんなこんなのばかりなら平和なのだが。

 なあ、寄生キメラよ。
 そんな知能は無いのかも知れないが、とりつく人間は少し選んだ方がいいと思うよ?

●参加者一覧

奉丈・遮那(ga0352
29歳・♂・SN
天・明星(ga2984
13歳・♂・PN
野良 希雪(ga4401
23歳・♀・ER
番 朝(ga7743
14歳・♀・AA
黒羽・ベルナール(gb2862
15歳・♂・DG
神凪 久遠(gb3392
15歳・♀・FT
屋井 慎吾(gb3460
22歳・♂・GP
幻堂 響太(gb3712
19歳・♂・BM

●リプレイ本文

●ドクターテリブルの塔・1F
「ドクターテリブルさんってこの町で何がしたいんでしょうか〜。まだ何も要求とかしてないそうですし〜」
 野良 希雪(ga4401)は骸骨キメラの残骸を巨大ハリセンで叩く。
「どっかの博士を思い出しますが、気をつけていくしかないでしょうね。あ、無闇に触らないようにしてください」
 骸骨に向けて銃を下げずに奉丈・遮那(ga0352)は一階の制圧を続けた。
「でもさ、安普請の五階建ての建物を作るんなんて‥‥寄生キメラって相当間抜けじゃないですか?」
 天・明星(ga2984)がまだ動く骸骨キメラに止めをさしつつぼやく。
「ちょーどいいや。射撃の練習でもしよっと」
「さぁ行ってみよっか〜♪」
 神凪 久遠(gb3392)と黒羽・ベルナール(gb2862)にいたっては遊園地のアトラクション気分でキメラを倒していた。
「張りぼてというか、なんだろうね‥‥」
 ツンツンと幻堂 響太(gb3712)が槍でつつくと確かにフォースフィールドが発動している。
 初めての依頼ということで緊張している響太にとってただの動かないキメラも油断できない相手だ。
「うほー、この鎧かっちー! ほしいぜ! って、ボロボロだぜ」
 崩れた骸骨キメラの鎧を持ち上げた屋井 慎吾(gb3460)だったが、それはもろくも崩れる。
((「ここは大丈夫そうだな」)
 番 朝(ga7743)は構えていた銃を下げ、こっそりと見つけた階段から二階へとあがっていくのだった。
 
●ドクターテリブルの塔・2F
「こ、これは強力なトラップです」
「きゅい?」
 野良の足を止めたのはキラーロリス。
 円らな瞳をして首をかしげていた。
「かわいい、かわいすぎます! 犯罪です!」
 眼を輝かせ興奮して腕を振るう姿ははしたないの一言に限る。
「先に行きますね」
「同じく」
「野良さんがんばってね〜」
 キラーロリスに惑わされなかった面々が次々に隣にある階段を上っていった。
「あなたの相手は私ですよー。捕まえてモフモフの刑に処するのです!」
 ハリセンをびしっと構え、野良は気合を入れる。
「きゅぅきゅ〜ん♪」
 外見だけでなくかわいらしい声までだしたキラーロリスは野良を奥の部屋へと誘った。
「うぅーおー! こんな可愛いのは反則だー! バグアめぇぇ!」
 振り子ペンデュラムや、パイ投げ装置などが見えるいかにも怪しい奥の部屋へ野良は躊躇せずに踏み込む。
「普通にいけるのなら、気合いれなくていいな‥‥野良の自爆ってこういう意味か?」
 かくーりと首をかしげて聞く朝に残りの能力者は何も答えなかった。
 いや、答えられるわけないでしょ。
 一言で言えば、『人間いろいろな趣味がある』ということだ。
 今はそういうことにしておこう、大人になれば分かるから‥‥。
 
●ドクターテリブルの塔・3F
「よっしゃー、オレの出番だぜ! さぁ、先にいけ!」
 無数にはる細い柱が立ち並ぶ階層。
 頭上から殺気を感じた慎吾は拳を打ち合わせて仲間に先へ行くよう指示をだした。
 下二階とは違ったシリアスな雰囲気にさすがの能力者達も警戒をする。
「わーすっごく、アトラクションみたいだ! 上から飛び出てワー! ってなるんだよね」
 もっとも、黒羽にいたっては遊びの延長にしか見えてなかった。
「君の犠牲は無駄にしないぜ☆」
 それでもノリは忘れずサムズアップして黒羽は次の階層を目指しだす。
「無駄に請ってるなー。もっとしっかり費用をかけていいもの作らないと」
 一方、久遠は小姑のような事を言い出して建物を値踏みした。
 気楽な姿に上にいるキメラも能力者もたじろぐ。
「じゃ、屋井さん後よろしくー」
 黒羽のあとをおって久遠が去ると、凍った時が溶け出した。
「お、おう! おい、上にいないでこっちにこいよっ! 俺が相手になってやるぜ!」
『キシャー!』
 慎吾の声にあわせて上からハーピーたちが襲って‥‥これない。
 柱が多いところに大勢で出ようとすれば渋滞するのは至極当然のことだ。
「キメラって意外に単純だったりするのかな?」
「いや、これは‥‥どう考えても上が馬鹿なだけだろ、気合抜けたぁぁぁ」
 純粋な瞳で聞いてくる響太に対して、慎吾は両肩を落としながら答えた。
 コレがすべてではないと力を込めていいたい。
 しかし、そんな気力すら慎吾にはなかった。
 頭上ではいまだにぎゃいぎゃいいって混乱しているハーピーの声だけが響く。
「うるせぇぇぇぇ!」
 ガインと慎吾が柱を蹴ると柱同士がぶつかり合い、上の声が大きく混ざり合った。
 そしてボトボトッとハーピーが落ちてくる。
「あ、落ちてきた。キメラって昆虫みたいにしてとるんだね」
「だぁかぁらぁぁっ! ‥‥あぁぁぁっ! もういい! ちょっと手を貸せ! ぶっ叩くぜ!」
 慎吾は純粋な瞳を向ける響太がうらやましく思える反面、悲しく見えた。
「う、うん。がんばるぞー!」
 どこかズレた雰囲気をだしながらも二人は落ちてきたハーピーを袋叩きにしていく。
『ぎゃひぃぃ! ぎゃひぃぃぃ!』
 ハーピーの断末魔が塔に響き渡った。
 
●ドクターテリブルの塔・4F
 古びた塔に似合わない甘い香りが漂ってきた。
「もう先に行きます」
「後、よろしくだぞ」
 4Fに到着すると朝と遮那がそのまま上へと駆け上がり、黒羽がその後をあわてて追いかけた。
「二人とも、後は任せたよー!」
「う〜ん、その台詞はボクたちが『先に行け』って行ったときに返すものだと思うよ?」
 手を振って階段を上がる黒羽に久遠の言葉は届かなかった。
「でも、後で言うか先に言うかの違いです。やりましょう」
 見送る久遠に声をかけ、明星はケルベロスに向かって構えた。
 三つの犬の頭を持つ魔界の番犬ケルベロス‥‥足が12本あったり、布でつぎはぎされているが知ったこっちゃない。
「余計な手間は増やすなって教わったからね。やろっか」
 久遠も敵に向き直り、覚醒をする。
 右が青、左が赤のオッドアイだった瞳が紫に変った。
「いやぁぁぁっ!」
 瞳の色が金色に変わり、肌の色は小麦色となった明星が『瞬天速』でケルベロスとの間合いを詰める。
 クッと床を踏み、ブレーキをかけると共に『疾風脚』を使い明星は戦場を駆ける風となった。
「はっ、はぁっ!」
 勢いを保っていた足でケルベロスを蹴り上げ、両手にはめているディガイアにて二連撃を胴に叩き込む。
「ほら、こっちもだよっ!」
 久遠は『豪破斬撃』と『流し斬り』をあわせたイアリスよる一撃が中央にあるケルベロスの頭部を貫いた。
『グルァァァァウ!?』
 着地したケルベロスは暴れ、久遠を振り払おうとする。
「久遠さん! 今助けに、くっ!?」
 援護に向かおうと思った明星だが、ケルベロスの六本の前足による引っかき攻撃を同時に受けた。
 とっさにガードするも肩口と膝に鋭利な傷跡が残る。
「ふぉっう!?」
 引っかきの勢いでイアリスと共に久遠が宙を舞った。
「危ない!」
 瞬天速で壁を駆け、明星は久遠をお姫様だっこで助け出す。
「あ、ありがとう‥‥」
「どういたしまして、少しは骨のあるようですからがんばりましょう」
 照れて降りる久遠に明星は微笑みかけると、痛みをこらえて再び構えた。
「うん」
 久遠も一度、深呼吸をするとイアリスをケルベロスへと向けなおす。
 空気が一瞬止まった。
『グルァァァツ!』
「だぁぁあっ!」
「てぇぇいっ!」
 双方は叫びぶつかり合う‥‥。
 
●ドクターテリブルの塔・5F
 漂う香りは強くなっていたが、それを気にするものは誰もいない‥‥。
「動く壁‥‥これは厄介な」
「ドンドン狭くなっている。抜けるぞ」
 遮那と朝はウネウネと動き、狭くなる壁を見て一瞬、息を呑むが立ち止まるわけにはいかないと走り出した。
 振り返ることはできない、仲間達が励んでいるのだから‥‥。
 全力で二人は走る、走る、走った。
 コンクリートのような色をしたスライムはどんどんと二人を挟み込もうと狭くなる。
 それでも二人は走った。
 振り返らず、前を見て走る。
 そして、階段が見え、遮那が抜けた。
「はやくっ! こっちへ!」
「くッ、駄目だ。間に合わない」
 あと少しというところで朝の肩に、腕に、足にコンクリートの冷たい感覚が襲う。
「うあぁぁぁぁぁっ!」
 はさまれると朝が諦めかけたとき、咆哮が室内を満たした。
 空気が振るえ、コンクリートの動きが止まる。
「手をっ!」
 遮那が朝へ手を伸ばし、朝も遮那の手を掴んだ。
 一気に遮那が引いて階段まで引きずり出す。
 駆けてきた道を振り返れば黒羽がいた。
『早く! ここは俺に任せるんだ』
 ”機械の龍(リンドヴルム)”をまとった黒羽が『竜の咆哮』によってコンクリートキメラの動きをとめたのである。
「だけど、お前‥‥」
「先にいきましょう。信じるのです、彼を」
 言葉をかけようとする朝をなだめ、遮那は階段をあがった。
 朝もそれに続き上の階へと進む。
「さぁ、どこまでいっけるかな〜」
 閉じようと動き出したコンクリートスライムもAU−KVのパワーで押し返しつつ黒羽は不敵に笑った。

●それぞれの決着
 甘い香りはすでに2Fにまで広がっている‥‥。
「もきゅきゅー!」
 可愛い声で鳴くキラーロリスを野良は掴んだ。
 その手は傷だらけで、服もぼろぼろである。
「捕まえましたよ‥‥」
 傷つきながらもその眼は生きていた。
 荒く息を吐き、震える足で立ちながらキラーロリスを抱きしめ、超機械ζでとどめをさす。
 強い電撃を受けたように震えたキラーロリスはくったりとなった。
「もふもふの刑‥‥完‥‥りょう‥‥」
 満足そうにキラーロリスを抱きしめた野良は目を閉じる。
 
 ◇
 
「くそっ、油断しすぎたぜぇぇ」
「‥‥うぅ、数が多すぎる‥‥」
 3Fで順調に戦っていた慎吾と響太だったが、数の多さにまさるハーピーに苦戦している。
 疲労の蓄積量が高まり、二人の動きは鈍い。
「どう‥‥する? 柱蹴っても、もうひっかか‥‥らないぜ?」
 少女のような綺麗な顔をしていた響太だが、頬に傷ができ髪も汗と血でぐしゃぐしゃになっていた。
 それでも、槍を持つ手に力を込めて、慎吾に『らしくない』口調で意見を求める。
「あっちも一気に来るはずだ‥‥チャンスは一瞬だが、それにかけるしかねぇ!」
 慎吾も口元を流れる血を拭い、頭上の影をにらんだ。
『ケケケケッ、キケェェェェッッ!』
 嘲笑するかのような鳴き声を出してハーピー達が急降下してくる。
「響太! まずはなぎ払えぇぇっ!」
「おちろぉぉぉ!」
 しっかりと、距離を測り響太が慎吾の合図で『真音獣斬』を上空に向かって放った。
 衝撃波がハーピー達を翼を奪い空中での動きを阻害する。
「そして、オレの必殺技、駆けろっ! SINGO!」
 『疾風脚』をつかって脚力を高めた慎吾が柱を『瞬天速』で駆け上がりながらハーピーたちを蹴散らした。
「どぉーだ! 天上天下逆心拳!」
 最後のハーピーを倒しきると、そのまま慎吾は落下する。
 下にいた響太の上に落ち、二人してハーピーの死体の中に横たわった。
「も、動けね‥‥腹、へった‥‥」
「皆‥‥俺、やった‥‥よ」
 二人はそろって意識を失う‥‥。
 
 ◇
 
「やっぱり、継ぎ目を切ったのは裏目にでたかぁ」
「冗談にしては‥‥笑えませんよ」
 久遠の呟きに明星は突っ込みをいれた。
 ケルベロスの継ぎ目を切ると、3体のヘルハウンドとなっている。
 頭部を傷つけた一体はすぐに倒せたが、今は一対一で戦わなければならなかった。
 明星は初手のダメージを引きずり上手く立ち回れていない。
(「明星さんに無理をさせるわけにはいかないね。ボクががんばらなきゃ」)
 そう自分に言い聞かし、久遠はヘルハウンドに向かって『豪破斬撃』を繰り出した。
『ギャヒィッ!』
 右前足が斬りおとされ、痛みにヘルハウンドはおののく。
「まだ、終わらないよっ!」
 そのまま一歩踏みこみ、おののいたヘルハウンドの首を『流し斬り』ではねあげた。
「これで終わり!」
『グルァァァ!』
 久遠に向かって明星が相手をしていたはずのヘルハウンドが襲い掛かる。
「きゃぁっ!?」
「お前の相手はこの僕だ!」
 叫び声を上げた久遠を救う一撃がヘルハウンド頭部に叩き込まれた。
 倒れたヘルハウンドの上には明星がディガイアを打ち込んだ姿で立っている。
「また、助けられたね」
「お礼は後で‥‥まずは上を目指そ‥‥うっ!?」
 礼を言おうとする久遠を制して明星が上を目指そうとしたが足元が揺らいだ。
 怪我と久遠を救うために使った『限界突破』の影響で明星は立つのがやっとである。
「これで、お相子だよ」
 倒れそうになる明星を久遠は肩を貸して支え微笑んだ。
 
●ドクターテリブルの塔・屋上
「ふはははははっ! 良くきたな! それでこそ私が倒すにふさわしい!」
 遮那と朝が屋上にでると白衣を翻した男が高笑いをしていた。
 男の胸の花から甘い香りが広がっている。
「冥土の土産に名前を聞いてやろう、さぁ、貴様の名前を名乗るがいい」
 えらそうにしているドクターテリブルに向かって朝は覚醒しながら進んだ。
 髪が伸び、無言が続く。
「何だ?」
 テリブルの疑問に朝はおはじきを飛ばして答えた。
 バチンと乾いた音がテリブルのおでこから響き、テリブルはのけぞる。
 フォースフィールドなど見えない。
「伏せて!」
 朝がそれを確認して、ハリセンを取り出して叩こうとすると遮那がとめた。
 気を失っているはずのテリブルがパンチを放ってくる。
 男から「生えている」花がピンと立っていることに朝が気づいた。
 視線を送り遮那に合図をする。
「おとなしくしてくださいよ。すぐに終わらせますからね」
 遮那がカプロイアM2007を構え花だけを狙った。
 肉眼だけの狙撃、はずせば生身であるテリブルの命はない。
 あんな男でも被害者だ。
 殺すわけにはいかない。
 ゴクリとつばをのみ、遮那は引き金を引いた。
 タァーンと銃声がなり、テリブルに付いていた花だけが散る。
 戦いは終わったのだ。
 
●その後の話
 テリブル氏は連絡を受けたULTの職員が連れて行き、根っこの部分も外科手術で無事取り出されたという。
 当人は事件のことを夢だと思っており、処遇に困っていることだ。
 なお、塔を作っていたキメラも主を失ったことでバラバラになり、”テリブル一夜塔”は無くなったのである。
 戦っていた能力者たちも全員無事で『全力で戦ってすっきりした』『少年漫画を読んでいる夢をみた』などと証言の食い違いが多く、謎はいまだ解明されていない。
 
 以上をもって、報告を終了する。
 
 
<代筆:橘真斗>