タイトル:【DR】大西洋突破阻止マスター:瀬良はひふ

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/24 02:53

●オープニング本文


『ヘイ、何か見えるか?』
『俺のレーダーには何も映らないな。静かな空だ』
 バイパーと岩龍の二機が、グリーンランドの沖合いを哨戒している。
 北大西洋を挟んでカナダと繋がるここは、UPC北中央軍にとっても重要な海路だ。
 それ故に偵察の頻度も高く、バグア側も敢えて海側を通ってまで侵攻することを控えていた。
 何事も無いという最上の結果をもって二機が帰投しようとした時、岩龍のレーダーが異変を捉える。
『‥‥南方に反応アリ。デカイぞ』
『チッ、余計な仕事増やしやがって‥‥。基地へ伝えてから、目視で確認できるまで近付くぞ。その後は脇目も振らずに逃げ帰ってやる』
『了解、相棒』
 すかさず後方の基地へと情報が伝えられ、バイパーと岩龍が目標へと接近する。
 程無く二人の目に見えてきたのは、海面スレスレを飛ぶ巨大なビッグフィッシュの艦影だった。
『一機だけ? 故障か?』
『異変は見当たらないな。‥‥待て、ビッグフィッシュ内から熱源! 迎撃機だ、逃げるぞ!』
『ハ、雲霞みてーな亀から逃げ切った俺たちを捕まえられるか! 逃げ足だけは超一流だぜ!』
 二機のKVが互いに交差するように下降、反転してブーストを発動させ急加速。
 その間にも、二人は迎撃に現れた敵機の数と種類を可能な限り記憶する。
 影も踏ませずにその場を離脱すると、二人は把握した敵の情報を即座に基地へと送信した。

「北大西洋を、一機のビッグフィッシュが航行中だ。恐らく、ロシアからグリーンランドを経由してきたものと推測されている」
 集まった能力者を前に、メアリー=フィオール(gz0089)が詳細を説明している。
「積荷は不明だが、海面スレスレを飛んでいたこと、一機のみだったことを考えれば隠密行と考えるのが妥当だ。ならば、十中八九重要物資だろう。君らには、こいつを落としてもらう」
 ただし、といって彼女は続ける。
「知っての通り、北米の東海岸はバグアの庭だ。ビッグフィッシュとの予想遭遇ポイントは、ボストン沖合い100km。もたもたしていれば、すぐに大量のワームどもが群れてくるぞ」
 時間との戦いになる。
 それを肝に銘じて、能力者たちはKVハンガーへと駆けた。



「御意」
 青年が頭を垂れると同時に、ディスプレイが消えた。
 顔を上げたのは、アルゲディ(gz0224)。
 口元を薄く曲げて、彼は歩き出す。
「‥‥さて、ここから間に合うかな? くくく‥‥」
 その少し後、フーバーダムから一機のHWが飛び立った。

●参加者一覧

煉条トヲイ(ga0236
21歳・♂・AA
斑鳩・眩(ga1433
30歳・♀・PN
平坂 桃香(ga1831
20歳・♀・PN
緑川安則(ga4773
27歳・♂・BM
菱美 雫(ga7479
20歳・♀・ER
須磨井 礼二(gb2034
25歳・♂・HD
鷲羽・栗花落(gb4249
21歳・♀・PN
アルジェ(gb4812
12歳・♀・FC

●リプレイ本文

●弾雨
 今にも泣き出しそうな鈍色の空。
 それを映した海面も同様に灰色だ。
 風のせいか波は荒いが、それは飛行するKVにとっては関係はない。むしろ、靄を吹き飛ばしてくれる風は、強すぎなければありがたいほどだ。
 空と水平線の境を注意深く観察していた平坂 桃香(ga1831)は、モノトーンの視界の中に一粒の異物を発見する。
 僅かに遅れて、菱美 雫(ga7479)のウーフーのレーダーに反応があった。
『感あり。十一時の方向。大きさから見て、目標のビッグフィッシュと思われます』
 今回の獲物、ビッグフィッシュは、先だって発見されたことから更に高度を落としていたらしい。
 殆ど有視界の距離にならなければ、電子戦機のレーダーにも映らなかった。
(「アレか」)
 煉条トヲイ(ga0236)は目を細めて、彼方のBFを視認する。
 手元のレーダーにはウーフーからのデータが転送され、BFの座標が明滅していた。
 この程度の距離ならば、十分に戦闘領域だろう。加えて、BFの足は遅い。
『おっと、向こうも歓迎の準備をはじめたようですよ』
 シュテルンの操縦席で、須磨井 礼二(gb2034)が朗らかに言う。
 言葉どおり、レーダー上の光点が次々と増え始める。
『報告にあった小型HW、いえ、一つ別の反応が‥‥これは、中型?』
『最初から全力ってことかい? 参ったな』
 やれやれ、とため息をついたのは緑川安則(ga4773)。
 対照的に鷲羽・栗花落(gb4249)は自信あり気に口を開いた。
『それだけ私たちを警戒してるってことですよ。期待には応えなくっちゃ!』
『‥‥喜ぶようなこと‥‥かな‥‥』
 ぼそっと呟いたアルジェ(gb4812)に、栗花落は笑ってみせる。
 その間に、レーダー上の敵機は合計十にまでなっていた。
 一つはBFとして、護衛のHWは小中合わせて九機がいることになる。
 雫は中型を除いた八機にA〜Hの識別番号を振り分け、各機に転送する。
『まずは邪魔者を蹴散らすぞ。皆、準備はいいか?』
 安則の言葉を皮切りに、能力者たちは編隊を組んだままBFへと機首を向けた。

『目標、ビッグフィッシュとの距離、現在三千。HWは二千五百』
『中型を筆頭に、左右に三機ずつ。計七機が向かってきています。残りの二機は直衛のようです』
 アルジェと雫の報告で、能力者たちは火器管制の状態をもう一度だけチェックする。
 異常なし。
 オールグリーンの表示に、各々が発射のタイミングを計っていた。
(「もう少し‥‥!」)
 栗花落はK−02の照準を今か今かと待ちわびる。
 ロングボウの新型複合式ミサイル誘導システムを用いれば、一キロを超える射程を持つ兵装だ。
 BFまでも照準に収め、複数のHWにも痛打を与えることが可能である、と彼女は踏んでいた。
 それは、ロングボウの兄弟機であるフェイルノートを駆るアルジェも同様だった。
 彼女らの認識は決して間違ってはいない。
 だが、今回に限れば、『初手はHWを蹴散らす』という作戦に忠実であるべきだった。
『な、何!?』
 唐突に鳴る警告音。ロックオンアラート。
 能力者たちが戸惑う間もあればこそ、七機のHWから空を埋め尽くさんばかりのミサイルが発射された。
『K−02、なのか!? くそっ、射程が!』
 悲鳴の様な安則の声。
 上下左右、あらゆる方向から小型の弾頭が雨の如くKVに襲い掛かる。
『‥‥だめ、避けきれない‥‥!』
 アルジェのフェイルノートが悲鳴をあげた。
 一つ二つを避けたところで、その二倍三倍の量のミサイルが次々と炸裂していく。
 迫り来るミサイルの動きは、まるでスローモーションのようだ。
 そして、それ以上に機体の動きは遅い。
 至近弾の連続に装甲がひしゃげ、エンジンが咳き込む。
 あっと言う間に機体のダメージはレッドゾーンへと叩き込まれた。
『借り物のミサイル‥‥落とされるわけにはいかない‥‥!』
 噛み締めた唇から血の味が滲み、唐突に爆炎が晴れる。
 焦れるほどに長く感じた爆発の時間は、抜けてみれば五秒にも満たなかった。
『盛大な出迎えだ。損害状況は?』
 トヲイの声に、桃香と雫、栗花落からは問題なし、との回答が返ってくる。
 しかし、残った面子の損害は決して軽くはなかった。
『こちら須磨井機、四割ほどもっていかれました』
『緑川機、雷電が六割近くやられた。くそっ、傭兵にさえ満足に出回っていない代物を惜しげもなく!』
 シュテルンと雷電でこうだ。
 であれば、アルジェのフェイルノートではどうか。
『‥‥フェイルノート‥‥損傷は八割‥‥』
 悔しげなアルジェの声の後ろで、機体状況を告げるアラームが鳴り続けている。
 傍目にも、各所の装甲がめくれ上がり、スラスターの噴射炎が不安定な少女の機体は危険に見えた。
『‥‥敵さんのミサイルがあれで打ち止め、ってのが救いですね。無理しちゃ駄目ですよ』
『わかってる‥‥BFも射程内‥‥せめて、一太刀‥‥!』
 桃香の気遣わしげな声に頷きながらも、アルジェは当初の『四割』という撤退ラインを敢えて無視し、ツインブースト・ミサイルアタックを起動する。
『ブーストmode:Mマニューバ‥‥ブースト、オン‥‥コンテナゲートフルオープン‥‥全目標‥‥ロック‥‥タイミング合わせ‥‥』
 少女の声に合わせて、K−01、K−02を積むKVが一斉にそのミサイルを展開する。
『アジュール、K−02ロック完了!』
『雷電、いつでもオッケーですよ』
『同じく、照準オーケー! いつでもどうぞ!』
『一人だけK−01で悪いがね、こっちも大丈夫だ。ああ、売り切れ続きのK−02、うらやましいぞ!』
『‥‥3、2、1‥‥あたっく』
 号令一下、再び大西洋の空を弾雨が覆い尽くした。

●大魚の運命
 大量のミサイルの応酬で始まった航空戦は、初手こそバグアが握ったものの、全体としてのイニシアチブはやはり能力者側にあったといっていい。
 その要となっていたのは、トヲイと桃香の雷電二機だ。
 圧倒的な装甲でミサイルの弾幕を意に介さず、お返しとばかりにK−02のシャワーがHWに注ぐ。
 桃香などは、一人で千発ものミサイルを叩き込むと、乱れたHWの隊列を突っ切ってBFへと向かう。
『平坂!』
『お構いなく。速達を預かってるんで、ちょっと届けるだけですから』
『そういう問題、いや、議論は後だな』
 ため息をつくトヲイへ、キャノピー越しに可愛らしい笑顔を送ってから、桃香はブーストを発動させた。
 あっと言う間に加速する雷電の後方で、慌てたようにHWが隊列を組みなおす。
 中型を軸に小型が纏まっていくが、識別記号BとDの二機は特に損傷が酷い。
 それを狙い撃つように、ロングボウのKA−01試作型エネルギー集積砲と雷電の試作型リニア砲が貫いた。
 文字通り爆散した二機の仇を討つかのように、残った五機のHWがフェザー砲を撒き散らす。
 舐めるように能力者たちのKVの装甲を焼く光条は、後退すべく変針していたフェイルノートにも容赦なく迫った。
(「‥‥あ‥‥」)
 視界を覆う光に思わずアルジェが目を瞑る。
 が、予想された衝撃はなく、フェイルノートは戦場から離脱を始めた。
 恐る恐る目を開き、後方を振り返った少女の目に映ったのは、フェザー砲の射線に割り込んだシュテルンの姿。
『‥‥礼二‥‥さん‥‥?』
『よかった、無事ですね。なーに、姪っ子と同じ年の子に怪我はさせられませんよ! 僕なら大丈夫!』
 見えるはずもないが、礼二はコックピットでガッツポーズも取ってみせる。
 彼のシュテルンはミサイルでかなりの痛手を負っていたはずだ。このフェザー砲の直撃は、決して安い代償ではないだろう。それでも笑顔を崩さないのは、流石の信念といったところか。
 星の名を冠するKVは、そのまま空中で鋭く切り返すとレーザーガトリングを掃射する。
 HWの隊列のど真ん中を切り裂いたレーザーは、立ち直りかけたワームの連携を再び乱した。

 一足飛びでBFに接近した桃香は、直衛のHWの洗礼を浴びていた。
 識別でいえばGとHに当たるこの二機は、やはり多弾頭ミサイルを装備していた。
 結論からいってしまえば、桃香に集中した計千発のミサイルは大半が干渉しあって自爆。彼女の機体に喰らいついた何割かの弾頭も、その装甲を破ることはなかった。
 ダメージチェック、問題なし。
 今までの損傷が、外部装甲の一部を歪ませただけであることを横目で確認すると、桃香は雷電をBFの後方につける。
 相対速度を合わせ、目標物の箇所をレーダーと目視で確認。
(「艦橋‥‥は、やっぱりあの出っ張りですかね。ワームの発進口は見えませんが、まぁ、それらしいところに落とせばいいでしょうか」)
 BFの周囲をぐるりと巡れば、あるいは確認はできるのかもしれないが、流石にそれは不可能だろう。悠長にやっていられる暇はないのだ。
 すっと桃香の目が細まり、機体がゆっくりと降下に入る。
 まとわりつくHWの存在は無視して、彼女はフレア弾の投下シークエンスに移った。
 巨大なBFの艦影が一気に視界を埋め尽くす。遠近感が狂う。操縦桿を引っ張りたい衝動を懸命に押さえ込み、目標との距離を示す計器のみを意識に置く。
「‥‥今!」
 思わず声を上げて、トリガーを押し込む。
 同時に引いた操縦桿が、機体がぐっと軽くなったことを伝えてきた。
 迷わずブーストを発動させ、衝撃波を残して雷電がBFを追い抜く。
 その数秒後、BFの巨体が大きく震えた。

 視界の隅で起こった大きな爆発に、トヲイ、雫、栗花落の三人は三様の表情を浮かべた。
 HWとの戦闘開始から、そろそろ一分が経過する。
 能力者たちの被害も少なくはなく、安則、礼二の二人は先ごろ撤退することとなってしまっていた。
 中型HWのタフネスと、強化された小型HWの敏捷さは十分に厄介だ。
 それでも更にCとFのHWを撃墜し、残る小型にも大きな損傷を与えている。
『頃合だな。BFに引導を渡すぞ』
 トヲイは雷電を加速させ、強引にHWへと突っ込んでいく。
 ソードウィングが閃き、すれ違い様にEのHWを両断した。生じた穴を通って、雫と栗花落の二機も続く。
 この状況では、最早班分けにこだわる必要はなくなっていた。
 追いすがるHWのフェザー砲が、三機の装甲を焼く。
「アジュールはロングボウの中でも頑丈なんだから‥‥!」
 操縦席で呟く栗花落の目には、フレア弾によって黒煙を吹き上げるBFの姿が映っていた。
 乾いた唇を湿らせ、ちらりと損傷状況を確認する。
 HWとの乱戦の最中に刻まれたダメージは、決して少なくはない。冒頭のミサイルでの被害と合わせて、すでにレッドゾーン手前にまで追い込まれていた。
 それでも、と彼女は操縦桿を握る手に力を込める。
「アジュール、もう少しだけ、お願い‥‥!」
『射程内だ。ありったけ撃ち込む!』
 トヲイの声と共に雷電の試作型リニア砲が火を吹き、その後を追うように8式螺旋弾頭ミサイルが飛んだ。
 BFの外装に大穴が空き、そこから飛び込んだミサイルが盛大な花火を巻き起こす。
『KA−01とリニア砲、アジュールの特殊能力つきの螺旋弾頭! 耐えられるものなら!』
 呼応して、栗花落も一気に仕掛けた。
 鮮やかなブルーの機体から、破壊の奔流が放たれる。
 トヲイが空けた穴とは別の大穴が開き、内部で誘爆したのか一際大きな黒煙が吹き上がり、BFがぐらりと揺れた。
『邪魔はさせません』
 と、上空から迫ったHWGに、雫がロケット弾とG放電を叩きつけた。
『おまけです』
 その横合いから桃香の雷電がブーストで突入し、ソードウィングで真一文字に切り裂く。
 そのまま空中で方向転換すると、三人の後方から迫るHWへと吶喊していく。
 だが、僅かに及ばず、中型から放たれたフェザー砲がロングボウのエンジンを貫いた。
『あうっ!?』
『鷲羽さん!』
『だ、大丈夫。ミサイルは撃ち尽くしてたから、誘爆はないよ!』
 慌てたような雫の声に、努めて明るく栗花落は答える。
 確かに、今すぐどうこうという損傷ではない。
 それでも、ここは敵地の目と鼻の先だ。不測の事態が起こる前に、撤退するべきだろう。
『ごめんなさい。ちょっとHなHWに手間取って、合流が遅れちゃいまして』
 少しだけ申し訳なさそうに桃香が言う。
 彼女の言うとおり、すでにHの機体の反応はレーダーから消えていた。
 フレア弾投下の後は、直衛のGとH二機を相手に立ち回っていたのだろう。
『いえ、BFには大穴を空けましたから、後はお任せします。飛べるうちに帰って、アジュールはきっちりメンテしてもらわないと!』
『じゃあ、退路にいる邪魔者はさっさと退いてもらいましょう』
 桃香の言葉と共に、HWAの反応が消える。
『最後です。中型でも、そろそろ落ちてもらいましょう』
 雫も転進するや、中型に高分子レーザーを連射する。
 すでに損傷を受けた部位にレーザーを集中され、中型HWは断末魔の悲鳴を上げた。
 その直後、桃香の雷電が真っ二つにワームの機体を切り裂いた。

●残骸
『きっかり二分、ですね。お疲れ様でした』
 海中に没していくBFを見て、雫が声をかける。
『流石にタフだったが‥‥災厄と共に沈め』 
 その身を守るHWは最早なく、リニア砲と螺旋弾頭ミサイルを雨霰と受けても尚、BFは一分近くも粘って見せた。
 攻め手が少なかったという事実を割り引いても、異様なタフネスといえよう。
 それは逆に、積荷の重要さをも物語っていた。
『終わりですね。変なのが沸く前に帰りましょう』
『ええ。鬼が出てこないうちに‥‥』
 近海に展開した空母からの通信で、撤退した四人は無事に着艦したとの報告が入っている。
 損害は大きいものの、目的は果たした。長居は無用だろう。
 遠くなる空域と、その向こうにある大陸を見据えて、トヲイは呟く
「‥‥いつか、たどり着いてみせる」
『何か、仰いましたか?』
『いや、何でもない。早く帰ろう』
 はてな顔の雫を上手く誤魔化しながら、三機は離脱して行った。



 遅れること、僅かに三十秒。
 マッハ六を超える速度で進入してきたHWは、慣性制御で音もなく停止する。
「間に合わなかった、か‥‥。まぁいいさ」
 声の主はアルゲディ(gz0224)。
 彼は未だ沈没の残滓が残る海面をゆっくりと眺めると、おもむろに通信回線を開いた。
『マンタでも亀でも何でもいい。水中用のワームを大至急、送れ』
 通信を追えると、青年はニヤリと口元を歪める。
「形が残っていれば儲け物。壊れていても‥‥補修材料にはなるだろうさ」
 呟いてから、アルゲディは操縦席に深く座りなおし、目を閉じた。