タイトル:【Gr】AA亀マスター:瀬良はひふ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/12/03 04:14

●オープニング本文


「何だ、ありゃぁ‥‥」
 グラナダ攻略のため、北米からユニヴァースナイト弐番艦が派遣された。
 人類側有数の超戦力を確実に前線に送り込むため、その進路には念入りな偵察が必要とされている。
 その偵察隊の一員であるパイロットは、目の前に広がる光景を見て思わず絶句したのだ。
 ロッテを組んでいた僚機が、その言葉を引き継ぐように呟く。
「タートルワーム、か」
 最大望遠で確認できたその姿は、五大湖の攻防、デリー防衛戦などで移動砲陣地として猛威を振るっていたタートルワーム。
 数えるのも嫌になる程の数だ。
「まずいぞ、ユニヴァースナイトのでかい体は、奴らの対空砲撃の良い的だ」
「すぐに通信を‥‥っ!? ジャミングだと!」
 レーダーがホワイトアウトし、激しい頭痛が二人を襲う。
 何処からとも無く現れたキューブワームが、高空を旋回する岩龍とバイパーを取り囲んでいた。
 直後、地上に展開する夥しいタートルワームが背負う砲塔が輝く。
 血が滲む程に奥歯を噛み締めて、二人はギリギリのところでプロトン砲を避けた。膨大な熱量に、装甲がひしゃげる嫌な音がコクピットに響く。
 損傷を省みずにブーストを発動させ、何とか二機はキューブワームの包囲を脱出することに成功した。
「生きてるか?」
「ああ、何でか生きてる」
 ジャミングの影響はまだ残っているが、レーダーと通信の最低限の機能は回復した様だ。
 周囲の安全を確保してから、二人は本部へと報告を入れた。
 ‥‥彼ら以外の偵察隊が全滅した、という連絡を受けたのは、その時だった。

 ブリーフィングルームに、一人の士官が入ってきた。
 彼は手短に挨拶すると早速本題へと入る。
「二時間前、バイパーと岩龍を中心とした偵察隊が敵対空戦力と遭遇。二機を残して全機が撃墜された」
 部屋が暗くなり、士官の後ろのスクリーンに映像が投影される。
 そこに映ったのは、画面全体にひしめく様な亀、亀、亀。
「辛くも生還した二機のうち一機が岩龍だったのは不幸中の幸いといって良い。当該機が撮影した写真を解析した結果、敵はタートルワームを集めて移動式の対空陣地としているらしい、と判明した」
 映像が変わり、マドリードからグラナダまでの範囲の地図が表示された。
 青い光点がユニヴァースナイト弐番艦、そこから伸びる青い矢印がその進路。
 赤い光点がタートルワームからなる移動式対空陣地、そこから伸びる赤い矢印がその進路となっている様だ。
「映像の通り、このまま行くとこの対空陣地に弐番艦が鉢合わせることとなる。敵の小型ギガワームを相手にする弐番艦は、対空陣地まで手が回らない。進路の変更も同様の理由で不可能だ」
 また別の映像が映し出される。
 画面を埋め尽くさんばかりの対空砲火とキューブワームの姿が、そこにはあった。
「この濃密な対空砲火では、航空攻撃では爆撃する暇も無い。キューブワームの存在も、それに拍車をかけている。何より」
 そこで、士官は一旦口を閉じる。
「弐番艦の大きさは壱番艦の四分の一程度とはいえ、巨大な船体には代わりない。この砲撃の良い的となってしまう」
 如何に強力なユニヴァースナイトといえど、これだけの攻撃が集中されて無傷でいられるはずが無い。
 それは、小型ギガワームという敵の大戦力と戦わねばならない弐番艦にとって、致命的なものとなりかねなかった。
「故に、君たちには地上からこの対空陣地に突入し、亀どもを駆逐してもらいたい」
 映像が消え、部屋が明るくなる。
「全滅させる必要は無い。まず、別働隊が君たちと同時に上空のキューブワームへと攻撃を仕掛ける。陸・空の同時攻撃によって、敵は多少なりとも混乱するはずだ。亀を十匹も撃破すれば、恐らく後退を始めるだろう。そこに、後続の爆撃隊がフレア弾をお見舞いする」
 士官はそこまで言ってから、室内に集まっていた能力者たちを見回す。
 そして、少しだけ目を閉じてからおもむろに敬礼した。
「グラナダ攻略のため、君たちの力を貸して欲しい」

●参加者一覧

藤田あやこ(ga0204
21歳・♀・ST
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
比企岩十郎(ga4886
30歳・♂・BM
リゼット・ランドルフ(ga5171
19歳・♀・FT
サルファ(ga9419
22歳・♂・DF
最上 憐 (gb0002
10歳・♀・PN
米本 剛(gb0843
29歳・♂・GD
鬼非鬼 つー(gb0847
24歳・♂・PN

●リプレイ本文

●亀は地にいまし
 空の彼方に、小さく光る芥子粒が見えてくる。
 レーダーは徐々に使い物にならなくなってきていた。
 キューブワームだ。
 目を眼下に転じれば、地平線の上に不気味に蠢く一帯が見えてきた。
 多数のタートルワームからなる、移動式対空陣地。
『アルファ、ブラボーの両チームはこれよりCW掃討に入る。君らの降下は邪魔させん』
「了解した。よし、降下開始だ」
 比企岩十郎(ga4886)の合図と共に、計八機のKVが地上へ降下していく。
 サルファ(ga9419)の雷電、最上 憐 (gb0002)のナイチンゲールが先陣を切り、八の字を書く様な陣形で次々と八人は変形して着地していく。
「ぐっ」
 その最後尾。
 威龍(ga3859)のウーフーが着陸と同時にややよろめいた。
「大丈夫ですかぁ?」
 そのやや前方に降り立っていたヨネモトタケシ(gb0843)が、気遣わしげに声を掛ける。
「‥‥ああ、問題ない」
 傷を庇いながら、それでも威龍は常と変わらぬ声でそう言った。
 八機のKVは装輪走行へと移り、地を駆けて行く。
 程無くして、再びタートルワーム、亀の群れが近付いてきた。
『アルファ1、エンゲージ!』
 ノイズ混じりの通信が入り、上空で爆発の花が咲いた。
 速度の関係で、航空部隊がいち早く戦闘に入ったのだ。
 それを狙って、亀が背負ったプロトン砲に仰角をつけ始める。
「させんよ。ディスたん、いくぞ」
 鬼非鬼 つー(gb0847)のディスタンがBCアクスを水平に構え、ブースト突撃の体勢に入る。
 ほぼ同時に、陣の前方からサルファ、憐、リゼット・ランドルフ(ga5171)、つー、藤田あやこ(ga0204)、岩十郎もブーストを発動させた。
「吶喊!」
 それは誰の声だったか。
 六機のKVはさながら引き絞られた矢の様に、まっしぐらに亀の群れへと突っ込んでいく。
 慌てたのは亀だ。
 航空部隊を迎撃するべきか、目前に迫る地上部隊を迎撃するべきかで判断が遅れる。
 そして、判断を下すまで待つ程に能力者たちはお人好しではなかった。

 突撃する能力者たちの脇を、威龍のウーフーが放った強化型ホールディングミサイルが追い越していく。
 最前面に展開していた亀の一体が、その餌食となった。
 だが、物理ディフェンスに定評のある亀だけあり、さほどダメージを受けたようには見えない。
 もっとも、ダメージなどでは計れない効果というものは刻まれていた。
 即ち、地上からの攻撃に亀の群れは更なる混乱をきたしたのである。
 そうなったのと、ブースト突撃したKVが亀と接触したのとはほぼ同時だった。
「抉らせてもらうぞ、亀野郎!」
 白銀の雷電が、中央に陣取る亀にその手の機槍「ロンゴミニアト」を突き刺す。
 轟音と閃光が都合三度。甲羅を吹き飛ばされた亀は、空虚な骸を晒していた。
 亀は物理に強いとはいえ、強引なまでの攻撃力には為す術が無い。
「‥‥ん。先手必勝。迅速に撃破。目指す」
 その脇では、ナイチンゲールが真ツインブレイドを振るい、目前の亀を刻んでいた。
「‥‥ん。前進。突撃。吶喊。どんどん。行く」
 少女とは思えない気迫でもって、彼女は混乱している亀の群れへとぐいぐい機体を押し込んでいく。
 二機の右後方では、つーと岩十郎が亀の右翼を相手にしていた。
「さあ、亀ども。すっぽん酒にしてやろう」
「弐番艦には多少関わったのでな。落とされても困る!」
 つーのディスタンがBCアクスを振るえば、岩十郎の岩龍改もそれに合わせて高分子レーザーを放つ。
 やはり非物理攻撃は通りが良く、一体の亀は早くも虫の息となっていた。
 混乱しているためか、未だ敵は反撃の動きさえ見せない。
「まったくもう、亀百匹撃破? どこのタイムアタックよ!」
 アンジェリカで亀へと急速に接近しながら、あやこは敵の数に不満を漏らす。
 といっても、やる気は十分の様だ。まぁ、実は百体も撃破する必要は無いのだが。
 知覚攻撃に特化された機体の名に恥じず、繊細なKVから照射される高分子レーザーは容易く亀の甲羅を貫く。
「これだけの亀は、ある意味壮観ですけどね」
 あやこの右手前方でワイバーンを駆るリゼットが、彼女の言葉に少しだけ笑う。
 レーザーを撃ち放ちつつ亀に突っ込むと、不気味なモーター音を立てて金曜日の悪夢が稼動する。
 機体ごと回転する様に振りぬかれたそれは、耳障りな音を立てて亀の甲羅を削り取っていた。
「グラナダへの道‥‥きっちり空けねばなりませんなぁ」
 亀の群れへと突っ込んだ六機の後方で、タケシのウーフーはアブスタナットシールドを地面に打ち立てると、それを支えにして6mにもなるスナイパーライフルG−03を構える。
 撃ち出された二発の弾丸は、狙い過たずあやこによって開けられた甲羅へと導かれた。
「おまけだ。取っておけ」
 もう一機のウーフーを駆る威龍が、駄目押しとばかりにスナイパーレーザーを放つ。
 内部を抉られ、外部を焼かれた亀は二度と動くことは無かった。

●五体の泥人形は
 戦況は優位に展開している。
 初撃で二体の亀を骸とし、もう二体は既に虫の息。更に一体にも深手を負わせている。
 単純に計算すれば、後一分もあれば十分以上の戦果を上げられるだろう。
 加えて、敵は混乱の度を更に深めている。
 最早亀は敵ではない。能力者たちは、直感的にそれを把握していた。
 とすれば、警戒すべきは群れの番人たるゴーレムだ。
(「どこにいる‥‥?」)
 BCアクスで亀を叩き割りながら、つーは銀色の瞳を周囲に走らせる。
 タートルワームとゴーレムは大きさこそ似通っているが、シルエットは別物だ。
 注意すれば見逃すものでもない、が、やはり亀の数が多い。
「比企さん、どうです?」
「いや見当たらん。‥‥しかし、亀亀亀だらけだな。鶴でも居れば目出度い物を」
 呆れた様に言い放ち、手近な亀の甲羅を機爪「プレスティシモ」で切り裂く岩十郎。
 そんな彼の言葉に、つーはくつくつと喉の奥で笑った。
「憐、見つかったか?」
「‥‥ん。見える範囲には。いない。パパも。見つからない?」
 ナイチンゲールがその特異な剣で亀を貫き、機体を雷電の方へと向ける。
 答える代わりに、サルファはヘビーガトリングで重厚な弾幕を張る。破壊の嵐が、甲羅に篭った亀の装甲を削り取った。
「ううむ、流石に多いですなぁ」
「若干、藤田機とランドルフ機の方向への圧力が強い様な‥‥」
 後方で情報伝達と支援射撃に徹する威龍、タケシもまた、ゴーレムの所在を把握しきれずにいた。
 これは距離の問題で仕方ない部分もあるのだが、威龍の感じた圧力の違いは事実であった。それは、すぐに分かることとなる。

 リゼットは、咄嗟にプロンプトシールドを掲げた。
 目の端に映った違和感が、本能的にワイバーンを動かしたのだ。
 衝撃が走る。亀右翼からの砲撃だった。
「プロトン砲じゃない? ‥‥ゴーレム!」
「メインディッシュのご登場ね! なら、いい加減に落ちなさい!」
 リゼットの報告に、あやこは目の前の亀に叫んだ。
 その体勢は、金曜日の悪夢でプロトン砲の台座を削り、レッグドリルでもって頭を削ると言う、見ようによっては忠誠を強要する女王様に見えなくも無いことは無い。
 そんな見た目のせいでは決して無く、ダメージの蓄積していた亀は力無く崩れ落ちて動かなくなった。
 落ちた亀には目もくれず、あやこは機体をゴーレムへと向ける。
「亀に隠れながら接近してるみたいです。目算で、三機まで確認しました」
 時折飛んでくる砲撃をかわしながら、リゼットは皆に伝える。
「あと二機は居るはず。どこだ‥‥?」
 その通信に、サルファは改めて周囲を警戒する。レーダーは最初に比べれば随分と綺麗になっていたが、まだ少々不安が残っていた。
「右翼、比企、鬼非鬼! 警戒しろ!」
 威龍が声を上げるのと、亀の群れからの砲撃がディスタンを襲ったのはほぼ同時だった。
 着弾音が響き、衝撃で巻き起こった土煙がつーの機体を一瞬覆い隠す。
「鬼非鬼!」
「‥‥そんな攻撃じゃ、私のディスたんは倒せないよ」
 風によって煙が吹き払われて現れたのは、アブスタナットシールドを掲げたディスタンの姿だった。
 アクセル・コーティングも併用したその防御力は、雷電にも引けを取らない。
 ともあれ、これで敵の狙いは明らかとなった。
「両翼を突破して、各個に包囲殲滅‥‥か」
 威龍の呟きは的を射ている。
 亀は混乱し、まともには動けない。それならば、分散したKVの両翼を狙うのが一番である。
 ゴーレムのAIは、そう判断したのだ。
「さても、舐められたもんだな」
 組し易しと判断された。それも人工知能に。その事実は、少なからず両翼の四人のプライドを刺激した。
 岩十郎はレーザーとプレスティシモで一体の亀にトドメを刺すと、その後方で大砲を構えるゴーレムと向き合った。
 恐らくは対空砲なのだろう。プチロフの戦車砲もかくやと思わせる様な大口径は、異様な存在感を持っていた。
 今まで気付かなかったのが不思議なくらいだ。
「まぁ、あんだけでかいの背負えば動きも鈍かろうねぇ」
 そんな大砲を前にしても、つーは不敵に笑ってみせる。事実、ゴーレムの動きは通常に比べて鈍い様に見えた。
「上等! 相手をしてあげようじゃないの!」
「仕方ありませんね」
 気焔を上げるあやこに、彼女とバディを組むリゼットは苦笑した。
 一方で、対ゴーレムを意識していたサルファと憐は、ゴーレムとの間にひしめく亀を忌々しげに見つめていた。
「‥‥ん。これは。亀を倒した方が。効率がいい。気がする」
「無人機だからって、少し舐めてたかな」
 自嘲気味に呟くサルファだが、振るわれた機槍はその本心を忠実に表していたのだろう。
 荒々しく亀に突き立てられた槍が、欠片も残さないとばかりに爆裂する。
 そして、また一体の亀が動かなくなった。

●大地は平らかに
 周囲の亀、そして後方のウーフー二機の様子を確認してから、あやこはアンジェリカを駆けさせた。
 安全が確保されているならば、無理に管制班を意識する必要も無い。
「わらわ燕の如き駿速にて華麗なる蒼穹の刺客、魅惑のレディ参上!」
 よく分からないがきっと凄いことを言っているに違いない。
 ともあれ、気合一閃。砲撃を掻い潜りつつ彼女のアンジェリカはゴーレムへと迫る。
 その脇にぴったりと寄り添うように、リゼットのワイバーンも居た。
「手早く済ませましょう。時間をかけては、管制班のお二人が危うくなるやもしれませんし」
「合点承知!」
 二機の持つ金曜日の悪夢が唸りを上げ、ついでにアンジェリカのレッグドリルもけたたましく回転し、腹に響くようなモーター音がグラナダの大地に響く。
 高初速の砲弾がワイバーンの頭の上を掠め、アンジェリカの装甲の表皮を削る。
 それでも止まらず、二機は遂にゴーレムの一機へと肉薄した。ここまで近寄れば、他のゴーレムも同士討ちを恐れておいそれと手が出せない。
 そして、肉薄されたゴーレムも構えた火砲が妨げとなって上手く迎撃に移れないでいた。
 振り上げられる二対の巨大なチェーンソー。迫るドリル。
 金属が削り取られる、鈍く嫌な音が巻き起こった。
「派手にやっているねぇ」
「戦い方の違いだろう」
 一方、岩十郎とつーは中距離での射撃戦を挑んでいた。
 スナイパーライフルD−03と高分子レーザー、20mmガトリングが確実にゴーレムの装甲を穿っていく。
 反撃の砲撃は、つーがその堅牢さを活かして受けていた。
 シールドのお陰で機体に傷は無いものの、衝撃は伝わってくる。ダメージは想定内だ。
 といっても、流石はゴーレム。頑丈だ。
 ちらりと左翼を確認すれば、あやことリゼットも決定打には欠く様だった。
 視線を戻すと、徐々にではあるが、亀の動きも統率が戻って来た様に見える。
「いかんな。無視するにはでかすぎる戦力だが、かといってこれ以上相手をしても亀の混乱が解けるぞ」
 岩十郎は顔をしかめる。
「航空隊はほぼCWを掃討し終えた様だ。もう少しで近接火力支援に入れる、と連絡があった」
「もう一踏ん張りですねぇ」
 威龍の通信に、タケシが狙撃で答える。
 その弾丸は、憐のナイチンゲールが切り刻まれていた亀に引導を渡した。
「‥‥まぁ、大丈夫じゃないかね? あの二人に、どうにも火が付いているようだし」
 つーが笑って、岩十郎に言う。
 ふと見れば、亀の群れの中心で鬼神の如く二機のKVが暴れまわっているところだった。
「本来はゴーレムに使う筈だったが‥‥折角だ! 雪村の威力、その身で味わえ!」
 試作剣雪村がその膨大なエネルギー量で亀を穿ち、追い討ちを掛けるようにレーザーが叩き込まれる。
 既に弱っていた亀にはたまったものではなく、動かなくなった。
 そして、また別の亀にリロードが完了した機槍が向けられる。最早、大勢は決していた。

 亀の群れが撤退を開始したのは、そのすぐ後だ。
 八人の能力者は、最終的に十二体の亀と一機のゴーレムを撃破していた。大戦果だ。
 欲を言えばもう少し上積みを望めたのだが、それは結果論に過ぎないだろう。
 CWも掃討された空はそのまま航空部隊によって制空権が維持され、程無くして爆撃隊が上空に現れた。
 亀の撤退に合わせる様に後退していた能力者たちは、その場面を直接目撃こそ出来なかったものの、巻き起こる爆炎と地面を揺らす衝撃とで、爆撃の成功を知った。
 そして無事に基地へと帰投した八人は、改めて弐番艦の脅威を排除できたことを伝えられたのだった。