●リプレイ本文
●屋上に向かえ!
カンパネラ学園入学式前日、学園長銅像にイタズラしようとした不良4人組の挑発にあえて乗ったソウジ・グンベ(gz0017)の護衛をすべく、大槻 大慈(
gb2013)は用務員室に駆けつけた。
「用務員のおっちゃん、ロープとかある?」
何に使うのかと聞かれたので「理由? 後でソウジに聞いてくれ!」と、厄介事の当事者であるソウジに責任転嫁し、8本ほどロープを借りると屋上へ。
そこに向かう途中、依頼を受けた生徒、聴講生達と合流。
「冗談とはいえ、爆弾テロとは厄介だな。仕掛け方を間違えず、完璧なものであれば学園校舎の被害は甚大だぞ!」
旧陸上自衛隊に所属していたため、火薬取扱いの技能に長けた緑川安則(
ga4773)が被害状況をシミュレートしている。爆弾はハッタリなのだが、本当に仕掛けられたとしたら安則の予測通りの被害になりかねない。
「カンパネラ学園の危機が、ソウジの肩に乗せられた時点でかなり嘘っぽい気がするのだが」
他に学園の危機を背負うに相応しい人物がいるだろう、とぼやきつつ、ソウジ救出に乗りかかったリュイン・カミーユ(
ga3871)。
「何はともあれ、とりあえず助けに行くとするか。もしソウジに何かあった後なら、不良共め、無事に明日の太陽を拝めると思うな!」
指をボキボキ鳴らしつつ、ソウジの身を案じるリュイン。
そんなバカなことができるのは若いうちだ、と不良4人組に言い聞かせようと試みるダニエル・A・スミス(
ga6406)は、大人が彼らのバカな行為を止めるのが仕事になると思っている。
「俺もBadBoyな頃に戻りたくなる時もあるんで、羨ましくもある訳だ。‥‥とはいえ、それとこれとは話が別だぜ。爆弾に関しては細かいことはわからん。そういうのはGoodなヤツに任せて、屋上に行っとく。俺が得意なのはFightくらいだからな。‥‥ま、この場合ソレでいいんだよな?」
「当然だ。情けなど必要無い」
怖いねぇ、と、リュインの側を離れるダニエル。
「学園爆破とかってアホですか、この不良さん達は。下手すると退学モノでしょうに」
若気の至りって怖いですねー、と溜息をついて呆れる如月・菫(
gb1886)。
「何をしでかすかわからない不良さんには、心を入れ替えてもらわねばなりません。そんな人達に、高度な爆弾を作る技術なんてあるのやら‥‥。それにしても、最近は不良さんとの相手が多い気がします。うーん‥‥やな感じ」
「まあそう言うな、韮」
新作の『カンパネラ学園校章カレーパン』をゲットするはずが、ソウジ護衛依頼のためできなくなった大慈の一言に「韮って言うなぁー!」とキレてしまった菫であった。
「悪い! 字が似てるんでつい‥‥。新作カレーパンゲットできなかった恨み、あいつらで晴らす!」
前回の不良4人組のお仕置きに関わった大慈らしいセリフだが、この件とカレーパンは一切関係ない。
学園内で起こる揉め事を解決する部活動『鐘狼』メンバーとして、学園の一大事を聞き、これは放っておけないと月影・白夜(
gb1971)はAU−KVを装着して屋上に向かった。
「行きますよ‥‥相棒」
屋上に向かう階段前に辿りついた参加者達は、ふんふんふーん♪ と鼻歌を歌いつつ机とイスをドカドカと置き、仲間が通れるスペースを空けてバリケードを作成しているヨグ=ニグラス(
gb1949)に遭遇。
「あ、皆さん、通ったら埋まるですよ?」
ちなみに机とイスは生徒や聴講生、教師に手伝ってもらって運んだ。
「そういえばボク、ソウジさんとお話したことないや。カッコイイ人みたいですから、会ったらどうなっちゃうのかわかんないです」
いや、本人、想像以上にカッコよくないですから。
●爆弾使用が合流合図?
「爆弾予告を送りつけた不良4人組、一体何を考えてるのかな。ボクは万が一に備えて『探査の眼』で学内を調べて来るね!」
椎野 のぞみ(
ga8736)は、苦笑を浮かべながらそう告げると仲間と一旦別行動をとり『探査の眼』を駆使して爆弾探しに奔走。
その間、安則、リュインは一足先に屋上に乗り込み、爆弾が無いか探索する前にソウジの元へ。
「キミ達、何をしにきた!? 危ないから下がれ!」
爆弾はハッタリだとわかっていても、2人を巻き添えにしたくないソウジは引き離そうとしたが無視された。
「リュイン君、不良4人組を確認しました。今から閃光手榴弾について説明します。3秒後に爆発しますので、目を閉じてください」
「‥‥わかった」
屋上入り口付近では、菫、ヨグ、白夜、大慈は聞き耳を立てて待機中。
「どんな‥‥様子ですか?」
「そうですねー。爆弾がマジだったら、ヤヴァイ訳で。どこにあるとか、嘘だとか、あの4人がポロリと口にしてもらえればこれ幸いなのですがね。ついでに、ソウジさんがササーッとボコボコにしてくれたら嬉しいのですけど、さすがに無理でしょうか?」
心配する白夜に様子を伝えながらも、ソウジが不良4人組をフルボッコにすることを期待している董だったが
「無理だろうな」
という、溜息をつきながらも、用務員室から借りたロープがいつでも使えるよう準備している大慈の言葉に「そうかも」とあっさり納得。
「でも、その4人組に恩を売っておけば『兄貴』と呼ばれて慕われちゃったりするかもです。プリンあげれば懐いてくれるかな?」
いや、それはない‥‥多分。
「そこ! 何をしている! 本当に爆弾が仕掛けられていると思っているんじゃねぇだろうな? あれはハッタリだよ、ハッタリ!」
「何ぃ!?」
嘘だと知ったソウジは、覚醒してついうっかり自白してしまったドラゴンを攻撃しようとしたが‥‥。
「爆弾発見っ! 皆、下がれ!」
少し離れた場所で、安則が閃光手榴弾を投擲して爆発!
あらかじめそれを聞いていたリュインは、その間、目を閉じながら無線機を取り出して別行動しているのぞみに連絡。
「爆弾を仕掛けたというのは、やはり嘘八百か。これで心置きなく、汝らを叩きのめせるというものだ。椎野か? こちらリュイン、爆弾は屋上で見つかった。至急、我らと合流せよ」
『了解!』
指をポキポキ鳴らし、不敵な笑みを浮かべて不良4人組に近づくリュイン。
「汝らが1対4であれば、8対4であっても文句は言えんよな?」
「そういう‥‥ことになりますね‥‥」
閃光手榴弾を本物の爆弾だと思い、様子を見に来た屋上入り口で待機していた残りの仲間も合流し始めた。
「貴方達の悪行‥‥学園の守護者である『鐘狼』が許しません‥‥」
「あぁっ! おまえらっ!! ‥‥誰だっけ?」
バケツヘルムを手にし、慈のウケ狙いのボケにコケたその場にいる全員。
不良4人組はともかく、ソウジまでコケるのだから、全員ノリがいいことで‥‥。
「お、おまえはあの時のっ!! あの汚れ、落とすの大変だったんだぜ!!」
大慈に墨をぶっかけられたことを、未だに根に持っているドラゴン。
「あー、あん時の。って、おまえのせいで新作カレーパンが食えなかったんだ! 食い物の恨みは怖いんだ! リーダーだからって容赦しねー!」
「あの人がリーダーですか‥‥。僕は『鐘狼』の月影・白夜です‥‥お相手します」
リュインからの連絡を受けたのぞみが合流したことで、ソウジ救出のため依頼を引き受けた全員が揃った。
「お待たせしました。私は、エキスパートのマウンテンに挑みます。こんな大それたことをするってことは‥‥命、いらないんだよね?」
物騒な発言だが、これは本気では無い‥‥というものの、のぞみは殺気を隠すことなく覚醒。
「俺もマウンテン相手でいくぜ。どんだけデカいかIntersetはあったんだが、ソレはともかくとして、とりあえず殴りあいだな。RealBattleに比べりゃ、コレはアソビみてぇなもんだろ?」
殴り合いで勝負を挑む気マンマンのダニエルは、のぞみに加勢することに。
「では、私はベニー君に勝負を挑みましょう」
「私も!」
安則、進展アリと突撃した董はベニーの相手をすることに。
「では、我はチョイとやらを捕まえるか」
「ボクもお手伝いするです!」
互いの対戦相手が決まったところで、不良4人組のお仕置き開始!
●手加減無用! 情け無用のお仕置きタイム!
前回の墨汁ぶっかけをドラゴンが覚えているかと思い、大慈はバケツを見せながら近づいたが‥‥何の反応もなかったので拍子抜けし、大きな溜息をついた。
「空っぽバケツ、くらえー!」
バケツをドラゴンに投げつけると同時に、白夜と同時に『竜の翼』で接近した後、同時に『竜の瞳』を発動し『竜の咆哮』の威力をプラスさせた槍の柄部分吹き飛ばし攻撃でふっ飛ばし!
「やべっ!」
ドラゴンが屋上から転落しそうになったので、白夜に手伝ってもらい、それを阻止した大慈。ヘタしたら、彼らが殺人犯になるし。
「僕の攻撃‥‥ありませんでした」
落下しそうになったショックで、ドラゴンは気絶してしまった。小心者だね。
念には念を、と大慈はドラゴンをロープで縛りイモ虫状態にした後
「俺のカレーパン〜っ!!」
とハリセンで八つ当たり! 食べ物の恨みって、本当に怖いね。
捕縛終了後、白夜はAU−KVを脱ぎ捨て、狼耳と尻尾付きの姿を晒した。
「懲りたようですね‥‥」
バスタードソードで攻撃を仕掛ける前に『自身障壁』を発動させ、防御力を上げたのぞみは、怪我しない程度に本気でマウンテンに挑んだ。
「さあ、仕上げだよ!」
バスタードソードで腹部をおもいっきり叩き付けたことに、ダニエルの威力あるパンチが追加されたことでマウンテンはぶっ飛ばされた。
「私達の勝ちだね。何か言い残すこと、ない? ない‥‥みたいだね?」
マウンテンの頭部にバスタードソードを刺そうとしたが‥‥直前で寸止めし、いつもの笑顔で「お仕置き成功です」とのぞみは満足げに言った。
マウンテンだが、図体がでかい割りに気が小さいのか失禁していた。
「君の敗因、それは経験の差‥‥かもね♪」
「さて、お説教Timeといくか‥‥。まぁ何だ、人類のHopeだとかそういう小難しいことはおいといて、ソウジが気にいらねぇんなら、変な小細工しかけるんじゃねぇよ。漢なら、正々堂々と決闘状でも送りつけるのがGoodなんじゃねぇ? それと、Studyできる今のうちにやっといた方がいいぜ。実戦でもうちょっと訓練真面目にやってりゃ良かったと思っても、後の祭りってこともあるからな?」
気絶しているマウンテンに、ダニエルのお説教が耳に入っていることを祈ろう。
「2人撃沈か。では、我も動くとするか」
即座に『瞬天速』で距離を詰めたリュインは、チョイが体勢を立て直す前に殺気を漲らせると思いっきり踏みにじり。
「貴様‥‥よくもソウジに危害を加えようとしたな? それが何を意味するか、我がしかと教えてやろう」
表情は輝いた笑顔だったが、殺気に満ちているのが怖い‥‥。
「捕まってたまるかっ!」
グラップラーであるチョイは『瞬天速』で逃れようとするが、素早さはリュインのほうが勝っているので逃れられない。
「ヨグ!」
「はいです! エアーソフト剣の餌食にしてくれるですっ!」
卑怯だ! という隙も与えられず、あっという間に挟み撃ちにされたチョイはヨグにエアーソフト剣で叩きつけられ、リュインの鬼蛍での峰討ち+おたまでの腹部、脚部を攻撃され、あっさり捕縛。
「な、何でこないなことすんねん!?」
「私情だ、文句があるか? あっても口答えは許さんがな! 手を狙わんのはせめてもの情け。その手で人に認められる芸術を作り出せ!」
「は、はいぃ!」
安則は『瞬速縮地』と『獣の皮膚』を発動させると、ベニーに勝負を挑んだ。
「的確な射撃も大事だが、強烈な一撃も重要だよ」
一気に『流し斬り』でAU−KVに大打撃を与えることに成功した後、ベニーの全身に手製の模擬爆弾を設置。
「うーん、素敵なベニーにこうしようか? 我ながら見事な出来です。あ、使用したのはセムテックといって、250グラムでジャンボジェット機を吹き飛ばせるものです。AU−KVはSESによる防御で死なないでしょうね。忠告しておきますが、爆弾を使うんでしたらこれぐらいの芸術品を使わないと。さて、タイマー作動といきますか」
「さ、作動!? それだけはヤメテー!」
泣き叫ぶベニーだったが、これは恐怖を煽るための脅しであって本当に作動させているワケではないし、爆弾もダミーなので爆発しない。
「逃がしませんよ?」
董は、ベニーが逃げないように『竜の翼』で接近し、羽交い絞めにして動きを封じた。反撃されることを想定しているので『竜の鱗』で防御力を上げることを忘れずに。
「今のでわかっただろう? 力というものは、使い方を間違えたらいけないんだよ。せっかくのかわいいベニーちゃんも、悪いことするから可愛くなくなってしまったね」
「同感」
本職傭兵である仲間がいるから何とかなると楽観的に物事を考えていた董は、作戦が上手くいったと一安心。
ベニー捕縛後、説教は無駄だと思いつつも始めた。
「私としてはー、何とかして心を入れ替えて欲しいのですがー。それより、処分を何とか軽めに抑えられないか交渉してみますね‥‥。うーん、甘いでしょうか‥‥?」
「いや、甘くはないと思いますよ。ベニーちゃんが改心するかどうかは別として」
捕縛に成功した4人組は、大慈がロープでイモ虫上に縛り上げたため脱出不可能に。
不良4人組捕縛:成功!
●捕縛終えて‥‥
「ふぅ‥‥人騒がせな‥‥。でも‥‥何事も無くて良かったです」
依頼を無事終えたことを確認した白夜は、授業に戻った。
屋上に残ったのは、イモ虫状態の不良4人と7名の能力者とソウジだけとなった。
「お疲れ様でした。とりあえず‥‥これ‥‥。ボクの手作りクッキーです。皆でお茶にしましょう♪」
「おっ、美味そうだな。ひとついただきっ♪」
クッキーを見るなり。ひとつ摘んでさっそく口にするソウジ。
「美味いっ‥‥って、いてっ!」
クッキーの美味しさをゆっくり堪能することなく、隣にいるリュインの説教が始まった。
「まったく‥‥1人で行って、何かあった上にドカン! もありえることを考えられなかったのか、汝は? 馬鹿正直も程々にしろ」
「‥‥悪かったよ」
「‥‥心配させるな」
小声で呟いたのだが、ソウジにはそれが聞き取れていた。
「皆さんも食べるのです♪」
ヨグは、気絶していないチョイとベニーにクッキーを食べさせた。
「リーダー餌付け失敗が残念です‥‥」
それだけが、唯一の心残りだったようで‥‥。
その頃、大慈は勢いで投げつけたバケツヘルムを探していた。
「バケツ〜っ! 俺のバケツヘルムが〜っ!!」
必死で探した甲斐あり、裏庭の茂みで無事発見された。
不良4人組だが、銅像騒ぎと同様の処分を下されたことを追記しておこう。