●リプレイ本文
●目視
名古屋市内をKVが飛ぶ。
敵は人型ワーム2、カメ型ワームが4体いる。
「こちらHolger、目視で敵兵確認、作戦行動に入る」
「ペガサス了解」
「A3了解」
「A4了解。亀、ですか。鈍重な相手なら、どれほど楽でしょう‥‥そうはいかないんでしょうけどね」
水上・未早(
ga0049)と、白鐘剣一郎(
ga0184)、霞澄 セラフィエル(
ga0495)、如月・由梨(
ga1805)が中央を飛んでいく。その左右をB班、C班が離れて飛ぶ。
カメ型のワームの一部は、市街地に降下し、ビル群を押しつぶしが、それを無視する様に破壊しながら進む。人型はそのまま大きな道路をあるいてカメを見ているようだった。
カメたちはKV達に気づくと、徐に背中にある砲台を光らせ光を放つ。その光線は恐ろしい威力で空に浮かぶ雲に穴を開けた。各KVには全く当たらなかったが、威力を見て「此はやばい」と肌で感じ取る。
「真ん中にいる奴らが、おおいな。カメ型2人型1か」
白鐘が状況を見る。
「Holger、援護いきます。ペガサスその間に変形を!」
「了解」
水上と霞澄が援護射撃し、ワーム達の注意を惹く。そのあいだに、地上に降下する白鐘。如月が降り立った。白鐘はディフェンダー、如月はディハイングブレードを持っている。
「こちらメディウス。人型1と、カメ2の牽制は任せろ! 撃たせてなるか」
メディウス・ボレアリス(
ga0564)が、担当区域に近づくとバルカンで牽制し、変形して32cm高分子レーザー砲を構え、その場で打ち続ける。
彼女の攻撃で、ワームは遮蔽に隠れ、カメはその場で止まった。首や四肢を甲羅に納め身を固くした。しかし、彼女の砲撃がリロードのために止むと、進んでくる。
「こいつ!」
榊兵衛(
ga0388)が、飛行機形態のままで、8連装ロケットランチャーを放つ。周辺のビルが破壊され、遮蔽がなくなる。しかし、ワームは一旦止まったと思いきや、ゆっくりと進んでくる。榊は変形し、メディウスの前に陣取って、ユニコーンズホーンを構える。
夕凪 沙良(
ga3920)は、通信で、いまのユニヴァースナイトの状態はどうなのか訊いていた。
「‥‥最高で5分で発進できるのですか? 分かりました。それまで、持ちこたえます!」
彼女は各班に、
「洩らさないように、凌ぎましょう!」
と、伝えた。
横からの攻撃に行動を変えるB班。醐醍 与一(
ga2916)、アッシュ・リーゲン(
ga3804)とアリス(
ga1649)は、
「こちら翁、A班の援護する!」
「了解」
A班の白鐘たちのほうに進路を取った。
数分の攻防。
耐えられるか? 否、耐えてみせる。全員そう強い意志を持って、KVを飛ばしていった。
●新型兵器の驚異
遮蔽を駆使して、徐々に接近していく両者。まず、A班がカメ2体と人型1体のグループと接近した。
ワーム3体は白鐘を囲む。カメの突進で、白鐘のKVが傷を負った。
「この!」
そこに、人型の剣と、カメの甲羅に刃が襲う! それをディフェンダーで綺麗に受け止めた。
「そう簡単にはやられはせん!」
如月が、上手く回り込むが、大きな武装のため一撃までは出来ない。
水上と、霞澄の援護、そしてC班が横から援護することで、若干有利になっている。人型は猛攻を続ける中、カメ型は一度甲羅に四肢と頭を引っ込め、防御するのであった。こうなるとかなり堅くなっているようだ。
一方B班。
メディウスがカメ一体に向かって、撃ち続ける。弾幕と、高分子レーザーを駆使して、1体のカメをその場に釘付けにしていた。
「くそ! またしても、かわされるとは!」
カメが四肢を納めて防御形態になっているのに、驚異の回避力を見せていた。メディウスは驚く。
もう一体のカメと人型が榊に突進する。榊が槍で応戦するがあまり効果的なダメージを与えていない。反撃を喰らって、機体がかなり破損する。
「くそ、これ以上は危険だ!」
「下がって!」
榊の変わりに、夕凪がレーザーを撃ちながら、前に出る。そしてディフェンダーに切り替えた。
「かなり手強い!」
榊はそう舌打ちし、武器を持ち替え、後退して援護射撃に移った。
「Holger、A3(霞澄)、ここは俺と如月、C班で何とかする、Bの援護を!」
「分かりました!」
「援護向かいます」
水上と霞澄は、すぐに飛行機形態になり飛んでいく。
白鐘のディフェンダーの連撃、如月のディハイングブレードの一撃が決め手となり、カメ1体を屠る。
ここから、波に乗ってきたようである。
●迎撃
醍醐が、狙いをさだめ‥‥、愛用のツインドリルを上手く使い、砲台の基部を破壊した。
「一体無力化! 後は人型1、カメ1を仕留めるだけだ!」
アリスが、ブレス・ノウを機動、ブレイクホークでそのカメに突撃し、甲羅を貫く。
如月が渾身の力を込めた斬撃!
「この一撃ならば、どうですか!」
それで、そのカメは停止した。
「なかなかの強敵です」
その間に、アッシュの射撃で、人型ワームを撃破した。
「1機撃破!」
残るワーム達は、それでもひるまず、攻撃してくる。能力者達は徐々にダメージを負っていく。
無力化したカメ型ワームを、援護班がレーザーなどで仕留めてAとC両班が対応していた敵はいなくなった。
あとは、B班のみ。
ゆっくりとダメージを負いながらも進むカメ。それでも打ち続けるメディウス。
「む!」
カメがいきなり走って突進。地面が揺れる。メディウスの機体がカメの甲羅に生えている刃‥‥剣山のような‥‥に深く刺さる!
「ぐは! ‥‥しかし、この程度で我(オレ)を倒せるとおもうか!」
彼女はレーザー銃口を砲台に狙いを定め、ショルダーキャノンのパネルを開き、零距離一斉射撃! 爆音と煙が渦巻く。カメはそれでしばらく動かなくなっている。もし、動けたとしても、砲台がなくなって、刃付き甲羅もかなり破損しているため驚異にはならないだろう。
それでも、彼女は、このカメに撃ちまくってとどめを刺した。
「うははは!」
別に彼女は他の所を気にしていないわけではない。足止め成功をしてなおかつ止めを指しているのだから。
水上と霞澄の援護と、後から来た、アッシュの一撃で、人型を破壊。
「残るは無力化した亀だけだ!」
他に危機がないかも確かめて、まず、確実にカメを動けなくしていた。
しかし、ふいに、地上が少し盛り上がる。それはビル、大きな道路、場所を問わなかった。
「敵襲か!?」
「それぐらい予想していたわ! 数が足りないと思っていたし!」
アリスや夕凪が、その盛り上がった場所に集中砲火。
出てきたのは、カメだった。
「迎撃する!」
今度は距離をとりつつ、確実に、一体ずつ‥‥、地下からはい上がってくるカメ型ワームを撃墜、もしくは無力化していった。
●空を見ながら
1分以上は経ったのだろうか。かなり疲弊する能力者達。しかし、さわやかな笑顔であった。
青い空には、轟音と共に、大きな船が飛ぶ。
傷ついたKVからコックピットをあけ、全員はそれを眺める。
「任務完了。だな」
誰かが言った。
「希望は守られた、ね」
それに、アリスは笑う。
「しかし、騎士に守られる騎士って、なんか違わないか?」
アッシュが覚醒を解いて、苦笑する。
「戦う船だから良いんじゃないか?」
その辺のネーミングについて論議するのは後にしよう、と言うことに落ち着きながらも、周りを見る。
数多くの無力化したカメ、カメと謎の人型の残骸。傷ついた街。
「希望は守られても、また、名古屋は廃墟も同然か‥‥」
それだけは避けがたかったのか、と思う。
今は、ただ‥‥ユニヴァースナイトを見上げながら、この激戦任務を終えた事を喜び、後に続く新たな戦いに赴くことを決意するのであった。
まだ、戦いは始まったばかりなのだから。