タイトル:【DoL】R75の攻防マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/02/02 00:56

●オープニング本文


 R75。アメリカミシガン州とカナダをつなぐルート。
 五大湖のミシガンとヒューロンの境界線とも言える地点に橋がかかっている。それはマッキーノ橋と呼ばれている。
「まずは、このR75とマッキーノ橋を我々のモノにしなければならない」
 作戦会議室で、部隊指揮の軍人が考える。
「しかし、これを見ると難題が大きい」
 偵察カメラで撮った写真が映し出される。
 丁度真ん中に、巨大な亀が二体、陣取っていた。さらに、橋とR75周辺に、キメラが多数存在する。
 かなり堅い防衛ラインを形成しているのは確かだった。
「まだ詳しい情報は入っていないが、これが敵の最新兵器なのは一目瞭然だ。しかし、シカゴ進行にR75は重要な通路である」
 そう、シカゴ上空からも大事だが陸軍などは道を通るしかない。そしてかなり短縮できるルートというのはここなのだ。さらに、最悪の撤退ルートの確保も必要なのだ。何があるか分からない。
「R75の制圧・確保。これは重要作戦だ」

 まず、橋を落としてはならない。つまり、普通に空爆は危険である。ワーム達はKV並に大きいので、結局はKVで戦闘することになるのだが、あまり沢山橋に乗ると大変なことになるだろう。
 かなり困難な戦いになるのは見えている。

「勇気ある者が集えばいいのだが」

 UPC本部には、こうした依頼パネルが展示された。
『R75 マッキーノ橋(Mackinac Brige)の解放。ただし、橋は落とさないように』

●参加者一覧

花=シルエイト(ga0053
17歳・♀・PN
エミール・ゲイジ(ga0181
20歳・♂・SN
平坂 桃香(ga1831
20歳・♀・PN
西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
リヒト・グラオベン(ga2826
21歳・♂・PN
霧島 亜夜(ga3511
19歳・♂・FC
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
ヒデムネ(ga5025
27歳・♂・FT
シリウス・ガーランド(ga5113
24歳・♂・HD
バーナード(ga5370
21歳・♂・FT

●リプレイ本文

●発進前
 全員が作戦会議を終えて、持ち場に着くためKVに乗り込む前のことだ。
「宗太郎君、宗太郎君」
 月森 花(ga0053)が、宗太郎=シルエイト(ga4261)を呼び止めた。
「ん! 何!」
 近づく彼。月森は宗太郎の手をぎゅっと握りしめる。それは強く、しかし優しい、愛のこもった物だった。
 彼女は小声で、
「勝利を‥‥この手に」
 と、彼にだけ聞こえるように囁き、彼の手の甲にキスをする。
 宗太郎は少し頬を赤らめるが、
「花さんのおかげで元気がでた。ありがとう」
 彼は笑った。
 そして、2人は気を引き締めて、愛機に乗り込む。
「今回の任務、頼れる仲間がたくさんいる‥‥とても心強いです。」
 今回KV初参戦であるバーナード(ga5370)は、不安がっているようなので、平坂 桃香(ga1831)が、彼の肩に手を置いて、微笑んだ。
「大丈夫ですよ」
「はい」
 少し、彼も落ち着いたようである。
「いくぞ」
 シリウス・ガーランド(ga5113)が、すぐにKVに乗り込んだ。
 ヒデムネ(ga5025)、霧島 亜夜(ga3511)エミール・ゲイジ(ga0181)、西島 百白(ga2123)も乗り込む。
「敵の新型は未知数‥‥しかし、皆さんと一緒ならば、この難関を乗り越えられるはずです」
 リヒト・グラオベン(ga2826)が、全員に対して、通信した。
 彼らは各自のTACネームを言い、基地から発進する。

 作戦は、まずは南にいる亀型ワームを攻略し、空に浮かぶヘルメットワームも撃退、そのあと、2手に別れて北と橋を攻略する事になっている。しかし敵は未知数だ。どうなるか分からない。その状況になったら、臨機応変に対応する、やばくなったらすぐに撤退するという事になっている。

●橋が見える
 飛んでいくと、目標のマッキーノ橋が見えた。
「うわー、馬鹿でかい橋だな」
「これぐらいで驚いて居ちゃだめだよ」
 アメリカ自体が大きい。この橋を架けている湖も巨大だ。たしか、観光場所にもなっていたらしいが、今は定かではない。
 迂回し、南方向から侵攻する。
 相手も気が付いたのか、ヘルメットワームと、橋にいた亀が南下してきた。その前に、キメラの群が襲いかかってくる。
「ここからが正念場だ!」
 リヒトと宗太郎が、スピードを出す。
 スナイパー陣、空戦サポート陣は、距離をとって、橋南部にいる亀型2体に狙いをすませている。
 飛行機形態での、ホーミングミサイルの数発や10機の一斉射撃。爆煙を上げた。
 襲いかかってくるキメラ達は、その驚異的な威力で吹き飛んでいくのだが、亀型のワームは、ビクリともしない。おそらく、飛行状態と地上、しかも固定ではなく、かなり動く目標の相対速度的な問題で、効果的なダメージを与えていないのだと思われる。
「空中では当たらない。接近戦でしか、亀は倒せないのか‥‥厄介だな」
 シリウスが、もう少し別の事を考える。数が少ない、効果的な攻撃はまずできないとなると、
「俺は、P−115で援護する」
 行動を考え直した。
「OK、空のヘルメットを倒そう」
 亀型を狙うための班は、変形し地上に降りる。着地の時に土煙が舞う。空中にいるヘルメットワームを撃退する班は、そのまま空を飛んで戦いが始まった。空には飛行機雲が描かれていくのであった。

●南
 小型のワームが3機、ビーム砲を撃つ。空気を歪めるような光。それを飛行機班は華麗にかわして反撃射撃する。 ジェット機ベースであるKVはいちど、ヘルメットワームとギリギリ接触しそうなところ、急旋回で距離を取っていく。もちろん、亀型に牽制射撃することも忘れない。
 スナイパーライフルをもつ月森、平坂、エミールは、一度地上に降りて、亀の砲台をねらい打つ。しかし、上手く当たらない。
「く! 速い!」
 その降着状態他が続く中でも空では、空戦が激化していた。
 亀は、地上班に向けて、巨大な砲台を放つ。光の帯が周りを焼き尽くす。道路と橋は大丈夫だ。
「全員回避!」
 運良く回避するも、その威力は尋常じゃないことを知るには十分であった。ダメージはない物の、機体に伝わる震動が物語っている。
 リヒトとシリウスが、空のヘルメットワーム一機を撃墜した。
「ナイス」
「こっちも負けてられない!」
 そこで士気が上がる。
 エミールがスナイパーライフルで、亀の砲台を狙い撃つ!
 一瞬エミールだけモノクロのスローモーションの世界に入った。それは神の気まぐれな幸運なのか? 銃弾は亀の砲口に吸い込まれるように入り、亀が持つ最強の武器を暴発させた!
「よし!」
「突撃する‥‥」
 西島が猛スピードで走る。土煙を舞わせるその機体は、KVスピアで脆い部分と思われる部分を攻撃する、フォースフィールドを突き破るときガラスが割れたような音が耳に付くが、そのまま脆い部分を突き刺す! しかし、思っていた場所とは僅かに離れ、甲羅の部分目当たった。致命的ダメージを与えていないようだ。
(「今度は‥‥スキルがいるな」)
 亀を狙うために変形している霧島は、土煙を上げ、走りながら亀に向かってバルカン砲を撃つ。しかし、亀には全く効いていない。かなり堅い甲羅だと言うことは分かった。此では太刀打ちできない。
「何という堅さだ‥‥って? 何!」
 走り回る彼をうっとうしがる亀型は方向を変えて突進して来る。
 回避をしようとしたが、間に合わず、痛恨の突進を受ける。かなり吹き飛ばされ機体は倒れる。KVに一気に半分のダメージを与えられたように感じられた。
「くそ!」
 ダメージ損傷を確認する。これは危険域だ。そう判断した彼は、
 一度退くため、更に後退し、変形する霧島。その隙を見たヘルメットワームは、ホバリングして、彼にビームを発射する。そこでかなりのダメージ受けた。KVに煙が上がりながらも戦線から離脱はギリギリ出来そうである。
「すまん、撤退する!」
 霧島は、反撃とばかりに、ホーミングミサイルの全部を打ち込み、戦線から離脱した。

 月森が、向きを変えた亀型ワームに向かって狙い打つが、かわされてしまう。
「なんて速さなの! 亀とは思えない」
 この驚異的素早さに驚くのだが、しかし、なにかの『コツ』を得た。
「俺たちが抑える!」
 空戦で、リヒトが牽制射撃で亀の気をそらす。これは、ダメージを与える為ではない。亀が放つ巨大砲撃は、彼に当たらなかった。連射可能なのか?
「あ、あぶなかったぁ」
「ありがとう! リヒト君!」
「では私が‥‥」
 そして、平坂がアグレッシブ・ファングを起動しスナイパーライフルにエネルギーが行き渡る。銃口が光る。渾身の狙い撃ち! それは亀の砲台を狙う。今度は手応え有り、砲台が爆発炎上した。
 そこで、月森は素早く援護射撃! 煙の中で亀はひるんだ。
「いまだよ! 宗太郎君!」
「ああ! 背中は任せた!」
 宗太郎が、KVを駆けてユニコーンズスピアで、突撃! 土煙が舞う‥‥。しかし、堅い甲羅に阻まれた。亀の反撃の尻尾はかなり強力で、回避できないと悟った宗太郎はユニコンズホーンで受け止める。それでも、機体の3割方を損傷させる。彼も少しだけ吹き飛ばされた。
「なんてパワーだ」
 そこで、空からの牽制射撃や地上からの援護。
 そして、エミールが、スナイパーライフルではなく、レーザー砲を構えて撃つ。光線は、うまく亀を捕らえ爆発する。亀はまだ生きているが、今までとは違う反応を見せる亀型ワーム。エミールははっと気づく。
「これは! 効いている!」
「ならエミールが狙われないように援護や囮になる!」
 宗太郎や、西島は亀の気を惹くように動く。
 ヘルメットワームをリヒトとシリウスは、何とか撃墜し、エミールがレーザー砲で、確実に亀を弱らせる戦いに切り替えた。
 そして、何とか亀を撃退できた。
「危なかったな」
「でもまだ‥‥残っている」
 西島がKVで指を指す。

 橋の真ん中にいた亀がこちらに歩いてきたのだ。

●橋と真ん中。
 またも亀は、砲撃を開始。しかし、此も運良くかわす9機。
「全く困った物だ!」
 まず、空戦組はダメージ目的ではなく、機を惹き付けるだけの攻撃と爆撃にする。橋にダメージがいかないように細心の注意を払ってなのは言うまでもない。
 亀はその場から動いて、地上部隊に接近しようとしている。此は此で狙いやすくなってきた。橋がバグア側のワーム達壊される心配はなさそうだ。
「今度こそ! 当てる!」
 月森がスナイパーライフルで亀の砲台をねらい打つ! 手応えがあった。鈍い音を聞いたが、それは見事に亀の砲台に命中し基部が破損したと分かる。エネルギーを放出できたとしても、武器として使い物にならないはずだ!
「よくやった! 花!」
「やった!」
 陸戦班は相手の体力を徐々に削っていき、空中での牽制により、亀の動きを止める。そしてエミールのレーザー砲射撃を繰り返すことで南の橋にいた亀を破壊できた。土煙の中で亀は轟音と共に倒れ込んだ。

「次は北だ!」
 全員は一気に空を飛ぶ。
 しかし、橋の真ん中にさしかかったところで、また光の帯が9機を襲う! 隊列がかなり乱れてしまう。
「橋の下の真ん中?!」
 亀が隠れていた!
 氷上の亀が睨む。またエネルギーを溜めているようだ。
 体勢を立て直した、全員は、一反か目から距離を置いて旋回。
 素早く考えるシリウス。放電装置は遠距離。故に‥‥まず持って効果的に当たる見込みはない。
「いや、使えるかもしれない‥‥」
 彼は、亀の周辺にむかって放電装置を放つ。亀の周りが雷の渦に巻き込まれていた。亀自体はあまり効果がないようだったが。彼が狙ったもの氷だ。何らかの電解反応を起こすはず。大爆発はなくても、氷にダメージを与えているはずだろう。そして、次にP−155であたりを削るようにして撃つ。全員が、同じ事をした。亀をおびき出すように‥‥移動させて。
 亀ではなく、氷を狙って射撃。亀のエネルギー充填が終わる前に、射撃の衝撃、亀自身の自重で氷が割れていく。
 そして、亀は天を狙って砲撃する形で湖の中に沈んでいった。光の帯が、轟音と共に空を貫いた。
 橋には影響はない。
「あぶなかったなぁ」
 そのまま、最終の北にいる亀型2体に目指して、飛んでいった。


●北、そして
 全員はこの連戦で感じた事、知った事を最後の2体に向けて実行する。
 まずは空から気を惹かせるため遠距離攻撃で、亀自体を橋から引き離し、またこの周辺のキメラも綺麗に掃討する。そのあとで、隙を見せたところで変形し、砲台の無力化をしていく。
 無理に接近しないように、徐々に亀を弱らせ、とどめをとしてエミールのレーザー砲で仕留めていった。
 それでも、後少しで機体の耐久力もギリギリで、機体のバッテリーが20%を示す警報がなるぐらい難しい戦いだった。
「任務完了此より帰投する」
 そう、基地に報告する。

 コックピットから月森がでて、宗太郎に抱きついた。
「良かった! 無事に帰ってくれて!」
 本当に嬉しい笑顔。
「ああ、なんとかなったな。花」
 疲労は隠せないが精一杯の笑顔を作る宗太郎。
 そこに、バーナードや平坂、リヒトにシリウス、エミール、西島がやってきた。
「しかし、これからが正念場だ」
「ですね。まだまだ戦いは続くのですから」
 9人はハイタッチで、今の戦いの勝利を祝うのであった。