タイトル:【UL】狂気の国マスター:凪池 シリル

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/10/25 06:21

●オープニング本文


 トイレに入ると、どこからともなく声がする。
『赤い紙いるか青い紙いるか、それとも黄色い紙いるか』
 赤、と答えると血塗れで死に、青、と答えると全身の血を抜かれ、そして黄色と答えると狂気の国に連れて行かれるという。



『コの、『狂気の国』、ってどこダ?』
 研究を続けるバグアが、近くにいた人間に問いかける。
「いえあの。実際具体的にそう言う場所があるわけでは。所詮『伝説』ですから」
 聞かれた方は、困ったような、というか、微妙な表情を浮かべて答える。
『んジャ、再現するトなると、マズこの『狂気の国』ヲ作るところカラか。ドンな場所だ?』
「それはまあ、狂気の国と言うくらいですから、いるだけで精神を侵されるようなそう言うところではないかと‥‥思いは‥‥しますが‥‥」
 答えながら、人間は語尾をもごもごと曇らせる。
『ナニか言いたそうダな。言ってミろ』
「その、もう『都市伝説の再現』にこだわることも、ないのでは。恐怖を与えることが目的ならば、特に」
『ナゼだ? 多くのヒト、多くの時代にテ『恐怖』とされるガ故の『伝説』ダろう?』
「そうですが‥‥それゆえに、『実現』させるのは下手すると逆効果、かもと」
 人間の言葉に、バグアは理解不能、とばかりにグイ、と首をかしげる。全く理解はできない、の、だが。
 そもそもを言えば、バグアは調べれば調べるほどわけが分からなくなっていたのも事実だった。ナゼこの程度の話が、存在が、『伝説』と言われるほどの恐怖となって残り続けるのか。
 加えて。
『こないダ相手した傭兵も、ソウいえば妙ナこと言ってたナー。『伝説は伝説であるべき』ダと。ドーいうことダ?』
 人間はゆっくりと頷く。
「つまり、実体がないものだから恐ろしいのですよ。想像が想像である以上、どんな強者にも対処は不可能です。でも実際に現れてしまえば、誰かしらが処理できてしまう。それでは恒久の恐怖へとはなり得ません」
 バグアはしばらく、腕組みして考えていた。
「『伝説』を具体化することは、却って『伝説』を『恐怖』を克服するとっかかりを与えてしまう、そう言うことになるわけです」
 人間としては、初めは、いつまでもあほらしいキメラの制作に付き合わされるよりは、どうせならもっとはっきりと実用性の高い方向に技術を向けたい、という気持ちからの提案だった。が、話していくうちに、思ったよりも論は熱を帯びる。
 バグアとしてはまだ、納得のできる話ではなかった。
 ただ、自分がしていることが却って、『伝説』を破壊する行為になりうることはおぼろげに理解する。
 だと、するならば。
『ソレも、アリか』
 ニィ。と、奇妙な笑みを浮かべてバグアは言った。ソレは今、なぜ今まで自分が『都市伝説』にこだわり続けたか、その理由を見つけたかのように。それでいて‥‥どこか自虐的に。
『創るゾ。狂気の国』



 かくして、数日後。
 UPCの航空偵察部隊が、九州山岳部に異変を察知。本格的な偵察を敢行したUPC軍の末路は‥‥大混乱の後に潰走、というものだった。
 逃げ帰った兵士たちは、肉体面だけでなく、精神面にも今だ大きく影響を残しているという。
 なんでも、皆一様に「気色悪い‥‥」とうなされているとか。
 記録に残るのは、まずその土地を占拠し利用するためのものだろう、抉られ均された山の一画。そしてその中でうごめく、赤、青、黄色の三色のスライムキメラ。粘液の体をくねらせ、泥の手のような形を作り獲物を求め暴れている。
 原色がうねりのたくるその様だけですでに悪趣味極まりないが、周囲の木々、いや、景色そのものも、それに合わせるかのように奇妙にねじくれ歪んでいた。

「‥‥という、まあ、見た目だけでもかなりきっつい状況ですが‥‥それを差し置いてもなお、このスライムたち、侮れません。そして、この現場。どうやら厄介な装置が展開され、スライムたちはそれを守っているようなのです。早急に対策が必要です。どうにか‥‥よろしくお願いします」

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
番 朝(ga7743
14歳・♀・AA
佐賀 剛鉄(gb6897
17歳・♀・PN
ムーグ・リード(gc0402
21歳・♂・AA
ソウマ(gc0505
14歳・♂・DG
セラ(gc2672
10歳・♀・GD
荊信(gc3542
31歳・♂・GD
龍乃 陽一(gc4336
22歳・♂・AA

●リプレイ本文

「赤・青・黄‥‥ん〜、昔そんな怪談を聞いた事がある様な‥‥」
 現場に向かう途中、龍乃 陽一(gc4336)がふと言った。
「赤には血塗れにされる、青には血を抜かれる‥‥なるほど、都市伝説『赤い紙、青い紙』ですね」
 答えたのはソウマ(gc0505)だ。
「あぁ‥‥なるほど思い出しました。昔、聞いた怪談話にそっくりなんですね〜♪」
 陽一はそれで納得する。
「なんだそれ?」
 が、番 朝(ga7743)は初耳だったらしく、興味深げに、さらにソウマに尋ねた。
「日本発祥の都市伝説で韓国でも有名だそうです。地域・時代により紙が半纏だったり結末が違っていたりと、色々バリエーションが有るようですね。ただ、学校のトイレという共通点と正しく答えないと悲劇を呼ぶという点から、学校でテストに答えられないことへの恐怖心から生まれたという説があるそうですよ」
 そんな豆知識も含め、ソウマが丁寧に答えると、朝はふーんと頷いた。
「‥‥しかし、何故そんなキメラを? あはは‥‥ますます分からなくなってきました‥‥」
 詳しい話を聞き直すと、改めて陽一が疑問に思ったのか、口にする。
 それは、誰もが思うことだろう。
 それゆえに、誰にも答えられることではなく。
「また訳の解らんキメラか。ま、倒しゃぁイイってだけだが‥‥どうにも気に入らねェ感じがしやがる‥‥」
 ただ、前にもこの手の依頼を受けたことのある荊信(gc3542)だけが、何か引っかかるかのようにそう呟いた。



 傭兵たちが相談の結果考えた作戦は、奇妙な場を形成している装置の発見・停止を担当する探索班を作り、その間他のものがスライムを抑えておく、というものだった。
「う〜‥‥気持ち悪いんだよ!」
 その、探索班の一人であるセラ(gc2672)がぼやく。
「セラここ嫌いかも! はやくおわらせて帰りたいんだよ!」
 ムーグ・リード(gc0402)の提案で、彼らは今高所から現場を見下ろしていた。
「‥‥フ、ム‥‥。‥‥中々、凝っタ、仕掛け、デス、ネ」
 そのムーグは、比較的平気そうに言う。
 彼はじっくりと、現場とその周辺を、あらかじめ手に入れていた地図と見比べる。極端に地形が変わっている場所はないか。あるいは高所から見て、樹が不自然に傾いていたり、草の生え方に不自然な部分はないか‥‥。
 セラ、ムーグ、荊信の三人で調べ、相談した結果。
「ヤハリ、スライム、たち、ノ、イル、周辺。‥‥他ニ、異常ガ、ナイ、以上、ハッキリ、木々ガ、きエテ、イル、コのドコカ、デショウ、カ?」
 ムーグが結論すると、セラと荊信の二人が頷く。
 だが、装置の範囲の内部に入ると厄介だ。ひとまずはその周辺から探し、なければ戦闘班と合流し共に捜索を。改めて行動を確認し合うと、戦闘班にもそれを連絡。行動開始を宣言する。
「‥‥色、鮮やカ、デ、キレイ、DEATH」
 ムーグは最後に、そんなことを言った。どうやら割と平気だった理由は、彼の感性では原色は嫌いじゃない、ということだったらしい。セラと荊信は、少し、え、という顔になる。
「‥‥デス、ガ‥‥ソレ、モ、今日まデ、DEATH、ネ‥‥」
 だが、続く言葉に異論は全くない。頷き合うと、傭兵たちは走り出す。

 ムーグと荊信が、セラを護衛するように挟む陣形で三人は走る。それは、セラが最も高い探索能力を持つエキスパートだから、という合理的な面もあった。
「嬢ちゃん、大丈夫か」
 だがやはりそれだけではない。荊信は装置を、スライムを嫌がっていたセラを心配して声をかけた。
「私? 私は平気だよこの程度は」
 だが、返ってきた声は、先ほどまでの天真爛漫な少女のそれとは一変していた。
(「まぁ、誇れる事ではないけどね」)
 内心でセラは――いや、覚醒により現れる別人格、アイリスは付け足す。
 そう、この場で平気なことなど誇ることではない。異常に適応できるということは、単に自身も異常であるというだけだ。
(「つまりはそれだけ人格が歪んでいるという事さ」)
 思いながら、アイリスはさらにエミタに命じて、悪環境に怯まない精神力をさらに強化する。
 ‥‥そうして、己がさらに『異質』に変化していくその感覚に、嗤いながら。
「ああ、君の助力には感謝している。せっかく護ってくれているんだ、せいぜい探索に専念させてもらうよ。『セラ』がもう嫌がらないようにね」
 呆然とする荊信に、アイリスはそう告げる。それで荊信は、事情を、目の前の存在のことをある程度察することができた。
 やがてアイリスは、意識を尖らせながら走る、その足が踏みしめる地面、その感覚に違和感を覚える点を見出す。
 立ち止り、靴底で何度か地面を掻く。思ったより簡単に掘ることが出来た。‥‥最近掘り返して、柔らかくなった土を掘るように。後ろで控える二人に視線を送ると、二人も適当な道具を手にその場を掘り返すのを手伝う。
 やがて、なにか奇妙な装置が、そこにわずかに顔を見せた。



 一方そのころ。スライムたちをひきつけていた戦闘班。
「うーん、見るに耐えない光景ではあるわなぁ」
 佐賀 剛鉄(gb6897)の呟きはどこか緩い調子だったが、覚醒し、構えを取るなり見せた動きはそれに似合わぬ俊敏さだった。
 旋棍「砕天」を手に、怯むことなくスライム郡に突入する。
 風が唸る音をたてながら振り回された棍が、数体のスライムに叩き込まれる。
 ‥‥確実にヒットしながらも、手ごたえは弱かった。やはりスライム、物理的な衝撃には強いようだ。
 次いで動きを見せたのは朝だった。彼女は、装置の範囲内に入るのは危険と判断し、まず銃を抜く。狙いをつけたのはイエローハンド。
 銃弾が、動きが愚鈍なスライムの身体に撃ち込まれる。スライムの粘液製の身体は衝撃には弱い‥‥はずだが、エースアサルトの力が込められた一撃は、そんなことなどお構いなしに激しいインパクトを生み出し、スライムの身体を弾けさせる!
 立て続けに打ち込まれた銃撃は、あっという間にイエローハンドの一体を無力化、それはぶくぶくと泡を立てながら崩れていった。
 ソウマが厄介と判断したのは強力な攻撃力をもつレッドハンド。それを中心に、小銃を連射して動きを牽制する。
「敵の動きは封じました、今の内に‥‥!」
 声に応えるように、陽一が弓に矢をつがえ、射った。
「捕まってしまっては厄介ですからね‥‥♪」
 彼は朝と同意見、狙うはイエローハンドのようだ。だが威力は彼女のようにはいかない。矢はスライムの表面に刺さるなり大幅に勢いを減じ、刺さることなく地に落ちる。通じないと見た彼は、武器を超機械に持ち替える。竜巻を生み出しスライムを巻き込むと、弓よりは効果があるように思えた。連続で竜巻を生み、たたきつける陽一。その表情は常に穏やかな頬笑を浮かべている。優男に見えて‥‥だが、この場で笑みを続けているということは逆に優しさではなく恐ろしさから来るものだ。愉しみながら容赦ない攻撃を浴びせ続け‥‥しかし撃破には至らない。
 そこでスライムたちが反撃を開始する。
 ソウマの弾幕をくぐりぬけたイエローハンドの一体が、ずるりずるりと前に出る。‥‥装置により特殊な力場が形成されている、そのフィールドの前よりも。そうしてそれは、制圧射撃を続けるソウマに狙いを定め、手を伸ばす!
 そうしてフィールドの近くまで引き寄せると、後ろに控えるもう一体のイエローハンドがバケツリレーの要領でソウマを更に引き寄せ、ソウマは歪む空間の中へと招かれた。
 残るスライムは‥‥真っ先に飛び出してきた剛鉄へと殺到する!
 鋼鉄は咄嗟にエミタの力を足へと伝達、敏捷性を更に向上させ、つむじ風のようにくるくると回る動きで、ダンスのように猛攻をかいくぐ‥‥ろうとするが。
 やはり、これだけの数を相手に一人で飛び込むのは苦しいものがある。ブルーハンドの一体が、その身に喰らいついた。勢いよく血の気の引けていく感触に、眩暈を覚える。
 だが軽い眩暈程度では済まされなかった。そこに至って、装置のもたらす酩酊感が、鋼鉄とソウマの二人に襲い掛かる!
 ‥‥流石にまずいと思ったか、朝が前に出る。無言、無表情、感情をまったく見せない人形のような様で、それでも仲間を守るべく、自らの身を省みず。
 鋼鉄に引っ付くブルーハンドを引き剥がすと、かばうように立った朝にレッドハンドの攻撃が向かう。取り囲まれての連続攻撃は、流石にいくつか、彼女の身体を血で塗らす。
 ブルーハンドは再び鋼鉄に纏わりつこうと試み、三体ともがそれに張り付いて‥‥朦朧とする鋼鉄は、それを振りほどくことも出来なかった。
 陽一が慌てて、先ほどダメージを与えたイエローハンドに更なる攻撃を与えた。超機械による立て続けの攻撃に、スライムの身体がとうとう千切れ飛ぶ。装置の範囲内のイエローハンドがこれでつぶれて、残り一体。これでバケツリレーで一気に引っ張られる心配はなくなったが‥‥不安は募る。戦況は、作戦はもうガタガタになっている。朝まで装置の餌食となったら‥‥どうなるのか。
 その不安は、的中――しなかった。朝の人形のような身体はその後同じ場にたち続けても揺らぐことはなく。その姿に、ソウマと鋼鉄は己の身が軽くなっているのを自覚する。
 首を振る。セラ、荊信、ムーグの三人が走りこんでくるのが見えた。装置を無事破壊し、援護に向かってきてくれたのだ!
 ‥‥元々、スライムの動きは鈍い。装置の影響さえなければ、攻撃を当てることなど難しくもない。
 そこへさらに。
「俺が護ってるんだ。皆悉く遮ってやらぁ、俺の前を素通りできると思うなよ!」
 荊信が吼える。きちんとした盾役が前に立ち、取り囲まれるのを防げば、その攻撃も脅威ではない。
 ‥‥ここから殲滅まで、取り立てて描写するほどのことはなかった。



「終わりはしたが、どうにもしっくり来ねェ‥‥何かがある気はするんだが、それが何だかわからねェ‥‥ 」
 戦い終え、勝利してもなお、荊信は納得のいかない様子だな。
「バグアの考えている事は、ちと理解出来んわな」
 鋼鉄がそう言ったが、違う。そんな単純なことではない‥‥気がした。
 荊信に向き合ったのは、以前も共に同様の依頼を受け、そして同じ小隊の仲間であるソウマだった。
「まあ、わけの分からない相手ではありますが‥‥あの装置も厄介ですし、その技術力には素直に驚嘆に値しますよ。機会があれば、是非開発者の顔を拝みたいものです」
 肩をすくめて彼が言った、その時だった。
『‥‥呼んだ、カ?』
 くぐもった異質な声が、どこからか響いてきた。
「――!?」
 一同に緊張が走る。慌てて身構え、そして。
「うわ!?」
 ソウマが軽く悲鳴を上げる。突如その足元がすくわれる感覚に、踏鞴を踏んで2、3歩その場を離れると‥‥蓋が持ち上がるように、先ほどまで彼が立っていた地面がめくれ、ひょい、とそこから顔を出すものが居た。
 ぴょん、と飛び出してきたのは一見、20代半ばほどの女性。据わった目付きにボブカットの髪。裾の広がるハーフコート。顔立ちはあどけなさが残るような、愛嬌ある感じだが、しかしそれが持つ捻じれた存在感に、決して見た目どおりのモノではないことを皆が肌で感じ取っていた。
「てめえっ!? 何のつもりだ!?」
 荊信が叫ぶ。
『イやー、ここマダ作成中でナ。下デ作業しテたラ呼バれた気がシタんでナンとなクだ』
 言ってその女性はくい、とソウマに視線を向けた。
『トはイエ、あんマ通音にハ気を使っテなかったカラ、入り口の真上ニでもイられナイと気づかナかったロウけどナー。‥‥運いいナ、オ前』
 小首をかしげながら言われて流石のソウマも困惑した。確かに他者にない運気を持つ彼ではあるが、足元からバグアが出てくる、なんて体験を運がいい、で済ませていいのか。強運にして凶運、キョウ運の持ち主である彼でなければ引き寄せられない事態ではあるだろうが。
『ソレとも一連ノきめらノことカ? それもマー別に。僕はホラ、バグアの中でも特に下っ端デなー。命ジラレるままに人類ニ恐怖を与えルべく努力シテただケ、だったケドなー』
 腕組みし、すっとぼけた調子のままで語る女性。いろんな意味で手出しをし損ねて、傭兵達はただじりじりと包囲を狭めるのみだった。
『オー? やンのかー? 別ニいくら下っ端ノ僕でモ生身ノ人間くらいはヒネリ潰すゾー? 特にオマエらの今の様子ジャなー』
 バグアは言ってぐるりと視線を、怪我する鋼鉄や朝のほうへと向ける。ぐ‥‥と声を詰まらせる傭兵達。
『マア、今はチョット思うトコロが、あってナ。ヤめとく。モーちょっと遊ぶ。‥‥僕はアクまで、『伝説』でオ前らに挑もうジャないか。『伝説』でお前ら『英雄』を潰シに来てやろう。ドチラにしても‥‥チョット愉快、ダカラな』
 そう言って笑うバグアの顔は皮肉げで、そして‥‥自虐的だった。
 と、同時に、ズゥん‥‥という音とともに、激しい振動が周囲に走る!
『マーそんなワケデ、マダ怒らレたくナイんで、余計なモンは消してくー。ジャナっ!』
 おそらく足元で大きな爆発が起きたのだろう。だが突然の揺れにどうすることも出来ず立ち尽くすと、その間にバグアはあっという間に走り去っていった。

 わけが‥‥分からない。
 それが、残された傭兵達の、感想。
 それは、今までの『都市伝説』事件と同様でありながらも‥‥。
 後味は、これまでと少し、違っていた。