タイトル:【DoL】氷上の前哨戦マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/02/02 01:10

●オープニング本文


 ユニヴァースナイトの進路には五大湖がある。既にバグアはその五大湖に防衛線を張っていた。
 ユニヴァースナイトの進行ルートを確保するため、KVを駆る。
 今回この部隊では、ミシガン湖北〜中部を中心としたワームの殲滅だ。
 名古屋にやってきた新型ワームが数多く存在しているという情報がある。
 ミシガン南部は、最終目的のシカゴがある。故に向こうの防御も堅くしているだろう。



「まずは、ミシガン湖周辺がどの様になっているか‥‥」
 モニターに映し出される。
 大小様々なキメラの他、巨大な亀がうろついている。たまに、大きな光の帯が見えるのだが、それがいったい何なのか分からない。
「かなり、向こうの防御は堅いようだ。そこで、この部隊ではユニヴァースナイトの通路を確保するために、ミシガン湖北部を中心として、殲滅作戦を考えている」
 地図が拡大し、その区画をはっきりさせた。
 R75は空爆などは危険な事と、別働隊の仕事になっているため、範囲から除かれる。しかし、大体ミシガン州全体を覆うように戦いは展開するようである。ミシガン湖自体は、州の境界線を縦断した形で分けられており、東部よりにKVを移動する形となる。
「ただ、他の隊も何かしら作戦を行っている。それらの邪魔にならないように」
 どの部隊という事を質問する。
「ミク准将だ」
 端的に、それ以上は答えられない、という意思が受け取れた。
「ミシガン湖自体は凍っているがKVであまり無茶をするな」
 と、状況を教えた軍人は、ファイルを閉じた。
「幸運を祈る」



 現在ミシガン湖は凍っている。危険なことはあるだろうが。
 北部を可能な限り掃討すれば、ユニヴァースナイトや米陸軍が確実に動くことが出来るだろう。

●参加者一覧

藤田あやこ(ga0204
21歳・♀・ST
雪野 氷冥(ga0216
20歳・♀・AA
クラリッサ・メディスン(ga0853
27歳・♀・ER
須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
緋室 神音(ga3576
18歳・♀・FT
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
レーゲン・シュナイダー(ga4458
25歳・♀・ST
緋沼 京夜(ga6138
33歳・♂・AA
ラシード・アル・ラハル(ga6190
19歳・♂・JG
ノエル・イル・風花(ga6259
14歳・♀・SN

●リプレイ本文

●作戦会議の後にどん引き
 雪野 氷冥(ga0216)が、叫ぶ。
「はっきり言って、作戦範囲が大まか過ぎ! 本気でミシガン湖全域をカバーしろって言うなら本気で大隊連れてこないと!」
「いや、あくまで大規模作戦の前哨。まずは数を減らす事だ」
「それでも、少ないです! 今度からは情報もしっかり提供してからにしてください!」
 もっともな意見である。
 偵察機が謎の光で塵となったなどの状況や、連携が取れていないなど、依頼側の不備を責める事はあるだろうが。
「殲滅ではなく、一定数、減らせばいいわけですか?」
「ああ、動く限りでいい」
 大まかすぎるが、とりあえず、大きなワームや、簡単に一掃できる弱いキメラなどをつぶし、次の作戦がスムーズになるようにすることらしい。補給可能地点などを教えて貰う。
 藤田あやこ(ga0204)は、ニヤニヤと感激の涙が止まらないらしい。
 どうしたのかと尋ねると、
「私ついに自腹で、F−104を買ったんですよ! 母ちゃんはやったよ!」
 握り拳を作る彼女。
「そ、それはおめでとう」
 高性能機体を得た喜びは、感情となって現れる。
 須佐 武流(ga1461)と緋室 神音(ga3576)は、疲れた様子でやってきた。
「どうしたの?」
 既に集まって珈琲を飲みながら待っていたメンバーが聞く。
「連戦だよ。ミクの仕事をしていた」
「です。しかしまだ掃討しなければなりません」
 間に合った為によしとする。ただ、彼らの体力が持つのかは不明だ。
「傭兵は体が資本だ。大事にしろよ」
 緋沼 京夜(ga6138)が、2人に珈琲を渡した。
「間に合って良かったです」
 レーゲン・シュナイダー(ga4458)が、安堵のため息をついた。
 エレナ・クルック(ga4247)、ラシード・アル・ラハル(ga6190)、ノエル・イル・風花(ga6259)、クラリッサ・メディスン(ga0853)が、2人が座って落ち着くまで待った。


 そして、会議の結果、A(アルファ)とB(ブラボー)で別れて掃討する事になる。Aはミシガン湖北部から進入。Bが東部から進入し最終的に大体中央部分で合流するかたちになる。ミクの依頼を受けていた、須佐と緋室の話で、氷は割らないようにと言われる。単独行動は止めることと、危ないと分かったらすぐに退くようにと指示を受ける。経験者からの言葉なので、異論を言う者はいない。
 班分けは以下の通りに決まった。
 A(アルファ)
 1、レーゲン TAC:レイン
 2、緋沼 TAC:レーヴェ
 3、ノエル
 4、緋室 TAC:Iris
 5、クラリッサ
 B(ブラボー)
 1、須佐 TAC:スサノオ
 2、ラシード TAC:クレセント
 3、藤田 TAC:ノックナー
 4、雪野
 5、エレナ
 となる。

 基地倉庫でラシードは震えている。
 レーゲンが「大丈夫?」と尋ねると、
「‥‥さ、寒いだけ、だよ」
 と、言う。
「私も、怖いよ。だから一緒」
 と、レーゲンは彼女の手を握った。
「‥‥うん。がんばる」
 ラシードは笑う。

 KVが整備完了した時、藤田の格好に皆が驚いた。
「し、獅子舞!」
「おお、日本の文化!」
「おい、それで操縦するのか?」
 そう、藤田あやこは、シシマイを被って、KVに乗り込むのだ。
「大丈夫ですよ。操縦できます」
 かなり心配になる。しかし藤田はシシマイの口をパクパクさせて、喋る。
「まあ、無茶はするな」
 日本人の面々は呆れるしかなかった。
 いくら新年で縁起物でも‥‥と言う言葉はあえて出さないでおく人、多数だろう。

●出撃
「ブラボー5、エレナ・クルック出撃します〜」
 最後のB班が飛ぶ。
 迂回し、二手に分かれて、ミシガン湖を飛んでいく。
 遠くの方、Aからなら東、Bからなら北では爆音と煙が見えた。
「あっちかR75か」
 今回はその地域は入っていない。
「この空の下で戦ってんだろうな‥‥。武運を祈ってるぜ」
 緋沼が、呟いた。

 
●いきなりの遭遇
 20分以上数多くのキメラをなぎ払うA班。彼女らは脆い氷を踏んで穴に落ちたり、滑って転んだりと苦戦しながらも、掃討は進んでいた。そろそろ2機を補給に向かう時間ではないとかと話していたところであった。
「まって! 向こうに山がある!」
 ノエルが指差す方向に、こんもりした山の様な物体。
「まさか‥‥もう、出会ったの?」
 緋室が再び見たワームを目視する。
 むこうも、存在に気が付いたか、のしのしとやってくる。
「あれが、亀型ワーム‥‥」
 レーゲンや他の者もその凶暴さに驚いていた。
 今回KV初参戦者が多い。ワーム自体がどれほどの物か写真かデータでしか見たことがない。実物を見るとそれは驚くものである。
「しかし! これぐらいで驚いてはいけない。しかし補給するにも、アレが居ては背中を見せるような物だ。どうする?」
 ノエルがどうするか全員に訊く。
「ギリギリ持つか?」
 緋沼がバッテリー残量を見る。
「最高3分耐えよう。こちらアルファよりブラボー。亀発見! 援護頼む! 亀発見!」
 通信でA班を呼んだ。

 B班はい歩哨中だった。
「て、遭遇するの、はやい!」
 B班の須佐が思わず叫ぶ。
 補給しようと2機が基地に飛び立たった所だったのだが。
「どうする?」
「広いしなぁ。この辺じゃなんにもない」
 すでに、キメラの死骸と穴だらけ。立っているのも怖い。戦闘でやっぱりロボ形態ですすんでいた何名かは、薄くなった氷の部分を踏んでしまい、沈んだこともある。それでも、A班と変わらず順調に掃討していたのは確かだ。
 キメラ程度で、後れを取るKVではないが、人間の方が持たない。
「こちらブラボー、帰投したブラボー3、ブラボー4、補給後、アルファの援護に向かってくれ! 俺たちも向かう」
 須佐がそう言うと、
「了解」
 

●亀
「死角を狙って、砲台を無力化すれば!」
 緋沼がKVを駆る。
 そして、砲台にブレイクホークを突き刺そうとするが、かわされる!
「亀は動きが鈍いって嘘だったの? 速いじゃない!」
 ノエルが驚く。
 亀がそのまま緋沼のKV・リヒトシュトラールに突進する。異様に速い。
「ぐは!」
 彼はその反動で突き飛ばされる。そして、一気に2割の損害を喰らったようだ。
「なんて馬鹿力だ」
 冷や汗がでる。
 ノエルとクラリッサ、緋室が高分子レーザーで援護射撃する。亀ワームは苦痛に雄叫びを上げるが、多方面からの射撃で、どちらを狙おうか困っている様子に見えた。
「問題は砲台! それさえ切り伏せれば!」
 レーゲンが愛輝KVを駆る。
「いくよ! ヴィルフリート!」
 砲台の弱いところを狙うのだが、その脆いと思った所も堅く、ほとんど傷を負っていない!
「なんて堅さなの!」
 緋沼がすぐに離脱するように、高分子レーザーを放ち、亀から離れる。
「ここ! 当たれ!」
 緋室と、が援護の高分子レーザー砲の連射。亀の動きが鈍くなった。
 クラリッサが
「此で終わりよ!」
 連射。
 それで亀は倒れた。
「‥‥たいしたことはなかったのね?」
「いや、物理に強いことだけでもかなり危険ですよ。全然歯が立たなかった。」
「困ったわね。バグアも何か対策を考えるかもしれないわね‥‥」
 今回の収穫は、亀の弱点であることだろう。
 しかし、それも何かしらのかたちで克服される危険戦はある‥‥。油断は禁物だ。

 南の方から、B班が飛んできた。
「大丈夫――?」
 F−104のコックピットにはシシマイが見えた。



●任務完了
 そのあとのこと
 全員、補給を受けながら徐々に、キメラやヘルメットワーム達を掃討して、2時間程度経ったが、担当区域で、亀ワームに出会うことはなかった。広いから沢山居るというわけでもなかったようだ。
「とにかく、通路の確保は出来たことだな。帰投しよう」
 須佐が言うと、全員飛行機形態になり、基地に帰っていく。

 シシマイを着たままの藤田は、コックピットからでてくると思いっきり深呼吸をした。
「あつかったー!」
「つか、それ自体がおかしいと思わないか? シシマイ着るなんて」
 とりあえず、戦績は上々。危険な亀の遭遇も1体だけで、それも倒し、数多いキメラとワームもチームワークで倒した。
 かなり綺麗になったと思うが、まだまだ戦いは続くだろう。