●リプレイ本文
●開会式
エスティヴィア(gz0070)が、拡声器を持って、戦士の名前を挙げていく。ベル(
ga0924)、セージ(
ga3997)、鳥飼夕貴(
ga4123)、リュス・リクス・リニク(
ga6209)、M2(
ga8024)、火茄神・渉(
ga8569)、キャンベル・公星(
ga8943)、テミス(
ga9179)、咲坂 七海(
gb4223)、蓮田 倍章(
gb4358)の順に。野次馬や観客もやんやと騒いでいた。
「今回の戦士達は、ご覧の10人だ。総当たりと言うけど、つまりはリーグ戦と同じ形式よ! この公園内で戦うことになるわぁ! なので、少しだけ休憩とかは出来るわけだけど、1日で終わせるから気を付けて!」
「おおお」
審判兼総司会の彼女はノリノリで話す。
「解説(?)には、フィアナ・ローデン(gz0020)もいるよ!」
「フィアナです☆ よろしくね!」
「うおおおおお!」
公園以外では、既に屋台で賑わっている。大阪・日本橋は完全にお祭りとなっていた。
(「野次馬から投げ込まれる『くだらないもの』で戦うわけだけど‥‥。外れな物は取らないようにしよう‥‥」)
と、戦士達はずっと思っていた。
鳥飼が「マイクが欲しい」と言う。フィアナが気付いて、エスティヴィアの袖を引っ張った。
「ん? なにかあるの?」
エスティヴィはチア服に身を包んだ20の男を見て拡声器を渡した。
「ええ、あるよ。公約とか有っても良いじゃないかなって」
「ああ、なるほど。其れは盛り上がるのでアリよぉ」
拡声器を持ったチア・鳥飼は深呼吸して‥‥。
「もし優勝できなかったら、日本橋で1週間雑用してあげるわ、もちろんどんな格好でもするよっ!」
と、言うと、一部から喝采が上がる。
「いいぞ、もっとやれー」
野次馬の鴇神が叫んでいた。
適当に割り振られて、1対1で対戦する事に。まずはベルとセージとなった。
「‥‥先に、ですか‥‥。やりましょう」
「ま、それでも勝たせて貰うけどな」
ベルとセージが対峙する。
「フェアに行こうぜ」
「‥‥はい」
握手をかわして、お互い半歩退いた。
「では、野郎ども、投げ入れろ!」
『うおお〜』
一斉にくだらない物が投げ込まれる。
ベルが掴んだ物は、呼び笛だった。
「えっと、これは?」
「思いっきりならして、耳鳴りさせること」
「ええ‥‥」
セージは双眼鏡だった。
「これで戦えってか? 冗談はTPOをわきまえて欲しいな」
しかし、どう戦おうとするのか直ぐに思いつかない。
「其れで殴ってはダメよぉ。本来の使い方などで戦うこと。双眼鏡で殴ったら壊れるし。ベルが隠れたところを見つけ出すという、かくれんぼ風味で良いかもねぇ」
「殴ってはだめかよ! おいおい、相手はスナイパーだぞ!」
精神的ダメージを与えるには双眼鏡は難しい部類だろう。
「バトルスタート!」
「まてー!」
ベルは直ぐに近寄って、思いっきり笛を鳴らす。セージは耳を押さえて、うめいた。
「‥‥ふ」
不敵な笑いを残し彼はビル陰に隠れる。
「させるか!」
セージは双眼鏡でベルを探す! そして難なく見つけた。空っぽのゴミ箱の中に入っていたのだ。
「‥‥俺の‥‥潜伏を見破るとは、なかなかなやりますね!」
しかし、ベルの呼び笛の方が圧倒的に有利で、耳鳴りが響いたセージは、うまくベルを見つけ出せる事が出来ず、負けてしまった。
「耳がもたん!」
「では、セージさんの称号は‥‥『薬草もどき』です!」
「そんないやだー!」
のたうつセージと勝ち誇るベルは対照的だった。
「結構カオスな戦いだね〜」
「戦いって言うのでしょうか? これ」
ドクターやレイヴァー達、野次馬の感想はもっともなのだ。じゃれているというか、遊んでいるだけというか。そもそも突っ込んでは行けないかも知れない。SES武器でないと、大したことにならないと思う。
野次馬が自分のアイテムを回収して、また別の組み合わせを待つ。
「つぎは‥‥鳥飼と、リュスよぉ!」
エスティヴィアが宣言した。
チアガールの格好の鳥飼と、冬なのに麦わら帽子を被っているリュス。
「‥‥動いてないと流石に寒いー!」
ぶるぶる震える鳥飼。
「‥‥がん‥‥ばる」
ぐっと、拳を握るリュス。
また、野次馬が武器を投げいれて、2人が掴んだ物は‥‥。
「はあ?」
「え?」
お年玉袋(白)とジッポライター。
『どうしろと?』
2人はエスティヴィアを見る。
「お年玉袋(白)は、渡す仕草を判定するわぁ。で、ジッポライターは、なかなか火が消えないようにはなっているけど、落としたり消えたりしたら負け。それで火傷させるのは禁止」
「うえ〜」
ガチバトルなのかよく分からない。結局、渡す振りをして、あげない鳥飼と火が消えないように逃げるリュスの戦いは一向に終わらなくタイムアップとなった。ちなみに、覚醒するのも無駄だった。
という、戦っているのかどうなのか分からない展開に、野次馬も一喜一憂したり、戦士が唖然としたりと様々なカオス振りを見せて、戦いは続く。テミスは対戦カードが無く休憩の時は、純一と一緒に観戦していた。
みゆのぬいぐるみをもつ火茄神はメガホンを持つM2と戦う事になった。
「ええい、社長パンチ!」
ぽかぽかぬいぐるみの手を動かして殴る。しかし本当は痛くないのだが、痛い気もする。そのしぐさが可愛いとも言える。しかし、耳元で大声を出すM2には敵わない。
「ごめんねー!」
メガホン越しに、大声でごめんね攻撃。結構耳に響く。
「きゃあああ!」
耳鳴りでふらつくM2は追い打ちで攻撃し、勝利を掴んだ。
「さて、称号は‥‥。『トマト君』」
「く、くやしい!」
キャンベルとテミスの戦いは、難しい物だった。
キャンベルはお年玉袋(白)、テミスは双眼鏡という、外れアイテムなのである。
「殴ってはダメなの?」
テミスはエスティヴィアに聞くと、彼女は頷いた。
「ねこぐろーぶならOKだけど、双眼鏡で殴ったらこわれるでしょ?」
「う」
「では、お年玉は‥‥は、渡すフリなどですね‥‥。でも‥‥私はこれから100人の兄姉達と家督を賭け戦う運命。ですから‥‥このような場所で敗れるわけに行きませんの!」
着物姿で草履のキャンベルは、一呼吸ついてから、着物の帯を解き一気に脱ぎ捨てる! その姿はバニーに格好だった!
「キャニーフラ〜〜〜ッシュ!!」
なんか、叫んで。しかし、後にハイヒールに履き替えているのが間抜けっぽい。
「ブラックキャニー、参ります! これを差し上げても良いですわよ♪」
高飛車に、ひらひらお年玉を見せびらかすブラックキャニー。
テミスは、子供扱いされたことでじたばたしているように見える。
「私より胸があるからって、そんな格好なんかしないでよー!」
え? 胸のことですか?
「あ、肌は私の勝ちだ」
「!?」
反撃に、双眼鏡のズームでテミスが肌の艶を見る。ブラックキャニーは青筋を立てた。
そのあとは女の口げんかっぽくなってしまし、結局引き分けに終わった。
●熱戦?
鳥飼とテミスの戦いなんと、鳥飼が手にしたのはバトンだ!
「なんということだ! チアガールにバトンとはマッチングよすぎだぁ」
キャンベルの弟・ゴールデンが叫ぶ。
しかし、一部の声の『男でなければね』というのはスルーすること。
「く、私ポットセット?!」
エスティヴィアから言うには、お茶を淹れろと言うことらしい。攻撃をかわしながら、だ。殴ることは不可だそうだ。
「どうやって戦えと言うの!」
「ふふふ、チアになっていて良かった♪」
軽やかにバトンを使いながらテミスに効果的な攻撃を与えていく鳥飼だが、テミスもポットセットのお湯を態とこぼし、バトンを落とそうと試みるも、彼は難なくかわしてしまう。そして、鳥飼がバトンを鮮やかに使って、テミスの頭をこつんと叩き勝利した。
「勝った! さてあなたの称号は『ほろ酔いラブ』だ!」
「うう、くやしい!」
勝利の紅茶に勝ち誇る鳥飼であった。
●もこもことか
フィアナです。他の方々の称号が確定した時の戦い等を報告します。
まず、ベルさんは‥‥。相手が咲坂さんです。
「‥‥漫画雑誌「MECL」‥‥って‥‥」
ベルさんが困り果てています。エスティ曰く、「そのマンガキャラのまねをすること!」となっています。
「また‥‥MECLとは‥‥やりますよ‥‥ええ‥‥」
咲坂さんは野球グローブです。それで掴む言はOKとなっています。
ベルさんが必死にマンガのキャラクターのまねをしますが、観客からはブーイングの嵐。しかし、素早いために咲坂さんの攻撃は当たらないのですが、徐々に当たっていき、勝負が決しました!
「勝者、咲坂!」
「ふふふ、ベルさんの称号は『もこもこ』です!」
「ぎゃあああ!」
蓮田さんは、セージさんを犬剣「ビックボーン」で撃破しました。セージさんの武器は何と、お年玉袋(白)で、効果的なダメージを与えられなかったのでした。
「俺が負けるなんて、修行が足りない!」
「では、称号は‥‥『賢くない隠遁者』だ!」
「な、なんだと?」
「だって、セージって隠遁者のことだろ?」
「‥‥」
隠者ってハーミットでは? というツッコミは別として、セージさんの称号も確定しました。
さらに彼は、キャンベルさんにも運良く水鉄砲にて勝利し、彼女に『裏スケバン』と称号を付けました。
「裏スケバンってなによー!」
しかし、蓮田さんは、咲坂さんとの対戦ですが、蓮田さんの「長物希望」の思いも虚しく双眼鏡。対する咲坂さんは、金属バットです。何となく野球観戦しているような気もします。武器を持った咲坂さんの全力スイングで、彼は倒れました。
「称号は‥‥、『KOOL』だ! 『KOOL』になれ!」
「うわあああ!」
哀愁漂いますね‥‥。
なんと、咲坂さんは凄い状態です。ベルさん、蓮田さんに称号を当ててなお、鳥飼さんなど強豪を倒しています! 鳥飼さんには、『ブラック無糖』という称号が付きました!
しかし、UPCゴルフクラブセットを掴んだテミスさんの見事な剣捌きで、犬剣「ビックボーン」を武器落としされてしまい、負けてしまいました。その時に『MEGANE』と付けられています。
火茄神さんはテミスさんに敗北したのですが、エスティの判断にて称号に問題があるようです。
「人の名前があるのは不味いねぇ。なのでルールVer.1に従いランダムにと‥‥」
「そうなんですか?」
テミスさんは少しがっかり。
表を取り出し、10面サイコロ2個を数回振りました‥‥結果は!?
「『ねこ』と『ぱんち』か『ねこぱんち』だ!」
火茄神はねこぐろーぶをはめていた。何という偶然なのでしょうか!
ベルさんは、M2さんと対戦では、ベルさんはなにやら喜んでいる様子。ラッパ銃を装備。
「‥‥念願の‥‥ラッパ銃‥‥です!」
おお、SES装備で銃だから大喜びです。
対するM2さんは‥‥水鉄砲!
「中身空っぽだから、水入れる事だねぇ〜」
投げ入れた野次馬から使用方法が伝えられました!
「まずは逃げて水を入れないと!」
「そうはさせません!」
スナイパー同士の銃撃戦が始まりますが、水鉄砲はとんでもないはずれです!
ベルさんは、うまくラッパ銃を使い(撃つ度にうるさい音は鳴りましたので、隠密潜行は無理でしたが)、M2さんに勝利しました。
「‥‥ふふふ、M2さんの称号は‥‥『ふらわー』です!」
「うう、まけた〜!」
●優勝戦
少し時間はさかのぼる。ベルの称号が決まる前に、優勝者が決まったのだ。
リュスは、5勝1敗2分け。しかし、この戦いに勝つと優勝確定となる。相手はベルだった。
「‥‥ぜったいに‥‥勝ちます。とんでもない称号はこれ以上ついて欲しくないです」
上書きされますけどね‥‥と、ベルは呟いた。
「‥‥まけ‥‥ないよ」
願いを込めて、お互いは中に飛んでいる獲物を掴む‥‥!
「‥‥やった‥‥! UPCゴルフクラブセット‥‥っ!」
リュスが掴んだのUPCゴルフクラブセットだ!
しかし、ベルが掴んだのは‥‥。
「‥‥「MECL」?! どうやって戦えと!」
ベルはショックが隠しきれない。
「CDと同じように、まねをすること」
と、エスティヴィアは言う。
ベルの抗議も虚しくバトルスタートの宣言。
「ビーストマンやグラップラーじゃなくて良かったですよ」
覚醒した彼女は、目をキュピーンと光らせて、へたな物まねをしているベルの芸を無視し、彼をゴルフボールに見立てて思いっきりスイング。ベルは綺麗に弧を描き、エスティヴィアとフィアナの方に落ちていった。
エスティヴィアはかわしたが、フィアナにぶつかってしまう。
「ああ、これで決まったねぇ! リュスが今回の『戦闘都市王』よ!」
周りで喝采が上がった。
「べ、ベル君! お、重いって!」
覆い被さっているベルにフィアナは困っている。しかも真っ赤になって。
「ご、ごめんなさい! えっと‥‥ごめんなさい!」
真っ赤になっているベル。
「あ‥‥本当にごめんなさい‥‥」
顔に当たる柔らかいふくらみに、ベルは余計に真っ赤になった。
「ホールインワンだねぇ」
「だねぇ」
野次馬も戦士も、ニヤニヤしていた。
幸いフィアナに怪我はなかったので、ベルは役得である。
●宴の後
1位はリュス。2位は鳥飼、3位は咲坂だった。
「優勝のがしたぁ」
鳥飼は、公約通り、大阪・日本橋で一週間働くことになる。
「これ着てね」
町内会の人達が、作業服やヘルメットを渡す。
「?」
そして掃除道具も渡される。
「‥‥まさか?」
「公約通り、大阪・日本橋の雑用にて、掃除をして貰おうかと」
「とほほ〜」
M2は野次馬に加わっていた、ユーリに色々からかわれ、ベルはひっきりなしにフィアナに謝っている。
レイヴァーは咲坂に「3位なんて奇跡ですね」とか言われていた。
こうして、夕日を眺め開運戦闘都市は終わった。
後日。
「もう少し、戦闘方法を改変した方が良いわねぇ」
と、エスティヴィアは結果報告書を読んで思った。