タイトル:兜ヶ崎避難戦マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/03/14 20:54

●オープニング本文


「で‥‥お前の作戦ってぇのは?」
 冬の別府基地、二人の士官が机を前に向き合っていた。
 一人はくたびれた軍服に身を包み煙草を咥えている男、もう一人は精悍な顔立ちをした青年だ。
 青年――不破 真治(gz0050)は村上顕家を真っ向から見据えて言った。
「村を捨てます」
 村上は煙を吐き出し、不破を一瞥し、灰皿に煙草を押し付け、また新しく煙草を咥えた。
「そいつぁ‥‥随分とまぁ、抜根的解決策だな」
 村上が手をかざし咥えた煙草に火をつける。
「村を守らなければならない。だが、村は守れそうにない。守れそうに無いものを、それでもなんとかしようとするならば――村自体を無くしちまえば良い。そうすれば『村を守る必要』は無くなるってぇ寸法か」
 村上はふん、と鼻を鳴らすと不破を見た。
「盤をひっくり返す‥‥鳥居の奴ぁ、お前にそんなやり方まで教えたのか?」
 否、そのやり方はむしろ、
「貴方から学びました、村上大尉」
「そーかよ」
 村上は不機嫌に言い。
「だがな不破真治、確かにこいつを通せば一応の解決かもしれんが‥‥失われる物が多すぎる、と――誰かさんなら言うもんじゃないかねぇ?」
「生きていれば、また取り返すことも出来ます」
「本当に?」
「俺の一生を賭けて」
 青年は真っ直ぐに見据えて言った。
「‥‥ふざけんな、テメェの一生なんざなんの保障にもなりゃしねぇ!」
 村上顕家は煙を吐き、
「と――俺が村人なら言うだろうよ。そいつぁ一体何年先だ? 本当に取り返せる日なんてくるものか? 今にもくたばりそうな爺達は、死ぬなら村で死にたいと思うだろうよ。
 てめぇは大馬鹿野郎だから本気で言ってんだろうが、覚悟一つで何が出来る? 気合一つで何でも出来たら苦労しねぇんだよ」
「ではお聞きしますが、覚悟も気合すらも持たない男が何事かを成せますか」
「お前は軍人だぞ、村だけの為に生きる訳にはいくまい」
「軍人だからこそです。バグアを押し返せば、村は取り戻せる」
 村上顕家は嘆息し、
「櫻も限界か」
「ここまで持ったのが奇跡です。十三ですよ? 猟友会の方もいるとはいえ、実質一人です」
「櫻が潰れりゃあっという間に全滅か、ならば、まだ余力があるうちに行動を起こした方が良い‥‥か、だが八百だぞ。軍に余裕はない。当ては?」
「黒崎軍曹の従兄に有栖川岬守という男がいます。有栖川家は古からの名家で近代に入ってからは物運で財を築きました。彼の家の力を借りようかと」
「タダじゃあねぇだろ?」
「労働は美徳だとおっしゃっていました」
「なるほどね。しかしまぁ、マシな方か」
「丁度、新しい事業を起こすので人手が必要なのだそうで」
「最低限の働き口を一つ確保として、住居は?」
「寮で良ければそれもあちらで用意してくれるそうです」
「‥‥話がうま過ぎねぇか?」
「確かに少し思わないでもなかったですが‥‥悪い方には見えませんでしたよ」
「阿呆かお前は、悪そうに見える悪い奴が何処にいる」
「目の前に」
「コロスぞ」
「まぁそれは冗談ですけどね。しかし大尉、貴方はもう少し人間って奴を信頼した方が良いんじゃないですか」
「信用はする相手にはするが?」
「信頼しろと言っているんです」
「おめでたいねぇ。人間程信じるに値しない生物はないぜ?」
「人が人を信じずに一体何を信じるのですか。光陰を纏うのが人でしょう、光のみを見て影を見ないは愚かですが、その逆も然りかと?」
「誰の言葉だ」
「飛鳥です」
「受け売りヤローめ」村上は嘆息すると「村の連中に話は?」
「まだです。まず大尉と相談しようかと」
「そうか‥‥」
 村上は紫煙を吐き出すと煙に目を細めながら言った。
「――疎開させると一言にいっても、人間って奴ぁ生活している土地には愛着を持つ。兜ヶ崎みたいな場所なら特にな。自分自身と先祖代々の血と汗が染み込んだ場所だ。見知らぬ土地への不安も大きい。職だってそう簡単に変われるもんじゃねぇ。たった一人の人間だって動かすのは相当に難しいのに、だがお前は八百もの数を動かすという」
「誠心誠意を尽くして説得するだけです。村の皆を生き延びさせるには、これしかない――俺はそう思います。許可をいただけますか」
「解った、やってみろ。上には俺から話しておく」
 その言葉に不破真治は一つ目を瞬かせた。
「‥‥やけにあっさりですね」
「なんで俺がスラスラと問題点を挙げられたと思ってる? とっくの昔から検討してたからだよ。打てる手は、数が少ない。予算も削られてきてるしな。実行に移す時に費用はかかるが、一旦疎開させちまえば後は人手も金もかからん。今まで兜ヶ崎に当ててた分を他へ回せる。長い目で見りゃあ悪くないだろうよ。やるなら、これしかねぇ」
「じゃあ、なんで実行に移さなかったんです?」
「この村上顕家の言う事を、あの頑固爺どもが素直に聞くと思うか?」
「あー‥‥そういえば、そうですね。俺の言う事にも耳を傾けてくれるかどうか‥‥」
「お前の言う事なら聞くだろうよ」
「‥‥何故です?」
 ――後ろから俺が言うのと、戦い続けてきたお前が言うのとじゃ、連中に対する説得力が違うだろうが。
 村上は胸中で呟いた。
「身から出た錆かね。因果なもんよ」
「はぁ」

 それが一ヶ月程前のこと。
 村上の予測通り不破は八百の村人を説き伏せ、彼等を疎開させる為の下山作戦が行われる事になる。

●笑う影
 雷鳴轟く山間の館。闇に閉ざされたその地下室で一人の男が哄笑をあげていた。
「ひひひヒャッハァッ! ついに、ついに完成したぜよぉおおおおお!!」
 薄暗い室内に白く浮かびあがるそれは全長七mを越える異形の生物だった。
「ハカセ、この気色悪い物体はなんザマスか?」
 年の頃十四、五の少年がひきつった顔で問いかけた。
 ハカセと呼ばれた男は白衣を翻すと、
「イルマリネン君、気色悪いとは何事か! この銀河を貫く造形美が解らんかね!」
「確かに、ハカセの趣味を理解してくれそうなのは異星人くらいなモンでしょうけど」
 それは二本の足と四本の腕を持つ巨人だった。ゼラチンのように柔らかく、柳のようにしなり立つその身には胸部に一つ頭部に四つ虚ろな空洞があり、その奥では青い光がてらてらと燃えていた。
「見ての通り、これは美しいだけでなく二体のキメラを合成させただけあってその力は比類ない!
 頭部の三口から吹雪をまき散らし、四本の腕が火炎をまとった剛爪を振るう!
 首より下は柔軟で物理攻撃に対して極めて強く、一方の頭部は電磁波などに極めて強い! さらに全身に強力なFFと再生能力のおまけつきだ!
 ああ、素晴らしい! 素晴らしいぜよ! 早く、早くぅ、この力を試したいぃぃぃヒャッハハァッ!」
「‥‥また外道な事を企んでるんザマスね」
「外道ぉお? 上等じゃあないカァ、君はこのイカレタ世に何を望む? そういえばどこぞの村が疎開するらしいなぁ。実験材料も手に入るし‥‥今こそ血の雨を降らせてやろうじゃあないか! キャハ!」

●参加者一覧

メアリー・エッセンバル(ga0194
28歳・♀・GP
鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166
15歳・♀・ST
トレイシー・バース(ga1414
20歳・♀・FT
聖・真琴(ga1622
19歳・♀・GP
月影・透夜(ga1806
22歳・♂・AA
オルランド・イブラヒム(ga2438
34歳・♂・JG
セージ(ga3997
25歳・♂・AA
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
リン=アスターナ(ga4615
24歳・♀・PN
クラウド・ストライフ(ga4846
20歳・♂・FT
智久 百合歌(ga4980
25歳・♀・PN
皐月・B・マイア(ga5514
20歳・♀・FC
アシュラ(ga5522
14歳・♀・GP
ダニエル・A・スミス(ga6406
28歳・♂・FT

●リプレイ本文

 基地の一室、二人の男が今回の作戦について話し合っていた。
「理想しか見ない士官は兵にとって悪夢だ」
 オルランド・イブラヒム(ga2438)が言う。それにくたびれた軍服に身を包んだ男が答えた。
「そうだなぁ。敵よりも厄介な手合いだろうよ」
「だが兵に慕われていると聞き及ぶ辺り、現実と理想を共に理解したのだろうか?」
 黒服の男が問いかける。
「であれば、彼は尊敬できる士官の一つの形となったというわけだ。最上級の礼を以ってするに値する」
 その言葉に村上はクッと喉で笑った。
「そいつぁ買いかぶりだろう。まだそこまでする程の奴じゃああるまい」
「そうか?」
「慕われていると言っても‥‥危なっかしくて見てられねぇ、自分がなんとかフォローしなくては、とかいう類じゃねぇか? ま、多少は地に足がついてきたようだがな」
 村上は軽く息をついて煙を吐き出す。
「まだまだ青臭い。かくいう俺も偶に司令部のオヤジに言われるがね」
 その言葉に男は目を細め、
「なに‥‥青臭いのも、実のところキライじゃない」
 村上はふっと笑い、煙草を消した。
「今回は頼む。どんなに兵が優秀でも結局は使い方、暗闇を進むには灯火が必要だろう。上手く指せ」
「ふむ‥‥了解した。割と、補佐をするのは慣れているからな。やってみよう」

●出発
 春の別府基地では今回の作戦を遂行するにあたり準備が慌ただしく進められていた。
 なにせ八百の村人を一気に疎開させようという作戦である。必要なものは多い。
 二十台の大型トラックを始めとして装甲車九台にバイク五台、通信機器や食糧燃料、武器弾薬、その他もろもろ。
「オーライ、オーライ、あ、そのダンボールはそっちに車輛にお願いね」
 傭兵達は智久 百合歌(ga4980)を中心として物資の手配を進めている。
「クラッチはこう、繋ぎが重要、オーケィ?」
 ダニエル・A・スミス(ga6406)はバイクに不慣れな者に対して乗り方のコツをレクチャーしている。
「ブレーキをヘヴィにかけるとロックしてコケるから注意しとけよ」
「‥‥アシュラには無理そう」
 傍らでそれ見ていて残念そうに呟くのはアシュラ(ga5522)だ。背丈の問題である。身長140センチの彼女では少し厳しい。
 そんなところへ、不破 真治(gz0050) が基地の中から出てきた。
「あちらの方は大体終わった、こちらの方はどうだ?」
 問いに答えたのは黒髪の青年セージ(ga3997)である。
「こっちももうすぐ終わりそうだ――今回も頼むぜ准尉」
 青年は言って右手を差し出す。
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
 不破真治もまた右手を差し出した。と、そこへ、
「セージさん、A倉庫に至急来てほしいと黒崎軍曹が」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)がやってきて伝える。
「軍曹が? 何か足りないものでも出たのかな‥‥? ったく、何故か握手しようとするといつも邪魔が入る」
「不思議ですねぇ」
 日独クォーターの青年が苦笑して述べる。
「なぁに邪魔が入ってもやり通せば良いのさ」
 不破真治はニヤリと笑い、男達はガッと握手を交わす。セージは「それじゃまた!」と言って倉庫の方へ走っていった。
「不破准尉、今回は思い切った策を思いつきましたねぇ」
 シルエイトが言った。
「思い切ってるか?」
「ええ、ですが、微かでも希望が残るいい策です。この道中何があろうと、村の人達も‥‥希望も、全力で守り抜きます」
「頼もしい言葉だ。ミュルミドゥンの胸甲を消し飛ばした其の爆槍の威力、今回も当てにさせてもらうぞ」
「任せておいてください」
 シルエイトは軽く会釈してみせる。
「あ、不破さん」
 智久が不破の姿を認めてこちらの方へやってくる。
「行程は順調か?」
「ええ、定刻には出発出来ると思うわ。それと不破さん、アッキーに「適材適所、結構イイ男ね」と伝言を頼めます?」
「構わないが、直接言えば良いだろうに」
 その言葉に智久は微笑むと、
「軍が動く、という事は彼の働きもあるのでしょ?」
「ああ、俺の権限ではこれだけのものは動かせん。大尉は上と話をつけるのが上手いからな」
「なるほどね」
 と智久は頷く。
 そこへ今度はクラウド・ストライフ(ga4846)が煙草をふかしながらやってきた。
「よぉ、お堅いの。元気にやってるか?」
 不破真治はクラウドに仏頂面を向けると、
「お堅いのとはご挨拶だな、お前の方こそ良い加減どこででも煙草を吸う癖は直したらどうだ?」
「ほら、お堅い」
「職務だからな」
「なるほど」
 その言葉にクッと男達は笑い合う。
「まぁ、そこそこ元気さ。俺は、だけどな」
「‥‥あちらの方、にっちもさっちもいかなくなったみたいだな」
 クラウドが若干声を落として言った。不破もまた表情を厳しくする。
「ああ‥‥流石に限界が近い」
「それで今回の作戦か?」
「かなりハードな行程なのは承知している。しかし、やらねばならん」
「ま‥‥ハードなのは毎度の事だ。今回も俺らでなんかするぞ」
「ああ、必ず成し遂げてみせよう」
 一同は頷くと準備を進めた。

●兜ヶ崎にて
 兜ヶ崎は山奥の高地にあり、村人達は村の学校に避難している。校庭に空のトラックを入れるだけでも一日がかりの大仕事であった。教室の出入り口に直接つける事は花壇や植木がある為不可能であったので出来る限りその近くにトラックは配置される事になった。
 村はガスも水道も電力も止まっている。その日の晩、校庭に火を起こして一同は食事を取る。
「始めまして‥‥アシュラだよ‥‥宜しく‥ね」
「みんなから聞いてたよ。貴女が櫻ちゃんだね? 今までお疲れ様。よく頑張ったネ」
 と聖・真琴(ga1622) 。星空の元、焚火に照らされながら一同は言葉を交わす。
「有難う。でもオレが、もう少し強ければなぁ‥‥」
 鳥居櫻は膝を抱えて溜息をついた。蓄積した疲労がそうさせるのか炎に照らされる顔には隈が濃い。
「ウジウジしたのは嫌いなんじゃなかったのか?」
 干した肉を齧りつつ不破、
「うっせぇ!」
「まぁまぁ、仕方がないわよ。一人じゃやっぱり限界があるもの」
 メアリー・エッセンバル(ga0194)が苦笑して言う。
「ま、後は俺らに任せておけ」
 ふーっと紫煙を吐き出しながらクラウド。
「作戦は聞いてる。でも、無事にふもとの街まで抜けられるのかな‥‥オレの兄貴も、この村に来る途中、峠でキメラに殺されたんだ」
 炎を見つめて目蓋を伏せがちにする櫻。彼女の兄は軍人であり輸送分隊の分隊長であった。しかし、死んだ。この村に物資を運ぶ途中でキメラに殺された。その後を継いで分隊長になったのが不破真治である。
 さすがの不破も言葉をかけられないのか口を噤む。火の爆ぜる音が夜の校庭に静かに響いた。
「安心しろ」
 しばしの静寂を破って一人の男が言った。
「誰一人欠ける事なく送り届けてみせる」
 月影・透夜(ga1806)だ。彼は杯に口をつけつつ淡々とそう述べた。
 それに皐月・B・マイア(ga5514)が続ける。
「絶対の保証は出来ないかも知れない‥‥だけど、信じて欲しい。何があっても、守り切ってみせるから」
 少女は櫻を見据えてそう言った。
 櫻はじっとマイアを見据えると、
「‥‥解った。信じる。お願いだ。どうか誰も死なせないで」

●下山一日目
 翌朝、校庭に停められたトラックの中に村人達がぞろぞろと乗り込んでゆく。
「ここも遂に退く事になりましたね‥‥」
 吹く風に長い黒髪を揺らし、聳え立つ校舎にある動きの止まった時計を振り返り仰ぎ見て鳴神 伊織(ga0421)が呟いた。
「大切な『居場所』を捨てるのは‥‥辛いだろうな‥‥せめて無事に‥‥」
 自身の経験と村人達の姿が重なるのか、マイアが表情を曇らせて言う。彼女もまた疎開を経験していた。
「生きてさえいれば、取り返す機会もあるでしょう‥‥」
 その為にも無事に送り届けなければならない。鳴神は気を引き締める。
「うーん、それなりには整えてたみたいだけど、大分ガタが来ているみたいだねェー」
 獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166)は校庭を囲む防御機構を調査してそう述べた。
「酸とかを使う連中が多くてさ。すぐにボロボロになっちまうんだ」
 と、櫻。
「なるほど。一応、補強しておいた方が良いよねー。こんな事もあろうかと〜各種道具を」
 と言って獄門は超機械等々を持ち出して防御機構の修理・補強に当たる。
「不破、今回は護衛なんだ。一人で突っ込むなよ」
 出発前、月影が特攻野郎にクギを刺していた。
「皆、誤解している。俺だって解ってはいるんだ」
 不破は釈然としなさそうな面持ちで答えた。
「ほう?」
「ただな、その場に立って考えると、やはり俺が突っ込むしか無いというか、考え自体が頭から吹っ飛ぶというかな」
「一人で突っ・込・む・な・よ!」
「‥‥了解」
「指揮と村民を頼む」
 月影はそういって無線機を放る。不破真治はそれを受け取ると嘆息しつつ耳にイヤホンをつけた。
「猪突猛進で情に流され易い‥‥軍人としては失格」
 リン=アスターナ(ga4615)は不破真治をそう評した。八百もの村人を動かした准尉とは一体どんな人物なのか、それを計っていたらしい。
「手厳しいな」
 不破真治は苦笑した。苦笑するしかない。自身でも時折そう思うからだ。
「――でも、人間としては、嫌いじゃない」
 リン=アスターナはそう言った。
 目を瞬かせる准尉に背を向けると煙草を咥えてリンは校舎へと歩いた。
(「彼が私の上官だったら‥‥私は、軍を飛び出したりなんかしなかったでしょうね‥‥」)
 胸中で苦く独白する。脳裏をかすめるのは昔日の記憶か。常は咥えているだけの煙草に、火をつけたくなった。

●峠をゆく
「Goooooooood! Mooooooooornig! KABUTOGAZAKI!!」
 トレイシー・バース(ga1414)が無線に向かってシャウトした。
「本日の天候は晴れ! 風は強いけどナイスな日より! 行軍に支障? ある訳ないわ! 我等傭兵いる限り、キメラが出てきても一撃撃退ッ! FU!」
 それにしてもこのトレイシー、ノリノリである。暗くなりがちだった雰囲気は吹き飛んだが、不破真治は頭を抱えている。
「おいトレイシー! 無線はラジオじゃないぞ!」
「オー准尉殿がお怒りネー、ワタシ、ニホンゴ、ワッカリマセーン」
「嘘つけ、お前滅茶苦茶流暢に日本語喋るじゃないか!」
「良い良い、やらせておけ」
 まだ無線が届く範囲な為か、村上顕家がクックと笑いながら言った。
「ですがね大尉!」
「つまらんよりは愉快な方がよかろ。士気も上がる」
「つまらなさの塊みたいな人なのに言いますね、大尉」
「戻ってきたら覚えてろ貴様」
「自分、頭悪いので忘れるでありますサー!」
 そんな調子で第一便は進む。陣容はトラック六台、それの前後を挟むようにして装甲車二台、二台の計四台。先行するバイク隊三台。後一台、ダニエル・A・スミスもバイク搭乗だがそちらはトラックについて待機する。
 人員は月影を班長とするA班、智久、メアリー、セージ、ダニエルの五名。それとオルランドを班長とするB班、クラウド、シルエイト、真琴、トレイシーの五名。および不破分隊の十名。総員二十名だ。他のメンバーは村に残ってその防衛に当っている。
 真琴は普段から単車を転がしているだけあって手慣れた様子で大型バイクを操り、曲がりくねった道も鮮やかに進んでゆく。智久はショットガンを背負い、月影は槍を担いでそれに続く。
 道には小型のキメラがうろちょろとしていたが、
「構ってる暇ないの」
 真琴のスコーピオンと智久のショットガンによる車上射撃であっという間に蹴散らされる。問題なし。
 行軍は順調に進んだがトラック隊がA峠にさしかかった時、ドラゴンフライが襲いかかってきた。
 が、これも「既視感を覚えるな」オルランドが電磁嵐を巻き起こして一気に爆裂させ「飛んでファイアに入る春の虫だぜ!」ダニエルがショットガンを叩き込んで撃墜した。
 森の茂みの奥からミュルミドゥンが飛びだし隊の前後から挟撃を仕掛けてきたりもしたが、
「また来ましたか。本当、この辺りの虫はよく働く」
「前に一度戦った相手だから弱点は解ってるわ。関節を狙って。酸に注意よ」
「了解。硬そうだけどなんとかなるでしょ」
「我は世界と共にあり、世界は我と共に在る」
「うぜぇ虫だな‥‥一気に蹴散らす!」
 やはりこれもシルエイトのエクスプロードを始めメアリーの爪やトレイシーの戦斧、セージの蛍火、クラウドの二刀が炸裂して遭遇した瞬間に屠られる。問題にすらならない。
「ヴィジョンを確保しないと危険がデンジャラスだぜ」
 というダニエルの言により休憩時は視界の開けた場所でとった。その為、不意打ちを受ける事もなく、近づいてきたキメラは早期に発見され、飛び道具で追い払われる。
 割とあっさりと一便はふもとに辿り着き、作戦開始から一日目は終了した。
 二日目、村へと帰還して休息を取り、三日目、第二便が出発する。
 入れ替わり村の防衛についたシルエイトは祖父の事を思い出していた。
 彼の祖父は日本贔屓のドイツ人で、日本がバグアに襲撃される現状を憂いたまま病死した。「奴らから日本を守る」その志を継ぎ、宗太郎=シルエイトは能力者になった。
「大切なこの場所に‥‥必ず帰ってきましょう。私も力の限り、お手伝いさせていただきます」
 バグアをこの地から押し返す。いつかきっとその日は来る筈だ。否、いつかきっとその日はこの手で掴み取る。蒼空の彼方を見やりシルエイトはそんな事を思った。
 蒼天の元、便は進む。第二便の護衛につくのはA班と鳴神を班長とするC班、獄門、リン、マイア、アシュラの五名。および不破分隊の面子である。
 A班と不破分隊には多少疲れが残っていたが、今回も特に問題なく行程は進んでゆく。
 食事時などの休憩中、獄門は積極的に村人達と交流した。二便は足腰の弱った老人等が多く、孫を思い出すのだろう、自負するだけあって年上受けは良い獄門であった。
「大丈夫ですか? どこか辛い場所などはありますか?」
「ええ、ええ、大丈夫です。すみませんねぇ」
 メアリー=エッセンバルもまた彼等の体調に気を配り、優先しての警戒にあたった。
「――有栖川? ああ、岬守さんと知り合いなのか」
「依頼で縁あってねェー、信頼出来る人だと見たよー」
 不破真治に有栖川の人となりを説明する獄門。
「あれで結構な喰わせ者だが‥‥まぁ確かに人は良いですね」
 従兄だという黒崎軍曹はそう評した。
 休憩中に大型の熊なども出たが、
「敵影発見、南の方向、数一、村人に寄せないように」
「故郷と言う『居場所』を奪っておいて‥‥まだ奪い足りないのかっ‥‥キメラめ!」
 リン、マイア、アシュラが弾幕を張って怯ませた所へ月影が突っ込んで槍を突き刺し、鳴神が落雷の如く刀を振るって断ち切った。相変わらず切れ味が半端じゃない。
 二便も無事にふもとの街へと辿り着き、四日目、一同は村へと帰還した。

●白の巨人
 一同の計画は良く練られており、全てが順調にいくかに思われた。
 しかし、異変は五日目の朝、やってきた。
「WARNING! WARNING! A HUGE CHIMERA IS APPROACHING FAST!」
 村人の列がトラックへ乗り込んでいる最中、無線に鋭い警告の言葉が流れた。トレイシーの声だ。
「なんだ、どうしたんだ?!」
 櫻が無線に向かって問いかける。
「巨大なキメラが一匹こちらに向かってきてるわ! 凄い大きい! ‥‥なにこれ、こんなキメラ、見たことがない!」
 学校の門前で歩哨に立っていたトレイシーは村の方から登ってくるその巨大キメラの姿を双眼鏡で捉え叫んでいた。
「巨大キメラ、だってぇ?」
「朝も早くからご苦労なこった」村上顕家は紫煙を吐き出し「さてどうする?」
「住人の安全が最優先だ。日数にはまだ余裕がある。この便の出発は中止にして避難させるべきだ。しかる後、校庭で迎え撃つ」
 オルランド=イブラヒムはそう述べた。
「ま、それが一番安全か‥‥一応、慎重を期し三隊で村人達の退避とそれからの警護に当たろう。大型は任せた」
「了解」
 村上分隊、不破分隊、鳥居分隊の三隊で残った320人を校舎の中に避難させ万一に備えて守備にあたり、十五人の傭兵達が校庭に展開して巨大キメラを迎え撃った。
 そのキメラは奇怪な姿をしていた。全長は七メートルを越え、ナイトフォーゲルに匹敵する。二本の足と四本の腕を持つ巨人。色は病的なまでに白く、柳のようにしなり立つその身には胸部に一つ頭部に四つ虚ろな空洞があり、その奥で青い光がてらてらと燃えている。
「なんだぁこいつは‥‥」
 ダニエルが地響きをあげて校庭に侵入してきた巨人をみやり呻いた。巨人は校庭に入ると傭兵達を見まわすようにこうべを巡らしてから。
「ヒャッハァ! 初めまして皆さん、そしてさようなら皆さん!」
 その口からまだ若いであろう男の声を響き渡らせた。
「‥‥喋った!」
 驚きの声をあげるアシュラ。
「ひひひひ! 我輩の名はヴァイナモイネン! 地球が誇る天才科学者よ! 喜びたまえ諸君! 諸君等はこのアハティ君の記念すべき狩猟の獲物第一号に選ばれた!」
「‥‥はぁ?」
 唐突なその言葉に眉をひそめる真琴。
「遠隔で声を発信しているのか‥‥何者かは知らないけど、見ているわね」
 リン=アスターナが周囲に視線を走らせて言う。
「ちょうど実験材料も不足していてねぇ。君達はたいそうイキが良さそうだ。奥にいる村人達ともども芸術品に仕立ててあげるから感謝しろよぉ? キャハ!」
「‥‥勝手な事を!」
 月影が槍を構え呟く。
「まさか‥‥このキメラ、人間を元に造られているの?」
 メアリーがふと思いついて言う。
「ひっひっひ、御名答! 二人の人間を元に各種キメラを練り合わせて作った最高傑作ぜよ! 美しかろう!」
 その言葉に絶句する一同。
「‥‥醜悪だねェー」
 獄門が言った。
「なんだと?!」
「姿形が、では無い。性根が、だよー」
「‥‥貴様、この天才科学者にケチをつけたな?」
 声が震え、ヴァイナモイネンは金切り声をあげ始める。
「良かろう! そんなに死にたいというのなら殺してやる! 切り刻んで、引き抜いて、凍らせて砕け散らせてやる! 押し潰して、抉り抜いて、生きたまま鳥に目玉をついつばませてやる! 寄生虫を体内に埋め込んではらわたを食い殺させてやる! 泣き、叫び、絶望に捕らわれて逝け! ひゃっははああああああああ!!」
「ただの狂気の塊‥‥か。同情するぜ」
 覚醒したシルエイトがげんなりした表情で呟いた。
「殺す! アハティィィィィィィ! キリングタイムの始まりぜよぉおお! 皆殺しにしろ!」
 その声が響き渡ると同時に巨人は腕を振り上げ六つの虚ろな穴から不協和音が大音量で発せられる。
「いけぇえええええええっ!!」
 巨人が地響きをあげて走り、近接武器を持つ傭兵達が迎え撃つように走る。
「大概は頭が弱点、これ常識!」
 智久はショットガンを巨人の頭部目がけて撃ち放つと散弾を追いかけるように瞬速縮地で駆ける。巨人がかざした腕の上から弾丸が次々と命中し、智久は片手で刀を抜き放った。縮地の勢いを借りて高々と跳躍し巨人の頭部を流し斬る。
 血風が飛んだ。しかし巨人もただではやられない。宙に在る女の身を胴を掴み取り、火炎を宿した爪で刺し抜きながら地面に叩きつける。土の地面が爆砕し智久の身が焔に包まれた。巨人の頭部の傷が急速にふさがってゆく。
「百合歌!」
 リン=アスターナはスコーピオンを連射し瞬天速で巨人の背後に回り込む。
「――破ッ!」
 練力を全開にして巨人の膝裏を蹴り抜く。刹那の爪がフォースフィールドを突き破る。柔らかいその体躯に対しては常よりも威力が半減していたがその巨体を揺らがせた。力が緩んだその隙に智久は爪から脱出する。
「回復能力か‥‥なら回復速度を上回る攻撃を連続で叩き込む。みんな行くぞ!」
 月影が吼えた。スパークマシンを振って電撃の帯を連射し、オルランドが超機械で蒼光の電磁嵐を巻き起こす。圧倒的な破壊の嵐が巻き起こり巨人の下半身が爆ぜ体液が噴き出す。
 鳴神は獲物を弓に変え矢を番えて頭部めがけて撃ち放った。音速の矢が見事に突き立つ。
 シルエイトがエクスプロードが構えて走り猛然と穂先を繰り出し、クラウドが紅蓮の二刀連撃を浴びせ、メアリーが練力を全開にして瞬天速で間合いを詰め爪撃を叩き込み、真琴が足技を絡めた連続技を繰り出す。蹴りは強力な赤壁の前に完全に弾かれたが爪撃は通った。
 入れ替わりセージが源星で、トレイシーがバトルアックスで連撃を浴びせかける。
「アシュラ達の邪魔は許さない。村の人達には指一本触れさせないわ!」
「化け物め‥‥恐怖と破壊しか振り撒けない貴様等なんかに‥もう二度と!」
 アシュラが拳銃を三連射しマイアが腕を光り輝かせて銀銃を放つ。ダニエルがショットガンを連射して散弾を放ち、獄門が猛烈な電磁嵐を巻き起こした。
 巨人は非常に頑強な生物であった。しかしこれだけの集中砲火を浴びてはさしもの巨人も耐えきる事は出来ない。再生能力も追いつかず、許容量を超えたのか軟体の下半身が弾け飛び、体液を撒き散らす。
 下半身を失い腕も失った不格好な足だけを持つ上半身が地に転がった。
「ば、馬鹿な‥‥! 化物か貴様ら?! ‥‥だがなぁ勝つのは我輩だ!!」
 残った巨人の上半身は意外に俊敏に転がると、その蒼い光が燃える口内から煌きの結晶を吐き出した。九十度のコーンで広がる吹雪が四連続で巻き起こり範囲内に居る傭兵達――全員だ――を飲み込む。
 氷雪に包まれて抵抗力および生命力の低い者がばたばたと倒れてゆく。トレイシー、オルランド、智久、マイア、アシュラ、ダニエルの六人が氷漬けになって昏倒した。
 立っている者にも深手を負っている者が多い。獄門、セージ、リンは瀕死の状態。他の者も体力を半分以上削られている。
 身に纏わりついた霜を振り払って鳴神が刀を抜いた。紅蓮の輝きを宿し、人間ほどのサイズまで大きさを減じさせた巨人へと向かって駆ける。
「ぉおおおおお! 破ッ!!」
 リン=アスターナが爪撃から蹴りを叩き込み、月影がカデンサを振りかざして突撃し、シルエイトが真紅の輝きを巻き起こす。
「村の奴らの想いは貫く‥‥! 俺達の力は、そのためにあるんだ!」
 鳴神の刀が一閃され月影の槍撃が薙ぎ払う。クラウドの二刀が竜巻のごとく振るわれ、メアリーと真琴の爪撃が斬り刻む。シルエイトは穂先を突き刺すと寸勁の要領でさらにねじ込みエクスプロードの爆発機能を発動させて巨人の体内を焼き尽くした。
「ち、畜生! 何故だ、何故倒れん?! こんな筈では、こんな所でやられる予定では――!」
 ノイズの混じった不協和音がキメラの口内より響き渡る。
「敵を断つのは力に在らず、技に在らず、刀身に在らず。斬ると決めた心の在りよう――即ち覚悟!」
 セージは血に塗れた霜を払い落すと八双の位置に源星を構える。
「俺たちは背中に命を背負ってるんだ。簡単に潰れてたまるかよ!!」
 男は猛然と太刀を振りかぶると渾身の踏み込みから全体重を乗せて袈裟斬りに振り下ろした――

●いつか帰る場所
 かくて白の巨人は殲滅され、人々は生き残った。しかし傭兵達は意識不明者および重傷者多数だった為、戦いのあったその日と翌日は休息に当てられた。獄門・Y・グナイゼウ、フル回転である。
「手がー足りないー、練力も足りないー、皆、怪我し過ぎだねェー! そういう私も重症だったけどー!」
 しかし太陽の運行はこちらの都合には構ってくれない。期日は迫る。倒れたオルランドの手当てをするメアリーが素顔に慣れずに挙動不審になったり周囲が包囲網を構築したりと色々あったりもしたが、一同は七日目に最後の便を発進させる事にした。
 とても万全の態勢とは言い難く、消耗している時に限ってキメラ達が嵩にかかって襲撃をかけてくる。しかし一同は良く連携し、死力を振り絞って危険地帯を切り抜けた。
 最終日の晩、なんとか無事にふもとの街まで辿り着いた一同は歓声をあげた。
「Goooooooood! evening! every one! ついに我々は目的地に辿り着きました! 任務達成、大成功! Fu!」
 トレイシーが無線に向かってシャウトする。
「ご苦労さん。いい旅だったぜ!」
 セージは運転手の肩を一つ叩き労いの言葉をかける。
「良かったわ‥‥全てを守りきる事ができて」
 メアリーはほっとしたように息をついている。
「お疲れ様」
 黒のグラスをつけた男はそう言った。
「貴方もね」
 金髪の庭師は片目を瞑って笑った。
「ヘイ! ひやひやした場面もあったが、流石はブラザー達だぜ、パーフェクトだ!」
 車両から降りてダニエルが言った。
「死者零、日程以内で完了、確かに最も良い結果よねっ」
 弾んだ口調で真琴が言う。
「怪我が無ければもっと良かったんだけどねー」
 いたた、と包帯が巻かれた箇所をさすりながら智久。
「百合歌‥‥大丈夫?」
 同様に頭に包帯を巻いているアシュラが問いかける。
 智久はそれに笑顔をみせると、
「うん、大丈夫よ。アシュラの方こそ大丈夫?」
「アシュラは、大丈夫‥‥ちょっとまだ痛いけど、獄門さんに練成治療してもらったから‥‥」
 アシュラはこくりと頷き隣の少女へと視線をやる。
「お安い御用なんだよー、本当なら全快までいきたかったんだけどねェー」
 練力がー、と獄門。一人で十五人治すのはさすがの彼女でも不可能だ。
「何にせよ、全員生きてて良かったわ」
 リン=アスターナは煙草を咥えた。火はつけないが咥えるとやはり落ち着く。
「村が平和になったら‥‥牡丹鍋、食べに来ていいですか?」
「おー、かまわねーぞ、あんた達なら大歓迎だ。こいこい」
 シルエイトの言葉に櫻が笑みを見せて答えている。
「まぁ、その為にはバグアを押し返す必要があるが‥‥800人分の想いを背負ったんだ。必ず九州を奪還しないとな」
 と月影。
「このままで終わらせません‥‥いつか必ず取り返します」
 鳴神もまた頷いて言った。
「また俺らの力が必要になったときは、いつでも呼んでくれ。どんなことがあっても、這いずってでもお前らのことなら来てやるからよ」
 煙草に火をつけつつクラウド。
「頼もしいなー、あんたら。有難う、オレもまた頑張ろうって気になってきたよ!」
 にししと笑って櫻が言った。
 明かりの消えた夜の街、でもいまだ希望の火は消えていない――彼等は道を照らしだせるかどうか。
(「父さん‥‥あの時には無かったこの力は‥『居場所』を守り通せる力になってるかな‥‥?」)
 闇夜に浮かぶ月を見上げ、吹き抜ける風に目を潤ませながらマイアは胸中で呟いた。どうしても昔を思い出す。
「生きてさえいれば‥‥きっと‥‥新しい居場所も作れる‥きっと‥‥」
 そう、信じよう。


 了