タイトル:【ODNK】闇へと向かうマスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 12 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/09/23 19:26

●オープニング本文


 二〇〇九年九月某日、大分県別府基地のとある一室――
「よく生きて帰ってきたな」
 煙草をふかしながら初老の男が言った。別府基地の司令官を務める男である。
「おかげさまでね」
 同じく煙草を咥えた壮年の大佐が答えた。くたびれた士官服に身を包み死んだ魚のような目をした男だ。
 村上顕家、カリマンタン島の大戦ではパランカ・ラヤ市の攻防戦やバンジャルマシン市攻略戦といった趨勢を決する戦いでは常に隊を率いて先鋒としてあり、そして勝利してきた男だ。
「最前線でいつも戦ってたって噂だが、その割には五体満足じゃねぇか?」
「その噂は嘘じゃない。俺の隊はいつも最前線にいて激闘を繰り広げていた。だが、まぁ、別に俺自身が鉄砲振り回して最前線で激闘してた訳じゃねぇからナァ」
 ぼへっと紫煙を吐き出して村上顕家。
「幾万の敵味方の屍を踏み台にして名を挙げたか。悪党め」
「アンタに悪党とは言われたくないね」
 クッと笑って村上は言った。
「貴様には負けるわ。俺は大隊の長としてお前を島へと送り込んだ筈だが、帰ってきたら旅団の長になってやがる。連れていった兵士が減るならともかく、増えてるってのは一体どういうことだ?」
「さて‥‥ま、人徳、って奴じゃねぇの?」
「抜かせ。また誰ぞの弱みでも握ったな。貴様、そんな事ばかりやっているとろくな死に方できんぞ」
「生憎と今日を生きるのに精一杯でね。死ぬ時のことまで考えちゃいない」
 その言葉に司令官は瞳の光を少し強めると。
「村上顕家、こいつは戦友として言っていることだ」
「感謝する。だが、俺は魔法使いじゃない」
 男はそう答えた。
「だから貴様は青いというのだ」
「おっしゃるとおりで」頷いて村上、だるそうな黒瞳を初老の司令官へと向ける「だが俺は俺のやり方でやる」
「‥‥こんな小僧がカリマンタンの雄だというのだからな!」
 老人は憤慨した。
「世も末だ。相当回りにボンクラしかいなかったようだな」
「本物の英雄は早く死ぬからな。赤竜のルウェリンしかり、佐々木仁衛しかり。生き残るのは俺のような連中ばかりになる」
「生き残る? 違うな」
 老人は言った。
「貴様のような奴はここ一番で死ぬのだ」
「‥‥そりゃ有難くない予言だ」
 ぼへっと煙を吐き出しつつ村上顕家。
「ま、そんじゃここ一番が来る前にやる事やっちまいますかね」
「兜ヶ崎か?」
「いや、村だけ取り返したって仕方ねぇだろ。異星の奴らは大分からまとめて叩き出す。幸い、福岡の方で派手にドンパチやってるからこっちは手薄だろう? あっちの方じゃ大規模作戦か、ってくらいに派手に飛んでるって聞いたぜ?」
 その隙を突く、と村上は言った。
「ああ、だから戻ってきたのか。ハイエナのような奴だな」
「押せる時は一気に押す。叩けるうちにとことんまで叩く、そう俺に教えたのはアンタだろ?」
「だが、あちらが崩れれば、こちらも呑み込まれるぞ?」
「勝つさ、連中は」
 紫煙を吐き出しつつ村上。
「例えそうでなくとも、負けたら負けたで、俺が将軍になるだけだろうよ」
 男はクッと喉で笑った。
「‥‥本音は?」
 老人が問いかけた。
「五分かね」
 笑みを消し、少し真面目な顔をして村上は答えた。
「やはりバグアどもには底力がある。春日が潰れるまでどう転ぶか解らんだろうよ。北京もある。大陸から一気に流れてくる可能性だって無い訳じゃない。だが、今をおいて他に機会が無い。やるしかねぇ。ここで後方を押さえておけばあちらの援護にもなろう」
「そうか、解った。なら行け」
「ああ」
 男は頷くと灰皿に煙草を押しつけ、灰色の部屋から出て行った。


 風が吹く丘の上、彼方には兜の山が見えた。
(「帰ってきた。俺は、帰ってきた」)
 男はそう胸中で呟いた。 
(「帰ってきた、帰ってきた、帰ってきたぞッ鳥居ぃぃぃぃィ! てめぇの遺志を継ぐクソッタレどもとなッ!!」)
 村上顕家は空を見上げた。まだ残暑の残る、日本の秋の空だ。
「大佐」
 背後から声が聞こえた。振り向かなくても解る。KV隊を預けてある不破真治だ。
「村上旅団、兵力六千、出立の準備、整いました」
 六千、バグアの襲撃を受けたあの日から、十数年以上をかけて、たったの六千。九州を異星人達から取り戻す為には絶望的なまでに少ない。
 かつて共に立った盟友は既に亡く、若き日に戦場を共にした者達の姿も既に亡い。皆、彼岸へと渡って行った。
 振り返る。
 不破真治が立っていた。剽悍な面差しの屈強な若者だ。鳥居尚孝の教えを受け、その遺志を継いだという。かつての戦友達は既になくとも、その志を継ぐ若者達の姿がある。
「たかが六千。だが、ただの六千じゃねぇぞ‥‥」
「‥‥大佐?」
 不破真治が怪訝そうな表情をした。
「ああ、なんでもない。マヌケ面してんじゃねぇ。行くぞ」
 歩き出す。
「大佐」
 不破が後方からついて来ながら言った。
「なんだ?」
「いえ、その、気をつけてください」
「‥‥なに?」
「鳥居分隊長が以前、村上大佐はやる気を出した時に限って失敗する、と」
「‥‥‥‥‥‥なんだと?」
「何時も通り、冷静に、悪党っぽく、やる気なさそうにお願いします。うちの大将はそんな熱血な目はしてません。コレジャナイアキイエ状態ですよ?」
「コロスぞてめぇ」
 村上は眼光を一つくれた。不破が平謝りしてきた。村上は帽子をかぶりなおした。
 息を一つ、吐く。
 その時には既に男の目は死んだ魚のようなそれに戻っていた。

――ただ一つ命燃やすならば、闇へと向かう松明となれ。

 かつて、鳥居尚孝はそう言った。
 二〇〇九年九月某日、秋の風はまだ暑く、未だ夏の気配を強く残していた。

●無線
 あー、あー、こちら司令部、村上顕家だ。作戦を確認する。
 現在大分でバグア側が勢力を持っているのは北部六市一町、日田市、中津市、宇佐市、杵築市、豊後高田市、国東市、日出町の七つ。
 俺達は別府より進軍し宇佐市を断つ。ど真ん中だ。これを押さえれば敵側は二つに分断される形となる。
 当然他の場所を攻めた時よりも敵の反撃は熾烈になるだろうが、ここを凌げば後が楽だ。まず第一撃は急所にぶちこむ。幸いバグア軍の目は福岡に向いている。たとえ敵が援軍を要請しても、その集まりは常よりも悪いだろう。後々、一番厄介になりそうな箇所を、今のうちに潰す。これを失敗する訳にはいかない。初撃が肝要だ。ぬかるなよ。
 宇佐市での攻防、おそらく市街戦になるだろう。まず十号を北西へと貫いて市境手前まで抑える。後に部隊を六つに分ける。侵攻部隊は三つ、一つは西の抑えで、二つは予備だ。侵攻部隊は主道、A点、B点、C点に移動展開しつつ包み込むようにして敵を東へ押す。西南北主道沿いに戦車とKVを先頭に立てて押す、押しながら歩兵戦力で市内へと浸透する。東は開けておいて良い、塞ぐな。敵が逃げ始めたら背中から撃て。
 なお、頭上の抑えは空軍が請け負ってくれる。今回は俺達は陸上に専念すれば良い。以上だ。

●参加者一覧

国谷 真彼(ga2331
34歳・♂・ST
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
アッシュ・リーゲン(ga3804
28歳・♂・JG
セージ(ga3997
25歳・♂・AA
リン=アスターナ(ga4615
24歳・♀・PN
ヴァシュカ(ga7064
20歳・♀・EL
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
乾 幸香(ga8460
22歳・♀・AA
狭間 久志(ga9021
31歳・♂・PN
舞 冥華(gb4521
10歳・♀・HD
番場論子(gb4628
28歳・♀・HD
カタリーナ・フィリオ(gb6086
29歳・♀・GD

●リプレイ本文

「村上が前のめりになっている様だな?」
 傭兵の一人、アッシュ・リーゲン(ga3804)が煙草を吹かしながらククッと笑った。
「俺は良く知らぬが、この地は大佐達には因縁が深い場所らしいからな」
 筋肉の塊のような巨漢が言った。ハラザーフ・ホスロー大尉だ。
「‥‥大丈夫、なのでしょうか?」
 国谷 真彼(ga2331)がふむ、と顎に手をやりつつ言った。
「貴方がたに倒れられては、ラナライエル君が例の物への手掛かりを失いますからね」
「‥‥あの娘、まだ諦めていないのか? あれだけの目にあえばもう近寄らんだろうと考えていたが」
 ハラザーフが半ば呆れたような顔で言った。
「まぁ、村上大佐に関しては、不破真治あたりが良きに計らうだろうさ。大佐も気づけば、それに引きずられるような男ではあるまい」
「そう願うぜ」
 アッシュが言った。
「珍しいモノは凶兆と言われる、司令官殿にはいつも通りの調子でいて欲しいものだ」
 一方、その不破真治は村上に報告をしてきた後に、久しぶりに再会した面々と挨拶をしていた。
「久しぶりだな。不破准――大尉、すごい出世だな。二階級特進の前借でもしたか?」
 セージ(ga3997)が右手を差し出して言う。
「この前会った時は少尉になってて、今は大尉とは‥‥随分出世したものね?」
 苦笑しながら言うのはリン=アスターナ(ga4615)だ。
 不破は握手を交わししつつ、
「二人とも久しぶりだ。おかげさまで兜ヶ崎からこっち、隊としては負け知らずで来てるからな――大佐が別の意味でも、上手いことやってるような気もするが」
 と苦笑しながらそんな事を言った。
「ともかく、以前共に戦った者がいるのは心強い。今回もよろしく頼むぞ。この侵攻を以って、この地での奴等の天下を終わらせてやる」
「ええ、私たちは、こんな所で足踏みしてられない。我が物顔のバグアどもの横っ面、一発引っ叩いてやりましょ」
 頷いてリン。
「おう、任せておけよ」
 拳を握ってセージが言う。
 三人はゴツと拳を合わせるとそれぞれの方向へと散っていった。
「今回は、激戦になりそうだね‥‥」
 他方ではヴァシュカ(ga7064)がそんな事を呟いていた。銀髪の娘は隣に立つ黒髪の男を見上げて言う。
「誠さん、今回こそ無茶しちゃ‥‥や、ですよ〜?」
「‥‥善処します」
 周防 誠(ga7131)はにこりと笑いつつそう銀髪の女に答えた。どうも、仲間が危機に陥ってしまった時など、いざとなると無茶してしまう性質なので、なかなか難しい注文であった。特に、ヴァシュカは周防誠にとって最も大事な友人である。いざという時は、必ず守ると決めていた。
「‥‥む〜?」
 銀髪の娘は疑わしそうに周防を疑わしそうに見ている。なかなか勘は良いらしい。
 周防は胸中でまいったね、と呟きつつ澄み渡った九州の空を見上げた。秋晴れの蒼い空だ。
「死にはしませんよ、必ず生きて帰ります」
 そう、言った。


 二〇〇九年、秋。インドネシア国南カリマンタン州から日本国九州が大分に戻ったUPC軍大佐、村上顕家は大分県全域の奪還作戦を上層部に具申した。福岡では友軍とバグア側勢力が激しい攻防を繰り広げており、敵の戦力はそちらに集中している、この機を逃す手はない、との事である。
 大分県別府基地を預かる日向冬治准将はこれを認め、村上は別府の抑えを准将に託すと、同年の九月某日、兵力およそ六千を数える独立混成旅団を率いて宇佐市へと侵攻を開始した。
 宇佐市は以前より地球側勢力と異星側勢力とが激突を繰り返している競合地域であり、大分県上の勢力分布図から見れば中央に当たり、要衝の一つである。K島にいた村上旅団の兵力移動は外部には伏せられていた形であり、この侵攻は完全ではないにしろ敵の不意をついての侵攻となる。これに負けるようでは大分の解放などおよそ無理な話となる。宇佐市解放戦はすなわち、大分県解放戦そのものの今後を占う一戦でもあった。


「急所に一撃叩き込んで、兜ヶ崎は勿論ここら一帯からバグアを叩き出す‥‥上等、やってやろうじゃないの‥‥!」
 リン=アスターナがイビルアイズの操縦桿を握り言った。十三機のKV、六十六両の戦車、九十六門の自走砲が土煙りをあげて動き出してゆく。機械化された六千の兵団がそれに続いた。
 津波のように、彼等は進んでゆく。
「‥‥地理に明るいせいかな?」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)は振動に揺れる雷電のコクピットの中で呟きを洩らしていた。
 村上大佐の作戦は要所を押さえて面白い、と思った。
(「敵陣を切り崩し、宇佐市街を解放する‥‥やってみようか」)
 混成旅団は別府から宇佐市へと入り、十号に沿って北西へと進軍した。
 村上は市境まで前進すると旅団を六つの大隊に分け、うち三つを主な道路上、西のA点、北のB点、南のC点を中心に半円を描くように展開させ、侵攻にあてさせた。
 ホアキン・デ・ラ・ロサが所属するアルファ大隊は西のA点より東へ侵攻する役割を課せられていた。
「増援が来る前に、素早く片付けてしまいたい所ですわ」
 カタリーナ・フィリオ(gb6086)が言った。彼女もまたアルファ大隊に所属している。アルファには他にリン、ヴァシュカ、周防の三機が所属していた。KVは合計五機。
 またアルファ大隊には、戦車中隊二十二両、自走高射砲二個中隊三十二門、機械化歩兵千名、およびハラザーフ・ホスロー率いる精鋭中隊二百名がついている。
「今回は陸戦だし、墜落の心配はないかな。ただの旧型機じゃないところを見せてやろう」
 狭間 久志(ga9021)がコンソールのスペースに設置されたハヤブサのぬいぐるみを指で弾いて呟いた。紫電と名付けた愛機も同様にハヤブサだ。北のB点から南への攻撃を行うベータ大隊に所属している。
「皆さんの脚を引っ張らないように、あたしも頑張ちゃいますから、作戦を必ず成功させましょうね」
 イビルアイズに搭乗する乾 幸香(ga8460)が言った。彼女もベータ大隊の所属だ。ベータには他にアッシュ、セージの二機が所属している。合計四機。戦車二十二両、自走砲三十二門、歩兵千の編成だ。
「うん、この街が故郷だった人たちのためにも、冥華がんばってとりもどす」
 舞 冥華(gb4521)がゼカリアのコクピットの中で頷く。彼女はチャーリー大隊に所属していた。他には番場論子(gb4628)、国谷、不破の二機が所属している。合計四機。こちらもベータ大隊と同様に戦車二十二両、自走砲三十二門、歩兵千の編成だ。
「間もなくUPCの領域を越える。交戦地域に入るぞ。準備は良いか?」
 不破真治がKV隊へと無線のチャンネルを開いた。
「問題ありません。行きましょう」
 ロジーナのコクピット内で番場が言った。他のメンバーも特に機体トラブルなどは無いようだ。
「了解、行くぞ!」
 混成旅団はKV隊を先頭に三方から宇佐市の中心を目指した。

●劫火と共に
「アルファ交戦!」
「チャーリー交戦!」
「ベータ交戦!」
 無線が激しく交錯する。
 バグア側とて黙って奪還を許しはしない。市街の有利な地点を抑え、迫りくる村上旅団へと猛攻を加えた。瞬く間に市街の各所で猛火が吹き荒れ、轟音が轟き、銃弾が宙を裂き、砲弾がアルファルトの地面やビルを爆砕して破片を撒き散らした。
 爆炎吹き荒れる片道四車線の道路上に四機のKVと四両の戦車が展開し進んでゆく。後方から歩兵達が続いた。残りの十八両の戦車は主道以外の道に回っていた。
「陣形というほど大したものはありません」
 作戦前に国谷は言った。敵に接近された場合、国谷機と番場機で防ぎ、長射程ではゼカリアや国谷機のデルタレイで押してゆこうという算段らしい。また国谷は「舞君と歩兵へのフォローを」と不破に要請していた。
「確かに、戦車は接近戦に弱いが‥‥直衛につけということか?」
 不破は解った、と頷き、それを受諾した。
「しかし‥‥それで、もつのか?」
「護りますよ」
 国谷はそう答えた。彼には彼の決意がある。
「そうか」
 と、不破は頷いた。
 チャーリー大隊は南から北へと伸びる道の途中で敵の部隊と遭遇していた。
 番場はIRSTで走査しながらツングースカ機関砲で弾丸をばらまき、並び立つ国谷もまたレーザーガトリングで閃光を撒き散らしている。冥華機から弾幕が張られ、不破機、および四両の戦車から砲弾が飛んだ。
 対するバグア軍は両肩に二門の砲と大剣で武装した青いゴーレムおよび長剣と大楯を構えた体長七メートル程度の四匹の黄金の竜巨人を前面に立て、脇から歩兵達が射撃を繰り出すという戦法を取っていた。ゴーレムや大型キメラの攻撃だけでなく、ビルの上や陰から歩兵の弾丸や砲弾が飛んでくる。それを抑えるように大隊の歩兵達が建物を盾にするように両サイドに展開し、サブマシンガンで猛射し、携行する無反動砲から砲弾を撃ち放っていた。
 両軍が激突し火線が荒れ狂う中、青いゴーレムが先頭に立つ国谷機へと二連の砲門を向けた。轟音と共に真紅に燃え盛る巨大な火球を撃ち放つ。国谷機は素早くスラスターを吹かせてスライドし回避した。ゴーレムが国谷の回避コースの先へと追撃の火球を撃ち放つ。避けきれない。巨大な二連の火球が迫り来て国谷機に炸裂し爆裂の嵐を巻き起こした。激震がコクピットを襲う。国谷はウーフーを横に機動させ炎を割いて飛び出すとレーザーガトリングを向け猛射した。国谷機損傷率一割未満、なかなか頑強だ。百五十発の閃光がゴーレムへと襲いかかる。ゴーレムもまた素早く機動し回避運動を取るが、避けきれない。青の装甲が光に削られ吹き飛んでいった。
 四匹の黄金の竜巨人が大きく顎を開いた。光の粒子が咥内に集まり次の瞬間、轟音と共にプラズマのブレスが吐き出される。狙いはロジーナ、番場機だ。
 番場機のコクピットからの視界の全てを埋め尽くして十二連の閃光が迫りくる。番場は咄嗟に盾を翳した。プラズマの嵐がロジーナを呑みこみ、その装甲を消し飛ばしてゆく。損傷率が猛烈な勢いで上昇してゆく。激震にコクピットが揺れた。
 ブレスを吐き出す黄金竜の一匹が全身から鮮血を噴き出した。弾丸の嵐を受けて、その身を躍らせる。冥華機だ。鋼色のゼカリアはスラスターライフルを用いて猛弾幕を張り黄金竜を蜂の巣にしてゆく。九〇発の弾丸を受けて黄金竜が倒れた。戦車から放たれる砲弾が次々に竜巨人に命中し爆炎を巻き起こしてゆく。
 ビルの屋上から煙を吹いてロケット弾の嵐が襲いきた。六発。携行式の対KVランチャーだ。戦車の一両に五発が命中し爆発炎上した。大破。
 不破機から砲弾が飛び、竜巨人の盾を吹き飛ばす。番場が素早くツングースカ機関砲の砲門を向け強烈なマズルフラッシュと共に猛連射した。弾丸の嵐を受け黄金竜の一匹が鮮血を噴き出して倒れる。

●ベータ
 ベータ大隊もまた主道上で敵の部隊と激突していた。両軍の歩兵が激突し戦車の主砲が炎を吹いている。道路上に展開する四機のゴーレムが、肩に備えた二連の砲門から炎を噴出させていた。唸りをあげて火球が嵐の如くに迫りくる。狙いは、狭間機。
 しかし狭間はハヤブサを横にスライドさせながら突進し、火球を次々に掻い潜っていった。速い。紫電と名付けられたそれは、その名の通りに稲妻のごとく駆ける。バグア兵から面で放たれていた弾幕が機体の装甲を叩き甲高い音を立てる。が、狭間機の装甲を脅かす程の威力はない。空気が唸る。狭間は間合いを詰めるとガンサイトに敵機付近の道路を納めた。爆風範囲を計算し、グレネードランチャーから砲弾を撃ち放つ。轟音と共に砲弾が飛び、アスファルトに炸裂して爆発を巻き起こした。広範囲に飛び散る破片がゴーレム達の装甲を穿つ。
 アッシュ機ロビンは盾を構えつつ、狭間機を狙っているゴーレムへと高分子レーザー砲を連射した。同時にレーダー走査で発見した建物内部にいる敵歩兵へもレーザー砲を放って建物ごと吹き飛ばしておく。セージ機シュテルンもまたゴーレムへと向けミサイルポッドから小型ミサイルを撃ち放った。四十五発のミサイルが飛び出す。ゴーレムは攻撃を中断し、宙へと跳躍して、襲い来る閃光の嵐と大半のミサイルをかわす。爆裂がアスファルトに巻き起こる。セージ機はレーザーを放ちながら前進する。
 乾が搭乗するイビルアイズはバグアロックオンキャンセラーを発動させていた。曰く「今から『殺虫剤』を散布しますから、『G』が弱って居る間に思い切り叩いちゃって下さいね」との事だ。キャンセラーを発動させつつ敵の分断を狙って対戦車砲を連射している。砲弾がゴーレムの肩に直撃した。瞬間、敵の方からも砲撃が撃ち返されて来る。巨大な火球がイビルアイズの胴に炸裂し、爆裂を巻き起こした。

●アルファ
 怒涛の攻撃、という言葉がある。
 彼の攻撃を形容するなら、まさにそれだろう。
 Inti、太陽の神の名を冠せられたXF‐08D雷電、ホアキン・デ・ラ・ロサの愛機。32cm高分子レーザー砲を構えると閃光の嵐を解き放った。
 圧倒的な破壊力を秘めた蒼い光が、ゴーレム、戦車、キメラ、歩兵、立ちはだかるモノ全てを消し飛ばしてゆく。最新鋭のKVとて装甲の増設がなければ、もって二発、三発受ければ確実に消し飛ぶ威力だ――それだけならエースクラスなら、そこまで珍しいものでもない。だが、十秒間にリロードしながら八連射、合計二十四発の閃光を爆裂させる事ができるKVというのは、そう存在するものではない。
 これで単騎で突っ込むような手合いならば、対処のしようもあるがホアキンは堅実だった。仲間達と歩調を合わせ、巧みに連携し、効果的に前進、敵を撃破してゆく。
「アレには負けるけどね‥‥こっちの火力も、捨てたもんじゃないわよ!」
 リン=アスターナはイビルアイズのロックオンキャンセラーを用いて重力波の乱れを発生させながらマシンガンで弾幕を張り、敵を牽制し、味方を援護している。後方からは周防のワイバーンがスナイパーライフルを構えて精密に狙撃を仕掛けていた。こちらの精度、破壊力も並みではない。無改造のゼカリアが放つ主砲よりも威力が高いライフル弾が、針の穴を通すような精密さで、スナイパーライフルにあるまじき速度で猛連射されるというのは撃たれる側にとってははたまったものではない。
「こっちも伊達にライフルなんて背負ってるわけじゃないんですよ‥‥当たれ!」
 次々に強烈な威力を秘めた弾丸が飛ぶ。周防の狙撃によってゴーレムの下半身が撃ち抜かれ、態勢を崩せば、もはやそのゴーレムには数秒の未来も残されていなかった。即座にホアキン機やヴァシュカ機から閃光の嵐が飛んで粉々に消し飛ばされてゆく。
「‥‥ボクの通り名には急襲って意味もあるんだ‥‥気を逸らすと一気に噛み砕いちゃうよっ」
 ヴァシュカ機アンジェリカは盾を構え援護を受けながら間合いを詰めると、周防の狙撃で態勢を崩してゆくゴーレムへとDR‐2荷電粒子砲を構え爆裂するプラズマの奔流を解き放った。豊富な練力にものを言わせて連射してゆく。破壊の嵐が巻き起こった。
「ビル内部に敵兵、ですか――了解いたしましたわ」
 カタリーナが無線を受けて言った。ヴァシュカは攻撃の他にもよく機器で状況の把握につとめ、敵の歩兵達の配置などへも注意を払っていた。砲撃の要請を受けたカタリーナはゼカリアの主砲を回頭させると彼方のビルへと狙いをつけた。戦車の構造的に急角度はつけられないので地上部を狙う。
「砲撃であのビルごと崩壊させてしまいますわね。ファイアッ!」
 轟音と共に猛烈な勢いで砲弾が飛び出す。三連射。420mmの砲弾が爆裂しビルの土台部分を粉々に打ち砕いた。瞬後、地響きをあげて巨大なビルが倒壊してゆく。
――勝負にならない。
 親バグア兵達は悲鳴をあげながら雪崩を打って後退してゆく。生き残りのゴーレム達もそれに続いた。
「‥‥御前ら、化物か?」
 アルファ大隊の隊長から半ば呆れたような声が無線に響いた。
「おかげでこちらは楽で良い」歩兵中隊を率いるハラザーフ・ホスローが軽口を飛ばした「現状、こちらは圧倒的に有利な状況にあります。しかし、油断は禁物です。噂の敵のエース機が出てきていない」
「‥‥そうだな。KV隊、思わぬ反撃があるかもしれん。注意して前進してくれ」
 その言葉に傭兵達は異口同音に了解、と返したのだった。

●チャーリー
 激闘を続けるチャーリー大隊。火球では埒があかないと判断したか、ゴーレムが大剣を携えて迫りくる。冥華機ゼカリアからスラスターライフルを用いての弾幕が飛んだ。ゴーレムは弾幕に対し宙に跳躍して回避した。そのままバーニアを吹かせて空を駆け左右にスライドしながら突っ込んでくる。
 国谷機はブーストを発動させるとデルタレイを用いて猛連射した。爆光が唸りをあげて飛び、宙のゴーレムを掠める。ゴーレムは閃光に装甲を削られながらも国谷機に迫り、慣性制御で急降下して大剣を振り下ろした。国谷は如意金箍棒をかざして受け止める。大剣と機杖との間で火花が散った。
 不破と戦車の砲弾が爆裂し黄金竜を爆炎に包みこむ。番場が機銃で猛射して追撃を入れ、さらに一匹を打ち倒した。最後の一匹となった黄金竜はやはり番場機へとプラズマブレスを撃ち放つ。閃光がロジーナの装甲を吹き飛ばした。損傷率五割八分。
 竜巻のごとく放たれる四連斬を国谷機は凌ぎきると、機杖を振るって猛打を与えた。三連の打撃を受けてゴーレムの首がひしゃげ、漏電を巻き起こしながら大破し倒れて行く。
 最後の黄金竜は冥華機のスラスターライフルと番場機のツングースカから放たれる弾幕に呑みこまれ、鮮血を撒き散らしながら倒れた。

●ベータ
 爆炎をかいくぐり素早くゴーレムへと間合いを詰めた狭間機紫電はソードウイングで突撃をかけた。交差ざま紫電の翼でゴーレムの胴を薙ぐ。翼の端が入り、ゴーレムの装甲を斬り飛ばした。金属の筒を引き抜くと長大な蒼光の刃を出現させ斬りかかる。蒼の一閃。大剣で受けようとしたゴーレムよりも速く、その頭部から胸部までを深々と断つ。ゴーレムの傷口から漏電が発生し、爆裂を巻き起こして倒れる。大破。
 セージ機はレーザー砲を放ちながら跳ぶと、バーニアを吹かせながら宙よりゴーレムへと迫った。ゴーレムは砲門を空へと回すとセージ機へと猛射した。爆裂する四連の火球がセージ機へと襲いかかる。セージはスラスターを操りPBMを発動させると空中で素早くスライドしてその猛火を回避した。宙から矢の如く降下しヒートディフェンダーを振りかざして斬りかかる――というのはフェイクだ。回頭させていた対戦車砲のサイトにゴーレムを納めるとPBMを発動させ至近距離から破壊力を増大させた砲弾を連射する。ゴーレムは素早く横に飛退いた。放たれた二発の砲弾のうち一発がゴーレムの脇腹を捉え、爆炎を巻き起こした。
 ゴーレムは地に降りたシュテルンへと猛然と大剣を振りかぶると剣閃の嵐を巻き起こした。セージ機はディフェンダーを使って受け流し、かわす。
「ふう、危ない危ない。気を抜けば落とされる‥‥か。嫌いじゃないぜ。そういうの!」
 軽口を叩きながら続く猛撃をディフェンダーを使いつつ機体を捌いて紙一重でかわしてゆく。
 アッシュ機はアリスシステムとマイクロブーストを発動させると宙へと飛びあがったゴーレムをレティクルに納め猛連射する。九条の閃光が宙で機動するゴーレムに命中しその装甲を削り取ってゆく。ゴーレムは空中でスライドしながらアッシュ機へと火球を撃ちおろした。ロビンは素早く飛退いて回避する。回避先へも次々に火球が飛んでくる。アッシュ・リーゲンは愛機を左右に切り替えしながら機動させ、それも回避してゆく。
 乾機はキャンセラーを維持しつつ機銃で弾幕を張りながらゴーレムへと接近してゆく。ゴーレムもまた突進しながら火球を連射した。弾丸がゴーレムの装甲を叩き、三連の火球がイビルアイズの胴に次々に炸裂して装甲を消し飛ばしてゆく。コクピットを激震が襲った。損傷率およそ三割。
 爆炎を割いてイビルアイズが飛び出し、ゴーレムが大剣を振りかざして迫りくる。乾機はヒートディフェンダーを抜き放つと大地を揺るがせながら踏み込み袈裟斬りに一閃させた。ゴーレムが加速し、横に素早くスライドして間一髪でその斬撃をかいくぐる。ゴーレムは弓をひくように剣を構えると猛然と大剣の切っ先を繰り出す。乾機はヒートディフェンダーを横に払う。轟音と共に火花が散り、大剣が火剣に激突して弾かれた。乾はすくいあげるように斬り上げを放った。ゴーレムは素早く反応して上体を逸らす。火剣の切っ先がゴーレムの装甲を掠め斬った。剣の切っ先から爆炎が巻き起こる。乾は素早く最上段に剣を構えると踏み込みながら落雷の如く打ちおろした。今度はゴーレムは後方へ跳び、回避しざま砲門を乾機へと向け爆裂する二連の火球を撃ち放った。乾機は横にスライドしながら踏み込み、紙一重で二発の火球を避け、間合いを詰める。良い勝負だ。
 一機葬った狭間機紫電は素早く銃口を回すとアッシュ機と撃ちあっているゴーレム目がけて高分子レーザー砲を猛射した。側面から爆光が襲いかかり、ゴーレムの装甲を消し飛ばしてゆく。
 マイクロブースターで加速しているアッシュ機は打撃を受け態勢を崩しているゴーレムへと猛然と突っ込んだ。金属の筒を引き抜くと光の短刃をその手に掲げる。練剣白雪だ。
「灼け! クリムゾン!!」
 体当たりするようにして刃を突きだす。光刃がゴーレムの装甲を貫通し、柄元まで深々と埋まった。アッシュ機はそのまま刃を横に払いながら引き斬った。ゴーレムの装甲が大きく引き裂かれ、電流が噴き出し、次の瞬間、爆裂を巻き起こした。ゴーレムの瞳から光が消え、倒れる。大破。
 セージ機はヒートディフェンダーを振りかぶると三連の剣閃を巻き起こした。ゴーレムは素早く身を捻ってかわし、後退してかわし、大剣で打ち払って回避した。そしてセージ機へと猛然と大剣を振りかぶると竜巻の如く四連斬を放つ。セージ機は素早く機動すると右に踏み込んで避け、剣で受け流して避け、後退して回避し、跳躍してかわした。お互い、なかなか当たる気配が無い。
「どうした! この程度ついて来れなきゃ話にならないぜ?」
 宙に浮かぶセージ機が外部スピーカに向けて嘲笑を飛ばした。それはそっちも同じ事だろう、と言わんばかりにゴーレムが猛然と砲門を向け火球を連続して撃ち放つ。セージ機はスラスターを吹かせると空中で素早く横に動いて火球の嵐をかわしきる。着地の瞬間を狙って放たれた火球も、やはりスラスターを用いて滑らかに着地しながら斜めにスライドしてかわす。直後、ゴーレムの背に閃光が爆裂した。アッシュ機と狭間機の射撃だ。隙を見逃さずセージ機は間合いを詰めると火剣で袈裟斬りに叩き斬った。爆裂が巻き起こる。衝撃に揺らぐゴーレムへと連撃を叩きこみ、爆炎を巻き起こして打ち倒した。大破。
 最後のゴーレムもまたフリーになった三機からの射撃を受け、態勢を崩した所へ乾機から滅多斬りにされて爆炎に包まれ大破した。

●アルファ
 レーダーはその原理上、捉えられる範囲には限界がある。例えば、今回の場合、大隊に近い距離のビルの屋上などに移動したゴーレムなどは、レーダーでは捉えられなかった。
 ホアキン・デ・ラ・ロサは堅実ではあったが、時には盾を構えて前進し、危険な箇所へは進んで前に出て、場を制圧し、後続の前進を助けるといった積極性ももち合わせていた。
 屋上からその様を観察していた漆黒のゴーレムは、XF‐08Dインティがビルの真下の十字路にさしかかった時、大楯と爆槍を構えて空へと躍り出て、背からバーニアを吹かし、地上部へと猛突撃をかけた。普通ならば地面に激突する機動、慣性制御を用いてこそ成し得る奇襲だった。
 唸りをあげてゴーレムは雷電の頭上へと迫り、流星の如く槍を突き出した。唸りをあげて穂先が飛ぶ。インティは素早く反応し頭上へと盾をかざした――読んでる。ホアキン、奇襲についても警戒している。穂先と盾が激突し、凄まじいまでの破壊力を秘めた爆炎を巻き起こした。ゴーレムは地面に激突する前に重力を無視した動きで翻り、さらに流星の如く高速で突きの猛連打を放つ。インティは一歩右足を引いて半身になってかわし、盾を使ってかわし、後退してかわし、スウェーしてかわし、レーザー砲から槍にもちかえつつ柄で穂先を払ってかわした。
 ホアキンは裂帛の気合と共に、かわしざまにカウンターの槍撃を放った。加速する穂先が深々とゴーレムの胴に突き立つ。
「全てを貫けグングニル!」
 インティは背からバーニアを吹かせ、ブーストで加速し、そのまま圧倒的なパワーに物を言わせて、ゴーレムをビルへと叩きつける。出力を全開にして穂先を押し込みビルの壁へとゴーレムを縫いつけた。
 ホアキン機は槍を手放し素早く金属の筒を抜き放つと蒼光のレーザーブレードを抜き放って一閃させた。瞬間、ゴーレムの身が猛烈に赤く輝いた。並みのKVなら一撃で破砕される壮絶な破壊力を秘めた蒼刃が赤い障壁と激突し激しく鬩ぎ合う。瞬後、蒼刃が弾き飛ばされた。エース機、傷一つついていない。
 ホアキンはソードウィングを用いて超速で猛連撃をかける。同様に赤く輝くゴーレムにはまったく刃が通らず弾き返される。しかし六発目が命中したところでゴーレムから赤い輝きが消えた。七発目の刃がその装甲を深々と斬り裂いた。インティが飛退く。瞬後、カタリーナ機ゼカリアから散弾の嵐が飛んだ。
「生憎ですけれど、高々エースの一人や二人で覆せる状況ではありませんことよ?」
 散弾がゴーレムを呑みこみ、周辺もろとも破壊の嵐を撒き散らす。リン機がスラスターライフルで嵐のごとく九十発の弾丸を叩きこみ、周防機からライフル弾が、ヴァシュカ機からレーザー砲の嵐が放たれ、さらに追撃とばかりにカタリーナ機ゼカリアが420mmの主砲を撃ち放った。
 エース機は猛烈な破壊の奔流にのみ込まれ、装甲を次々に破砕しながら、やがて粉々になって消し飛んだ。余波でビルが倒壊し始め、やがてその残骸がかつてゴーレムであったものを瓦礫の底に沈めた。


 敵の主力ゴーレムとキメラを葬り去った三つの大隊は敗走を始めた敵部隊を三方から追撃し、その半包囲の輪を狭めて袋の中の水を絞り出すように東へと追い落とした。その頃には敵は総崩れに陥っており、合流した三つの大隊は敵兵を追いに追って殲滅的な打撃を与えた。
 この一戦により、宇佐市からはバグア側の勢力が一掃され、バグア襲来から長らく制圧下にあった地帯をついに奪還する事に成功したのだった。

 なお作戦終了後には負傷者の天幕の中で軍医達を手伝って一人の少女が治療活動を行っていた事を追記しておく。

 了