タイトル:【GR】護衛してくれ!マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/11/06 23:04

●オープニング本文


●GR鉄道計画
 その計画は、カンパネラ学園の関係者を集め、チューレ基地跡を利用する形で、行われる事になった。
 残骸と化した基地は、言い換えれば資材の宝庫でもある。そして、上手い具合に空いた土地を放って置くのも勿体無いだろうと言う事で、話はまとまっていた。
 しかし、かの地にはまだ、敵も多い。
 莫大な資金のかかる事業に、極北と言う観点から工事を請け負ったのは、かつてシベリアに鉄道を通したプチロフ。
 その代表マルスコイ・ボーブルは、作業員達の安全確保を、その条件に求めた。
 さもありなんと頷いた学園側の総責任者は、ウォルター・マクスウェル卿。
 加えて、会長でもある龍堂院聖那、技術部門の責任者はキャスター・プロイセン准将と、それぞれの関係者が、それぞれの役目を持って、再び極北の地へと赴く事になる。

 グリーンランドに鉄道を。

 基地を作り、街を作り、それを結ぶ。絆と‥‥共に。

●建設現場の問題
 鉄道敷設某所での温泉建設作業は、突如現れたモグラキメラに一度中断させられた。
 凸凹になった地面を整える、基礎建て直しで時間はかかったが、外観はほぼ完成し、内装作業に取り掛かっている。
 作業に勤しんでいる作業員達は温泉を引っ張って作った簡易足湯に足を浸して疲れを癒し、リラックスしたところで再び各々の作業を。
 足湯効果もあり、若干の遅れはあるものの作業は順調に進んでいる‥‥のだが、現場監督は冴えない顔を。
「どうしたんですか?」
 作業員のひとりが心配し声をかける。
「プチロフのお偉いさんでグリーンランド鉄道のスポンサー、マルスコイ・ボーブル氏が2日後にここに来ることになった」
「お偉いさんが来るのは当たり前じゃないですか。何か問題でも?」
「簡易足湯以外何もありません、と言えるか?」
 建設途中なのでそれは問題ないのだが、現場監督としては根詰めて作業をすれば完成する本格的な足湯にゆっくり浸かり、グリーンランド温泉の良さを堪能してほしい、と思ってる。
「急ピッチで足湯の作業を進めたいんだが、またこの間みたいにキメラがどこかから出てくるかと思うと心配で心配で‥‥」
 頭痛薬飲んで寝る‥‥と現場監督は建築現場を立ち去った。
 ボーブル氏に温泉の良さ、作業が順調に進んでいることを知ってほしいと願う現場監督は、これ以上キメラに作業の邪魔をされたくないと、足湯が完成するまで現場の護衛をしてほしいと依頼した。

●参加者一覧

湊 獅子鷹(gc0233
17歳・♂・AA
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
エリス・ランパード(gc1229
16歳・♀・EL
ジリオン・L・C(gc1321
24歳・♂・CA
赤槻 空也(gc2336
18歳・♂・AA
火霧里 星威(gc3597
10歳・♂・HA
茅野・ヘルカディア(gc7810
12歳・♀・SN
真下 輝樹(gc8156
22歳・♂・CA

●リプレイ本文

●守る決意
(たとえ兄の死と直接関係は無くとも‥‥バグアはバグアです)
 兄の仇であるバグアへの復讐心が初依頼の緊張より勝っている真下 輝樹(gc8156)は、誰よりも足湯を守る気持ちは強い。
「完成するまでの2日間、足湯を守る、それだけです」
 少し離れたところでは大きいサイズの防寒ポンチョ、ウシャンカ、ライダーゴーグルとライダーグローブで防寒対策をしている茅野・ヘルカディア(gc7810)は「任務を遂行するだけ‥‥」と薄暗い空を見上げる。
「忙しい自分達傭兵にとって、足湯とは疲れを癒すのに最適な環境かもしれませんね。キメラに邪魔させないよう頑張りましょう」
 防寒マフラーを首に巻く神棟星嵐(gc1022)に「お互い頑張ろうね!」とエリス・ランパード(gc1229)が声をかける。
「にゃはは、神棟おにーさんは小隊絡み以外だと初めてだね。スポンサーさんに足湯を味わって欲しいし、ボクも足湯に浸かりたいし。獅子鷹くんは‥‥無茶だけはしない様にね」
 見張りという楽(という程ではないが)な仕事、足湯に浸からせてもらおうという感覚で参加した湊 獅子鷹(gc0233)を気遣う。
「空にぃ、アシユなんだって!」
「‥‥足湯‥‥な。俺の故郷にもあったっけか‥‥」
 はしゃぐ火霧里 星威(gc3597)を見て赤槻 空也(gc2336)は今でもあるのだろうかと思う。
「でもそんなのヨリちゃんと鉄道作ったほーがよくなぁい?」
「‥‥鉄道もちゃんと作っている‥‥。星威、戦争終わるまで遊園地行くのナシな」
「え? ゆーえんちナシ?」
 やだー! と駄々をこねるので戦争が終わった後、何も無いのは嫌だろうと納得させる。
「‥‥こんな時だからよ‥‥そう言うのって大事なのさ」
「‥‥そだよね! 戦争のアトにも使えるもんね! よーし、ボク頑張っちゃうもんねっ! 終わったらゆーえんちに連れてってね!」
「‥‥わかった」
 これで全員? と星威がキョロキョロしているとジリオン・L・C(gc1321)が駆け込んできた。
「とーーぅ! 俺様はジリオン! ラヴ! クラフトゥ! 秋も深まって来た今日この頃、トンネルを抜けるとそこは‥‥って寒ーーーッ!?」
 相変わらずだな! 北の大地は!! と身震いするが気を取り直し、買ってきた2日分の食料が入った袋を差し出す。
「俺様が来たからには大丈夫だ! キタだけにな!!」
 仲間達は『北』と『来た』をかけたダジャレに寒気を感じたのもあり、ブルッと身体を震わせた。
「‥‥む。どうした、勇者パーティーの皆よ!」
「そろそろ話し合いませんか?」
 輝樹が話を切り出す。
 話し合いの結果、足湯が完成するまでの2日間、2班に分かれて6時間交代で護衛することが決まった。
 A班は星嵐、空也、星威、ヘルカディア。B班は獅子鷹、エリス、ジリオン、輝樹。
「勇者パーティー、護衛開始!」

●1日目・A班
「ここまで立ち直るのも時間がかかったでしょうから、新たな被害が出ないようきっちり護衛しませんと」
 AU−KVをバイクにし、広範囲を巡回しつつ星嵐はいつキメラが出現してもいいよう警戒。
 空也はエマージェンシーキット等で持ち場にベースを作り、すぐ交戦出来るよう下を作り夜間の外の警護に備えてから散策警戒。
「‥‥こっちぁ異常ナシ‥‥」
 コーヒーで身体を温めてから無線機で状況報告。その近くでは、双眼鏡で周囲を警戒している星威がコーンポタージュとレーション「レッドカレー」で身体を温めている。
「星威だよー! こっちもいじょーなーしっ♪」
「こちらも異常無しです‥‥」
 全体を見渡せる場所で周囲の索敵するヘルカディアは、警戒網に穴が開かないように注意しながら防寒ポンチョを膝を抱えて座ることで全身を包み、短い間隔で指を動かして射撃時に指がスムーズに動くよう対策しながら寒さを凌ぐ。

 エリスとジリオンは空き時間を利用し、仲間と作業員に差し入れる食事作りを。
「勇者っ! ファイヤー!!」
「手馴れた手つきだねー」
 SES中華鍋を使い食材を調理するジリオンを見て「ボクも負けられない!」とエリスはエリスは温かいシチューやボルシチを作る。調理中に匂いに釣られてキメラが来るか不安だったが、A班からの連絡が無いので大丈夫だろう。
「皆、食事出来たよーっ♪」
 作業員休憩所であるコンテナハウスで仮眠している輝樹、落ち着かないのか、コンテナハウスの側で獅子牡丹で素振りや型稽古の修行をしている獅子鷹を呼ぶ。
 自分達の食事の前に、と作業員達に出来たての料理を差し入れる。能力者達が見張っていることもあり、作業員達は安心して温かい料理を食べることができた。

 その頃、見張り位置付近に何かの物陰を見た星威は『バイブレーションセンサー』で確認。
「‥‥キメラか‥‥?」
 近くにいた空也が心配して声をかけ、戦闘になるかもと側へ。
「‥‥うん、居るよ‥‥。1、2‥‥アシオトの種類は2つくらい‥‥来たよ!」
 指差した方角を見ると、トナカイ1体と狼数体がゆっくりと歩み寄って来た。ジリオンとエリスが作った食事の匂いに誘われたのだろうか。
「‥‥来たかよ紛いモン‥‥! こちら空也、トナカイと狼のキメラが出たから交戦開始だ! 他にもまだ潜んでっかもだ! 周囲警戒頼むッ!」
「周囲の警戒は任せてください‥‥」
 ヘルカディアは2人の近くまで移動すると『先手必勝』でキメラが動き出す前に『鋭覚狙撃』で狼を1体ずつ確実に仕留め、トナカイは空也と星威が足湯建設地から離れるように後退しつつ応戦。
「っしゃ来いよオラ‥‥ヒトサマの意地見せてやらァ!」
 大げさな動作で威嚇してトナカイを誘き寄せ、攻撃チャンスが来ると『豪破斬撃』を使い倒れるまでアフェランドラを叩きつける。
「‥‥わわ‥‥狼がこっちに来ちゃった‥‥あーんっ! 眠っちゃえーっ!」
 襲われたくないと『子守唄』で眠らせ、動かなくなると同時に『瞬天速』で離れた星威と入れ違いに合流した星嵐が拳銃「スピエガンド」で牽制も含めた射撃を。
 出現したキメラを倒したところでB班との交代時間に。

●1日目・B班
「お手伝いします」
 B班が見張りをしている間、3〜5時間程しか出来ませんがと星嵐は作業の手伝いを申し出た。護衛で疲れているだろうからと断られたが、足湯を早く完成させたいという熱意に負けた作業員達は彼を手伝わせた。
 
 警戒態勢を崩すことなく、獅子鷹は近くにいるエリスに板チョコを渡す。
「体温下げないようこれ喰ったほうがいい」
「ありがとう。いざって時に身体が動かなくなったら困るしね」
 受け取ると事前に工事現場近くを散策してキメラが物陰で見え難そうな地形、来ると予測した方向を調べておいた場所へ。
「ここは危なさそうだし、要チェックかな?」
 怪しいと思ったところで『バイブレーションセンサー』を使う。
「これ、そろそろ食べておこうかな?」
 キメラの存在が無いとわかり安心。貰った板チョコを食べて体力温存する。
「寒いですね‥‥」
 ウォッカを呷り身体を温めながら警護する輝樹の近くでジリオンがレーション「ベジタブルパスタ」で腹ごしらえを、と思ったその時
「う、う、うおお!」
 狼にバッタリ。背後には仲間が数体いる。
「ふっ‥‥知っているぞキメラ共ェ‥‥貴様らが料理の匂いに敏感ちゃん☆だという事はなぁ‥‥! であえであえ! 勇者パーティー、出撃だ!」
 偶然にも仲間が声が届く範囲内にいたので、揃うのに時間はかからなかった。
「目先の敵には任せた! 勇者ッ! フィールドッ!」
 敵の数をチェックして安寧を得られたらいいなと『バイブレーションセンサー』で他にキメラがいないか確認。
「後方に2メートルほどのが2体か‥‥。俺様が出くわしたヤツ以外はいないようだな」
「トナカイはグリーンランドに生息していないはずなんですが。師匠、鉄壁の異名を持つあなたから授かった三浦式盾操術を実戦で使う日が来たようです」
 トナカイが突進してきたので、アサルトライフルを盾の刀に持ち替えた輝樹は『シールドスラム』を使うとマーシナリーシールドでいなし、体勢を崩した隙に刀で近接戦闘に。
「これが三浦式盾操術に伝わる盾と刀の基本的戦法です!」
 気合いの一撃がトナカイを弾き、機械手甲「紫電」での援護射撃するエリスが接近し機械脚甲「スコル」と『影撃ち』の回し蹴りで止めを刺し、残りの狼はジリオンの『制圧射撃』で一掃。
「残り1体!」
 獅子鷹の『流し斬り』で前脚を切断され倒れたトナカイを全員でボコに。それが終わると同時にA班との交代時間に。

(どうせマトモに寝られねーんだし、修行修行)
 次の交代まで仮眠しようと思ったが、極度の不眠症のため眠れない獅子鷹は疲れて眠くなるまで外で修行することに。その様子をコンテナハウスの窓から見ていたエリスだったが、気になり様子を見に行った。
「‥‥大丈夫? やっぱり寝れないの?」
 獅子鷹が目の前で殺された両親を悪夢で見る、他者を護る事で両親を救う夢を見られる事、その為にその為に戦う事を兄から聞いたことがあるので心労で倒れないかと心配になり声をかけたが、黙々と修行中の彼には届いていないようだ。
 コンテナハウスに戻ると横になるがすぐに眠れず。
(‥‥ボクにやれる事って何があるんだろう?)
 そう考えているうちに眠ってしまった。
 激しい修行で疲れたのか、獅子鷹は眠たくなったのでコンテナハウスの隅で眠ったが悪夢に魘されていた。

●2日目・キメラ一掃
 雪が降る中、足湯の作業は休むことなく続けられて、夜が明ける前からA班は建設現場を警護している。
 AU−KVのライトで現場周辺を照らし、少し遠くに足を運んで付近を探索する星嵐はもぞもぞと動く大きな塊を発見。よく見ると、それは親子と思われるツキノワグマだった。
「神棟です、クマキメラ3体発見しました」
「‥‥わかった‥‥星威、行くぞ‥‥」
「はーい!」
 連絡を受けた空也と星威、ヘルカディアが合流するとクマ退治を。
「俺が壁になる。後衛は隠れながら攻撃に集中してくれ!」
 空也は積もっている雪を手にすると親クマに投げつけ、一瞬の目潰しで怯んだところを『二段撃』で攻撃。
「ぃよぉーし! ‥‥雷神のジュツいっけぇえ!」
 隠れながらも攻撃が当たる距離にいる星威が機械巻物「雷遁」から発せられた電磁波で子グマにダメージを与えるが倒れないので『プローンポジション』で命中を上げたヘルカディアが『鋭覚狙撃』で確実に仕留めた。『先手必勝』により残り1体の子グマに反撃されることなく空也達と協力して倒す。
「残るは親だけですね」
 AU−KVの脚部車輪を使い狙いが定めにくいよう周りを動き回りながら、星嵐は親クマの死角となる位置から『竜の角』で強化した機械脚甲「スコル」に『竜の咆哮』を乗せ放つ。吹き飛ばされた親クマと距離を『竜の翼』で詰め、避ける隙を与えることなく機械刀「凄皇弐式」で止めを刺す。
 クマを倒し終えたところで交代時間に。
「‥‥にゃ♪ オキャクさんコってますねー♪」
 休憩中、星威はちょっとした悪戯と仲間、特に空也にマッサージをしたり回復に専念したり。ヘルカディアはコンテナハウスのエアコンの近くを陣取り指の筋肉が硬くならないよう温まり、星嵐は作業の手伝いに備え仮眠中。
 
 能力者達の護衛の甲斐ありもう少しで足湯が完成すると聞いたB班は喜んだが、トナカイと狼の群れがコンテナハウス付近に出現した。
「好き勝手出来ると思わない事ですわ!」
 早く片付けたいと蹴りでトナカイに挑むエリスは後足で蹴られ転倒。即座に起き上がって反撃しようしたが、【OR】防御用義手『アイギス』で突進を防ぎ獅子牡丹で反撃する獅子鷹が制止。
「わたくしはまだ戦えますわ!」
「そう怒るなよ、俺にとってアンタが傷つく事の方が死ぬより辛い傷になるんだ」
 気持ちを察したのか、エリスは一歩下がり援護射撃に務めることに。2人の連携によりトナカイは倒された。
「お、お、お、俺様の! 歌を! 聞けえええッ!」
 襲われてたまるか! と『子守唄』で狼達を眠らせるジリオン。
「う、うおお! い、急げ勇者パーティー! こ、こいつらを俺様が抑えている隙に‥‥!」
「起きないよう、子守唄を歌い続けてくださいね」
 念を押した輝樹、獅子鷹、エリスの一斉攻撃ですべての狼は倒された。

●温かい気持ち
「先程は出すぎたこと言ってすみませんでしたっ!」
 キメラ退治後、雪の上で裸足になった獅子鷹は正座して震えながらエリスに謝罪。
「もういいって、だから頭上げて。ね?」
「ありがとうございます!」
 エリスに許してもらえたのと、その後現場監督から足湯が無事完成したことを聞いて安心する獅子鷹だった。
「師匠、やりましたよ!」
 輝樹は三浦式盾操術で勝ったことで依頼を無事終えたことを実感。

 作業員達が不眠不休で作った足湯は、視察に来たマルスコイ・ボーブルにとても喜んでもらえた。
「ウォッカを飲みながらの足湯は最高だ! 温泉完成、楽しみにしているぞ!」
 それを聞き「間に合って良かった‥‥」と脱力する作業員達。
 現場大好き人間のマルスコイは足湯を堪能し、やや強引に作業を手伝うと満足気に帰っていった。

 その後、能力者達は現場監督の計らいで貸し切りにしてもらった足湯に浸かることに。
(獅子鷹くん‥‥ボクのことをそんな風に思っててくれたんだ‥‥)
 キメラ退治の時、アンタが傷つく事の方が死ぬより辛い傷になるんだと言ってもらえたことが嬉しいエリスは獅子鷹の好意に驚きつつ、照れを隠して彼の隣で足湯を堪能している。
「ん? どうした? 顔が紅いぞ?」
「ううん、何でもないよっ!?」
 照れているんじゃないんだからね! と心の中で追加。
「お母さん、お父さん、今日も生き残ったよ」
 夜空を見上げ、ボーッとするヘルカディアは両親に生き延びたことを報告。
 星嵐は手伝った甲斐がありました、輝樹は師匠にも浸からせてあげたいですと思いながら疲れを癒す。
「アシユあったかぁぁーい♪ あ! 空にぃ! これはアシユだから‥‥おフロみたいにぃ‥‥『しゅけべマオー』とかゆわれないねっ♪」
「星威! テメ! オープンにそれ言うんじゃねえええ! お、おめーら誤解だ!」
 星威は空也に何度か覗き魔呼ばわりされたことがあるようだが、詳細は本人達にしかわからない。
「ふはは、今日も俺様の勇者街道は輝いている‥‥!! この俺様の‥‥生足のように!」
 とーーぅ! とジリオンは自慢気に生足を仲間に見せてからズバーン! とおもいっきり浸かったので近くにいた空也にお湯がかかってしまった。
「‥‥ってオイ!? こんなトコで濡れたら風邪ひくだろうが!」
「悪い! 勇者パーティーの皆! 思う存分足湯を楽しもうではないか!」

 足湯で心も身体も十分温まったのはずなのだが‥‥数日後、空也は風邪をひき、くしゃみと鼻水がなかなか止まらなかった。