●オープニング本文
前回のリプレイを見る「いよいよ決戦です」
ヒューストン解放戦線前線司令官のルイス・バロウズ少佐は作戦会議室に集まった士官と傭兵達の前でそう切り出した。
「先の爆撃作戦で練力供給装置のパイプラインがどの程度破壊できたのかは不明ですが、9割以上寸断できたのは確実だと思われます。上空からの攻撃ではこれ以上の戦果は期待できないでしょうから、後は地上攻撃での力押しとなります」
ルイスがジョンソン宇宙センターの戦術マップをモニターに映し出す。
「現在判明している敵戦力は小野塚 愛子(gz0218)の乗るメカ・レックスキャノンが1機。通常のレックスキャノンが2機。ゴーレムが3機。タートルワームが3機。小型陸戦型ヘルメットワームが6機。箱持ちムカデが2機です」
ルイスが各機の配置を戦術マップ上で指し示す。
「3機のゴーレムはカラーリングこそ通常の物と同じですが、追加装甲と増槽が搭載され、大振りの剣を背負い、巨大な盾を構え、レールガンを装備している事から、おそらくカスタム機であると予想されます。6機の小型陸戦型ヘルメットワームにも追加装甲と増槽が搭載されており、ゴーレムが持つものと同様の巨大な盾と大型のチェーンガンを装備しています。レックスキャノンとタートルワームに変わったところはありませんが、強化改造が施されている可能性はあります。2機の箱持ちムカデからは怪音波の発生が確認されていますので、積まれているコンテナの中にはキューブワームが搭載されているものと思われます。ちなみにこの箱持ちムカデにも追加装甲が施され、盾まで装備している様です」
ルイスが傭兵達を見る。
「傭兵部隊はジョンソン宇宙センターの南側より進攻していただきます。なぜ南側かと言えば、西側はロケット発射上があり完全に平野になっています。北側も平野が多く、東側は川になっているため、建物の多い南側から接近するのが一番安全なためです。もちろん敵もそれを分かっていますので、南側向きに戦力を配置しています。現場での細かい戦術に関しては一任しますので、後は皆さん次第です。頼みます!」
●ジョンソン宇宙センター戦術マップ
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01□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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20□□□□□□□□□□■□□□□□□□□■■□□□□
21□□□□□■■■□■■■□□□□□□□□□□□□□
22□□□□□■■■□■■■□□□■■■■□□□□□□
23□■■□□□□□□□□□□□□■□□□□□□□□□
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25□□□□□□□■□■■□□□□□□□□□□□□□□
26□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
27□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
28□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
29□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
30□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■□□□□□
31□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
32□□□□□□□□□□□□□□□□□□■□□□□■□
33□□□□□■■□□□□□□□□□□■□□□□□□□
34□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■
35□□□□□□□□□□□□□□□□□■□□□□□□□
36□□□□□□□□□□□□□□□□■□■□□□□□□
37□□□□□□□□□□□□□□■□□■□□□□□□□
38□□□□□□□□□□□■□■□■■□□□■□□□□
39□□□□□□□□□□□■■□□□□□□□□□□□□
40□□□□□□□□□□■□□□■□□□■□□□□□□
□:移動可能範囲
■:建物
注:
このマップは2分の1に縮小してありますので、実際はこの2倍の広さです
1スクエア内に2×2の4スクエアあると思ってください
●リプレイ本文
「‥‥何とかここまで来ることができました。文字通りの決戦になることは間違いありません‥‥。今度こそ、決着をつけます!」
遠方のジョンソン宇宙センターを感慨深げに臨んでいた九条院つばめ(
ga6530)が強く自分の決意を語った。
「あぁ、因縁と決着、ここで終わらせてやりたいところだな」
つばめの言葉を受けて月影・透夜(
ga1806)が力強く告げる。
「泣いても笑ってもこれで最後、か‥‥」
弓亜 石榴(
ga0468)は前回、小野塚 愛子(gz0218)にバグアへの誘いを受けていた。
(「愛子ちゃんが私を誘ったのって、きっと本気だった‥‥」)
しかし石榴はその誘いを受ける事はできない。
「友達なら体を張ってもやらなきゃならないって言うもんね」
だからと言って愛子をこちら側に引っ張り込む事を諦めた訳ではなかった。
「全機へ、状況を開始する。‥‥終わらせよう」
そしてリヴァル・クロウ(
gb2337)が静かに告げた合図と共に10機のKVが進攻を開始する。
南西側からα隊の石榴の破曉、透夜のディアブロ、新居・やすかず(
ga1891)のS−01HSC、霧島 亜夜(
ga3511)のウーフー、鈴葉・シロウ(
ga4772)の雷電改、つばめのディスタン改、狐月 銀子(
gb2552)のフェニックスが攻め上って敵を引きつけ、その間に南東からβ隊の終夜・無月(
ga3084)のミカガミ、周防誠(
ga7131)のワイバーンMk.II、リヴァルのシュテルンが東側の箱持ちムカデ内のキューブワームを破壊する手筈となっていた。
(「『戦って、勝ちたい』なんて思うこと、滅多に無いんですが‥‥自分もまだまだガキってことですかね」)
周防がそんな事を考えて苦笑を浮かべる。
「ともかく、2度撃墜された借りは返させてもらいますよ」
「なるべくなら愛子嬢ちゃんには生きて人類側に来て欲しいですねぃ」
「あ、鈴葉さんもそう思ってくれているんですか」
進行中にシロウが言った言葉につばめが嬉しそうな声を上げる。
「もちろんですとも。何故なら私は傭兵である前に『全女性の味方』ですから!」
「はは‥‥」
変な事で自信満々に胸を張るシロウにつばめは苦笑を浮かべた。
(「どちらにとっても負けられない戦い、気持ちだけは負けないように‥‥!」)
そう思ってつばめは心の内で気合を入れ直した。
「今回は珍しく電子戦機が一機だけだから、チキンだろうが芋だろうがやられない事を前提に立ち回らないとなー」
亜夜は自分が後衛向きだとは思っていないが、アーバインの時の失敗を教訓にして、今回は後衛として敵の情報の収集と伝達を行いつつ援護射撃を行うつもりだった。
そしてα隊がY23ラインに到達した時、亜夜のウーフーが不意に熱源を感知した。
「真横? 3時の方向に熱源感知!!」
「なんですと!?」
皆が一斉に3時の方向を見る。
するとそこには建物の間の通路で両足を踏ん張り、プロトン砲に光を灯すメカ・レックスキャノンの姿があった。
「えっ!?」
「なぜ愛子がここに?」
「マズイ! 全員散れ!」
『‥遅い』
透夜が咄嗟に指示を出したが時既に遅く、発射されたプロトンバーストの光の奔流がα隊の前衛、透夜、シロウ、つばめ、銀子のKVを包み込む。
超々高熱で装甲が溶けて泡立ち、機体内部も装甲の薄い部分から次々と融解して爆発。
コクピット内も急激に温度が上昇、負荷に耐え切れなかった計器類が損壊し、危険や機能停止を知らせる赤ランプが機体各部で幾つも点灯する。
そして光が通過した後には装甲が焼け爛れ、機体各所で小爆発を起こして煙を上げ、各部のダメージに耐え切れずに膝を付いた4機のKVの姿があった。
「くそっ! みんなまだ動けるか!?」
透夜が機体各部をチェックして回路の修復を行いながら無線機に叫ぶ。
「えぇ‥なんとかね‥‥」
「この子は頑丈なのが取り得ですから」
「なはは‥死ぬかと思いましたが何とか生きてまっせ〜」
すると銀子、つばめ、シロウの順で元気な声が返ってくる。KVの被害は甚大だが全員無事らしい。
「まさか愛子が練力供給装置から離れて単機で前線に出てくるなんて思いもしませんでした‥‥」
「そういえばアイツは単機で敵中に飛び込んで混乱させた隙に味方に外から撃たせる戦法が得意だったな。すっかり忘れてたぜ」
新居と亜夜が注意深くメカRCの動向を伺う。
『‥あなた達があたしが供給装置から動かないだろうと考える事もCWの破壊を優先するだろう事も簡単に読める。だからこうして罠を張る事なんて簡単だったわ』
愛子はオープンチャンネルでそう告げると、石榴の破曉に目を向ける。
『‥‥石榴。どうやら、あたしの仲間になり来た訳じゃないみたいね』
「うん、でも賭けをしようよ。愛子ちゃんが勝ったら私をお持ち帰りして良いよ。その代わり、私達が勝ったら愛子ちゃんをお持ち帰りしちゃう。それでどうかな?」
『‥‥』
姿が見えないため愛子が迷っているのかどうかは分からないが、返事は来ない。
「良いんですか、石榴さんの手を取らなくて? 貴女はリリアさんが一番で全てと言いますが、彼女にとっての特別は貴女じゃない。目をかけていたとしても、替えの利く部下の1人でしかない。でも、石榴さんの手を取れば貴女に特別ができるかもしれない。貴女でも誰かの特別になれるかもしれないですよ。もっとも、傷つく事を怖れずに自分から現状を変えようとする勇気なんて、貴女には縁のない物でしょうけど」
『‥‥相変わらずよく知りもせず口でそれっぽい事を並べたてる事‘だけ’は得意な奴ね』
新居の言葉を愛子は嘲るだけだった。
「実は私も性悪説に頷く派なんですが。でもね、信じているんですよ。人の性は悪、でもだからこそ、善に、輝くものに、綺麗なことに、恋焦がれると‥‥」
しかし今度はシロウが愛子に語りかける。
「だから。お嬢ちゃん。報告書やらで聞いちゃいるけど。でもそれでもだからどうしたと私は言うよ? 君が人の世に絶望しているというのなら、私達がその幻想に風穴を空けてやる」
『幻想じゃないわ、現実よ。あたしは18年間、それを目の当りにして生きてきたのだから‥‥』
「いやいや、18年で世の中の全てを知れるほど人は浅くはないです。だから、私達が空けた穴から覗く光から目を逸らすんじゃないですよ?」
『‥‥』
「愛子、一つ言っておくぞ。こいつらの言ってる事は全部本気だ」
「受けなさいよ。アンタの正義がそちらに居る事って言うのなら、あたしはそれを許さないだけね。勝った方が正義、解りやすいじゃない」
『‥‥いいわ、受けてあげる』
透夜と銀子の言葉が最後の一押しになったのかは分からないが、愛子は石榴の賭けを受けてくれた。
「ありがとう愛子ちゃん。きちんと保護の手筈は整ってるし、私が必ず守るし、何も心配する事ないからね」
「メカRCは俺が抑える! その間にCWを破壊してくれ」
透夜はブーストを起動すると、右手に機刀「建御雷」、左手にハイ・ディフェンダー(HiD)を構える。
「月影さん一人では無茶です。援護します」
透夜の少し後方で新居がR−703短距離リニア砲を構えてメカRCに狙いを定めた。
「頼む!」
透夜は短く告げると、メカRCに向かって突撃を敢行。
新居はブレス・ノウ Ver.3を発動しアグレッシヴ・ファング Ver.2.1を付与したリニア砲を発射。
「これが僕のS0−1Hの新しい力です」
電磁力の反発力とブレス・ノウの効果で加速された砲弾が超音速でメカRCに迫る。
だが愛子は特殊コーティングでメカRCの体表を緑色に変えて対物理特化させると、装甲の曲面部分で砲弾を受けて斜め後ろに弾いた。
『‥ぬるいわ』
「くっ‥」
元より最低限注意を引く事を目的とした攻撃だったが歯牙にもかけられないとは、さすがに歯がゆさを禁じえない。
愛子は迫る透夜にプロトン砲を連続発射。
透夜はブースターを小刻みに吹かして重要機関に命中する事だけは防ぐと一気にメカRCに肉薄する。
「大型武装なら小回りはきくまい。接近してしまえば!」
透夜はHiDを振り下ろすが、これは誘いだ。メカRCが横に移動してHiDを避けた瞬間、建御雷でプロトン砲の砲口へ突きを放つ。
「破っ!」
だが愛子は身を屈めて建御雷も避けると、その体勢からプロトン砲を発射。
「ぐぅ!」
直撃を喰らったディアブロの胸部装甲が完全に融解して内部機関も一部が誘爆。コクピット内でレッドシグナルが点灯し、各部の機能が次々と死んでゆく。
「月影さん!」
新居は対空機関砲「ツングースカ」で弾幕を張って透夜を援護する。
その間に透夜はどうにかバイパスを繋ぎ合わせて手足の機能だけは維持した。
「やはりCWのジャミング内では普段の動きはできんか‥‥。それに思った以上に動きがいい‥‥。さて、どうする‥‥」
そして絶体絶命の中にありながらもメカRCに見据える透夜の口元には不敵な笑みを浮かんでいた。
その頃、東側にいたβ隊もプロトンバーストによる衝撃音を耳にしていた。
「予定より戦端が開くのが早い」
「α隊に何か不測の事態が起こった様ですね」
しかし無線はCWのジャミングで短距離にしか通じないため状況は分からない。
「ですが我々はCWの破壊を優先しましょう。それがα隊の支援になるはずです」
「そうだな急ごう」
3人はブースト機動でX22ラインの建物群を抜け、Y17ラインで左折して一気に敵陣に攻め込んだ。
3機に気づいたHWがムカデの前に出て盾を構えるが、周防はスナイパーライフルD−02で盾でギリギリ防御できそうな箇所を狙撃。
盾が初撃箇所の方へ動いた事で開いた胴体部に続けて第2射と3射を撃ち込み、機能停止させた。
「今です!」
HWを排除した隙に無月のミカガミがGPSh−30mm重機関砲で弾幕を張りながらムカデに迫る。
角にいたゴーレムがムカデのカバーに入ろうとするが、リヴァルがクァルテットガン「マルコキアス」で数百発もの弾丸を撃ち込んで足止めする。
「邪魔はさせん!」
そしてムカデに肉薄した無月はロンゴミニアトで頭部を刺し貫き、胴体内部で液体爆薬を炸裂させて動きを止めると、続けてコンテナもロンゴで突き刺し、中のCWを破壊した。
「CW1機撃破。これで少しは楽になるはずです」
だが一人突出する形になった無月にはHWがチェーンガンを乱射し、TWとRCがプロトン砲を撃ち放つ。
無月は愛機の機動力を駆使して難なく避けたが、その隙に接近したゴーレムが大剣で斬りかかる。
「っ!」
さすがの無月も嵐の様な銃弾とプロトン砲の弾幕の中では避ける事はできず、肩から腰部までを袈裟斬りにされ、返す刀が大腿部を斬り裂く。
その隙にもう1機のゴーレムがレールガンを発射。腰部に直撃を受けたミカガミが衝撃で吹き飛ばされ、脇の建物に激突する。
「終夜さん!」
周防は更に大剣に振りかぶったゴーレムに対空砲「エニセイ」で砲撃して体勢を崩すと、ブースト機動で一気に接近する。
ゴーレムは大剣を水平に構えて迎撃態勢をとったが、周防はその瞬間マイクロブーストを発動させて再加速。機体を地面すれすれまで屈めて大剣の下を潜り抜けつつソードウィングでゴーレムの足を切断した。
そしてゴーレムの後ろでブースト機動による方向転換を行うと、片足で膝立ちになったゴーレムにエニセイの集中砲火を浴びせかける。
砲弾が命中する度にゴーレムの装甲がひしゃげ、腕も折れ、頭部が陥没し、遂に装甲を貫いた砲弾が中枢部を破壊して完全に機能を停止させる。
もう1体のゴーレムにはリヴァルがマルコキアスを撃ち続けてレールガンの発射を阻止していた。
「無事か終夜?」
「えぇ‥平気です」
無月はミカガミを建物から引き抜くと一気にゴーレムとの間合いを詰めてロンゴを一閃。
レールガンの砲身をを叩き折ると、2連突きで両肩を砕いて腕を動かなくし、最後に胸部から斜め上に突き上げて頭頂まで刺し貫き、トドメを刺す。
残りのHW、TW、RCはそれぞれに砲撃を続けてきたが、3機は易々と弾幕を潜り抜け、リヴァルがHiDでHWを破壊し、RCは周防が対空機関砲「ツングースカ」を乱射して蜂の巣にして倒し、TWは無月がロンゴでの破壊を試みた。
しかしTWは頭部と手足を甲羅内に格納し、鉄壁の体勢と取る。
ロンゴは甲羅を破れはするものの穂先が中枢までは届かず致命傷にならない。
「大した硬度ですね、ですが‥‥」
無月は練剣「雪村」を抜いてTWに振り下ろす。
すると白色に輝く光の刀身はまるでバターを切るように易々と甲羅を斬き、TWを絶命させたのだった。
「これでここ一帯の敵は掃討したな。作戦を次の段階へ移行する」
3人は真横の建物を東側を迂回し、北側からα隊と敵を挟撃するため移動を開始した。
一方、透夜と新居を除くα隊は03×23地点の建物に潜んだ石榴と亜夜の援護射撃を受けつつ、ムカデ内のCWを破壊するため進攻していた。
「こういうのは性質じゃないんだけどね‥やるからには必殺必中ってね」
銀子は06×21地点の建物の影から電磁加速砲「ブリューナク」を構えムカデに狙いを定めた。
本当ならこの建物の東側にある通路から狙撃を行うつもりだったが、そこへの道は愛子のメカRCに塞がれているため位置を変えていた。
ブリューナク内の電磁加速が臨界に達したところで銀子はブースト&オーバーブーストAを発動。
(「一発目で確実にこちらの意図は確実にばれる。初弾で最大のダメージを与えないと‥‥」)
銀子は必中必殺の準備を整え、照準内のムカデに向けてトリガーを引いた。
「当たれ!」
発射された電磁加速弾頭がHWとゴーレムの間を縫ってムカデに飛ぶ。
しかし弾頭は僅かに反れてムカデの持つ盾に当たった。
弾頭は盾を貫通してムカデの装甲を貫いてに突き刺さったが、致命傷とは言えない。
CWのジャミング、ブリューナクの命中精度、そして距離が災いした結果だった。
「しまった外れた!」
銀子は次弾を装填して発射したが、ムカデは多脚を駆使してその場から離脱して避けた。
そしてムカデは建物の北側の影に隠れ、その周囲をTWとHWが囲って強固な防壁を築いた。
スコープを覗いてもムカデの姿はHWの盾やTWの甲羅に阻まれて見えない。
「くそっ、これじゃ狙えない」
そしてTWは銀子にプロトン砲を放ち、HWの1体はチェーンガンを乱射しながらこっちに向かってくる。
「ちっ!」
銀子は建物の影で屈んでプロトン砲を避けると、武器を試作型「スラスターライフル」に持ち替え、03×23地点の建物にいる亜夜と石榴と共にHWの迎撃を始めた。
つばめはムカデを倒すためにブースト機動で突撃を敢行したが、途中でゴーレムが立ち塞がった。
「どいてもらいます!」
つばめは対空機関砲「ツングースカ」で牽制したが、ゴーレムは構わず大剣を振り降ろしてくる。
「くっ!」
つばめは機盾「レグルス」で受け止めると、そのまま盾でゴーレムを押しのけて前に進む。
だが、今度はRCが立ち塞がってプロトン砲を放ってくる。
「swallow、イクシード・コーティング!」
つばめはイクシード・コーティングを展開してプロトン砲に耐えると、HiDで斬り払って押し通ろうとした。
しかしRCは斬られながらもディスタンの腕に爪を食い込ませ、そのまま大顎を開いて噛み付いてきた。
ズラリと並んだ鋭い牙が装甲を食い破り、機体が軋みを上げる。
そしてRCがつばめの動きを止めた隙に先程のゴーレムが後ろからレールガンを放った。
超音速の弾丸がディスタンの背中を突き立ち、衝撃がコクピットを襲う。
「あぅ!」
そしてゴーレムが第2射を放とうとしたが、
「おっと旦那、そこまですぜ」
シロウがゴーレムにツイストドリルを叩き込んで妨害する。
「鈴葉さん!」
「フフーフ。今日の私は激しいよ? 滾る魂が二重螺旋に織り込まれているからねぃ」
そして浪漫系武器のドリルを装備してハイテンションになっているシロウがゴーレムにドリルの連続攻撃を放つ。
初撃で盾を弾き、2撃目で開いた脇腹を抉り、フィニッシュに顎を狙ったアッパーが胸部装甲と顔面を削り取る。
だがシロウの攻撃に耐えたゴーレムは大剣を振り降ろし、肩部から大腿部まで切り裂かれた。
皿に逆袈裟に振り上げられた刃が右腰から左肩まで切り裂き、引き戻して放たれた突きが胸部装甲を貫き、背中まで抜ける。
コクピット内に紫電が走り、自慢の毛皮が少し焦げた。
「おぉう! なんてこったぁ!」
シロウは大剣の刃にドリルを叩き込んでへし折ると、そのまま一気にゴーレムの懐に飛び込む。
「魂ィィィィ!! KUMAドリル・ブレイク!!」
そして猛回転するブレイクドリルをゴーレムの胸に突き立てた。
ドリルと装甲の間で甲高い掘削音と共に激しい火花が散り、ゴーレムの装甲に抉り、削り、破壊し尽くし、遂に背中まで抜ける大穴が穿った。
しかし、それでもまだゴーレムは健在だ。
ゴーレムは折れて短くなった大剣で雷電の右腕をブレイクドリルごと切断し、体当たりを食らわせて距離を取るとレールガンを撃ち放つ。
放たれた弾丸は雷電の中枢部を直撃。中枢部で発生した爆発は各部にも連鎖し、雷電は木っ端微塵に吹き飛んだ。
そしてゴーレムは目標を銀子に変え、レールガンを放ってくる。
銀子は建物の影でレールガンの威力に耐えながら、スラスターライフルでゴーレムの胸に刺さったままのブレイクドリルを狙い撃った。
ライフル弾はブレイクドリルを貫通し、内部の炸薬が爆発。ゴーレムの左上半身を吹き飛ばす。
「トドメ!」
銀子は続けてブリューナクを発射。
超音速の弾丸はゴーレムの右上半身を粉砕。ゴーレムは上半身を完全に破壊しつくされ、機能を停止した。
RCに喰らい付かれていたつばめは0距離からツングースカを放ったが対物理特化した皮膚には効果が薄く、HiDを振るって引き剥がそうともがいていた。
「九条院、そいつをそのまま抑えてろ!」
だがつばめの支援に来た亜夜は敢えてそう言った。
「はい」
つばめがHiDと盾を捨ててRCの首を抱え込んで動きを封じた隙に亜夜が横に回り込んで高分子レーザー砲を向け、つばめに当たらぬよう狙いを定めてトリガーを引く。
CWのジャミングで威力が減衰されているとはいえ、照射されたレーザーは対物理特化したRCの皮膚を易々と貫いた。
「今のお前にゃコイツでも痛ぇだろ!」
亜夜はそのままレーザーを連射、RCの体表に無数の穴を穿ってゆく。
RCは全身の穴から体液を噴き出し、血塗れになった体を弛緩させるとその身を地面に横たえ、絶命した。
「へっ、油断禁物だぜ!」
一方、石榴もHWの厚い装甲や盾に苦しみつつも何とか撃退していた。
その頃、透夜は新居と手短に打ち合わせをしていた。
「チャンスは一度きりだ、いいな」
「はい」
新居は透夜の真後ろに移動するとブレス・ノウを発動してリニア砲を構える。
「行くぞ!」
そして透夜はブースト機動で再びメカRCに挑みかかった。
『これでトドメ‥』
愛子はプロトン砲を透夜のディアブロに向け、発射態勢を取る。
「今だ!」
透夜はプロトン砲に光が灯った直後に合図し、機体を地面すれすれまで屈ませた。
すると、合図と同時に新居が放っていたリニア砲がディアブロの頭上を通過。
愛子にはいきなり眼前に弾頭が現れた様に見えたが、装甲で弾けると考えていた。
しかし弾頭はメカRCの口に飛び込み、アグレッシヴ・ファングを付与された弾頭は口腔内を破壊し、後頭部を突き抜けた。
『え?』
「新居の攻撃なら効かないと思ったか? 油断しすぎだ!」
その間に透夜がメカRCの懐に入り込み、HiDで胴体部を袈裟斬りし、建御雷で首を斬り裂く。
『こいつっ!』
透夜は更に剣戟を見舞おうとしたが、愛子は地面を蹴って体当たりを喰らわす。
「堪えろ!」
透夜は踏ん張ろうとしたがディアブロには既にそれだけのパワーは残っておらず、吹っ飛ばされた。
『ここまでね』
そして愛子の放ったプロトン砲がディアブロの足を撃ち抜き、片膝をついた所で頭部を破壊し、両腕を撃ち抜き、最後に胴体部を破壊してトドメを刺したのだった。
『‥次はお前の番よ』
愛子が新居にプロトン砲を向ける。
「くっ‥‥」
新居一人では勝ち目はないが、最後まで戦い抜く覚悟はあった。
だがその時、β班が次の北側で戦闘を始め、それが愛子にも伝わった。
『CWが‥』
愛子はメカRCを回頭させ、北に向かって走り出す。
「待て!」
新居は後を追うか迷ったが、α隊との合流を優先して移動を始めた。
元いた建物に到着した愛子は屋上に跳び上がって眼下を見下ろした。
そこには既に破壊された後のHW、TW、ムカデ、CWの残骸が広がり、その中に3体のKVがたたずんでいた。
「CWは倒しましたよ。一足遅かったですね」
周防がスナイパーライフルをリロードしながら告げるが愛子から返答はない。
「アルゲディは堕としました‥此処で貴方にも舞台から降りて貰いましょう‥‥」
『あなたって確かアルゲディにコテンパンにやられて地面に這い蹲ってったって聞いたわよ。なのにまるで自分が倒したかのように言うなんて、恥ずかしくないの?』
「‥‥」
愛子に嘲られて不愉快ではあったが無月は冷静さを失わなかった。
「小野塚、一つだけ‥教えてほしい。君は今まで心から笑える瞬間があったのか?」
『あるわよ。リリア様に救われて、リリア様から必要とされた時、あたしは心の底から嬉しかったわ。それが何?』
愛子の心は未だリリアの元にある。
「‥‥そうか」
そう思ったリヴァルは愛子を倒す覚悟を決め、先制のマルコキアスを掃射した。
愛子は易々と回避したが、回避機動を読んで放った周防ノスナイパーライフルがメカRCの装甲に穴を穿つ。
その隙に無月は地面を蹴って建物の上に飛び乗り、ブースト機動で一気にメカRCとの距離を詰めると雪村を抜き、光の白刃でメカRCを凪ぎ払う。
しかし愛子は慣性制御装置を作動させ、後ろに滑る様な機動で雪村を避けた。
無月はメカRCの動きに合わせてロンゴを突きだしたが、身を捻って避けられる。
そうして無月の攻撃を凌いだ愛子はプロトン砲を連射。
赤色の超高熱光がミカガミの装甲を融解させながら貫通し、胴体部の5つの大穴が穿たれた。
「くぅ‥‥」
まだ戦闘は可能だが、機体ダメージは既に危険域だ。
無月はミカガミが片膝をついた体勢のままM−12強化型帯電粒子加速砲を発射。
愛子は慣性制御で横にスライドして避けたが、モニターは粒子砲の光で一瞬白く染まる。
その隙に周防とリヴァルも建物に飛び乗り、無月がGPSh−30mm重機関砲を、周防がツングースカを、リヴァルがマルコキアスを乱射し、メカRCにY字の集中砲火を浴びせかけた。
愛子は慣性制御を駆使したが数千発にも及ぶ銃弾の嵐を避け切ることは出来ず、メカRCに無数の弾痕が刻まれ、動きも少し鈍る。
その隙を逃さず、リヴァルはHiDと練剣「白雪」で縦横に斬りつけた。
だが愛子は身を捻り、屈み、後ろに跳ねて避ける。
しかし着地地点を狙って無月がロンゴで突く。
愛子は慣性制御で横にスライドして避けたが無月はそのままロンゴを横に薙ぎ払う。
愛子は地面を蹴って飛び上がり辛くも避けたが、浮いたメカRCを周防がエニセイで狙い撃つ。
『くぅっ!』
重いエニセイの砲撃を受けたメカRCは建物に屋上に落下。そこに無月のミカガミが滑り込み、雪村を一閃。
光の白刃はメカRCの胴体部の右脇に入り込み、そのまま左脇まで抜ける。
その直後に傷口から紫電と共に大量の体液が噴き出した。
「‥止めです」
無月が雪村を上段に構え、一気に振り下ろす。
『調子に乗るな!」』
しかし愛子は完全に振り切られる前に首を伸ばしてその腕に喰らいつき、雪村ごと腕を引き千切った。
無月は咄嗟に左手の内臓雪村を伸ばしたが、愛子はメカRCを旋回させ、尾でミカガミの足を薙ぎ払う。
「しまった!」
無月は宙に浮いたミカガミをバーニアを吹かして制御しようとした。
『死になさい』
しかしメカRCの放ったプロトン砲がミカガミを貫通。
中枢部を撃ち抜かれたミカガミは屋上に叩きつけられると同時に爆散した。
だが、ミカガミの爆炎を突き抜け、リヴァルがHiDを構えて突進してくる。
愛子は咄嗟にプロトン砲を連射。直撃を受けた装甲が泡立って融解してゆく。
けれどもPRMを抵抗モードで全開まで使用していたシュテルンは内部機構にまでダメージを受けずに済んだ。
『ちっ!』
愛子は慣性制御でリヴァルの攻撃を避けようとする。
しかし慣性制御は働かなかった。
『どうして?』
何故なら無月は雪村の一撃は慣性制御にまで及んでいたからだ。
リヴァルはバーニアを吹かして一気に加速し、HiDでメカRCの傷口に深々と刺し貫いた。
そして白雪をプロトン砲に突き立てて切り裂き、使用不能にする。
『こいつ!』
愛子はシュテルンの胸部を爪で引き裂き、頭部を牙で喰い千切る。
しかしリヴァルは構わずメカRCにしがみついた。
「今だ周防!」
「了解」
リヴァルがメカRCの動きを止めている隙に周防がスナイパーライフルで次々と重要機関を狙撃して潰してゆく。
やがて周防が中枢部を撃ち抜き、メカRCが完全に動きを止めた瞬間。
「小野塚! お前の居場所は俺達が作ってやる。だから戻ってこい!」
リヴァルは愛子のいるコクピット部を強引に摘出してその場から離脱する。
その直後にメカRCは爆発、四散した。
こうして戦闘は終了し、愛子は傭兵達の手に落ちた。
「‥‥石榴と話がしたいわ。降ろして」
コクピットを開いた愛子がリヴァルに言う。
「それは‥‥」
「うん、分かった。今降りるよ」
リヴァルは判断を迷ったが、石榴はアッサリ快諾してコクピットから降りる。
「おい、待て!」
「もし逃げる素振りを見せたら殺してくれて構わないわ」
愛子は護身用の短剣も捨てた。
「‥‥分かった」
リヴァルは無線で仲間達と手短に相談し、愛子を地面に降ろす。
新居、周防、銀子が油断なく愛子に銃口を向け、亜夜とつばめが周囲を警戒する。
愛子はそれらを気にする事なく石榴に歩み寄った。
「愛子ちゃん、約束どおり私と来てくれるよね」
石榴が笑顔で愛子を誘う。
その表情は愛子が絶対に約束を守ってくれるだろうと確信しているかの様だった。
「石榴‥‥あたしは今でも人間は嫌いよ。醜く汚く残酷で最低最悪の生物だと思ってる。でも‥‥」
愛子は一旦口を閉ざし、石榴を見た。
石榴は変わらず信頼と笑顔を愛子に向けてくれている。
「あたし‥‥アナタになら、投降してもいいわ」
「ありがとう愛子ちゃん、嬉しいよ♪」
石榴が満面の笑みを浮かべて愛子の手を取った。
そんな2人の様子を見て他の者達も安堵した、その時。
ボン
鈍い音と共に愛子の胸が弾け、血が噴き出した。
「‥‥ぇ」
「なに‥これ‥‥?」
血しぶきが石榴の顔を濡らし、愛子が信じられないといった顔で弾けた自分の胸を見下ろす。
「ゴホッ!」
そして愛子は大量の血を吐き、ゆっくりと倒れていった。
「あ、あっ、愛子ちゃん!!?」
石榴は大慌てで愛子を抱き止めると、胸の傷を押さえた。
しかし胸から噴き出す血は止まらず、石榴の手を真っ赤に濡らしてゆく。
「なに? なにこれ? どうなってるの?」
何が起こったのかさっぱり分からず石榴がうろたえる。
「狙撃されたのか?」
「いや、今のは身体の内側から炸裂した様に見えた」
「という事は‥‥体内に爆弾が‥?」
「‥‥ふっ」
不意に愛子が石榴の腕の中で自嘲気味な笑いをこぼす。
「そこの男が言った通りだったのよ‥‥。リリア様にとってあたしは‥替えの利く部下の1人でしかなかったって事‥‥。だから投降した途端‥殺された‥‥。そういう事なのよ、きっと‥‥」
「そんな‥‥」
つばめは救急セットを手にしてコクピットから飛び降りると愛子に駆け寄って治療を始めた。
しかし
(「ひどい‥‥」)
それは救急セットでどうにかなるような傷ではなかった。
「母に‥裏切られ‥‥父に‥裏切られ‥‥先生に‥クラスメートに‥世間に‥敵に‥そして最後は‥‥一番‥信じていた人に‥裏切られた‥‥。結局‥‥あたしの人生は‥裏切りの‥連続‥‥」
愛子の瞳に涙が溢れ、頬を流れた。
「そんな事ない! 言ったでしょ、私は絶対愛子ちゃんを裏切ったりしない、未来なんて望むだけある! 友達だって私が一緒に居るから大丈夫! こんな傷だってすぐ治るよ!」
石榴は言葉にすればそれが現実になるかの様に愛子に語りかけ続け、つばめも必死に治療を続ける。
だが、つばめにできたのは傷口を包帯できつく縛って鎮痛剤を投与す事ぐらいだった。
しかし縛った包帯もすぐ血で染まってゆく。
(「ダメだ‥私じゃ‥‥助けられない‥‥」)
つばめは周囲の仲間達を見渡したが、この場に『練成治療』を使えるサイエンティストはいない。
石榴は両手でまた傷口を押さえたが、愛子の命は石榴の指の間から次から次へと零れ落ちてゆき、止める事ができない。
「‥石榴‥‥あたし‥ね‥‥温もりが‥欲しかった‥の‥‥ホントは‥‥友達と‥‥おしゃべり‥したり‥とか‥‥一緒にお弁当‥‥食べたり‥とか‥‥放課後に‥‥寄り道‥したり‥とか‥‥そんな事に‥‥憧れてた‥‥」
「そんなの私とこれから幾らでもできるよ。一晩中だっておしゃべりするよ。お弁当も毎日だって食べてあげる。寄り道するお店もいっぱい知ってるよ。私だって愛子ちゃんにして欲しい事いっぱいある。メイド服だけじゃなくて、チャイナ服とかナース服とか巫女服とか、着て欲しい衣装は一杯あるんだよ」
「ふふっ‥」
それを聞いた愛子が本当に可笑しそうに笑った。
「‥ねぇ‥‥石榴‥‥もし‥あなたが‥‥あたし‥の‥クラス‥メート‥‥だったら‥‥きっと‥‥あたし‥の‥‥人生‥‥違っ‥‥‥て‥‥‥‥」
その言葉を最後に愛子の息は細くなり、完全に止まった。
こうしてバグアの強化人間、トリプル・イーグルの一人であった小野塚 愛子の18年の生涯は幕を閉じたのだった。