タイトル:【PN】探す希望マスター:音無奏

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/05/17 01:41

●オープニング本文


 Pearl Necklace、イタリア解放戦線。
 シカゴからまだ幾ばくも経ってないというのに、目前に迫ったその大規模作戦は、人類側に休憩の隙を与えない。
 与えたら取り返しのつかない事になる‥‥故に。

 スペイン戦線は強固だった、味方ではなく、敵の方が。
 もしもこれが陣地争いだったなら、まだどこかに隙も出よう。だが完全制圧されたスペイン主要都市から、敵がそれ以上出てくる様子はない。
 戦線は膠着する一方、偵察に出た機体は原因不明のまま姿を消失、その不気味さ、情報の欠如がUPC軍の侵攻を踏みとどまらせ、状況の悪化に拍車をかけている。
 その中、通信にささやかなノイズが紛れ込んでいた‥‥。

「‥‥‥‥。救助信号?」
 回されて来た情報を前に、女性士官は思わずそう聞き返していた。
 一見するとノイズにしか見えないその信号、だが救助信号に酷似しているというその報告。
 張り巡らされたジャミングのため、スペイン広域の通信は殆ど使い物にならない。だからノイズなど珍しくもないのだが‥‥これをどう取るか、だ。

 偶然酷似した、といってしまえばそれまでだろう。辛うじて掴んだ発信元は、数多くの偵察機が葬られた危険ライン。
 生還者がいてもおかしくはない、おかしくはないのだが‥‥。
 最悪罠かもしれない、だが、そうでなければ人命を見殺しにする事になる。

 様々な思考がよぎり、収束していく、ため息をついた。
「‥‥軍を動かす余力はない。一応、傭兵達を募ってみる」
 零れたのはそんな言葉、無駄だと切り捨てる事は出来そうになかった。


 そして今ここ、依頼の説明に訪れている。
 生存者の探索と救助の依頼、懸念として罠、もしくは空振りの可能性あり。生存者発見の場合はその救助も依頼に含まれる。

 広げられたスペイン地方の地図には出発地点と信号元、及び危険ラインが書き込まれていた。
 地形上、信号予想地点まで車両を回す事は出来ない、車でいける限界まで傭兵達を送り、そこからは傭兵達が徒歩で行動するプランだ。
 傭兵達を現地に送り届けるのは朝早く、終了時刻は特に定めてはいないようだが、夜間の探索は危険なため、推奨はしない模様。
 信号予想地点は危険ラインの外だが、至近距離には変わりなく、警戒は必要だろう。

「今回、固定の敵はいない。森林や山岳部で有利に動ける獣キメラは大量にいると思うが‥‥」
 相手によっては血の匂いが心配だな、と呟いた。
「キメラの本能は基本的に襲撃にある、負傷したエモノほど敵にとってそそるものはない」
 これが救助信号ならな、と述べる士官の表情は淡白だ。
 一応、救助信号がただのノイズだったり、罠である可能性も考慮する必要はあるだろう。
「‥‥ここが敵地だという事を忘れるな、油断が命に関わる」

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
鏑木 硯(ga0280
21歳・♂・PN
夏 炎西(ga4178
30歳・♂・EL
南雲 莞爾(ga4272
18歳・♂・GP
黒崎 美珠姫(ga7248
20歳・♀・EL
リュウセイ(ga8181
24歳・♂・PN
斑鳩・八雲(ga8672
19歳・♂・AA

●リプレイ本文

 かさ、かさ、と。木の葉を踏む足音が響く。
 注ぐ木漏れ日が足元を照らし、鬱蒼とした森の空気は心持ち冷たい。そんな冷気が肌を撫でる中、森へと踏み込む八人の人影がいた。
 遠く、車が遠ざかっていく音がする。それを耳に捕らえつつ、更に奥へと。
 手に持つのはこの周辺の地図だろうか。一人一枚、広げられたそれは現在位置と思わしき記号と、何かの範囲を示す赤い円形、そしてその円の外縁付近に×印が一つ記されている。
 ×印の傍に書かれたのは『SOS』、――救助を求める表記だった。

「罠かもしれない。でも、本当に助けを求める人がいるのかもしれない。‥‥なら、行くしかないのが人間ですよねぇ」
 一行の中、最初に斑鳩・八雲(ga8672)がそう漏らす。やや困ったような笑顔に棘はなく、事の実態を気にかける様子だけが見て取れる。
 今回、彼ら傭兵達へ依頼されたのは探索任務。不確かながら確認された救助信号、それを発信したと思われる生存者の捜索と、事が真であった場合の救出。
 状況自体は極合理であるものの、場所が敵地付近だけに罠の懸念もあるし、ひょっとしたら通信の乱れによるただのノイズかもしれない。
 しかし、危険な偵察任務に赴いた人間が、負傷して救助を求めているかも知れないのだ。
 もし本当にそうなら、見殺しに出来る筈もなく、そんな思いを抱える夏 炎西(ga4178)はこうして捜索隊に加わっている。
「どんな場所だって、救助を求める人がいるなら、ね」
 今回は危険ライン付近での行動、そのため一歩間違えれば危険性は跳ね上がる。でも、だからといって助けを求める人を見殺しには出来ないと、黒崎 美珠姫(ga7248)は強い言葉と共にふんわりと微笑んだ。
「任務の生命線です。予備も含めてお願いします」
 そういって炎西が申請したため、地図は各人もう一枚ずつ予備を所持している。地図には鏑木 硯(ga0280)の手によって捜索予定範囲が書き込まれ、現在向かう途中だった。
「ジャングル探検隊ってか」
 ジャングルではなく森林なのだが、リュウセイ(ga8181)がそう称するのも判らなくはない。森は想像以上に深く、これが道のある場所ならまだ兎も角、道すらない森は距離と方向の把握を困難にする。
 方位の測定自体に問題はない、地図はあるし、方位磁石は探索に分ける各班が所持している。
「大体この辺‥‥かな?」
 美珠姫が地図とにらめっこしながら、歩みを止めた。問題は距離だけ、こればかりはある程度どうしようもないのだが、確認する手段がないというのはやはり心細い。
 辺り一面は木、木、木、目印になりそうなものなどある筈もなく、現在地の把握は道に出ないとほぼ不可能に近い。
 反対する要素もないので、顔を見合わせた一同が頷く。そして八人が四班へと分かれた。
 御影・朔夜(ga0240)と硯、南雲 莞爾(ga4272)と八雲、炎西と美珠姫、白鐘剣一郎(ga0184)とリュウセイ。分かれた四班は事前に決められたルートへと向かい、踏み込む前に確認の意味合いを含め互いに視線を交わす。
「別行動だががんばれよ!」
 リュウセイから美珠姫に声がかけられる。それに視線を向けた美珠姫が柔らかく笑みを浮かべ、笑って励ましの言葉を返した。
「そっちこそ。期待しているよ」
 そして、森林の奥へと。時刻は早朝、これから丸一日かけた捜索が始まる―――。

●捜索
 段差を静かに飛び越え、大分下の地面に着地する。
 事前に聞いてはいたが、やはり地形は悪い。土壌による段差、太く這う木の根‥‥真っ直ぐ立っているのも困難で、捜索にも手はかかる。
「場所が場所だけに細心の注意を払うよう心掛けないとな」
 木の陰、茂みの裏、剣一郎はそういった所を手早く、次々と点検していく。
 風向きを気にしながら嗅覚を差し向け、やや湿った土の匂い以外に、他の何かがないかと思考を張り巡らせる。もしも生存者がいるのなら、負傷した血の匂い、或いは撃墜による焦げた匂い、そういった類の手がかりが漏れている筈だ。
 ―――ここには、ないか。
 共にいるリュウセイに何かおかしい所はないかと問うと、リュウセイは周囲を見回したのちに首を振り、同じく「ここにはなさそうだ」と返した。二人の意見が一致するのならそうなのだろう。
 彼らが探索を進める最中、C班。
 炎西の迷彩服は土埃で汚れている、正しくは到着と同時に汚していた。緑と茶の混ざった模様が現地の土と草葉に塗れ、一層隠密性を深くしている。
 同じく迷彩服を纏った美珠姫は炎西の後ろについていた、移動中、互いの死角を潰すと同時に手がかりを探していく。
 匂いや風向きを含め、音にも気を配り、地面に人工物が落ちてないかどうか丹念に探し、人が向かいそうな水源には特に注意を払う。
 戦闘の痕跡は? 危険ラインで撃墜された隊員が救助を求めているのなら、決して無傷と言う事はないだろう。血の匂いに誘われたキメラと交戦したかもしれない。キメラの死骸、血痕、草が踏まれた場所はどうか。一つ一つ、人がいた痕跡を見落とさないよう細心に捜索していく。
 ここにはまだ、ない。現時点では確認出来ないある種の安堵と、この先にあるかもしれないという不安が不思議な緊張を作り出す。
「こっちかな‥‥?」
 地図を参考に、見当をつけて高所へと。地理が間違っていないのを確認しつつ、周辺を見通すのにいい場所を探していく。
 ルートから外れないように気をつけながら、適度な高所を確保。更なる視界を確保するため、丈夫で崩れそうにない木を探し、手をかける。
「それでは、いってきます」
 そう言って、炎西が木の上へと上がっていった。手をかけると同時に覚醒、身を隠し、身体能力を上げた状態で上がっていく。
 時折頭上の方も気にかけながら、がら空きになる下方は美珠姫が見張り番についた。
 双眼鏡を手に、周囲一帯を見渡す炎西。シグナルミラーのような反射光、KVや戦闘機の残骸はないだろうか、どのような状態であれ、撃墜されたのなら、その残骸が木々を押しつぶし、それなりに目立つ筈だ。
「――当たり、ですね」
 捉えた。複数箇所に渡る撃墜の痕跡。流石に高所からの視界は良好で、下方の状態こそ見えないものの、それなりにサイズがある機体の残骸はすぐに発見できた。
 方位磁石を頼りに、現在位置に見当をつけ、地図に機体残骸の位置を大まかに書き込む。
 念のため、高度を上げてもう一度周囲を見渡し、見逃しがない事、記入違いがない事を確認したのち、下へと。
「黒崎さん、とりあえず、一度皆さん呼んで置きますか?」
 機体の残骸があるとはいえ、そこに生存者がいるとは限らない。ひょっとしたらキメラに追われて移動しているかもしれないし、全く関係ない別の機体かもしれない。
 しかし、希望に一番近いのはその辺ではないだろうか。
 少し逡巡したのち、美珠姫がゆっくりと頷いた。掲げるシグナルミラーが示すのは「救助対象発見」の信号。正しくは「手がかり発見」なのだが、そう外れてもいないだろう。

●救助
 C班の招集により、一旦集まった面々で情報交換が行われた。
 各人の地図には機体残骸発見の位置が書き込まれ、探索時の参考にされている。複数あるため場所は各班で分担、元の探索ルートに近い場所をそれぞれ担当する事になった。
 そしてA班、朔夜と硯ペア。
 心なしか足が速いのは、墜落地点が近いためか。とはいえ経過地点の捜索を怠る訳にもいかず、早いような遅いような‥‥そんな緩くじれったい感覚が続く。
 機体の一部が、見えてきた。空気に異臭がないのは、少なくともオイル漏れは起こしていないと言う事だろうか、早足で駆け寄り、まずはコックピットを確認する。
 ――‥‥いない。
 硯が漏らしたため息は安堵か、生存はまだ確認出来ていないが、いきなり死亡を確認するよりは遙かにましだろう。
「‥‥少し、薬品の匂いがするな。そう時間が経っている訳ではないか‥‥」
 ゆっくりと周囲を見渡したのち、ぽつ、と朔夜が漏らす。
 薬品の匂いがして、パイロットがいない。と言う事は自力で手当てを行ったのち、どこかに移動したのだろうか。機体の座席には血痕が漏れている。匂いは薄く、そこから辿る事は無理がありそうだが、付近にいる可能性は高いだろう。
 周囲へと足を向ける。隠れるに適した場所はないだろうか、負傷しているならそう遠くにはいってない筈だが‥‥。
 機体を中心に、周囲を見て回る。深い森をかぎ分け、地道に、しかし丹念に。
「‥‥‥‥いました!」
 見つけた。段差になっている下の部分、土壌の壁が直角を作り、そこに寄りかかるようにして倒れているパイロットの姿。
 意識は‥‥ない、体には荒っぽくも手当てした痕跡が残っている、必要最低限の処置だけ行い、ここに避難した後に力尽きたか。
 呼吸はあるし脈もある、顔が青白いのは失血のせいだろう。てきぱきと救急セットを取り出す硯の横で、朔夜がシグナルミラーを掲げる。
「血の臭いも消したいですし、ちょっと手当てしますよ」
 相手の意識はないのだが、一応断っておいた。丁寧に手当てをやり直し、そして血の匂いを洗い流す。
 硯が手当てを完了させた頃には、急行した全員が到着していた。

 硯がパイロットを背負い、他班の面々がそれを護衛する形で帰還ポイントへと向かう。
「囮位にはなるだろう」
 そういって血が染み付いた衣類は切り取られ、剣一郎の手によって投棄された。
 13時の迎えまで後少し。途中、美珠姫が心配げに何度かパイロットに目をやるが、パイロットが目を覚ます気配はない。
(「頭を打っている事はないと思うんだけど‥‥」)
 顔に血の気はなく、髪の間から覗く表情は疲労の色が濃いまま眠りについている。
 帰還ポイントに着き、パイロットを降ろした。柔らかい衣類で枕を作り、地面に寝かせる。車両を待つ時間、炎西が用意していた飴玉とチョコレートを取り出した。
 板チョコ四枚、飴玉二袋を八人で分ける。
「体力もですけど、練力も切れないようにしないと‥‥長丁場ですしね」

●襲撃
 その後、迎えの車両にパイロットを預け、一同は再び探索へと戻っていた。
 陽は大分傾いているが、探索はまだ終わらない。全てのルートを走破したとは言い難く、また機体残骸付近の探索も満足に行えたとは言いがたい。
 B班、莞爾と八雲ペア。戦闘は回避する方針のため、現在において交戦はない、しかし誤魔化しにも限界が来ている。
 この付近で敵を撒いた回数は3回、長引けば長引くほど、周囲の敵が付近に引き寄せられる可能性は高まるのだが、それにしても異様だ。
 墜落ポイントが近くにあるため、詳しく捜索を行い所だが、この状況ではどうか。いっそ迎撃すると言うのも手だが、殺傷した場合、ぶちまけた血で更に敵を呼び寄せる可能性がある。
(「‥‥あれは‥‥」)
 木々や茂みではありえない塊を莞爾が見咎める。もしかして、そんな予測を抱き、八雲を手招いて歩むスピードを上げ、走りへと移行する。
 浮かべた予測は正解だった、負傷者。それと、森に紛れる何かの気配。
 負傷者に意識はない、抱きかかえられないことはないが、その場合機動性は格段に落ちるし、そもそもまだ容態のチェックを行っていない、行う時間はない、‥‥戦うしかないか。
「――――騒がしいヤツだな」
 仕方ない、そんな息と共に言葉を吐き出し、刀を抜いた。照明銃が打ち上げられる。
 その情報は瞬時に伝わり、全員が疾走を開始した。
「あの信号は‥‥どうも急いだ方が良さそうだ」
 剣一郎が呟く、照明銃は本当に緊急の場合しか使用を合図されていない。リュウセイのGooDLuckが発動し、余分な遭遇を運によって回避していく。
「刀とサーベルの変則二刀流‥‥。まさか、こんなことを試す日が来るとは思いませんでした」
 八雲もまた得物を手に取る、飄々とした構えは掴み所がない。莞爾の後方に位置し、その死角を完全に防ぐ。
 無音、前兆なしで飛びかかってくるキメラを二人が迎撃した。

 硯が超高速で敵に迫り、刀を叩き込む。前衛の多い一同に対し、キメラ達はその防壁を抜ける事が出来ない。
「天破双月流・一之太刀”漣”!」
 リュウセイの菖蒲が怯んだ敵を切り伏せた、パイロットの傍には唯一の後衛である朔夜が位置付き、その得物を構えている。
 一旦敵がいなくなったのを確認し、一同は武器を降ろした。
「こちらの動きを嗅ぎ付ける連中がいないとも限らない。俺は歩哨に立つので手当ては頼む」
 剣一郎が振り向かずに声をかける、その声に頷き、炎西と美珠姫が後方に下がる。
「‥‥大丈夫、気絶しているだけです」
 余り時間はかけられない、ミネラルウォーターをかけて血を洗い流し、簡単な応急処置を施した後、硯がパイロットを背に背負う。
「‥‥照明弾を打ち上げたので、迎えが来ている筈です、急ぎましょう」
 八雲の言葉に頷き、移動が開始された。
 パイロットを背負う硯の傍には朔夜が着く、やはりと言うか、今回は何事もなく帰還ポイントに到着出来そうにはなかった。
「ならば此処で、操刀の鬼と化し‥‥零を為す」
 先頭をいく莞爾が両手に刀を構える、持ち前の機敏さ、その瞬発力を持って、敵が反応する前に目標を切り伏せる。振るう刀は眼に見えない、残影が刀の色である紅弦を描く。
 走りながら、リュウセイは隣にいる剣一郎を覗き見た、微妙に期待する視線。
「俺を踏み台にきりこめっ!」
「‥‥何を言ってるんだ、お前は」
 そう苦笑された。

●帰還
 22時、ラストの迎えが来た。一同は帰還ポイントに集まり、探索の結果を報告しあっている。
 四班共に担当全ルートの捜索は完了、また撃墜ポイント付近は念を入れて捜索完了しており、走破後ももう一度全ルートの捜索を行ったが、他に生存者、並び異常な所はなかったと言う。
 それでもまだ見落としが気になるのか、硯は絶えず後ろ、先ほどまで探索を行っていた方向を振り返っていた。
「もし俺が遭難者なら懐中電灯の点滅などで報せると思いますから‥‥」
 本当に見落としはないかどうか、今回を逃せば、恐らく遭難者の生存率は格段に下がる。
 目を凝らして見る森に光ものはない、木々が黒い影を作り、風にそよいでいるだけ。
(「‥‥大丈夫、かな」)
 そう結論付けた、念には念を入れ、あれだけ何度も繰り返し、丹念に探したのだ。付近に他の遭難者はいないだろう。
 気持ちに整理を付け、車に乗り込む。いいのか、と確認される言葉にはい、と頷いた。

 一同が去った後、森に人間の気配はなくなった。暗い闇には動物だけが潜み、低く蠢きを繰り返す。
 表向きの静寂、しかし、狩場に獲物はいない―――。