●リプレイ本文
●戦いの前に
風祭・鈴音(gz0344)の居城・トリイ基地を前に、UPC沖縄軍の面々が息を潜める。
彼らの先頭に立つのは、ここまで戦いを引っ張ってきた傭兵たちだ。彼らが武器を振るい、基地の主要施設を破壊するための道を切り開く。
基地内の戦力を誘き寄せる陽動班は、男性陣が担当。地元沖縄を救わんとする侍・風閂(
ga8357)の鼻息も荒く、本作戦に対する気持ちも強い。
「これで終わるといいのだが。故郷が解放に近づいている、と思っていいのだろうな」
そう呟けば、施設の破壊工作を指揮するソウジ・グンベ(gz0017)が「前進させます、必ず」と力強く語り、部下の士気を高揚させる。
「ラルフのこともあるだろうが、しっかり頼む」
それを聞いた終夜・無月(
ga3084)は「渡嘉敷大尉に負けない活躍が必要ですね」と微笑む。覚醒して女性的な風貌であるからか、その言葉は素直に受け止められた。
「うむ、さすが男性班。色気がないな」
率直なご意見を誰かに聞かせたいのか、UNKNOWN(
ga4276)は不意に呟く。帽子の位置を直しつつ、照りつける太陽をふと見上げた。
すると、杉森・あずさ(gz0330)が申し訳なさそうな表情で現れる。
「あの、さ、さすがにさ。今日の任務で、バニーちゃんは無理だから‥‥今回はこれで勘弁してよ」
以前、紳士の期待を見事に裏切ったあずさは、複数の傭兵からお説教を頂戴した。しかし今回の依頼は真剣そのもの。さすがにふざけた格好はできない。
それでも彼女は「罪滅ぼしをしなくては」と知恵を絞り、今回はウサギのヘアバンドのみを着用。ゆくゆくは「約束を守る」と宣言した。
「なるほど。そういうことなら、今後に期待しようか」
あずさはホッと胸を撫で下ろしてヘアバンドを取ろうとすると、メシア・ローザリア(
gb6467)がそれを阻止した。
「あら、まだよろしいんじゃなくて?」
「メ、メシアさん! もう、いじわるしないでよ‥‥」
うら若き女性陣は、積極的に施設破壊を担当。メシアは「美と、愛で、基地を混乱させる」べく、今日は黒のドレスと銀のティアラで味方をも魅了する。
あずさは「美はお任せね」とばかりにヘアバンドを取り、最前線に復帰した百地・悠季(
ga8270)の元へ。そこで娘の写真を見せてもらった。
「時雨ちゃん、だっけ。かわいいわね」
「いずれはあずさも考えなきゃいけないわよ。それはあちらさんもかしら?」
一児の母はそう話し、ふとリュイン・カミーユ(
ga3871)に視線を向けた。彼女もまもなく、夫を得る。
「じっくりお話を聞きたいわ。そのうちにね」
あずさはふと本音を漏らすと、ソウジから集合がかかった。いよいよ作戦開始である。トリイ基地の動きを制限するためのKV部隊が攻撃を開始。敵が応戦の構えを見せると同時に突入となった。
●二軍の活躍
作戦遂行は2時間。可能な範囲で施設の破壊を行い、鈴音の支援を妨害する。
基地の大まかな構造は、過去の地図や風閂の知識が役に立った。UNKNOWNは地図を縦横に各26分割し、アルファベットで表現。男性陣が向かう通信室を0、女性陣が目指す「動力部・武器庫・格納庫・管制塔」を1から順に割り振り、通信時の簡素化を図る。
風閂の進言で、まずはトリイのある真正面から突入。
「ぶっ倒れるまで戦う覚悟はできている。来い!」
敵に名乗りながら走り続け、注目を集める。そして愛刀・国士無双を抜き、敵が迫ったところを返り討ちに。駆け寄ってくる兵士に対してはソニックブームで牽制する。
怯んだ敵に対して、頑強な装甲に身を包む須佐 武流(
ga1461)が、洋弓「レルネ」で追撃。確実に数を減らす。さらに美しい銀髪を揺らしながら、無月が風閂より前へ躍り出た。
「通り名のとおり‥‥暴れさせて貰う‥‥」
聖剣「デュランダル」の魅力に負けず劣らずの動作、そして覇王の意気で兵士を圧倒。剣を振り切ると同時に身を捻らせ、次の敵に蹴りを食らわすトリッキーな動きで敵を惑わせる。
ひとまず探査の眼を発動させて周囲の様子を伺うUNKNOWNに、ソウジは「よろしく」と声をかけ、女性陣が最初に目指す動力部へと急ぐ。
警報の鳴り響く中、兵士に混ざってキメラが現れたが、傭兵にとっては準備運動のうちか。悠季がバイブレーションセンサーで周辺の状況を感知。後ろに控える歩兵部隊にそれを伝え、有効な情報があれば随時提供してもらう。
リュインは周囲に注意を払い、監視カメラの類は片っ端からエネルギーガンで破壊。
「数が多いか。しかしタダで見られるのは、もっと気に入らんのでな」
あずさも「ごもっとも」と言いながら、キメラを斬りまくる。
メシアは防御的な意味合いで、探査の眼を使用。敵の不意打ちを防ぐ。手には指揮棒型の超機械「グロウ」を持ち、優雅な前進を阻む野暮な男たちの身を焦がす。
「さぁ、踊りなさいな。悪い子には鞭が必要よね?」
陽動班の進攻が激しいためか、防衛側に勢いがない。女性陣はすんなりと動力部へと突入。ここで強敵と言うべき指揮官級のバグアが出現した。
「所変われば、品変わるってね」
悠季は微笑みながらエネルギーキャノンを構え、周辺の施設を巻き込むようにして発砲。破壊とは、なんと楽なことであろう‥‥そんな皮肉が誰の脳裏にもよぎった。
リュインは瞬天速で指揮官に接近、勢いそのままに鬼蛍で斬りつける。
「エスコート代だ、しっかり壊せよ」
軍の兵士に仕事を任せると、彼女はそのまま決戦へ。ところが彼女の隣に、思わぬ援軍が現れた。ソウジだ。
「部下が行ってこいとうるさくてな」
「なるほど‥‥ソウジもしっかりな!」
敵の攻撃を受け流しつつ、リュインが反撃。その隙間を埋めるかのごとく、ソウジが前へ。押され気味の指揮官が渾身の力を込めて斧を振り下ろすも、スキュータムを構えたメシアが弾き落としでガードする。
「あら、お邪魔したかしら?」
思わずリュインが素の表情を見せると、それを見たソウジが笑みを浮かべながら「いえいえ!」と返答。小気味のいいテンポで戦闘は進んだ。
●通信室前の激闘
その後、女性陣は動力部の破壊に成功。そのまま武器庫へ向かうとの連絡が、陽動班に届けられた。
陽動班も派手な立ち振る舞いを心がけつつ、通信室の目前に迫る。しかし運悪く、2体のタートルワームが出現。紫煙の軍師は通信室への距離を確認し、風閂に声をかける。
「風閂、軍を先に。中は任せた」
彼に歩兵部隊の誘引を任せ、練成治療を二度ほど施す。風閂は「任せろ!」と答え、兵士を守りながら中へ。
その間、強敵は3人が引き受ける。武流は弾頭矢を番え、向かって左の敵を狙って攻撃。矢が突き刺さるたびに爆破が起こるが、敵に動物的な反応はない。このことから乗組員がいることは明白だが、そんなことは誰もがわかっていた。
UNKNOWNは周囲に散る敵を超機械「カルブンクルス」で撃ちながら、ふらりと前進。武流の狙いと同じTWを射程に収め、頭部や武装の根元を徹底的に狙う。
「まぁ、並のパイロットなら視線が上に向くだろうね」
火炎弾に踊らされているうちは仕方なく我慢するが、相手に隙ができれば反撃したくなるもの。そんな心理を嘲笑うかのように、無月が瞬天速で駆け抜け、前脚を十字に切り裂く。敵はあっという間にバランスを崩し、満足な動きができなくなった。今度は武流が逆の脚に狙いを定めると、前のめりになって地面に倒れる。
「この機は逃さない」
無月は大きく宙を舞いながら両断剣・絶を発揮。そのまま絶大な力を帯びた聖剣を振り下ろし、すべてを叩き割らんとする。UNKNOWNも傷ついた脚を集中的に狙ってフォロー。速攻で1匹を仕留めた。
「白煌の覇王はここだ‥‥」
巨大な兵器をも圧倒する迫力を演出した彼らに、兵士やキメラはしばし動けず。ただ、もう1匹のTWは別だ。無謀とわかっていても、戦わねばならぬ時はある。
「士気のためとはいえ、大変だね。そちらも」
紳士は相手の心中を察する余裕を見せながらも、目配せで武流と無月に合図を送る。もう1匹も同じ運命をたどるのだろう。それは火を見るよりも明らかだ。
風閂は詰めていた強化人間と対峙。両断剣を駆使して、勝負を有利に持ち込む。
「誰であろうと蹴散らす!」
この場は兵士たちも彼の支援に回り、手厚く援護。なんとか難敵を撃破すると、風閂は通信員に鋭い視線を向けた。
「まだやるか! さっさとかかってこい!!」
彼の覇気に気圧された兵士は、算を乱して逃げていく。しかしここにたどり着くまでに、風閂も傷ついていた。彼は活性化を使い、傷を癒す。
「だ、大丈夫ですか、風閂さん!」
「ふうっ‥‥まだだ。時間はまだ半分も残っている。ここは皆の出番だ。頼んだぞ」
自分のことはいいと、兵士に破壊活動を願い出る。ふと窓を見れば、TWがもう1体倒れるのが見えた。
それとほぼ同時で、UNKNOWNが到着。風閂の傷を見て練成治療を使い、効果の消えた探査の眼を再び発動させる。
「女性陣は武器庫に到達した。まだ手薄なようだから、こちらで派手に暴れるつもりだ」
UNKNOWNはそう言いながらも、火炎弾を随所に撃ち込む。どうやら配電設備のあたりを狙ったらしい。部屋の明かりが一度消え、またついたかと思うと、さらに別の場所を射撃。今度こそ光は消え、周囲が薄暗くなった。
「さすがですね」
「こういったものは、知識や経験があれば敵ではなくなるよ。むしろ人の方が手強い」
風閂は「そういうものですか」と笑いながら、再び国士無双を構えた。そう、彼もまた敵の前では手強い戦士のひとりである。
●格納庫の誤算
1時間以上が経過したが、女性陣の進攻は予想以上に早かった。
武器庫の破壊も済ませ、次は格納庫‥‥と思ったが、ここでUNKNOWNから情報伝達による通信がメシアに届けられる。
「AJ3‥‥格納庫はCN3でしたわね」
それを聞いた悠季が、後ろの兵士に現在地を確認。すぐに「DCです」との答えが聞こえた。
「迂回路よ。陽動班が相手してる敵が、そっちに行ったのかもしれないわね」
おおっぴらに言わないということは、すぐに伝えたいことなのだろう。リュインも「指示に従おう」と話をまとめ、指示に従った。
その後も悠季のバイブレーションセンサーのおかげもあって、なんとか格納庫に到着。しかしこの頃、無傷の者は誰ひとりとしていなかった。リュインとメシアが練成治療を施すも、万全の態勢を維持するまでには及ばない。風閂よろしく、こちらも気迫の出番と相成った。
しかし、ここで難敵が登場。ついにレックスキャノンが姿を現す。
正確に表現するならば「最初からいた」というのが正しい。ここは何しろ格納庫。不運にも出撃前の1匹が残っていたのだ。またキメラの数も尋常ではない。
「恐竜の足止めをするわ。援護をお願い」
悠季は危険を承知で足元まで移動し、呪歌を奏でる。狙いはもちろんRC‥‥の操縦者。サポートにはあずさが回る。
「時雨ちゃんに怒られるのはやだからね」
不意に恐竜の動きが止まったところを、拳銃に貫通弾を装填し終えたリュインが瞬天速で迫る。
「勝負を賭ける場面だな!」
すぐさま瞬即撃を使い、怨念のごとき赤色で存分に肌を切り刻む。さらに身を穿つ弾丸を浴びせれば、太古の叫びが格納庫に響き渡る。
メシアは歩兵部隊に「派手な爆破をお願いしますわ」と注文。自らはあずさと同じく悠季の元へ駆け寄る。そして超機械でキメラを退治しつつ、盾で味方をガード。必要とあれば弾き落としを使う。
「この場は、狂暴に暴れていただく方がありがたいですわ」
RCの気が触れてプロトン砲を撃って大暴れ‥‥を期待したが、どちらかといえば撃破の方が早く片付く様相である。
ソウジも恐竜退治に加わり、なんとか格納庫破壊の目処は立ったが、大幅に時間を食ってしまった。さらにこちらへ向かっていた敵が合流。女性陣は管制塔へ向かうことをすんなり諦め、退路を確保する戦いに切り替えた。
●恨みの孤狼
女性陣の状況を伝え聞いた陽動班は、退路を開くべく行動を開始した。
管制塔は格納庫に向かう途中に位置するが、時間的な余裕がないと判断。また敵に「攻め時である」と悟らせると、本当に退路を絶たれてしまう恐れもある。
「残す施設がナンバー4だけなら、特に問題はあるまい」
UNKNOWNがそう分析し、仲間や兵士たちに「目標の達成」を印象付けた。未練を残して救出はならず。彼はそう考えた。
「もう敵に隠し立てする必要はない。通信で彼女たちを安心させたまえ」
通信役の兵士に指示を出し、陽動班は思い切って前進。女性陣のエスコートに向かう。
男性陣の勢いは覇王の進軍のごとし。無月を先頭にぐいぐいと前に進む。
前進の最中、ナンバー4の管制塔の様子がわずかに見えた。ここはすでに巨亀や恐竜で脇を固めており、もはや難易度は最高レベルに達している。鈴音の援護を考えれば、まずここを防衛するのは自然の流れだ。ここは順番を違えずに攻めた傭兵側に軍配が上がったといえよう。
だが彼らには、最後の困難が待ち受けていた。
運悪く、ラルフ・ランドルフ(gz0123)が率いる部隊と遭遇してしまったのだ。しかし脇を固めるのは腹心ではなく、ただの護衛兵。どっちにも不運な展開に、ラルフは思わず唇を噛む。
「これはなんたること‥‥」
武流は接近戦用の装備にチェンジし、すかさずラルフに照準を合わせた攻撃に打って出る。
瞬天速で適度な距離を保ち、その場でジャンプ。そのままドリルのように回転を加えたキックを放つ。これには真燕貫突が付与されており、文字通りの必殺技であった。
「たまには正面から攻撃を受けてはどうだ?」
これは食らえぬと、ガードするラルフ。しかし二度目の攻撃で、左の大腿部を抉られてしまった。
「ぐうっ! お、おのれっ!!」
感情的になったラルフの攻撃は、むなしく空を切るばかり。武流は瞬天速を用い、敵を翻弄しながら次のチャンスを伺う。
その間にUNKNOWNが取り巻きを倒し、無月と風閂が血路を開いた。その先には女性陣たちの姿が見える。これで味方の合流は達成された。
「ソウジ‥‥お前の命は必ず俺が‥‥」
ラルフが不用意に飛び出した原因、それはソウジの情報を得たためであった。
しかしこれだけ傷つけば、満足に戦えるわけがない。彼は今回の決着を諦め、TWに前進を指示。自らは後ろに下がる。
「長居は無用だ! 時間も迫ってる‥‥行くぞ!」
風閂が女性陣に声をかけ、再び正面からの脱出を開始。豊富な兵力に悩まされながらも、なんとか虎口を脱した。
トリイ基地の機能はほぼ停止し、鈴音に満足なフォローはできない。成果は上々といえるだろう。