タイトル:週刊記者が巻き込まれるマスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/01/18 22:17

●オープニング本文


何で新年早々から、こんな目に遭わないといけないわけ?

大体、働かざるもの食うべからずだっつーのっ!

※※※

「それじゃ行ってくるね〜」

クイーンズ記者・土浦 真里が同じ記者仲間の翔太と一緒に編集室から出て行く。

今日はラストホープから出て、銀行にお金を下ろしに行く所だ。

流石にそれなりに大きな金額を下ろすので、唯一の男性記者である翔太が同行する事になったのだ。

「‥‥でもアンタが来ても役に立つとは思えないけどねぇ〜」

マリが可笑しそうに笑いながら翔太に話しかけると「うわっ、ひでえ」と翔太は大げさに泣く真似をしてみせる。

「そんな憎まれ口ばかり叩いてると、いざって言う時に守ってやらねぇッスよ?」

翔太が呟くと「私はアンタに守ってもらうほど弱くないもーん」と言葉を返し、黒い大きなバッグを抱えて少し先を歩く。

※※

目的の銀行に到着すると、人はそれなりにいるものの年末年始のように人が所狭しといる――と言う事もなく、待ち時間もいつもと同じ程度で済んだ。

「土浦様」

銀行員がマリを呼び「ちょっと行って来るね」と翔太にバッグを渡して窓口へと歩み寄る。

その時だった。

「動くなっ!」

銃などで武装した若い男達が六名ほど銀行内に押し入ってきたのだ。

強盗犯達は出入り口を塞ぎ、リーダーらしき男が支店長の所へと向かってバッグを放り投げる。

「ありったけの金を詰め込め、妙な真似をしなけりゃ殺しゃしねぇ」

顎で合図をしながら男が呟くと、支店長は女性社員に指示を出して金を詰め込み始める。

(「とりあえず、このまま行けば殺されることはなさそうだな」)

翔太が心の中で安堵のため息を漏らした時、小さな女の子の鳴き声が銀行中に響き渡る。

「うるせえな! 黙れよ!」

リーダーらしき男とは別の男が女の子に銃を向けながら大きな声で叫ぶ。

しかし、女の子は泣き止む所か恐怖で余計に大きな声で泣き始めた。

「やめなさいよっ!」

マリは少し震えながら持っていた携帯電話を男に向かって投げつける。

「あ?」

「子供なんだから怖いのは当たり前でしょ、それにそんなモン向けられたら子供じゃなくても泣き喚くわよ!」

マリは強がっているように見えたが、声が上ずっており、手足もがくがくと震えている。

「うぜぇ、お前――俺が一番嫌いなタイプの人間だわ」

男は銃の安全装置を外し、マリに銃口を向ける。

「――――マリさんっ!」

翔太が慌てて立ち上がり、マリに銃口を向けていた男は翔太へと銃口を向け――。

「――――え」

銃声が銀行内に響き渡り、翔太が前のめりになって倒れる。

「翔太!」

慌ててマリが駆け寄ると、翔太の腹部からどくどくと血があふれ出してくる。

「おい、この女と男以外の奴は出ていきな」

リーダーらしき男が銀行内にいる人間に向けて呟くと、一気に銀行の外へと出て行く。

「何で逃がしたんすか?」

一人の男が問いかけると「大勢の人質がいるのも厄介だからな」とリーダーらしき男はマリに視線を向けながら呟く。

「ちょ‥‥ちょっと待ってよ! 私は残るから翔太は出してあげてよ! このままじゃ死んじゃう!」

マリがリーダーらしき男に向かって叫ぶと「そうさ、お前のせいさ」と笑いながら言葉を返してきた。

「お前が余計な事言わなきゃ俺等はさっさと逃げてたのによ、そいつが撃たれたのもお前が妙な事するからだろ」

お前のせいだ、その言葉がマリの心に深く突き刺さる。

目の前で死に掛ける翔太を見て、マリはがたがたと手が震える。

「‥‥だから、普段から――言ってるっしょ‥‥無茶も程ほどにしないと――て」

●参加者一覧

神無月 紫翠(ga0243
25歳・♂・SN
鷹代 由稀(ga1601
27歳・♀・JG
レィアンス(ga2662
17歳・♂・FT
小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
玖堂 鷹秀(ga5346
27歳・♂・ER
芝樋ノ爪 水夏(gb2060
21歳・♀・HD
風雪 時雨(gb3678
20歳・♂・HD

●リプレイ本文

―― 銀等強盗と残された人質 ――

 今回は銀行強盗が現れたと言う事で能力者達に任務要請が来たのだった。
 するとちょうど中からぞろぞろと一般人らしき人物達が外へと出てきている所だった。
「人質は‥‥解放されたのでしょうか‥‥?」
 神無月 紫翠(ga0243)が現れた一般人達を見ながら小さく呟くと「ちょっと聞いてくる」と鷹代 由稀(ga1601)が一般人の一人の所へと小走りで駆けていく。
「人質が全員解放されていれば問題ないんだけどな」
 レィアンス(ga2662)がため息混じりに呟き、一般人と話す鷹代を見ていたが、話を聞いている鷹代の表情が段々と険しくなっていく様を見て(「厄介な事があったのか‥‥?」)と首を傾げながら心の中で呟いた。
「大変よ、まだ中に二人残っているんだって。しかも一人は銃で撃たれてるって」
 鷹代の言葉に玖堂 鷹秀(ga5346)は額に手を置いて大きなため息を漏らす。
「全く‥‥どうして銀行強盗などと言う成功率の低い犯罪をするのでしょうか? 理解に苦しみますねぇ‥‥」
 玖堂が呟くと「そうね、しかも怪我人まで出しているみたいだし‥‥」と小鳥遊神楽(ga3319)も彼と同じようにため息を吐きながら言葉を返す。
「それにしても‥‥世の中には騒ぎに巻き込まれる人って居るものね、まるでマリさんみたい」
 小鳥遊の言葉に「‥‥あのね、実は‥‥」と鷹代が言いにくそうに言葉を紡ぎ始める。
「どうかしたんですか?」
 エレナ・クルック(ga4247)が首を傾げながら聞き返すと「解放された人の話では、撃たれた人の名前が翔太で、もう一人の女ってのが――真里ちゃんみたい」と言葉を返した。
 その言葉に今回の騒ぎを収める為にやってきた能力者、全てが目を丸くする。
 クイーンズ記者・土浦 真里(gz0004)が人質になっているなど誰もが思いもしなかった事態に驚きを隠せないようだ。
「新年早々‥‥大変ですねぇ‥‥今回は時間との勝負ですね」
 神無月がポツリと呟く、怪我人が出ている――しかも銃で撃たれているのならば一刻を争う事態になっているかもしれない。
「傷でしたら私が治療できます。お二人とも‥‥絶対にお助けしますっ」
 エレナが呟くと「そうだね」と鷹代が言葉を返す。
「さて、と‥‥馬鹿な真似をしでかしてくれた犯人には、相応の報いってやつを受けてもらうとしましょうか」
 鷹代が指をポキと鳴らしながら呟くと「殺しは困るよ」と銀行を取り囲む警官の一人が話しかけてきた。
「分かっています。拘束、ですよね。個人的には、死んでも構わないと思っていますが」
 芝樋ノ爪 水夏(gb2060)は冷たく、そして素っ気無く言葉を返す。普段の穏やかな彼女とは態度が違う。それを見ていると今の彼女の心にどれだけ怒りが渦巻いているのかが見て取れた。
「すみません、救急車を一台待機させていてください。勿論サイレンは無しで」
 エレナが近くの警官に救急車を要請する。
「それと銀行の中の見取り図、あと出来れば防犯カメラの映像が見れないでしょうか?」
 再びエレナが問いかけると「見取り図はあるんだけど、映像までは‥‥」と警官が口ごもりながら見取り図を渡してくる。
「見取り図があるだけでもマシかもしれないわね。でもまさかマリさんが人質とは思ってなかったわ」
 よくよく悪運に憑かれているのかしら、小鳥遊は言葉を付け足しながら呟き見取り図を見始めた。
「それじゃ、私が交渉人として犯人達とやり取りをしましょう」
 まだ交渉人は犯人達の所に向かっていないですよね? 玖堂は警官に問いかけると「あぁ‥‥能力者が解決にくると聞いていたから」と言葉を返してきた。
「それでは、そろそろ実行に移しましょう。自分はAU−KVを装着するので、駆動音が聞こえないように少し離れておきますね」
 風雪 時雨(gb3678)が呟き、能力者達はマリ、そして翔太を救出すべく行動を開始し始めたのだった。


―― それぞれの役割 ――

 撃たれた翔太、そして犯人達が暴挙を起こしてマリや翔太を殺さないという保障もないので能力者達は迅速に行動を開始し始める。
 交渉人の役割は玖堂が受け、エレナと小鳥遊の二人は犯人達に気取られないように裏口へと向かい始める。
「‥‥楽に捕まえて貰えるなんて思わない方が良いわ。誰を敵に回したか、精々後悔するのね」
 移動する際に小鳥遊が唇をかみ締めた後に冷たく呟く。その姿を見て「‥‥これ以上、誰も傷つけさせません」とエレナも独り言のように呟き、裏口へと急いで向かったのだった。
「とりあえず、玖堂君の交渉次第よね。いつ突入するかは」
 鷹代が交渉役として銀行内の犯人達とやり取りをする姿を見て呟く。鷹代、神無月、レィアンス、芝樋ノ爪、風雪、そして現在交渉役をしている玖堂が正面待機班だ。
「人を危ない目に遭わせているのですから、多少手荒な真似は許されるでしょう。骨くらい折れても構わないと思いますよ」
 芝樋ノ爪が小さく呟く。
「あ、交渉が始まったみたいですね」
 風雪が指差しながら呟き、正面待機班は一斉に玖堂と犯人を見る。

「初めまして、私はクジョウと申します。この度は貴方がたとの交渉を仰せつかりました。宜しくお願いします」
 玖堂は普段の白衣を脱ぎ、スーツへと着替えて犯人たちの前に立つ。出てきた犯人は三人、一人が交渉役と話をして、もう二人はおかしな真似をした時の為の護衛だろう。
「怪我人が居ると話を聞いたのですが怪我人の解放は出来ませんか?」
 玖堂が問いかけると「それは出来ねぇな」と即答で言葉を返してきた。
「そうですか‥‥あと何故このような事を起こしたのですか? 何か特別な動機でもあるのでしょうか?」
「別に。金が欲しかったから手っ取り早く金が沢山ある所から頂こうと思っただけさ」
(「なるほど、この話が本当ならタダの馬鹿ですね」)
 玖堂は心の中で呟き、交渉の話へと話題を変えたのだが、犯人達を刺激しないようにやんわりとした口調でそれを拒否していく。
 玖堂が交渉を続けていく間、裏口の小鳥遊とエレナは銀行内が見える場所まで接近していき、小鳥遊が『隠密潜行』を使用して銀行内へと侵入していく。
「大丈夫よ、入ってきて」
 犯人達の姿がない事を確認して、裏口の所で隠れているエレナに指示を出して、彼女も銀行内に潜入していく。
 すると「翔太、大丈夫? ねぇってば!」と小鳥遊は聞き慣れた声を耳にする。
「うるせぇな! どうせもうすぐで死ぬんだから大人しくしてやがれ」
 マリの声が聞こえ、様子を見ようとした矢先に見知らぬ男、しかも物騒な事を言っている男の声が聞こえて、二人は壁際からそぉっと様子を窺う。
「‥‥マリさん、そして翔太君だわ」
 小鳥遊が小さく呟くとエレナも犯人達に気づかれないように覗きこむ、壁際に横にされた男性、腹部を撃たれたのか白いセーターが腹部だけ真っ赤になっている。
「さて、動かない事には状況は変わらないわね」
 小鳥遊は『閃光手榴弾』のピンを抜き、秒数を数える。そして一秒前になると同時に『閃光手榴弾』を投げて「マリさん! 翔太君! 目を閉じて!」と大きな声で叫ぶ。
 閃光手榴弾が爆発する前にエレナが翔太の元へと走り出して「いまですっ! 練成治療!」と翔太の腹部を治療していく。
「何だ、お前ら!」
 犯人の一人が銃口をエレナへと向けるが、それと同時に『閃光手榴弾』が爆発して犯人の視界が奪われる。
 閃光手榴弾の爆発を合図に正面待機班も行動を開始する。突然、中からの爆発に表へと出ていた三人が「何だ!」と後ろを向く。
「‥‥色々考えたが、どうせ俺には移動方法なんてないんだ――だったら、正面から斬り崩す」
 レィアンスが呟き『蛍火』を抜いて、犯人の一人へと攻撃を仕掛ける。一人が倒れると二人がレィアンスへと攻撃を仕掛けてくるが、視線の動きで行動を先読みして殴りかかってくる犯人の攻撃を避ける。
「『照明銃』を打ち込みます」
 神無月の声が聞こえて、レィアンスは自分も巻き添えを食わないように避けて犯人二人だけに影響が行くようにする。
 照明銃によって動きが鈍った犯人二人に鷹代、芝樋ノ爪が飛びかかって銃を取り上げ、その間に玖堂、神無月、風雪が銀行内へと入り込む。
 銀行内にはまだ二人が自由に動いており、玖堂と神無月が二人の動きを止めようとするが一人が銃を構え、玖堂と神無月では間に合わない。
「しまっ‥‥」
「‥‥銃を壊せばイヤでも降伏せざるを得ない‥‥真里ちゃん達を守る為にも‥‥狙い撃つ!」
 鷹代は『鋭覚狙撃』と『影撃ち』を使用して、奥に居る銃を構えた犯人の一人の腕を狙って拳銃『ルドルフ』で攻撃を仕掛ける。
「水夏ちゃん、行って!」
 鷹代の合図と共に芝樋ノ爪は『竜の翼』を使用して人質であるマリ達の方へと一気に駆け抜ける。
 それを止めようと犯人の一人が腕を伸ばすが、神無月により強く掴まれてしまう。
「さてと、ここまで好きにしたんだ。大怪我する覚悟は出来ているだろうな? 俺達を敵に回したこと、後悔するんだな」
 ぎり、と神無月は腕を掴みながら低く呟くと犯人の男は「いてえええっ!」と大きな声で情けない声を出す。
「まだ動こうと言うの?」
 鷹代は拳銃『ルドルフ』で動こうとしている犯人の肩を撃ちぬく。
「ぐああっ!」
 犯人は肩を押さえながら床へと倒れこみ、鷹代を睨みつける。
「動脈ブチ抜かれないだけマシだと思いなさい‥‥下手に動くなら容赦しないわよ?」
 鷹代は再び銃を向けながら睨み返すような厳しい視線を返した。
「動くな!」
 入り口付近に居た犯人達が銀行内へと再び立てこもる。
「‥‥さっさと捕まえてくれていればいいのに」
 レィアンスはため息混じりに外に居る警官達に愚痴を零す。
「動くな。動けば命の保障はしないぞ」
 レィアンスは左袖口、上着の裏に忍ばせておいた『アーミーナイフ』を取り、投げる構えで犯人達に告げる。
「うるせぇ! どうせこのまま捕まっちまうなら何しても一緒だろうが!」
 犯人の言葉にレィアンスは『馬鹿だな』と心の中で呟き、動こうとする犯人の腕へと狙いを定めて『アーミーナイフ』を投げつけた。
 そしてそのまま攻撃を止める事なく、レィアンスは犯人へと近づき殴り、壁へと叩きつけるように蹴る。
「後手に廻ればジリ貧‥‥なんでな」
「本当ならマリさんや翔太君の敵に容赦する必要はないんだけど‥‥これもお仕事だから仕方ないわね」
 小鳥遊がため息混じりに呟く。
 そして最初に『閃光手榴弾』によって視界を奪われた犯人が「お前ら‥‥よくも仲間を」と呻くように呟きながらよろよろと能力者達へと近寄ってくる。
「すみません。貴方達のような人、大っ嫌いなんです」
 芝樋ノ爪が呟いた後、犯人の背後に廻っていた風雪が『バトルブック』で殴りつけて犯人の意識を奪う。
「どうやら能力者はいなかったようですね。能力者が相手なら此処まで簡単に制圧は出来なかったですし」
 風雪は犯人の顔を覗きこみながら呟く。最初、彼は小太刀を装備していたが銃を構える姿の中に怯え、恐れが見えたため武器を『バトルブック』に変更したのだ。
「外に救急車がいるはずです、連れて行ってください」
 エレナが呟き、応急処置を施した翔太とマリを外へと連れて行ってくれるように芝樋ノ爪と風雪へと話しかける。
「分かりました。行きましょう」
 風雪が翔太の負担にならないように抱え、芝樋ノ爪がマリを支えながら外へと連れ出して行ったのだった。


―― 制圧完了、翔太を撃ったわけは? ――

「さて、何で翔太君を撃ったの? 人質は傷つけない方が取引の為には良いと思うけど?」
 鷹代がロープでぐるぐる巻きにした犯人達に話しかけると「本当はあの女を狙ったんだけどな」とリーダーらしき男が鼻を鳴らしながら忌々しそうに呟く。
「‥‥‥‥真里さんを?」
 玖堂が拳を強く握り締めながら聞き返す様に小さな声で呟く。
「あぁ、ガキに銃を向けたくらいでぎゃあぎゃあ煩かったからな。ま、あの男が庇ったから当たらなかったんだけどな、あの男がもし死んだらあの女のせいだな」
 ざまあみろ、と男が呟いた瞬間に鷹代が男の眉間に銃口をあてがう。
「真里ちゃんのせい? 引き金引いたのはアンタ。寝言も大概にしとかないと眉間ぶち抜くわよ? ‥‥あんだすたん?」
「全くもって同感だな。人が死に掛けた途端に責任転嫁とは‥‥情けない」
 レィアンスが呟き、能力者達はそのまま犯人達を警察へと引き渡し、救急車が向かった病院へと急いでいく。

 病院に到着すると病室の前に備え付けられた椅子に俯きながら座っているマリの姿が窺えた。病院まで付き添った風雪と芝樋ノ爪は犯人たちの言葉を告げる。
「自分のせいで、なんて思っているのではないですか?」
 話を聞いた芝樋ノ爪が呟くと「‥‥ううん、実際に私のせいだもん‥‥」とマリは弱々しい声で言葉を返してくる。
「詭弁ですね。悪いのは撃った男でしょう。何でも人のせいにするなんて、本当に酷い人です」
 芝樋ノ爪の言葉に「口は災いの元といいますが‥‥新年早々大変でしたね‥‥」と神無月が声をかけてくる。
「今年は‥‥気をつけた方がいいかもしれないです」
 神無月の言葉に「自分が危険ならいくらでもいいけど、周りが危険なのはイヤだな‥‥」と自嘲気味にマリは呟く。
「でもマリさんが無事でよかったわ、大丈夫。翔太君もクイーンズの一員なんだから」
 悪運は強いはずよ、と小鳥遊が言葉を付け足して話しかけてくる。
「そうそう、彼が怪我したのは真里ちゃんのせいじゃないわ、あんなのはただの責任転嫁だからさ‥‥玖堂君、後は任せた!」
 鷹代は玖堂の背中を叩き、マリの元へと行かせる。
「確か下に食堂があったな、そこで少し飯でも食べるか」
 レィアンスの提案に「そうですね、行きましょう」とエレナも賛成して玖堂以外の能力者たちは一階へと向かっていったのだった。

 その数日後、翔太は無事に意識を取り戻し、段々回復へと向かっていくと言う報告が書かれた手紙が能力者達に届けられたのだった。
 そして余談だが、マリを守ったと言う翔太に『退院後には私の秘蔵HDD『死んだら叩き割ってくれ』から特選の画像を差し上げましょう』と言う手紙が玖堂から送られてきていたのだとか‥‥。


END