●オープニング本文
前回のリプレイを見る 幽霊船弾、破壊!
その戦果はUPC本部に送られ、兵士たちの意気は上がった。
少なくとも、爆弾の司令塔たる存在「パラサイト」のみならず、兵士たる「クモ」「キリグモ」すらも鹵獲に成功したのだ。
調査班にまわされたそれらは、驚くべきメカニックだと、技術者・研究者たちを驚かせた。
だが、豊後水道海域の幽霊船弾は、また一掃されたわけではない。そして、そこの浅薄航行もまだ、許可は下りていない。
ではあるが、すでにUPC海軍に恐れは無かった。高度からの爆撃や、ミサイルによる長距離からの攻撃により、すでにそれらを破壊することを覚えていた。実際、それで今まで出現した幽霊船弾を破壊することもできたのだ。
その最中、鹵獲した「パラサイト」、および「クモ」「キリグモ」の調査結果が出た。
「諸君。‥‥諸君らが捕獲したこれら『幽霊船弾』の調査報告が出たので、簡単にここで説明しておく」
毎度おなじみとなった、司令官の顔。やはり毎度おなじみとなった、会議室の壁に、大きな映像が映し出されていた。
「さて、これだ。幽霊船弾3種『パラサイト』。これが船のコントロールを奪取し、命令を受けて船を動かす‥‥という事は、説明するまでもないな」
映像が消え、別の映像が映し出された。
「これは、『パラサイト』の機能を説明した映像だ。これを見るがいい」
分解された「パラサイト」が、まるで解剖された生物の死骸のように部品を広げられている。
「分析の結果、これはやはり司令塔として機能していた。船舶の制御コンピューターに強制侵入し、コントロールを奪う。それだけでなく、『クモ』『キリグモ』の制御も同時に行っていた」
映像には、「パラサイト」を介して動く「クモ」の様子と、その結果のレポートが映し出される。
司令官が説明したのは、以下の内容であった。
:『パラサイト』が、幽霊船弾システムの中枢。バグアは基地から、『パラサイト』を介して、『クモ』『キリグモ』、そしておそらく『マブチ』をもコントロールしていると推測。
:『パラサイト』が『クモ』に偽装して運用しているのは、移動のみならず、最初に攻撃されないためのカモフラージュも兼ねている。
:もっとも、『マブチ』に関しては半自律行動が可能、さらに、『パラサイト』を介さず、基地から直接稼動させられる事もできるような報告を受けている。
:だが少なくとも、『クモ』を動かしているのは『パラサイト』である事は確実。
「だが、バグアは我々が鹵獲し、さらに反撃を開始した事を受け‥‥どうやら攻勢に出始めた様子だ」
今度は、警戒海域の映像が流れる。それには、数多くの沈没船、行方不明船、それに奪取された船舶などが、自力で航行している様子が映っている。例外なく、その全ては幽霊船弾と化していた。
「バグアはどうやら、豊後水道のこの海域に(そう言って、地図を映し出した)、幽霊船弾を集結させつつある。奴らの目的は、宮崎県沿岸部の広域破壊と、日向灘およびその近辺海域の制海権と見て間違いなかろう」
当初は、ゲリラ的な作戦を用い、UPC、および地球人類の船舶を奪取。そうして知られる事なく制海権の奪取を図っていた。
が、幽霊船弾そのものが露見したため、今度は物量作戦にて、日向灘を海から制圧。そしてそこから上陸し、バグアの勢力圏を拡大する、ということか。
「これらの兵器が大分、そして瀬戸内海方面へと進軍し、さらに『上陸したら』どうなるか。まさに危機的状況だと言う事は説明するまでもなかろう」
上陸。その単語が、重くのしかかる。
司令官が言うには、分析した結果。『クモ』はヘルメットワーム・アームズオプションの技術などを用いて多少の改造を施せば、地上での運用も十分可能だというのだ。当然、『キリグモ』も同様。強力な歩く爆弾部隊、そしてレーダー使用不能・視界不良となる濃霧を陸上で、それも戦闘地域で発生させられたらどうなるか。言われなくとも想像がつく。
「かてて加えて、『パラサイト』も陸上を移動し、たとえばレーダー基地を乗っ取ったら。情報戦でも圧倒的不利になる。ゆえに‥‥」
と、司令官は一息おいた。
「ゆえに、今回これらを殲滅する。それが今回の任務だ」
壁の映像が切り替わる。今度は、緑がしたたるどこかの山奥といった趣。
「大分県佐伯市、深島。日向灘に存在している島だ。かつては、美しい自然の国定公園として知られていた。『パラサイト』が受信していた電波を逆探知した結果、この付近から発信されていた事が判明した。そこから更なる調査の結果、島の外海側の海岸、ないしはその地下に基地が存在する事が判明した」
「今回の任務にあたり、諸君らは二つのチームに分かれてもらう。一つは、幽霊船弾へと攻撃を仕掛けるアルファチーム。そして、深島基地に侵入するブラヴォーチームだ」
任務内容は、以下の通り。
:アルファチームは、ナイトフォーゲルにて、集結した幽霊船弾へ直接攻撃を行う。そうする事で敵の注意をひきつける。
:おそらく敵は『キリグモ』で濃霧を張り、レーダーを使えなくする事だろう。あくまでも目的は陽動、敵の数が多いため、非常に危険な戦闘となることは必至。
:敵に本意を感づかれぬように注意。これがUPCの本格的な攻略戦ではなく、たまたま敵を発見したために攻撃した‥‥と思わせる事が重要であり必要。ブラヴォーチームが潜入していると気づかせないように、派手に立ち回ってもらいたい。
:ブラヴォーチームは、バグアが気をとられている隙に、島の反対側から上陸し、潜入する。
:基地内部には、全『パラサイト』をコントロールする装置が設置されているので、それにウイルスを仕掛けて欲しい(既にウイルス、ないしはそれが入ったデバイスは用意してある)。そうする事で、幽霊船弾に自滅させられるように命令させ、連鎖的に全滅させる事が可能となる。
:偵察部隊が、複数の侵入口と内部の情報を持ち帰ってきたが、それらも確実とは言えない。決して存在を気づかれる事のないように、十分に注意に注意を重ねるように。
「これで、幽霊船弾という兵器を、完膚なきまでに叩き潰せれば万々歳だ。それも、君たちの働きにかかっている。もしもこの任務に参加してくれるならば、急いでくれたまえ。諸君らの活躍に期待する」
●リプレイ本文
それは、まさに幽霊船「団」。
操舵する人間はなく、船内に生命はない。それでいて、まるで乗組員がいるかのようにそれは動き、波間を切って進んでいる。
巡洋艦をはじめとした軍用艦や戦闘艦は、砲塔やミサイル発射装置などの武装をきらめかせ、すぐにでも砲撃を始めようと待ち構えているよう。種類も古さも様々で、この場に居るだけで過去の世界大戦から現在の最新鋭艦までを一望できた。
戦艦や軍艦のみならず、民間団体が用いる船もまた、そこにはあった。タンカー、漁船、客船、調査船、フェリー、運搬船。それらは命亡き巨獣が、邪悪な魔法によって再び歩き出したゾンビがごとき。乗組員という「生命」を乗せず動く、「死」そのもの。鋼鉄の生ける屍。
それらは、動いていた。バグアの放った寄生虫、ないしは寄生虫の名を冠された爆弾に。
その内部には、クモの形をした怪物。そして艦の底部には巨大な魚雷。
それらの一個師団が、海を、海域を蹂躙していた。
だが、いつの世もそうであるように。蹂躙する支配者に、立ち向かわんとする者は存在した。
「深島沖海上、約10kmの地点に幽霊船弾確認! ナイトフォーゲル・アルファチーム、全機発進!」
RB−196・ビーストソウルを愛機とする眼鏡の美女、藤田あやこ(
ga0204)。彼女の声とともに、戦場を駆ける鋼の機体が、敵を求めて戦場へと向う。
輝ける太陽神・インディの名を冠するXF−08D・雷電。それを駆る、天空を舞うマタドール、ホアキン・デ・ラ・ロサ(
ga2416)。
CD―016・シュテルンの操縦者にして、死と狂乱の友、バグアへの死刑執行人、ゼラス(
ga2924)。
藤田と同じ機体、RB−196・ビーストソウルとともに、水龍が如き力をみなぎらせた拳士、威龍(
ga3859)。
GF−M・アルバトロスに搭乗する、熱い心のクールな戦士。ヒューイ・焔(
ga8434)。
H−223B・骸龍という力の使い手、美黒・改(
gb6829)。
「全機、異常なし。レーダーに目標確認!」
アルファチームのナイトフォーゲル、ないしはそのレーダーには、多くの光点が写っていた。それこそが、彼らが戦ってきた相手、死と絶望をもたらす船‥‥幽霊船弾。
それは邪悪なる獣のように、アルファチームに、そして人類に牙をむけていた。
「全機散開、これより攻撃開始!」
「「「「「了解!」」」」」
同時刻、深島・西南部海岸。
「‥‥時間です。始まったようですね」
時計を確認し、ブラヴォーチームの三名は目を細めた。
篠崎 公司(
ga2413)は、借りた水中スクーターを隠しつつ、陽動に回っている仲間たちの事を思った。
「‥‥よし、これで少しは女神様も微笑んでくれるだろうよ」確信したかのように、M2(
ga8024)が言葉を放つ。
GooDLuck、幸運を呼ぶ力。それは微々たるものだが、後に大きな結果をもたらす事になるかもしれない。そうなってくれる事を、M2は、そしてM2の仲間たちは願っていた。
クレア・アディ(
gb6122)。暗闇の中、ダークスーツに身を包んだ彼女は、その美しい銀髪が暗闇の中に映える。あたかもそれは、闇にとどいた一筋の光のよう。
それは、はかなげで今にも消えそうなほど。しかし、光は諦めを知らぬ瞳で目標を見据えていた。
バグアの基地へ潜入し、幽霊船弾をコントロールしているシステムにウイルスを注入する事。それを行えるのは自分たちだけ。ならば、それを行わなければ。
クレアは、己の心が引き締まるのを感じた。
正直まだ、暗闇と幽霊は怖い。けど、これに失敗した後の事を想像すると、それが本当になってしまう方がもっと怖い。
「‥‥それでは、二人とも。行くぞ?」
M2の言葉に続き、彼女は促した。
UPCとの作戦立案と具体的な実行計画。ホアキンは、その事を思い出していた。
準備は既に整っている。周辺海域の情報、岩礁や地形、潮流の方向などを確認し、それに伴った作戦行動が立案されていた。
遥か後方、宮崎県島浦島の小池ノ鼻付近には既に空母が待機しており、離着陸する後方拠点として確保されている。また、そこからブラヴォーチームを回収する救助ヘリも発進する手はずも整っている。
ウイルスによる汚染後、バグアの基地へと進攻するか否かを確認したが、それは却下された。なんでも、歩兵部隊を派遣し、そこを出来るだけ無傷で制圧し、調査して情報を得る予定とのことだ。
全ては整った。後はそれを予定通りに実行できるかどうか。それはこれからにかかっている。
そのような物思いの中、先制攻撃する者がいた。
「騎兵隊の到着〜♪ ひょほほ! 行けえ!」
高高度からの爆撃。それが嘴口となり、幽霊の何体か、あるいは何隻かが昇天した。
空飛ぶ死神、ゼラス。彼の放ったアハトの攻撃が、一隻の幽霊船弾を破壊したのだ。
「‥‥てめえらが殺した人々が味わった恐怖と絶望を、きさまらにもたっぷり味あわせてやる‥‥‥人類の恐ろしさを、俺たちの恐ろしさをなぁぁぁぁ〜〜〜〜ッ!」
死を相棒、狂乱を友とするゼラス。その一撃を受けた船の何隻かが、動き出した。
「敵は、かなり広く間を開けて、艦の隊形を組んでいるようね‥‥。密集する事で、全てを誘爆させるのを防ぐため、かしら?」
己の予想は、それほど間違いではなかろうと藤田は思った。
そのせいか、「クモ」同士の間も開いている。水中に機雷のように展開しているものも少なくないが、あまり密集しすぎると自滅を招きかねない。ゆえに、量を考えて適度に展開しているのだろう。
既に水中には、船を持たない「マブチ」の姿もある。それは、「クモ」を周辺に漂わせ、いつでも出撃しそうな雰囲気をもかもし出している。
見ると、「マブチ」に似ているが、「マブチ」よりも小型のものも見えた。おそらくは小型の船舶用だろう。小さくなり出力が劣るものの、小回りが利くタイプに相違なかろう。
『こちらゼラス! クソ野郎どものクソ玩具が動き出したぜ。見たところ、全ての艦船に「パラサイト」が寄生済みだ』
藤田に、そして他の皆の通信機へと、ゼラスからの通信が入った。雑音交じりで、聞き取りにくい。
「現在の状況は?」
『一発でかいのをお見舞いしてやったら、何匹かの「キリグモ」が海上にて霧を発生させはじめた。じきに通信は効かなくなるだろう。だが、陽動は成功している。もう二・三発ほど食らわせてやったら、間違いなく食いついてきやがるぜ』
「了解、現在のところ作戦通りね。その調子で頼むわ。通信終了(オーバー)」
『了解! 通信終了(オーバー)!』
ゼラスとの通信が終わると同時に、前方から迫るものが。
一瞬彼女は焦り、時間をかけて己を落ち着かせた。いささか時間をかけすぎた、10秒もかかったたのだ。
そして、即座に行動に移った。
「はっ!」
D−06・スナイパーライフル。長い銃口からの狙撃が、迫り来る「マブチ」を打ち抜く。タイミングよく打ち抜かれた爆弾は、まるで狩りでしとめられた獲物のように爆発し、果てた。
だが、それでも全ての「マブチ」をしとめたわけではない。射撃と爆発をかいくぐった何発かが、ナイトフォーゲルを破壊せんと迫り来る。それを回避するは不可能。
そう、藤田のビーストソウル一機のみならば。だが幸いにも、今の彼女には仲間がいた。有能にして、頼りになる仲間たちが。
藤田と同じ機体、威龍が搭乗しているビーストソウルが、R3−0対潜ミサイルを発射したのだ。水中を切り裂き、水中を突き進むそれは、藤田がしとめ損ねた「マブチ」へと突き刺さり、爆発させた。
見ると、水中の「マブチ」が次々に破壊されていくのが確認された。どうやら、水上の味方もともに戦い、成果をあげているようだ。
それを見て、藤田は勇気がわき、力がみなぎる。恐怖と絶望に陥りそうな自分が消え、戦いへの力がみなぎる自分が現れるのを実感していた。
「美黒さん、ナイスアシスト!」
「おりゃぁぁぁぁ! まとめてあの世へ行きやがれー‥‥なのであります!」
おりしも、海上には濃霧が発生し、視界を奪われた状態に。そこへ空中からの攻撃者が、攻撃をしかけてきた。
「空対潜ミサイル! 水深5mに設定したのを食らえなのです!」
投下し、そして轟音と水柱が立ち上がった。水中の『マブチ』が爆発に巻き込まれ、爆発し果てた事は言うまでもない。
レーダーにはそれは映らぬものの、轟音と水柱により成功した事を美黒は知った。
基地の入り口、それは思った以上に小さく、狭い。
が、三名はなんとかそこからの侵入に成功した。
篠崎とM2に続き、クレアが基地の通風孔と思われる場所から入り込み、そして内部に潜入できたのだ。幸いにも、まだ気づかれては居ない様子。
「ここは‥‥?」
内部の様子に、クレアは驚きを隠せない。どうやらここは、かつて鉱山かなにかで、人類が掘り進めた穴にバグアが入り込んでいたのだ。
それが幸いして、内部に監視用のカメラなどはない。かび臭さと澱んだ空気が充満し、クレアはちょっとだけいやな気分を味わっていた。
「どうやら、内部に侵入は成功したようですね。ならば、次は‥‥」
「決まっている。コンピューターを探しあて、そこにこいつを用いるまでの事」
M2が、篠崎の言葉をつないだ。そう、手元にあるウイルスが入った小型デバイス。これを、「パラサイト」をコントロールするコンピューターへと接続しなければ。
「ええ、行きましょう!」
まだ状況は、限りなく不利。しかしそれでも、弱音を吐きたくはないし、吐くつもりも無い。クレアは無理矢理元気欲、うなずいた。
ファイヤーパターンが描かれた、ヒューイの機体。GF−M・アルバトロス。
その塗装が功を奏したかは知らないが、ともかく現在のところは、船はヒューイへと向っている。幽霊船弾をあやつるバグアたちにとって、目立っている事は間違いなかろう。
だが、次第に攻撃が激しくなってきた。数体の『クモ』を倒し、その爆発に耐えたとはいっても。新たな『クモ』が迫ってくる。
逃げ切れず、被弾した。幸い、それほどひどいものではない。
「ちっ、きりがない!」
だがきりがなくとも戦わねば鳴らず、それが現時点でモンスターを誘導している。ガウスガンによる一撃が、また決まった。
しかしこのままでは。当初の作戦がうまくいかず、数の前に倒れこむといった事が出起きてしまう。
「まだかっ‥‥!」
アルバトロスのッボディペイントが、ひそかに疲れと焦りを感じさせるそれと化している。
そうこうしているうち、とうとう完全に囲まれてしまった。
「くっ、これは‥‥!」
焦ってみても、もはや手遅れ。
これまでか。そう思った矢先。
「!? これは?」
全ての艦の動きが、めちゃくちゃになり始めた。
驚いている。
脱出する際に、皆が例外なく驚いているのが、クレアにはわかった。
深島の基地に入り込み、そこでウルトラサイズのコントロール装置が発見された。そして、それに篠崎とM2は、持ち込んだモバイルからのウイルスを注入し、幽霊船弾を操った‥‥。
バグアの連中は、すっかりパニック状態に陥っていた。もはや、コントロールを回復する事は不可能。そして、爆弾を用いて船団を組織する事は、不可能となったのだから。
全ての「パラサイト」は、誤りの情報を事実として受け入れた。即ち、「外海に出て自爆しろ」という命令を聞くようになってしまったのだ。
幽霊船弾の、最後の一機。それがそのような最後を迎えるところまで、藤田は、皆は見守っていた。
「こちら、ブラヴォーチーム、クレア。アルファチーム応答して」
クレアからの連絡が、みなの通信機へと入ってきた。
「作戦成功、今、ヘリにて撤退中です」
「こちら、アルファチーム、ホアキン。感度良好」
クレアに対し、ホアキンが答えた。
アルファチームのKVも、どれもが傷つき、くたびれていた。が、任務の成功とともに、それは苦しみの痕のみならず、誇らしき勲章と化した。
ホアキンの機体も例外ではない。が、彼らの尽力により、幽霊船弾は二度と誰かを脅かす事はないだろう。
そして、このミッションに参加した者たちにより、それは成し遂げられたのだ。ホアキンもまた、それを思い誇らしげな感情を覚えた。
「任務完了。これよりアルファチームも帰還する」
見ると、東の空に朝日が昇っていた。
この戦いが、人類にとっての夜明けにつながれば、そう思う、ホアキン、そして皆であった。