タイトル:【AP】少年達と学園生活マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 4 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/16 16:57

●オープニング本文


※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません。

 目が覚めると違和感があった。
 まず、視線が違う。身体がやけに軽い。顔を洗おうと洗面台に向かった時‥‥そこにいたのは自分ではない誰かだった。
 どこかで見たようなと鏡を思いつつよ〜く見ると、それは‥‥
「な、何で小さくなってんだぁー!!」
 ソウジ・グンベ(gz0017)は素っ頓狂な声で驚いた。
 彼だけでなく、カンパネラ学園体育教師の三崎・裕士(gz0096)、研究生の申 永一(gz0058)も同様の突然の出来事に驚いていた。
 3人は少年に逆戻りしていたのだ。
 全員に共通しているのは、昨日、食堂で稗田・盟子(gz0150)から「試飲してみて〜♪」と新作メニュー『カンパネラドリンク』を飲んだこと。
 けっこう美味しかったので、調子に乗って満腹になるまで飲んだようで‥‥。

 ドリンクに何か混入されていたに違いない! と彼らは盟子を問い詰めた。
「ごめんなさ〜い‥‥。後で気づいたんだけど〜私が作ったドリンクと生徒さんが作ったお薬を間違えて出しちゃったみたいなの〜」
 何でそうなるんだ! と怒鳴りたいところだが、それよりも先に元に戻る方法を知ることが先だ。
 その生徒の特徴を聞き出すと、彼らは早速、元に戻る方法を聞き出したが‥‥
「試作品成功したんだ。元に戻る方法? わかんないや。失敗すると思ってたから」
 何ぃー! と驚くソウジ、慌てふためく三崎、いずれは元に戻るだろうと割り切る永一。
「仕方ないね。元に戻るまで、カンパネラ学園の聴講生として学園生活を楽しむしかないよ」
「しゃあねぇなぁ、そうするしかねぇか。って、キミ、口調と性格変わってね?」
「そんなことはどうでもいい。俺は早く戻りたい‥‥」

 こうして、3人は小さな聴講生として学園生活を送ることになった。

●参加者一覧

リュイン・グンベ(ga3871
23歳・♀・PN
崔 南斗(ga4407
36歳・♂・JG
大槻 大慈(gb2013
13歳・♂・DG
空木崎・ひふみ(gb4102
15歳・♀・DG

●リプレイ本文

●学食でばったり!
「おばちゃ〜ん、具でカレー特盛りひとつな〜!」
 大槻 大慈(gb2013)が元気良く注文した時、誰かにぶつかった。
「ごめん。あれ? この子供、どこかで‥‥って、どうしたの!?」
 ぶつかった子供がソウジ・グンベ(gz0017)で、隣にいる仏頂面の子供が三崎・裕士(gz0096)であることに気づいた。
「おばちゃん、これどういうこと?」
 稗田・盟子(gz0150)の話によると、手違いで新作メニュー『カンパネラドリンク』と学園生徒が作った妙な薬を間違えて飲ませたらこうなってしまったとか‥‥。
「そりゃ、とんだ災難だったなぁ。いずれは元に戻るからいいんじゃない?」
 子供ソウジの頭をナデナデしながら「かわいいじゃん」とからかう大慈。
 久しぶりに学園を訪れ、食堂で腹ごしらえをしようとした崔 南斗(ga4407)は偶然盟子達の話を聞いて驚いた。
「え、3人が子供になっちゃったのか‥‥!?」
 ソウジと三崎を見て驚き、何かと心配をしたが「若返れて羨ましい気もする」と思わず本音が。
「羨ましがられても‥‥。俺は困っているんだ」
 腕組みをしながら赤面して困る三崎。
「す、すまない。それで、永一くんはどうしたんだ?」
 あいつなら図書室にダッシュで行ったとソウジから聞いたので、子供になった申 永一(gz0058)がどんなふうになったのか興味がわいた南斗だった。
「きみ、三崎中尉に似てるね。息子さん?」
 子供三崎を見かけるなり、空木崎・ひふみ(gb4102)は顔をじーっと見る。
「食堂のおばちゃんの手違いで子供になっちゃったみたいなんだ」
「ということは、この子、三崎中尉本人なの!? 信じらんなーい! でも、小学生っぽい三崎中尉カワイイ〜♪」
 学級委員長みたいだから「いいんちょ」って呼ぶね? と言うひふみに「それだけは勘弁してくれ!」と抵抗する三崎。過去に何かあったのか?
「ソウジ先生は「ソウジくん」でいいね?」
 何も言わない、ということはそれでいいということだろう。
「あ、そうだ。ソウジと三崎ッチにはこれを着てもらう」
 そう言って大慈が取り出したのは、借り物の『竜のきぐるみ』と『ゆきだるまのきぐるみ』。
 コレを着たら「可愛い〜」って女の子にモテモテだぞぉ? 俺、コレを着て女の子にギュ〜って抱きしめてもらったんだぞ? とスケベ心も煽るようなことをソウジに耳打ちして着せようとしたが断られた。
 そんなこと言わずに着てくれよ〜と説得する大慈からの逃走中、リュイン・カミーユ(ga3871)と運良く遭遇。
「リュイン、助けてくれ! 強引にきぐるみ着せられそうなんだっ!」
 なんだ、この子供は‥‥と訝しげに子供ソウジの顔を見るリュイン。
「まさか‥‥貴様、ソウジか?」
「そ、ソウジ。ちょいとした手違いでこうなっちまったんだ!」
 面倒くさい、と手短に事情を話した。
「そういうことか。何と言うか‥‥見事に縮んだな。日頃見上げる相手を見下ろすのも、なかなか良いものだ。きぐるみだが、我が着せてやろう」
 ニヤリと笑い、大慈からきぐるみを受け取ると強引に着せ始めた。
「うむ、なかなか似合うぞ。可愛らしいじゃないか」
 彼女にこんなことをされるなんて‥‥とトホホ顔のソウジを哀れんだ目で見る三崎だが彼にも魔の手が。
「ほら、ソウジも着たんだし、三崎ッチも着てみないか?」
 嫌だ! 断る! と断固反対した三崎だったが竜のきぐるみ姿のソウジに羽交い絞めに。
「三崎、貴様もきぐるみを着ろ。これでカタブツイメージを払拭するがいい」
 リュイン、大慈、ソウジの3人にゆきだるまのきぐるみを着させられる三崎。可哀相に‥‥。
「お〜似合ってる似合ってる!!」
「お、おだてても何もないぞ‥‥!」
 顔だけが赤い三崎ゆきだるま完成。ちょっと可愛いぞ♪
「可愛いではないか、三崎」
 うんうん、と頭ナデナデしぎゅ〜と抱きしめ微笑むリュインを見てちょっぴりジェラシーなソウジ。この行為は、ソウジに焼きもちを妬かせるリュインの作戦だった。
(「ソウジの奴、思惑どおりにヤキモチを妬いたな。妬かなかったら、後で覚えていろだったのだがな」)
 子供になった永一に会いにいこう、と図書室に向かう6人だった。

●図書室で会いました
 子供と化した永一は図書室の奥の席にいたのだが‥‥本の山に埋もれていたので見つかり辛かった。
「きみ、永一くん‥‥だよな?」
 優しく声をかける南斗に「お、お久しぶりです‥‥!」と永一は慌てた。顔見知りに小さくなった姿を見られるとは思わなかったからだ。
「お節介かもしれないが、時には身体も動かした方が頭の働きが良くなるぞ? そう思わないか?」
 同じ年頃の息子がいてもおかしくない南斗は、保護者的な気持ちで話しかけた。
「そ、それはそうだけど‥‥。でもボク、本を読んでいるほうが好きなんだ」
 外出を渋る永一に遠慮なくきぐるみを差し出す大慈。
「ほらほら永一、このきぐるみ、尻尾もピョコピョコ動くんだぞ〜。永一もこれ着て、尻尾を動かしてみたくないかぁ?」
 興味と好奇心を煽り着せようとしたが「機能性悪そう」と嫌がられた。
「ずるいぞ永一! キミも着ろ!」
「俺達だけにこんな恥ずかしい格好をさせるつもりか!?」
 強引に着せられた鬱憤を晴らすべく、きぐるみ姿のソウジと三崎が強引に永一を竜のきぐるみ姿に。
「な、何でボクがこんな格好を‥‥」
 ベソをかく永一を見て「可愛い‥‥」とつぶやくひふみ。
「泣くな、男だろう。気分転換に校庭で遊ぼう」
 南斗に宥められ、校庭で遊ぶことにした永一だった。

●校庭で遊びましょう
「それじゃあ、野球でもしようか。3人交代で投手・捕手・打者だぞ」
 まずは永一に投手をさせることに。体力は成人時より衰えているが投球はそれなりだった。永一が投げた球をソウジがおもいっきりかっとばす。
「うお、よく飛んだな‥‥!」
 南斗は、3人が打ったり投げたりする走る球を拾いに奔走。
「よくやるな、南斗は」
「ああ、すげぇよ」
「あたし、体力もたないよ」
 感心する外野のリュイン、大慈、ひふみはほとんどといっていいほど出番がなかった。
 次は体育館でスポーツチャンバラをすることに。
「よし、おもいっきり俺に打ち込んでこい!」
 戦闘員マスクを着用した南斗は、子供3人に持参したプラスチック製のエアー武器と防具を手渡した。
「俺が相手だ!」
 小太刀と長剣の二刀で勝負を挑む三崎だったが、身長差で南斗の勝利。ソウジも勝負を挑んだが負けた。
「い、いきまーす!」
 棒で勝負に挑んだ永一だったが、あっさりと1本取られた。
「きみ達、もう少し手加減というか遠慮を‥‥」
 体力では子供達が勝っているので、長時間の遊び相手は堪えた。
(「栴檀(せんだん)は双葉より芳し、という言葉を実感するな」)
 南斗が実感したのは、仕事や研究などを立派に、最後までしっかりやるような大物は小さい頃からそのすぐれた才能を現しているというたとえの諺である。

●講義を受けましょう
「三崎、講義に出席するぞ」
 リュインは三崎の背中を押し講義室へ。ソウジと行動を共にする‥‥と思わせて、三崎の隣の席へ。大慈とひふみは後ろの席で、永一と南斗は左隣の席で様子を伺うことに。ソウジはリュイン達の前の席だ。
「あ、ソウジもちゃんと講義受けろよ」
「わーってるよ。ついでっぽく言うな」
 さもついで、という態度にムッとなるソウジを見て「可愛い奴だ」とクスリと笑うリュインだった。
 講義中は静か‥‥かと思いきや。
「リュイン、寝るな。講義中だぞ」
 居眠りしているリュインをゆすって起こす三崎に「眠いんだから仕方ないだろ」と頬をぷにぷにと突っつき軽く反撃。
「な‥‥ふ、ふざけるな!」
 そこ、静かに! と講師に注意された2人。
 ソウジは暇つぶしにノートに落書き中、永一は真面目に教科書を読んでいる。そんな様子を南斗は授業参観に来た保護者のように見守り、大慈とひふみは楽しんでいた。
 何か騒動が起きるかと思われたが、講義は三崎が注意されたこと以外は滞りなく終了。
 ひふみは辺りを見回し、ソウジ達を子供にした薬を作った生徒らしき人物がいるかどうか探したがいなかった。
 そろそろ夕飯時ということもあり、皆で食堂に行くことにした。

●食堂でお食事を
 真っ先に食堂に向かった大慈に続き、それぞれメニューを注文。
「俺は焼肉定食とブラックコーヒー」
 え? と驚くひふみ。
「いいんちょ、ご飯とお味噌汁にコーヒーは合わないよ。ご飯にはしぶーいお茶でしょ!」
 とゆーことでお茶にチェンジ! と強引に交換したひふみは三崎と同じものを注文。
「俺、具でかレー大盛り!」
 昼食と同じものを頼む大慈。
「我は辛口カレーを」
 俺も! とリュインと同じものを頼むソウジ。
「辛いものは大丈夫か? 甘口が良いのではないか?」
「子ども扱いするな!」
 今のソウジは子供なんですが‥‥。
 南斗と永一は2人仲良くチゲ鍋定食を注文。

 食べっぷりはというとソウジは大人時と変わらず、三崎はやや控えめ、永一は小食気味に。
「三崎、口元にご飯粒とタレがついているぞ」
 隣に座っているリュインがハンカチで三崎の口元の汚れを拭いているのを見て、ちょっとムッとなった。
「やっぱり真面目な男子は女子にもてるんだな。なあソウジ君?」
「う、うるさいっ!」
 反発するソウジを可愛い、と思う南斗。
「しかし、このままだと相当な姉さん女房‥‥いや、何でもない。三崎先生は、娘さんより年下になってしまった訳で‥‥」
「そ、それは言わないでほしい」
 悪かった、と全員にコーヒーとブラウニーをご馳走する南斗。
「やったぁ!」
 これに大喜びなのは、甘いもの好きの永一。

●それぞれのその後
 食堂を出た後、それぞれ自由行動に。
「ところで3人とも、夜一人で大丈夫か?」
 怖がったりしていないかと少し気になった南斗が訊ねた。
「だ、大丈夫。今は子供でも中身は大人だから」
 永一が強がっているのがわかった南斗は「心配だから泊まるよ」と永一の部屋に一緒に向かった。
 ひふみは、三崎の部屋を訪問。
 本当は寮の部屋に泊まりたかったが、異性の部屋はさすがにと躊躇。
「お泊りは駄目でも、部屋にお邪魔するのはいいでしょ? とゆーコトで、いいんちょこと三崎中尉のお宅ほうもーん!」
「か、帰れっ!」
 当然断られたが、強引に乗り込むひふみだった。この後の2人はどうなったかというのはお楽しみ。
「リュイン、あれはどういうつもりだ」
 あれ、というのは三崎と永一を構ったことのようで。ソウジを基本放置プレイ、他の2人を構うことで間接的に弄る心算は大成功。
「やっと来たか、遅いぞ」
 逆説教した後、「汝の気持ちを試して悪かったな」と軽く額にキス。
「小さいソウジも愛らしいぞ。寂しいようなら、木陰で膝枕をしてやろうか?」
「そ、そこまでしなくてもいいっ! それは‥‥元に戻ってからで‥‥」

 こうして、3人の少年達の1日が終わった。

 翌日、少年達は元の姿に。
 早く戻れると思わなかったので一安心‥‥だったが、1人だけそうでない人物が。
「あ、あいつ‥‥自分にこんな格好をさせて‥‥!」
 頭に血が上っていることもあり、ゆきだるまのきぐるみを脱がずに元凶である大慈を探し回った。
「見つけたぞ! 大槻!!」
「げっ! 三崎ッチ!」
 見つかっちまったぜ〜! とダッシュで校内を一心不乱に逃げ回る大慈ときぐるみ姿の三崎の追いかけっこに珍しいものを見たような気がしたカンパネラ学園の生徒達だった。

 誰が一番楽しい思いをしたのか、というのは謎のまま。