タイトル:見習い記者と道具マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/10/21 01:53

●オープニング本文


そういえば‥‥ボクっていまいち能力者の武器とか使っている道具とか知らない‥‥。

知る事も記者仕事のうち、なのかな?

※※※

「あの‥‥能力者の人の武器とか道具とか詳しいですか‥‥?」

キッカケはクイーンズ新人記者・室生 舞の小さな呟きからだった。

「武器とか道具?」

土浦 真里が首を傾げながら聞き返すと「はい、照明銃とか他にも色々‥‥」と舞は自分のメモを見ながら呟く。

「知ってるわよ。だけどね、そういうのは自分で調べてこそ意味があるのよ」

マリが威張るようなポーズで舞に言葉を返すと、後ろを通りかかったチホに「自分も知らないくせに」とぼそりと呟く。

「‥‥し、知らないわけないでしょ! これでも色んな能力者と仲良くなって能力者のことがそれなりに分かってきているんだから!」

そうだ、仕事があったんだった――マリは逃げるように「取材頑張るのよー」と舞に言葉を残して自室へと篭ってしまう。

「‥‥能力者の使う道具、かぁ‥‥取材させてもらえるのかなぁ」

舞はメモを閉じながら呟き、取材させてくれそうな能力者を探し始めたのだった。

●参加者一覧

神無月 紫翠(ga0243
25歳・♂・SN
小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
キャル・キャニオン(ga4952
23歳・♀・BM
ハルトマン(ga6603
14歳・♀・JG
シュブニグラス(ga9903
28歳・♀・ER
朔月(gb1440
13歳・♀・BM
山崎・恵太郎(gb1902
20歳・♂・HD
芝樋ノ爪 水夏(gb2060
21歳・♀・HD

●リプレイ本文

〜能力者達の道具取材〜

 今回はクイーンズ見習い記者の室生 舞(gz0140)が、能力者達が戦闘時などに使用する道具について知りたいと言った事から始まった取材だった。
「お久しぶりです‥‥お元気みたいですね?」
 神無月 紫翠(ga0243)が穏やかな笑みを浮かべながら舞に挨拶をする。
「舞さん、今回もまた宜しくね」
 神無月の隣では小鳥遊神楽(ga3319)が軽く手を挙げながら舞に話しかけた。
「は、はい。此方こそ宜しくお願いしますっ」
 舞は二人に挨拶を行うと「あの‥‥」とキャル・キャニオン(ga4952)が舞に話しかけてきた。
「これは編集長さんにお土産です。頂き物で恐縮ですが、私お酒が苦手ですの」
 キャルが差し出したのは『リネーア手作りチョコレート』だった。
「あ、ありがとうございます。マリさんに渡――「これ、くれるの!? ありがとう!」―す前に本人が来ました」
 舞がキャルからチョコを受け取ろうとしたのだが、偶然通りかかったマリが受け取って颯爽と自分の部屋へと篭っていった。
「後でクイーンズ記者の皆さんとお茶をするんですよね? 焼き芋や甘栗を持ってきました」
 ハルトマン(ga6603)が焼き芋や甘栗を入れた袋を見せながら舞に話しかけると「甘栗‥‥ボクも大好きです」と言葉を返した。
「こんにちは。ちょっと台所を借りてもいいかしら? あ、もちろん取材の番になったらちゃんとするから」
 シュブニグラス(ga9903)が舞に台所を貸してくれるように申し出ると「あ、チホさんがOKって言ってましたから大丈夫ですよ」と舞は言葉を返す。ちなみにシュブニグラスはクイーンズ記者のチホと相談して、舞を元気付ける為にご飯を作ってあげようという事を密かに計画していたのだ。
「それじゃ、取材の時間を見計らってくるからね」
 シュブニグラスはそのまま持ってきた買い物袋を持って台所へと向かっていく。
「俺も事前に連絡した通り、取材の番が来るまではおでんを作ったりするから台所を借りるな」
 朔月(gb1440)も持ってきた買い物袋を見せながら舞に話しかけ、そのまま台所へと向かっていく。
「えっと‥‥あ、あの‥‥」
 舞が山崎・恵太郎(gb1902)に話しかけるが、彼は「駆け出しのドラグーンなのに取材してもらえるなんて光栄だな」としみじみ自分の世界に入りながら呟いている。
「きっと一線で活躍する能力者になったら、映画に出たりテレビ番組でトークしたり、ラジオ番組で私生活の事を紹介したりするようになるんだろうな」
 今のうちにマスメディアに慣れておかないと! と拳を強く握り締めながら呟く。ちなみにこれは全て彼の想像だ。
「あーぅー‥‥と、とりあえず後から挨拶しよう‥‥次は」
 舞が名簿を見ながら呟き、前を見ると芝樋ノ爪 水夏(gb2060)が「こんにちは」とにっこりと笑って挨拶をしてきた。
「こ、こんにちは。今回は宜しくお願いします」
 ぺこりと丁寧に頭を下げ、能力者達が全員集まった所で舞は早速取材を開始したのだった。


〜能力者達の武器や道具について〜

「あまり楽しい話じゃないかも‥‥しれませんよ?」
 神無月は呟きながら、彼が愛用している武器・長弓『黒蝶』を舞に見せる。
「えぇと‥‥どんな時に使っているのですか? それと何故、この武器を使用しているのかお聞かせ願えますか?」
 舞が問いかけると「弓は大人数と通常時に、よく使用です」と神無月が言葉を返す。
「一本ずつで、集中出来て矢が風のように飛んでいくのが、好きなんですよ」
「銃とかは使わないんですか?」
 舞が問いかけると「速攻と一撃必殺、大人数の時に使用します」と彼は苦笑交じりに言葉を返す。
「撃つと音が出るのは、苦手だし、複雑な高性能になると、壊れた時に修理が大変なため、あまり銃は使用しないんです‥‥」
 神無月の言葉に、能力者によって武器や道具なども使用する理由があるのだという事を知ったのだった。
 だから彼は銃を使っても、何処にでもある大量生産物を使うのだと言葉を付け足す。もし戦闘で銃が壊れても大量生産物なら、すぐに修理が可能だから――という理由らしい。

「人によっては武器に拘りを以て一種類、一個の武器を使い続ける人もいるけれど、あたしの場合、武器そのものに拘りはないかな」
 依頼ごとに使う銃はそれに適したモノを使うようにしているし、と小鳥遊が言葉を付け足しながら呟く。彼女は今回、取材の為に三種類の武器を持ってきてくれた。
「例えば、このライフル。これは射程が長くて狙撃用に向いた銃ね」
 小鳥遊はスナイパーライフルを見せながら舞に説明をする。スナイパーライフルは敵に近づかれると使い勝手が悪くなるものの、後方からの支援攻撃用や狙撃用と割り切ってしまえばその攻撃力は魅力的なのだとか。
「これは‥‥?」
 舞がドローム製SMGを指差しながら問いかけると「これは短期間に多数の弾丸をばら撒く事の出来る銃なのよ」と小鳥遊はドローム製SMGに持ち替えて舞に見せる。
「ただし、反動もあるから命中では他の銃に遅れを取るだろうし、装甲の厚いキメラなんかだと分が悪いという欠点があるわ」
 舞は小鳥遊の説明をメモに書き写しながら、一生懸命説明を聞いている。
「えと‥‥これは? 小さいし‥‥こっちの武器に比べたら威力が強そうには見えないんですけど‥‥」
 舞が小銃・フリージアを見ながら呟くと「確かにね。これは射程も短いし、威力も大型の銃には劣るわ」と小鳥遊は言葉を返す。彼女の説明を聞いて『じゃあ何で持つんだろう』と小さな疑問が舞の中に沸き立つ。それに気がついたのか「でもね」と小鳥遊は言葉を付け足す。
「これだけ小さければ、隠し持つ事が出来る。一般の人が多い所では物々しい武器はあまり歓迎されないから、こういった小型の武器も必要になるというわけね」
 能力者が持つ銃は威力や射程だけを意識しただけでは駄目なのだという事を舞は初めて知った。強い武器があるのならば、誰でも強い武器を持つのだろうと考えていた舞は小鳥遊の言葉を聞いて少しだけ驚いたのだった。

「こんなん出ましたのよ」
 三人目の取材者、キャルは巨大ハリセンを取り出す。ハリセンの姿を見た途端に舞の瞳がキラッと輝く。
 そしてキャルは巨大ハリセンの正しい使い方を教えると言って『秘芸バナナの啖呵売り』を披露し始めた。
「バナナバナナと草木も靡く。バナナの旨いか色良いか、ちょいとそこいくグラップラーのお姉さン」
 くわっと唇を尖らせ、大仰に呼び止める仕草を見せる。
「この色艶、皮もよく滑るよ。食べればお肌もすべすべ、瞬天速も軽やかに。どうだい、一本いっとく?」
 呆気に取られる舞の視線を感じたのか「これも正しい使用例ですのよ」とキャルは笑顔で呟く。
「ネタ依頼と申しまして傭兵は芸能のお仕事もします。その為の道具ですわね」
 芸に陶酔しながらキャルは呟き、巨大ハリセンを床に置いてスパークマシンを取り出した。
「今度は真面目な武器です。いかなSESでも剣や銃など物理兵器が無効な敵もいます。Fフィールドが硬い反面、知覚攻撃に弱い敵もいます」
 そしてキャルは言葉を続ける。超機械といえばサイエンティストだと思われがちだが、そうでもないという事を舞に教えた。取材が終わった後、彼女は再びバナナの舞をクイーンズ記者達に披露し始めたのだった。

 続いての取材者はハルトマンで、彼女が説明する武器は洋弓『リセル』とM−121ガトリング砲の二つらしい。
「こっちは重量が軽くて取り回しがよくて、長時間使用しても疲れにくいし、銃と違って弓の特徴として音が出ないから、自分の位置が敵に知られにくいのがいいと思うのです」
 ハルトマンは洋弓『リセル』を見せながら呟く。彼女は過去に矢の先に催涙弾系の弾頭をつけて相手の行動を奪ったりするのに使った事があるのだという。
「でも、こっちは音が凄いんじゃないですか?」
 舞がM−121ガトリング砲を指差しながら問いかけると「そうですね」とハルトマンは首を縦に振りながら言葉を返してくる。
「ガトリング砲の最大の利点はその発射速度なのです。高速で嵐のように弾丸を撃ち出す事により、敵に反撃の隙を与えずに瞬時に制圧する事が出来るのです」
 ハルトマンの説明を聞いて、彼女がガトリング砲を使うのは敵をすぐに制圧したい時なのだと舞は理解する。
「でもこれはとにかく重くて覚醒状態でしか使えない事がネックだと思うのです。それに大量の弾をばら撒く為、命中率は低く数撃てば当たるって感じなのです」
 つまり、これは接近して撃つと敵に大きなダメージを与えられるという事なのだろう。

 そして、舞は台所からシュブニグラスを呼び、彼女の取材を始める。彼女から取材する道具は扇子、メイクセット、手錠、懐中時計、100トンハンマーの五つだった。
「扇子とメイクセット、それに懐中時計は一般人と変わらないお洒落として所持しているのよ――もちろん危ない依頼の時にはそれ相応の装備にするけれどね」
 シュブニグラスの言葉をメモして「これもお洒落ですか?」と手錠を持って問いかける。するとシュブニグラスはため息を吐いて「これは真里ちゃんのおかげで持つ事になったのよ」と言葉を返した。
「‥‥‥‥?」
 意味の分からない舞はマリが何か捕まる事でもしたのだろうかと少しだけ勘違い街道爆進中である。
「‥‥これ、100トンって書いてありますけど‥‥本当に100トンなんですか?」
 舞の言葉にシュブニグラスは肩に手を置いて、自嘲気味に呟く。
「室生さんにはまだ分からないかもしれない‥‥そう、人は浪漫を持つべきだと思うの」
 彼女の答えに『ごめんなさい、本当に分からないです』と舞は心の中で小さく謝るのだった。

 そしておでんを作っていた朔月を呼び、舞は彼女の取材を始める。朔月の取材道具はエマージェンシーキットや救急道具、浄水器、レーションと呼ばれるものなどだった。
「これは軽度の怪我や病気に対応可能な医療道具や薬剤が入ったものだ」
 朔月は中を見せながら説明を行っていく。エマージェンシーキットと救急セットには名前の通り災害時に対応可能な道具や長期保存の可能な飲食物が入っているのだと中身を出しながら一つ一つ丁寧に説明をしていく。
「あと、俺は人工呼吸用のマウスシート、医療用の針金、塩分タブレットとかも持ち歩いているけどな」
 続いて朔月は浄水器の説明を行う。水道がなく衛生状態の悪い環境に行った際に泥水や汚水を綺麗な水へ濾過するものなのだとか。実際に彼女は絵の具で色をつけた水を使って綺麗な水に戻すという実践も行ってくれた。
「後はコレ、軍事糧食。屋外の任務で食べる携帯非常食だな。後で冷たいものと暖かいものと食べさせてやるよ」
 数種類のレーションを取り出し、取材が終わった後に舞に食べさせてやると言葉を残し、朔月はおでん作りへと戻っていった。

「俺が説明するのはコレ!」
 山崎は元気よく叫びながら蛇剋を見せる。彼は短剣を主として戦っているらしい。
「バグア軍との戦い中はなりふり構っていられないけど、それでも能力者だって一般人の目を意識する事が大事だと思うんだ」
 山崎の言葉に「何でですか?」と舞は首を傾げながら問いかける。
「常日頃から無骨な格好したり、剣とか槍とか構えていたら一般人の皆さんに人種の違いみたいな距離感を与えてしまいそうでしょ?」
 人によっては武器を持っている能力者達に威圧感を感じる人だっているかもしれない、と山崎は言葉を付け足す。
 確かにその意見には舞も分かる部分があった。助けてくれる能力者だと分かっていても武器を持っていて怖いと感じた事があるから。
「だから俺は一般人の人たちにも安心して接してもらえるよう身なりに気を遣っているし、怖がらせないように武器は隠しやすい短剣を使うように心がけているんだ」
 接しやすい能力者、それが次世代の軍人ってものだよ! 山崎は笑顔で呟く。
「クールでスマートに敵を倒して平和を守れるヒーローみたいな? そんなイメージが必要なんだよね、これからの時代はさ」
 全ての能力者が山崎のような人だったら、きっと能力者を恐れる者などいなくなるのだろう、舞は少しだけ微笑みながら「そうですね」と言葉を返したのだった。

「私が特に変わった物は持っていないのですが‥‥」
 苦笑しながら芝樋ノ爪は自身が愛用している武器・刀を舞に見せた。彼女の武器はショップに売ってあるものを強化したものなのだとか。
「本当はもっと良い物が欲しいのですが、お金が無いので当分は無理ですね。これはSESを搭載していて、バグアが使うFフィールドを破れるそうです」
 どういう原理かは分からないので聞かないでくださいね、芝樋ノ爪は言葉を付け足して呟く。
「‥‥その着ている服は制服ですか?」
 舞は芝樋ノ爪が着ている服を指差しながら問いかけると「カンパネラ学園の制服ですよ」と芝樋ノ爪は言葉を返す。彼女は学生なので、普段から制服を着用しているのだとか。しかもきちんとした防具であり、アーマーほどではないにしろ多少の防御力があるのだと芝樋ノ爪は説明をしてきた。
「あとは、外に止めてあるAU−KVくらいでしょうか。普段はバイクとして使えて、覚醒時にはパワードスーツになるんですよ」
 彼女たち『ドラグーン』は、AU−KVを使う事で自らの力を補っているのだと芝樋ノ爪は補足として説明をした。
「芝樋ノ爪さんもピコハン持っているんですね‥‥おそろいです」
 舞は自分のピコハンを見せながら少し嬉しそうに呟き、能力者達の取材を終えたのだった。


〜お茶会&ご飯〜

「さぁ、体力つけて頑張ってね」
 シュブニグラスは舞の前に鉄板を置き、目の前で野菜や肉を焼いて『焼肉定食』を作ってあげた。
「美味しそう‥‥ありがとうございます」
 舞はお礼をいい、焼きあがるのを楽しみに待つ。
 そのほかの能力者達も持ち寄ったお菓子、そして朔月が作ったおでんなどをテーブルの上に並べる。
「さぁ〜て、おでん大会を始めるぜ!」
 朔月の言葉を合図に、能力者たちはお菓子やおでんを食べ始め、クイーンズ記者達と交流を行うもの、今回の取材の事について話すものなど、様々だったが舞は無事に取材を終えられた事に胸を撫で下ろしたのだった‥‥。


END