●リプレイ本文
●午後
「まぁね。物心ついたときにはもう猫が遊び友達だったし。ある意味どんな友人よりも付き合い長いかも」
新条 拓那(
ga1294)は石段を登る。シンプルな浴衣の袖の中には、ねこじゃらし、またたび袋、ササミジャーキーと猫と仲良しになるグッズも用意し準備も万端。にゃんこにとっては、なんと魅力的な袖だろう。
ひぐらしの奏でる声が合唱歌のように響いている。強い夏の日差しの中にも、僅かに秋の気配を感じ、空の青も少し遠く高くなったような気がする。
「野良ッ子の割に随分人懐っこいんだなぁ。きっと皆に優しくされているんだろうね、よしよし」
足元に肩を押し当てて、擦り寄って来るにゃんこに拓那は向かい合ってしゃがみ込む。にゃんこは早速、袖に前足を伸ばしてくる。
「野良ではないですよ。みんなうちで暮らしているのですよ」
そうツッコミが入る方向を見上げれば、九重・つかさ(gz0161)が赤白のツートンの巫女服姿で立っている。
「つかさちゃん、お久しぶりニャ☆」
飛びついて来たのはアヤカ(
ga4624)である。頭上に白い猫が器用に乗っている。
「あら? この子はアヤカさんの‥‥」
「だいふくにゃ」
そんな2人の様子を見ながら、瞬間、想い人の事を考えて拓那は少ししんみりする。
境内には既に出店が営業中で、麦わら帽を被った子達のわくわくと遊ぶ姿があちこちに見える。
「にゃんこ神社にやって来るのも、久方振りだな‥‥。キメラが立て続けに出没する怪現象も、暫くは収まっている様だし。にゃんこ達も、特に変りなさそうで安心した」
煉条トヲイ(
ga0236)はそんな様子に目を細める。
大規模な戦闘地域に比べれば話題に上る事も少ない場所、預かり知らぬ所で人々が苦しみ、手を差し伸べられない事は痛恨だろう‥‥。なにか手伝える事は無いか? とつかさに切り出してみる。
「そんな、皆様、折角遠くから来て頂いたのに、お仕事とかとんでもないです‥‥夜に食事会があるので良かったら、どうぞなのです」
●夕暮れ時
「どう? 似合う?」
前回見たのはいつだったか、岩崎朋(
gb1861)の奴の浴衣姿って言うのも久しぶりだなと、都築俊哉(
gb1948)が声のする方向に顔を向けると、夕日に輝く赤のなかに黄金に輝く向日葵が視野に飛び込んで来た。
始まりは数日前。
(「ふむ‥‥祭か‥‥こういうのは朋が大好きだろうから‥‥一緒に行くわよとか言うんだろうなあ‥‥」)
「にゃんこのお祭りか〜トシ! 行くわよ!」
俊哉がそんな事を思いながらディスプレイを眺めていると、突然目の前が暗くなった。
背後から顔を覆われたらしい。
「こんな事をするのは朋だけだな」
「当ったり〜、にゃんこのお祭りだよ〜トシ! 行くわよ!」
すぐに朋であると分かった。やはりと言うか予想通りの展開であった。
一秒に満たない刹那に、そんな出来事を思い出しながら、俊哉が現実に戻るとちょうど朋がくるりと一回転を終える所だった。
「ああ、可愛い、可愛い‥‥」
舞う布の隙間から見える肌は水晶のように透き通って吸い込まれそうなほどに美しい。
「トシの浴衣もきまっているわね。ん? どうしたの?」
俊哉の瞳に見つめられながら、朋は一瞬言葉に迷い。
「いや、何でも無い、それよりも階段気をつけろよ」
落ち着いて考えてみれば、布の赤と描かれた柄が夕焼けの赤光で増幅されて見えただけだろう。
「結構な人出があるものだな」
二人が手を繋いで階段を昇ると鳥居を潜る。参道の先には露店がずらりと並ぶ。楽しげなハレの雰囲気に誘われるのは親睦を深めたい男女だけではなく家族連れや子供達にとっても同様のようだ。
「金魚すくいやるわよ〜トシ!」
そのなかの一つ、金魚掬い露店にも浴衣姿の男女達が腰を屈めている。女性ばかりがポイ(※枠に紙が張られた金魚を掬う道具で水に濡れると破けやすくなる)を持って掬っている理由は謎であったが、周囲は段々と夜の装いを深め、水盤が、電球の光を明るく反射させ、そこにいる人々の無警戒な胸元を幻想的に照らしている。
そんななか朋も袖をまくって気合いを入れるとポイを利き腕で構えもう一方の手で椀を構える。
ポイで掬い上げた金魚が勢い余って無警戒な衿の隙間、朋の胸元へと飛び込んでゆく。
「あ」
「だいじょうぶ、大丈夫だって! 暴れると余計に金魚が奥に入っていくぞ!!!」
俊哉はそう言うと、今まさに共衿に手を入れんばかり朋の前に回り込んで、なんとか押しとどめる。
「そ、そんな事いったって」
パニックに陥った朋が地団駄を踏んだ瞬間。ぽろりと金魚が水盤に飛び込んだ。
そんな様子に2人は顔を見合わせて笑い合う。
(「たまにはこういう日もあっていいだろうしな‥‥ 」)
祭りはまだ始まったばかりである。
●境内の森
人の手がよく入った森。不自然に切断された木々が所々にあるのは今年の始め続けて起こったキメラとの戦いの傷痕である。だが、自然の持つ治癒力と人々の努力よって、それが戦いによるものだと連想づけることは難しい。
朔月(
gb1440)はそんな森の一画、薄明かりの中で待ち人を待つ。傍らでは上品で黒い毛並みをもつ狼犬のテンが俯せに寝そべり、無警戒に寄って来る猫達を相手に、時折、尻尾を振ったりしている。
スピーカーから鳴らされる音ではなく、人の手で鳴らされる津軽三味線や和太鼓の音が響く。
「腹が減ったから飯を買ってくるよ。お前等はココにいてくれ‥‥」
何処かで道草を食っているのだろうか? なかなか顔を見せない待ち人の事を気に留めながらも、朔月は小腹を満たそうと雑踏のなかを目指すことにした。
境内には近年になって加えられた猫の意匠が随所にみられるものの、南北朝時代から受け継がれてきた古い物も見られる。そんな時の重なりを確かめるように櫻杜・眞耶(
ga8467)は黒猫を抱いて歩く。黒猫の名前はクゥ、同じ日に拾われた2匹の子猫の片割れである。
「あらら‥‥偉い沢山の猫が集まっていること‥‥」
刹那、クゥが眞耶の腕を軽く蹴って地面に降り立つと走り出す。向かう先には、リュックから顔を覗かせている真っ白い毛並みの子猫。
「あまりしつこくするとチィに逃げられますよ」
チィとはリュックから顔を出していた子猫の事。そして、眞耶の言葉の通りにチィは、反射的な動きでリュックから飛び出ると、ちょこちょこと駆け出して地を蹴り、低く伐られた樹の切断面に飛び乗る。
「ほうら、いわんこっちゃない」
そんな事をいう眞耶に、ちょうど祭りならではの食べ物を抱えて戻ってきた朔月が微笑んでみせる。
「花火ですね、もう少し、よく見える場所へ‥‥」
ポンポンと弾ける音が響く度に、森の中の風景は幻想的に点滅する。
「ここでこうして過ごすのも悪くはないでしょう」
●祭り
篠森 あすか(
ga0126)は愛輝(
ga3159)の指先を優しく握る。
瞬間、空いっぱいに大きな花火が広がり、愛輝の浴衣の白い絣模様が紺の地から浮かび上がって、夜空に輝く星のように見える。その浴衣はあすかが愛輝に贈ったもので、お祭りへの参加は二人のかねてからの約束である。
「花火、綺麗だね」
言いながら、あすかは愛輝の指先が微かに震えていることを感じる。そして、握っていた指先に少し力を込める。
「そうですね」
と、僅かに眉間に皺を寄せながらも、愛輝は握られた指を包むように握り返す。
花火が上がるたびに周囲に歓声が広がる。
「愛輝君は、甘いの苦手だったよね」
屋台の一つに足を止めると、あすかはわざとお姉さんぶってそんな事を言う。ちなみに、あすかの外形年齢は26歳であり、充分にお姉さんに見える。
「ありがとうございます」
言わずもがな、なのか不器用であるのかは周囲の人間からは伺い知る事はできないが、愛輝はたこ焼きのトレイを受け取るとそれ以上は語らない。
「くすぐったいよね」
そこに生足が大好きなにゃんこが肩をすり寄せてくる。
石段に腰を下ろすと、たこ焼きを口に含める。青のりの鮮烈な香りに続いて鰹節の香味ソースの酸味が鼻孔に伝わり、瞬間、熱くとろけた出汁の効いた生地が舌の上から口の中いっぱいに広がる。そして茹で蛸のぷるりとした食感が口の中で弾む。
「これは‥‥普通に美味しいよね」
1秒に満たない刹那にたこ焼きに込められたおっさんのテクニックを感じながら、愛輝も頷かざるを得ない。
食べ物といえば他にも焼きそばや焼き鳥といったものからべっこう飴やりんご飴、ラムネやアイスクリームとお菓子までありとあらゆる種類が揃っている。食べ物の屋台だけでも100軒近くにもなる。
「これは、なかなか手強いぞ」
食べる事には自信のあるトヲイにとってもこれを制覇する事は至難の技だろう。一軒当たりの所与時間を5分程度としても8時間ぐらいは食べ続けなければならない。
「って、こら! それ俺の牛串! くそう、フランクフルトはやらんぞ!」
拓那はしこたま食べ物を買い込んで腰を下ろしたとところを、にゃんこの群れに襲われている。可愛がってくれる相手に猫は遠慮がないらしい。
「たっまやー」
アヤカは周囲であがる歓声を聞きながら、コーヒーを口に含んで一息をつく。
浴衣の黒地に描かれた金魚の柄が花火に照らされて美しく浮かび上がり一人佇むアヤカの全身を飾る。
(「だいふくは可愛いニャから、他のにゃんこ達に襲われたら大変ニャ‥‥」)
そんな事も心配しながら、だいふくを常に側に連れていた。他にも過去に事件が連発した神社だけに今回も何か起こるかも‥‥と、気がかりが絶えない。
「にゃっ!! だいふく!! そこに飛び込んじゃダメニャ!!」
金魚の水盤に飛とびこもうとうずうずするだいふくに気付く。アヤカの気持ちはなかなか休まらない。
金魚すくいので出店と神社の手水舎は近い位置にあり、手水舎にはコーヒーサーバが用意されている。
夜通しの祭りが快適に過ごせるようにと用意された物である。沢山出す為にコーヒーは薄くて不味いものであるが、一休みするには丁度良いため、祭りに訪れていた能力者達も集まって来ていた。
あすかは愛輝に内緒でお守りを用意しようと思っていたが、2人でずっと居たため手に入れる機会が無かった。
(「そうだ、あの人に頼めばいいかも」)
あすかはたまたまそこで出会ったリーフ・ハイエラ(gz0001)にお守りを買って来て貰えないかと相談してみる。
「お守りですね、OKなのですよ」
リーフはあすかに耳打ちするとウインクする。
●にゃんこ達の夜
外灯や祭りの照明のおかげで森の中でも歩ける程度の明るさになっているとはいえ薄暗い。
薄い闇の中に沢山の光る点が瞬きまたはこちらを向いている。
「猫がいっぱいいるわ」
散策していた天道 桃華(
gb0097)にゃんこだらけを実感し、うんうんと頷く。
桃華の背につけられた天使の羽根――浴衣『天使』帯のオブジェがかわいらしく揺れ、ぺたんこの胸のおかげでさらに可愛らしさが強調されている。
にゃんこの瞳には、網膜の奥に網膜を通る光を反射させて、もう一度網膜に光を送りかえす事で光を増幅させる輝板(タペタム)と呼ばれる構造物がある。にゃんこの目が光って見えるのはタペタムの働きである。
「こんな聖地のような場所があったなんて♪ はうっ!」
瞬間、するりと微弱な電流が身体の中を駆け抜ける感覚。下を見ると桃華の足首に肩をすり寄せる白黒の斑猫の目が青白く光っている。サンダル履きの生足はにゃんこ達の格好の標的であり割と良くある事である。
初めは膝に乗せたり、抱きかかえて撫でたりモフッたりして穏便に事が進んでいたが、やがて心を開いて貰おうと、餌付け作戦に出た事が裏目にでる。
「猫と仲良くになるにはコレが一番手っ取り早いわ!」
直後、にゃんこまみれとなる桃華。
ちなみに網膜の視細胞には、色を感じる錘体(すいたい)細胞以外に、光を感じる杆体(かんたい)細胞がある。猫には杆体細胞の数が人間に比べてずっと多いため、暗い場所であっても目が利く。つまり、にゃんこ達の目にはクマの柄なんかが見えているのかも知れない。
「うわっ、容赦ないわね」
通りすがりの朋が凄惨な光景に目を逸らすと俊哉の腕を掴む。
にゃんこはそこら中で人ごみに混じっているが、踏まれる事も無ければ、見境無く強請ったりしている事も無い。にゃんこには何かの約束めいた動きがあるようだ。
「お祭り♪ お祭り♪ にゃんにゃんにゃ〜♪」
ねこ鍋を作るために、両手で抱える程の大きさの土鍋を運ぶのはリュウナ・セルフィン(
gb4746)である。
「リュウナ様♪ 今日は、楽しみましょうね♪」
東青 龍牙(
gb5019)はリュウナに見守るような視線を向ける目を細める。
ねこ鍋のレシピは簡単で、猫が入れる大きさの土鍋に子猫だけである。
ねこ鍋と言っても、食べ物でも、虐待でも無く、単純に土鍋の中に猫が入っている姿が可愛らしく見えることに由来する言葉。土鍋はそういうマニアックなニーズに応えるため神社で用意されていたものである。
そんな様子に興味をもったのか、なめらかな毛並みの白い親猫と白黒の斑模様の子猫達が近づいてきた。春に産まれたばかりの生後3〜4ヶ月ぐらいと言ったところの子猫たち。
「にゃんこをモフモフするのら!」
モフモフするには毛が短いかもしれないが、リュウナはしゃがみ込むとにゃんこの背後から身体に触れようと手を伸ばす。
『なぁ〜〜ん』
甘く長い鳴き声を漏らし、脚を止めると、にゃんこはくるりと後ろに振り向き、足を甘噛みしようとする。しかし、堅いブーツに阻まれる。子猫に対して完全に優位に立ったリュウナは楽しむなりよ〜と、モフモフにかかる。
(「‥‥リュウナ様のモフモフ癖が悪化してる!」)
と、大粒の汗を流しながらも、龍牙は子猫がいやがっている様子もないので、まぁいいかと思う。そんな愛おしい様子を記録に残そうと龍牙は携帯電話についたカメラのシャッターを切る。携帯のカメラならばストロボも光らずに目に優しい。
「次はこれなのら」
相手が子猫であったため、にゃんこアイテムへの反応も無難に済んだリュウナは次の行動へと出る。
「リュウナ様それは‥‥どこから」
龍牙は笑顔で段ボールを組み立てるリュウナにそう言いかけて、踏んづけられたりしないように縁の下なんかに設置すると良さそうですねと言う。その言葉に、そうなのらと、リュウナは目を細めてはにかむ。
箱は醤油や素麺なんかが入っていたもので、猫が入って遊ぶにはちょうど良い大きさ。
誰もが猫と遊べるように神社で集めてあったらしい。
「にゅ? にゃんこが集まっているにゃ?」
場所を変えると、女の子がシートの上でにゃんこまみれになって仰向けに倒れている。
「人が!?」
龍牙も何事かと状況を見てみると、にゃんこと遊ぼうとして逆に遊ばれている桃華の姿だった。
「さぁ、徹底的に遊んであげるから覚悟しなさい♪」
こんな筈じゃなかったと思っているかもしれないが、桃華は休み無く与えられる猫の感触に我を忘れぬよう、引かぬ、媚びぬ、省みぬ! の高貴な精神で精一杯の強がりを見せる。だが、その強がりも限界に近い。猫ゆえに人は苦しまななければならないのだろうか?
(「さりげなく置くのら♪」)
そんな事を思いながら、悶える桃華の近くに段ボールをそっと置くと、面白そうなものに目がないにゃんこ達は、さっそく関心を示しはじめる。
「べ、別に、不覚をとったわけじゃないからな」
衽を伸ばして乱れた裾を直しながら、桃華がすっくと立ち上がる。
「猫が9で鍋が1ですね」
ヨグ=ニグラス(
gb1949)は地面に置かれた土鍋に子猫が入り込んでいるのを発見する。
「そうでした。猫グッズを何か考えて売れないか道中思ってたんでしたっ」
UPCの軍服を着た猫写真なんか、いいんじゃないかと言うヨグにリーフは。
「そうですね、学ランなら、別の猫さんがやっていましたし、どんな名前がよいのでしょうね?」
というと、小さく笑う。
土鍋を置いたあたりに人が立ち止まっている事に気付き、リュウナ、龍牙、桃華の3人が戻ってみると、鍋の中に丸くすっぽりと収まったにゃんこの姿があった。
「おーっ、入っている、入っている」
そんなねこ鍋の様子を思い思いに携帯のカメラで撮影したりしていると、今度は楽しげな南京玉すだれのかけ声が聞こえてくる。他にもがまの油売りや、バナナの叩き売りなどなど、様々な大道芸が始まった。
「ワタアメにフランクフルトに焼きそばに焼き鳥にヨーヨー釣り! 楽しむのらよ♪」
まだお楽しみは始まったばかりと、リュウナは龍牙の手を引く。
「リュウナ様が食べたい物は私がお代を払いますのでリュウナ様は楽しんで下さいね♪」
「それじゃ龍牙の欲しい物はなにかにゃ」
「そうですね、私は‥‥」
こういう雰囲気では好意は素直に受けるべきだろう。そして、リュウナさまと同じ物がいいですねと言葉を続ける。
「はい、龍ちゃん♪ あーん♪」
(「ま、今日は2人きりにしてやるか」)
見知った友達同士、屋台巡りにでも誘おうかと思っていたが、ちょっと疲れていたし、そんな楽しそうなリュウナと龍牙の様子を見て桃華は思う。
「ここは、足元注意のなのですよ」
そんな雰囲気の桃華に声をかけるのはソフィア・ブレア(gz0094)である。
(「‥‥にゃんこさん積極的です」)
おどおどした様子で戸惑っているのは沢渡 深鈴(
gb8044)である。実はにゃんこ達と静かに戯れて、可愛らしい様子をずっと見ていたいと思っていたが、露出した足首にすり寄る沢山のにゃんこ達の感触に落ち着かない。
ソフィアはそんな深鈴の様子なんかも例えに出して、にゃんこって生足が好きですよねと語る。
「ところで、赤髪のお姉さんは何歳なのかな?」
ソフィアに向かって桃華が口を開く。身長差は40cm以上もあるが、服装がとてもユニークに見えたらしい。
「21歳だけど、それが何か?」
刹那、ソフィアは桃華の視線が胸に向いていることに気付いた。
「いや、私といい勝負だと思ってな」
ソフィアは厳しい現実を突きつけられて大粒の汗を流す。
●夜の森の茶会
「なかなか来ないと思ったらこんなところで油を売っていたのね」
地面にしゃがみ込んでいたソフィアの肩にぽむりと掌が乗せられる。百地・悠季(
ga8270)である。生暖かく感じた左手の中指にはさりげなく指輪が嵌められいて、空で花火が弾ける度にキラリと輝く。
「とりあえず、こんなところでも何だからお茶でもしない?」
と、穏やかな笑顔でソフィアを誘う。
「それでは、再会はお茶会の後で、ですね」
と、リーフや桃華に別れを告げると、悠季とソフィアは森の中へ向かう。そこには周到に用意された簡易丸テーブル・椅子二脚のセットがあった。
「これは運ぶだけも大変だったのじゃない?」
「相変わらず斜に眺めているのかしらね」
‥‥ムードよりも、早速、実務的な事にツッコミを入れるソフィアを悠季は窘める。テーブル上のポットセットには麦茶が淹れられている。
「こちらも念願通り七月に結婚したのよね」
そう言うと左手の甲を身体の正面にし、自然な仕草でエンゲージリングの正面を見せる。
「それはおめでとうなのです!」
屈託の無い笑顔でソフィアは祝福の言葉を返す。そして、超高圧のプラズマの中で原子核の引き合う力がクーロン力に負けずに繋がり合う様な微妙な例を引き合いにだしつつ‥‥。
「元が可愛いんだから、何時までもそんな事をしてると、相手が見つからないわよ」
異性よりも異星、理工学系ギャルであるソフィアにとっては、恋愛よりも熱融合の方が好きらしい。
「こうしてると、今戦争中なのがうそみたいだね‥‥はうっ」
花火が上がると森の中は幻想的に点滅し、悠季の浴衣の柄が橙色に浮き上がる。
生足を狙って擦り寄って来るにゃんこ達をねこじゃらしで相手をしていると、とても穏やかな気持ちになってくる。
「あたし自身昔は犬、飼ってたけど、生き物世話するのは苦にならないから」
そう言いながら昇ってくるにゃんこを膝上に乗せて撫でる。
ゆったりとした雰囲気のなかソフィアも宇宙への夢やその為に作りたい何かについて語ったりする。
「あんまり見かけないと思ったら、ソフィアはそんな事を考えていたのね」
悠季はそんな夢を聞きながら、静かに麦茶を口に含む。
●それぞれの祭り
ごきげんな様子の大人達の歌声が聞こえて来る。
軍服姿の一団であることから恐らくは近隣の基地からやってきたのだろう。
ソフィアは他に着る服が無い訳でもなかろうに、軍人は服装に無頓着だという父・リチャードの言葉を思い出す。見た目ばかりを気にするのも問題かもしれないが‥‥。
下北半島は海峡を挟んで敵と対峙する北日本の絶対防衛線となっている。
そんな軍人達に混じって綿貫 衛司(
ga0056)の姿もあり、知り合いである三沢基地の植村大尉と最近の世界情勢なんかを語り合っている。
「これは‥‥流石に実直すぎるかもしれんな」
この手のお祭りには軍もなにかしら出していると踏んで、気になって見に来たが、大湊基地からの出し物は掃海艇や沿岸警備のジオラマとポスター発表であった。目玉は水中用のKV模型の展示であろうか。楽しいお祭りの雰囲気とはちょっとズレているが、それくらい真面目な方が頼りになる。
「異常なしみたいにゃ」
不審な事は無いかと目を光らせていたアヤカも、これだけの能力者が居れば大丈夫だろうと安心する。
楽しげなお祭りの雰囲気を感じながらも、立て続けに事件の起こった場所だけに心配になってしまう。
一度ならば偶然かも知れないが、二度以上の事には理由がある。キメラは自然発生しない。兵器であると考えれば、何者かの意図がある事は必然で、アヤカのそれは能力者としての正しい感覚である。
もし、何かが起これば、すぐに対応できるのは能力者である彼等・彼女等だけである。
「自分は悲観主義の癖があるんですがね、諦観はしない様にしています。諦めたら、そこで全てが終わってしまいますからね」
いつもは寡黙な衛司が珍しく心の内を話す。
「あんな海峡いつだって飛び越えてやるさ」
そんな弱気な様子を見せる衛司に植村は敢えて強がってみせた。離陸直後に函館基地を破壊された記憶が彼にそう言わせているのかもしれない。
「いつ、何処から風が吹き出すかは分かりませんから。心と体の準備を怠らない為の下準備ですよ」
と、言う衛司に、そうありたいな、と頷く土方。大尉である植村に作戦を立案する権限はないのであるが‥‥。
情報の少ない北日本の生の状況を知りたかった衛司が得られたのは現状がわりと安定している言う事だけだった。
土方はこのときは何も語らなかったが、泥縄の撤退劇をみせた北海道について不満を持つ者は多く、来たるべき奪回の時を目指して義勇組織が密かに結成されていた。
やがて夜が更けて、花火もクライマックスを迎える。世界一大きいと言われる滝と同じ名前を付けられた仕掛け花火が夜空をカンバスに光の粒でダイナミックに流れ落ちる滝を表現する。ぱぁっと風景全体が明るくなる。
「月も高くなりましたし‥‥そろそろ集会は、お開きにしませんか?」
眞耶は集まって来ていたにゃんこ達に向かって語りかける。一時的に明るくなった風景もすぐに元の暗さに戻る。
キャットニップティーの残り香を感じながら、朔月も頷く。
仕掛け花火が終わると新たな花火は上がらなった。訪れていた人達は、余韻を楽しみながら、出店や大道芸を見て回ったり、足早に家を目指したりと、それぞれの都合に合わせた動きを見せている。
そんな人の流れをよく見ながら、眞耶は狼犬を怖がる人がいるかもしれないと考え、人通りの少ない道を帰り道に選ぶ。
「うわーきれいだね」
あすかが思わず声を上げる。べっこうあめの細工が電球の薄黄色い明かりに照らされて、フィラメントのようにキラキラと輝いている。花火が終わって人の流れが変わったと言ってもまだまだ人手は多い。
片手で鍋を持った年配の婦人が精密機械のような手の動きで銅板の上に溶けた飴を垂らすと宝船の線画がみるみる出来上がってゆく。
「何か描いて欲しいものはあるかい?」
楽しそうに見つめるあすかに年配の婦人が語りかける。えっと‥‥と考えるあすか。
「それじゃ、これを」
愛輝はちょうどそのときに足元に肩を擦り付けて来たにゃんこを指差すと僅かに微笑む。
「じゃ、これ、あげます」
たこ焼きのお礼とは言わないが、ちょうど良いやタイミングでお返しとなった。
「うん、ありがとう」
きらきらと透き通るべっこうあめはとても綺麗に見える。
「食べるの、もったいないな」
●不思議な舞
神事とされている舞は厳かな雰囲気で行われていた。舞は荼枳尼天によく似た神がモチーフにされおり、徹底的な弾圧により歴史から消された密教の一派を連想させるものである。
配られていたリーフレットによると、花束を両手に踊るつかさの動きは白い狐によって人が導かれるというを物語を示しているという。
「へえ‥‥流石は本職ってとこか」
嵐 一人(
gb1968)は素直に感心する。普段知られるつかさは幼い印象であるが、ここでは神懸かった厳格な雰囲気があった。衣装を整えて、演じるだけでこれほどまでにイメージが変わるものかと、一人は知らなかったつかさの一面を知った。
「ああいう舞ってのも綺麗なもんだなぁ。うん、今度出来るか聞いてみよう」
拓那は思い人の姿とつかさの姿を重ね合わせて顔を緩ませる。
舞を見て感じることもそれぞれであり、リーフは密かにとある民族のエジプト脱出(※エクソダス)みたいですねなどと、独自の解釈をしていた。
リーフレットには物語の他にも狐の寿命は八百歳で、三百歳を過ぎたら人間に化けられるようになるとか、豊穣を祈る他にも、人の営みは本来清浄なものであるべきと語られ、そんな清浄な人の営みによって世界を良くなって行くといった神社らしからぬ解釈も書かれている。
衛司や土方、植村は、ほろ酔い加減でどこか上機嫌に、静かにつかさの舞を見ている。
バグアとの戦いが続く中において、その内容は夢見がちな内容にも見えるが、人の力で世界を変え、作り上げてゆこうという理念は一考の価値があるかもしれない。
●長い夜
神楽が終わるころになると、祭りの盛り上がりも落ち着いてくる。
祭りに関わる者が全員徹夜でやるには無理があるだろう。出店の多くは相変わらず電気を灯しているものの、休みに入っている所も見られるようになって来た。境内には年頃の男女が増え始め、どこか落ち着いた雰囲気が漂い始めていた。
「あすかさん。これ忘れ物なのですよ」
真っ赤に輝くりんごあめが気になっている様子のあすかに、リーフがこっそりと小さな紙の包みを渡す。
「変な食べ物いっぱいあるです」
ヨグはリーフに一声かけると、真っ赤なりんご飴を指差して、子供らしい表情を見せる。
リーフはうまくやってくださいねという気持ちをこめて、あすかにごきげんようと頭を下げて微笑み、りんご飴をを選んでいるヨグをまるで弟のように見守っている。決して何処かの同人誌のように邪悪な笑みを浮かべて少年漫画に掛けないような恐ろしい事を考えたりはしていない。
一方、社務所の中にある広間には、飲料といなり寿司といったまかないの食べ物が用意されていた。
「ありがとうございます。来てくださったのですね」
尋ねてきた衛司やトヲイ、一人、アヤカ、見覚えのある面々が笑顔で言葉をかける。そして、今こうやってお祭りができるのも損害を最小限に留める戦いをしてくれた傭兵さんのおかげなんですと、感謝の言葉を述べると、居合わせた人々から拍手がわき起こる。
(「この中にバグアに通じた者がいるのかも知れないな」)
そんな和やかな空気の中ただひとり緊張した面持ちで室内を見渡しているのは一人である。つかさの他にもアルバイトで来ている巫女が何人も居る事がわかった。特別に怪しい人物は居ないが、人は見かけによらないだろう。
戦いのタイミングや倒す手段が重要である事はスーパー釜喜の事例を見れば明白であり、それが出来る傭兵に出会えたことはにゃんこ神社にとって最大の幸運であった。
そんな感じで神妙な面持ちの一人につかさが近づいて来る。
「あーそのなんだ。この間は済まなかった‥‥」
「そんな謝るような事ではないですよ。あのときは私もどうかしてたし‥‥」
一人の言葉にそんな言葉を返すつかさ。あの時とはキメラに制圧されたショッピングセンターから救出された時の事である。
「あ、この方が例の傭兵さんですのぉ」
眼鏡にツインテールの少女が意味ありげにクスリと笑う。ちなみにつかさには漫画を描く趣味があるという。
「あ、べごもちとか、あたためてくるね」
そう言うと、つかさはちょっと気まずそうに炊事場に向かう。
「なにかする事はないかと思ってな」
つかさは巫女装束に前掛けエプロンというちょっと恥ずかしい格好をしており、炊事場にはつかさ以外にはだれも居なかった。
「男子厨房に入るべからずですよ、今日はお客様なんだから、ゆっくりなさればいいのに‥‥」
「‥‥何か、悩み事があるのなら‥‥相談に乗るぞ?」
かねてからつかさの行動にただならぬものがあると思っていたトヲイがストレートに言う。慣れて来たとはいえ、女性と話す事が得意ではないトヲイにとって、上手く話す事は至難の技であった。しかし、得体の知れぬものに苦しむ彼女を放っておけないと言ってくれたのである。
悩み事が何を意味しているかを、つかさはすぐに察したが、あえてそれ違う事を話す。
「えへっ、ばれてしまいまいたか? 実は私、留年なんですよ」
この秋から復学すると言うが、最近まで身体を壊していたのだと言う。あれだけの事件に巻き込まれて何事も無いという事はあり得ない。ゲームなんかでは減った体力は最大値まで回復できるが生身でそうなるとは限らない。
「それは大変だったな、学校は楽しいのか?」
「ええ、あんな感じで巫女の格好をするのが大好きな友達もいるし」
トヲイはつかさがキメラ禍について何か知っているのでは無いかと思っていたが、この状況で無理に聞くべきでは無いと感じた。
「これがべごもち。金太郎飴みたいに絵がはいってるのですよ‥‥ってトヲイさんには今更の説明かもですね」
そう言って、つかさはトヲイに皿を渡すと、次は中華鍋に食用油を注ぎはじめる。
「それじゃこれ、皆さんのところに運んでくださいね、私はコロッケを揚げてしまいたいので‥‥」
やはり疑ってる人が居ると確信したつかさは少し独りで考え事をしたい気持ちになる。
しかし‥‥、
「その、言いにくいんだが、実は」
「今度は一人さんですか、よっぽどお腹すいてるんですね。それとも‥‥まさか告白とか?」
そう言うとつかさは顔を赤らめてみせる。
「あ、いや、前に、キメラとかの予告電話って話題になったよな」
つかさはそんな事もあったねと、すぐに笑顔を作って応える。
少しの間の沈黙の後、一人は言葉を続ける。
「九重の親しい人間のなかにバグアに通じていて、そこからキメラの情報を聞いた九重が予告の電話をしたんじゃないか? と思っているんだ」
「どうして、そう思われるのですか?」
つかさは瞬きしながら一人の疑問に対して疑問で返す。つかさの行動と電話を結びつけるには根拠が薄弱であるためである。また、疑問の理由を言わせれば言い訳を一つ一つ返す事が出来るため、核心には触れられる事はないだろう。
「ともかくだ。お前が何か悩みを抱えてるってのは察しがつく。話してどうなるもんでもないけど、その気があったら話してくれると、嬉しいんだがな」
状況を整理すれば、むつ市内でキメラの襲撃を受けた施設はスーパー釜喜とにゃんこ神社の2カ所。
スーパー釜喜は実質的な廃業に追い込まれたのに対して、神社のほうは無傷で今回のようなお祭りも開催できる。単なる幸運にしては事がうまく運びすぎているとも言える。
「電話を掛けた人。どんな気持ちで掛けたのかな? もしかすると誰かを助けたかったのかな? それとも様子が見たかったのかな? 私には分かんないけど‥‥」
つかさから論理的に回答を導きだす手段は様々あったが、一人は理詰めよりも、つかさが自分で言い出してくれる事を大切にしたかったのだろう。だが、真実を知るには押しが足りなかった。
だが、つかさも一人が優しい気持ちで心配してくれて、言っている事はすぐに理解していた。でも、ありのままを語る訳には行かない。予知なんて能力は使い方次第で危険極まりなく身の破滅に直結するから。
短い沈黙の間に気持ちの整理をしたつかさは謎を掛けながら語り始める。
「あそこにいるメガネの子がね、夜中に彼と別れたって泣きながら、電話して来たの」
何故つかさがそんな事を話すのか不思議に思う。
「でも私にはね、その2人の幸せなイメージしか感じなかったから、きっと大丈夫って思ったの。だから、あらゆる希望を話したわ」
「友達思いなんだな」
「うん、そうとも言えるよね、そしたらイメージの通りに、2人は何事も無かったように仲直りして、ほら、今から盆踊りに行くみたい」
つかさはそう言うと楽しそうに手を振ってみせる。
婉曲な言い回しはつかさが一人に投げかけたアンチテーゼである。相手が望む未来を語り、その通りになれば喜ばれるのは当たり前だろう。逆ならばどうなるかしらと?
「私は傭兵のみなさんのように力で人助けはできそうもないけど、人に希望を感じてもらえるような、将来は漫画とか小説‥‥そんな創造的な仕事ができればいいなって思ってるの」
「そうだな、九重なら何とかなるんじゃないか」
一人はつかさの謎めいた言葉を心の内にしまい、これ以上は無理にこの話題を引っ張らない方が、良さそうだと予感し、話題を変え‥‥、祭りの案内とかして貰えないかと、遠慮気味に頼んでみる。
「見回りついでですし、みなさんと盆踊りにでも行きましょうか?」
●深夜
広場の中央に建てられたやぐらの上で演奏される祭り囃子に乗って、猫の鳴き声のような歌声が響いている。声の理由はここがにゃんこ神社だからという訳では無く、訛りのせいでにゃんにゃんと聞こえるらしい。
そのなかで拓那が独りでしんみりと踊っていた。と言うのも、踊っているのは仲の良さそうな男女などの2人連れがほとんどだから‥‥。流れているのはナニャドヤラ節である。とある民俗学者によると、特別な日に女性の男性への思慕の情を表したものであるというから、カップルが多いのも頷けるだろう。
「拓那兄様も踊りにきたですか?」
ヨグが声を掛ける。近くにはトヲイや一人、つかさやリーフ達も居る。
盆踊りは伝統的に豊年祈願や盆供養のために始められたといわれるが、各地で様々な人の思いが積み重ねられ次第に変容した。
「ナニャドヤラ? にゃんこ節? まさにあたいのためにあるような踊りニャね☆」
アヤカはそんな事を言いながら、だいふくと一緒にやぐらの上に登ると、場の空気を盛り上げにかかる。
「アドリブであんなに出来るなんてすごいですね」
つかさが感心して呟くと、確かに大したものだと一人も頷く。
人は誰もが何かの才能を持っている。それはたこ焼き作りであったり飴細工であったり、歌だったり‥‥何の才能を持っているのかは色々な事をやってみないと分からない。
(「みんな元気があるな」)
衛司は楽しげに盛り上がる盆踊りの様子を見ながら静かに瞼を閉じる。手にはとれたてみったんジュース。飲もうとして眠ってしまったのだろうか。
「そうだ、俺はまだ屋台の制覇が終わってないな」
「トヲイさん‥‥まだ食べるつもりなのですね」
つかさにさわやかな笑顔を見せるとトヲイは屋台へと向かってゆく。
気になる女性が居れば盆踊りと行きたい所だが、特にそういった相手‥‥拓那の姿が見えたが、特にそういった相手すら居ないのが残念ではあるなと言う事にして。
そんな楽しげな様子を深鈴はにゃんこ達といっしょに眺めている。見るだけでも良かったのだろうか?
人生の時間は永遠には続かない。
何かに悩んで、止まっている時も時間は止まらない。
トヲイの屋台制覇はどうでもいい事かもしれない。だけど、その一歩を踏み出せることは大事なことである。
目標に向かうためには、自分を常に変化させ続けなければならない。
そして、先の事は分からない。
だからこそ、進み続けた先にはきっと幸せがある。そう考えられる事が幸せなのである。