タイトル:【出雲】永一と観光をマスター:竹科真史

シナリオ形態: イベント
難易度: 易しい
参加人数: 5 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/12/17 11:37

●オープニング本文


 山陰UPC軍から派遣され、出雲市からカンパネラ学園に訪れた韓国人留学生、申 永一(gz0058)。
 学園でキメラ研究に携わっている彼は、かな〜り遅い夏休みを取り出雲に一旦帰ることに。
 12月になって夏休み? というツッコミはご遠慮願いたい。
「1人で出雲に戻るのもつまらんな、誰かを誘うか」
 永一は、共に出雲で過ごす能力者を募集することにした。
 
<スケジュール>
●集合場所:カンパネラ学園正門前。 

●1日目
 宿泊先に荷物を置いた後、ロビー前に集合。
 島根県立古代出雲歴史博物館:本殿復元、荒神谷遺跡青銅器岩安倉遺跡銅鐸等を見学。
 一通り回り終えたら、カフェ阿礼で休憩。
 八重垣神社:占い用紙に100円を浮かべて願い事をする池があるので試してみては?

●宿泊先:出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯
 自然と一体化した開放感が最高の温泉。
 マッサージ(有料)もしてもらえる。

●2日目
 日御碕神社参拝:邪気払い、厄除け、縁結びなどのご利益あり。
 出雲日御碕灯台:展望台に行くには、約160メートルの螺旋階段を辿って上るので少しハード。

●解散地:集合場所と同じ。帰路は各自で。

●参加者一覧

/ 終夜・無月(ga3084) / ルシオン・L・F(ga4347) / 崔 南斗(ga4407) / ユーリ・クルック(gb0255) / 禍神 滅(gb9271

●リプレイ本文

●永一の大失態
 かなり遅い夏休みを満喫するため、申 永一(gz0058)は念入りに観光先を下調べしたのだが‥‥ひとつだけ大きなミスを犯した。
 それに気づいたのは帰省5日前。
 松江市在住の友人で、観光プラン協力者である八重垣との最終確認での一言だった。
「出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯? あそこ、温泉施設だけど宿泊はできないよ」
「な‥‥!」
 どうしようかと青褪めた永一は、大至急宿泊先を確保する羽目に。
 インターネットフル活用し、何とか松江市内の温泉旅館の予約に成功。
 帰省が平日であったこと、永一と共に出雲に向かう人数が決まっていたことが不幸中の幸いだった。
 問題は移動時間だ。
 参加者に多大な迷惑をかけることになるので、学園から出雲までの時間を短縮させなければならない。駄目もとで山陰UPC軍に高速移動艇を手配するよう必死に頼んだところ、渋々だが了承。永一が出雲で起こったキメラ依頼に貢献したことを考慮したことだろう。使用料金が高いが、背に腹はかえられない。
 
 集合時間、行き先変更をメールで参加者全員に伝え終えた後、永一の夏休みは大波乱で幕を開けた。

●観光の始まり
 宿泊先、集合時間が急遽変更になった出雲観光当日。
 カンパネラ学園正門前では、終夜・無月(ga3084)は誰よりも早く待っていた。
「お早いですね」
 大規模が終わったのでのんびりしようと参加したユーリ・クルック(gb0255)は、左の胸元に収納しているとても大切なホルスターを気にしながら無月に笑顔で挨拶した。
「あなたも早いですね‥‥」
 友人の故郷らしい日本に行くために参加したルアム フロンティア(ga4347)は、知り合いである無月を見かけたので挨拶。
「無月‥‥も‥‥来てた、んだ‥‥ね‥‥。今日は‥‥ゆっくり‥‥できる、と‥‥いい‥‥よね‥‥」
 ルアムが初対面のユーリに挨拶中、崔 南斗(ga4407)が苦笑しながら挨拶を。
「やあ、早いな。一人だけ年齢高いようだがどうぞよろしく。終夜君は大規模作戦での活躍を報告書で見てるから、2年近く会ってない感覚がしないな」
「そうですか‥‥?」
 2人が顔を見合わせている時、永一が集合場所に駆けつけた。
「お待たせしましたか? 遅くなってすみません」
「いや、俺達も今来たところだ。観光だが、再び出雲に行ける機会できて嬉しいよ。永一君に感謝する」
「感謝していただけて恐縮です、南斗さん。お元気そうで何よりです。無月さんは、昨年の夏、出雲でお会いしましたね」
「永一‥‥お久しぶり‥‥。ヒルコの件依頼ですね‥‥」
 昨年8月の依頼を、無月が覚えていたくれたことを永一は嬉しかった。
「申さんですね。はじめまして、ユーリといいます。今回はお誘いいただきありがとうございます」
 右手を差し出し、永一と握手するユーリ。
「申‥‥この間は‥‥お世話に‥‥なりました‥‥。研究した‥‥キメラ達は‥‥元気‥‥?」
「ベビーキメラ研究の時のキメラですね。元気ですよ」
 それを聞き、胸を撫で下ろして安心するルアム。
 出発する前、永一は全員揃っているか確認している最中、ゴスロリ風ワンピース姿の少女が旅行鞄を持って集合場所に駆けつけた。
「遅くなってすみません、佐賀帝國武装女中隊長、禍神 滅(gb9271)と言います。佐賀帝國の質問に関してはお答え出来ません。それは守秘義務違反に抵触するからです」
 勝手に名乗っているに過ぎないからな、と心の中で呟く滅。
「普段はメイド服を着てメイドとして働いている。今日の衣装もメイド服もコスプレではないよ」
 誰も聞いていないのだが、滅はお構いなしに説明。
「で、では行きましょうか。ここに来るまでお疲れになったことと思いますので、高速移動艇の中でゆっくりお休みください」

 行きの高速移動艇で中で永一は参加者達に宿泊先、観光プラン変更を告げた。
「メールでもお知らせしましたが宿泊先、観光プランを変更します。宿泊先は松江にある『玉造温泉 佳翠苑 皆美』となります。『出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯』ですが、2日目に利用変更となります。1日目は『島根県立古代出雲歴史博物館』『日御碕神社』『出雲日御碕灯台』に行き、その後、温泉でチェックイン、レストランで食事、その後は自由行動とします。翌日は八重垣神社、出雲いりすの丘に行き山陰UPC軍経由で学園に向かいます」
 突然の変更、申し訳ございませんでした! と謝罪する永一に参加者達は少し驚いたが、強行スケジュールであることをあらかじめ知らされていたので多少の変更は問題ないと思った。
「気にしないでくれ、永一君。誘ってもらったんだから贅沢は言えんさ。研究熱心なのはも良いが、冬休みはいつ取るつもりなんだい?」
「次の休みは、いつ取るか未定です。それより、今回は本当にすみませんでした」
 相変わらず根を詰める性格で、義理堅いところがあるなと南斗は微笑ましく永一に耳打ちを。
(「諸費用だが、永一君持ちというのはかなり気がひける。俺の分くらいは払わせてもらうよ」)
 費用の件に関してかなり負い目があるようだが、それに関しては気にしないでくれと告げた。こういうことを予測して、以前から貯金していたのだ。
 目的地に到着するまで、皆、仮眠することに。

 最初の観光地である島根県立古代出雲歴史博物館には、開園時間の9時に着いた。

●島根県立古代出雲歴史博物館
 入館してすぐの中央ロビーに展示してあるのは、出雲大社の境内から出土した鎌倉時代の宇豆柱(うづばしら)。
 やや高めに展示されているので、その大きさを実感できる。
「でかいなー。今の出雲大社のもこれくらいか?」
「現在の柱より大きいですよ。本殿の柱は直径87センチですが、宇豆柱の直径は約130センチです」
 永一に解説に「こっちのほうがでかいんだ」と感心する滅。

 続いてはテーマ別展示。
『出雲大社と神々の国のまつり』では、巨大神殿であったとされる出雲大社の謎を中心に島根に生きる人々の心の営みの歴史を様々な角度から紹介。
 宇豆柱発見後、それをもとに5人の建築史家が50分の1模型として再現した本殿が展示されている。
「専門家の想像力が現れている展示品だな」
 じっくり見た南斗の感想。
「これ、さっきの木同様でかいな」
 滅が指差したのは、昭和28年の出雲大社遷宮の際、本殿から下ろされた実物の千木(ちぎ)と勝男木(かつおぎ)。斜めになっているのが千木、後ろで横になっているの勝男木である。
「千木は重さ500キロで前後2組、勝男木は重さ700キロで3本あったといいますから総重量4100キロが本殿の上にあったことになります」
「4トンの木が屋根の上にあったのか!? アンビリバボーだな!」
 これには吃驚仰天の滅の隣では、無月が復元模型を満喫中。
「そういえば、きみと一緒に注連縄をナイトフォーゲルで‥‥という夢を見た。これを見ているとそれを思い出したよ」
 苦笑しながらそう言う南斗に「あなたもですか? 俺もなんですよ」と偶然ですね、と驚く永一。

『出雲国風土記の世界』では、古代の地域の様子を記した『出雲国風土記』を手がかりに、当時の自然や景観の中の暮らしをを様々な角度から紹介。
 ここでも滅は永一に様々な質問をしていた。

『青銅器と金色の大刀』では、邪馬台国の女王、卑弥呼が魏から授かったとされる『卑弥呼の鏡』、荒神谷遺跡で発掘された銅剣358本、銅矛16本、6個の銅鐸が展示されている。
 加茂岩倉遺跡で出土の銅鐸は39個で日本最多である。
(「あの時、何故ヘルメットワームが銅鐸を‥‥」)
 銅鐸を見た永一は、初めてキメラに関わった出来事を思い出した。
「ラスト・ホープでは、なかなかこういうものには出会えませんから興味深いです」
 じっくり見るユーリ。  
「残るモノは‥‥残るのですね‥‥。俺達の今の戦いも‥‥ずっと先の未来で語られたりするのでしょうか‥‥」
「語られる‥‥かもしれませんね」
 永一の言葉に、そうだといいと展示品をじっと見つめる無月。

『出雲神話回廊』では古事記、日本書紀、スサノヲのヤマタノオロチ退治など出雲を舞台とした神話、伝承を紹介。
 一行が辿りついた頃、大画面では『スサノヲとヤマタノヲロチ』が上映中。
「スサノオ‥‥」
 大規模作戦部隊の重要機能に『天照』『月読』と神話の神々の名を冠している、昨年8月、出雲市内の海水浴場でヒルコ関連依頼に関わったこともあり隊のことを考えてしまう無月だったが今はそれをおいといて、純粋に神話を楽しむことに。

『総合展示』は四隅突出型墳丘墓、出雲の玉作、世界文化遺産の石見銀山、たたら製鉄を重点展示。
「たたらって有名なあのアニメにもあった踏んで使うアレだろ?」
 ジェスチャーを交えて永一に訊ねる滅。
「そうです。出雲はたたら製鉄が盛んなところでした」
 永一の解説後、各自、いろいろなものを実際に触れたり、体験したりと楽しんだ。

 少し早めの昼食は、屋外の緑が眩しいガラス張りのカフェ阿礼で。
「ご当地品‥‥ありますか‥‥?」
「季節限定の古代米入り十六島海苔おにぎり、というのがありますよ。十六島は、海苔の産地なんです」
 永一の解説を聞いた無月、南斗、滅はそれを注文。
 ユーリはコーヒー、ルアムは水だけでいいと何も注文せず。
 コーヒーが運ばれた際、ユーリは苦笑しながら恐縮。
「あ‥‥ありがとうございます」
 給仕する側にいる彼としては肩身が狭くなり、落ち着かなくなったのか、ウェイトレスの仕事を奪い皆にコーヒーを淹れはじめた。
「おまたせしました、ブレンドコーヒーになります」
「あ、ありがとうございます‥‥」
 食事を済ませた後、永一は会計を急いで店員に謝罪。
「で、では次の場所に行きましょうか」

●日御碕神社と出雲日御碕灯台
 竜や虎の彫刻が見事な楼門のこの神社は2つの社殿に分かれ、神の宮(上の宮)にはスサノオ、日没宮(下の宮)にはアマテラスが祭られている重要文化財である。
(「この想いが、あの人に届きますように」)
 ユーリはお願いをした後、そっと胸の銃に触れた。ついでにとお守りを購入。
 滅は、神妙な趣きで参拝。
 無月は小隊の安全、南斗は家内安全を祈願。

 日御碕神社の近くにあるため、高さ43.65メートルと石積みの灯台としては東洋一の高さの日御碕灯台移動には時間がかからなかった。
 展望台からの眺望が見事、ということなので約160メートルの螺旋階段を上ることになるが全員で行くことに。
「永一さん、私、少し疲れました」
「な‥‥!」
 滅が展望台に向かう途中、わざと永一にしなだれかかった。
「俺に構わず先に行け‥‥」
 若い人は体力あるな‥‥と思いつつ、一段ずつ上る南斗を追い越したのは身体能力駆使して一気に駆け上った無月。
「いい眺めです‥‥。来て‥‥良かったです‥‥」
 晴天に映える日御碕の海は感動ものだった。
「ふぅ‥‥やっとで着いた。おや? あれはウミネコか?」
 南斗が見たのは、付近にある径島に産卵のため集まっているウミネコだった。今の時期に数千匹いるとか。
「そういえば、宝船はあの辺だったかな?」
 出雲市内の漁港方向を見て、永一と共に関わったかつての依頼を思い出した。
 ユーリはダッシュしていち早く灯台に向かったのだが、途中で盛大に転落したため出遅れた。
「いたた‥‥。身体が痛みますが、いい景色を見れてよかったです」
 ルアムは高所恐怖症というわけではないのが怖がっていた。
「景色‥‥綺麗、なのに‥‥な‥‥。怖い‥‥」
 日本海やおわし浜などを一望した後、一向は宿泊先へ。

●玉造温泉 佳翠苑 皆美
 永一が予約したのは、ゆっくりのんびり温泉三昧ゆとり滞在プランだった。
 ここでの夕食は、旬の素材をふんだんに使った季節の会席料理。
「皆さん、お疲れ様でした。会席料理を楽しんだ後、温泉にゆっくり浸かって身体を癒してください。では、乾杯!」
 永一の音頭後、会席料理に舌鼓を打った。
 
 食事の後は温泉タイム。日本三美人の湯ほどではないが楽しんでいただければ幸い。
 露天風呂併設の大浴場は岩を配した庭園風の男性用『浮殿』、ギリシャ風の円柱を巡らせた欧風の女性用『浮舟』があり、西の館最上階には展望露天風呂『天遊の湯』があるので趣の異なる四つの大浴場が満喫できる。
 ルアムを除く全員は、温泉で疲れを癒すことに。
 持参の浴衣と湯桶に風呂セットを持ち、大浴場に向かった無月の浴衣姿が色っぽかったからなのか、後から入ってきた男性にジロジロ見られた。
「‥‥?」
 それに対し、自然体で堂々と女湯に入ったのは女装少年の滅。そこまでは良かったが、脱衣所で男であることが女性客にばれてしまったので退場。
「絶対に上手くいくと思ったのに」
 舌打ちしながら男湯に向かう。
「滅さん、ここ、男湯ですよ!?」
 焦るユーリに「この人、男性ですから」と言う永一。灯台でしなだれかかった時に胸に違和感を感じたためすぐに女装とわかったようだ。
「あ〜命の洗濯ってやつですね〜、生き返ります」
 のんびり浸かるユーリの隣では、南斗と永一もゆっくりと。
「明日は、日本三美人の湯を楽しんでください」
 全員男なのだが、美人の湯を満喫していただきたい。

 心地よい疲れで、全員、ぐっすり眠ることができた。

●八重垣神社
 温泉のチェックアウトを済ませた後は、八重垣神社へ。
 ヤマタノオロチを退治したスサノオノミコトとその妻クシナダヒメが新居を構えたと伝えられるここの名物は鏡の池での縁占い。
 占いの紙に硬貨を載せ、池に浮かべて早く沈むと縁が早く、遅く沈むと縁が遅いといわれている。
「当方は‥‥いい、や‥‥」
 ルアム以外の全員は、社務所で占い用の和紙を求め、目的の鏡の池に到着すると一斉に和紙を浮かべた。
(「彼女の悩みが晴れますように‥‥」)
 そう言うが、クシナダヒメに全て任せるので助力を‥‥と祈る無月の和紙に出た文字は『活路開ける 北と東 吉』。
 家内安全、娘の分を占う南斗の和紙の文字はは『待ち人来る大切にせよ 北と西 吉』。
「早く娘に会いにいけ、ということか?」
 手を合わせて熱心に祈るユーリの和紙の文字は『吉の縁に向上す 東と北 吉』。沈み具合によっては良縁に恵まれる‥‥かもしれない。
「10歳差だろうが、バツイチだろうが全く障害になりません。だから成就しますように!」
 成就するかどうかは運次第。
 滅の和紙の文字は『遠出に良縁 北と西 吉』。この旅行で既に縁起が良いのかも。
 永一の和紙の文字は『漸進を阻まれる 南と東 吉』。幸先が不安‥‥。

 紙がいち早く沈んだのはユーリ。
「早く沈んだ、ということは、早く結婚できるということですね?」
「そう言われています。近くで沈んだので、身近な人とご縁があるようです」
 永一の解説に「あの人かな‥‥」と心当たりの人物を思い浮かべるユーリだった。
 次は南斗。娘に良縁があるのか、早く家族に会いに行けという神の啓示かはわからない。
「僕のも早く沈んだな」
 近くで沈んだので異母姉の誰かが相手じゃないよな? と思案する滅。
 無月の和紙が沈んだのは、鏡の池に浮かべてから10分後だった。
「彼女の悩み‥‥解決しにくいようですね‥‥。恋愛も‥‥でしょうか‥‥」
「縁は異なもの、味なものという言葉があります。早く沈んだから早く結ばれる、遅く沈んだから縁が遠のく、というわけではありませんよ」
 永一の慰めに「そう‥‥ですね‥‥」と無月は少し落ち着いた。

 一番遅く沈んだのは永一。浮かべてから20分後だった。しかも遠くで。

●出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯
 最後の観光地は、日本三美人の湯。
「美人の湯ですか。今回の参加者も美人の方が多いですね〜、男ですけど」
 ユーリが言うように、全員男性というのが惜しい! 女性がいれば華があるというものだが。
「うん、いいね」
 浴槽の縁に頭を乗せて伸びていた南斗は、滅が入ってきたことで吃驚して沈んでしまった。
(「男湯なのに混浴な感じが‥‥」)
 美形な無月、滅がいるため、余計そう思えて仕方が無い。

 湯上りにマッサージ。
 後学のため、マッサージ師にやり方を教わるユーリ。
「骨がここだからここを‥‥なるほど」
 熱心にメモっている。
「いいねー気持ちいいねー」
 滅はご満悦の様子。
 永一は‥‥してもらっている最中に熟睡。観光がこれで終わりなので力が抜けたのだろう。

●観光の終わり
 山陰UPC軍から移動高速艇に乗り、一向はカンパネラ学園へ。
「皆さん、お疲れ様でした。俺の調査不足でご迷惑をおかけしましたが、楽しんでいただけましたでしょうか? 楽しんでいただけたのでしたら幸いです」
 ありがとうございました、と、皆に礼を述べる永一。

 旅の疲れがどっと出たのか移動中に眠っている参加者もいれば、土産を整理している参加者もいる。
(「失敗もしたが、有意義な休暇だったな。今度はじっくり調査してプランを練ろう」)
 反省をしていた永一は、高速移動艇の椅子に深く腰掛けて眠った。
 観光が終わるまでしっかりしなければと力が入っていたのだが、終わったことで力が抜けたようだ。

 波乱の幕開けだった出雲観光は、こうして幕を閉じた。
 次回は‥‥あるのだろうか?