●リプレイ本文
●ジュリアと生徒達を捜せ
アプサラス・マーヤー(gz0032)、申 永一(gz0058)と共に連絡が途絶えたジュリア・ラナンと生徒達の探索に向かったのは10名の能力者。
ドラグーン達はAU−KVを装着した状態で雪中を歩行し、聴講生達は防寒具を着こんで永一のジーザリオで移動している。
部活『闇の生徒会』代表の鬼道・麗那(
gb1939)は、前回のジュリア探索の際の経験を活かして率先して道案内を行った。
「今度こそ、ジュリアさんを助け出してみせます!」
そう誓いつつ、1歩ずつ進む麗那。
「ジュリア先生達、大変なことになっちゃったな。なとかしないと‥‥! さすがに1人じゃ無理だけど、皆と力を合わせればなんとかなるはず」
出発前にアプサラスから支給された地中レーダーと地殻変化計測器を手にし、サンドウォームの穴を探す山崎・恵太郎(
gb1902)。
カンパネラ学園の生徒として入学式を無事終わらせるらために頑張ります! と意気込む千祭・刃(
gb1900)は、どこかにある穴にジュリアが無事でいることを信じて
ジュリアの無事を信じつつ、刃は地殻変化計測器で穴を探し続けた。
ヴェロニク・ヴァルタン(
gb2488)はAL−011「ミカエル」購入後の依頼だったので、性能を試すのが楽しみであった。
「この子の性能がどうなのかも楽しみですが、行方不明の生徒とジュリア先生を救出することが先です。皆さんでサンドウォームの穴を探しましょう」
いつ出現するかわからないので、ドラグーン達は常に2人1組で行動することをヴェロニクが提案したところ異議無しで即決。
2人1組というが、移動中のドラグーンは7名なので能力のバランスを考えて麗那が班構成を考えた。
A班はヴェロニクと月影・白夜(
gb1971)。
「暗き夜の無い白夜と‥‥白銀の世界を持つ国か‥‥」
地中レーダーを駆使し穴を探す白夜は、丈夫なロープと頑丈なスコップ、小型の布とパイプで出来た椅子の貸与申請したところ、承諾を得たのでアプサラスが用意してくれた。それらを持っての探索は大変だったが、弱音を吐かなかった。
B班は麗那と鮫島 流(
gb1867)。
「ジュリア先生は俺らドラグーンの母親みたいなもんやさかい、子が親を助けるんは当然や!」
流は地殻変化計測器を駆使し、遭難したジュリアがいると思われる穴を探している。その間、生徒捜索も忘れてはいない。
C班は刃、恵太郎、これが初依頼となる橘=沙夜(
gb4297)。
「う〜寒いなぁ‥‥入学式って言うから来たのになぁ。でも、まだ救助できていない生徒達がいるんだもん。早く助けてあげなくちゃ!」
ドラグーンが身に纏うAU−KV装着時の防寒機能はマイナス10度とかなり低いので、その下はアプサラスが用意した防寒具を着ているがそれでも寒い。
沙夜は、地殻変動装置でサンドウォームの動きを測りつつ、無線で仲間と連絡を取る支援役として活動することに。
永一のジーザリオの中で、沙夜の連絡を受けたリア・フローレンス(
gb4312)は、まだジュリアが落ちたサンドウォームの穴未発見、生徒達発見できずと残りの仲間に告げた。
「グリーンランドでの依頼は初めてなので、まずはドラグーンの皆さんの力を頼りにするしかありませんね。申さん、穴が近いと連絡がありましたら車を止めていただけますか?」
羽鳥・建(
ga5091)がそう言うので「わかった」と慎重に運転しながら答える永一。
「極寒の地、グリーンランドか‥‥。俺には辛いものがあるが、防寒具を借りれば少しはしのげるだろう。外に出たら移動はしんどいな‥‥」
雪が降らない沖縄で生まれ育った風閂(
ga8357)にとって、寒さは耐え難いものだ。
『さよだよ、サンドウォームの穴が近くにあるみたいだよ。リア姉ちゃん達も穴探しのお手伝いに来て』
サンドウォームの穴が近いという沙夜からの報告を受けた3人の能力者達は、探索準備をしてからジーザリオから降りた。
「俺とアプサラス教官は、生徒救出まで車の中で待機している。緊急事態や重傷の生徒がいたら無線で連絡してくれ」
了解! と永一に返事した能力者達は、ドラグーン達と合流して活動することに。
「申です。アプサラス教官、能力者達が合流し始めましたので同行願います」
「わかりました」
アプサラスと申は、ゆっくり各自の車を運転して能力者達の後をつけた。
●ジュリア、生徒発見
ドラグーン達と合流した建、風閂、リアもドラグーン達と共に地中レーダー、計測器を駆使してサンドウォームの穴を探しつつジュリアと生徒達を呼んだ。
「早いところ皆を見つけないと、こっちも氷付けになっちゃいそうだねぇ」
ブルブル震えながらも、必死に穴を探索しているリア。
「地殻‥‥大丈夫ですかね?」
サンドウォームによる不意打ちは絶対に避けたいので、探査は頻繁に行う麗那。
「声を出して呼びかけても、サンドウォームの特性からして問題はないようですね。ジュリア先生ー!」
サンドウォームが能力者達の呼びかけ気づけば、即、出現だろうが、無反応なので安心したヴェロニク。
「これ‥‥穴か?」
恵太郎が、何かの穴らしきものを発見したので無線機と呼び笛を使って能力者達を1箇所に呼び寄せた。
それは紛れもなくサンドウォームの穴だ。
その証拠に、深さ20センチ程度付近に行方不明となっていたジュリアがいた。
「あんた達‥‥っ!」
何しに来たんだい! と怒鳴りたいところだったが、脚を負傷しているためその元気すらないジュリア・ラナン。
「俺が穴の中に降り、できるだけ静かに素早く移動を開始するから地中レーダーと地殻変化計測器でサンドウォームが来ないか点検しつつ、ランタンで穴を照らしてくれ。こう暗いと、ジュリア先生を見逃してしまいそうだからな」
恵太郎が穴に潜入する間、地中レーダーと地殻変化計測器での点検は建、刃、白夜が担当、ランタンで穴を照らすのは体力がある風閂が担当。
「先生、無事か?」
「こんな状態で無事だと思うか?」
穴に腰近くまで埋まっているジュリアだったが、恵太郎に悪態つく元気はあった。
「これで‥‥穴を掘って‥‥」
白夜は、頑丈なスコップを恵太郎に手渡した。ジュリア救出は少し時間がかかるが、白夜のスコップ提供はありがたかった。
穴から救出できたのは、掘り始めてから10分程かかった。
「ジュリア先生を早く穴から引き上げる作業ですが、申さんのジーザリオの馬力を利用してはどうでしょうか?」
建の案に乗った恵太郎は、自分の身体にしっかりロープを結びつけ、尖端をジーザリオに結びつけた。
「いくぞ」
「いつでもいいぞ!」
悪路のため思うように前に進めなかったが、頑張った甲斐ありジュリア救出に成功!
「た、助かった‥‥私より、生徒達を早く!」
脚の痛みを堪えながら焦るジュリアに「大丈夫です、他の仲間が救出作業中ですから」と安心させ、救急セットで応急手当をするヴェロニク。
生徒救出は恵太郎、ヴェロニク、白夜、沙夜、リアに任せ、建を含めた4名はサンドウォーム陽動班担当となったが、サンドウォームがまだ出現していないので陽動班も生徒達の手当てを。
救出を待っていた生徒達は、ジュリア発見場所から500メートルほど離れた場所で発見された。
「こちらリア、救助待ちの生徒達を発見。皆、幸いにも救急セットで手当てできるほどの怪我だから、救急セットを持っている人とアプサラス先生はすぐ来て!」
「わかりました、能力者達とすぐそちらに向かいます」
申さん、ジュリア先生をお願いしますと頼むと、アプサラスと数名の能力者達は生徒達のもとに向かった。
生徒達はかなり凍えていたので、リアが差し入れてくれたココアと毛布で少しでも身体を温めることができて一安心。
「あ、怪我をしている人が‥‥」
怪我をしている生徒数名に気づいたリアは、アプサラスの許可を得てからランドクラウンまでそっと運び、暖かい車内でエマージェンシーキットや救急セット使って応急手当てを行った。
比較的軽傷の生徒に毛布をかけた建は、これでも寒いでしょうが我慢してくださいと肩に手を当てて励ました。
「体が冷えた生徒は、永一殿かアプサラス殿の車に乗せて静養させたほうが良いのではないか?」
風閂の案に「そうですね」と建は毛布にくるまっている生徒をそっと立たせ、アプサラスの車まで連れて行った。
『竜の翼』を使用し、広範囲で生徒を探索していたヴェロニクは、負傷して生徒1名発見したので、そっと抱いてアプサラスのもとへ。
「手当て、お願いします」
「わかりまし‥‥な、何、この音!?」
アプサラスが生徒を『練成治療』で治療しようとしたその時、地響きに似た音が聞こえた。
すると‥‥能力者達から1メートルほど後から、サンドウォーム1体が突如出現!
「うわぁ、でか‥‥何コレ、ウネウネしてるよ‥‥! 永一さん、ジーサリオの運転は僕がしますから戦闘を兼ねてサンドウォームの研究をしてください」
「助かる。負傷している生徒が同乗しているから慎重に運転してくれ」
「はい」
リアとアプサラスは、慎重に運転しつつ各車に乗せた負傷した生徒達とジュリアを気遣う。
「あいつが出現するとは‥‥ナイトフォーゲルでないと勝てるわけがない!」
痛みを堪えながら、生身の戦闘では敵うわけがないと危惧するジュリアだった。
●サンドウォーム出現!
「これから陽動に入ります! 皆さん、私に着いて来てください!」
先頭を走り、包囲攻撃に向き広く、見通しの良い場所にサンドウォームを誘導する麗那は、前回の依頼で敵の強大さを知っているので、管制を中心に皆をサポートすることに徹することに。
「各自、包囲の底の位置に就き常に全体を状況把握してください!」
味方に指示を送りつつ、自らも攻撃態勢に入ることを忘れない。
「救出班の皆さんは、生徒達の護衛をお願いします!」
そう頼むと、建は覚醒し『瞬速縮地』でサンドウォームを撹乱しつつ、隙を見ては『真音獣斬』で攻撃。
撹乱作戦は成功したのか、サンドウォームは身体をうねらせながら建をいつ攻撃しようか狙いを定めている。
刃も素早く覚醒すると『竜の翼』『竜の爪』『竜の鱗』を発動させ、建同様、撹乱作戦に出た。
「サンドウォーム戦ですか、腕がなりますね‥‥。皆を危険な目に遭わせたこと、後悔させてあげるよ。覚悟してね」
冷徹にそう言いながら、武器を奪われないように気をつけつつ、ヒット&アウェイで長刀「乱れ桜」、蛇剋で攻撃を繰り返す。
「倒せるかどうかわからぬが、何もせぬよりマシだ。皆、心して退治しようぞ!」
風閂はイアリス、ヴァジュラでの『ソニックブーム』二連発攻撃。ダークファイターの彼には、これが唯一の遠距離攻撃スキルであるため練力が尽きるまでこれを繰り替えるつもりでいる。
「我らが力を合わせれば、貴様のようなデカブツでも倒せることを思い知れ!」
攻撃時は常に距離を取る取っている流は、救出班からサンドウォームを引き剥がし、陽動班にひきつけるためにシエルクライン乱射で注意をこちらに向け、時折『竜の翼』を併用して撹乱させて時間を稼いだ。
『竜の瞳』『竜の爪』を発動させた流は、武器を長弓「百花繚乱」に持ち替えると弾頭矢を取り出し、番えながらサンドゥームが口を開けるの待った。
建、刃の撹乱に怒ったサンドウォームは、邪魔な2人を飲み込もうと大きく口を開けた。
「今が狙い時です!」
麗那の合図で、流は弾頭矢を一気に放った!
「これで‥‥終らせるっ!」
弾頭矢はサンドウォームの口に見事に命中! まっすぐ飛ばすのにはテクニックがいるが、精神集中させていたので一矢報いることができた。
体内で爆発したので、サンドウォームは痛みを紛らわそうと大暴れし始めた。
その際、触手が建と恵太郎の武装を奪った。
「武装を奪う能力か」
そう言いつつ、風林火山で触手を斬り落として各自に武器を返す永一。
「武装を奪うだけでなく、飲み込み能力もあるのだろう」
冷静にサンドウォームの分析をしつつ、永一は能力者達の援護を行った。
●サンドウォーム戦佳境
その時、リアを除いた救護班が駆けつけた。
「本気モードで挑みますか。そうしないと勝てませんから」
AU−KVを装着した恵太郎は、ワンマンプレーは避け、仲間に歩調を合わせた連携攻撃を行うことに。現在、もっとも効果的にダメージが与えられている箇所はサンドウォームの喉元。『竜の爪』を発動させ、フォルトゥナ・マヨールーで攻撃したが、それでは思った以上のダメージは与えられなかったので『竜の角』を使い機械剣での攻撃を試みたが、位置が高すぎるので攻撃できない。
「私も追撃します! いい加減に大人しくなさい!」
撃破を考えていたヴェロニクは、可能な限り集中攻撃できるよう仲間との連携重視で立ち回った。『竜の爪』を発動させ、スコーピオンを連射。
白夜は『竜の咆哮』でサンドウォームを後ずさりさせた後に『竜の翼』で後退し、ヒット&アウェイを繰り返して援護攻撃に出た。
「入学式は‥‥必ず護ります‥‥。終わったら‥‥部活『鐘狼』の活動を‥‥」
そのためには、目の前の敵を倒さなければならない。
「さよは警護するよ。ミミズさんの攻撃はそこそこで。地殻変動装置でミミズさんの動きを見て、救助した生徒さんのところに行かせないよ!」
サンドウォームを救出したジュリア、生徒達がいる永一、アプサラスの車に近づけないことも大事な役目だ。
最年少だが、重要な役目を引き受けた沙夜は初依頼でありながらも立派に活動している。
「とどめです! 暗黒衝竜波ぁ!」
前回の失態をサンドウォームを倒すことで帳消しにしようとした麗那は『竜の角』を発動後、スパークマシンΩ使用の必殺技を発動しサンドウォームに止めを刺した。
●戦い終えて
「生身で倒すなんて‥‥」
車内から撃破の様子を見たジュリアは、なかなかやるなと能力者達を関心。
ジュリア、生徒救出、保護に成功したことをアプサラスは、学園側に依頼終了を報告し、UPC軍には負傷した生徒達は病院に搬送するよう要請したが、ジュリアは頑なに拒否。学園側に新型機の調整終了を報告するためである。
学園到着前、移動飛行艇の中でアプサラスとヴェロニクは負傷した能力者達の手当てを行った。
痛みを堪えて入学式会場に到着すると、ジュリアは新型機の調整終了詳細を報告。
「報告は以上だ」
「サンドウォームですが、武器を奪う能力『武装解除』、口を開けて能力者を飲み込む能力があるようです。武装解除に関しては武器を取り返すことは可能ですが、生身で飲み込まては一巻の終わりでしょう」
サンドゥームに関しては、研究生である永一が報告。
学園側は、新型機調整に喜んだが、サンドウォームに関しては厳重注意しなければと対策を練ることにした。
戦いはまだ終わってはいない。皆、そのことを忘れず士気を高めた。