タイトル:【AP】魔女っ娘もやしマスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/17 00:13

●オープニング本文


※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。

※※※

こんにちは! 私は見習い魔女っ娘のキルメリア・シュプール(gz0278)!

みんなの願いを聞きにやってきたよっ!

えっ? 聞いてどうするのかって?

‥‥‥‥悉くぶっ壊すに決まってるでしょ、へたれ!

※※※

暗紫の可愛らしい魔女服を身にまとい、彼女は悪魔のごとく現れる。

「は? 彼女が欲しい? バッカじゃないの? そういうのは自分の顔見てから願いなさいよね。そういう事を願われる私の身にもなりなさいよ」

とある男性(10代)は彼女が欲しいという願いをもやしへと告げた。

しかし返ってきた言葉は辛辣なものでしかなかった。

「あんたに彼女を作るってのはね、不治の病の特効薬を見つけるくらいに難しいことなのよ。その辺のことを理解してから願いなさいよね」

※※※

しゃんしゃん、と帽子についた鈴の音を鳴らしながら、彼女は魔王の如く現れる。

「は? お金が欲しい? バッカじゃないの? 何そんな欲望に従って願いを言ってるわけ? 私があんたに金をやって私に何のメリットがあると思ってるの? 金が欲しかったら馬車馬の如く働け、クズ」

とある女性(20代)はお金が欲しいという願いをもやしへと告げた。

しかし渡されたのはお金ではなく求人雑誌だった。

「あんたみたいなヘタレクズでも何処か雇ってくれる場所があるでしょうよ、仕事を紹介したんだから仲介料よこしなさいよね」

※※※

このように何を願ってもバッサリと斬り捨てられる彼女の楽しみは願いを悉くぶち壊すことだった。

今日も彼女は強い願いを言う者の所へと行く。

――己の楽しみのために。

●参加者一覧

土方伊織(ga4771
13歳・♂・BM
白虎(ga9191
10歳・♂・BM
仮染 勇輝(gb1239
17歳・♂・PN
神咲 刹那(gb5472
17歳・♂・GD
諌山美雲(gb5758
21歳・♀・ER
ファリス(gb9339
11歳・♀・PN
ソウマ(gc0505
14歳・♂・DG
フロスヒルデ(gc0528
18歳・♀・GP

●リプレイ本文

― 魔女っ娘☆もやし登場 ―

 今日も今日とて彼女は困っている人達の所へ行く。その願いを‥‥ぶち壊す為に。
 魔女っ娘キルメリア・シュプール(gz0278)は今日も行く。

 その時、土方伊織(ga4771)は目の前の状況に「はわわ」としか言えなかった。
「さぁ、願い事を言いなさい」
「はわわ、大まおー様なのです。どー見ても絶対に魔女っ娘になんて見えないのです。すっごく魔王っ娘なのですよ」
「心の声で留めたいなら口は閉じる事ね。この馬鹿犬娘!」
 持っていた杖でゴスゴスと殴りながらキリーは「早く願い事言えってのよ!」と言葉を付け足す。
「はわわ、ぼ、僕の願い事ですか‥‥? ゆ、許して下さいですぅ。ね、願い事なんてないですからー‥‥キリーさんにお願い事叶えて貰うなんて、恐ろしくて‥‥じゃなかった、恐れ多くて許して欲しいのですよー‥‥」
「本心が見え隠れして隠しきれてないわよ!」
 なおも殴り続けながら「願い事言え、今すぐ言え、さっさと言え!」と殴る。
「うぅ、言わないとだめーですか‥‥じゃ、じゃあわんこ扱いからの脱「却下」‥‥うん、分かってるです。だから違うのにするのです」
 土方の言葉に「さっさと言えっつってるでしょ、馬鹿犬!」と拳骨で殴る。
「うぅ、いたいーですぅ‥‥ぼ、僕のお願い事はキリーさんのお手伝いをさせて下さいでお願いします。せ、せめて人間扱いされたいのですけ「そうね、魔女に使い魔はつき物だものね、行くわよ、わんこ」結局僕の扱いはそれですかー」
 こうして、キリーは使い魔・わんこを引き連れて次の獲物へと向かっていく。
「あ、獲物発見」
 キリーが呟き、土方が彼女の視線の方向を見るとそこには白虎(ga9191)が歩いているのが視界に入ってくる。
「はっ、キリーお姉ちゃん!」
 しかし白虎はキリーの姿を見ると、全力で逃げ出すようにダッシュして逃げ出してしまう。
「何よ、アレ。あんた見て逃げたわよ」
 自分を見て逃げ出したとは露ほども思っていないキリーは土方のせいにして「ええぇ、ぼ、僕のせいですかー?!」とはわわ状態にしている。
 ちなみに彼・白虎はエイプリルフールネタとして「次に会った時にもやしお姉ちゃんに告白します!」と宣言しているらしい。勿論白虎の中ではフィクション発言としていたのだが、彼の優しい優しい仲間達はその発言を本物にさせてあげようと企んでいる者もいたりする。
「ヤッホー、キリー。何か雰囲気違わない?」
 後ろからキリーに抱きつきながら神咲 刹那(gb5472)が話しかけてくる。
「えちぃー事はだめーです!」
 ピッピーと何処から取り出したのか土方は笛を吹きながら「れっどかーど」と赤い紙を見せて笛を吹き続ける。
「とりあえず、離れろ。そして願い事をさっさと言いなさい、せくはら魔」
 何故キリーがこんな格好をしているのかなどの簡単な説明を受け、キリーが神咲に願い事を聞く。
「‥‥願い事? ん〜、そう言われても中々なぁ‥‥困ってる事はないし、何かやりたい事はないし‥‥」
 暫く考え込みながら、名案が浮かんだのかポンっと手を打ちながら「そうだ、キリーが欲しい」とにこやかに告げた。
「はい」
「‥‥これは桐だよね。っていうか植物じゃん。何処から出したの」
「魔女っ娘だもの、不可能はないのよ」
「っていうかキリーが欲しいって言ったんだけど」
「はい」
「‥‥これは錐だよね、そこのわんこにでも突き立てたらいいのかな」
「な、何で僕ですかー! っていうかせくはらです。えちぃー事はだめーなのですよ」
 土方が一生懸命慌てて必死に止めるのだけど「何で欲しいの?」とキリーが理由を聞く。
「だってキリーみたいな可愛い子が妹だったら最高だと思うけど?」
 可愛いという言葉に気を良くしたのか「仕方ないわね、あげるわよ」と言ってミニチュア・もやしちゃん(10分の1仕様)を差し出した。
「感謝しなさいよ、ロリコンおたく!」
 神咲刹那はロリコンおたくよー! と叫びながら土方と一緒に何処かへと行ってしまったのだった。
「よし、次はあいつよ!」
 だだだだ、と走りながら(魔女らしく箒には乗っていない)ファリス(gb9339)を、見つけて「ふふん」と目の前で腰に手を当てながら果てしなく上から目線で話しかける。
「‥‥姉さまってテレビに出てくる魔女さんみたいなの! ファリスに何か御用なの?」
「あんたの願い事を聞いてあげるわ。さぁ、願い事を言いなさい」
「お願い事‥‥早くバグアがいなくなって、皆が幸せに暮らせるようになりますように」
 ファリスの願い事を聞いて「そういうのは自分でやりなさいよ! もっと庶民的な願い事言いなさいよね!」と逆ギレしながら言葉を返す。
 するとファリスはきょとんとしながら「キリー姉様、変な事言うの」と首をかくりと傾げながら呟いた。
「そんな事、当たり前なの。ファリスは皆の為に戦うの。それがファリスにとっての正義なの。バグアは敵なの。困った人がいたら助けるのはファリスの役目なの」
 幼いながらも決意を秘めた表情を見て「ちょ、直視出来ないっ」とキリーが顔を逸らしながら呟く。
「きっとキリーさんと正反対だか『ゴス』が、顔面ぱんちはやめてーですよ」
 土方の言いたい事が分かったのかキリーは遠慮なしの全力顔面パンチを繰り出して土方を黙らせる。
「別の願い事言いなさいよ、へたれ!」
「別の‥‥あ、叔父様と叔母様がいつまでも幸せにいれますように」
 ファリスの言葉ににやりとキリーは魔王の微笑みを見せる。ちょっとあらぬ事でも仕掛けて円満家庭に波風を立ててやろうという顔だ。
「‥‥」
 ファリスはそんなキリーに気づき、キリーを上から下までじろじろと見渡す。
「‥‥叔父様は大人の女性が好きだと思うの。キリー姉様みたいなぺったんこは叔父様の好みじゃないと思うの」
 その時、僕達の周りだけが氷河期になったですよー(土方後日談)。
「はわわわ、だめーです! 幼児虐待はだめーです!」
「離しなさい、わんこ! こんな大して体型も変わらないがきんちょにこんな事を言わ「ファリスは叔母様みたいにグラマー美人になる予定なの。だからキリー姉様とは違うの」ぶち殺すわよ、わんこ」
「何で僕なのですかー! ほ、ほらあっちに別の人いるです、あっち行きましょ、あっち」
 とにかくファリスから離す事を最優先と考えた土方は新たなる獲物、冴木美雲(gb5758)の方へとキリーを引きずっていったのだった。
「あ、キリーさん、こんにちは!」
「はい、こんにちは。さっさと願い事を言ってストレス解消させなさい、へたれ」
 説明するのも面倒になってきたのか思いっきり魔女っ娘部分を端折りながら話しかける。結局「?」を浮かべる冴木に土方が説明をした。
「んー、キリーさんにも白馬の王子様が現れますように」
「白い馬に乗ったかぼちゃパンツの男なんかいらないわよ」
「あ、それじゃあ白虎さんが自分に素直になりますように」
「アレ以上素直にしてどうすんのよ」
「‥‥‥‥鈍感。あ、キリーさんといつまでも親友でいられますように」
「あんたなんか一生下僕よ。で、さっさと願い事言ってくれない? こっちはストレス溜まってさっさと爆発させたいんだから」
「あ、お腹の子が元気に生まれてくれますように」
「‥‥‥‥は?」
 放心するキリーを他所に冴木は言葉を続ける。
「彼そっくりの男の子がいいな。あ、でもキリーさんみたいに(性格じゃなくて見た目が)可愛い女の子も捨てがたいかなぁ‥‥あー、うー、でも五体満足に生まれてくれればそれで良いや。なのでキリーさん、このお願いを叶えてください。そして一緒に祈って下さい」
 にっこりと子供を慈しむ母親の表情でキリーに願い事を言うのだが‥‥。
「あ、あんたまだ18歳のくせにはれんちなっ! わ、私はそんなはれんちな下僕を持った覚えはないわよ! そ、そんな願いなんか却下に決まってるでしょ! この犬め!」
 ごす、と八つ当たりで土方にエルボーが繰り出される。既に彼は今回だけで何度キリーから虐待を受けた事だろうか。
「あ、あっちのやつにいくわよ!」
 だだだだ、と走りながら「馬鹿やろー!」とリボンラッピングされた箱を投げつける。中身は「おめでとうなんか言ってあげないわよ! はれんち娘!」というカードが添えられたレースたっぷりの赤ちゃん服だった。
「さぁ、そこのあんた! 願いを言いなさい。そろそろ爆発させてもいいくらいの願いを言いなさい!」
 目をギラつかせたキリーがソウマ(gc0505)の前に立ちはだかりながら願い事を強要する。
「最近はそんなものが流行なんですね、僕は急いでますんで、じゃ!」
「待ちなさいよ! 願いを聞いてあげるって言ってるのよ!」
 ごすん、と持っていた杖でソウマを殴りながら何処かに逃げようとする彼を引き止める。
「いたた‥‥えっ、願い事叶えてくれるんですか? いえ、間に合ってますんで結構です。余計な事かもしれませんが、今はセーフでもあと数年すればアウトですよ、その格好」
「余計なお世話よ、地獄へ落ちろ、この馬鹿!」
 ごすんごすんと殴りながら「も、もし本当なら‥‥家族に会いたい‥‥久しぶりに母の手料理を、食べたいな」と願い事を告げてきた。それと同時にキリーの表情が少しだけ曇る。話し方からしてきっと死んでしまっていると考えたのだろう。
「ん? 何暗くなってるんですか? 調子狂うなぁ。ちなみに家族は皆健康ですよ? もしかして勝手に人の家族殺してました?」
 ちなみに数日前に会ったきりです、と言葉を付け足すソウマにキリーの顔面パンチが炸裂する。
「さっさと任務でも何でも終わらせて帰りやがれ、ガキっぽい願い事しやがって!」
 おまけにもう一発殴ってからソウマの前から姿を消したのだった。
「ガキっぽくてもいいと思うけどなぁ、これが本当の気持ちだし」
 ソウマは走って遠くなっていくキリーを見ながら小さく呟いたのだった。
「さぁ願い事を「キリーちゃん、おかえりー!」」
 フロスヒルデ(gc0528)を見つけて願い事を聞こうとするといきなり抱きつかれる。彼女の持つなっちゃんも「お帰り」と言っているようだった。
「あ、願い事? ううん、世界が平和になりますように! とか!」
「あんたの頭は常に平和よね」
 ばっさりと斬られた願い事に「そ、それじゃ皆の正直な気持ちが知りたいなぁ。自白剤を皆に飲ませちゃおうよ!」と楽しげに呟くフロスヒルデに楽しい事大好きなキリーが食いつかないわけがない。
「さぁ、魔女っ娘キリーちゃん! 自白剤を飲ませて正直な気持ちを聞いちゃおうよ!」
 一人話を突き進める彼女に「自分の願い事しなさいよ」とひそかになっちゃんがツッコミを入れていた。

 その頃の白虎は焦っていた。同じくキリーに想いを寄せる仮染 勇輝(gb1239)に先を越されるかもしれないという不安が頭を過ぎったのだ。
「さ、先に告白されるくらいなら僕がするにゃー!」
 もはや、今の彼に『しっと団総帥』の自覚は遠いお空の果てまで飛んでいってしまっているようだ。
 しかし、彼の不安はまさに今、的中しようとしていた。
「あ、ゆーき。見っけ。願い事を聞いてあげるからさっさと願い事言いなさい」
 黒を基調とした服装で歩いているとキリーが現れる。
「願い事ですか‥‥よし」
 仮染は「うん」と首を縦に振り、彼の望む願いを口にする。
「(白虎さんと一緒でもいいので)デートして下さい! とりあえず下僕でもいいから! えむじゃないけど!」
 白虎と一緒でもいいので、というあたりが彼のヘタ‥‥げふん、優しさなのだろう。
「いいわよ、はい」
 キリーが首を縦に振り、仮染へと差し出したのは――干支セット。
(「な、何だこれ。どうしよう、これって遠回しに断られているんだろうか‥‥いや、でも断るにしても何で干支セット?」)
「出干支でしょ? はい、遠慮なくどうぞ」
(「何でそこで無理矢理漢字変換――――ッ!?」)
 差し出された干支セットを見ながらこの後の言葉に迷っていると「待つにゃあああ!」と白虎が物凄い速さでやってくる。
「あ、良い所に来たわね。願い事言いなさいよ、聞いてあげるから」
 キリーが白虎に問いかけると「えっと‥‥その‥‥」と顔を赤らめモジモジして中々先を言おうとしない。
「早く言え、ノロマ」
 ごすんと殴りながら催促すると――‥‥。
「キリーお姉ちゃんと恋人同士になってラブラブしたいのにゃー!」
 そこら中に響き渡るような大きな声で叫ぶ。それと同時に仮染の表情がギャグちっくに険しくなり『orz』のポーズを取る。言わなかったらフロスヒルデからのお願い事だった自白剤を飲ませようとしていた事はキリーしか知らない。
「いいわよ」
「「えええええええ!!!」」
 言うだけ言ったら全力で立ち去ろうとしたのだが、さらりと返された言葉に白虎は逃げるタイミングを失ってしまう。
「ゆーき、壁に大きな釘を刺した後に私達を引っ掛けて」
 キリーは衣装を白虎に渡し、自分も着替えてくると、仮染によって釘の所に引っ掛けてもらう。
「‥‥あの、キリーさん」
「こ、これは一体何なのにゃ‥‥」
「あんたが願ったんでしょ! 鯉人になってブラブラしたいって!」
 鯉のぼりのような衣装を着て壁に引っ掛けられ、風に揺られてぶらぶら。まさに白虎の願った通り『キリーお姉ちゃんと鯉人同士になってブラブラしたいのにゃー!』を叶えている。
「こんなの望んでないにゃあああああ!」
「‥‥‥‥ほっ」
 ばたばたと暴れる白虎、あからさまに安心した仮染。
「何で無理な変換をするのにゃー! 何で無理な聞き間違いをするのにゃー!」
 しまいには「夢オチはまだかー!」と叫び出す始末。

 ちなみに、彼らの行動を見ている者がいた。
「使い魔扱いされて、最後には忘れられたー僕が通りますよー」
 ちなみに土方。一生懸命キリーについていったのに最後には存在を忘れられるというオチが待っていた。
「皆の願いを聞いて回ろうとしたら強制的に逃げられたし。っていうかああいうオチが待ってたんだねー」
 神咲は壁に引っ掛けられて暴れる白虎を遠くから見ながら一人笑っている。
「LH中が期待した結果があれですか、つまり白虎さんはああいう趣味があったんですね!」
 冴木は笑いを堪えながらも一世一代の告白をありえない聞き間違いでスルーされた白虎を思うと少しばかり不憫で仕方がなかった。
「そういえばなっちゃんは願い事なかったの?」
 フロスヒルデがなっちゃんに問いかけると「あたしは特にないわね」と短い言葉が返ってくる。
(「あたしの願いはただ1つ‥‥フロスに寂しい想いをさせない事。キリー‥‥これからもフロスの友達でいてあげてね」)
 
 ちなみに余談だが、願いを妙な方向にされた仮染のもう1つの願い『せくはら魔に鉄槌を』という願いは確り叶えられ、神咲に鬼の形相で襲い掛かる仮染の姿が本部近くで見かけられたらしい。

END