タイトル:傭兵戦隊 VS ニン人マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/08/28 21:38

●オープニング本文


今回のキメラは子供が嫌いな食べ物ナンバー3に入るもの!

ごろごろごろごろ転がる恐怖のニン人!

※※※

「ふははははははっ! 世の中のちびっ子共め! おびえるがいい!」

顔を懐中電灯で照らしながら叫ぶのはクイーンズ記者・土浦 真里。

ちなみに彼女は世の中のちびっ子を滅したいわけではなく、今回の『敵』になりきって叫んでいるらしい。

悪の組織が放った第三の刺客! それは巨大な人参――型のキメラである。

「‥‥何でこんな変わったキメラがいるのよ‥‥」

チホがキメラ情報を見ながらため息混じりに呟く。

「今回のキメラも事前に調べてきたの?」

チホが問いかけると「違うよー」とマリは首を横に振って答えた。

「能力者がさ、面白いキメラ見つけたからって教えてくれたんだよ」

マリは『傭兵戦隊』の企画を立てながら言葉を返してくる。

「何かもう‥‥『増刊』じゃなくなってるわよね、完全にマリの趣味に走ってるじゃない‥‥」

チホが呆れながら呟くと「当たり前でしょう!」とマリは怒ったように言葉を返す。

「自分が好きになれる企画じゃなければ人様からも好きになってもらえるはずないじゃない!」

正論、確かに正論なのだけれどマリが言うとうそ臭くなるのは何故だろう――チホは心の中で呟きながら今回の『傭兵戦隊』も上手く終わってくれる事を願うばかりだった。

●参加者一覧

藤田あやこ(ga0204
21歳・♀・ST
ナレイン・フェルド(ga0506
26歳・♂・GP
玖堂 鷹秀(ga5346
27歳・♂・ER
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
桜塚杜 菊花(ga8970
26歳・♀・EL
シュブニグラス(ga9903
28歳・♀・ER
真白(gb1648
16歳・♀・SN
嵐 一人(gb1968
18歳・♂・HD

●リプレイ本文

〜傭兵戦隊第三弾! 今回は人参と戦う能力者達〜

「今回も宜しくね♪ それにしても‥‥変なキメラ発見したのね」
 苦笑しながらナレイン・フェルド(ga0506)が土浦 真里(gz0004)に話しかけた。
「ふふ、早く撮影&キメラ退治をしてチホちゃんにメイクしてあげなくちゃ‥‥」
 シュブニグラス(ga9903)はチホと約束をしていたのか、何処か楽しげに呟く。
「あ、真里ちゃん――あまり無茶をしちゃ駄目よ?」
 シュブニグラスは『手錠』をチラつかせながら呟くと「‥‥それを使われない程度に頑張ります」と冷や汗を流しながらマリは言葉を返した。
「どうも! 真白(gb1648)です! レッドの大役を頑張りますね!」
 元気に挨拶をするのは今回『傭兵戦隊』のレッド役として参加してくれた真白だった。
「‥‥何で俺はこんな依頼を受けちまったんだ‥‥」
 台本のようなものを見ながら嵐 一人(gb1968)がふるふると小刻みに震えながら呟く。
「あらしん! 細かい事を気にしてたら駄目だって!」
 マリが嵐の背中を叩きながら叫ぶと「‥‥何で俺は『あらしん』って呼ばれてるんだ‥‥」と大きなため息と共にげんなりとした様子で呟いた。
「そういえば早くも第三弾‥‥行く行くは自主制作で映像化でしょうか? マニア受けしそうですね」
 ふふふ、と呟くのは悪の組織幹部『コマンダー・ホーク』の役で『傭兵戦隊』に出演してくれている玖堂 鷹秀(ga5346)だった。
「映像化かぁ‥‥流石に今の『クイーンズ』にそこまでの資金力はないなぁ‥‥」
 苦笑しながらマリが言葉を返す。
「人参キメラ‥‥」
 涎をダーッと流しながら呟くのは芹架・セロリ(ga8801)だった。
「そういえば、今回は鷹秀の相棒みたいな役を出すんだよね」
 マリが玖堂に問いかけると「あらあら、仲がいいのねぇ」と桜塚杜 菊花(ga8970)が茶化すように話しかけてきた。彼女が今回『コマンダー・ホーク』の相棒的存在『マスター・リー』役として登場することになっている。
「私は通りすがりの女子高生でトマトを食べて能力に目覚める――感じね」
 藤田あやこ(ga0204)が確認するように呟き『傭兵戦隊』の撮影を始める事になった。


〜見た目は人参、その者の名は『ニン人』〜

 セロリは空き地に釣竿を持って遊びに来ていた。空き地なのに何で『釣竿?』とか決して思ってはいけない。
「何して遊ぼうかな」
 空き地内を見渡すと、土管しかなくセロリは釣竿を振り回しながら何をして遊ぶか考えていた――その時だった‥‥。
 土管の中から巨大な人参が姿を現し、ごろごろと勢いよくセロリに向かって転がってくる。いきなり転がってくる巨大人参に怖がらないわけがなく、セロリは泣きながら逃げ回る振りをする。
 もちろん雑誌としての効果を出すために『瞬天速』を使用してセロリはアクロバティックに逃げ回っていた。
「うえーん! 怖いよー。そんなにベータカロチンはいらないよう〜」
 逃げ回るセロリだったが巨大人参にわざと追いつかせ「うわーんっ!」と大きな声で叫ぶ。そして巨大人参に踏まれそうになった時、傭兵戦隊『青薔薇ブルー』のナレインがセロリを抱えて『瞬天速』で派手に吹き飛ばされる演出を行った。空中で回転しながら塀ぎりぎりに着地をして「‥‥おっと、ぎりぎり過ぎちゃった」と苦笑気味に呟く。
 塀ぎりぎりまで下がったナレイン達を巨大人参が容赦なく襲い掛かったその時「竜装!」と叫ぶ声が聞こえ、塀を飛び越えて『ストームシルバー』の嵐がアーマーを装着して『竜の翼』を使用し、巨大人参とナレインとセロリの間に割って入る。
「やらせるかぁ!」
 嵐は叫び、巨大人参の体当たりを受け止める。攻撃を止められて巨大人参は怒ったのか、標的を通りすがりの女子高生(役)の藤田に決め、先ほどと同じように勢いよく転がっていく。
「ぎゃあっ!」
 藤田は驚いたように転ぶ振りをして迫ってくる巨大人参に怯える表情を見せた。そんな藤田の怯える表情を、空き地の奥にある二つ目の土管から『コマンダー・ホーク』こと玖堂が「くくくくく」と怪しげな笑みを浮かべて見ていた。
「千里の道も一歩から‥‥ローマは一日にしてならず、というワケで侵略活動も地道に行こうと思ってなぁ? まずはガキ共の野菜嫌いを悪化させてやろう」
 野菜のトラウマを植えつける事により食生活のバランスを崩させ、肉体的に不安定な大人へと成長させてやる、これがコマンダー・ホークの狙いだった。
 地道すぎて効果が現れるのが果てしなく先だと言う事は戦隊モノなので気にしない方向で行こう。
「あ! 通りすがりの女子高生が危ない! 皆! 傭兵戦隊出動よ!」
 ナレインが叫ぶと、ちょうど都合よく近くを通りかかっていた(という設定の)傭兵戦隊が次々に集まりだしてくる。
「情熱の赤! レッド参上です!」
 きらん、と効果音を引っ下げて真白がポーズと共に現れる。
「同じくブラック参上よ!」
 シュブニグラスもポーズを取って現れ「そして‥‥」とナレインと嵐が呟きポーズを取りながら決め台詞を叫ぶ。
「青薔薇ブルー! ニンジンさん、ここからがホントの戦いよ!」
「野望を蹴散らす白銀の嵐! ストームシルバー参上だ!」
 ナレインと嵐が紹介を終えて、巨大人参――もとい人参キメラの攻撃を避ける。相手が着ぐるみを着た人間ならばポーズを取っている間は攻撃してこないのだろうが、今回も相手は本物のキメラ。特撮の常識など彼らが知る由はないのだ。
「これを食べて」
 セロリが先ほどとは違った真面目な表情で藤田に『プチトマト』を差し出す。それを見た藤田は「え〜‥‥トマト嫌い〜」と食べるのを渋る言葉を返してくる。
「いいから食べるの!」
 ぐいぐいと藤田にプチトマトを押し付けながらセロリはやや不機嫌な口調になっていく。
 まだ誰も気がついていないのだが、セロリの正体は『野菜の精』なのだ! 重要な事なのでもう一度説明しておこう。
 野菜の精なのだ! ‥‥つまり野菜の姿をした敵が許せずに野菜の世界から此方へとやってきた(という設定)。
「仕方ないわね‥‥」
 食べるまでは自分から諦めてくれなさそうと判断した藤田は嫌々ながらもプチトマトを口の中に入れて土管の中で「完熟!」と叫ぶ。
 プチトマトを食べる事により藤田はビタミンの力を借りて『傭兵戦隊』ではないけれど新たな仲間としての能力に開花したのだ。
「真っ赤な太陽の恵みを受け、ただいま参上!」
 ジャージに赤ブルマという格好に『スナイパーライフルD−713』を持ってポーズと共に土管の中から現れる。
 最初に行動を起こしたのはナレインで『瞬天速』で人参キメラとの間合いを詰めて『瞬即撃』で攻撃を行う。ナレインが『瞬即撃』で攻撃を行う前に藤田が『練成強化』でナレインの武器を強化しておく事も忘れない。
「クッ! 意外と重いじゃないの〜、中身が詰まってるのねぇ」
 ナレインが『瞬即撃』で人参キメラを蹴り上げ、空中に浮かせながら表情を歪めて呟く。ナレインの攻撃が終わった時、シュブニグラスも攻撃に参加しようと体を動かしたのだが‥‥「なんてことなの!」と大きな声でシュブニグラスが驚いたように叫ぶ。
「ナレインちゃん家にハンマーを置き忘れてきたわ!」
 シュブニグラスが人参キメラの前に出たまでは良かったが、攻撃する武器がない事に焦り、人参キメラが勢いよく転がってくる。もう少しでシュブニグラスが踏み潰されてしまうという時に「受けてみよ! 怒涛の赤!」と藤田が叫び『スナイパーライフルD−713』で人参キメラに攻撃を行った。
「助かったわ‥‥トマト! ‥‥でいいの? 本当に? 雑誌に載るわよ?」
 シュブニグラスは後半の言葉を小さな声で呟き、藤田に問いかけるが「オーケーオーケー」という言葉が返ってきた。
 そして他の傭兵戦隊も攻撃を開始しようと動き出した時、シュブニグラスが『練成強化』で傭兵戦隊の武器を強化して、藤田が『練成弱体』で人参キメラの防御力を低下させる。
「チェリーブレード!」
 セロリが長刀『乱れ桜』を抜いて人参キメラに向かって走り出す。
「茄子の流線のように受け流し、南瓜の外皮のように硬い一撃を叩き込む! ちょいさぁーっ!」
 セロリは叫び、派手に攻撃を行うが実際は派手なだけでトドメには至らず、他の傭兵戦隊が攻撃を行うまでの時間稼ぎとして動いていた。
「必殺☆みじん切りーっ!」
 真白が『イアリス』を振り上げて人参キメラに攻撃を行い、続いて嵐が『アーミーナイフ』で人参キメラに攻撃を仕掛ける。
「今だよ! シルバー!」
 真白が叫び、それと同時に土管に隠れていた玖堂が『練成超強化』を嵐に使用して、嵐は武器を『アーミーナイフ』から『試作型機械剣』に持ち変えて「レーザーブレード!」と叫び、人参キメラに攻撃を行い、トドメを刺す為に大上段からの振り下ろし攻撃「ドラグーン・ダイナミック!」と叫んで人参キメラを一刀両断して、見事に人参キメラを撃破したのだった‥‥。
「まさかニン人までもが倒されるとは‥‥奴らの力量を見誤っていたか‥‥」
 土管の中から姿を現したコマンダー・ホークだったが、突然スモークが出現してコマンダー・ホークの登場シーンは見事に邪魔されるハメになった。
「こんな敵に何を梃子摺っているのです? コマンダー・ホーク!」
 スモークの中から現れたのは長い鞭を手に持ち、セクシーな衣装を身に纏った妖艶な女性、マスター・リーだった。
「さぁ、ニン人よ! 行け! ‥‥倒されてるじゃない!」
 鞭で地面を打ち「こうなったら私がお相手するわ」とマスター・リーは傭兵戦隊に向かって攻撃を行う。
 もちろん、これは振りなので攻撃をまともに当てる事はお互いにしない。マスター・リーはナレインや嵐、真白との殺陣を繰り返し、それが十数分続いた頃にコマンダー・ホークの所へと下がる。
「なかなかやるわね、次はこうは行かないぞ! 覚えてろ!」
 悪役が言うナンバー1の台詞を残して登場と同じくスモークの中にフェードアウトしていく。
「やれやれ、折角地道に考えた侵略作戦があなた達のおかげで台無しですよ、次はこうは行きません、覚悟しておくのですね」
 コマンダー・ホークはこれまた悪役が言うナンバー2の台詞を残してマスター・リーと共にスモークの中へと消えていったのだった‥‥。
「悪の野菜は倒された‥‥ボクも野菜の世界に帰ります」
 セロリは傭兵戦隊にお礼を言って、自分の世界へ帰っていった。傭兵戦隊は空を見上げ、セロリを見送ったのだった‥‥。


「撮影終了! 皆お疲れ様―っ!」
 マリが叫び、撮影終了が告げられる。
「あらしん、乗り気じゃなかったワリにはノリノリだったよ〜? ストームシルバーって叫ぶところとか」
 マリが肘で嵐を突きながら話しかけると「ま、まあ‥‥たまにはこんなのも良いかも、な」とクールに言葉を返す。
「ねぇねぇ、今回の雑誌に野菜料理の関連記事とかどうかな?」
 藤田が手を挙げて提案してくると「それいいね、最後に載せちゃおう」とマリも名案とばかりに手を叩いて言葉を返した。
「菊姉もお疲れ様でした、援護射撃とか大変だったでしょう」
 玖堂が桜塚杜に話しかける。彼女は自分の出番がない時は『スコーピオン』で援護射撃を行い、傭兵戦隊が戦いやすいようにしていたのだ。
「大丈夫よ、そっちこそ土管の中で待機だったせいか服が汚れてるわよ」
 所々が泥まみれになっている玖堂の姿を見て、桜塚杜は苦笑気味に呟いた。
「ねぇ、真里ちゃん。何の料理を載せるの? どうせなら今回の敵と同じで人参料理とかどうかしら?」
 シュブニグラスが話しかけると「それいいね! 人参キメラは再利用されましたって感じで!」とマリは楽しげに叫ぶ。
「撮影に協力してくれた皆様、本当にありがとーでした!」
 マリがぺこりと頭を下げてお礼を言って「雑誌が出来たら宅配しますんで、お楽しみに!」と言葉を付け足す。
 その後、能力者達は人参キメラを倒した事を報告する為に本部に向かう者とマリの手伝いをする為にクイーンズ編集室に向かう者と様々だった。


〜編集作業〜

「今日は最後までお手伝いさせていただきますよ。写真の加工などデジタル関係はお任せ下さい」
 玖堂がクイーンズ編集室で編集作業に取り掛かろうとしているマリに話しかける。
「んー、じゃあこの写真の背景をコッチとくっつけてもらえる?」
 マリは写真を差し出して、加工などを玖堂に任せて自分は文章作成に取り掛かる。
「はぁい♪ 頑張ってる? 柿ピーチョコとリンゴジュースを差し入れに持ってきたわ」
 ナレインが柿ピーチョコと『リンゴジュース』を二本差し出しながらマリに話しかけてくる。
「お姉様、ありがと〜!」
 マリは渡された柿ピーチョコを食べながら少し休憩をする事にした。
「やっぱり疲れた時には甘いもの♪ ってことではい、どうぞ〜」
 ナレインが袋いっぱいの柿ピーチョコを差し出しながら笑顔で呟く。
「もう少しだから頑張らなくちゃ!」
 マリが伸びをしながら呟くと、玖堂がマリの部屋に入ってくる。
「私はこれで失礼しますが、あまり根を詰めすぎないでくださいね? では、お疲れ様でした」
 玖堂はマリの手の甲にキスをして部屋を出て行こうとする。
「こういうの恥ずかしいって言ってるのにぃぃぃぃっ!」
 マリが真っ赤な顔で叫ぶが、玖堂は苦笑して「そうそう、夜食を作っておきましたから食べてくださいね」と言葉を残して編集室を後にしたのだった。


 良い子の皆さん! ちびっ子アイドルのマリちゃんです! 嘘です。
 今回のキメラは何と驚きの『人参』キメラでした!
 これを読んでいるちびっ子の中にも嫌いな人はいるんじゃないかな?
 あんまり好き嫌いしてると人参キメラが襲ってきちゃうよ?
 ‥‥というのは嘘だけど、今はどんなキメラが現れるか分からないから気をつけようね!
 それでは、次回の傭兵戦隊もお楽しみに!

 編集・監修 土浦 真里

協力者
 ※藤田あやこ
 ※ナレイン・フェルド
 ※玖堂 鷹秀
 ※芹架・セロリ
 ※桜塚杜 菊花
 ※シュブニグラス
 ※真白
 ※嵐 一人


END