タイトル:ジョンソン爆撃作戦マスター:真太郎

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや難
参加人数: 9 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/13 04:31

●オープニング本文


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 ヒューストン解放戦線の前線司令官であるルイス・バロウズ少佐は主だった士官と傭兵達を会議室に集め、ジョンソン宇宙センターを攻略するための作戦会議を行っていた。
「先のジョンソン宇宙センターへの潜入作戦での傭兵達の活躍により、疑似アグリッパと対空砲は全て破壊する事ができました。しかし、まだ厄介な練力供給装置が残されています。これを残したまま戦端を開いては、こちら側の兵力に多大な犠牲を伴う事でしょう。そのため練力供給装置も無力化しておきたいのですが、地下にある練力供給装置を破壊する事は非常に困難です。しかし供給装置から基地内の各所へ練力を送るパイプラインならば破壊はそれほど難しくはないと考えられます」
 ルイスはジョンソン宇宙センターの戦術マップをモニターに表示した。
「パイプラインが具体的のどう伸びているのかは分かりませんが、地下の練力供給装置から伸びている事は間違いありません。そのため練力供給装置のある建物の周囲に爆撃を行えばパイプラインの寸断が可能だと思われます」
 ルイスが戦術マップ上の建物の周囲と現在判明している練力供給地点を指し示す。
「幸い敵は対空砲を全て失っていますので、残る対空迎撃能力はレックスキャノンだけです。レックスキャノンだけならば爆撃を行っても全ての爆弾が迎撃される事はないはずです」
 ルイスはそう締めくくり作戦の細かい概要の説明に入った。

 そして作戦決行当日になり、KVの発進準備を進めていた傭兵達だが、不意のルイスの副官が血相を変えて走ってきた。
「ルイス少佐より伝言です。先程ジョンソン宇宙センター上空の先行偵察を行っていたRー01改部隊がジョンソン宇宙センターより上がってきた8機の中型ヘルメットワームによって撃破されました。その戦闘の際、地上のメカ・レックスキャノンも対空拡散プロトン砲で砲撃してきたとの事です」



●ジョンソン宇宙センター戦術マップ

 0102030405060708091011
01□□□□□□□□□■■
02□□□□□□□■□■■
03□□□□□□□□□□□
04□□□■■□■■□□□
05□□□■■□■■□□□
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07□□□□□□□□□□□
08□□□□□□■■■□□
09□□■■□□□□□□□
10□□■□□□□□□□□

□:移動可能範囲
■:建物

●参加者一覧

弓亜 石榴(ga0468
19歳・♀・GP
月影・透夜(ga1806
22歳・♂・AA
新居・やすかず(ga1891
19歳・♂・JG
霧島 亜夜(ga3511
19歳・♂・FC
九条院つばめ(ga6530
16歳・♀・AA
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
白皇院・聖(gb2044
22歳・♀・ER
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
煌月・光燐(gb3936
16歳・♀・FT

●リプレイ本文

 大型爆弾を多数抱えた8機のKVと、巨体のKV西王母がジョンソン宇宙センターに向けて飛ぶ。

「対空設備を皆さんが潰してくれたおかげで少しは楽になりましたが‥‥まだまだ楽観視はできません。練力供給の大元を断って、さらに攻略の足がかりを作らないといけませんね」
「あぁ、供給源と航空戦力は可能な限り削っておくべきだな」
「‥燃やし尽くす‥明日の為に‥」
 対空拡散プロトン砲を空に向けて待ち構える2機のレックスキャノンとメカ・レックスキャノンを警戒する九条院つばめ(ga6530)に月影・透夜(ga1806)が相槌を打ち、煌月・光燐(gb3936)が練力供給装置のある施設を見据える。
「時間制限がない、とはいえここは敵地。さっさと仕事を済ませましょう」
 周防誠(ga7131)の言葉を受け、新居・やすかず(ga1891)のサイファーと、つばめのディスタン改を白皇院・聖(gb2044)の西王母の護衛とするB班を後方に残し、残りが中型HWの排除に向かう。
「皆さん、御武運を‥」
 白皇院は超機械「ハングドマン」を胸元に掲げ、仲間達のために祈りを捧げて送り出した。

 6機はRCの対空砲を警戒して高高度を保持して進攻したが、HWは高高度には上がって来ない。
「‥‥対空砲の射程圏内からは出てこないつもりみたいね」
 思惑が外れた狐月 銀子(gb2552)がやや不満そうに呟く。
「どうやら覚悟を決めて飛び込むしかねーみたいだな。みんな対空砲になんかに当たんなよ!」
 霧島 亜夜(ga3511)のウーフーに続いて全機が突貫すると、たちまち拡散プロトン砲が照射されてきたが各機でマニューバを駆使して弾幕を潜り抜ける。


 A−3班の透夜のディアブロと周防のワイバーンにはHW4機が迎撃に向かって来る。
「先に邪魔を排除するぞ、速攻で落す」
「この作戦は成功させたい‥‥頼みますよ、ワイバーン‥いや、ゲイル」
 2機が敵に向かって加速すると、HWは左右に広がって包囲陣を展開しようした。
 しかし周防は最右翼のHWをスナイパーライフルD−02で狙撃して動きを止める。
「易々と包囲なんてさせませんよ」
 その隙を逃さず、透夜がアグレッシブ・フォース(AF)を付与したエネルギー集積砲を撃ち込んで撃墜する。
 そして最左翼のHWは周防が狙撃とリロードを超速で行ってスナイパーライフルを連射するという離れ技を披露して撃破した。
 だが、その間に残る2機のHWが透夜の後ろに付き、チェーンガンを乱射してくる。
 透夜は操縦桿を小刻みに動かし、時にバレルロールも加えて全弾回避した。
「そんなヘロヘロ弾に当たるものか」
 そしてラダーを一杯に開いて急減速し、後ろのHWとの距離を詰めると同時にAF付ソードウィングを展開。
 HWに自機を追い抜かせる最中にソードウィングで一気に斬り裂くと、前に出たHWにAF付集積砲を撃ち込んでトドメを刺す。
 そして残る1機も周防がスナイパーライフルで撃墜した。


 A−2班の銀子と光燐のフェニックスには2機のHWが迎撃に向かってきてチェーンガンを撃ってくる。
 2人は機体に幾つもの銃弾を撃ち込まれながらも片側のHWに、まず銀子がHWのやや左側から対空砲「エニセイ」を撃ち込む。
 砲弾が装甲を抉り、HWが体勢を崩した所で銀子に僅かに遅れて光燐がやや右側からプラズマリボルバーを発射、エネルギー弾がHWの装甲を貫いた後、2機は交差しあってHWの左右に抜ける。
 だがHWはまだ健在だ。
「光燐ちゃん。もう一度クロスブレイクいくよ!」
「‥了解‥」
 2機はもう一度HWに攻撃をかけるために反転。
 しかし、2人が1機を相手にしている間にもう1機のHWが光燐の後ろに回り込み、チェーンガンを掃射。フェニックスの翼、尾翼、エンジンなどに次々と弾丸が穿たれた。
「‥く‥」
 光燐はHWへの攻撃を諦め、ローリングで降下して射線から逃れるとブーストを全開にして最大加速でHWを振り切る。
 一方、銀子はそのままHWに攻撃を仕掛けて機体に大穴を穿ったが、HWは煙と炎を噴き上げながらもチェーンガンで反撃し、銀子のフェニックスの胴体部に斜め一列の弾痕が刻まれた。
「やってくれる!」
 しかしHWの下方に回りこんだ光燐が急上昇しながらプラズマリボルバーを連射。
「‥果てなさい‥」
 機体中心部を撃ち抜かれたHWはその場で爆散した。
「光燐ちゃん、ナイス!」
 銀子は機体を振って光燐の後ろに追い縋っていたHWに照準を合わせ、トリガーを引く。
 反動と共に撃ち出されたエニセイの砲弾がHWを直撃、装甲が大きくひしゃげる。
 そして銀子はHWの前で急上昇。
 HWも銀子の後を追って上昇をかけるが、機首を上げたため露になった胴体部に光燐がプラズマリボルバーを撃ち込む。
 HWが胴体から火を噴いて仰け反った隙に銀子が宙返りをして急降下。真下にいるHWにエニセイを叩き込んで破壊した。


 A−1班の亜夜と弓亜 石榴(ga0468)にも2機のHWが向かってきていたが、石榴のノーヴィ・ロジーナが亜夜のウーフーに付いて行けず、引き離されていた。
「おい、どうした? 遅れてるぞ」
「えっとね‥‥実は重量計算間違ったみたいでスピードが出なかったりして‥‥」
「なんだって!」
 そしてHWの1体が亜夜に攻撃を仕掛け、もう1体が足並みのズレを突いて石榴の脇を抜け、後続のB班に迫る。
「あ、ゴメン! 抜かれちゃった」
「大丈夫です」
「私達で抑えます」
 新居とつばめがすぐにHWの迎撃を行ってくれる。
 なので石榴はそのHWは2人に任せ、自分は亜夜の後を追った。
 その頃、亜夜はHWにチェーンガンで攻撃されていたが、ウーフーの装甲の厚い部分で受け止めて前進を続ける。
「そんな豆鉄砲が効くかよ!」
 そして高分子レーザー砲の射程に捉えた直後にトリガーを引き、照射された光線がHWを貫く。
 HWは機体に無数の穴を穿たれながらも慣性制御で亜夜の後ろに回りこみ、チェーンガンを正射。
「ちぃ!」
 亜夜は毒づくとスロットルを噴かし、操縦桿を振ってHWをレーザーの射程内に捉えようとするが、HWは距離をとりつつ慣性制御を駆使して死角に回り込む。
 しかし、そこに出遅れていた石榴が到着。
「遅くなってゴメンね〜」
 HWの後ろを取るとガトリング砲「嵐」を発射し、その名の通り嵐の如く弾丸をばら撒かれた。
「やっぱり攻撃は派手にしなきゃね」
 その隙を逃さず亜夜は急減速とラダーを駆使して機体の急旋回させてHWを照準に捉える。
「喰らえ!」
 そして発射された3条の光線はHWの中枢部を貫き、爆散させた。


 一方、つばめはイクシード・コーティングを付与したディスタン改でHWと西王母の間に割って入り、HWのチェーンガンを装甲で受けて弾きながらバルカンを連射。
 新居もサイファーにフィールド・コーティングを付与し、横合いからプラズマリボルバーを撃ち込む。
 しかし、どちらの攻撃もHWには軽傷しか負わす事が出来ない。
「武装が貧弱だからって‥‥爆弾を一つも落とさないうちに、やられるわけには行かないんです!」
 それでもつばめは果敢に攻撃を続ける。
 しかしHWは目標をつばめから新居に変えて攻撃を開始。
 新居は正面からの攻撃をローリングして回避した後、急旋回して擦れ違ったHWの後ろに付き、プラズマリボルバーを連射した。
 だが、やはり火力が足りず、HWの装甲を融解させるに留まる。
 やがてHWは慣性制御による不規則な動きで2機の間をすり抜けると、西王母に迫る。
「聖さん!」
「大丈夫です。西王母にも迎撃兵装はあります。行きますよ、MARIA」
 白皇院は迫るHWに小型帯電粒子加速砲を発射。
 しかしHWはギリギリで避け、白皇院が粒子加速砲をリロードしている間にチェーンガンを正射してくる。
 巨体の西王母では避ける事はほぼ不可能。簡易イージスシステム「神盾」だけが頼りだ。
 西王母の各所に装備された迎撃兵装が一斉に火を噴き、チェーンガンの弾丸を相殺する。
 しかし続く第2射、第3射は「神盾」を抜けて機体に無数の穴を穿っていった。
「あぅ!」
 着弾の衝撃で機体が激しく揺れるが、巨体ゆえに耐久力も高い西王母はまだ落ちたりしない。
 そうして白皇院が耐えている間に新居とつばめがHWに攻撃を仕掛けるが、撃墜できるだけの致命傷を与える事ができない。
「このままでは白皇院さんが!」
 つばめが焦れたその時。
 音速で飛来したライフル弾がHWを撃ち抜き、HWはゆっくりと墜落していった。
「どうやら間に合ったみたいですね」
 それは周防が最長距離からスナイパーライフルD−02で行った狙撃だった。
「ありがとうございます周防さん。助かりました」
「いえ。これでHWは片付きましたね。爆撃に移りましょう」


 8機は一旦集合し、爆撃準備を整えたが、
「愛子ちゃん、この間はごめんね。私は愛子ちゃんを戦わせたく無かったの」
 爆撃前に石榴がメカRCに乗る愛子に呼びかける。
 しかし愛子から返答はない。
「友達だからこそ、嘘を言ってでも助けたいってこの気持ち、愛子ちゃんなら判ってくれるって信じてる!」
 それでも石榴は構わず呼びかけ続けた。
「もう戦わなくて良くなる様に、この爆撃は成功させるから!」
『‥‥言っている意味がまるで分からないわ』
 ようやく愛子から返答がきたが、その声はひどく冷めていた。
『騙された上この施設を破壊されて、それがどうして私を助ける事になるの? どうしてここが爆撃されたら戦わなくて済む様になるっていうの? あたしを倒して捕縛できるから? 捕虜になったあたしに未来があるとでも思ってるの? それともあたしが失脚してリリア様に捨てられるから? あたしが断罪されるから? それであたしがどう救われるっていうのよっ!! それとも‥‥そこの連中があたしを殺してくれるから‥かしら? 死があたしの救済だとでも言うつもり?』
「違うよっ! そんなこと考えてない! 私は愛子ちゃんのコト、好きだから! だから絶対に愛子ちゃんを裏切る様なコトはしない!」
『だったら!! だったら‥‥石榴、アナタがこちら側に‥バグアに来なさい』
「‥‥え?」
 思いもかけない申し出に石榴が息を呑む。
『あたしのこと好きなんでしょ。あたしの友達なんでしょ。あたしのこと絶対に裏切らないんでしょ。だったら出来るはずよ』
「それは‥‥」
 もちろん石榴にそんな決断が出来る訳がない。
『‥‥やっぱり、また‥‥全部嘘なのね』
 愛子の声に苦渋が混じる。
「違うよ! 愛子ちゃんを救いたいのは本当で‥」
『もういいっ!! 結局アナタも口だけ‥‥』
 その言葉を最後に愛子との通信は切れた。
「愛子ちゃん! 愛子ちゃん話を聞いて!」
 石榴が何度呼びかけても通信はもう繋がらない。
「うぅ〜〜愛子ちゃんの分からず屋ーー!!」
「仕方ありません。愛子さんの事はひとまず置いておいて、今は爆撃を成功させましょう」
 そう言ってつばめは石榴を慰めた。

 そして8機は改めて爆撃体勢を取る。
 まずは新居の提案による全機同時の一斉爆撃。
「投下スタンバイ‥上手く当たりますように‥!」
 つばめはRCの動きに注意しつつ、ブースト機動で降下を開始。
 対する愛子はRCには投下される爆弾の迎撃を命じ、自分はKV自体に狙いを定める。
 そして愛子が狙ったのは一番損傷の大きい光燐のフェニックスだった。
『落ちろ!』
 メカRCから発射されたプロトン砲の光がフェニックスを貫く。
 機体の半分が融解し、エンジンが火を噴き上がる。
 コクピットに誘爆を知らせる警報が鳴り響き、警告灯が瞬く。
「く‥‥せめて爆撃は‥」
 それでも光燐はフェニックスを爆弾の降下ポイントまで飛ばして爆撃だけは行う。
「‥紅蓮の劫火‥断罪の光‥」
 そして着弾を確認して脱出装置を作動させた直後、フェニックスは爆発した。
「光燐さん!」
「私が助けに行くよ」
 垂直離着陸能力を持つノーヴィ・ロジーナに乗る石榴が光燐の脱出ポットの降下地点に急ぐ。
「なら俺が援護する」
 亜夜はRCや周囲の施設などにロケット弾ランチャーを撃ち込んで、救助に向かった石榴が狙われない様に敵の気を引く。
「煌月さんの事は2人に任せましょう」
「さっきの爆撃、どれだけ成功したの?」
「すみません、私は外してしまいました」
 つばめは爆撃前に起動したブーストのせいで速度が上がり過ぎたため、投下ポイントがずれてしまったのだ。
 だが他は全てRCの弾幕を潜り抜けて着弾していた。
「よし、第二波いくぞ!」
 5機が再び爆撃のアプローチに入る。
『うっとおしい‥‥』
 愛子が今度は銀子に狙いを定める。
「邪魔はさせない!」
 しかし、メカRCの射線上に透夜がディアブロを割り込ませ、自らを盾とした。
 至近距離から発射されたプロトン砲の超々高熱の光がディアブロを融解させ、衝撃で機体が吹き飛ばされる。
「ぐはっ!」
 体の骨が軋む様な衝撃を受けながらも透夜は墜落しそうになったディアブロの体勢を間一髪で立て直して急上昇させた。
 しかし1歩間違えれば地面に激突して大破していてもおかしくない危険な行為だ。
「月影君、無茶な事して‥‥。でも助かったよ、ありがと」
「この程度で落ちるほど柔ではないさ。それより爆撃はどうだった?」
「今度は僕のが投下中にRCに爆破されてしまいました」
 新居が悔しげに告げる。
「となると、残り7ヶ所で爆弾は5個か‥‥」
「この5発は確実に決めたいですね」
 5人は光燐を救出した石榴と亜夜と合流し、最後のアプローチに入る。
「いくぞ!」
 まずは亜夜が低空か侵入しRCの足元をロケット弾ランチャーで破壊して体勢を崩させた。
「邪魔させる訳にはいかないんだよ」
 その隙に最後の爆弾を搭載した5機が爆撃体勢に入る。
『させない!』
 愛子がプロトン砲を5機に向ける。
「さっきのお礼よ、受け取りなさい!」
 だがプロトン砲が発射されるより先に銀子がメカRCにロケット弾ランチャーを撃ち込んだ。
 メカRCは身を屈めて避けたが、その間も爆弾は地面に向けて降下してゆく。
『くっ』
 愛子は咄嗟にプロトン砲を爆弾に向けたがもう遅い。
 全弾地面に着弾して大量の土砂が噴き上がった。
「よし、離脱するぞ」
 そして全機ブースト機動でその場から全速で離脱する。
 その際に亜夜は偵察用カメラで施設の様子を撮影し、今後役立ちそうな情報を可能な限り集めるようにした。
「プロなら与えられた任務以外にも考えて動かないとな」
 一方、周防はオープン回線を開き、愛子に通信を送る。
「こちら、そちらに2度叩き落されたワイバーンのパイロットです。次に来る時は、今までの借りをまとめて返させてもらいます。以上」
 しかし愛子はつまらなそうに周防のワイバーンを一瞥しただけで何の返答もしなかった。
 愛子は敵にどんな風に恨まれていようとも興味がないからだ。
 向かってくる敵は倒す。
 ただそれだけの事だった。
 今まではそうだった。
 でも今は‥‥。
 ‥‥。



「皆さん、御苦労様でした。ではそろそろお暇いたしましょう」
 そして8人は先に離脱していた白皇院と合流を果たし、帰路に着いたのだった。