タイトル:『訓練』如水マスター:中畑みとも

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/23 06:32

●オープニング本文


 竜生九子。それは、中国に伝わる伝説上の生き物で、竜が生んだ九匹の子の事を指す。
 彼らは九匹とも性格も姿も異なり、各々の性格に合わせた場所でそれぞれの活躍を見せたと言われている。
 そして、ここにその名を冠する、一つの傭兵グループがあった。
 メンバーがそれぞれ各々の得意を持って活躍することを思い、その名を付けられたグループは、新人の育成を目的としており、その為、指導メンバー以外は殆ど新人である。その上、一人前になった傭兵は、そのグループを抜けさせられるという、なんとも珍しいグループであった。


「無駄な動きをするな! 自分のスタミナの限界を考えろ!」
 荒野に小型拡声器を使った厳しい声が響く。『訓練第一』という文字をボディに輝かせたロボットの横で、傭兵グループ『竜生九子』のリーダー、劉・飛(リュウ・フェイ)が新人傭兵に対し訓練を行っていた。腰には蛍火という名の日本刀と、盾扇を下げている。
 訓練の様子は壮絶なものである。空から無数の石つぶてが舞い、新人達の悲鳴と砂埃が飛び交う。
 その訓練を行っているのは、一体のロボットであった。段ボールを積み重ねて作ったような四角い形のロボットの腹には『訓練第一』、背中には『ツヨクナレール君壱号』と書かれている。そして、そのロボットの頭部から、数多の石つぶてが飛び出し、半径1キロの周囲に降り注いでいるのだった。しかもその石つぶての大きさは手の平に包める小さなものから、人の頭ほどの大きさのものまで様々だ。
「相手のパターンと癖を見切れ! ロボットの癖も見切れないようなら、対バグアには通用しないぞ!」
 言いながら、飛がぐるりと辺りを見渡す。と、ツヨクナレール君の射程範囲外で、勝手に休憩を取っていた新人を見つけ、飛の眉間に皺が寄る。
「おらー! そこー! サボってんじゃねぇー! 回復も範囲内でやりやがれ! 今度やったら回収して説教すっからな!」
 怒りの混じった飛の声に、新人が慌てて射程範囲内に走って行く。その様子を見て溜息を吐きつつ、飛は射程範囲外に設置されている『回復所』と書かれたキャンプに目をやった。耳元に指をやり、無線を繋ぐ。
「訓練希望の傭兵が来たって? うん、適当に参加させといて。あと2人駄目そうなのいるから回収宜しく。ん? 訓練はいつ終わるかって? そんなもん、実戦になったら時間とか言ってらんねぇって。適当だ、適当。いつ終わるか判んねぇっつっとけ」

●参加者一覧

鏑木 硯(ga0280
21歳・♂・PN
翠の肥満(ga2348
31歳・♂・JG
金城 エンタ(ga4154
14歳・♂・FC
呉葉(ga5503
10歳・♀・EL
増田 大五郎(ga6752
25歳・♂・FT
レイ・アゼル(ga7679
18歳・♀・SN

●リプレイ本文

「おーおー、頑張ってますねえ」
 双眼鏡を覗き込みながら訓練中の傭兵達を見回したのは、翠の肥満(ga2348)だった。回収役に志願した彼は、役目が来るまで回復所にて待機となっている。それまで、のんびりと訓練を見守るつもりだ。傍らに置かれた牛乳を啜りつつ、「危ない! 右だ、右へっ!」などと叫んでは手を振り回している。
 そんな彼が見守る中、ツヨクナレール君による訓練は、白熱していた。
「落下速度と動きを良く見ればあたしにだ‥‥って多すぎーっ!」
 頭上に降って来た石の数に焦り、呉葉(ga5503)が慌てて後ろに跳び退る。しゃがみ込み、ガードで体を隠すと、降り注ぐ小石がガードに当たって、ガンガンと衝撃が伝わって来た。防ぎきれなかった石が、ガードからはみ出した足や肩を掠る。
「わわわっ!」
 止まっていると石のいい餌食になってしまう。呉葉はハンドガンを構えると、前方向へ走り出した。石を避けつつ目指すのは、既に落ちていた岩とも呼べるほどの大きな石だ。
 小柄な体が、次々と降り注ぐ石の隙間を縫うように駆けていく。呉葉は目の前に迫る石にハンドガンを撃ち、弾丸で石を弾いて軌道を変える。耳元を掠めようとする石を体を捻って避け、体勢を崩しそうになっても走ることを止めない呉葉は、体が柔らかいことと共に、バランスもいいのだろう。
 岩の陰に飛び込み、ぶつけるように背中を岩に預けると、呉葉はガードを頭の上に翳して防御した。ガンッゴンッとガードが石を弾く音を聞きながら、呉葉が自分の状況を確認する。
「上半身の傷はいいとしても、足の怪我は早めに治しておかなきゃ。足が動かなくなっちゃったら、それこそ終わりだもの」
 呟きながら、呉葉がロウ・ヒールで傷を癒していく。
「いち、に、さんっ‥‥と」
 三拍子を口ずさみながら石を避けているのは金城エンタ(ga4154)だ。自分に向かってくる大きな石を避け、その後ろからやってきた小石をSMGで撃ち砕いている。
「結構いいんじゃないですか? この作戦」
 まるでワルツを踊るかのように避けては撃つを繰り返す金城は、それが上手く続いていることに口元を緩めた。
 少し離れた横では、増田大五郎(ga6752)が両手に二本のヴィアを構えつつ、石を避けていた。避けきれないものをヴィアで弾きつつ前進していく。その見つめる先は訓練の中心、ツヨクナレール君と劉・飛(gz0062) だ。
 一方で、鏑木 硯(ga0280)も石を避けながら中心へと近づいていた。降ってくる石を紙一重で避け続けている。その体には他の訓練者に見られるような傷は見当たらず、それだけでも鏑木が他の訓練者より経験が多いことが判った。鏑木は最初はただ避けるだけだった石を、今度はメタルナックルで叩き壊すことに専念し始める。自らで少しずつ訓練の難易度を上げているのだろう。
 そうして訓練を続けつつ、狙うのは中心だ。それはレイ・アゼル(ga7679)も同じことで、降り注ぐ石の動きを見極め、小さな動きで避けながら、飛との射程距離を測っている。
 レイの頭上に大き目の石が数個落ちて来た。避けようとして、その石と石との隙間があまりにも少ないことに気付く。レイはスコーピオンを構え、一つの石をその弾丸で軌道を変え、広くなった隙間に避ける。撃った際に砕けた石の欠片が肩口に落ちてきて、レイはスコーピオンでそれを弾いた。そのまま前進し、飛と10メートル程離れた場所で、スコーピオンを構える。
 同時に動き出したのは鏑木と増田だった。飛の前方から鏑木が、後方から増田が迫る。
「はっ!」
 飛を牽制し、隙を狙おうと、鏑木が掌打を繰り出した。武器を持つ手を狙う鏑木を、飛は盾扇で防御する。牽制とは言え弱い攻撃ではないのだが、飛は盾扇の防御する角度を変えることによって、鏑木の攻撃力を流していた。関節を取ろうとしても、柔らかい動きで擦り抜けられてしまう。その様子に、鏑木は飛が並みの強さでないことを理解する。
「俺ともお相手願おう!」
 増田が交差したヴィアを振り上げ、飛の背後に飛び掛った。飛はそれを鞘をつけたままの蛍火で防御する。片手でヴィアを、片手で掌打を防御する飛に、呉葉が呆然と「勝てる気がしない‥‥」と呟いた。
 増田は、ヴィアを押し返してくる飛に舌打ちをする。均衡する力は、攻撃の為に片方のヴィアを外した瞬間、蛍火が残ったヴィアを弾き返すだろうことを予想させた。そのとき、体勢を崩して不利になるのは増田の方だ。
 飛もそれを判っていて、意識は二人共に向けられてはいるものの、目で攻撃を見ているのは鏑木の方だ。そのことに気付いた増田は、アイコンタクトを鏑木に送る。
 鏑木が飛に気付かれないよう、瞬きで増田に返した。そして、鏑木は一旦体勢を整えるように見せかけて一歩後退し、落ちてきた石を殴る。
 砕けた石が、飛の眼前に飛び散った。飛はそれを盾扇を翳して防ぐ。
(今っ!)
 隙を狙っていた鏑木が、チャンスとばかりに瞬即撃を飛に叩き込もうとした、瞬間。
 鏑木の眼球スレスレに、盾扇の先が突き出されていた。
 少しでも進めば、盾扇に目を潰される距離に、鏑木が思わず動きを止める。
「甘い」
 飛の言葉に鏑木がハッとした直後、飛の手がくるりと回り、盾扇が鏑木の顎を跳ね上げた。アッパーにも似た攻撃に鏑木がよろめく。
 その反撃に増田が動揺したのを見て取って、飛はヴィアを押し返していた力を緩めると、スイッと体をずらした。それに前のめりになった増田の背中に、飛が回し蹴りを放つ。蹴られた増田は勢いよく鏑木にぶつかり、二人共々地面に倒れ込んだ。
「危ないっ!」
 倒れた二人に、石が降り注ぐ。その中に岩ほどの大きさの石があるのを見て、レイと金城がそれぞれ石に弾丸を撃ち込んだ。バラバラに石が砕け散る中、増田と鏑木が後退する。
「‥‥っ!」
 飛び退った瞬間、足に響いた痛みに鏑木が舌打ちした。増田にぶつかられた際に、足を捻ってしまったらしい。2メートル越えの男に乗りかかられれば、無理もない。鏑木は片足を庇いつつ石を避け、大きな石の影に飛び込んだ。
「大丈夫ですか?」
 そこにいたのは呉葉だった。倒れた際に降り注いだ石で傷の目立つ鏑木に、心配気な目を向け、ロウ・ヒールをかける。それに「有難う御座います」と微笑む鏑木だが、呉葉は足を庇う鏑木の仕草に眉を寄せた。
「無理はしない方がいいです。無理して怪我を酷くしたら、それこそ本末転倒です」
「その通りです」
 二人の目の前にひょいっと顔を出したのは翠の肥満だった。
「劉さんから無線がありまして。鏑木さんは足を捻った様子なので、強制回収だそうです」
 耳元を指差して言われた翠の肥満の言葉に、鏑木が少し不満そうな顔をする。それに苦笑しつつ、翠の肥満は鏑木に手を差し伸べた。
「悔しいでしょうが、訓練での怪我を実戦まで引き摺ることの方が問題です。さっさと治してしまいましょう」
「‥‥判りました」
 鏑木は重い溜息を吐いて翠の肥満の手を取る。
「さて、行きますよ〜」
 鏑木を背に負ぶった翠の肥満が駆け出した。落ちてくる石をひょいひょいと避けながら、素早く回復所へ向かっていく。
「よし、あたしもがんばろっと!」
 翠の肥満と鏑木を見送り、呉葉が石の影を飛び出す。飛に向かっていく参加者たちの邪魔にならないように、石の雨へ身をさらけ出した。
「こんにゃろーめっ!」
 落ちてくる石を避けつつ、動き回る。なるべくならガードは使わずに避けたいところだったが、無理なときは素直にガードを翳した。
「ちょっとコツ掴んできたかも?」
 石の雨と言っても、降らせているのはロボットなので、暫く見ていればそれがパターン化していることはすぐ気付いた。それさえ判れば、避けるのもそう難しいことではない。
「っととっ!?」
 だが、そう思って油断していたところに、石を避けて飛び退った筈の足が何かに躓いた。予期しないことに思い切り尻餅をついてしまった呉葉は、次の瞬間降って来た大きな石に思わず悲鳴を上げた。ハンドガンを取り出し、弾丸に布斬逆刃を使って石を壊す。落ちてくる石をガードで防ぎつつ見れば、辺りには降り注がれた石がそこかしこに転がっている。呉葉はこの石を踏んで、バランスを崩したのだった。
「上ばっかり見てちゃ駄目ね」
 呟いて、呉葉は再び立ち上がり、今度は更に慎重に石を回避し始めた。
「おっと、危ない」
 一方、回復所に向かう翠の肥満は、その眼前に落ちてきた石を避けて小銃を取り出すと、片手で銃を構えた。もう片方はしっかり鏑木を支えている。
 翠の肥満は強弾撃を使って、落ちてくる大き目の石を壊す。その欠片が鏑木にぶつからないように体の向きを変えつつ走り、ゴロゴロと地面に落ちている石の上をジャンプしながら回復所に辿り着く。
「はい、到着! 時間はー、まあまあってところですね。では、治療宜しくお願いします」
 回収にかかった時間を確認し、満足気な笑みを浮かべた翠の肥満は、回復役に鏑木を頼み、再び双眼鏡を構えた。
「さて、どうなってるかな?」
 呟いて、双眼鏡を覗く翠の肥満はとても楽しそうだ。「行け! そこだ!」と、まるでスポーツを観戦しているかのようである。
「‥‥お腹空いたな。ポップコーンでも無いかな」
 前言撤回。まるきり、スポーツ観戦者であった。

「うおおおおっ!」
 増田が雄叫びを上げながら、飛に突っ込む。それを援護するように、金城がツヨクナレール君に向かってSMGを撃った。
 向かってくる弾丸に飛が蛍火を一閃すると、ソニックブームが走り、弾丸を弾き飛ばす。ソニックブームはそのまま金城の隠れる石を割り、金城が慌てて逃げ出す。
「豪破斬撃っ!」
 増田が飛に渾身の一撃を振り下ろした。飛はそれを蛍火片手で受けようとするも、その予想以上の力に思わず盾扇を落とし、両手で蛍火を支える。
 瞬間、チャンスを狙っていたレイが飛び出した。狙いは一つ、ツヨクナレール君だ。増田の肩越しにそれを見つけた飛が、「やっべ」と呟く。
 レイが鋭角狙撃を使って、引き金を引いた。弾丸が飛び出すのと同時に、飛が仰向けに倒れる。まるでブリッジをするように増田の体の下に入った飛は、増田の腹を蹴り上げて後方に飛ばした。転がる増田に構わず、飛はそのまま後転し、起き上がる。
 飛の蛍火からソニックブームが放たれた。それは弾丸の軌道を変え、ツヨクナレール君の頭部を掠っただけに終わる。
 レイが今度は鋭角狙撃で飛を狙う。飛は素早い動きで盾扇を拾い上げ、弾丸を弾いた。
「仕方ない」
 飛が地面に転がった石を手に取る。そしてそれを軽く放ると、野球のノックのように蛍火の鞘で打ち飛ばした。飛ばされた石はスコーピオンを構えていたレイの肩に当たり、思わずスコーピオンを落としてしまう。
「まだまだぁ!」
 金城が多少の石が当たるのにも構わず、飛び出す。その金城に向けて、飛がまた石を鞘で打ち飛ばした。金城は連続で飛ばされる石を、最初にやっていたワルツの要領でリズム良く避けるが、続いて迫ってきたソニックブームに息を飲んだ。金城はソニックブームに弾き飛ばされ、その余波が近くにいたレイを襲う。二人とも勢い良く吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
 その様子に、飛が無線に手をやった。が、直後に感じた殺気に、蛍火を抜く。ギィンッと音がして、蛍火と増田のヴィアが交差した。
 にやりと増田が笑う。蛍火が受け止めているのは、ヴィア一本。
 二段撃のもう一本のヴィアが、飛の腹部を狙う。
 飛は咄嗟に、盾扇で増田の顔を殴った。無理な体勢での殴打だったが、飛はそのまま体を捻り、地面に倒れる。ヴィアが飛の肩を切りつけながら薙ぎ、赤い雫が地面に落ちた。
 そのまま隙だらけになった増田の足を、俊敏に体勢を立て直した飛が払い、倒れた増田の首の横に、抜き身の蛍火を突き刺した。少しでも動けば、すぐに首を切り落とせる体勢。
 ごくりと息を飲んだ増田に、飛は疲れたような溜息を吐いて、髪をかき上げた。
「こんなもんだろ。訓練終了」
 言われて、鞘に収められた蛍火に、増田も長く息を吐いた。

 まだ日が高いうちに始まった筈の訓練が終わり、参加者達の治療も全部終わると、既に空は真っ赤に染まっていた。
 そんな中で、参加者達の前に、飛が立つ。
「今回は回収役、助かった。これ、報酬な。随分と楽しそうにしてたけど、そんなに面白かったなら毎回やるか?」
「呼んで下さるならいつでも来ますよ。今度はポップコーンを持って」
 にこにこと笑って、翠の肥満と飛が固い握手を交わす。そして、「さて」と呟き、まずは鏑木の顔を見た。
「石と砂だらけのこの状態を既に知っている相手が、目潰しへの対処を考えてないわけはないだろう? こう来るだろうという行動をそのままやるには、もうちょっと作戦を考えるべきだな。‥‥まあ、この中では一番動きが良かったと思う。後は多少荒っぽい考えを持ってもいいんじゃないかな」
「あ、有難う御座います‥‥」
 飛がぽんぽんと鏑木の頭を軽く叩くのに、鏑木が少し頬を染めつつ頭を下げる。
「お前も行動がパターン化してた。確かに、リズムの決まってる相手にリズムで返すのは効果あるかもしれないが、そこに予期せぬことが起きれば対処し難くなる。その辺もしっかり考えることだ。‥‥だが、度胸は良かった。お前の細い体で石の雨を防御せずに攻撃するのは、無茶以外の何者でもないけどな」
「えへへ。大丈夫ですよ!」
 苦笑する飛に、金城が元気良く拳を握った。
「君はずっと回避に専念していたな。動きはまだ良いとは言えないが、もっと経験を積めば強くなるだろう。あとは君頃の年の子に言うのも厳しいかもしれないが、少し油断しやすい面があるみたいだな。まあ、心に余裕があるのは悪くない。ただ、調子には乗り過ぎないようにな」
「はーい! ありがとうございます!」
 飛の言葉に、呉葉がにこにこと笑みを返す。
「チャンスを確実に掴もうとして動いていたのは、流石だったな。もう少し経験を積んでいたら、うちのロボは確実に壊されてたぜ。あとは、攻撃に対する防御力も鍛えておいた方がいい。一撃でやられるようじゃ、困るからな。でも、今回は君の攻撃が一番焦った。正直、間に合わないかと思ったよ」
「えっと‥‥有難う御座います‥‥」
 にっこりと笑う飛に、少し悔しそうなレイが返す。
「最後は‥‥正直、蛍火を鞘から抜かせられるとは思わなかった。仲間に助けられた部分もあったが、気迫は大したもんだよ。あえて難を言えば力任せ過ぎるってところだが、どうカバーするかは、お前なら判ってそうだな。久々に楽しかったよ」
「こちらこそ!」
 言って、飛と増田がガッシと握手を交わす。

「そんじゃあ、これで解散! また来月もやるから、良かったら来い!」
 そう言って参加者を見送る飛は、疲れたようでいながら、実に楽しそうな笑顔を浮かべていた。