タイトル:【AA】難救・天雷マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/06/26 18:28

●オープニング本文


 ピエトロ・バリウスの戦死とユニヴァースナイト弐番艦の大破の報せは、勝利に酔いかけた欧州軍本部をその黒い翼で一打ちした。チュニジア沿岸に恒常的な拠点を確保するという大業を果たした将兵の顔も、暗い。それは勝利と言う言葉で表すには余りにも苦い味わいだった。
『数百人規模の一般人の収容所があるようだ』
 そう、生き残った兵士が語る。場所は、かつてカサブランカと呼ばれた都市のやや北側。バリウスの指揮下の一部隊は、陽動のためにそこへ強襲を仕掛けようと企図していたらしい。陽動はもはや、果たす意味が無くなったのだが。
「彼らをもしも解放できるならば‥‥」
 バリウスから指揮を引き継いだブラットは、言葉の後ろを宙に漂わせた。この戦場が無駄でなかった証が一つ、増える。それは、暗く沈んだ空気に光を差す事でもあった。
「ブリュンヒルデ、拝命します」
 マウル・ロベルは綺麗な敬礼を返した。今の欧州軍は小さくとも価値ある勝利を欲している。いや、必要としている。『比較的』損傷の軽微なブリュンヒルデで収容所を強襲、民間人を確保の上離脱するという作戦を立案するほどに。


 どうもこの収容所というのは複数あるらしい。UPC軍は多数のそれへと攻撃を仕掛けている。
 今回、傭兵達が向かうのもその先の一つだ。
 アフリカは敵地であり、行く手には多数のバグア側勢力がひしめている。
 敵を蹴散らして道を開き、収容所を襲撃して確保し、それを守りながら撤退する。
 言葉にするならたったこれだけではあるが、実行に移すとなると困難を極める任務だ。
 ブリュンヒルデよりこの収容所の襲撃を指示された将校は隊を三段に分けて実行にあたる事に決めた。
 すなわち、先だって突入し道を切り開く斬り込み部隊、収容所を襲撃し人員を確保し撤退する奪還隊、敵の追撃を抑える迎撃隊。
 どれが欠けても作戦の成功は望めない。
「似たような事は前に一度やっているのだが、あれは移送中の隊を襲撃しての事だったし、ファントムもいたからな‥‥」
 例の破壊神はチュニジア基地の守りへといった。彼女に頼る事は出来ない。
「それ抜きで施設を陥落させて数百人を収容して撤退となると‥‥」
 将校は考える。
 やはり、困難な任務だ。
 だが今回は損害は考えなくて良い。不利になったら途中で救出した民間人を放棄して撤退せよ、などという命令は出さなくて済む。その点が救いといえば救いだが――
(「厳しい」)
 どう考えてもやはり厳しい。
 だが、それでも失敗する事は許されない。彼はブリュンヒルデからすれば流れ者の客将のような存在だが、だが、だからこそ失敗して艦長の顔に泥を塗る訳にはいかない。何よりも数百もの人々の未来がかかっている。
 借り受けた戦力を考える。
 空、陸、歩兵。配備されている火器の数。
(「傭兵だけが頼みか‥‥」)
 正規軍だけでは――無理だ。これまでの戦いの経験からそう判断出来る。
 前に来てくれた傭兵達は優秀だった。
 だが、今回はどうか。今や切り札たりえているULTの傭兵達だが、不正規兵はいつもいてくれるとは限らない。神頼みという程博打ではないが、運が悪ければ十分たりえない。
「本部の参謀連中が傭兵の運用が好きでないのも解らんではないな‥‥」
 不安は限り無く零にしておきたいが、こちらの戦力値は常に変動する。しかもそれが切り札、頼みの綱であるのとなっては。
 考える。それでも、ここに渡されると思われしきもので、万が一の時でも敗北しない範囲で、戦力を配分し、過剰を減らし、足りない部分には回し、目的達成の為に運用する方法。戦略の部分は過ぎ、戦術の段階だ。
 地図を睨み、こつこつと卓を指先で叩く。
 とりあえず――胃薬が欲しかった。

●参加者一覧

御山・アキラ(ga0532
18歳・♀・PN
クラリッサ・メディスン(ga0853
27歳・♀・ER
比企岩十郎(ga4886
30歳・♂・BM
エリアノーラ・カーゾン(ga9802
21歳・♀・GD
アラン・レッドグレイブ(gb3158
26歳・♂・DF
相賀翡翠(gb6789
21歳・♂・JG
楊江(gb6949
24歳・♂・EP
リネア・フロネージュ(gb9434
22歳・♀・HG

●リプレイ本文

 ブリーフィングルーム。
「ヤン=ジャンです。よろしくお願いします!」
 礼儀正しく若者。漢字で表記すると楊江(gb6949)という。中国江南出身の青年だ。
 傭兵達はそれぞれ挨拶をかわし、作戦を打ち合わせ、互いの動きのすり合わせると、各員フレア弾を乗機に詰め込みに入る。
「爆撃か、地味だが重要だよな」
 比企岩十郎(ga4886)が言った。
「地上部隊の為にも邪魔になるキメラは排除しませんとね」
 とクラリッサ・メディスン(ga0853)。
「しかし航空優勢があちらにある上、こちらはフレア装備とは厳しいですね」
 うーんと唸ってアラン・レッドグレイブ(gb3158)。しかし敵は地表を埋め尽くす程の数がいるらしい。広範囲で一気に爆砕するしかなかった。
「収容所に囚われている難民達を早急に救い出す為にも今回の任務には万全を尽くさなくてはなりませんわ。出来る限りの事はしませんと」
 クラリッサが言う。
「一千六百ものキメラが地面を埋め尽くしている‥‥凄い光景になっていそうですね‥‥」
 リネア・フロネージュ(gb9434)がそれを想像して呟いた。
 準備を整えると八機のKVは滑走路を走り、バグアが支配する暗黒大陸の空へと舞った。


(「‥‥うん、この感じ。まだ身体が覚えてる」)
 乗機を操作しながらエリアノーラ・カーゾン(ga9802)は胸中で呟いた。
 ブランクは言い訳にしたくない。何より此処で無様な事したら「嵐の鷹」の名前に傷が付きかねない。
(「大規模作戦も燃えるけど、やっぱり通常依頼は気合の入り方が違うわね」)
 意識を集中させて空を飛ぶ。
 やがて地平線の彼方に、巨大な黒い絨毯が出現した。
「これだけ数が集まるとちょっと気味が悪いですわね」
 とクラリッサ。
「嫌な黒い絨毯だ‥‥セールスはいらねぇ、とっとと失せてもらうぜ」
 相賀翡翠(gb6789)が言う。その呟きとほぼ同時、蒼空の彼方に無数の機影が出現した。数は十二、HWの編隊だ。
「やはり来たか。数を減らさんことには爆撃も出来んな」
 御山・アキラ(ga0532)が言った。
「まずは、邪魔なHWを潰しますよぉ!」
 リネアが言う。
「それじゃ、いっちょ派手にやらかしましょうかね」
 比企が言って、八機のKVは一気に加速してゆく。最大戦速。HWの編隊へと向かう。
 HW達は空気の断層を滑るかのように左右へ散開する。
 相対距離六〇〇、クラリッサ機DH‐201Aムルムス、うち五機のHWをロックするとK‐02誘導弾を空へと解き放った。二連射、五〇〇発。
 同時、御山機とエリアノーラ機はブースト点火、アフターバーナーを吹かし音速を超えて加速する。
 煙を噴出しながら舞い散った数百の小型誘導弾が迫るとHW達は一斉に赤く輝いた。バルカン・ファランクスが発動し誘導弾と激突して次々に爆発が巻き起こる。
 相対四〇〇、中央を並走して突っ込むエリアノーラ機と御山機に対しHW達は一斉に淡紅色の光線砲を解き放った。左翼側の六機がエリアノーラ機に二十四連発、右翼側の六機が御山機に対して同様に二十四連発。
 エリアノーラ機、御山機、ブースト機動で素早く翻り紅の弾幕を掻い潜る。エリアノーラ機十六発かわすも八発が直撃し機体を揺らす。PRMを起動している抵抗に百入れてガード。損傷は軽微。空飛ぶ剣山号、かなり頑強でタフな造りだ。御山機は二十一発回避、三発直撃、こちらもPRMを百四十入れてガードしている。弾いた。損傷は軽微。
 御山機は左翼側へ向かいSライフルを一発発砲すると弾丸を追うように突っ込んだ。赤輝のHWをガンサイトに納め機銃を猛射。ライフル弾と弾幕がHWに突き刺さり装甲を穿って蜂の巣にしてゆく。
「この子は、触れたら痛いのよ? 剣山なんだし」
 痛いのはむしろ名前だと評されるらしい空飛ぶ剣山号に搭乗するエリアノーラが呟いた。御山機の攻撃を受けているHWの鼻先へとスラスターライフルで猛射しつつ極超音速で突っ込む。HWの装甲が視界を埋めて行く。迫る。交差。
 刃が入った瞬間にエリアノーラはCD‐016Gの可変翼を操作する。ただ「斬る」より「抉る」方がダメージは大きい。抉り斬って二回ヒット。HWに大穴があき激しく電流を洩らし次の瞬間爆裂する。撃破。同時エリアノーラ機、なんだか翼が物凄く嫌な衝撃を伝えた気がする。片翼の調子がおかしい。拳とて突きを放つ時に握りが甘いと痛める。しっかり固定して斬らねば。攻撃力は増えたが、もっと堅い敵だったら墜ちていたかもしれない。損傷率三割二分。
「行くぞ焔珠!」
 相賀機はK‐02の爆炎を突き破って出て来たHWの一機へと狙いを定め、アハトアハトでレーザー砲を射撃しながら突っ込む。
「支援と後方のカバーは任せておけい」
 ロッテを組む比企機はSRD‐3でリロードしつつ連射。勢い良く飛び出した二連の弾丸がレーザーに翻るHWのぶちあたりその装甲を穿ってゆく。
 相賀機、ターゲットインサイト、相賀機の射撃に穿たれているHWへと狙いをつけ重機関砲のトリガーを引く。SES機関が唸りをあげ八〇〇発の弾丸が猛烈な勢いで吐きだされてゆく。一点に集中された弾丸の嵐がHWに突き刺さった。HWは深く穿たれ、次の瞬間、爆発が巻き起こり急速に速度を落とし、黒煙を吹き上げながら落下してゆく。撃墜。
 アラン機GFA‐01は右翼のHWを狙って突っ込むとR‐P1マシンガンで弾丸をばらまく。
 赤く輝くHWは四十発の銃弾に穿たれながら翻り二十発の弾丸をかわす。直後九十発のチェーンガンの弾丸がHWに飛来する。
「あまりHWの相手ばかりもしてられないんです! 早く落ちてくださいね!」
 ロッテを組むリネア機GFA‐01‐Liljekonvaljのスラスターライフルだ。火線を合わせHWを蜂の巣にして爆砕した。
 楊江機はやはり爆炎を裂いて前進して来たHWに迫りヘッドオン。ワイバーンの高速が生み出す風の唸りを翼に感じながらガンサイトに赤く輝く機影を納める。発砲。90mm連装機関砲で六〇〇の弾丸を宙へと撒き散らす。弾幕の中をHWは翻ってゆくがかわしきれずにその装甲を打たれてゆく。
 御山機がバルカンで猛射しエリアノーラ機がSライフル弾幕から剣翼で突撃して一機撃墜。三機づつのHWが集中して射撃してきているが、御山機とエリアノーラ機は素早く旋回してかわす。
「無茶はするなよ」
 御山機を狙っている一機へと比企機が重機関砲を放ち、その機動を制限する。
「逃がすか‥‥!」
 比企機の射撃に翻ったHWに対し相賀機がブーストを発動させ加速。さらにパニッシュメントフォースを発動させ、リロードしつつ重機関砲の嵐を叩き込んで爆砕した。
 クラリッサ機もまた楊江機が弾幕を散らしているHWの後背へと捻り込み、スラスターライフルで猛射して撃墜する。
「旋回が鈍い‥‥被弾は避けられませんか!」
 HWの一機とシザーズを描き周囲の二機から閃光を撃たれつつもアラン・レッドグライヴ。互いに機首を向け合い慣性制御とジェット噴射核を操作して円を描くようにスライドしてゆく。ヘルメットワームが放つプロトン砲が脇を抜けてゆく。十発避けて二発被弾。損傷率二割二分。マシンガンで射撃しつつリロード。
 リネア機はアラン機へと撃ちあっているHWをガンサイトに納めるとリロードしつつスラスターライフルで猛射。六十発の弾丸が空を裂いて飛びHWに喰らいついてその装甲に穴をあけてゆく。
「ジェリコのラッパも今が吹き時‥‥アラン機、爆撃行程に入ります。支援宜しく」
 二十秒経過、敵のHW数は六機になっている。アラン機とリネア機は翼を翻し爆撃をかけんと地上を進んでいるキメラの群れの方へと飛ぶ。
 三機のHWが追いすがってアラン機へと十二連の閃光を爆裂させる。アラン機は螺旋の機動で多数の閃光をかいくぐるも五本の閃光に捉えられ装甲を削られる。損傷率八割。アラン、AECの起動を準備する。
 御山機は翼を翻している。アラン機を追うHWの後背へと詰め寄ると機銃で猛射。その装甲を蜂の巣にする。その御山機の背へと二機のHWがプロトン砲を猛射。御山機は素早くスライドして回避。そのHWのうち一機へとエリアノーラ機がスラスターライフルを猛射する。弾幕に翻った所へ真っ直ぐに距離を詰め剣翼突撃、翼刃がHWの装甲を深く切り裂いた。同時、剣翼突撃を仕掛けるエリアノーラ機の背へ向けHWの一機がプロトン砲を三連射。エリアノーラ機に閃光が突き刺さるも損害は軽微。
 クラリッサ機はアラン機を追うHWの一機を追った。スラスターライフルをリロード、ガンサイトにプロトン砲を撃っているHWを納めトリガーを引く。六十発の弾丸がHWに突き刺さりその装甲を穿ってゆく。楊江機はクラリッサ機が翻ったのを見て追走するとリロードしつつターゲットを合わせ、機関砲を連射。弾幕の嵐をHWに叩き込む。銃弾が次々と命中して火花が巻き起こってゆく。HWの一部から爆発が上がり、装甲が吹き飛んだ。黒煙を吹いて落下してゆく。撃墜。
 相賀機もブーストを継続させて翻っている。マッハ6を超える速度で爆風を巻き起こしながら突っ込み、アラン機へと攻撃を仕掛けているHWへと重機関砲を猛射する。御山機と火線が合わさりHWがさらに猛烈な勢いで穿たれてゆく。次の瞬間、HWは激しい漏電を巻き起こし爆裂と共に四散した。撃破。
 少し遅れて相賀機を追走する比企機、HWは既に相方の攻撃で既に爆裂している。あくまでロッテを堅守するか否か。この状況ならば撃った方がよかろうと判断し、エリアノーラ機の剣翼に吹っ飛ばされているHWを狙撃銃のサイトに納め、リロードしつつ発砲。螺旋に回転するライフル弾丸が音速を超えて飛びHWを撃ち抜いた。次の瞬間、漏電と共に激しい爆裂が巻き起こる。撃破。
 アラン機は超電導アクチュエータを起動、北へ向かう地上キメラ群の北方へと回り込み旋回して南方へと向かう。敵最後尾の集団へと狙いを定め急降下を開始。
 黒く埋め尽くされた大地へと一定の間隔で三発のフレア弾を順に投下してゆく。マシンガンはちょっと無理そうだ。進行速度はよく解らない。計る手段がない。ともあれ、次の瞬間、直径百メートル級の大爆発が連続して三つ出現した。大地が消し飛びキメラが消し飛び猛烈な赤光と爆風が周囲へと突き抜けてゆく。
 特に急降下しても蟻キメラが空に向かって酸を吐こうとする様子はなかった。恐らく、射程が足りないのだろう。蟻キメラが吐く酸は数百メートルは飛ばない。
 リネア機は確実に最大数を巻き込めるように慎重に狙いをつけんとし、同時に速やかに行おうとする。そいつは実に反比例だが、往々にして仕事に求められる条件はそういうものだ。出来得る範囲で試みる。急降下。フレア弾が物が落ちる独特の音と共に地上へと落下してゆき黒い塊の中で炸裂した。巨大な二つの火球が膨れ上がり地表に蠢く者どもを消し飛ばしてゆく。
 アラン機はAECを起動。クラリッサ機、楊江機、相賀機が爆撃行動に移る。
 御山機とエリアノーラ機は翻って三機のHWからのプロトン砲をそれぞれ回避しつつ火線を合わせて射撃し剣翼で突撃して一機をまた大地に叩き落とす。比企機、アラン機、リネア機の三機もまた攻撃を集中させて一機を落とした。
 クラリッサ機は失速するぎりぎりまで速度を落とし爆撃をかけんとする。確実に最大数を巻き込めるように狙いをつけ三発のフレア弾を順に投下してゆく。
 楊江機はマイクロブーストで加速して低空へと入ると群れの中心付近を狙って三発のフレア弾を次々に投下してゆく。落下の慣性を考え、狙いより少し手前へと投下した。
 六連の爆熱の塊が吹き荒れ、数百の蟻型キメラが焔の中で爆風に吹き飛ばされながら焼かれ溶け砕けてバラバラになって消えてゆく。真っ赤な光と共に破壊の嵐が
巻き起こる。
「地上は地獄絵図だな‥‥」
 相賀は苦笑を洩らしつつも容赦なくフレアを投下。まだ爆撃を受けず固まっている箇所を狙う。天空より落下した弾が炸裂し爆熱の空間を再び巻き起こした。
 比企機が爆撃へと向かい、御山機とエリアノーラ機がやはりかわしざまHWへと集中攻撃をかけて粉砕する。
 楊江機はブーストとマイクロブーストを併発し極超音速で御山機へと攻撃を仕掛けているHWの後方へと捻り込む。
「もらった!」
 ガンサイトにHWを納め裂帛の気合と共に発砲。アラン機、リネア機、クラリッサ機、相賀機と共に波状攻撃を仕掛けて粉砕した。撃墜。
 比企機、二機一組で行いたい所だったが、まぁ相手がいる事は相手の意思もないと行えない。現状では特に問題ないだろう。急降下して爆撃、まだ残っている固まりへと二発を投下する。
 御山機が最後のまとまった固まりへとフレア弾を投下し、撃ち洩らしが目立つ部分へとエリアノーラ機がフレア弾を一発投下する。
「黒い虫なんて‥‥黒い虫なんて全部この世から消えて無くなればいいのよ‥‥」
 膨れ上がる巨大な火球を見下ろしながらエリアノーラは冷たい笑みを浮かべていた。
 Gの字を連想したらしい。



 傭兵達はその後、撃ち洩らしの部分も細かく攻撃を仕掛けて完全なまでに掃討した。
 HWを殲滅し地上のキメラを焼き払って、道を切り開いた八人の傭兵達はその後も引き続き制空確保の為に空に留まった。ひとまずの仕事は成功させたといえよう。
 しかし全体の作戦はまだ続く。民間人救出作戦、成功なるのか。
 この時はまだ、誰にも解らなかった。