●リプレイ本文
RedS(レッズ)
C:六堂源治(
ga8154)
PF:聖・真琴(
ga1622)
SF:石動 小夜子(
ga0121)
PG:レティ・クリムゾン(
ga8679)
SG:暁・N・リトヴァク(
ga6931)
カバの刺繍が入った赤いキャップとスカジャン着用し、ダンボールで作った赤いカバ型ゲートから入場。
まず暁がドリブルで走り込み、スリーポイントシュート。
軽やかにネットを揺らす。
(「入ったぁ〜!」)
外したら志気がガタ落ちになると胃をキリキリさせていた暁は心の中で大きく安堵した。
他の者達も次々とシュートを決め、最後に源治が空中でボールを掴んでそのままゴール叩きつける豪快なアリウープを決める。
「RedSの初陣ッス。気合入れて行くッスよ!」
「いっちょ、ぶちカマしたろぉ〜ぜっ! FastBreakだ♪」
源治と真琴が気合満々でコートに進み出た。
WVW(ホワイトバニラウルフ)
C:周防 誠(
ga7131)
PF:サルファ(
ga9419)
SF:リヴァル・クロウ(
gb2337)
PG:大槻 大慈(
gb2013)
SG:最上 憐 (
gb0002)
派手な登場もなく、普通の運動着。
「全っ然届かねぇっ」
大慈がダンクに失敗して跳ねたボールでコケる等の練習風景。
とっても対照的な2チームの対戦である。
ピー
試合開始のホイッスルが鳴り、ジャンプボール。
源治と誠がほぼ同時に跳んだが、カットしたのは誠。
弾かれたボールを大慈がキャッチ。
「憐!」
すぐに既に敵陣の走りこんでいる憐へパス。
「‥‥ん。一歩でも。多く。近づいて。シュートの。確率をあげる」
ボールを受けた憐は小さい体でさらに腰を落とした超低空での高速ドリブルで走り出す。
マークにきた小夜子を易々とかわし、インサイドでの暁のブロックもかわしてシュート。
開始早々に2点先取した。
「ナイッシュ! 憐」
「‥‥ん」
サルファに褒められた憐がVサインを作る。
「すみません、あっさり抜かれてしまいました」
「あの子、むちゃくちゃ速いぞ」
「ドンマイ、すぐに同点にするよ」
落ち込む小夜子と暁を真琴が笑顔で励ました。
「まずは1ゴール。確実に取るぞ」
レティがゆっくりとしたドリブルで進み、大慈がマークにきた直後にテンポを上げて、一瞬で抜き去る。
だが、抜いた直後にサルファが前に立ちふさがった。
レティは左サイドの小夜子にパス。
しかし、小夜子のマークについていたリヴァルにカットされた。
「よし、カウンター!」
「させません!」
だが憐へのパスを小夜子がさらにカットしてボールを奪い返す。
小夜子はそのままインサイドに切り込みレイアップシュートを決める。
「これで汚名返上ですね」
初シュートを決めた小夜子は嬉しそうに笑った。
再び憐がドリブルで切り込んでゆく。
「抜かせません!」
今度は小夜子も易々とは抜かせず、憐の足を止める。
「‥‥ん!」
憐はその場でドリブルを続けながら隙を探ったが、腰を落として両手を左右に広げる小夜子に隙はない。
「憐、一旦戻せ!」
憐はサルファの言葉に従ってパスを出したが、レティがカットして弾く。
「声に出したらバレバレだぞ」
零れ球は大慈が拾ったが、その直後にレティが大慈の手からさらにカットして持ち去った。
「あ!」
そして真っ直ぐゴールまで運んだレティの前に誠が立ちふさがる。
レティは構わずシュート体勢に入り
「打たせませんよ」
誠がブロックにきた所で右サイドから切り込んでいた真琴にノールックパス。
真琴がそのままレイアップを決め、RedSに4点目が入る。
「レティさん、ナイスパス!」
「あぁ、聖もナイスシュート」
真琴が満面の笑みで掌を向けてきたのでレティも微笑を浮かべ、掌をパンと打ち合わせた。
再度、憐がドリブルで切り込んだが、小夜子のブロックを抜けずに立ち往生する。
仕方なくサルファにパスを戻し、自分は小夜子をマークを受けたまま敵陣に切り込む。
「よし、じっくりいこう」
サルファはゆっくりドリブルで進み、レティがカットに来たところでゴール前の大慈にパス。
パスを受けた大慈はインサイドに踏み込んでジャンプシュート。
「入れ!」
「甘いッス!」
だが、高々とジャンプした源治にシュートを叩き落された。
その零れ球をリヴァルが拾い、さらにシュートを放とうとしたが、
「甘〜い!」
構えたボールを横から真琴に攫われる。
「くっ! 聖」
「私がマークについてる限りボスには一発も撃たせないよ!」
真琴がニヤリと笑い、ドリブルで駆け出す。
リヴァルも必死に追ったが、真琴の足には追いつけない。
そして一気にゴール前までボールを運んだが、一早く戻ってきた誠がブロックに来る。
「小夜さん!」
しかし逆サイドに走りこんでいた小夜子にパス。
小夜子がそのままレイアップを決め6対2。
「‥‥ん、今度こそ。抜く」
憐は小夜子の手前でドリブルする手を変えて背を向け、そのまま背中を小夜子に押し付ける様にターンして抜いた。
さらにゴール前で源治をフェイクでかわし、そのままシュートしたが、
「ゴール下で易々とシュートはさせない」
レティにブロックされてボールを弾かれる。
零れ球を大慈が拾ってシュートしたが、暁のブロックで目測が反れてリングに弾かれた。
「リバウンド!」
ゴール下にいた者たちが一斉にボールに向かって飛び上がる。
そして頭一つ抜きん出た源治がガッチリキャッチ。
「よし、速攻!」
真琴がパスを受け、ボールを運ぶ。
ゴール前で誠にブロックされたが、すぐに小夜子にパス。
しかし小夜子に張り付いていた憐がそのパスを読んでカット。
「あ!」
「‥‥ん。密着。接近。粘着。ねちゃねちゃ」
零れ球を誠が拾い、リヴァルにパス。
「よし、カウンター!」
WVWの速攻が始まり、誰よりも早く駆け抜けた憐がパスを受けてレイアップ。2点を返す。
その後も真琴のパスをカットしたサルファからのパスを受けた憐がカウンターを決めて同点。
さらに憐が真琴のドリブルからボールを奪い、そのまま暁と源治も抜いてシュート、逆転する。
しかしその差もすぐに埋まり、前半15分の時点で12対12の同点。
誠、サルファ、大慈、憐とボールを回し、インサイドに切り込んだ憐がレイアップ。
しかし、レイアップ中のボールを源治がガッチリ掴み、小柄な憐を弾き飛ばす。
「‥‥ん、痛い」
床に尻餅をついた憐に恨みがましい眼で源治を見る。
「すまないッス。でも、そう何度も抜かれる訳にはいかないッスからね」
源治は罪悪感を感じながらも小夜子にパス。
速攻のカウンターだったが、先に戻っていた誠にブロックされる。
「小夜さん!」
攻めあぐねていた小夜子に逆サイドに切り込んだ真琴が合図を出す。
「はい!」
小夜子はその合図でパス。
むろん誠はパスを読んでいてカットしようとする。
しかし小夜子がパスを出したのはスリーポントラインにいる暁だった。
「なに?」
「入れっ!」
暁はシュっと放物線を描くシュートを放ち、ゴールをくぐってネットを揺らす。
これで15対12。
「ナイッシュート!」
「かっきぃーよ、リトヴァクさ〜ん!」
「いや、石堂さんのパスがよかったんですよ〜」
暁は照れくさそうに笑いながら仲間達にもみくちゃにされた。
こうして勢いに乗ったRedSは真琴がさらに2点追加し、17対12と差を広げる。
しかしWVWも負けてはいない。
オールコートを使って誠、サルファ、リヴァル、大慈でパスを回し、全員でゴール前までボールを運ぶ。
そして誠はゴール下のサルファにパスを出すと見せかけてレティのマークを抜き去り、インサイドに切り込んでゴールに向かって跳んだ。
「させないッス!」
源治が目の前に両手を広げジュンプして立ちふさがったが、誠は源治の上から強引にダンクを決めた。
ガン とリングが鳴り、ゴールポストがギシギシと揺れる。
「何時までもやられっぱなしじゃないですよ」
誠はRedSの面々に不敵な笑いを向けた。
「はっ♪ ‥‥やるじゃねぇの」
「くっそぉー! 今度は俺がダンク決めてやるッスっ!」
「なぁに、すぐにまた点差を広げてやるさ。さぁ、ここ一番集中しよう!」
誠の挑発で熱くなった真琴と源治をレティが抑える。
だがWVWの勢いは止まらず、真琴のパスをカットしたサルファが憐にパス。
憐は小夜子を抜き、ブロックにきた源治はリヴァルにパスを出してかわして、リターンで受けたボールをレイアップ。
そこで前半が終了し、RedS17点、WVWが16点で折り返した。
後半戦。
ジャンプボールはまたも誠が制し、大慈がキャッチ、すぐに憐にパス。
「‥‥ん、先取点貰う」
憐は一気にインサイドまで運んだが、ずっとマークし続けてきた小夜子がシュートをブロック。ボールがリングに弾かれる。
「入ってろ!」
しかし、浮き球を空中でキャッチしたサルファがそのままゴールに叩き込んだ。
このプレイで勢いに乗ったWVWはゴール前で小夜子からカットしたボールを憐がカウンターで決め、17対20と差を広げる。
だがRedSも負けてはいない。
レティが大慈をドリブルかわし、サルファを真琴にパスを出して突破。ゴール前でリターンを貰い誠と1対1になる。
「これ以上は抜かせません!」
誠が両手を掲げてブロックの姿勢をとるが、レティは構わずシュートの体勢を取り、シュートに見せかけたパスを床に放ってバウンドさせた。
パスを読んでいた誠が手を伸ばしたが、ボールにはバックスピンがかかっていてレティの手元に戻ってくる。
「なっ!」
ボールを掴みなおしたレティは誠の脇をドリブルで抜け、ゴールに向かって跳躍し、ダンクを叩きこんだ。
「私をパスだけの女と思うなよ」
レティは不敵に笑い、誠に向かってボールを投げる。
「やられた‥‥。まいったね」
誠は苦笑しながらボールを受け取った。
さらにRedSはリヴァルが外したシュートを源治がリバウンドして速攻で攻め上がり、真琴がインサイドに切り込んで誠とサルファを引きつけながら外の暁にパスを出し、暁が3ポイントシュートを決める。
これで一気に22対20と逆転した。
RedSの勢いは止まらず、憐の速攻で小夜子はかわし、ゴール前までは持ち込んだものに、シュートは源治にガッチリブロックされた。
「‥‥ん、また?」
「速攻ッス!」
カウンターで小夜子が中盤まで運び、ゴール前の真琴にパス。
「あちょぉー」
「やらせない!」
真琴はすぐにシュートを放ったが、サルファがブロックして弾く。
浮き球はレティがリバウンドし、着地と同時にシュート放つ。
だが、それも誠がブロック。
再びボールが浮くが、今度は源治がリバウンドを取る。
「リバウンドを制するものはゲームを制す!!」
しかし源治が悦に入っているところにリヴァルが忍び寄ってボールをスチール。
「あ!」
「よし、速攻!」
「させねーっ!」
リヴァルは既に走り出していた憐にパスを出したが、真琴に横から手を出されて弾かれた。
零れたボールをレティがカットし、シュートの構えを取る。
「止める!」
しかし再び誠がブロックにくる。
咄嗟にレティはシュートをパスに切り替え、床にワンバンさせて誠の股間を通すと、回り込んでいた源治にパス。
「スラ〜ム‥‥」
源治は両手で掴んだボールを思いっきり振りかぶって跳び
「ダンクッ!!」
リングに叩きつけるようなダンクを決めた。
「うっひょ〜! スラムダンク〜!!」
「お見事です!」
「ナイスダンクだ!」
仲間達が集まり、スラムダンクを決めた源治をバシバシ叩いて祝福した。
これでムードがさらにRedS寄りになり、憐のドリブルを小夜子が止め、そのパスを暁がカット。
そこからのカウンターでさらに2点を追加。26対20となる。
WVWはここで誠とサルファの位置を変え、より攻撃的な布陣で誠が中盤までボールを運び、そこを基点とした攻撃を開始。
この策が功を奏し、WVWは続けて点を獲得して一気に2点差まで詰め寄った。
ここからは両者1歩も譲らず、残り3分の時点で30対28。
「くそ、2点差がどうしても縮まらない‥‥」
焦りの出てきた大慈が呟く。
「くるぞ!」
リヴァルの声ですぐにゲームに集中し、腰を落とし、レティのドリブルをジッと見据え、全身で立ちふさがる様にして止めた。
「俺だって何時までも抜かれてばっかじゃないんだよっ!」
「ほぅ」
レティがちょっと驚いて目を見張る。
さらに偶然と奇跡が重なった動きでレティのパスも見事にカットしてみせた。
「どうだっ!」
大慈が口をニヤリを歪めて笑ったが、零れ球は真琴がさらっていった。
「もらい〜♪」
「お、俺の活躍意味ね〜!」
真琴はそのままゴール前まで運び、インサイドに切り込んだレティにパス。
レティがレイアップを決めて、32対28と差が開いた。
残り時間は1分少々。
「まだだ! まだいける」
「もちろんです」
「‥‥ん、ここから逆転勝利」
だが、WVWに諦めている者は一人もいなかった。
サルファ、大慈、憐とパスを繋ぎ、憐が勢いよく切り込んで行く。
「行かせません」
しかし小夜子は抜けずドリブルを止められた。
憐はなんとか小夜子の隙をついて誠にパス。
誠はレティを背負いながらパスを受け、フェイクを入れながらバックロールターンでレティの脇を抜ける。
「しまった」
そしてスリーポイントラインからフェイダウェイシュート。
「させないッス!」
しかし源治が精一杯飛び上がってブロック、指先がボールをかすめ、ボールはリングで弾かれた。
「あぁ〜!」
「くっ!」
大慈が落胆し、リヴァルがリバウンドに駆け込んだが、ボールは真琴がキャッチ。
そしてRedSがカウンターを仕掛けたところで試合終了のホイッスルが鳴った。
32対28
第1回LBAはRedSの勝利で幕を閉じた。
ラーメン屋『紅白亭』
「それではRedSの初勝利を祝してぇ〜」
『かんぱ〜い!』
真琴の音頭でグラスが打ち合わされる。
「カーーッ! 運動の後のビールは格別ッス!」
「しかもラーメンは向こうの奢りだしな」
「ホント最高〜!!」
「皆さん、ご馳走になります」
「やぁ〜今回は、マジになっちゃったわ。でもイイ汗かいたね〜☆」
RedSが試合の事を談笑する一方で
「‥‥ん。おかわり。おかわり。どんどんおかわり」
憐が次々とラーメンをすすっていた。
「憐、分かってるか? ここのラーメンは全部俺達の奢りなんだぞ」
「え? 俺たちが出すの? 聞いてないよ〜っ!」
ホントは知ってるくせに大慈が大声で言う。
「‥‥ん。ヤケ喰い。パパを。質に入れてでも。食べる」
憐は女装セットをサルファに渡した。
「憐! 何でこんなもの持ってるんだ?」
「最上さんは一人で18点獲得したMVPですし、いいんじゃないですか」
誠が無責任に言う。
「俺も皿洗い等は手伝おう。ただし女装なしでな」
リヴァルがサルファの肩をポンと叩く。
結局、憐は店の食材をほぼ喰い尽し、紅白亭は夜を迎える前に店じまいした。
もちろん支払いは全てWVW(主にサルファ)持ちだ。