タイトル:もやしの初恋?マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/08/26 20:41

●オープニング本文


迂闊だったわ‥‥。

あの人がLHに来る事になるなんて‥‥。

さて、どうしようかな。

※※※

「キリー、貴女確か明日の任務でここに行く筈だったわよね?」

朝食時、キリーが蜂蜜バターを塗ったパンを食べている時に母親が紙を見せながら話しかけてきた。

「うん。そうだよ、その街の近くにキメラがいるみたいで皆で退治に行くの」

天使のような笑顔でキリーが言葉を返すと「それじゃあ、ついでにジェイ君を連れてきてもらえるかしら?」と母親から言葉が返ってきた。

「ジェイ君?」

首をかくりとしながらキリーが聞き返すと「あら、忘れちゃったの? LHに来る前の家で隣同士だったでしょ」と母親は写真を見せながら呟く。

その写真の中には、心からの笑顔で写っているキリーと彼女より少し年上の少年が同じように笑っている姿が映し出されていた。

「‥‥じぇ、ジェイ君ってジェイムスの事?」

「そうよ、なんだ覚えてるんじゃない。ジェイ君が明日LHに遊びに来る事になったのよ。お母さんが迎えに行く筈だったんだけど任務が入っちゃって行けそうにないのよ」

確かあなた達仲が良かったわよね、と母親は言葉を返す。

「え、う、うん。仲は‥‥悪くはなかったけど」

「それじゃ、宜しく頼むわね」

母親はキリーの答えを聞く前に本部へと行ってしまった。

残されたキリーはとりあえずカップの中に残っていたミルクを一気に飲み干し、ダン、と強い力でテーブルに置く。

「はぁ、あの天然馬鹿が来るんだ‥‥」

明日の事を考えると重い気分しか出てこないキリーだった。


※※※

「こんにちは、ジェイ君? 明日はキリーがちょうどそっちの任務に向かうからあの子を迎えに行かせるわね」

本部に到着すると同時に母親はジェイムスの携帯電話に電話をかける。

「分かりました、わざわざすみません。キリーは元気ですか? 昔から可愛かったから凄くかわいくなってるんだろうなぁ‥‥」

「そうか、6年、7年ぶりくらいになるのかしら‥‥ちょっと性格に難ありだけど元気には育ってるわよ」

苦笑しながら母親が言葉を返す。

「昔、あの子と約束したんですよ。大きくなったら結婚しようね、って」

ジェイムスはキリーと一緒に写った写真を見ながら嬉しそうに電話の向こうの母親に話しかける。

「あらあら、あの子ったらモテるのねぇ」

ちなみにキリー自身はそんな約束など綺麗さっぱり頭の中から消去している。

極悪魔王娘のキリー、純真天然少年のジェイムス。

彼らが7年ぶりの再会を果たすまで、あと一日。

●参加者一覧

土方伊織(ga4771
13歳・♂・BM
白虎(ga9191
10歳・♂・BM
神撫(gb0167
27歳・♂・AA
アレイ・シュナイダー(gb0936
22歳・♂・DF
仮染 勇輝(gb1239
17歳・♂・PN
神咲 刹那(gb5472
17歳・♂・GD
諌山美雲(gb5758
21歳・♀・ER
諌山詠(gb7651
20歳・♂・FT

●リプレイ本文

―― 大人しいもやし ――

「今回も宜しくしてあげる」
 キメラ退治の為に集まった能力者達に向けてキルメリア・シュプール(gz0278)が毎度の如く偉そうに挨拶をするのだが、いつもに比べて大人しい感じだった。
「む? どうした、元気がないようだな」
 アレイ・シュナイダー(gb0936)がキリーに話しかけると「あんたに私の悩みが分かるわけないでしょ、ヘタレ」といつものような返答が来て彼は苦笑する。
「皆さん、こんにちは。また顔見知りが多いですね」
 仮染 勇輝(gb1239)が一緒に任務を行う能力者達を見て呟く。しかしいつもならばキリーの突っ込みが二つや三つは入っている頃なのに、やや元気のないキリーを見て「どうかしたの?」と神咲 刹那(gb5472)が問いかける。
「お母さんの知り合いの息子で遠い昔に隣に住んでた奴が遊びに来るのよ」
 はぁ、と盛大なため息を吐きながらキリーは言葉を返した。
「つまり幼馴染かぁ、今のキリーを見たら可愛くなってて驚くんじゃないかな?」
 神咲の言葉に「会いたくないわよ、あんなバカ」と素っ気無く言葉を返した。
(「あれ? 今回は何かイメージより大人しいような‥‥何でしょう、ホッとしたというか微妙に残念というか‥‥」)
 お菓子を食べながら諌山詠(gb7651)が心の中で呟く。なるべくならこの任務、彼女が本性を潜めている間に終わって欲しいものである。少しでも彼女による犠牲者を減らす為に。
「何で昔馴染みに会いたくないんだ? 今の時代そういう人が生きているだけでもありがたい事なんだけど‥‥」
 神撫(gb0167)がキリーに問いかけると「会えば私の気持ちが分かるわよ」と「けっ」と言葉を付け足して悪態を吐く。
「まぁ、昔から『私の一番』とか言ってる奴だったような気がするわね」
 キリーの言葉に「な、な、な」と白虎(ga9191)が驚いた表情を見せる。
「き、キリーお姉ちゃんは渡さないのにゃ!」
 この時より彼・白虎はしっと団とは違う本物の嫉妬に目覚めたのだとか‥‥。
「‥‥? ぼけっと突っ立ってるんじゃないわよ」
 キリーの『私の一番』発言に仮染は一気に元気が低下して、既に心ここにあらず状態。
「人の話は聞きなさいよね!」
 めきょ、と仮染の顔面にキリーの裏拳が入って現実へと引き戻される。
「まぁ‥‥落ち着いて」
「あんたが落ち着きなさいよ」
 仮染の言葉にキリーが突っ込みを入れ「ふん」と腰を手に当てて偉そうな態度をとる。
「‥‥あはは、何やら嫌な予感しかしないのですよ」
 土方伊織(ga4771)は明らかにカオスなオーラを漂わせる能力者たちを見て苦笑するしかなかった。
「あ、美雲! あんたは私に近寄らないで! あんたが来ると命の危険度が一気に跳ね上がるんだから!」
 キリーが冴木美雲(gb5758)を見つけて一歩後ずさるのだが、冴木は誰が見ても天然な子なのでキリーの言葉ですら『テレやさん』にしか思っていない事だろう。
「また、キリーさんと一緒にお仕事が出来て嬉しいです」
「私は嬉しくないわよ!」
 見事なまでに会話が噛み合わない事にキリーは苛立ちを募らせて仮染に二度目の裏拳を入れる。此方は明らかに八つ当たりだ。
 キリーを取られまいと暴走に走る者、元気を奪われる者、それを遠くから見守る者、と様々な目的を持った能力者達はとりあえず問題となっているキメラ退治へと出発したのだった。


―― キメラは脇役、戦闘後に本当の戦いが始まる ――

 今回のキメラ、それは鳥型キメラで公園に居ついてしまい、住人から能力者派遣の要請が本部へ届いていた。場所が公園と言う事で能力者達はキメラを探すのに苦労する事なく、現在キメラと対峙している。
「怪我人は後ろで見てなさい!」
 神撫が白虎をキリーと共に下がらせる。白虎は嫉妬の炎に突き動かされている為、もしくはキリーが労わらない為に気づきにくいが重態を押してこの任務に参加していた。
「何が何でも私を守りなさいよ」
 鬼のような言葉に白虎は「にゃー‥‥」と何処か寂しそうに呟くのだが‥‥既に彼女は耳栓をしてそれを聞いていない。
「‥‥迎撃する」
 仮染は白虎とキリーが危ない場合は直ぐに駆けつけられるような位置に立ち、小銃『S−01』をキメラに向けて構える。
「今回はキリーが捕まってないから楽に退治出来そうだね」
 神咲も『番天印』を構えながら小さく呟き、キメラが空から下に落ちてくるように狙い撃つ。
「良い子‥‥そのまま‥‥串刺しにして焼き鳥にしてキリーさんが食べてくれるからね」
 冴木は弓で狙い定めながら小さく呟き、矢を放つ――のだがその矢はキリーと白虎たちが下がっている方へと向かっていく。天然パワー恐るべしである。
「あんたは攻撃するな――――!」
「にゃ――っ!」
 キリーと白虎の叫びが同時に聞こえ、仮染がその矢を叩き落とす。重態の白虎が当たってしまえば、本当にしっとの神として天に召されてしまう為、彼も必死だった。
「凄いな、まさか味方が後方に攻撃するなんて‥‥」
 目を瞬かせながら諌山は小さく呟く。
「とりあえず、キメラが降りてくれればさっさと退治出来るし――問題ないんですけどねっ」
 呟きながらも諌山は『クルメタルP−38』で攻撃を仕掛け。
「はわわ、そろそろ降りてきてくれないと僕が戦えないのですよ」
 土方は『旋棍 砕天』を構えながらうろうろとキメラが降りてくるのを待つ。
「本当だよね、さっさと降りてこないかなぁ‥‥」
 同じく神撫も上を飛ぶキメラを見ながらため息混じりに呟く。
「さっさと、降りて来い」
 アレイが『真デヴァステイター』で攻撃を仕掛けた時、キメラの翼がぼきりと折れて地面へと降下してくる。今までの射撃組能力者達の攻撃が積み重なって翼を打ち砕いたのだろう。
 地面に落ちた後、キメラが起き上がる前に土方が『砕天』を構えて『円閃』を使用し攻撃を仕掛ける。続いて神撫も『天剣 ラジエル』を振り上げて攻撃を仕掛ける。キメラは翼を失い、自分が攻撃を仕掛ける前に能力者達に攻撃を仕掛けられ、少し戸惑っているようにも見える。
「このまま、さっさと終わって欲しいものだな」
 アレイは呟き『壱式』で攻撃を仕掛ける。
 しかし、キメラは傷ついた翼を無理矢理動かして再び空へと逃げようとする。少し浮いた所で跳躍していた仮染が『豪力発現』を使用しながら攻撃を仕掛けて地面へと叩き落す。
 仮染はそのまま噴水の淵に着地して、再び攻撃態勢を取る。
「そう簡単には抜かせないよ。大人しく、沈め」
 起き上がって攻撃を仕掛けようとしたキメラを見ながら『影撃ち』『ファングバックル』を使用して攻撃を行う。
「そうそう、大人しく寝ていた方がきっと苦しまない‥‥かもしれないね」
 諌山は『クルメタルP−38』で攻撃を仕掛けてキメラの足止めをする。その隙を突いて再び前衛が攻撃を行う――これを繰り返した何度目かでキメラは大きな叫び声をあげて地面へと突っ伏して動かなくなったのだった。


―― 戦いはこれから ――
 キメラは退治できたのだが、これからキリーの幼馴染を迎えに行かなければならない。
「ボク達は先に行って迎えとくから、お姉ちゃん達は後からゆっくり来るといいのにゃ」
 白虎が気を利かせるように呟くと「そう? たまにはあんたも気が利くのね、ヘタレ」とキリーの為にしているというのに相変わらずけなす事だけは忘れないようだ。

※ジェイ君、ボクに惚れるがいいのにゃ、大作戦班※
「手段は選ばぬのにゃ! ボクにでも萌えているがいい!」
 キリー達と別れた後、くわっと白虎は拳を強く握り締めた後、ゴシック系の服装に纏めてキリーに見えるようにと茶色のカツラとカラーコンタクトで変装する。
「何か、本当に涙が出る程にキリーラブなんだな」
 後ろから見たら少し背の小さなキリーにしか見えない白虎を見てアレイは苦笑して呟く。
「とりあえず、俺はキリーの兄として傍にいる事にしようかな」
 アレイは呟き、白虎と一緒に空港へと向かう――のだが、彼らは『ジェイ君』の顔を知らない為に向こうが気づいてくれるのを待つしか方法はなかった。
「私もキリーさんとお友達になるために頑張らなくては!」
 ぐ、と拳を握りながら冴木は決意する。
「しまった‥‥お姉ちゃんにでも写真を借りてくれば良かった「キリー!」‥‥にゃー!?」
 白虎がため息混じりに呟いた瞬間にがばっと抱きつかれて少しエラーモードになりそうになる。
「あれ? キミは?」
 ジェイ君と思わしき人はアレイを見ながら「誰?」と問いかけてくる。
「キリーの兄のアレイだ、昔は家に居ない事が多かったから会うのは初めて、だな」
 アレイの説明に「あぁ、お兄さんですか。初めまして、キリーの婚約者のジェイムスです」と丁寧に頭を下げてくる。
「こ、婚約者!?」
 白虎が焦ったように言うと「ははは、ヤダなぁ、婚約指輪を僕にくれたじゃないか」と左手の薬指を見せながらジェイ君は言葉を返してくる。
「「‥‥‥‥」」
 それを見て白虎とアレイは絶句する。彼らの前に現われた指輪――それはもう立派な――枯れた草の指輪だった。息を吹きかければサァ‥‥と砂になりそうなほどに枯れていて白虎とアレイは互いの顔を見る。
(「どうしよう、この人、かなりイタイ人なのにゃー‥‥」)
(「天然を通り越してかなり怖い域にいるな、この男は」)
(「まぁ、凄いですねぇ。枯れても持つなんて――愛、でしょうか」)
 三人はかなり失礼な事を心の中で呟いていると「あれ? キミ、本当にキリー?」とジェイ君が聞き返してきた。
「確かあの子には腕の所に傷があったはずなんだけど‥‥実は偽者?」
「よ、よくぞ見破ったのにゃ! キリーが『本気』で嫌そうだったからボクが替え玉で来たのにゃ!」
 どどん、と白虎が威張って言うと「ははは、そうか、それほど照れているんだね」とどれだけプラス思考なんだと言う程の台詞を返してくる。
「それじゃ、キリーの所に案内してよ」
 にこにことジェイ君は言葉を返して(「コイツに話が通じないのは何故だ」)と二人は心から思ったのだとか。

※キリーの安全を守ろう班※
「そういえば、白虎さんが「作戦にゃ」とか言って先に行きましたけど‥‥キリーさん、何か聞いてます?」
「聞いてるけど、あんな方法通用するわけないじゃない、バカ」
 土方の言葉をすっぱりと切り捨てながらキリーは言葉を返す。
「そ、そういえば写真くらいはあるのですよね?」
 土方の言葉に「見る?」とべしっと投げつけるように一枚の写真を投げ渡す。そこに写っていたのは明らかに嫌がるキリーと極上の微笑みを浮かべる少年の姿があった。
「このバカには話が通じないのよ、よくは覚えてないけど話が全く噛み合わないんだから」
 キリーの言葉に「好きだったんじゃないの?」と神撫がからかうように言葉を投げてくるのだが――キリーは彼の腹部に突きを放つ。
「あんたの目は腐ってるわけ? この写真見て『好き』という感情が何処に見えるのよ、むしろ眼科行ってきなさいよ、たわけ」
「ま、まぁまぁ、落ち着いて‥‥チョコ食べます?」
 仮染から差し出された『チョコブラウニー』をバッと奪い取り、口に運びながら「ありがと」とお礼を言う。
「とりあえず向こうがどうなってるか聞いてくるから勇輝さん、キリーの相手お願いね」
 トランシーバーを持って神咲が白虎たちへと連絡を行いに行く。
「昔のキリーさん、どんな感じだったんでしょうね」
 冴木は何処かワクワクしてるような表情で呟き「今と変わらないわよ、天然」とお菓子を食べながら言葉を返す。
(「何か本性出てきた感じだなぁ」)
 諌山は戦闘後に「お腹空きません?」と能力者達に話しかけて入ったカフェの中で苦笑しながら心の中で呟く。
「白虎君たちがこっちに向かってるって」
 神咲が帰ってくると同時に報告をすると「げぇ」とキリーは下品な声を出して心から嫌そうな表情をしたのだった。


―― 誰がキリーの婚約者? ――

「‥‥まさか本当にするとは思ってなかったわよ」
 出発前にキリーと似た格好をしてジェイ君の気を引くと言っていたのだが、キリー自身まさか本当にするとは思っていなかったのだろう。
「言うなにゃ‥‥」
 ちらちらとジェイ君に視線を流して『私、実はあなたが好きなんです』オーラを漂わせる。
「ほら、ちゃんと挨拶しなくちゃ」
 神撫にいわれて渋々「キリーです。宜しくしたくないからさっさと帰ればいいと思います」と挨拶にならない挨拶をする。
「昔と全然変わってないね、そのテレ屋な所とか」
 爽やかに笑うジェイ君に(「本気で嫌がってるように見えるけど」)と能力者達は心の中で呟く。
「LHに遊びに行くらしいけど、何か予定でもあるの?」
 神撫が問いかけると「遊びって言うか正式にキリーと婚約したいなぁって」とさらりと発言する。
(「こ、婚約!?」)
 事情を知らなかった仮染は後ろに雷でも落ちたような表情になり、ぎぎぎ、とぎこちない動きでキリーを見る。
(「俺、もしかして男として駄目なんじゃ‥‥」)
 仮染は一人悩み始めて頭を抱える。
「ふ〜ん、だから今日は大人しかったのかな。どう、久しぶりにジェイさんに会った感想は?」
 神咲がキリーに言葉をかけると「最悪に決まってるでしょ」ときっぱりと言い放つ。
「え? そうなんですか?」
 冴木は首を傾げながら問いかける。
(「や、普通に多分嫌がってるようにしか見えないよ‥‥」)
 冴木の天然に諌山が心の中で突っ込みを入れる。
「え、だって、僕はキリーの婚約者‥‥」
「私はあんたの婚約者なんてまっぴらゴメンよ。話の通じない宇宙人と結婚なんて嫌だもの――それに私には婚約者はいるのよ、此処にね」
 仮染の腕と白虎の首に手をかけて自分の所に引き寄せながらキリーは言葉を続ける。
「き、キリーさん!?」
「お、お姉ちゃん!?」
「黙ってなさいよね、そういう風に話を持っていけばあのバカ帰るかもしれないでしょ」
 ぼそぼそと話を続けながら、ちらりとジェイ君を見る。
「まだどっちと結婚するかわかんないけど、あんたよりずーっと大好きだもん――というわけでとっとと帰りな、バカ」
「ば、バカ!? ぼ、僕のキリーはそんな言葉は使わないのに‥‥そうか、キミも偽者だったんだね! 僕のキリーは何処にいるんだぁぁぁぁぁ」
 叫びながらジェイ君は夕日に向かって走っていく。
「あぁ‥‥」
 走り去っていくジェイ君を見て、神撫が苦笑しながら後ろ姿を見る。流石にあのまま放置と言うのは可哀想なので後始末と言う名前のフォローをする為に追いかけていったのだった。
「ふぅ、これであのバカも帰るでしょ。今回だけはお礼を言ってあげる。ありがと」
 キリーは素直にお礼を言うのだが、彼女の本意が何処にあるかは誰も分からないのだった。
 そして後日、白虎宛にジェイ君からラブレターが届いたのは言うまでもなかったりする。


END