タイトル:【QA】女王に捧ぐマスター:凪池 シリル

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/01/17 22:31

●オープニング本文


 嵐のようにオタワを襲い、立ち去ったエアマーニェのユダは、軌道からの降下の際に多数の増殖体をばらまいていた。知性は無いとはいえそれぞれが並のワームを軽く凌駕し、個体によっては大型ヘルメットワームに匹敵する戦力が、不意に数百のオーダーで地球にばら撒かれたことになる。
「冗談じゃない。こっちの戦力は一杯一杯だぞ!?」
 その到来を告げられた基地では、指揮官の悲鳴があがっていた。ユダ増殖体のデータは、先のアフリカ作戦で得られている。定数に満たないKV中隊を配備されただけの彼らでは、とてもじゃないが対処不能だ。
「本部に援軍を要請しろ。急げ!」



 エアマーニェが示威行為としてばら撒いたユダ増殖体は世界各地で目撃が報告されていた。故に、ここ、北京にあるUPC軍基地に現れたことも、別にそこまで不自然があるわけではない。だが――

 基地の片隅で、ひそかに酷薄な笑みを浮かべる女性士官がいた。いや、彼女がただの女性士官であれば、この状況でこんな笑みは浮かべまい。彼女は‥‥ここの基地で、長くスパイとしてもぐりこんでいたヨリシロだった。
 だが、女性の身体も使っての巧みな立ち回りをもって、いまだ正体をばらさずに居られたのはいいものの、北京の大規模作戦以降、度重なる敗北に、前線は徐々に徐々に遠ざかり、己の存在が機能する機会も比例して細っていき。ここ最近は、もはや己は捨て置かれたのだ、と判断するに十分な状況となっていた。
 ならばどうする。この場で正体が露見する日を恐れながら、無駄に人類の中で飼い殺されて過ごすのか? 馬鹿な。
 とはいえ、単独で脱出して、今主力として機能する友軍の元へと到達できるか、といえば、最近の人類の快進撃を見るに、それも心許なかった。
 進退窮まっていたところに‥‥エアマーニェが動いたとの報。
 ――これは、機だ。
 彼女はこれが、この基地から抜け出す最後のチャンスだと考え、エアマーニェに接触を図った。

『才能ある人類をお探しなら、私は中国軍の詳細な情報をお渡しできます。どうか、あなたの部下に迎え入れてくださいませんか』

 と。
 そう。
 これは、無差別な攻撃などではない。『女王のお迎え』だ。
「ありがとうございます。必ず、貴女の元へとはせ参じましょう――」
 自分も。この場で長く工作員として務めてきた腕前の見せ所だ‥‥。
 ヨリシロの目に、危険な光が点る。

●参加者一覧

小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
レイミア(gb4209
20歳・♀・ER
ハンフリー(gc3092
23歳・♂・ER
鳳 勇(gc4096
24歳・♂・GD
イオグ=ソトト(gc4997
14歳・♂・HG
黒羽 拓海(gc7335
20歳・♂・PN
クラフト・J・アルビス(gc7360
19歳・♂・PN
クローカ・ルイシコフ(gc7747
16歳・♂・ER

●リプレイ本文

「ユダ増殖体と言えば、難敵ね。自由にさせておいたら、どれくらいの被害が出るか分かったものではないし、全力で排除するしかなさそうね。最善を尽くさせて貰うわ」
 小鳥遊神楽(ga3319)が意気込みに呟いた言葉に、ハンフリー(gc3092)が頷く。
「ユダそのものでないとはいえ、増殖体の実力もそれなりのものだ。ここは堅実に、撃破されない戦い方を心がけるべきかな」
 話し合う二人のそばで、だが、クローカ・ルイシコフ(gc7747)はこの襲撃に違和感を感じていた。
(挨拶代わりにこんなの撒かれちゃ堪んないなぁ‥‥それとも目的があっての行動?)
 クローカの経験上では、本気の襲撃と思える戦力ではなかった。
(陽動作戦? 特攻? あのバグア、バカじゃ無さそうだし、何か、何かきっと裏があるに違いない)
 念のためにと、クローカは事前に連絡を取り基地の司令官に懸念を伝える。が。
 返答には、怪訝な様子が見て取れた。最前線でもなくなった基地の戦力にとっては、ユダ増殖体と多数のHWという編成は十分に驚異的なのだ。慌ててLHに戦力を要請しなければならないほどに。
『心には留めておく。‥‥あれを「本気でない」と思える貴殿らの能力には期待させていただこう』
 返事はそれだけだった。その言葉が、完全に社交辞令でないことを祈るしかない。

 そうして、傭兵たちも急ぎKVを出撃させ、現場に到着するころ‥‥交戦は、すでに始まっていた。
 UPC軍は善戦していた。弾幕により敵軍の進行を食い止め、HWはそれをこじ開けようとフェザー砲を一斉に放つ。軍が被弾した機体を交代させ前線を保ち、だが、時折ユダ増殖体が圧力をかけ射線を乱し、ジワリとだが戦線を押してくる。
「まさに小さいユダだな」
 遠目に目標を確認し、イオグ=ソトト(gc4997)が呟く。
(増殖体との戦いは、これで二度目だな)
 ハンフリーは静かに相手を見据えていた。
(以前はテベサに向かう増殖体を阻止し切れなかったが、そう何度も不覚を取るわけにはいかん)
 よみがえる記憶は微かに苦かった。一度深く呼吸する。
「バグアの女王と言ったか。厄介なものを置いていったものだ」
 鳳 勇(gc4096)の言葉に、ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)が全くだ、というふうに頷きながら、
「ともかく全部片付けるつもりで行こう」
 そう言ったところで、各自、臨戦態勢に入った。
「基地や兵隊を護る為にも、悪い宇宙人の動きはボクとメリーさんがピピッと見抜いちゃうもん!」
 まず真っ先に、潮彩 ろまん(ga3425)が元気よく宣言して、メリーさん――彼女の機体、クリスマスカラーのピュアホワイトだ――で敵戦力を分析。全員に連携する。
 続き動いたのは神楽のガンスリンガー、カサドール。距離のあるうちに、ホーミングミサイルからスナイパーライフル。火力は一点に集中し、まずはユダ増殖体への道をこじ開けにかかる。ユーリ機、R−01改の18−9373【ディース】もそこに攻撃を合わせた。
 黒羽 拓海(gc7335)の機体、シラヌイS2型Hrsvelgr Angriffも味方機と速度を合わせつつ前進、
「挨拶代わりだ」
 十式高性能長距離バルカンを、こちらは隊列を乱すように弾幕射撃。
 乱れた敵列に、ワイバーンMk. IIが不規則な軌道を描きながらスナイパーライフルで攻撃し更にかき乱していた。
「ぐるぐるー。隙間頂戴ねー」
 クラフト・J・アルビス(gc7360)のハウンドだ。
 傭兵たちは初手、横殴りをくらわす形で敵機に砲撃をくらわし、順当に損壊を与えていたが、このあたりから敵機も対応、まだまだ無数と言えるHWが幾つか、隊列を変更しながら傭兵たちの機体へと向き直る。
 勇のシコン、伊邪那岐は、残念ながら種子島の射程に近づく前に敵が拡散を始めたのを見て、ギアツィントによる迎撃を選択する。
 敵の反撃も始まる中、クローカ・ルイシコフ(gc7747)のノーヴィ・ロジーナbis、Спутникとイオグ=ソトト(gc4997)のラスヴィエート、輝1号が同時にミサイルを発射、敵の頭を抑える。
 そこから一歩遅れる形で、レイミア(gb4209)のリンクス改、ヴァートもUK−10AAMを発射した。
 敵も、ほとんど無人機さながらの統制された一斉射撃でこちらの前進を阻む。だがただのHWと比較すれば傭兵たちの能力の方が高い。ジワリと敵の攻撃をかいくぐり、あるいは耐えながら前進する。やがて傭兵たちの何機かが、その間に墜ちた、あるいは隊列を乱された敵の隙間を見抜き、ユダ増殖体へ照準を合わせることに成功した。ここからが、本格的な勝負になる。

「悪い宇宙人の動きを見抜け、メリーさん!」
 二体のユダ増殖体が近づいてくる5機のKVに警戒を見せる。一斉に銃口を向けてくる増殖体に対し、ろまん機が察知して味方に警告、同時に一体をヴィジョンアイに捉える。
 情報が送られてくると同時に神楽は増殖体の一体を抑えにかかった。DFバレットファストを起動し高い機動力を得ると、近接してクロスマシンガンを撃ちこむ。
「‥‥自由に振る舞って貰っては困るわね。少しの間あたしとの下手なダンスに興じて貰おうかしら」
 ここを離れたくば、おとなしくあたしに墜とされる事ね――挑発の言葉にAIが反応したとは思えないが、神楽機の攻撃力は無視していいものではないだろう。増殖体の一体は否が応でもそちらに向き直らざるを得ない。
 もう一体の抑えには拓海機が。
「自由にはさせん」
 神楽機と同じように、ある程度接近してのKVクロスボウME−03による攻撃、敵の出鼻をくじくようにして行うことでその動きを牽制する。
『回り込む。そのままフォローお願い』
『了解。こちらは問題ないわ』
 ろまんの支援と機体スキル、何より本人の立ち回りにより増殖体相手に互角以上に立ち回る神楽機の動きに、ユーリが呼びかけ、動く。ブースト起動、側面に回り込み、剣翼で一撃を叩き込むと、一度間合いを取る。
『挟撃を仕掛ける。合わせてくれ』
『分かった。タイミングはこちらで取る』
 拓海の方へはハンフリー機が。
 拓海機がブーストで不利な位置取りとならないよう立ち回る中、ハンフリー機が回り込んで凍風による一撃を加えつつタイミングを作る。矢面に立たされる拓海機が合図を送り、十字砲火をかけた。
 増殖体に対し各機が善戦する中、他の面々は周囲のHWの対処を行っている。
「基地に近付く奴は叩き落してやるぜ」
 イオグ機、初手から起動していた照準最適化機能をONにしたまま、敵の進行を食い止めるようにミサイルを放ち続ける。真っ向からの撃ち合いは分かりやすく先頭の一体に次々と着弾する。その分反撃も受けやすいが、頑丈さに物を言わせて耐えるという大胆な戦術をとっている。火戦を集中されればさすがにわずかずつ削り取られていくが、暫くは耐えきれそうだ。
 イオグが派手な火力で目立つ中、勇機もギアツィントでの銃撃を継続、こちらは増殖体周囲のHWを意識して引き離すように立ち回る。銃機関砲やチェーンガンで牽制しつつ、側面や背面に回ろうと試みる。単独での立ち回りで側面を取ろうとするのは簡単にはいかなかった。
 だが、クローカ機が同様に増殖体近辺の敵を中距離狙撃により阻害にかかっている。勇機は咄嗟にそれと連携を取ることで、シコンの機動力の高さもあってやがて背後を取ることに成功する。
「さて、ちょっと練習?」
 クラフト機は、遠距離からスナイパーライフルでの攻撃。射程に入れば即攻撃、移動を繰り返す。
「動き回る狙撃手がいたらちょっと怖くない?」
 その試運転ということらしい。大量のHWは大量なだけにほとんど無人機、恐怖やプレッシャーを感じることはない。ただ逆に敵味方数多くいるこの状況でいちいち位置取りを変える相手というのは狙いにくい相手ではあるだろう。が。
「と、と?」
 偶々一体がクラフト機に照準を当てて、反撃してくる。狙われにくいがいざ狙われると味方と連携が取りにくい分、自力で対処するしかないという難はあった。砲撃のいくつかがクラフト機を掠めていく。
「余所見してる子は狙い撃ち」
 そこで、HW対応班の中で冷静に見ていたレイミアがフォローに入った。横手からリンクス・スナイプで狙撃され、HWが傾く。少し後方から、全体を見て。味方の死角を潰しつつ、敵の死角に回り込む、それがレイミア機の立ち位置だった。
 ユダ増殖体周辺の戦場だけ見れば、傭兵たちの立ち回りは悪くなかった。難を言うのであれば、電子戦機、しかもヴィジョンアイを起動しパフォーマンスが低下中のろまん機に対し意識的なフォローが足りないことか。当然、隙があれば狙われる存在だ。増殖体がドッグファイトでプレッシャーを与えられていたため狙われっぱなしということはないが、何度か、危うい被弾はあった。
 それでも、なんとか割り当てられた敵はきっちりと抑え込めている――かに思えた中、【ソレ】は起きた。

『な、なんだ!? くそっ!』
 軍の間から動揺の声が漏れる。弾幕が乱れ、逆にそれを合図にしたかのようにHWから一斉射撃が放たれる。フェザー砲がKVに次々と突き刺さり、最前線のものが幾つか失速し墜ちていく。隊列が乱れ、混乱はさらに広がる。
 司令部からの、偽の攻撃中止命令。その直後、管制システムがシャットダウン。
 軍事施設だ、ダメージコントロール機能は当然備えている。システム自体は即座に復帰した。だが空戦において、数秒の沈黙は致命的――
 各分隊隊長が悲鳴に近い号令を発し、隊列の整理、被害が多いところは後退の為に奔走する。

「このタイミングとか、偶然にしちゃ出来過ぎじゃ?」
 クラフトが呟く。その言葉に、何人かが事前の懸念を思い出して、軍にHWのおかしな動きに警戒するよう連絡を入れる――が。
『こちらは手一杯だ! そちらはどう動くんだ!? サポートはあるのか!?』
 返答は怒声に近かった。気をつけろというのは分かるがこの状況で具体的にどうしろというのだ。兵士たちは今自分の周辺で手いっぱいだ。実際にどのHWのことなのか、正確なトレース情報と伝達体制を取っているのならばともかく、ただ自爆に気をつけろというのではかえって兵士の恐怖と混乱を加速させる。
 かといって‥‥傭兵たちも迂闊に動けない状況なのは向こうも理解しているだろう。この状況で増殖体をフリーにするのか? 間違いなくその破壊力が立て直しに追われる兵たちを蹂躙するだろう。挙句突破を許せば、1、2体の自爆特攻など問題にならないほどの被害が出る。
 ――どうする?
 突きつけられる天秤。意思決定までの時間はあまりに短かかった。
『Я Спутник、敵機1のブレイクを確認。各機追撃願います』
 異なる動きを見せた数機のHWに対し、即座に動いたのは、クローカ機、ただ一機。
 そして‥‥呼びかけに対し、それに追随できる味方機は‥‥いなかった。
 クラフト機も怪しいと思う場所に射撃は放ったが、あくまで咄嗟の対応。しっかりと補足したわけではない一撃は狙いが甘くなる。少なくとも、クローカが目論んだように協力しての包囲が望める動きではない。
 結果として‥‥単騎で突出したクローカ機は、このタイミングでは余裕のあるバグア軍の格好の標的となる。機体が示すロックオンアラートに、ブーストの力も借りて幾つかは回避する、が、当然その分追跡は緩まり、やがて避けきれぬ光線の雨の幾筋かがクローカ機に突き刺さる。
 アラートが、別の警告を発した時点で、断念せざるを得なかった。全員が、一瞬基地にHWが基地に激突し火柱を上げる光景を想像し、身を固くして――
『みんな、惑わされちゃだめだっ‥‥』
 状況に、最初に光明をもたらしたのはろまんだった。
 ロータス・クイーンの情報を兵士たちにも連携、管制を補助する。
 更に、
『‥‥自爆機の動きじゃ、ない?』
 呟いたのは、あくまで状況を冷静に見続け、先入観にとらわれず相手の意図を探り続けていたレイミア。
 そう、HWたちの動きは自爆特攻と思しき動きではなかった。それが目的ならば多少の被弾など気にせず最速で突っ込んでいくだけだろう。だが、実際には二体が一体を護衛する様な布陣で、速度を出しながらもコントロールに気を使いながら進んでいく。進路も、効率的な破壊を望むなら基地中央部を狙うだろう、だがそれらはむしろ基地の脇を目指すような軌跡を描いている。
 それを、即座に詳しく仲間に説明できたわけではない。だが、それで全体の腹は据わったようだ。このまま増殖体、前線での戦闘に専念する。己が請け負った任務はそれなのだし、そうするのがここでの被害を防ぐことになるのだと。
『アニキィィィィ』
 イオグが気合を入れ直す意味で叫ぶ。いやそれどうなんだ、と突っ込む暇は今はない。各自操縦桿を握り直し、標的を、見据える!
「はわわ‥‥」
 ろまんはフォローする人数を増やしたことで機体はともかく自身の処理能力はパンク寸前という様だった。ただでさえピュアホワイトは搭乗者への負荷は高い。
『多分このあたりから攻撃してみてっ!』
 最後は演算というより感覚頼りに敵の動向を分析する。多分、ってなんだ、という突っ込みは、やはり起こらずに。
『分かった。援護を頼む』
 ハンフリーが、あっさりと信頼の言葉を投げ返すと、簡易ブーストを起動。慣性の束縛から解き放たれた翼が弾幕と鋼鉄の隙間をすり抜けて回り込む。拓海機がそれに合わせて、挟撃の軌道を取ると、ハンフリー機は更に虎の子のメテオブーストを起動、これまでの一撃離脱戦法ではなく、一気に火力を叩き込む!
 二機の前の増殖体が目に見えて損傷し、煙と火花を上げ始めたその時、ユーリ機もまた、神楽機の援護を受けて、これまで狙い続けていた一点に深いダメージを与えていた。ゆっくりと、増殖体が失速し、その身を沈めていく。

 ‥‥だがその時、一体のHWが、一体のヨリシロを回収すると基地から遠く離れ去っていた――



「‥‥醜態を見せたな。諸君の働きに感謝する」
 終了後、司令官の傭兵へのねぎらいの言葉は短かった。まだ事後処理に慌ただしいのもあるが、ばつの悪さもあるだろう。
 今回の件に対して傭兵たちの責任は少ない。ほとんどが、スパイの存在をこれまで露見出来なかったというその一点にある。
「撃退出来て、安心だな」
 イオグの言葉に、司令官はしばらく沈黙していた。確かに、あの状況から、基地施設そのものに損壊を出さずに撃退できたというのは一つの成果ではあるのだろう。

 だが、その選択は、本当に正しかったのか。

 ろまんが、逃げ去るHWの映像を捉えていた。遠目ではっきりとはしないが、そのコックピットに軍服を着た人影が写っているように、見える。
 被害を出してでも、捕えるべきではなかったのか――
 その問いの答えは、今後このヨリシロがどのような動きに出るか。そして、その動きに対してこの場にいる者たちに何ができるか‥‥そこに、かかっている。