タイトル:女王を叩け!マスター:六道響

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 7 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/08/05 17:48

●オープニング本文


●ある能力者たちによる洞穴調査
「皆、ちゃんと付いて来ているか?」
 暗い闇の中、数人の傭兵たちが灯りを手に迷路を奥へと進んでいた。
「大丈夫です。‥‥しかし、これは予想以上の迷路ですね」
 周囲を照らせば、無機質な岩肌の至る所に分かれ道が見える。少しでも方向感覚を失えば、来た道すら見失ってしまうほどの迷路がそこには広がっていた。
 ──昆虫のような巨大生物の群れが付近に巣食っている。そんな情報を元に依頼を受けた一行は調査のため、郊外の山中に存在する洞穴へとやって来ていた。
「天然の洞窟かな? それにしては妙に入り組んでいるけど‥‥」
「もしかしたら、その巨大生物ってのが作ったものなのかもしれないな」
 細く無数に伸びる通路は、自然に形成されたと言うには不自然だった。しかし、ともすればここはまさに敵の縄張りの中心という事になる。
「‥‥相手の正体が分かりませんが、多方向から一度に襲われたら厄介ですね」
 声を潜めてそう呟いた時だった。
「っ!」
 ライトの光に照らされて、何かが煌く。
 巨大な複眼。それも、一組や二組ではない。ハッとしてすぐに周囲を確認すると、いつの間に出現したのか数え切れないほどの『顔』が、狭い通路で折り重なるようにこちらへ身を乗り出しているのが見えた。
 灯りの中に映る無数の姿は──蟻だった。しかし、特徴的なのは人よりも一回りほど大きいその巨体。暗闇の中に浮かぶ表情のない硬質な顔の形状と相俟って、否でも応でも恐怖と嫌悪を植え付けさせる。
「しまった、囲まれたか‥‥!」
 危機を察知してすぐに身構える。が、それと同時に蟻の大群が傭兵たちへと一気に押し寄せた。
「ちぃっ!」
 咄嗟に武器を振るうと、想像以上に軽い手応えだけを残して蟻の顔がぐしゃりと潰れて弾き飛ぶ。
「よし、こいつら数だけで大した事なさそうだぞ」
「気を抜くな! 次が来るぞ!」
 そう叫んだ時には、もう遅かった。最前列の敵を仕留めた事に気を緩ませた一人が、その死骸を乗り越えて眼前へと迫って来た他の蟻たちにあっさりと捕まってしまう。
「しまった‥‥ッ!」
 鋭い顎が、その身体へと襲い掛かる。
「させるか!」
 寸での所で先手を取って敵の動きに対応していた仲間が飛び込み、敵を切り裂いた。
 すぐさま、蟻の群れに正対したまま距離を取る。
「ここは、一旦退きましょう!」
「‥‥仕方ないな」
 狭く入り組んだ通路の中である上、暗闇で視界も限られている。この条件下で、数に任せた四方八方からの波状攻撃を受けるのは分が悪い。
 そう判断した一行は、我先にと追随してくる昆虫の群れに背を向けて出口へと向かって走り出した。

●蟻を討伐せよ
「蟻か‥‥。また面倒な敵が出てきたものだ」
「群れとは言え繁殖は出来ない筈ですから、そこまで膨大な数がいるとも思えませんが‥‥実態が分からない以上、正面突破するのはあまり得策とは言えませんね」
 洞穴から生還した傭兵の報告を受けて、UPCでは士官たちが依頼の練り直しを図っていた。
「ふむ。しかし、そうなるとどうやって駆逐したものか」
 狭く限られた広さしかない洞穴の通路では連携も取り辛い。逆に、相手は圧倒的な物量で常に数的優位を取れる状態にある。個々は大した脅威でないとしても、そんな状況では大きなアドバンテージを背負いかねない。
「各個対応出来る状況が作れれば、殲滅も可能なのだが‥‥」
 地形的な問題の解決か敵の集団行動を阻害する方法のいずれかが捻り出せれば、解決の糸口も見えてくる。
「‥‥そう言えば、群棲している生物って、大半の場合全体を統率する個体がいますよね」
「──なるほど、女王蟻か。攻め手としては有効かもしれないな」
 一箇所に集まって巣食っている以上、上下関係が形成されていると考えてもおかしくはない。
 勿論、その後の始末の事も考慮しなければならないが、群れの最上位に位置する一匹を叩けば残りの敵を散らす事は出来る可能性は高い。
「上手く行けば、連中を外に誘き出して戦う事が出来ますね」
「よし、外で殲滅に当たる部隊は別途召集を掛けるから、洞穴内部に潜入する能力者たちを募ってくれ。今度は目標を絞って段階的に攻略を試みるぞ」

●参加者一覧

セシリア・D・篠畑(ga0475
20歳・♀・ER
須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
ガーネット=クロウ(gb1717
19歳・♀・GP
春夏秋冬 立花(gc3009
16歳・♀・ER
ヘイル(gc4085
24歳・♂・HD
立花 零次(gc6227
20歳・♂・AA

●リプレイ本文

●岩肌に囲まれた細道の中で
「この辺りまでだな」
 漸 王零(ga2930)が、手にした地図と周囲の形状を見比べる。
 依頼を受けた七人は、前回探索に入った傭兵たちが敵の大群に遭遇した地点まで来ていた。
「途中までとは言え、地図があったのは幸運だったな」
「それほど苦労する事もなく進めましたしね」
 ここまで似通った地形が続く洞穴内で迷わないように慎重に歩を進めてきたが、まとまった敵との遭遇もなく中程までは比較的スムースに到達出来た。まずは最初の目標地点まで辿り着けた事に、須佐 武流(ga1461)とガーネット=クロウ(gb1717)が一つ息を吐いた。
「‥‥しかし、計ったようにここで分かれ道とはね。さて、どちらに行ったものか」
「正に蟻の巣、といったところですね‥‥」
 一方で、ヘイル(gc4085)と立花 零次(gc6227)が正面の道を見て別の息を吐く。
 彼らの進む先に広がるのは三叉路。どちらの道も似たような構造と広さをしており、見た目で正解を判断するのは難しい状態だった。
「まだ、敵も本格的に姿を現していない。ここは、引き続き慎重に進みたいところだが‥‥」
「私、少し先の様子を見て来ます」
 王零の言葉を受けて、春夏秋冬 立花(gc3009)が暗視ゴーグルの位置を直しながら前に出る。彼女は壁際に身体を寄せると、足を忍ばせて分かれ道の一方へと進んでいった。
「──よし。それじゃ、俺たちはここで周囲の警戒に当たるか」
 地面にペイント弾を撃ち込んでから、ヘイルが後方を振り返りつつ銃に新しい弾丸を充填する。
 既に幾らかは奥まで到達している。ここまでに回避してきた道すがらにどれだけの敵が潜んでいたかも分からない故、後ろからの急襲を受けるかもしれなかった。
「こんな地形がどこまでも続くとなると、やはり敵との遭遇は避けたいですね」
 立花が進んだのとは別の道の方へと警戒を向けながら零次が言う。
「‥‥後ろ、来ます」
 と、他のメンバーの会話の間を縫うようにして、セシリア・D・篠畑(ga0475)がぽつりと呟く。
 彼女の声に俄かに全員が声を潜めると、確かに節が擦れるような乾いた音が反響しながら微かに、けれども確実に近付いて来ているのが来た道の方から聞こえてきた。
「‥‥どうやら、そんな甘く済ませてはくれないみたいですね」
 皮肉めいた口調で言って、ガーネットが武器に手を掛ける。
「どうする? ここで受けるか?」
 その場で戦闘に入る体勢に入ろうとした時、前方から立花が引き返してきた。
「こちらは敵が待ち伏せています。数が多いみたいなので、別の道を通った方が良さそうです」
「立ち止まっていると挟まれるかもしれないな‥‥。仕方ない、ここは迂回して後ろの連中だけ何とかするぞ」
 カーブの向こう、暗闇の中から敵の巨大な触覚が映ったを見て、一行はもう一方の通路へと駆け出す。
 その気配を感じ取り、後ろから迫る群れも前進する速度を速める。
「ちっ! やっぱり、撒けはしないか」
「余り進みすぎると新手にぶつかるかもしれないな。早めに叩いておくか」
「よし──ならば、出足を挫く‥‥ッ!」
 少し走ったところで、武流が方向転換すると手を振りかざした。発生した電磁波が前列の敵を巻き込んでその足を止めると、敵の一団は狭い通路で団子状態に絡まってしまう。
「──っ!」
 それを見て、さらにセシリアが手にした銃を素早く後方へと向ける。放たれたエネルギー弾は蟻の先頭の一体に着弾し、倒れた躯体に追っ手の数匹が巻き込まれて倒れた。
「好機ッ!」
 敵がごたついたのを見て王零と武流が追撃を狙って距離を詰めると、身動きを封じられた蟻たちは碌な抵抗も出来ないまま次々とバラバラにされていく。 
「追撃は──ッ?」
 二人がすぐに蟻の死骸の向こうへと視線を向ける。が、それ以上の敵が襲ってくる様子はない。
「‥‥大丈夫みたいですね」
「帰りに邪魔にならないよう、これは端に寄せておきましょう」
 敵の気配が付近から無くなったのを確かめると、ガーネットが散らばった蟻の残骸を通路の脇へと退けた。
「目印があれば迷う事も無いだろう。よし、先に進もう」
 その後にヘイルがペイント弾で洞内に印を付けるのを確認して、一行はさらに奥へと向かった。

●対女王蟻
 洞穴の奥。それまでの細く入り組んだ道とは違い、広まった部屋のような場所の手前まで七人はやって来ていた。
「‥‥敵は五匹のようです。一匹だけ他より体格の違うのがいましたから、多分あれが女王格ではないかと」
「どうやら当たりみたいだな」
「では、行きましょう」
 先行して様子を探ってきた立花からの連絡を受けて、待機していた六人がその場を動き出す。
「大物は任せる。後ろは任せておけ、一匹たりとも抜かせはしない」
 最後方のヘイルが銃を顔の前に構える。
「周囲の敵は俺たちで抑えます。初撃で出来るだけのダメージを狙ってください」
「‥‥目標は女王だけです」
「ああ。必要以上に取り巻きを相手をすると、却って厄介だろうからな。集中攻撃で一気に決着を付けよう」
 広いと言っても所詮は穴の中だ。七人で大立ち回りが出来るほどのスペースは無い。
 また、敵の増援が来ないとも言い切れない以上、目的の達成だけに集中する方が得策だ。
「──行くぞッ!」
 部屋に突入すると、武流を先頭にした王零とガーネットの三人がターゲットに向かって一直線に駆け出した。
 三人の存在に気付いた敵はすぐに威嚇するような姿勢を取り、臨戦態勢へと移る。
「今です!」
「‥‥っ!」
 前線へ出た三人に気を取られたのを見て、零次とセシリアが同時にエネルギー弾を撃ち出した。
 黒い弾丸は女王への進路を塞ごうと前に出た取り巻きを吹き飛ばし、武流たちの前の道を再び開く。
 そのまま飛び込んだ三人は女王蟻へと攻撃を繰り出した。
「どうだ‥‥ッ?」
 時間差の奇襲で一瞬は怯みを見せた女王蟻だったが、脚甲で蹴り飛ばされ、爪と刀で切り付けられても強引に前進を仕掛けて来た。
「ちっ‥‥!」
 地面ごと抉るような顎の一撃を、それぞれが別々の方向へと咄嗟に動いて回避する。
「はっ! 流石女王といったところだな。簡単にはいかんか‥‥なら残酷に倒すまでさ」
 体勢を立て直して刀を構え直す王零に対し、女王蟻はそのまま身体を流すようにして次の攻撃を仕掛けてくる。が、不意に脇からの攻撃を受けると、バランスを崩してその躯体は軌道を逸らす。
「行きます!」
 激しい攻防が成される中で影を潜ませていた立花が、女王蟻の側面から頭部に斬りかかっていた。
 横撃を喰らい、身体を反転させる形になった女王蟻の無防備な胴体へと王零がすかさず潜り込む。
「──ふっ!」
 切先が蟻の身体を斜めに走り、中足の一本を切り飛ばした。
「有効打は与えられているな。このまま押し切れるか?」
「周り、気を付けてください!」
「ッ!」
 零次の声に反応して、周囲に注意の対象を切り替える。
 初撃で吹き飛んだ蟻たちが、押し込まれた女王を庇うようにして武流たちへと襲い掛かろうとしていた。
「‥‥邪魔をするなッ!」
 一歩先に反応した武流が飛び上がって後ろ回し蹴りを叩き込み、一体を撃破する。しかし、他の敵は意にも介さず巨大な顎を彼へ向けて突き出して来た。
「くっ‥‥!」
 直撃を避けながらも、刃物の様に硬質な顎に脚を掠られてしまう。
 わずかに痛みが走るが、行動に支障が出るほどではなかった。武流はすぐに顔を上げると、大降りの攻撃で隙を見せた敵に仕返しの一撃を叩き込んだ。
「一度、退いて敵を引き付けましょう!」
 敵との距離が俄かに開いたのを見てガーネットが叫ぶ。
 がむしゃらに攻勢に出ようとしてくる取り巻きを、四人で往なすのはややリスクがある。女王蟻が手負いとなった今、無闇に攻めようとしてわざわざ囲まれる事もなかった。
 合点した四人は、踵を返して引き返し始める。
「セシリア! 零次! 援護を頼む!」
「お任せを!」
「‥‥了解です」
 状況を察した二人は、息を合わせた射撃で彼らに迫ろうとする蟻たちにエネルギー弾を撃ち放っていく。
 最前列の二体はバラバラに吹き飛ばされ、その破片で進路妨害を受けた後方の蟻たちの足も鈍る。
 脚部を負傷した女王に至っては明らかに行動速度が低下しており、二体の取り巻きからやや距離のある位置から足を引き摺って追いかけて来ていた。
「‥‥私が目眩ましを入れます。‥‥次で決められますか?」
「──任されよう」
「ここで決めるしかないでしょう」
 合流した四人に、銃口を敵に向けたままのセシリアが短く問うと、王零と立花が即答を返しつつもう一度前方へと向き直る。
「武流さんはこちらへ! 怪我の治療を行います! その後は、すぐに撤退できるよう体勢を整えましょう」
「退路はクリアだ。アレを潰し次第、一気に駆け抜けるぜ」
 軽傷とは言え傷を負った武流を出口付近に誘導する。ヘイルは既に撤退時の体勢に入っていた。
 この状況では洞穴内に残っている敵がどのように動いてくるか分からない。女王格が叩かれたとあっては、既に巣穴全体のキメラが興奮して凶暴化しているかもしれないのだ。
 ここからは、とにかくスピードが肝心だった。
「‥‥行きます」
 そう言って、セシリアが銃の引鉄を引く。
 一箇所に集まった能力者たちへと駆け寄る蟻たちもまた、一箇所に集まるような形になっており、立て続けに射出された黒弾は先行する二体の前脚をまとめて破壊した。
 支えを欠いた二体の蟻は、呆気なく進路の中央へ寄り添うような形で地面に崩れ落ちる。
「‥‥もう一発」
 続け様に、今度は並んだ二体の頭に目掛けて攻撃する。
 ぐしゃ、と潰れる音を残して頭部を損傷した蟻は、今度は中央に道を空けるようにして左右に巨体を仰け反らせた。
「ここだ! 攻め立てるッ!」
 王零の合図で、彼と立花が二人で女王蟻へと突進する。
 対して、女王蟻は自身のパフォーマンス低下を良く把握したのか自分から前へは出ようとせず、その場で迎え撃つ姿勢を見せる。
「──こっちですよ‥‥っ!」
 攻撃のリーチ圏内に入る直前で王零の脇を抜けて立花が一番にその足元まで到達すると、小さい動きで前足をなぎ払う。
 予想していた攻撃の順番にフェイクを掛けられた女王は一歩退いて踏ん張ろうとする。だがしかし、その動きは正面に大きな攻撃チャンスを与えてしまうだけだった。
「──最期まで抗う姿勢も、また女王の尊厳と言ったところか? ‥‥だが、少し往生際が悪いな」
 がら空きになった頭部に、王零が渾身の一撃を叩き込む。
 薄暗い洞穴の中、煌いた剣閃は女王蟻の頭部を下から豪快に貫いた。
 中枢器官を破壊された女王蟻はしばらく地面の上をのた打ち回っていたが、やがてその動きも完全に停止した。
「‥‥撃破完了ですね」
「よし、こっちも脱出準備できてるぞ! 最早此処に留まる理由も無い。目指すは地上だ、一気に切り抜けよう」
 残った二体の蟻が不意に混乱したかのような動きをし始めたのを見て、一行は素早く部屋を飛び出した。

●撤退
 ヘイルによるペイントと事前のガーネットによる障害物撤去が効果を発揮し、道に迷う事は無く一直線に出口へと向かっていた。
 しかし、走っていても聞こえてくるのは、あの昆虫特有の節の音。
 統率者を失った蟻の大群は洞穴中で半ばパニック状態と陥ったらしく、あちらこちらで穏やかではない音と様子を発していた。
「全力で前を抜くぞ! 止まれば囲まれる!」
 破れかぶれ気味になった蟻たちが背後からも迫ろうとしているのを感じて、武流が叫ぶ。
 狭い道。入れ代わり立ち代りで先陣を切り替えながら、行く手に現れる敵を薙ぎ倒しつつ、足を止める事なく出口を目指す。
 後ろから追いかけてくる敵は次第にその数を増してきていたが、統率を失った影響からか前方や分岐点では疎らな出現だったため、何とか追い付かれずに撤退する事が出来てきた。
「後ろはどうです? やはり振り切れはしませんか?」
 ガーネットが、音だけで状況をハッキリ把握できない後方の様子を気にする。
「無理みたいですね‥‥。あの様子では諦めるという選択肢は選んでくれなさそうです」
「外に出たら、追っ手が来てる事を伝えよう。必要であれば、その分の対応はしなければならないだろうからな」
 視線の先に出口の光が見えてきたのを捉えて、七人は走る速度を速めた。

●任務を終えて
 任務後、討伐隊への加勢も終えたヘイルが一向に合流すると、一同はやっとの事で張っていた気を緩ませた。
「ストレッチとか、したい気分です。どなたかご一緒、されますか?」
「あー、同感ですねー。‥‥何だか妙に疲れちゃいました」
 ガーネットの言葉に誘われて、立花が大きく腕を伸ばす。
 狭い洞穴内を歩き回り、巨大な昆虫を相手に立ち回り、与えられた任務の完了後も討伐隊が殲滅作戦を完遂し切るまで様子を見守っていたため、緊張感から来るその疲労感はかなり大きかったようだ。
「それにしても、面倒な敵だったな‥‥」
「‥‥群棲するキメラですか。造っているのが知能を持つバグアである以上、厄介なケースはまだ他にもあるのかもしれませんね」
 戦闘を終えた討伐隊が洞穴から蟻の死骸を運び出す様子を、零次は何とも言えない表情で見つめていた。