タイトル:【LP】雪原の機兵達マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/12/03 15:49

●オープニング本文


 冬を控えて、極東ロシア軍の戦意は高かった。彼らの母なる大地を侵していたバグアの主力は一昨年の末に撃破され、以後輸送ルートも安定している。一昨年より去年、去年よりも今年が過ごしやすい事は間違いない。
「発令。モスクワの本国軍より。ウランバートル基地へ陽動を掛ける」
 例年通りの指示に、兵は僅かに落胆した。通信将校は直立不動のまま言葉を続ける。
「但し、攻勢に及んで機を掴めば、陥落せしめるも可とする」
 ざわり、と兵が動き互いの顔を見合わせた。最前列の誰かが雪焼けした顔を綻ばせる。
「――つまり、だ。落としてしまっても、構わんのだろう?」


 ロシア軍基地から部隊が進撃し、ウランバートルからの迎撃部隊が出撃し空陸で激突する。
 主戦場よりやや離れた側面の陸を任されたそのKV隊は今、哨戒の歩兵より敵部隊接近の報を聞き迎撃の準備を整えていた。
「なんの因果か、北の大地、グリーンランドを出ても雪原戦とくらぁ」
 元はカンパネラに所属していたというこの傭兵隊の隊長アルガス=A=ヴァルツァーが言った。通り名はコンビニ、H3S、ヘルマン、セプテンフォー、セプテス、ステッペンウルフ等々、やたら名前の多い二十代前半の男である。フルに称するならばアルガス=A=H3S=ヘルマン=セプテンフォー=セプテス=ステッペンウルフ=ヴァルツァー、だろうか。
 一番よばれる回数が多い呼称はコンビニ少尉であり、彼が率いる隊は周囲の部隊からコンビニ隊と呼ばれるが、公式には番号+KV隊であり半公式にはアルガス隊であり、現場においてはアルガスと呼んでも隊長が返事しないので――長らく本名を忘れてたとうそぶいていた通り、さっぱり使用してなかったので、自分の事だと気づかないようだ――ステッペンかヘルマンか3Sかコンビニ等と呼ばれている。隊外から来た者は偶によく混乱するらしい。
 今回は大規模な戦いの為、彼等はグリーンランドより援軍としてやってきていた。もっとも傭兵隊なので、多くの隊員はそれぞれが居た場所から直行であっただろうが。(基本的に傭兵は一戦ないし一週間程度で入れ替わる)
「――と、目視で確認出来る装備は以上です。まぁ、慣れてる地形で良いんじゃないすか? そんでスリーエス隊長、多分全部AIだとは思いますがゴーレム改造っぽかったのが多かったんで気をつけてください」
「最初が肝心というが、まったくだね。極地兵はずっと極地か。あいよ、了解。報告御苦労。そっちも気をつけて帰れよ」
「そらどーも、生きて戻ったら一杯奢ってください」
「生きて戻ったらな」
 ざっと、ノイズが走って、偵察兵からの通信が切れる。
 どっちが、とは言わない。両方に決まってるからだ。

●参加者一覧

セージ(ga3997
25歳・♂・AA
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
六堂源治(ga8154
30歳・♂・AA
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
エリアノーラ・カーゾン(ga9802
21歳・♀・GD
カララク(gb1394
26歳・♂・JG
大神 直人(gb1865
18歳・♂・DG
シャーリィ・アッシュ(gb1884
21歳・♀・HD
シクル・ハーツ(gc1986
19歳・♀・PN

●リプレイ本文

「雪‥‥故郷を思い出すな」
 ぽつり、と少女が呟いた。シクル・ハーツ(gc1986)だ。
 雪原が広がっている。モンゴルの北、ロシアの南、極地の戦場。故郷の国も銀の雪が輝いていた。あの場所は今はどうなっているだろう。
(「っと、感傷に浸っている場合じゃないか」)
 首を振る。バグアの部隊が本隊を横撃せんと迫って来ていた。防がなければ、ならない。
「今回の大規模戦が成功すれば、多くの人間を救える。何とか希望を繋げたいものだな」
 カララク(gb1394)が言った。
「ふむ‥‥敵は強化ゴーレムを前衛に、HWの砲撃支援とゴーレムの遊撃、と言ったところでしょうかな」
 飯島 修司(ga7951)が言った。言いつつ少し自機の色を気にしている模様。
(「極地戦の経験が少ないのですが、やはり雪原にディアブロの赤い色は目立ちますな‥‥白に塗っておけば良かったでしょうかね?」)
 ロングレンジでの撃ち合いの場合、割と影響があるかもしれない。
「KV戦、結構久しぶりッスね」
 大規模作戦も始まるし、そろそろ慣らしておきたいという六堂源治(ga8154)。
(「慣らし運転にゃ、ちょっと相手が手強いが、俺とお前なら、やれるよな?」)
 愛機のF‐104改へと語りかける。雪原を歩むF‐104の駆動はいつもと変わらず力強い。機体トラブルなどはなさそうだ。
 傭兵達は情報を元に手早く作戦を立てると迎撃に向かう。
 途中、
「私以外にも翔幻をフルチューンしている人がいるとは‥‥驚き半分嬉しさ半分ですね」
 シャーリィ・アッシュ(gb1884)が言った。最前線でカスタムして戦っている者は翔幻では殊更に少ない。
「余裕があれば、どこをどう弄ったのか見せていただきたいところです」
 少女はキャノピー越しにアルガスの翔幻見ながら、ちょっと嬉しそうな口調で言った。
「まぁ、同じ翔幻乗りの誼だ。好きなだけ見て良いが、任務を終えて無事に戻ってからな」
「そういえば少尉。何で『一番良く呼ばれる』のが『コンビニ』なのかしら?」
 エリアノーラ・カーゾン(ga9802)が言った。
「あー‥‥音の響きが似てるからじゃね?」
「音の響き?」
「スリーエスでコンビニらしいぜ。似たような名前の店舗があるんだろ、どっかに」
 なんでも以前依頼で同行したLHの傭兵達が呼びだして定着してしまったらしい。
 進軍するとやがて敵部隊との距離が詰まった。セージ(ga3997)機とカララク機が空へと舞い上がり、起伏の多い雪原を進軍しているワーム達の姿を捉えた。敵方、飯島の予想通りの隊形だ。盾が四機並び、その後ろに砲。その左右に槍槌となっている。
「後ろから空爆か‥‥では、あの白いゴーレムは私が引き受ける」
 シクルが言った。各機、目標へと距離を詰めて行く。
 相対距離三〇〇。
 囮的な意味も込めて丘陵の頂点に立った周防 誠(ga7131)機、彼方の重砲兵HWのうち一機へと複雑な装置が取り付けられたスナイパーライフルを向ける。
「まるで蟹ですね。横歩きが速かったりするんですかねぇ?」
 ガンサイトの中の機影へとそんな呟きを洩らしつつ発砲。ライフル弾が錐揉みながら飛び出す。黒のゴーレムが横に一歩動いて大盾を翳した。激突。甲高い音と共に壮絶な火花を散らしてライフル弾がはじかれてゆく。ガードされたが恐ろしい破壊力だ。
(「大盾持ちの強化ゴーレムとは厄介な敵を繰り出してきたものだぜ」)
 Anbar(ga9009)は胸中で呟いた。とりあえず、担当の盾無しを早々に片付けて、あちら担当へ助勢に行った方が良さそうだな、と思う。
「まずは挨拶だ! 礼はいらねぇぜ?」
 高度四〇の低空を飛行しているセージ機もまた仕掛けた。PRMSを発動、精度を増加し銀のゴーレムへと八連のロケット弾を撃ち放つ。次々にゴーレムへと炸裂して大爆発が巻き起こった。銀のゴーレムが大盾を構えて焔を切り裂いて飛び出してくる。他のワーム達も一斉に加速を開始した。進路、ワームの大半は周防機へと向けている。
「近い的には安全装置が働く‥‥まったく、我儘なライフルですね」
 周防、敵機の接近を見てライフルをリロードしつつ後退する。
「だが、それが良い」
 半身に構え、横に動きライフルを向けながら距離を保つ。横の機動では普通は詰まるが、ゲイルIIの機動性は半端じゃない。傾斜を縫って発砲、リロードしつつ連射。鋭く飛んだ弾丸が次々にHWの胴に命中してゆく。アルガス機ももう一機のHWへとSRD‐02で射撃している。
 二機のHW、突っ込んで来た六堂機と大神 直人(gb1865)機へとそれぞれ砲撃している。巨大な四連の砲弾が次々にバイパーを捉え、大爆発を巻き起こしてゆく。
「この程度じゃ止まってやれねーッスよ!」
 六堂機、爆炎を盾で突き破って駆けてゆく。こちらも止まらない。非常に頑強な造りだ。回避と防御を重視して突撃する大神機。HWは周防機の射撃の衝撃でかなり精度が落ちている。三発を回避し一発をディフェンダーで斬り払って抜けてゆく。
 相対距離一五〇、Anbar機、宙のゴーレムへとスラスターライフルを向け猛射。弾幕射撃で敵の突進を止めんとする。ゴーレムは赤く輝き慣性を制御しブーストを全開に宙を滑るように斜めに突進しながら弾丸をかわしつつ突っ込んで来る。当たらない。一気に距離が詰まる。ほぼ真上まで来た。慣性を制御して大地へと頭部を向け、直角に機動して急降下して来る。高度三〇を切って銃弾が命中し出すが、構わずに突っ込んで来る。
(「‥‥確かにそれだけの鈍器ならダメージも大きいかも知れないが、振り回せてこそだからな」)
 Anbar機、槍を短く持つと退がらず逆に上空へと跳び一気に敵の懐へと飛び込まんとする。振り降ろされる槍槌の機動。交差。アルタイル、すり抜けた。かわした。ハンマーが脇を通り抜けてゆく。
「その欠点を突かせて貰うぜ!」
 機槍を鋭く繰り出す。ゴーレムが赤い残像を残しながら重力を無視した動きで直角に流れる。あちらも速い。
 他方、相対距離一二〇、飯島機、宙を舞うゴーレムへと砲を向ける。ツングースカは対空機関砲。激しいマズルフラッシュと共に弾幕を解き放つ。空を舞うゴーレムは激しく赤く輝くと慣性を制御してスライドし弾幕をかわし、幾つかを受けつつも、槍槌を振りかざし空から突っ込んで来る。ゴーレムは弾幕を受けつつも急降下し、飯島機のコクピット目がけて落雷の如く長大なハンマーを振り降ろす。飯島機はハイディフェンダーとロンゴミニアトを抜き放つと踏み込み一閃させた。
 振り降ろしの槍槌と弧を描いて振るわれた護剣の軌道が交差し、猛烈な衝撃を巻き起こして槍槌が横に弾かれる。地上から空へと向かって繰り出された爆槍がゴーレムの腹を捉えて大爆裂を巻き起こし、次いで再度振るわれた護剣がゴーレムの肩を振り降ろす形で直撃し、その身を大地へと叩き落とした。槍で追撃を入れて再度貫き大爆発と共にゴーレムの身を上下に断ち切る。撃破。
「カララク! よろしく頼むッスよー」
 六堂機、黄金ゴーレムが相対距離六〇まで迫った所で足を止め、空のカララクへと支援要請を飛ばしていた。
「了解。目標補足、これより攻撃に移る」
 黄金ゴーレム、あっという間に六堂へと間合いを詰めて行っている。巻き込まない位置、間に合うか――ロックサイトを合わせる。タイミング――赤く変わった。ギリギリいけるか。
「Air1、FOX‐2!」
 発射コードを無線に発しつつ射撃ボタンを親指で叩き込むように押す。直後、三連の誘導弾が焔と煙を吹きながら勢い良く射出され極超音速で地上のゴーレムへと迫る。
 空からの猛撃に対しゴーレムは前進を止めた。盾を翳し誘導弾を引きつけてから赤輝を纏い横にスライド。誘導弾が白の大地に突き刺さり大爆発を巻き起こして次々に雪を天へと打ちあげてゆく。
 六堂、スタビライザーを発動、バーニアを噴出して再度加速し黄金ゴーレムへと突っ込んでゆく。迫る爆槍。六堂機、盾を傾斜して構え受ける。穂先が表面に激突し削りながら滑って抜けてゆく。焔が虚空を焼いた。
「こいつでどうッスか!」
 片腕を覆う手甲より伸びる爪を繰り出す。ゴーレムが盾を振り上げんとする。六堂機の方が速い。端を抑えた。六堂、盾は抑えた、機杭を打ち込みたい、が、腕は三本無い。
 六堂、盾を捨て左腕で機杭を繰り出す。ゴーレムもまた爆槍を繰り出した。機杭が唸ってゴーレムの左肩に深々と突き刺さり、爆槍がバイパーの右脇に突き刺さる。凶悪な爆炎がバイパーの装甲を吹き飛ばし、焔を突き破って豪速で打ち込まれる機杭が三度、ゴーレムの左肩へと叩き込まれる。パイルバンカーが凶悪な破壊力を炸裂させてゴーレムの左肩を完全に粉砕し、その盾持つ左腕が盾ごと雪原に落ちる。一方、六堂機バイパー、損傷率約一割。脇が少し削れた程度だ。問題無い。凄まじいタフさ。
「とりあえずは時間稼ぎで行きますが‥‥倒してしまってもいいんですよね?」
 シャーリィ・アッシュ機が漆黒のゴーレムと激突している。
 大盾を構え半身に槍構え、ブースト機動で強化ゴーレムが突っ込んで来る。槍の間合い。雪を爆砕しながら漆黒のゴーレムが踏み込み、身を捻りながら機槍を繰り出した。
「二度は無い‥‥見切られる前に決める!」
 シャーリィ機、ブーストを発動、熱剣を振り上げつつゴーレムの右腕側へとステップ・イン、翔幻の脇を削りながら穂先が抜けてゆき凶悪な爆裂が巻き起こり装甲を灼いてゆく。損傷率一割五分。ゴーレムの右手前位置に出た。足首よりパイルバンカーを大地に撃ち込み、円を描く動きで旋回しつつ薙ぎ払う。突き出した腕を狙った。剣閃が走り抜け刃がゴーレムの腕に激突し爆裂が巻き起こる。押し当てながら引き斬った。装甲を裂いたが、切断まではいかない。ゴーレムが後退しながら槍を引き、連撃を繰り出す。シャーリィ機は幻霧を発生させつつ飛び退く。かわした。
「白‥‥迷彩か。だが、それは私の機体も同じだ!」
 シクル機VS白ゴーレム。雪原を互いに駆け距離を詰めてゆく。
(「この高低差‥‥上を取られると厄介だな」)
 シクルはそう判断すると激突予想点より少し横に逸れて丘陵に登った。白ゴーレムが坂を駆け上り、シクル機が坂を駆け降りる。槍の間合い。ゴーレムが踏み込む。
「これでどうだ!」
 シクル、砲をゴーレムの手前へと向けると十八連のレーザーを爆裂させる。積雪が爆砕され、高温に蒸発して水蒸気の霧が周囲に発生する。霧を裂いてゴーレムの爆槍が唸りをあげて迫って来る。シクル機、胴体を狙って来たそれを飛び退いて回避。凶悪な爆炎が空間を焼きつくして抜けてゆく。間近で見るとよく解るが、シクル機の装甲では連続でもらうと一瞬で大破しそうな破壊力。ゴーレムは真紅の光を纏い槍を流星の如くに繰り出す。三連撃。シクル機、機体を捻って回避して、機槍で流して回避し、後ろに飛び退いて回避。性能は相手の方が上だ。上手く動いてかわしているが、何処まで保つか。
 エリアノーラ機、銀色のゴーレムの前へと詰めると牽制するように双機槍を繰り出す。銀のゴーレムは大盾で受け、爆槍を連続で繰り出す。エリアノーラ機は止めて、止めて、止めて、止める。槍で薙ぎ払えばゴーレムが翳した盾に激突して火花を散らした。その間にセージ機は両機の頭上を越えてその後背へと着地している。雪原に着地すると人型へと変形して振り向いた。
 大神、HWへの相対距離五〇、二機まとめて薙ぎ払いたいが丘陵が邪魔だ。範囲内に固まってない。が、既に一機は周防機の射撃によって脚、鋏、砲と吹っ飛ばされている。
「吹き飛べ!」
 少尉が攻撃している方のHWをフォトニック・クラスターで薙ぎ払う。光が炸裂してHWの装甲を焼き焦がした。
 Anbarが距離を保ちつつ機槍を繰り出し、ゴーレムも槍槌の中頃を持ち穂先と石突きを利用して回転させ左右よりの連撃を繰り出す。槍の穂先が槍槌の柄で受けられ、槍槌の穂先がAnbar機を掠めて火花を散らす。その横手より十八発の蒼光がゴーレムへと襲いかかった。飯島機の射撃だ。態勢が揺らいだ隙を逃さずAnbarは槍を繰り出しゴーレムの顔面へと穂先を叩き込んだ。掻きまわして引き抜く。漏電と共に爆裂が巻き起こり鉄の巨人が倒れた。撃破。
 周防はライフル弾を叩きこんで一機を破壊し、大神はブラックハーツを展開しつつ金属の筒を翳してHWへと突撃した。蒼く眩く輝く巨大な光の刃が発生する。レーザーブレード、雪村だ。突進して来る大神機へとHWは砲弾を叩きこんで爆裂を巻き起こし、それでも倒れずに突っ込んで来た同機へと鋏を振り上げる。次の瞬間、壮絶な破壊力を秘めたライフル弾が飛来してその付け根をふっ飛ばした。周防機の射撃だ。鋏がクルクルと宙に舞う。大神は肉薄すると蒼刃を一閃させた。光が奔り抜けた後、HWの装甲が吹き飛び、漏電が発生し次の瞬間、大爆発を巻き起こして四散した。撃破。
「吼えろ、バイパー!!」
 爆槍を受けつつも六堂機が金ゴーレムへと突っ込み、機爪で掴んで機杭を連続で叩き込む。大穴を空けられたゴーレムの瞳から光が消え、次の瞬間爆裂を巻き起こして倒れた。撃破。
「片付いたか‥‥援護に向かう!」
 カララクは無線に言って翼を翻す。
 白ゴーレムと格闘するシクル機は一撃をもらった所で試作型斥力制御スラスターを発動。猛加速して追撃をかわす。カララクから援護するとの言葉が入って、次の瞬間ゴーレムの側面よりミサイルが突き刺さって爆裂が巻き起こった。シクルはブーストを全開に白ゴーレムへと突進し機槍を繰り出す。白ゴーレムが素早く翳した大盾と激突して火花が散った。
「そのまま倒れろ!」
 シクル、パワーで押す。ゴーレムもまた赤く輝いて盾で押し返しつつ爆槍を繰り出す。シクル機は横に飛び退く。穂先が焔を撒き散らしながら抜けてゆく。
「そっちばっかに気を取られてると痛い目見るぞ?」
 セージ機、エリアノーラ機と格闘している銀ゴーレムの後背へと接近するとPRMSを発動、破壊力を増大させた剣で袈裟に振り降ろす。クリティカルヒット。ゴーレムの背が切り裂かれて装甲が吹き飛び、その態勢が崩れた所へエリアノーラが機爪で盾を掴み、間髪入れずに肩の砲から砲弾を叩きこんで爆裂を巻き起こした。
「一緒に踊ろうぜ。死と破壊が奏でる舞踏曲を」
 セージは横に跳んだゴーレムへと至近距離から銃撃と追撃の刃を叩き込み、エリアノーラは機槍を手放して踏み込み、拳を叩き込んで閃光を爆裂させた。
 シャーリィは漆黒のゴーレムと斬り合っている。引く手に合わせて上手く飛び込み、槍の間合いを潰しているようだ。
 ゴーレム達も奮戦したがフリーになった五機がシクルとシャーリィ機を援護して撃破し、セージ機とエリアノーラ機が挟撃体制のまま猛打を加えて破壊したのだった。



 了