●リプレイ本文
●意気込み
ハーリーが行われる沖縄某所の海岸に終結した能力者達は、キメラ退治の準備に余念がない。
「オイラにとって、能力者になって初の実戦だ。仲間と助け合って生き残るぞ! はじめまして、皆さん。諷です! よろしくお願いしますっ!」
バスタードソードと無線機、腰に取り付けたスコーピオンの点検をしつつ、今回が初依頼となる諷(
gc3235)は元気良く挨拶。
「元気良いですね、一緒に頑張りましょう。海の神様に感謝し、安全祈願する神聖なお祭りを中止させる訳にはいきません」
穏やかな笑みを浮かべ、長弓「百鬼夜行」の柄を強く握りキメラを1体残らず倒す決意する佐々木 絵馬(
gb8089)。
「けひゃひゃ、我輩がドクター・ウェストだ〜。今回はマンタキメラのサンプルを採取するのだ〜」
私設研究グループ『ウェスト研究所』所長のドクター・ウェスト(
ga0241)は、十字架のネックレスを外すと研究対象であるまだ見ぬマンタキメラ打倒に意欲を燃やす。
「デュークさん、張り切ってますね」
所員である御闇(
gc0840)もキメラ観察、サンプル採取のため参戦。
「ドクター・ウェスト、コロンビアの依頼ではお世話になりました‥‥。今回もよろしくお願いします」
今後の行動のため、ナイトフォーゲル操縦技術向上を目標とするラナ・ヴェクサー(
gc1748)は、沖縄でのキメラ戦はコロンビアに引き続き暑い場所での戦闘となる。
「依頼が終わったら泳ぎましょう。海があるだけマシですかね。戦いの後は海で泳いだり、シーサーに関する土産を買っていきましょう」
うむ! 絶好の祭り日和だねぃ! と空を見上げた後、ゼンラー(
gb8572)は海に向かい合掌。
「町の人も楽しみにしていたことだろう‥‥こんな時勢だからねぃ。すまんが、キメラさん達にはご退場願わねば‥‥すまんねぃ」
マンタ戦闘とヤシガニ戦闘の振分けは、キメラ戦に積極的なウェストを中心に話し合いで決めた。
マンタ班はウェスト、クラリッサ・メディスン(
ga0853)、ゼンラー、カーディナル(
gc1569)、ラナ。
ヤシガニ班は藤田あやこ(
ga0204)、絵馬、御闇、エクリプス・アルフ(
gc2636)、諷。
「では退治しましょう!」
ヤシガニをおびき寄せるために必要と現地の人に頼んで調達してもらった探索用のヤシの実を持ち、諷は人一倍張り切った。
●待機と準備
「沖縄の海は綺麗だからな、寄ってくるのも仕方ねぇか。だからと言って、折角の祭りが邪魔されても困るんで早々にお引取り願おうか。他人様の縄張りには、そう安々と入ってくるもんじゃねぇぜ?」
こんな早く水中戦をやることになるとはな‥‥と思いつつ、テンタクルス『マルス・リッター』で水深30メートル前後で待機中のカーディナルは、共に行動する仲間の範囲内で通信を行っていた。
「こちらカーディナル。今のところ、マンタは攻撃する気配なしだ。ゼンラー、上空で待機中の2人に通信頼む」
「わかったねぃ。こちらゼンラー、マンタちゃんはただいま泳いでいる最中と連絡があったよぅ」
「了解。また何かあったら連絡、よろしくお願いします」
グリフォン『ムルムス』で上空待機中のクラリッサは、報告終了後にため息を。
「せっかく皆さんが楽しみにしているというのに‥‥バグアはやはり無粋ですわね。これは一刻も早く解放しなくてはいけませんわね」
同感です、とクラリッサに同意したヘルヘブン250『レンゾ・ロンゾ』で水面から離れすぎないよう待機しているラナ。
「ゼンラーさん、マンタがジャンプする兆候を見せたなら合図を願います」
「わかったよぅー。拙僧の合図を待っててねぃ」
その頃、ヤシガニ班は砂浜にキメラをおびき寄せるための準備中。
真っ先に行動したのはエクリプス。スカイスクレイパー『Wolkenkratzer』のメトロニウムシャベルで砂浜に直径、深さ1.5メートル程度の落とし穴を。その数、正方形の升目上に10〜15個間隔。穴同士の間隔は2メートルほどを時間が許す限り掘っている。
「この穴が役に立てばいいのですが‥‥」
作業を終え、ヤシガニ班担当の仲間に穴の場所、個数を連絡し、愛機から降りて『探査の眼』を使用しヤシガニキメラ探索を始めた。
それを確認した御闇は、周囲を警戒しつつ硬い棒を手に足場に注意しながらヤシガニの卵があるかを調査。
「卵はないようですね。では、誘き出しといきますか」
火を点けたヤシの実でキメラを誘き寄せる御闇。
トランシーバーでエクリプスから連絡を受けた諷は、移動してヤシの実で作った焚き餌で誘導。
「掘った穴からキメラが出現するかもしれませんしね」
絵馬は地中に潜伏している可能性があると読み、念には念をと『隠密潜行』で探索。
ヤシの実での誘導が功を奏したのか、ヤシガニ1体出現。
「皆さん、キメラが出現しました! 気をつけてください!」
諷は近くにいる御闇、絵馬には大声で、離れた場所にいるあやこ、エクリプスにはトランシーバーで連絡。
●海の戦闘
「マンタが近づいてきたな‥‥浮上して海面に誘導するか」
カーディナルはゼンラーと連絡、連携しつつ下に回りこみM−25水中用アサルトライフルで攻撃。
「‥‥悪いが、こっから先は立ち入り禁止だ。退かないってんなら‥‥容赦しねぇぞ」
2度目の攻撃はわざと外し、マンタの様子を窺った。
「まだジャンプしねぇか。だったらさせるまで。ゼンラー、スウィフトクローと魚雷で近距離攻撃するから巻き込まれるなよ?」
「わかったねぃ。ドクターっ、頑張ってねぃ〜。拙僧も全力で頑張るからねぃ!」
ガハハと豪快に笑い、リラックスしつつ上空で待機中のクラリッサ、ラナと通信可能な深度を保ちつつ水中用ホールディングミサイル、水中用ガウスガンをチクチク打ち続けて攻撃しながらマルス・リッターから離れた。
「では、マンタをジャンプさせようか〜」
多連装魚雷「エキドナ」発射後、ウェストのリヴァイアサンが接近する際にマンタキメラの尾が当たりそうになったので水中用太刀「氷雨」で受け止め防御、すかさず高分子レーザークローと併用して攻撃。下側に回ると、即座に水中用ガトリング砲、対潜ミサイルR3−Oで攻撃してジャンプするよう仕向けたがまだ海中を漂っている。
「カーディナルちゃん、ドクター、拙僧がジャンプさせるねぃ!」
狙いはマンタが水中攻撃に嫌気がさした時。海面に浮上するのを見計らい、ラナに連絡を。
「ラナちゃん、マンタちゃんが来るよぅっ! ‥‥っとと!」
あばよ、マンタのとっつぁぁぁん! と叫びながらビーストソウル改『髭』のブーストを使用し全力回避。それが仲間の一斉攻撃の呼び水となった。
連絡を受け、ジャンプしたマンタを見るなりラナは弧の軌跡が頂点を迎える瞬間に合うようホーミングミサイルJN−06とシールドガンで攻撃し、それと並行して空対潜ミサイル「爆雷」を水面近くで爆発するよう設定して投下した。
「知性のないキメラに罠という概念はわからないでしょう? せいぜい苦しみなさい」
クラリッサは距離が離れていないのを確認すると真スラスターライフルで仕留めようとしたができなかったのでグリフォンの特性を活かし『ステップ・エア(ベース)』『着水攻撃』で追撃を。
「専門の水中機には及ばないですが、戦場を厭わないグリフォンはこういった依頼にはぴったりですわね。上空と海中をしっかりと繋ぐために頑張らせていただきますわ。こちらクラリッサ、マンタは再び水中に向かいました。水中班はそのまま待機してください」
海上から多連装魚雷「エキドナ」や熱源感知型ホーミングミサイルで攻撃し、『ステップ・エア』で水上航行を続け、水中班と連携して『着水攻撃』を。
上空からはラナ、水上からはクラリッサ、水中ではゼンラーとカーディナルが連携攻撃。ゼンラーはマンタに対してラナのホーミングミサイルJN−06とは別方向から高分子レーザークローで大打撃を狙った。
一斉攻撃されたことで逃げ場を失ったマンタは、瀕死の重傷を負い海の底に沈んだ。
「‥‥とまあ、今はまだ、命をとることでしか拙僧達の我を通せんのだ‥‥。すまんねぃ。ハーリーは豊漁や航海無事を祈願するものだったっけねぃ。願わくば、この度の航海も無事にいくように‥‥」
髭のコックピットでマンタの冥福とハーリーの安全を願うゼンラーだった。
「‥‥退治が目的だが、無理して倒す必要は無い」
逃げていったので深追いしないカーディナルに対し、マンタの細胞サンプルを採取すべく、ウェストは必死で追った。
容姿、大きさ、能力、外見から分かる攻撃性能、フォースフィールドの強度等の観察はできたが、細胞サンプルを採取できなければ参戦した意味が無い。
「サンプルを採取するのだ〜!」
根性でマンタのヒレを引きちぎり、上陸すると急いで採取しクーラーボックスに保存した。
「マンタワームならまだしも、紛い物ではこのムルムスの敵ではありませんわね」
今度は本物と戦ってみたいですね、と髪を掻き分けるクラリッサ。
●砂浜の戦闘
「皆、頑張りましょう!」
あやこはメガホンを取り出すと、トランシーバーをマイク代わりにチアリーディング服のスカートをヒラヒラさせながらエロかわいく実況を始めた。
「さぁ! 天下分け目の決戦が始まろうとしています。ここ、琉球王国の至宝ハーリーを守るべく能力者が集まりました! この決戦、思い起こせば600年前‥‥」
ノリノリ実況中にヤシガニ1体が岩場から出現。発射体制にしたエナジーガンで威嚇し、『電波増幅』で知覚と索敵精度を上げ更に探索していたところ、あやこの背後にある穴からもう1体出現。
シカマンキョー(沖縄弁で「驚いた」)! と吃驚しているが、立ち位置をヤシガニの退路を塞ぐように中距離にしてエナジーガンで目やハサミの間接を渾身の狙い撃ち。その際、落とし穴や仲間方面に挟み込むよう追いたてている。
「邪魔よっ!」
至近距離に来たヤシガニがハサミを振り下ろそうとしたが、寸でのところで機械剣βで切り落とした。ついでにと足も。『練成強化』『練成弱体』の合間にエナジーガンで支援攻撃しつつ実況を続けるあやこ。
ハサミの威力を観察すべく、御闇は手にした棒を勢い良く振り下ろした。挟まるなり棒は真っ二つに。
「うわ‥‥あれに捕まったら首が飛びますね‥‥」
下手したら腕が切断されていたかと思うとぞっとしたが、気を取り直して殻の硬さや掴みやすい箇所を調べ始めた。
「あそこが掴めそうですね」
『瞬天速』で背後に回り込むと、殻の隙間に手をかけ、腰を据え腹筋に力を込めて全身のバネと筋肉を使い一気にジャーマンスープレックスを。
「ボン‥‥いや、ウイィィィ!!」
ヤシガニキメラはジャーマンされたまま穴に落ちた。
「アガー(おおっと)! 見事にジャーマンが決まったぁ! 御闇さん、穴に落ちたヤシガニをボコ殴りにしています!」
あやこが実況するが、それに構わず退治終了後にヤシガニの容姿、大きさ、能力、外見から分かる攻撃性能、フォースフィールドの強度を観察し、キメラの弱点調査のために細胞サンプルを採取。
「隠れても無駄ですよ‥‥」
『探査の眼』を用いて探索中のエクリプスが1体発見。落とし穴付近に接近し、自分を囮にして誘い込んだ。誘導は成功し、ヤシガニは穴に落ちた。
「容赦はしませんよ‥‥。潰して差し上げましょうか‥‥」
攻撃に備え『自身障壁』で身体強度を強化させると小銃「S−01」とイアリスで袋叩きに。
「こちらエクリプス、キメラ1体倒しました‥‥」
絵馬は確認できたキメラに対し、『狙撃眼』を使用して遠距離から長弓「百鬼夜行」で攻撃し、ヤシガニの気を自分に引きつけた。
「ふふふ、大きい的ですね。私ばかり追いかけていいのですか? 鬼さんこちら、手のなるほうへ」
ヤシガニを牽制しつつ仲間に連絡。
それにいち早く駆けつけたのは諷だった。距離を置いてスコーピオンで様子を見ながらバスタードソードで近距離戦に持ち込んだ。正面のハサミと脚に警戒し、側面から少しずつ正面に接近して『流し斬り』をし短期決戦に持ち込んだ。
「ニーブイスッサー(攻撃が温いぞ)、ナーマヤンヌル(まだまだー)!」
あやこに対し「オイラの攻撃はこれからですよ?」と蛇剋をヤシガニに突きつけた。
「ヤシガニ、遺言はあるかい? あったとしても言う前に果てろ」
残酷な表情になったかと思うと、蛇剋とスコーピオンで交互に攻撃して止めを。
「一射絶命、この一射で決めます!」
残る1体は、絵馬の一撃が仕留めた。
マンタキメラ、ヤシガニキメラ4体退治:成功!
●ハーリー開催
能力者がキメラを退治したことでハーリーは予定通り行われることになったが、戦闘により悪化した砂浜を整備することに。
「うむうむ、どちらかというとナイトフォーゲルはこういう風に使うほうが性にあうねぃ」
ゼンラーは髭のハイ・ディフェンダーで、エクリプスはWolkenkratzerのメトロニウムシャベルでペタペタとならした。
あやこと諷は地道に整地作業中。
「はぁ〜、百発百中には程遠いですわね‥‥」
反省しながら、絵馬はせっせと穴を埋める。
参戦希望の能力者は、主催者の計らいで人数が足りない一般参加者と共に参加することに。
「どけどけどけえええい!!」
浸水時に「一番乗りぃ!」とエクリプスは人一倍張り切って押し、サンプル採取に成功して気分が良いウェストは、ハーリーの舳先に立ち髪と白衣をたなびかせて高笑い。
「さあ、オキナワの祭りとやらを我輩に見せてもらおうか〜」
そこまでは良かったが‥‥漕ぎ出す前にバランスを崩し海に転落。
「ドクター・ウェストの豆知識〜。服のまま水の中に落ちると、衣服が纏わりついて危険だぞ。そんなときは靴を脱いでみよう! 少しは動きやすく‥‥た〜す〜け〜‥‥がぼがぼ‥‥」
沈んだウェストを見てシャッターチャンス、と御闇は参加している仲間に撮られていることを意識させないよう、目的である良い顔を秘かに撮影。
「ふふふ‥‥ご馳走様♪」
その後、密かに『瞬天速』で水上を走れるかを実験。
「せぇのっ!」
結果:失敗。
誰にも見られていないのが不幸中の幸い。見られると焦るし、恥ずかしい。
船の上から海が見たいと参加した諷は、前にいる漕ぎ手に「押すなよ? オイラを絶対に押すなよ!」と念を押したが運悪く落下。
「海が‥‥気持ち良い‥‥」
ラナは開催地から少し離れたところにある土産売り場でシーサーに関する小物系土産を購入。
「小隊の子達に良い土産ができましたね」
髪をポニーテールに束ね、水着に着替えると水着姿のクラリッサと海辺を散策しつつハーリー観戦。日中は暑いので水着は丁度良いくらいだ。
ゼンラーは「特等席だねぃ」と髭のコックピットで、カーディナルはコーヒーを飲みながら観戦。
無事ハーリーが行われたことで、沖縄は少し活気付いたようだ。