●オープニング本文
前回のリプレイを見る 喧噪は焦りの色を帯びている。
どうして? という疑惑と、なんとかしなくてはいけないという無力感を孕んだ焦り。
取り巻く足音は止まってくれず、状況は切実に、混乱へと近づきつつあった。
イタリア本土にたどり着いてすぐ、状況は何事かと傭兵達は当然の問いを表情と共に作る。
対する士官は頷き、どう伝えれば一番早いのかと思考を挟んで、
「――敵襲だ。ブリンディシ内部、敵が動いたらしい」
説明は状況だけを示して端的に行われた。なぜか、という問いに答えられる人間は存在せず、ただ半端覚悟していた、推測の一言だけが。
「恐らく、人質共々陸軍を葬るつもりだな。‥‥手の届きかけた、このタイミングを狙って。整備士にとって、人質など最早その程度の価値しかあるまい」
状況を混乱に陥らせた要素は三つ。
都市には伏兵がいて、内部の陸軍部隊が襲撃されたであろう事。
都市全体をジャミングが覆い、中と外で連絡が取れなくなってしまった事。
都市内部には所々爆発物が仕掛けられ、内外を断つ爆発が混乱の引き金になったことだ。
「爆発の瓦礫によって中はかなり酷い状況になっている、戦車が通れるかどうかは微妙だな‥‥だから至急呼び戻した」
KVとて瓦礫の中では動きづらいだろうが、少なくとも戦車より小回りは利いていた。
間に合って良かったという吐息が士官から漏れる。前回の作戦が少しでも長引いたら、今回このように直接割り込む事は出来なかっただろう。
都市内部で活動していた、陸軍部隊については。
「中は襲撃と爆破の混乱で敵に押されてる筈だ。一時退却で凌いでるだろうが‥‥恐らく立て直す前にまた追い詰められる」
逃げている間にはぐれる人員も出てしまうだろう、弾薬の補充もままならないし、長期間抗い続ける事は不可能だと見ていい。
それでも彼らが、守る存在のために生きるつもりであろう事は言葉にするまでもない、誰もが薄々は察していた。
「周辺探索のため、今回の任務には私も同行する。‥‥KVだけじゃ足下が見づらいからな、その必要があるなら私の仕事だ」
更に、と付け足して。
「負傷者が出た時のためにリエルもリッジウェイで同行させる。手段は多い方が望ましい」
士官が担うのは生身での周辺探索、リエルの担当は情報の統括と後方支援。
リッジウェイ故に誰かを匿う事も出来るが、救助に関しては基本的に考えなくていいのだと士官は説明を行った。託されるべき役割はあくまで道を繋げる事にあり、切り開いた所は後続に任せる分担らしい。リッジウェイもあくまで一時避難用に、誰かを拾った際戦闘に巻き込まないためにあった。
「無線が使えないため、連絡は伝令を走らせる事になる、その辺の統括もリエルに任せて構わない。空については‥‥」
もう少しは此方有利に進めるだろうと、空軍に一任する姿勢を見せた。
制空権を取られると厄介であるため、上の方に行かないのかと当然のように傭兵達は問う。だが士官は思考混じりに首を横に振り。
「‥‥下が先だ。勘だが――恐らく時間は余り残っていない。もたもたしてると‥‥吹っ飛ぶぞ、街ごと」
根拠はない、強いていうなら相手の性格の悪さが説得力。故に態勢だけでも立て直させるべく、士官は陸に戦力を注ぐべきだと判断した。
「首謀者の性格が悪いからな‥‥予測と対策を張り巡らせても、無事で出られるとは思わない方がいい」
避けきれないであろう現実を告げながらも、やる事を伝えるべく士官は傭兵達を見据えて。
「いいか。進める道を見つけ、全員で生還する事だけを考えろ。――バックアップは大勢いるんだ、無論、出来るだろう?」
●リプレイ本文
傭兵達が踏み入った先にあるのは、戦いの喧噪ではなく、荒廃した町の寒々とした静寂だった。
空、海共に戦闘は継続している筈で、感知に物音が返らないのは、戦場が遠いためか。
久しく放置された建物の群に、灰色の曖昧な空模様が映り、不吉な雲色を漂わせているだけだった。
町に踏み入った後も、寂寥は暫く続く。
積み上げられた瓦礫、見えぬ人影。何事もなく進む道程は、傭兵達の緊張を薄れさせる事なく、不条理な状況に対して抱く警戒心を一層強めさせていた。
無事に行って帰ってこられるなど、誰もが信じていない。
ならばこの状況は理にかなわず、最も可能性があるとしたら罠か――。
「‥‥進むしかないんですけどね」
須磨井 礼二(
gb2034)が笑みに苦いものを混ぜ、結論の出ない猜疑を自ら揶揄した。
「航空支援のありがたみが非常によく解るな」
言葉は前方にいる緋沼 京夜(
ga6138)の機体から返る、そうすれば全体の状況とて少しは解るだろうに。索敵を賄わなければいけないプレッシャーは前方の斥候たちが一番重く感じているだろう。緊張と言い換えてもいい、押しつぶされるつもりなどないのだから。
「忌々しいが、取り残されている味方が居るというなら救出しない訳にはいかないからな。最善を尽くそうぜ」
威龍(
ga3859)の言葉は、圧倒的に不利な自分たちの状況へと向けられたもの。
「敵がいなくて罠もなさそうなルート‥‥あるわけないよね‥‥」
笑いと困りの真ん中くらいで唸り、荒巻 美琴(
ga4863)は表示される地図を見上げた後、また一度肩を落とした。
前方と後方のやりとりで、表示されるルートは戦闘に支障がなくかつ比較的歩きやすいと思われる無難なものだろう。どう見ても罠、なんて事はないが、安全が保証されている訳でもいない。
漏れる言葉を聞くクラウディアが一度首を傾け。
「‥‥こっちの動きがただ漏れだからな、極端な話、向こうにとってはどうにでもなる」
重力探査を行うワームたちに対して、隠密行動というのは意味をなさない。故に攻める行動は位置がばれている前提で進めなければいけなかった。
この多くの選択肢がある戦場にて、どうやって自分たちに対して有利な状況を確保するか、だ。
何か見えますか? と問われれば中尉が首を横に振る。五感共に、めぼしい手がかりはないと伝えてくる。
物音が返らないという事は、少なくとも近くで交戦状態にあるという訳ではないのだろう。
力で劣る以上、戦闘は統率が物を言う、混乱状態にある内部が組織的抵抗を行えるとも考えにくい。
「‥‥奥、かな」
囲まれ、追い立てられるとしたらそこだ。
‥‥どこだ。
味方も大事だが、京夜がより重く気にかけていたのは、都市に潜む筈である敵の所在だった。
敵の事が解らなければ、味方を守る事など出来ない。
状況を考えるなら、この都市には今数多くのワームがいなくてはならなかった、予兆すら見せずに奇襲を敢行し、陸軍を混乱まで追い立てられるほどの軍が、だ。
奥こそたどり着いていないにせよ、この付近には見かけるワームの数が少なすぎた。移動する兆候、或いは姿。そんなに入り組んでいる町でもないのだから、見てもいい筈なのだ。
京夜が思考から外していたそれを、同じく斥候を担当する赤崎羽矢子(
gb2140)が代わりに思い浮かべた。件の整備士が浮かべるだろう、軽やかな笑み。
ユズの相方であるイネースは芸術に魅せられた、では彼/彼女は? 執着などないかのような振る舞い、愉快犯の色は濃いが、指揮は冷静で堅実だ。
‥‥元はUPCなんだよね。
手心が浮かぶ訳でもなく、嘆息のような複雑さを抱くだけだ。或いは参考になるかもしれないと、やはり斥候であるCerberus(
ga8178)がこれまでの戦いの経験談を述べ。
「中で苦労しているやつらはもしかしたら幻影に惑わされているのかもしれない。下手をすれば味方同士でやりあうぞ」「整備士が幻影を使うという報告はないが。‥‥あれの戦い方は事前に当たりをつけて置かないとまともに対処出来んからな」
クラウディアが訂正を入れ、厄介な性質である事を肯定した。
町奥に踏み入るにつれ、斥候も先行の距離を伸ばしていく。
‥‥ここしかない。確信めいた予感が物々しい戦いの予兆を生み、肌に張り付いて緊張を促す。
戦場が近い事こそ察せるものの、詳細位置の特定には至れず、どこかで生存者を拾いたかったが、救助は基本的に後方任せで、自分たちはひたすらに道を開き進むため、その手の情報収集は行えていなかった。
後方からの伝令が来てくれるのを待つばかりだ。
威龍のウーフーがジャミングを緩和してくれているが、それも斥候との通信がぎりぎりと言ったところ。
町での敵影はかなり見られるようになったが、やはり思うほどの大軍ではなかった。
時折頭上を通過するワームの群が非常に不吉だ。
せめてキューブだけでも事前に破壊しておけないかと、周囲に気を配る傭兵達だが、キューブの姿だけはワームの中でも一向に見つからない。
あたりはつけていたのか、士官はため息混じりの言葉を作り。
「都市を覆うためにかなりキューブをばらけさせてる、易々と壊されるつもりはないだろうな‥‥恐らくキューブは狙撃が効かない込み入った場所、此方に時間がないことを見越して高所にある筈だ」
曰く、陸戦でのキューブの対応は二つに分ける事が出来る。遠距離狙撃か、零距離破壊か。密集したキューブには前者、広くばらけたキューブには後者が有効だ。
薄いジャミング相手に無駄な距離を取っても自ら難易度を上げるだけ、ジャミングが濃すぎると零距離でも外す可能性はあると説明する士官に、心当たりはあるのか、ユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)が納得する頷きを返した。
話が途切れたと思えば、斥候たちが気を引き締める沈黙を作る。
「‥‥進むぞ」
踏み入った先は、倒壊が特別酷い町の一角だった。
建物は原型をとどめず、瓦礫の山と化している。KVでは動きづらい足場をクラウディアが軽々と飛び越え、息を呑む沈黙と共に、安堵の吐息が複数人分響いた。
まさか、という問いが生まれると同時に、「生存者だ」とクラウディアの報告が無線を通じて響く。
スピーカーを開き、避難者は全員いるのかと羽矢子が質問を投げれば、さして良くない顔色で相手が首を横に振った。身を隠すのに丁度良かったためか、瓦礫の付近にはそれなりの人数がいたが、部隊全員が揃っている訳でもないらしい。
爆発の混乱によって車両が使えなくなったのか、兵士達はいずれも歩兵装備。逃亡してくるさなかにも攻撃を受けたのだろう、負傷者は兵士を中心に数多くいて、明らかに非戦闘員だと見られる一般市民も混ざっていた。
救出対象はこれだけではない、これだけではないが――状況を判断する傭兵達は、共通して避けがたい結論を抱えていた。
これ以上の進軍は不可能だ、せめて後方と一度接触し、負傷者を預ける必要があった。
部隊人数で言えば、事前に把握していた八分の一くらいか、一般市民まで考慮すれば判らなくなるが、それを考えると辛くなる事は誰もが無意識に理解していた。
彼らを連れて探索を続ける事はリスクが高い、リッジウェイは10人しか匿う事が出来ず、それは現時点で既に大幅オーバーしている。
シュテルンの垂直離着陸能力を使い、礼二は低空飛行にて周囲の状況を見渡して。
「‥‥凄く囲まれてますね」
口調こそ笑みのままだが、言葉には焦りが感じられる。「伏兵の事は解るか?」と京夜が兵士たちに対して早口で問えば、海と空から大軍が来たのだと、やや要領を得ない言葉が返った。
「海と空‥‥やはり輸送軍か? 後続との合流は出来そうか?」
「難しいかと、ちょうど分断される形になりそうです」
傭兵たちが話し合っている側、士官たちは離脱の準備を整えている。サイエンティストであるリエルは言うまでもなく、探察の目を使うついでにユーリの蘇生術もフル稼働させ、治療にかける時間を少しでも短縮しようと工夫していた。「‥‥大丈夫、何かされている奴はいないと思う」
士官達と頷きを交わし、ユーリは自分の機体へと戻る。完治までやった訳ではない、動かしてもいい程度に、だ。
リッジウェイで全員を匿う事が不可能である以上、負傷者といえど、体力の残っている兵士にも無理をさせる他、出来る限り生き延びる道はなかった。
「信号弾を上げろ、撤退指令だ! 後続を合流させず、先に離脱させろ‥‥!」
腕に抱える事が出来た人数は極僅か。信号弾が目撃される事を期待して、残りの面々には自力で離脱して貰うしかない。
犠牲なく完全に、という事はまず出来ないのだろう。わき上がる前に私情を押し殺し、京夜は真っ白にした意識で部隊の先陣を進んでいた。
「ワームは‥‥俺たちの方に向かっているのか?」
「はい、ほぼ間違いなく」
京夜の問いに礼二が頷く。そうか、と京夜は短く返事を行い、状況の想定を確定し直した。
敵が自分たちを目標にしているのなら、拾えなかった兵士達の生存率はそれなりに上がるだろう。拾ってしまった兵士達の安危が逆に気に掛かるが、それは自分たちが力を尽くすところだ。
包囲が完成しかけている以上、今から別口で逃すのも余り得策とは言えない。
不安はさほどなかった。フォル=アヴィン(
ga6258)は自らのポジションを忠実に守り続けているし、後方に位置する礼二とユーリもそれなりに冷静だ。
ある程度移動しては、羽矢子が地殻変化計測器をこまめに設置し直す。表示された数値を見て顔色を変え、
「‥‥来るよ! 中央、避けて!」
攻撃は前方ではなく、まさに隊列ど真ん中で発生した。
羽矢子の警告が素早かったため、誰もが逃げ出した部隊中央に爆砕とアースクエイクの頭が生える。
凌げたという安堵。それに甘んじる事なく、如月・由梨(
ga1805)が構えた長刀でアースクエイクに斬りかかった。
刃が食い込み、地中に戻ろうとしたアースクエイクを縫い止める。
身を翻して攻撃を叩き込もうとした傭兵達に対し、今度は横と後方、それぞれ大地を踏む足音と、銃の閃光が連続した。
盾を掲げたフォルがとっさに飛び出す、道を遮る位置に立ったため、攻撃が全て彼へと集中するが、構わない。
盾に掛かる圧力はやや重い雨滴といったところで、幾つかの受けに失敗しつつも。
「‥‥凌ぎ切りました!」
ガードは万全な態勢で行ったため、損傷はない。これが不意打ちだったらそうもいかなかっただろう。
縦長に組んだ隊列は中央が脆くなりやすい、故に横撃はかなりの確率で来るだろうと想定していた。
予想は的確かつ有用で、理想的な形でフォルに防御行動を取らせる。ユーリと礼二も殿である以上は覚悟していたため、盾などを使いつつ軽傷だ。
見上げた空には、大型ワームが離れた低空にて空中静止していた。はき出す黒い影は人型にも、ワームにも見えて。
「輸送用大型ワーム‥‥慣性制御を併用した着陸能力で、瓦礫に手間取る事なく高速輸送を果たしたのか!」
仮想視界の中で、ふ、とユズは正解を示す笑みを浮かべた。UPC軍は、今頃海上のどこかでリリスと交戦中だろう。『爆撃だけでも避けさせる』という名目の元に、だ。
「‥‥突破するぞ、時間をかけるとまずい!」
京夜の判断は即座だった。向こうが兵をどれだけ用意しているかは判らないが、間違いなく自分たちにとっては分の悪い戦い。
判断を察したフォルが、敵に背を向ける事なく数歩後退し。
「すみません、赤崎さん。俺と隊列交代してくれませんか? 前線突破しに行こうと思うのですが、横も下もちょっと心配なんで」
「? 解った」
銃口が向くのに臆する事なく、斥候の三人は目の前のワームへと急速接近する。
京夜は建物を遮蔽物に使い、フォルは盾で機体の大部分をガードして、銃弾を弾き、接敵すると共に一撃を叩き込む。
空振ったハンマーボールが地面に食い込むが、限定された回避軌道上に京夜が銃火をぶち込んだ。
極限まで軽量化した機体は扱いやすく、行動が早い。迅速と言える攻勢で敵ワームを掃討し、後方を覗えば本隊は攻撃に疲弊しつつも此方へと向かっている。
横からも後方からも砲火が濃い、援護しに行くべきかと思考が走りかけるが、フォルが京夜を制止した。
「駄目ですよ。俺たちの所が一番肝心ですし、敵なんてこれから来るんですから、此処を離れる訳にはいきません」
「‥‥そうだな」
逃がした先に伏兵がいたら事だ、自分たちはそっちに気を払うべきだろう。
アースクエイクを主に相手しつつ、由梨は意識の隅で負傷しながらも参戦した終夜・無月(
ga3084)の事を気にかけていた。
無理をするつもりはないのか、積極的な攻撃ではなく、あくまで援護に徹している。
‥‥それでも、気がかりではあって。
気に掛かるが、決して振り向かない。これは自分が進むと決めた道、後戻りはしないし、引き留められるつもりもないのだ。
誰かが傷つく事を思えば、戦場を望む自分への軋みは未だ残っている。
自分の名を呼ぶ声が聞こえる。思考が遠いのは覚醒のせい? それとも、既ににじみかけてしまっているのか。
「‥‥ちょっと、きついかも」
ショルダーキャノンで敵を牽制しつつ、美琴がよろけるように数歩後退した。
護衛しながらの戦闘が長引いてしまうのは仕方がない。戦闘の工夫がかなり甘かったかなぁと思ったりもして、痛む体を奮い立たせ、思考の隅では少しの反省が浮き上がっていた。
「一気に突っ切った方がいいでしょうかね?」
「出来るなら、その方が助かる」
礼二の問いに、やはり負傷の嵩む威龍が答えた。解りました、と礼二が頷き。
「合図を出すので、方向を確認して一気に走ってください。大丈夫です、すぐ追いつきますから――」
バックミラーを確認し、京夜とフォルがちゃんと道を確保してくれているのを確認しながら、礼二はスモーク・ディスチャージャーのスイッチをオンにした。
使いこなすには突破組の仕事が不可欠だ、それは問題なく果たされていて。
「それではごきげんよう」
10秒ののち、自らもブーストのスイッチをオンにし、煙幕が切れる寸前、礼二は戦場から素早く離脱していった。
「‥‥やれやれ」
傭兵達が遁走した後、ユズは視界を全体マップに切り替え、各個状況を検めていた。
めぼしい戦闘地域は既にない、戦況は終息へと向かっており、これ以上深入りしても戦果を得られる事はないだろう。
「これ位でいいでしょう」
ユズの合図と共に、ワームの群は一斉に空へと舞い上がり、同時、ブリンディシの各所で小規模な爆発が生じた。
各々が周囲に気を取られる間、各ワームは高所へと離脱し、秩序よくどこかへと去っていく。
爆発の震動を最後に、荒廃したブリンディシは静寂を取り戻した。終焉は不気味な沈黙の中、訪れていた‥‥。