タイトル:【ODNK】風神マスター:望月誠司

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/02/13 13:34

●オープニング本文


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 二〇一〇年初頭、宇佐市、日出町、杵築市の二市一町を攻略した村上旅団は進路を北へと取り、豊後高田市の攻略へと乗り出した。
 自走砲の砲弾が炸裂し、ボディアーマーとヘルメットを身につけた兵士達が津波のように前進し小銃や無反動砲を手に進んでゆく。UPC軍と親バグア軍は高田市各所で激突し、激しく弾丸と焔を交差させてゆく。
 北方。片道二車線の道路から銀と黒の影達が迫る。身の丈は大小あり概ね人間サイズだろうか。一様に身に密着する黒のボディスーツ、ベスト、ブーツを身に着けていたが、その身体のラインの凹凸は所々歪であった。ある者は腿が、ある者は腹が、ある者は上腕が、身体のあちこちが、箱でも詰められているように飛び出ている。ある者は顔の半分が、ある者は全体が、銀に輝く鋼で覆われていた。仮面をつけているようにも見えたが、注視すればそれは肉に喰い込んでいるのが解る。肉と鋼が、繋がっていた。鋼の面に穿たれた片目は、あるいは両眼は、真紅の色に輝いている。彼等は鋼と肉が混ぜられた生体兵器だった。人をベースに造られた、サイボーグキメラとでも言うべきものか。
 爆炎を背に悠々と前進し、手に小銃を持ち弾幕を撒き散らす。相対した旅団の歩兵達は遠く離れたビルの陰に隠れながら小銃を撃ちこんだが、共に弾丸はスーツを滑り、あるいは貫いてもその奥に発生した赤光に弾かれ、ろくなダメージを与えられない。
「化物が。徹甲弾くらってケロッとしてやがる」
「今に始まった事じゃねぇな。とっと退くぞ」
 その分隊を率いる軍曹は部下に声をかけ無線に一報を入れると脱兎のごとくに後退に移った。
「蜘蛛の子を散らすように、とはよく言ったもんザマス」
 居並ぶサイボーグの前に立つ青髪の小柄な少年がアサルトライフルを肩に担いで言った。一見では、年の頃は十五程度だろうか。真っ白な白衣をまとい、サイボーグ達と同様に黒のボディスーツに身を包んでいる。左腕の肘から先は金属で出来ていた。顔の作りはあどけなさを残していたが、その碧眼には、生きる事に疲れた老人のような昏い光が宿っていた。
「勝てない相手とは戦わない、か‥‥方針が徹底してるね。となると、ぶつかってくるのは彼等、かな」
 イルマリネンは呟いた。ULTの傭兵。幾度となく立ち塞がってくる地球の守り手達。
 この大分において親バグア軍は連敗続きだ。ここらで勝っておかないとイルマリネンの主人であるハカセの立場が危うくなってくる。
「悪貨の為に良貨を殺す。悪いな。俺達の為に死ね」
 少年は呟き、無人と化した道路上を機兵達を引き連れて進んだ。

●指令
「こちら歩兵中隊HQ、ハラザーフ・ホスローだ」
 重厚なボディスーツに身を包んだ筋肉の塊のような男が野太い声で言った。パキスタンの虎、ハラザーフ・ホスローだ。村上幕下の最強と名高い精鋭中隊を率いる大尉である。
 彼は中隊隷下の分隊へと無線を飛ばす。
「Z道上を敵の機人部隊が南下中との報が入った。数は十五。主な武装は突撃銃だ。強化人間が一体紛れてる。第三傭兵隊は至急Z道に赴きこれを討て」
 命を受けて予備戦力として温存されていた傭兵達が出撃する。
 巨大兵器を除けば、UPC軍側の最強の兵は能力者であり、親バグア側の最強の兵はキメラであり強化人間である。両者が互いに激突するのはこの地上において宿命とも言え、やはりここ高田市でも干戈をかわす事となったのだった。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
新居・やすかず(ga1891
19歳・♂・JG
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
藤村 瑠亥(ga3862
22歳・♂・PN
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
玖堂 暁恒(ga6985
29歳・♂・PN
優(ga8480
23歳・♀・DF
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
リュドレイク(ga8720
29歳・♂・GP
二条 更紗(gb1862
17歳・♀・HD
黒桐白夜(gb1936
26歳・♂・ST
シン・ブラウ・シュッツ(gb2155
23歳・♂・ER
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
愛梨(gb5765
16歳・♀・HD
カンタレラ(gb9927
23歳・♀・ER

●リプレイ本文

「大分解放は次のステップ、ね。敵も攻勢に出ようとするだろうから、ここで止めなくちゃ」
 カンタレラ(gb9927)が言った。戦いの舞台は前回の杵築市から豊後高田市へと移っている。
(「前回は、役に立てなかったし、ココでは頑張ろう」)
 走るにはちょっと機動力が足りなかった。少しは頑丈になったし、足は引っ張りたくない、そんな事を思う。
「ここを攻めきれば、兜ヶ崎に近づけるか‥‥‥‥そろそろ約束を果たすときか。しし鍋も食いてぇし、な」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)が少し笑って言った。
 大分県のうち競合地帯となっている主要都市は高田市、国東市、中津市、日田市、今回高田市を落とせばあと三市。外れの山岳に生息するキメラなどを討伐し村々も解放するとなると、もう少しはかかるだろうが以前と比べれば雲泥の差だ。確実に解放に向かっている。このペースで行ければ、約束の地を取り戻せる日はそう遠くはないだろう。
「一歩ずつだな」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が言った。敵も段々強くなるが、大分解放まで着実に歩を進めたい。そんな事を思う。際限なく強くなるという事は無いだろうが、強化人間、一つの山場ではある。
「強化人間が出張ってくる‥‥奴らも本腰を入れ始めたのか? こちらも、気を引き締めるべきだろうな‥‥」
 玖堂 暁恒(ga6985)が拳銃に弾丸をロードしながら言った。先遣の分隊からの報告によれば強化人間らしき少年が一人にサイボーグが十四人。
「海賊版キメラの次は、サイボーグ‥‥継ぎ接ぎキメラね。相変わらず趣味が悪いわ」
 愛梨(gb5765)が言った。
「機械化しているのは人型キメラの強化型、でしょうか。これはこれで厄介ですね」
 優(ga8480)が言った。
「敵との数は五分、か」
 レティ・クリムゾン(ga8679)が言った。敵は十五人、味方も十五人。まったくの同数だ。
「戦力が拮抗している時は、初撃でどれだけ有利に立てるかで状況が変わります。可能な限りダメージを与えたいですね」
 と優。
「そうだな。攻め手と守り手。互いの違いはそこくらいか。戦力差はあまりないだろう。一つ傾けば、一気に持っていかれる」
 レティは少し考えるようにしながら言った。
「守りに有利な戦場を作っておこう。一対多を作ろうとするのは、敵もこちらも同じだろうからな。それを邪魔できるなら何でもいい」
「ですね。わざわざ向こうからやってきてくれているんですから、待ち構える優位性を最大限に活かしましょう」
 頷いてシン・ブラウ・シュッツ(gb2155)。
「一匹でも削れば数で優位に立てるが、落ちれば此方がこける。しかし、腰が引けても意味が無い。慎重に全力で潰としよう」
 覚醒しリンドブルムに身を包んでいる二条 更紗(gb1862)がそう言った。傭兵達は十字路に構え、南方で敵を受け止め、左右に伏せた兵で奇襲を加えるという作戦を打ちたてた。
 レティの主導の元、シルエイト、カンタレラの協力を得て傭兵達は十字路の南方にバリケードを築く。その際に優は報告から得られた情報から敵の突撃銃の射程を確認した。十字路に誘い出さなければ左右からの挟撃は成立しない。敵が十字路に入る前に北方の道で足を止めて射撃を始めてしまっては意味が無いとまでは言わないが、兵を伏せるメリットは激減してしまう。敵を最低限十字路に侵入させるべきである。その為にも敵の射程が必要だ。
 敵の突撃銃の有効射程はおよそ六十メートルであるらしい。能力者のそれとほぼ同等だ。傭兵達は十字路より南方六十メートル付近に、周辺ビルから中隊本部から許可を取ってソファーや扉、椅子や机など、有り合わせの物を持ち出し、重ねてバリケードを築いた。高さは一メートル程度か。厚さは三〇センチ、幅は二〇メートル程度か。動き易いように所々で区切って空間を開けておく。
 道の左右に伏せる人員は、左翼B班の新居・やすかず(ga1891)、藤村 瑠亥(ga3862)、玖堂、狐月 銀子(gb2552)、愛梨の五名。右翼はC班のホアキン、シルエイト、二条、黒桐白夜(gb1936)、シンの五名がそれに当たる。シルエイトはこんな事もあろうかと、購入して置いた断熱シートをB班C班のメンバーに配布した。敵の熱源探知を少しでも遮蔽するのが目的である。また偽物の閃光手榴弾を準備し、それを周辺に周知した。
 残るA班、須佐 武流(ga1461)、優、レティ、リュドレイク(ga8720)、カンタレラの五名は南方でバリケードの陰に立って構え来る敵を待ち受ける。リュドレイクは閃光手榴弾に細工を加え、炸裂までの時間を短縮しておく。
「作戦の最終確認をするわよ」
 愛梨が言った。照明銃、閃光弾、ダミーの使用タイミングを打ち合わせる。
「使用する時は、どうやって知らせる?」
 最もな疑問があがった。エスパーで無い限り知らせなければ解らない。結局の所、確実性を取って、使用前に無線で知らせるという事になった。
「身を潜め、キメラたちの到達を待つ。合図に合わせ、不意をつく。可能な限り、気付かれては駄目よ。各班、初撃を一体に集中させて確実に倒し、数的有利を確保する」
 と愛梨。
「ターゲットの選定順位は?」
「最近のキメラを、距離がほぼ同数の場合は一番体格の大きい物を、それでもバラけたら、まぁそれまでね」
「了解」
 かくて、最終の打ち合わせも終え、全ての準備を整えた傭兵達は、炎が吹き荒れ爆音が轟く戦場の中で、激突の時を静かに待った。


 道路の北方から一人の強化人間と十四体のサイボーグキメラが南下してくる。白衣の強化人間を先頭にその後方に横一列に並び銃を構えて整然と迫り来る。立ち塞がるモノは全て意に返さず薙ぎ倒す、淡々とした進軍はそのように言っているようだった。
 距離が詰る。能力者達の目には相手の顔が見えた。皆、無表情だ。サイボーグキメラ達が片道四車線の道路の幅一杯に広がる。
「さてっ、来ましたね‥‥ふふ、頑張りましょう」
 カンタレラが微笑して言った。傭兵達は無線で連絡を取り合うとそれぞれ得物を構えた。
 距離が詰る。サイボーグ達は銃底を肩に当て歩きながら構えた。身を低くする事はせずに真っ直ぐに機械的に歩いてくる。カンタレラは練成強化を発動させて班員達の武器にかけてゆく。それぞれの得物が淡く輝きだした。
 距離が詰る。十字路、入った。
 イルマリネンがバリケードの陰で銃を構えている傭兵へと猛烈な勢いで弾幕の嵐を解き放った。フルオートだ。しかし銃口にまったくブレが無い。恐ろしい筋力をしている。十四体のサイボーグ達は三点バーストで射撃を開始する。
 飛び道具を持つA班の面々もバリケードの陰から一斉に撃ち返す。巻物を持つ須佐、カンタレラは少し射程が足りない。踏み込む機会を窺う。優もまた月詠と機械剣を構えてバリケードの奥で待機。
 レティ・クリムゾンはペイント弾を混ぜた大口径ガトリング砲で発砲。強化人間の顔面を狙う。リュイドレイクもまた探査の目を発動させつつドローム製SMGで撃ち返す。敵味方の弾丸が激しく交差した。
 一体の強化人間と十四体のサイボーグから放たれた弾丸は猛烈な勢いでバリケードに突き刺さり、破壊してゆく。やがて弾丸が貫通して奥へと飛び出して来た。能力者用の防具か、メトロニウム合板でも無い限り、長くは持たない。このまま最大射程からの射撃で吹き飛ばすようだ。
 レティからの顔面を狙った射撃を強化人間イルマリネンは素早く首を振って回避、弾丸を素早くリロードしつつフルオート射撃を継続する。リュドレイクの放った弾丸が金髪の男型サイボーグに次々に命中し火花を散らした。しかしサイボーグは衝撃に身をよろめかせつつも平然とした顔で弾丸を撃ち返す。
 弾丸がバリケードを貫通し、レティ、リュドレイク、須佐、カンタレラ、優の五名に突き刺さり始める。レティは身を低くしながらバリケードの陰を横に駆ける。敵の射撃に耐えつつリロードを終えると、上体を起こしてガトリング砲を構える。猛射した。銃弾の嵐が金髪のサイボーグへと突き刺さる。
 リュドレイクは自身障壁を発動、頭部を下げてバリケードの陰を横に動きつつ、SMGを背に納め、左手でベルトから閃光銃を引き抜き、右手に手榴弾を取りだす。口の歯でピンを挟むと引き抜いた。
「A班、閃光カウント2、1――」
 ピンを吐き出しつつイヤホンマイクに言う。狐月は閃光手榴弾のピンを抜いた。バリケードを貫通する弾丸に穿たれてリュドレイクの身から鮮血が噴き上がってゆく。衝撃を堪えつつ、上体を起こす。左の閃光銃を金髪のサイボーグの顔面へと狙いをつける。
「――発射」
 発砲。直後に身を捻って腕を振りかぶる。踏み込み、右手に持つ閃光手榴弾を渾身の力を込めて投擲した。閃光銃から放たれた光弾は真っ直ぐに飛び、しかし金髪のサイボーグは顔面に迫り来たそれを首を振ってかわした。光が後背の宙へと突き抜けてゆく。手榴弾に対してはイルマリネンが反応した。少年が鋼鉄の左腕を虚空へと向ける。次の瞬間、空間に何かが巻き起こって揺らぎ、閃光手榴弾が真っ二つになって地に落ちた。
(「‥‥なにっ?」)
 リュドレイクは思わず胸中で驚愕の声をあげた。何も、見えなかった。しかし確かに手榴弾は綺麗に切断されている。恐ろしく切れ味の良い、不可視の何かが、鋼の掌から飛び出したのだ。直後に光弾が数十メートル先のビルの壁に炸裂し、光を撒き散らした。
(「いきなり切り札使っちまったザマス」)
 一方、白衣の少年は光を背後に背負いつつ舌打ちしていた。もう不意打ちは出来ない。まず左腕は警戒されるだろう。しかし、キメラ達の目を眩まされるのは避けたかった。銃弾で撃ち抜くとその衝撃で爆裂する危険性がある。確実に防ぐには、それを使うしかなかった。
「血‥‥ふふ、久しく、負傷してなかったけど‥‥! これでこそ、闘争、ね‥‥ッ!」
 貫通する弾幕の嵐に撃たれてカンタレラは鮮血を吹きだしつつも身を極力低くして後退しつつ、巻物を輝かせた。練成治療を自身に一重、リュドレイクに二重に発動させる。それぞれの身体から傷みが引き、傷が癒えてゆく。須佐と優はバリケードの陰を駆けつつ攻撃に耐えている。
「A班、目くらまし失敗。強化人間の左腕に注意を。見えないが、何か斬撃が飛ぶ」
 リュドレイクも身を伏せさせつつ無線に言う。
(「左腕‥‥やはり指向性の兵器か?」)
 無線を聞いて藤村は思った。とある依頼ではプロトン砲を内蔵したキメラも居た。
(「あのスーツも見てくれじゃないと見るが‥‥タネ明かしのために泳がせるか‥‥?」)
 とバリケードの陰から様子を窺い。胸中で呟いているのは須佐だ。男達は警戒を強める。
「B班了解。カウント3で突入する。各班合わされたし」
 愛梨が無線に答え繰り返した。
「C班了解。カウント3で突入する」
 ホアキンが答えた。弾丸が交錯する中、無線から愛梨のカウントが響き、それがゼロになった瞬間に、傭兵達は三方から一斉に動いた。


 C班、東の建物の陰から道路上に飛び出したホアキン・デ・ラ・ロサは最右の褐色の肌を持つサイボーグ型キメラへと左の雷光鞭を振りかざした。爆裂する雷光の嵐が空を焼き尽くしながら一直線に伸びる。シンは影撃ちを発動させエネルギーガンLichtを構えるとサイボーグキメラの頭部を狙って射撃する。爆光が飛び出した。二条はS‐01小銃を構えて連射。弾丸が勢い良く飛び出す。
(「強化人間、か。実際見るのは初めてだけど‥‥ホントに見た目は、人間と変わんないのな」)
 黒桐はイルマリネンの姿を見てそう思った。敵だというのは解ってるし、それで鈍りもしないが、言葉が通じる者を相手にするというのは、やはり微妙な気分がした。男はしかし、マジシャンズロッドを翳し叫ぶ。考えている時ではない。杖が起動し蒼光の電磁嵐がサイボーグキメラの回りに出現した。
 C班に狙われた褐色のサイボーグに九連の雷光が突き刺さり、その頭部エネルギー波が炸裂、電磁嵐が肉体を爆ぜさせ銃弾がその肉体に突き刺ささってゆく。集中攻撃を受けたサイボーグは体躯を爆裂させながら倒れる。凶悪なまでの破壊力の嵐だ。
 シルエイトは練力を全開にしスマッシュ、流し斬り、紅蓮衝撃を併発させる。大量の弾頭矢を括りつけた爆槍を紅蓮の色に輝かせつつ突撃する。
 同時。B班、藤村も兵破の矢を番えたアルファルを手に構えつつ道路上に踊り出ていた。狙いを定め勢い良く撃ち放つ。素早く番えつつ連射。三本の矢が錐揉むように回転しながら空を裂いて飛んだ。玖堂は西より路上に出ると疾風脚を発動させつつ膝をついて番天印を両手で保持する。狙いは頭部。五連射。怒涛の銃声と共に弾丸が飛び出した。新居、伏せつつビルの陰より貫通弾を装填したスナイパーライフルを構え玖堂が撃ったキメラへと狙点を合わせる。練力を解放し、反動を抑えつつ連射。五連のライフル弾が音速を超えて飛んだ。
「LetsGo、フィーバータイム。今日も派手に行くわよっ」
 狐月は言って最近のサイボーグ目がけて閃光手榴弾を投擲し、AU‐KVの頭部からスパークを発生させつつエネルギーガンを猛射する。
 愛梨はAU‐KVの腕からスパークを発生させシエルクラインを構えた。ボディスーツ部分は避け頭部をサイトに納める。嵐の如くに弾幕を解き放った。
 B班に狙われたサイボーグへと、その右側面から閃光が爆裂し、弾幕が襲いかかり、矢がキメラの身に突き刺さり、そしてライフル弾と拳銃弾が頭部を撃ち抜いた。鮮血をぶちまけながらキメラが倒れた。閃光手榴弾が倒れ行くキメラの身に激突し路上を転がる。二十秒程度後に炸裂予定。
 弾幕が叩きつけられているA班。レティは撃たれつつも活性化を発動させている。リュドレイクは鬼蛍を抜き放つとバリケードから飛び出した。優も月詠と機械剣を両手に飛び出し、須佐もまたバリケードから飛び出し瞬天速で加速した。
 路上を駆ける三人の元に一体の強化人間と十三体のサイボーグからの激しい銃弾の雨が飛んだ。総計七十三回攻撃。優の身を次々に弾丸が撃ち抜き、貫いてゆく。バーストの弾丸が女の身をぶち抜いた。腿部分を破砕されながら優が倒れる。リュドレイクもまた射撃を集められ次々に弾丸に撃ち抜かれ、全身から鮮血をぶちまけながら倒れた。須佐は数発をかわしながら突進したが、やはり弾を集められると避けきれずに次々に被弾してゆく。瞬天速は早いがその速度故に直線的だ。装甲に穴があき、身体中から鮮血が吹き出し激痛が走り抜ける。銃を向ける白衣の少年の目が昏く輝いているのが見えた。激しいマズルフラッシュ。須佐のどてっぱらに風穴があき、男は赤い色を盛大にぶちまけた。転倒。加速の勢いで道路上を赤い線を引きながら滑ってゆく。やがて動かなくなった。
「本来なら、対大型用の奥の手だ。遠慮しねぇでくらっとけ!」
 キメラ達の左側面から間合いを詰めたシルエイトは、赤髪のサイボーグへと踏み込むと身体ごとぶつかるようにエクスプロードの切っ先を繰り出した。ランスチャージだ。正面へと銃弾を叩き込んでいたサイボーグは反応し、向き直ると突撃銃の銃身で切っ先を跳ね上げんと振り上げる。弾頭矢の山がついてるので槍のバランスが狂い、速度が落ちている。ライフルと爆熱の色に輝く槍が激突し切っ先が僅かにずれ、キメラの左肩に突き刺さった。エクスプロードが火炎を噴出し、十三本の弾頭矢に反応し凶悪な大爆発を巻き起こした。サイボーグが肩を砕けさせながら吹き飛び、余波に巻き込まれてシルエイトが吹き飛んだ。壮絶な破壊力。
 今の所はほぼ五分か? カンタレラは倒れたリュドレイク、優、須佐の三人に練成治療を発動させる。みるみるうちに傷が癒えてゆき三人の戦士が立ち上がる。
(「治療術の使い手がいやがる‥‥!」)
 イリマリネンは左右のBC班へと視線を走らせつつも胸中で舌打ちする。とりあえず一番厄介そうな須佐に弾丸を叩き込んで再度沈めると、猛然と南へと駆け出した。藤村が弓を捨て小太刀を抜き放ちながら加速しそれを追う。
 レティ・クリムゾンは少し迷う。まず狙うべきは攻撃が集約している敵、次いで弱っている敵、付近の敵の順と定めているが、強化人間がカンタレラ目指して矢の如くに迫り来ている。十秒とかからず間合いに入るだろう。放置するのは不味いか?
 西方。玖堂は蛍火を抜き放ち東へと駆け出す。
(「敵もタダのキメラと違って単純じゃ無い筈‥‥」)
 男は視線を左右へと走らせる。突出は不味いと見る。
「行きましょう」
 愛梨が薙刀清姫を手に追走して来ている。少女のシエルクラインにはまだ弾が残ってたが、合わせる事を優先した。狐月も後方から二人が上がって来たのを見ると、エネルギーガンを手に装輪走行で駆け出した。B班の三人が前進する。
 新居はスナイパーライフルをリロードしつつ鋭角狙撃を発動。赤毛の女型キメラへと狙いをつけると首を狙って発砲する。女は素早く体を振ってかわした。脇下を狙う。黒のボディスーツを貫き火花が散った。女は少し走って間合いを詰めると三点バーストで撃ち返してきた。新居はビルの陰に身を引っ込めてかわす。
 蒼髪の少女型サイボーグは地を転がると、路上に落ちている閃光手榴弾を拾い上げ、明後日の方向へと放り投げた。榴弾がビルの彼方に消えてゆく。そのまま膝立ちに銃を構え弾丸を解き放った。
「あー! 卑怯じゃない、そういうのってさ!?」
 狐月がスライドして銃弾を回避しつつ蒼髪少女へと叫んだ。どっちもどっちか。弾丸が避けきれず、AU−KVの装甲に激突して火花を散らしてゆく。五体からの射撃を受け玖堂、愛梨の身からも鮮血が噴き上がった。
 東方。ホアキンは雷光鞭を納めると左で直刀を抜き放ち、右手に盾を構えながら走りだす。
 地に倒れているシルエイトへと地に転がっているサイボーグおよび他の二体が弾幕の嵐を解き放つ。青年は横転して数発を回避したが残りが頭蓋に炸裂し、鉛弾の山を叩き込まれ動かなくなった。道路上が赤く染まってゆく。
 二体のキメラはシン・ブラウ・シュッツへ射撃を集中させる。シンはサイドへ駆けながら左腕を翳して防御を固める。銃弾が次々に突き刺さったが装甲で堪えつつ、シルエイトへと射撃している黒髪の青年型サイボーグの頭部にリヒトを向けて発砲。閃光がサイボーグの顔面に激突し、青年の身が揺らぐ。練力を全開にすると二連射を発動、再度頭蓋を撃ち抜くと同時に左胸部分へと閃光を爆裂させた。青年は煙を噴出しながらもふんばる。なかなか頑強だ。シンは再度二連射を発動させて閃光を叩き込む。直撃を受けると仰向けに吹き飛んで地に転がった。
 二条は左肩を砕かれているサイボーグへと銃口を向け弾丸を叩き込んだ。地に倒れつつも攻撃を仕掛けていたサイボーグは回避が間に合わず、その頭蓋を銃弾に撃ち抜かれ鮮血をぶちまけながら動かなくなった。
 黒桐、シルエイトへの練成治療は少し射程が届かないか。バクラーをかざしつつビル沿いに前進。距離を詰めると練成治療を発動させた。シルエイトの傷がみるみるうちに癒えてゆく。
 中央に構える二体のサイボーグはリュドレイクへと弾丸を集中させて再度鮮血の海に叩き込んだ。立ち上がった優は二刀を構えて走る。カンタレラはリュドレイクに二重、須佐に一重に練成治療を発動させた。両者の傷が癒えてゆく。
 西方。装輪走行で弧を描くように機動しつつ狐月は新居へと射撃している赤毛の女の脚を狙ってエネルギー弾を連射した。女の脚に閃光が激突しその身を焦がす。
 大柄な男型サイボーグへと玖堂は間合いを詰めると蛍火を構え突きかかった。巨漢は銃身をかざして受け止める。火花が散った。愛梨は腕を光輝かせながら茶髪の少年型サイボーグへと薙刀で斬りつける。茶髪ボーグは一歩後方に飛び退いて一撃をかわした。
 東方。疾風の如くに間合いを詰めたホアキンはシンへと射撃しているサイボーグキメラに肉薄し練力を全開にして七連の剣閃を巻き起こした。左利きのサイボーグキメラは銃身を盾にして剣閃を受け止めんとする。激しい火花が巻き起こり、赤く輝くイアリスの切っ先が銃を掻い潜ってサイボーグの左の肉眼を貫いた。掻きまわして引き抜く。キメラは、ぶちまけながら倒れた。
 南方。優は先のレティとリュドレイクの攻撃で手負っている金髪のサイボーグキメラへと踏み込むと月詠とレーザーブレードで十字に斬りつける。スーツが切り裂かれ、鉄欠と肉片が飛んだ。手ごたえ、月詠の方が良いか? 物理、非物理、どちらが効くかは、基本的にかなりの差がない限り解らないが、月詠の方が良いような気がした。優は火炎の位に太刀を構え直すと落雷の如くに振り下ろした。受けにかざした銃の上から頭蓋を砕かれ、サイボーグキメラは脳症を撒き散らし、漏電を起こしながら倒れた。
「ゾンビは嫌いザマス」
 少年は駆けながら跳躍した。バリケードを跳び越え宙から見下ろす。巻物を持っているカンタレラを発見するとそちらへと銃口を向け発砲した。カンタレラは咄嗟に身をかわさんとする。間髪入れず、カンタレラの左胸の少し隣を猛烈な破壊力の銃弾がぶち抜いていった。心臓を狙ったようだ。女の口から鮮血が吐き出される。
 レティは宙のイルマリネンへと向けてガトリング砲で弾幕を解き放つ。少年は白衣を翻すと弾丸を受け止めた。白衣越しに弾丸が少年の身を叩く。が、貫いてはいない。リロードしつつ着地した少年に対し、レティはガトリング砲を捨て腰から紅炎を抜き放つと抜刀ざまに踏み込み斬りつけた。少年は銃剣を立ててその一撃を受け止める。激しい火花が散った。


 中央。起き上がった須佐は瞬天速で間合いを詰めると、高速の突進から身を捻りざま後ろ回し蹴りを壮年の男型のサイボーグキメラの顔面へと叩き込んだ。男が体躯を揺らめかせた隙に下段、中段、上段と蹴りを主体に七連のコンボを加えてゆく。練力を全開にして限界を突破すると宙へと跳躍し、回転しながら蹴りを叩き込んだ。サイボーグが吹っ飛び地に転がる。身から漏電を巻き起こし、爆発を起こして動かなくなった。優とリュドレイクは西部へと駆け出す。
 カンタレラは後退しつつ己へと練成治療を発動させる。レティは両手で紅炎を振り上げると袈裟に斬りつけた。イルマリネンはレティからの斬撃を左の鉄碗で受け流しつつカンタレラへと銃口を向ける。フルオート。激しいマズルフラッシュと共に弾丸が嵐の如くに飛び出し、女を蜂の巣にした。カンタレラが鮮血の海に沈む。
 レティは怒りの声を発すると渾身の力を込めて薙ぎ払った。イルマリネンは至近の距離まで踏み込む。刃が少年の腹に炸裂し、鋼の腕が女の首元へと突きつけられた。猛烈な爆風――風の刃の塊だ――が巻き起こりレティの首元が爆ぜた。鮮血を噴出しながら女が吹き飛ぶ。
 後背に藤村が詰めている。少年の後頭部を狙って小太刀で突きかかった。刃が肉を抉りながら突き刺さり、しかし、途中で何か強烈に固いものにぶちあたって止まった。少年が前のめりにつんのめる。藤村はさらに後背から再度突きを加える。イリマリネンは地面に倒れ伏せるようにして一撃を回避する。前転の要領で転がり間合いを取って向き直る。藤村が迅雷の如くに踏み込む。突きはもう止めた方が良いか。小太刀を袈裟に振るった。少年は両手で銃剣を立てて受け止める。激しい火花が散った。
 東方。ホアキンは銃撃をかわしつつシルエイトを攻撃していた一体へと素早く踏み込むと、九連の赤光の嵐を巻き起こしてサイボーグを切り刻み首を刎ね飛ばした。噴水の如くに鮮血を吹き上げながらサイボーグキメラの胴が倒れ、頭部が地に落ち転がる。
 意識を取り戻したシルエイトは横転しながら跳ね上がる。付近のサイボーグキメラが銃を構える。その頭部に閃光が突き刺さった。シンの射撃だ。シエルエイトは滑るように踏み込み爆槍を連続で繰り出す。五連の爆裂に体躯のあちこちを爆ぜ飛ばされてサイボーグキメラが倒れた。
 二条は小銃を納め、槍を取り出して駆ける。黒桐はシルエイトに治療を重ねると二条へと練成強化を発動させた。少女が持つ槍が淡く輝く。シンも西へと向かって前進する。
 西方。
 玖堂と鍔競り合う巨漢は刃と銃剣の咬み合っている点を支点にするように回転すると、玖堂の側頭部へと狙って蹴りを放った。玖堂は素早く上体を逸らして一撃を避ける。巨漢は銃を捨て剣を引き抜く。玖堂は上段から打ちこみをかけた。巨漢は剣を斜めにかざして受け流すと巻くようにして袈裟に斬った。玖堂の肩に刃が炸裂し血飛沫が飛ぶ。
 玖堂は素早く斜め後ろへと後退し、巨漢が剣を振り上げて迫る。直後、その両膝、両肩、股間に強烈な弾丸が炸裂した。新居の狙撃だ。巨漢の身が衝撃に止まる。隙を逃さず玖堂は練力を全開にすると踏み込み、目にも止まらぬ速度でその脇腹を掻き斬った。サイボーグの身から鮮血と共に臓腑が飛び出る。
「悪く思うなよ? 俺とて殺される訳には行かんのでな」
 玖堂は呟きつつ剣を水平に一閃させる。巨漢の首が宙に舞った。
 赤毛の女が新居を目がけて射撃しながら突っ込んでいる。狙撃を敢行した新居の身に次々に銃弾が突き刺さった。狐月は全身から激しくスパークを発生させると突進、跳躍した。
「どりゃーっ、成敗!!」
 裂帛の気合と共にファルクローで赤毛の女の顔面を狙ってクローを繰り出す。女は銃を立てて受け止めた。咆哮の衝撃に女が後方へと吹き飛ばされてゆく。脚から着地アスファルトから激しく煙をあげながら止まった。直後にその後頭部が閃光によってぶち抜かれた。シンの射撃だ。よろめいた女へと狐月はエネルギーガンを向け、猛然と連射した。強烈な閃光に穿たれた女は爆裂を巻き起こしながら吹き飛び、アスファルトに叩きつけられ、動かなくなった。
 蒼髪の少女と栗毛の女は銃を狐月へと向けるとバースト射撃を仕掛けた。弾丸が狐月に突き刺さりAU−KVの装甲を穿ち、その内部へと衝撃を与えてゆく。激しいスパークと共にAU‐KVから爆発が巻き起こる。レッドランプだ。
「この街に、あんたたちみたいな異形の化け物の居場所なんてないの。さっさと諦めなさい」
 愛梨は焔のように赤い刀身を持つ薙刀を振るいつつ言った。茶髪のサイボーグは後退しながらかわしつつ銃を捨てると腰の後ろから二本の手斧を取り出し、追撃の穂先を打ち払う。鋭く踏み込んで間合いを詰めると斧で斬りかかった。愛梨は素早く後退する。斧刃が腹部の装甲をかすめ斬り激しい火花を起こした。少女は身を半回転させながらサイボーグの脚を薙ぎ払う。サイボーグはさらに踏み込んで柄の部分を右膝で受けて威力を殺すと、その顔面へと目がけて右の斧を叩きつけた。AU−KVのバイザーが砕け、強烈な衝撃に愛梨は一歩後退した。
「刺し穿ち貫け!」
 さらに追撃に斧を振り上げるサイボーグの後方より猛烈な衝撃が炸裂した。全身からスパークを撒き散らしながら竜の翼で突っ込んで来た二条がキメラの背に赤紫色の槍を突き立てていた。
 格闘戦で挟撃、必勝パターンだ。愛梨は竜巻の如く薙ぎ払いを繰り出し、二条も薙ぎ、突きと連打を仕掛ける。前後より滅多打ちにされて茶髪サイボーグは沈んだ。
 狐月へと射撃を加えている栗毛の女の後背に優とリュドレイクは密かに迫ると太刀を振るい、滅多斬りにして斬殺した。そのまま蒼髪の少女へと向かう。
 南方では藤村とイルマリネンが激しく切り結んでいる。イルマリネンは銃剣の中頃を持つと藤村の顔面を目がけて右から斬りつける。藤村は素早くスライドして左へ――相手の右へと避けた。刃の切っ先が男の装束切り裂きながら抜けて行く。紙一重、かわした。イルマリネンはそのまま、踏み込んだ右足を軸にして回転するようにして銃低部分を繰り出して来た。藤村は素早く後退して回避する。小太刀を構え、鋭く踏み込んでコンパクトに斬撃を放つ。強化人間は素早く銃剣を引き戻して受け止める。銃身を持つ手から左腕を外し藤村へと向ける。
「やらせん‥‥!」
 藤村は素早く懐に入ると小太刀で突きだされた鉄腕を跳ね上げた。凝縮された風の刃が飛び出した。爆風が藤村の耳をかすめながら突き抜けてゆく。黒髪の先端が数本、切り裂かれて舞った。男は逆手の小太刀で最小の動作で斬撃を放つ。
「ちっ‥‥!」
 イルマリネンは舌打ちしつつ後退。斬撃をかわしつつ銃口を向け発砲する。藤村は横に僅かに動き、紙一重でかわした。余裕が無いのではなく最小限の動きで避けている。両者、尋常でない程に速い。互いに直撃する気配が無い。少年は懐に手を入れるとワイヤーを飛ばした。絡みつくように鋼糸が飛ぶ、藤村は練力を全開にすると瞬速撃で片っ端から叩き落とした。
「‥‥嫌なヤローにぶちあたっちまったザマス」
 少年が吐き捨て、藤村は無言で二刀を構えた。
 西方、狐月の身に弾幕の嵐が突き刺さったが、大破する前に蒼髪の少女はシンと新居に撃ち抜かれ、玖堂、愛梨、二条に滅多斬りにされて沈んだ。サイボーグ達を片付けた一同は南へと向かう。
 南方。イルマリネンは銃剣を藤村へと投げつけつつ、さらに大きく後ろに飛んだ。藤村は飛んできた銃剣を小太刀で弾き飛ばしつつ、間合いを詰める。イルマリネンは拳銃を構えていた。弾道を見切らんとする。銃口が下を向いた。弾が道路に撃ちだされて炸裂し、猛烈な勢いで煙が発生する。煙幕。
 藤村は目を凝らす。五感を研ぎ澄まして死角からの攻撃を警戒する。
 イルマリネンは付近のビルの上部へと向けてワイヤーガンを射出した。アンカーがビルに突き刺さり、勢い良くワイヤーが巻き取られる。少年は巻き上げられるままに宙へと舞い上がりビルの内部へと入り、消えて行った。


 了