タイトル:異端の系譜、ディスタンマスター:瀬良はひふ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/09/15 07:07

●オープニング本文


 アルバトロスの販売開始。
 それに伴って、メルス・メスのフィリップ研究室は先のコンペ以上の多忙に追われていた。
 アルバトロスの直接の開発者ではないが、名義上での責任者であるフィリップ=アベル(gz0093)にしても、それは同じことである。
 故に、彼はその訪問者を歓迎はしなかった。
「や、繁盛しているようだねぇ」
「‥‥そう見えるなら、日を改めて欲しいものですが」
「ところがそうもいかないんだな。こっちにも、色々と事情があるのよ」
 フィリップの嫌味を華麗に受け流し、テーブルにどさりと資料を置いたのはリカルド・マトゥラーナ(gz0245)。
 憮然とした表情で置かれた資料を手に取ると、フィリップの表情は困惑に変わった。
「これは‥‥GF−106の‥‥?」
「そう、ディスタンの仕様書さ」
 胡散臭い笑顔を浮かべて、リカルドは身を乗り出す。
「この間のコンペとアルバトロスの発売で、メルス・メスブランドの知名度はぐんと上がってる。ここらで、ディスタンの改良にも手をつければ――顧客のご満足をより一層いただける、って寸法さ」
「‥‥俺は、ディスタンの開発には関わっていませんよ」
「でも、ドロームとは繋がってる。これの生い立ちを考えれば、その方が都合はいいでしょ?」
 それにね、と営業マンは指を振る。
「何度か傭兵の皆さんとも会ってるわけだし、そういう意見を聞く窓口としてもばっちりってことだよ」
 うんうんと自分の意見に頷くリカルドに、フィリップは小さくため息をついた。
 アルバトロスは、こうなれば開発主任のアランに任せるしかないだろう。遅かれ早かれ、そうした重荷は背負わねばならないのだから、今から経験を積むことは悪い話ではない。
 それはそうであるにしても、フィリップ自身、納得できかねるものは無いではない。
 マテリアルの実質凍結に加えて、この依頼を受ければ、構想中の新型KVの設計作業も中断せざるを得ないだろう。
(「‥‥そういえば、ジェーンはどうしているかな」)
 自らの専門を脇において、知覚兵装開発を行っている知人を思い出し、彼は天井を仰いだ。
『折角加速装置が設置されたと言うのに、兵装を提案しては却下されることの繰り返しでは、満足な実験も出来ない。宝の持ち腐れだ』
 そんな愚痴の電話を受けたのは、二度や三度ではない。
「‥‥宮仕えの辛いところだな。お互いに」
「おっと、何か言いました?」
「引き受けます、と言ったんですよ」
 仕事は仕事だと自らに言い聞かせ、フィリップは目の前の資料をまとめると、トントンと形を整える。
 とりあえずは、これらの内容を頭に叩き込んだ上でULTに連絡しなければならない。
 そう段取りをつける彼に、リカルドが声をかけた。
「ああ、ULTへの連絡ならやっておくから、日程が決まったらまた伝えるよ」
「‥‥お願いします」
「いいってこと。みんなで幸せになろうよ」
 頭痛を堪えるように、フィリップは額に手を当てた。

●参加者一覧

リディス(ga0022
28歳・♀・PN
雑賀 幸輔(ga6073
27歳・♂・JG
九条院つばめ(ga6530
16歳・♀・AA
鈍名 レイジ(ga8428
24歳・♂・AA
音影 一葉(ga9077
18歳・♀・ER
水円・一(gb0495
25歳・♂・EP
赤崎羽矢子(gb2140
28歳・♀・PN
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER

●リプレイ本文

●ディスタン
 メルス・メス本社、フィリップ研究室。
 予定時刻はまだ先ではあるが、既に能力者は部屋に揃いつつあった。
「やっぱり、ってーのかな? 見知った顔が多いな。よろしく頼むぜ」
 やや遅れて、といっても十分に早いのだが、扉を開けた鈍名 レイジ(ga8428)が、集まった面々を見てニヤリと笑った。
「まぁ、待ちに待った‥‥といった機会ですし」
「長年の相棒の新たな一歩に繋がる訳だしね。ついつい気合が入っちゃうよ」
 リディス(ga0022)と雑賀 幸輔(ga6073)の二人が軽く笑って答える。
 その反対側に座る九条院つばめ(ga6530)は、対照的にやや緊張した面持ちだ。
「ディスタンはまだまだ頑張れる機体だと思いますし、私もしっかり意見を出そうと思ってます‥‥!」
「ええ、同感です。ディスの未来のため‥‥なんていうと、大げさでしょうか」
 少女の意気込みを受けて音影 一葉(ga9077)も静かに頷いた。
 そんな五人のやる気を受けて、アーク・ウイング(gb4432)は少しだけ居心地が悪そうに座りなおしている。
(「うーん、正直ディスタンには特に思い入れはないけど‥‥それを言うと何か怖そう」)
 彼女は幼いと言っても、場の雰囲気を察する程度の分別は持っている。
 もっとも、対象への興味と意見交換の機会への興味は別物だ。
 他人の考えを聞ける会議といった場は、少女の好奇心の的であった。
「あれ、皆早いねぇ」
 そこへ入ってきたのは赤崎羽矢子(gb2140)だ。
 彼女の後ろには、水円・一(gb0495)の姿もあった。
「‥‥ふむ、もう少し早く来るべきだったか」
 その手に持った包みをちらりと見下ろしながら、一が呟く。どうやら、菓子を用意してきていたらしい。
 今回の依頼主であるフィリップ=アベル(gz0093)を待つ間、折角だからつまもうかとそれらの菓子をテーブルに広げた時、再び扉が開いた。
 入ってきたのはフィリップである。
「ん? やけに早いな。ま、いいことだが」
「あ、初めまして。アーク・ウィングです」
 彼の姿を認めると、アークが立ち上がってぺこりと挨拶をした。
 それに釣られるように、残った面々もそれぞれに頭を下げる。
 フィリップは手を上げてそれに応じると、テーブルに広げられた菓子に目を留め、少しだけ笑った。
「‥‥始める前に、コーヒーでも入れようか。のんびりと話そう」

●思うところは
 全員にコーヒーが行き渡り、フィリップが着席したところで、リディスが口火を切った。
「早速ですが‥‥現状のディスタンの問題点は、まず足の遅さかと」
 頷く男に、彼女は続ける。
「速度と引き換えの高性能、というのは理解しているつもりですが、流石に新型はおろか旧来のKVにも劣るようでは、味方との連携にも不都合です」
「私も、リディスさんと同意見です」
 と、つばめが言葉を引き継いだ。
「例えば電子戦機を護衛する時、岩龍は良いのですが、もう一機の要であるウーフーとは、こちらが歩調を合わせてもらわねばなりません」
 実戦でそれは痛いのだ、と少女は真剣な面持ちで訴える。
「俺も、いつもディスタンを使わせていただいている」
 次いで、一が口を開いた。
「二人が言ったことは、ディスタン乗りならば恐らく誰しもが思うことだろう。付け加えれば、装備量の問題か」
 裏を返せば、機体の目立った弱点はその程度であると一は言う。
 この足の遅さに対する懸念というのは多かれ少なかれ皆が持っていたようで、改善それ自体には異論は無いようだ。
 改良の一つはこれで決まりか、とフィリップが内心で決めかけた時、少しだけ躊躇したように羽矢子が天井を仰ぎ、言い始めた。
「移動の改良には基本的に賛成なんだけどさ、それを犠牲にした上の高性能だろ? やっぱり、他に無理が出そうで、そこが少し、ね」
 だから、と彼女は続ける。
「考えたんだけど、補助ブースターみたいのを付けられないかな? 外付けならまだ負担も少ないと思うんだ」
「ああ、それなら俺も考えてた。クローラーのハイリガーファウスト改、あれを流用できるんじゃないかと思ってさ」
 食いついたのはレイジだ。
 更に、控えめながら一葉も手を上げる。
「移動はあれば嬉しい、程度ですが、ブースターを取り付けることによる瞬間ブースト機能ならば、欲しいですね」
 彼女の言う瞬間ブーストは回避を上昇させる、所謂緊急回避用のものであるようだ。
 そこへ、今まで黙っていた幸輔が参加する。
「俺も、特殊能力で回避とか移動を向上させる、っていうのは賛成ですね。レイジさんが言ったように、ハイリガーファウストの機構と両立しても面白そうだ」
「盛り上がってるところすまんが」
 フィリップがそう言って場を制した。
 全員の視線が白衣の男に向けられる。
「ディスタンは知っての通り、並のKV以上に精密にできてる。そこへ追加ブースターなりを付けるのは、正直無茶だな。ブースト機能も同様だ。コストも手間もかかりすぎる。‥‥それと、これは多少政治的というか商業的な問題だが‥‥」
 そこで彼は少しだけ口淀む。
「‥‥クローラーは確かにメルス・メスの製品だ。技術の流用が可能かと言われれば可能だが、それをすると、将来クローラーが市場に出るとなった際に、セールスポイントが失われかねん。それに‥‥いや、まぁ要するに難しいということだ」
 コーヒーを一口含み、男は少しだけため息をつく。
「だがまぁ、君らの懸念は速度を向上させると他にデメリットが出るのではないか、ということだろう? それなら安心したまえ。メルス・メスとて、技術の蓄積は十分にある」
「えっと、他の能力を犠牲にしなくても、ある程度は強化できるってことですか?」
 アークの問いに、フィリップは頷いた。
 その答えに、少女は内心で胸を撫で下ろした。心配の一つが減ったからだ。

「うーん、そうなると‥‥やっぱり装備量かな」
 菓子の一つを頬張りながら、レイジが気を取り直すように言った。
「コイツ自体の性能は隙無く纏まってるし、そうなると後は拡張性があった方が、らしい気がするんだ」
「確かに」
 コーヒーカップを手に、一が同意を示す。
「あの能力の平均性は、他に無い利点だろう。‥‥まぁ、そこが弱点とも言えるんだが」
「弱点、か。器用貧乏って言うのは、俺も否定できませんね」
 困ったように幸輔が笑った。
「何というか、玄人好みの機体なんですよ。だから、俺としてはもう少し特色を出してやりたい」
「汎用性も大事ですが、私としてもディスらしさの確保が最優先と思います」
 顎に手を当てながら一葉が彼の言を継ぎ、続ける。
「‥‥ディスの特徴は、機動性と装甲に裏打ちされた堅牢さだと思います。それを伸ばすのが最優先かと」
「なるほど、ね」
 ふむ、と羽矢子は腕を組んだ。
 彼女の脳裏には、ディスタンと同時期に改良が企図されていたという雷電の存在があった。
 単純に張り合っても勝ち目は無いだろう。ならば、やはり「無難である」以外のセールスポイントは欲しいところだ。そう思う。
「そうですね‥‥回避や防御、抵抗が少しでも上がってくれるなら、私は心強いです」
 少し考え込みながら、つばめが言う。
「装備、防御、回避‥‥。どうにも共存させるのは難しそうですが、専門家のご意見は?」
 リディスがフィリップを促した。
 頭をかきながら、男は口を開く。
「無理とは言わない。だが、装備と防御性能を強化すれば重量は増大する。そうなれば機動性は落ちる。共存させるなら、上昇値を抑える必要がある」
「パイの分け前は、頭数が少ない方が多い、ですか」
 答えは多少予想していたようで、リディスは軽く目を瞑って息をつく。
 どうしたものか、と皆が悩み始めたところで、アークがおずおずと声を上げた。
「あの、ちょっと話はずれるんですけど‥‥」
 どうぞ、と目で促すフィリップに、少女は意を決したように姿勢を正す。
「えっと、知覚を完全に切り捨てることで、価格を抑えるのってできませんか?」
「コストダウン、ですか。なるほど」
 リディスは、ふむと考え込む。
 価格を抑えられれば、改造にかかる費用も抑えられるはず、だ。そうなれば、相対的に性能を引き上げることに繋がるかもしれない。彼女はそう考えた。
 だが、その提案は首を振るフィリップによって却下されてしまう。
「目の付け所は変わっていて良いと思うが、価格は上とULTで決めるものだ。現場の意見がおいそれと通るものじゃない。それに、今回の改良はあくまでも性能の底上げが目的、ということになってる」
「そうですか‥‥」
 気落ちした少女の肩を、つばめが優しく叩いた。
 と、レイジが手を上げる。
「コストで思い出したんだが、一度部品を見直してメンテの手間、省けないか?」
「設計から見直す必要がある。改良の範疇は、超えてしまうな」
「うーん、難しいもんだなぁ」
 唸るレイジの脇から、羽矢子が身を乗り出す。
「えっとさ、セールスポイントって考えてみたんだけど、マテリアルのミッションパックを流用できないかな? ゼカリアみたいな固定アクセサリにして、ショップでの追加購入で交換可能にしたりとか、強化もできるようにしたりとか」
 どうかな、と言う彼女に、フィリップは力なく首を振る。
「アイデアは面白い。が、やはり改良では済まないな」
 それに、と言いかけて男は口を噤む。幸いにも、それは再び悩み始める羽矢子には気づかれていないようだった。

 行き詰った空気を緩めるべく、休憩が挟まれた。
 談笑が続く中でフィリップのドロームから派遣されたという経歴に話が及び、幸輔が何かに気づいたように白衣の男の肩を叩いた。
「メルス・メスはドロームと提携してるんですよね。なら、フェニックスのベクタードノズルの技術、あれを流用できないません?」
「‥‥確かに、それが使えれば願ったりだが、無理だな。フェニックスはドロームの虎の子だ。提携といっても、そこまでしてくれる義理など向こうには無いさ」
「思ったより、大変な関係なんですねぇ」
 苦笑する幸輔に、フィリップは肩を竦めるしかない。
「しかし、厄介ですね。あちらを立てればこちらが立たず」
「二つだけなら、並立はもっと簡単だろうがな」
 防御・回避・装備の三つを考えるから難しいのだ、とフィリップは言う。
 その言葉につばめは少し考え、口を開いた。
「あの、ディスタンにはアクセル・コーティングがありますし、防御はそちらを強化することで間に合わせる、というのは‥‥?」
「‥‥そうだな。特殊能力は、やはり強化の必要があることだし」
 一が頷く。
「錬力の増加で上昇値を増やす‥‥が妥当でしょうが、マテリアルのものをスライドさせることは?」
「追加、という意味なら難しいな。さっきも言ったが、今回求められているのは」
 リディスの問いにフィリップが答えている途中で、羽矢子がそれを遮った。
「既存の能力の底上げ、でしょ? それに、この先市場に出るかもしれない機体の能力は、ってね」
「‥‥そういうことだ」
 悪戯っぽくウインクしてみせる彼女に、男はやれやれと額に手を当ててみせる。
「アクセルの改良なら、そうだな、抵抗も上げられるようにしたいよな」
 そう言ったのはレイジだ。
 可能だろう、とフィリップは思う。
 機体の精密さゆえに、例えば攻撃を上げられたマテリアル程の融通性は無いが、防御と抵抗の双方は性格も似通っている。
「特殊能力で解決、というなら俺にも一つ案があるのだが」
 そういって、一が腹案を披露する。
 それはディスタンにモード切替機能を付加する、というものだった。
「現状を高機動として、回避を落として速度を上げる高速モードとの切替を実現するわけだ」
(「イギリスの、アリスのようなものか‥‥」)
 そう考えたところで一の視線に気づき、フィリップはゆっくりと首を振る。
 だが、それは一も大方予想していたようで、それほど落胆した様子は見せなかった。

●神のみぞ知る
「で、特殊能力は順当に行くとして、結局どうするんです?」
「そうだな‥‥防御をそちらでカバーするなら、回避と装備、後は最初の移動か」
 幸輔の言葉を受けて、フィリップは凡その概算を頭の中で組み立てる。
 移動を底上げする以上、回避と装備の上昇値は多少抑えられてしまうだろうが‥‥。
「うーん、装備が上がるならスロットも欲しいんだけどなぁ」
「それは分かりますが、まぁ、欲張ってもかえって良くないでしょうし‥‥」
 レイジと一葉は共にスロット増加を望んではいたのだが、他の要望との兼ね合いを考えればその妥協もやむを得まい。
「‥‥抵抗も、多少は上げられる、か? いや、まだ分からんな‥‥」
 ぶつぶつと呟き始めるフィリップに、八人は顔を見合わせる。
 実は、まだいくつかの提案があったのだ。
 が、それを言うべき相手が自分の世界に入り込んでしまったようで、中々言い出し辛い。
 といっても、それで終わるわけにも行かず、一葉が恐る恐る話しかけた。
「あの、まだ話が残ってるんですけど」
「‥‥ん? ああ、すまん、何だ?」
 存外にあっさり気がついた男にもう一度皆は顔を見合わせ、咳払いをしてから一葉がまた話しだした。
「えと、推奨装備に関してです。いくつか考えてきたので、聞くだけでもお願いします」
 頷くフィリップに、数人が進み出た。
 まずは一葉だ。
 彼女の提案したのは、両腕部装着型の手甲。
 受防に優れると同時に、所謂パイルバンカー式の攻撃をも行える。実現すれば、そんな攻防一体の兵器になるだろう。
 次いで、幸輔である。
 彼は比較的軽量な遠距離火器を提案した。
 ディスタンの「防衛」という性格を際立たせる装備だろう、と幸輔は言う。
 付け加えるなら、改良で命中の底上げも、と思っていたようだが、それは思うに留めたらしい。
 最後に、一が提案した。
 彼の案は、複数回射撃可能な煙幕銃、もしくは煙幕装置――これはディスタンの用途というよりは、もっと広い範囲の話だろう――それと、知覚系の射撃武器だった。
 後者は、どうやらエイジア学園都市、そこに存在する素粒子物理学研究所との繋がりを頼りにしていると見える。
 もっとも、そこの研究所の所長は確かにフィリップの知己だが、管轄はドロームであったりする。まぁ、無いよりは余程マシなパイプであるが。

 それらの案を聞いて早々にフィリップは自らの机に向かった。
 研究者の性というか、火がつくとそれ以外は見えなくなるらしい。
 呆れと感心とを半々に、八人は研究室を辞す。
(「今までの恩返しってわけじゃないけど‥‥今よりもっと素敵な機体になれるといいね、『swallow』?」)
 帰り道で、つばめは愛機へ心中で語りかける。
 彼女だけでなく、ディスタンに思い入れの深い者は多いようだ。
 そんなことを感じながら、アークはふと呟いた。
「どうなるかは分からないけど、折角だから頑張って欲しいよね」