タイトル:レーザー兵装改良会議マスター:タカキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/04/12 02:33

●オープニング本文


 ロシアの大規模作戦のまっただ中。マロッコ機関のエスティヴィア(gz0070)は、ラボとドローム社、ラスト・ホープと飛び回っていた。自分の開発した兵装が出回っているという話を聞いて、浮かれているわけも行かないのだ。ショップで購入を切実に希望はしていたのだが、其れは叶わなかった。しかし、遊技場景品として、比較的手に入りやすいことは喜ばしい。彼女の熱意による物だった。
「では、そう言う手はずでお願いしますね」
「はい、このときにラスト・ホープで行います。社長」
 一礼して、彼女は去る。
 今はラスト・ホープ。コアーも忙しく事務で、喜んで働いている。
「また、夢の一歩ですね」
 少女のような瞳で、研究所長にそう言った。丸い眼鏡をかけ直す。
「そうだねぇ。会議室も取ったし、実践で、あれらの使用者が来ればいいけど」
「改良案はどういう方向性か未だまとまってますか?」
「う〜ん、前の資料あるでしょぉ? 全体的にはミラーコートより重い他はいい方らしいのよぉ。それにメトロニウムコートやミラーコートってあまり出回らないし。抵抗上昇は結構貴重だからねぇ」
「抵抗は貴重ですか」
「うんうん」
「軽量化が良いですね」
「あたしはそう思ってる。現重量だと、軽装系KVに乗せられないしねぇ」
 手を眉間に当てて答える。装備力の問題を先に解決する方が無難だと彼女は思っていた。
「実際使った人達の言葉を聴いて、可能な限りのアフターケアをして、将来使いたい人達の希望をまとめちゃって、新しい兵装と面白いアイテムを作ろうじゃないの」
「はい!」

 依頼の受付センターでは、
『レーザーシールド系の改良開発懇談会。意見したいひと、要望を出したい人募集。ドロームLH支社会議室にて』
 と、エスティヴィアの可愛い(萌え)イラストも付いて、パネルに貼られていた。

●参加者一覧

高坂聖(ga4517
20歳・♂・ER
守原クリア(ga4864
20歳・♀・JG
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
砕牙 九郎(ga7366
21歳・♂・AA
守原有希(ga8582
20歳・♂・AA
水円・一(gb0495
25歳・♂・EP
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA
長谷川京一(gb5804
25歳・♂・JG

●リプレイ本文

●会議前
 ドローム社の会議室。そこに傭兵達が集まってきた。いつものなら武器を携えるが、全員自分の考えたアイデアなどのレポートを持っていた。あと、会議室には似つかわしくない重箱などを持つ人もいる。
「いらっしゃいぃ」
 エスティヴィア(gz0070)が顔見知りを見て、微笑み‥‥クリア・サーレク(ga4864)を抱きしめた。
「エスティヴィアさん、お久しぶり――♪」
 クリアも喜び抱きしめ返す。
 その隣には、緊張している、守原有希(ga8582)が立っており。
「あ、あのその、おめでとう御座います! 今回は、ま、また、よろしくですたい!」
 彼は少しなまって挨拶していた。
「うんうん、緊張するほどのものかい? 有希君。うんうん、お姉さんは君がきてくれて嬉しいよ」
 軽くハグ(欧米的挨拶)。それで、有希の顔は紅潮した。湯気がでるぐらい。
「ああ! 有希君」
 クリアが驚いた。
「あ、ごめんねぇ。女性‥‥苦手だったんだっけ?」
 女科学者は苦笑してしまう。
「もっとよくなる為に改良案、全力で手伝わないとおもってきたってばよ」
 砕牙 九郎(ga7366)もニコリと笑って声をかけた。
「苦労も久しぶりだねぇ」
「だから苦労じゃないって!」
「一応きっちりしたな才媛に見えなくも無い」
 水円・一(gb0495)がエスティヴィアを褒める。
「あらありがと。褒めても何もでないけどねぇ」
「普通に感想を述べたまでだ」
 エスティヴィアは、他を見渡すと。包帯巻きの女性を見る。
「大丈夫ぅ?」
「ああ、一寸どじっちゃった。俺は鹿島 綾な。よろしく」
 鹿島 綾(gb4549)は先の依頼で重体を負ったらしい。
 そして、アルヴァイム(ga5051)、長谷川京一(gb5804)、高坂聖(ga4517)と挨拶していった。
「前の依頼からエスティヴィア博士が開発していたレーザー兵装には興味があったので、今回参加できてよかったです。どちらの兵装もまだ買っていませんが、遊技場のホープレースでコインを稼いだら必ず利用しますので、よろしくお願いします」
 聖は、目を輝かせて、エスティヴィアに期待の眼差しを送っていた。
「博士ってもんじゃないわよぉ」
 照れるエスティヴィアであった。
(「あそこまで言われれば、まあ照れる物か」)
 黒子はぼそりと呟く。

「では、始めるとするかねぇ」
 一行は女科学者にプロジェクターや会議テーブル、ホワイトボードのある綺麗な会議室に案内された。

●レーザーシールド
 まずは、軽量化についての賛否だったが、色々難航している。まずはシールドだ。
「軽量化しても、他の軽装型はスロットの問題があるから、出来ればシールドはストライクシールド等の攻守両用兵装にする形が良いのでは?」
 と言う意見が多かった。
「ところで、この映像粒子はSESを介してFFを中和できるのか?」
 一が訊ねる。
「いや、未だ其れはやって無くてねぇ。その実験の予算が下りないのよぉ。別のエネルギー砲の開発と被るというので止められているともいうかしらね‥‥」
 かなりがっかりしているエスティヴィアだった。
「そうか。では抵抗特化で考えた方がいいか‥‥」
 赤い髪を弄りながら、アルヴァイムが言う。
 ナックルフットコーティング系にも取り付けることが出来るのかというと、其れも又、今の装置からすると難しいという。
 軽量化し、燃費を良くし、抵抗上昇率もアップすることで落ち着きそうだが、まだ改案はあるだろう。しかし、現時点では、軽装備のKVにも安心してつけられるように、軽量で攻守両用兵装として作成すると言うことになるようだ。
 エネルギーカートリッジ式も考慮されたが、ロンゴミニアトや熱ディフェンダーのエネルギーカートリッジ技術とアクセサリが被るかというと、至難のようなので、見送る形となる。
 あと、京一の大中小と大きさを分けていく案もあったが、同じ内容の物で大きさだけを変えていくだけでも予算がかかるため、一個ずつ確実に向上する方となった。ディフェンダーとライトディフェンダーの関係にはなりにくいと言うことだろう。しかし、彼の言っている案も、将来的に無駄にしないことにしたい。

●ピンポイントフィールド
「重量は軽量化しても、エンジン部や可変機構など脆い部分につけることは出来ないか」
 という話があった。当然燃費は少し良好化した方がいいが、保護場所が増えれば尚良いのは理にかなう。
「出来れば、リアクティブ(反応対応)の物は出来ないか?」
 九郎が訊ねると、エスティヴィアは首を振った。
「其処までIAが進歩してないのよ。武装なら良いけどフレーム系統ではね‥‥エネルギーカートリッジと同じ理由にもある」
「そうなのか‥‥色々難しい物だなぁ」
 九郎は、「う〜ん」と唸り、自分の案が駄目だったことにがっかりした様子だ。
「しかし、他の武装に‥‥まあ、別部署に声をかけてみて、他の武装がカートリッジ形式に出来るかは言ってみるわねぇ」
「おねがいしますってばよ」
「基本的なところは、軽量化を目指して、重要部分の拡大化というほうでまとまりそうだな。しかし、妨害電波、幻覚などに此は通用するのか?」
 アルヴァイムや一がエスティに訊ねる。
「いや、この粒子は、CWの妨害電波やMIの幻覚などの特殊な物には効果はないのよぉ。ビーム兵器などのエネルギーへの干渉‥‥抵抗かね‥‥。それぐらいしかないわ」
「む、意外に使い勝手は悪いのだな」
「もともと、この粒子は、ヒーリング効果が実証されてもないし‥‥。粒子自体に抵抗性能があるのは偶然だったからねぇ‥‥」
 申し訳ないねぇ、とエスティは呟いた。

 皆の案により、自分が可能である物かどうかは別としてでも、アイデアのメモとして保存するという。もしかすれば、その案が、どこかドローム社で採用されるかも知れないのだ。気が付いたらでていた、と言うこともあれば、少し嬉しいことでは無かろうか?
「さて、レーザーシールドの方は、燃費の向上‥‥。えっと、抵抗重視で‥‥固定兵装化の方向‥‥ですね。ピンポイントの方は、重量はそのままになるけど重要箇所にフィールド拡大と‥‥カートリッジはアクセサリでは無理と‥‥」
 クリアがメモを取ってくれていた。

●他の武装や企画?
「さて、次は、これ以外での案を聞こうかしらぁ?」
「はい! 幻影発生装置はでないのですか?!」
 聖やら黒子やらが、言う。
「‥‥ごめんよ‥‥上層部が販売を見送ってるの。たぶん、駄目なんだろうねぇ」
 エスティヴィアは、会議室の隅っこで体育座りをししくしく泣いている様に見えた。漫画チックで言うと、人魂もでて、暗くなっている。
「あ、‥‥だいじょうぶ?」
 クリアがオロオロし始めた。
「‥‥半分冗談のアクションだけど‥‥」
 元に戻るエスティヴィア。いや、なってない。マジで泣いてた。しかし其れは黙っていようね? うん。イイ人達だ。
「ごほん、翔幻の能力内では幻影自体が見えないから使えないし、それと同じ理由でラージフレアとの併用が出来ないでしょ? 効果が被ることで、出回らないと言うのが上の考えなのよ」
 というのだ。状況によって使い分けるという事も考えられるが、普通重複しない物をたらふく持ってもスロットの無駄使いになる。兵器って放蕩作りにくい物だ。
「あと、アルヴァイムのビームコーティング・ソードウィングなども、先ほど言ったあたしの持ってる映像粒子では出来ない可能性が高く、カプロイアと権利侵害が懸念されるわ‥‥いくら社長と伯爵が、仲が良いとしてもビジネスはビジネスだからねぇ」
「難しい物だな」
 腕を組んで、アルヴァイムは唸った。
「自動化は出来ないとなると、俺の考えた、レーダーに反応してフィールド展開も無理か」
 綾も考え込んでいた。
「そこまで行くとバグアの力がいるわねぇ。ファランクスは、あくまで迎撃や牽制自動兵器だからねぇ」
「物理・非物理両用というのは大丈夫なのですか?」
 有希がアイデアを出す。
「いや、絶対無理。そんな万能浪漫兵器は、今のメガコーポ全体を見ても、無いわぁ(09/4/10現在)。素材自体が『メトロニウム』が基本なの。SESとの連動が良いからなっているのよ。その辺勘違いしないで?」
 装備のメタ化(固定化)が進むと、メガコーポとしてもあまり芳しくないのがある。他にも色々理由はあるのだが、身も蓋もなくなるので、ここらへんで止めておく。銃剣「トリストラム」自体の特殊性も其処にあるだろう(どっちも物理だが)。

 しかし、エスティヴィアが興味を惹く物はある。
『ユニヴァース・ナイトへの装備としての申請』と『大型艦への大型映像装置の設置』だった。
「この案は面白いわねぇ。アルヴァイム」
「そうか」
「しかしあたしは其処まで偉くないわけだけど、草案を作って、社長に話してみるわぁ」
「それは、楽しみだ」
 ニコリと笑う黒子。しかし、エスティヴィアの目は厳しい。
「ただ、ガリーニンはロシア製なので、取り付けは至難だわね。プチロフやUPCロシア軍辺りとの提携が可能かというのもある。それに壱番艦も弐番艦も軍の管轄。一大プロジェクトになるわ」
 考え込むエスティヴィアだが。なにか決意したようである。
「成功すればそれだけ凄いんだなぁ。博打のそのものなんだな?」
 九郎が言うと、エスティが頷いた。

「うまく行くかは分からない。しかし、やってみる価値はありますね!」
 クリアがにこにこ笑う。
「‥‥ですね、エスティヴィさん頑張って欲しいです‥‥」
 隣にクリアがいるので、舌を噛みまくっている有希がいた。
「?」
 クリアは首を傾げるだけ。
「‥‥若いって良いな」
「‥‥そうだな」
「だな」
「ねぇ」
「ですねぇ」
 黒子、一、京一、エスティ、聖は目を細めて、微笑みながらため息を吐いた。
「なんだ? なんだ?」
 分からないのは九郎だった。

●そのあとは‥‥花見?
 有る程度の案は出して其れは記録されるという。
「では、ディスプレイや設計図と睨めっこしただけでは、良い案もでないから‥‥お花見といきましょう!」
 クリアが明るい声で、提案する。
「うちもそれは大賛成です!」
 有希も挙手。
「どうする?」
 京一がエスティヴィアを見る。
「‥‥にくくいたい、にくー」
 エスティは花より団子のようだった!
「わー。肉きたってばー。そんなこともあろうかと持ってきたよ。肉料理」
「仕事から外れると直ぐ此だ」
 一はこめかみを押さえていた。
「いいではないか、LHに季節感があるかというと結構謎だが」
 LHは、北半球辺りをウロウロしていると思いたい。殆どの住民は、南半球より北半球出身だから、そっちよりだと思う。
 LHのドローム社内にある、中庭で、丁度昼時を食べる社員達もいた。頃合いだった模様だ。
 レジャーシートを広げて、コップや重箱を置いていく。サクラはないが、日差しも良く、そよ風が頬を撫でていく。気持ちが良い。
「う〜ん、やっぱり外だね!」
 クリアはもう大はしゃぎ。
「唐揚げに、ローストチキン、肉じゃが、肉ばかりだってば」
 九郎も重箱を持って、差し入れしてくれたのだ。
「うわー。豪勢だわぁ!」
 エスティは感激している。
「花見団子セットです。お約束の三色団子を筆頭に、長命寺(関東風桜餅)や道明寺(関西風桜餅)、イチゴ大福に桜羊羹と言った、バラエティーに富んだレパートリーですよ!」
 クリアの重箱はお団子づくし。いや、9人でも大丈夫なのかという量だった。
「む、それだと、ふとら‥‥ぶべらぁ!」
 九郎失言。クリアの正拳突きが炸裂して、10mぐらい吹き飛んだように見える。
「ああ! 苦労さん!」
 驚く有希に、
「自業自得だ‥‥」
 黒子さんは至って冷静であった。

 ――いつものことだね。

「筑前煮と筍ご飯に旬の惣菜もありますよ!」
 と、有希もお重をもってきてる。エスティヴィアにとって頼もしい傭兵さん達が揃って、大感激である。
「もう、有希君にクリア君、大好きだ! お姉さん感激だよぉ!」
 女科学者は2人を抱きしめる。
「うわああ!」
「きゃ!」
 と、和気藹々とお食事が進むのであった。
 九郎? 彼は暫く地面に突っ伏したままだ。後30秒ぐらいは、ね。

「タバコは吸う?」
「いや、あたしは吸わない」
 京一が煙草を勧めるがエスティヴィアは断った。
「そうか」
「コーヒーを楽しむには香りもねぇ」
 と、アルヴァイムが淹れてくれるキリマンジャロ・コーヒーを堪能するエスティ。
「アルヴァイム、俺にもくれない?」
「分かった」
 綾にもキリマンジャロ・コーヒーを淹れる
 一寸した、遠足気分で、会議は終わろうとしていた。

 エスティは‥‥今回のことで気が付いたことがある。
「‥‥有希君、有希君」
「な、なんでしょうか? エスティヴィアさん」
「‥‥クリア君のことが好きなの?」
 小声で聞いてみた。相手に聞こえないように(その時、クリアは別のことに夢中だったのが幸いである)。
「‥‥っ!?」
「青春してるねぇ」
「っとその‥‥っ」
 くっくっくと笑うエスティ。有希は真っ赤になって、おどおどしている。
「応援してるわぁ」
 と、言うだけ言って、「にく〜」と九郎の手作りと有希の料理に舌鼓をうち、しっかりクリアのお団子フルセットも平らげるのであった。甘い物は別腹ですから。


●一大プロジェクトの草稿
「社長、草案ではありますが‥‥こういう物を書きました『巨大空母映像技術設置計画書(仮)』です」
「‥‥どれ‥‥興味深いですが‥‥。困難を極めますよ?」
「我が社の繁栄のためにもやってみる勝ちはあるかと‥‥映像技術に於いて、こうした大型モニターの開発に成功すれば、他のメガコーポに先んずる形が出来るかも知れません‥‥」
「考えておきましょう‥‥」