タイトル:【出雲】神鯨砕破マスター:竹科真史

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/07/20 06:10

●オープニング本文


 7月某日未明。漁を終え、港に戻ろうとした漁船の船長があるものを見つけた。
 それは‥‥今にも朽ち果てそうな古い船だった。
 帆には紅筆で「寿」の一文字が書かれておるが、布は破れている。
 朽ちた船の穂先には右手に釣竿を持ち、左手に鯛を持った神らしき人物、いや、神そのものが乗っている。
 神の名は『恵比寿』。天津神にも国津神にも属さない漂流神である。

『永(なか)き世の 遠の眠りのみな目ざめ 波乗り船の音のよきかな‥‥』

 どこからともなく、海底から聞こえてくると思われる低い唸り声がひとつの歌を詠んだ。
 この歌は、正月2日に宝船の絵を枕の下に入れて寝ると良い初夢を見ることができると言われている回文である。回文が聞こえなくなり静かな波音しか聞こえなくなったが、今度はユラリと何やら黒い影が海面に映った。
 ゆっくりと姿を現した影はクジラだったが、これも船同様、全身が朽ち果てていた。肉はただれ、骨が剥き出しになっているゾンビにような姿だった。

 幽霊船とゾンビクジラ出現!

 このニュースは、島根県内全てのマスメディアが報じたことにより県内に知れ渡った。

 数日後、出雲市内すべての漁港に大変な事態が発生。すべての漁船の網に、魚が一匹もかからなくなってしまったのだ。それだけではなく、絶好の釣り場と言われている場所でも小魚一匹釣れない。
 漁師、釣り好き達からは「魚が一匹も釣れない!」という苦情が区役所に殺到した。
 不思議なことに、出雲市内の領域のみ不漁なのである。
 その原因は幽霊船とゾンビクジラではないかと思った区役所職員の1人は、ULTに連絡し、それらの調査を行い、キメラだったら退治してほしいと依頼した。

 その3日後。
 それらが目撃された現場に生真面目そうな男性と科学者風の女性が漁師に頼み漁船に乗せてもらい、その近辺の調査を始めた。
 男性は、県内の大学で考古学の研究をしている留学生の申 永一(シン・ヨンイル)。
 女性は、UPC本部に調査要請されたことで出雲に来た『実践訓練センター』教官のアプサラス・マーヤー。
「何も変わった様子はないようですね‥‥。申さん、朽ちた船ですが何だかご存知ありませんか?」
「船とクジラ‥‥鯛を持った人物‥‥。船は『宝船』ではないでしょうか? 鯛を持った人物は、七福神の恵比寿ではないかと」
 宝船というのは、七福神(恵比寿、大黒、インド神の毘沙門、弁天、中国神の福禄寿、寿老人、布袋)が乗る宝物を積み込んだ帆船である。
「中国地方の依頼報告書に目を通しましたが、弁天キメラが出現して男女を襲ったようですね。今回の恵比寿出現は、それと関係があると思いますか?」
「それはないでしょう。恵比寿と弁天には『七福神』という以外共通点はありませんし。クジラに関しては、恵比寿が神格化されたものと言われていますが。クジラのほうは、調査報告によると骨格からイワシクジラに似た『ニタリクジラ』ではないかという結果が出たそうです。こちらのほうは、体長が約13メートルなので生身では戦うのは難しいでしょう‥‥」
 永一は眼鏡のブリッジを中指でグイッと押し付け、ふぅ、と溜息をついた。
「申さん、今回はキメラ2体同時攻撃は無理ではないでしょうか?」
「俺もそう思いました。では、二手に分かれましょう。あなたは以前、稲佐の浜に出現したワニザメキメラ退治の指揮を執ったそうですね。クジラをお任せしても宜しいでしょうか?」
「わかりました。では、申さんは恵比寿をお願いします」

 こうして、二手に分かれてそれぞれの退治を行うこととなった。

「私は、実践訓練センター教官のアプサラス・マーヤーと申します。能力者の皆様にご報告します。日本の島根県出雲市内の海岸に『ニタリクジラ』を模したキメラが出現しました。戦闘は、山陰UPC軍に船を出してもらっての沖合いでの戦闘、ナイトフォーゲルによる空中、水中戦となります。クジラは水属性なので、雷属性のSES武器をお持ちの能力者は十分注意するように。以上です」

 朽ち果てた肉体のニタリクジラを倒し、出雲市内の漁業を再開させよ!

●参加者一覧

鯨井昼寝(ga0488
23歳・♀・PN
水鏡・シメイ(ga0523
21歳・♂・SN
篠崎 公司(ga2413
36歳・♂・JG
近伊 蒔(ga3161
18歳・♀・FT
熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
ヴァシュカ(ga7064
20歳・♀・EL
憐(gb0172
12歳・♀・DF
レイヴァー(gb0805
22歳・♂・ST
トリストラム(gb0815
27歳・♂・ER

●リプレイ本文

●参加しようか
「ゾンビクジラと恵比寿キメラのせいで、漁業が成り行かないか。コイントスでどっちにしようか決めよう」
 レイヴァー(gb0805)は宙高くコインを投げ、掌で受け止めるとコインを確認。
「表か。この依頼に参加するか。何とかなるだろ、コインは嘘つかないし」
 長い付き合いであるトリストラム(gb0815)が参加するので、彼と一緒なら楽しめると楽観的に考えた。
 初のナイトフォーゲル戦を経験したかったのだが、武装が拙かったので断念し、エクセレンターの万能性を活かし山陰UPC軍の船に乗り込み、そこで戦闘に挑むことに。
 折角の機会なので、同行する『実践訓練センター』教官のアプサラス・マーヤーの指導を受け賜り、レベルアップの礎にしたいと考えている。

●朽ちた鯨
 ニタリクジラキメラを見て、気持ち悪がる能力者も。
「あれを退治する!? ゾンビクジラばっちい! 不潔! 大っ嫌い!!」
 制服の袖に風紀委員の腕章を掲げ、操縦桿をアルコールで拭くほど潔癖症な熊谷真帆(ga3826)。
「ゾンビ化して鯨か。何てはた迷惑なキメラを作りやがるんだ! とっとと片付けないと出雲の人々に申し訳ない」
 テンタクルスで水中戦を挑む威龍(ga3859)は、キメラを倒す気十分。
「長い夜の深い眠りから目覚める‥‥。宝船が波に乗って進む音なんて、気持ちの良い夢だね‥‥」
 水中班として行動するヴァシュカ(ga7064)は、事前に使用武器を把握し、連携が取りやすい行動をイメージ中。進行ルートとしては、鯨の下方から水面に追い立てる感じで行動する方針。
「結構傷んでるみいだね‥‥死んだクジラを無理やり動かすなんて惨い‥‥!」

「‥‥前の前の依頼が‥‥アースクエイク退治。‥‥前の依頼が‥‥ヘルメットワームと航空戦。‥‥今回は‥‥海でクジラキメラ退治。‥‥これで陸海空‥‥三種目制覇です‥‥」
 急遽水中用キットと水中用兵装をつけたディアブロを見ながら、憐(gb0172)はナイトフォーゲルで陸海空全ての戦闘をこなしたというが、水中戦は始めてである。
「‥‥出来るだけ頑張ります。‥‥しかし‥‥身の無いクジラに‥‥意味はあるのでしょうか‥‥」
 意味は全然無い。食べられる部分無いし。

「あれがゾンビクジラか‥‥えげつない姿だな‥‥」
 レイヴァーがいうように、まさにえげつない。
 現状が留められているのは顔と尾のみで、後は骨が剥き出しになったり、肉がただれたりしてゾンビに近い状態と化している。
 水戦班・空戦班と別行動で狙撃を試みることにしたトリストラムは、待機中は船に積んでいるであろう水中レーダーと無線機で、アル(トリストラムはレイヴァーをこう呼ぶ)の岩龍改の管制補佐を担当。
「今時は漁業ですら電子戦ですからね。サポートしますよ、アル」
「任せる」

●作戦会議
「スナイパーの篠崎 公司(ga2413)です、宜しくお願いします。稲佐の浜でのワニザメ依頼振りですね、アプサラスさん。今回も宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
 アプサラスは、ニタリクジラ撃退の方法を集まった能力者に説明を始めた。
「今回は体長13メートルのクジラなので、海中・海上・空中の3班に分かれて戦闘を行います。海中班は、テンタクルスをで攻撃しつつ目標を海面へ追いやり、空中班は目標が海上へ出てきたところを攻撃。岩龍所持のレイヴァーさんは情報担当とし、連結を行いながら相互の連携をスムーズに取り計らう作戦でいきます。これで宜しいですね?」
 作戦行動に入る前の入念なミーティング中に、フォーメーションや連携の仕方が決まった。

 水中戦担当は、KF−14搭乗の鯨井昼寝(ga0488)を筆頭に、W−01搭乗の水鏡・シメイ(ga0523)、威龍、ヴァシュカ、憐の5名。
「当該キメラの情報は、アプサラスが提示してくれたものでほぼ十分だ。パワーと耐久性を備えたスタンダードな大型海棲キメラと判断したね。今までに葬ってきた海竜や巨大魚キメラとタイプと同系統、何の問題もない。後は、その知能レベルと好戦的か否かといった情報を実戦の中で適宜収集しないとね。空陸両面からの包囲網を構築し、効率的な対象の撃破を目指すよ!」
「では、私は空中班が対潜ミサイルを投下する際にキメラから離れて待機します。ミサイル投下位置を無線代わりにして報告しますね。なるべく『クルス』(シメイの機体愛称)に傷つけたくありませんが、そう言っていられないですね‥‥」
「水中のみで決着を付ける必要もないだろう。海上にも仲間が待機している。上空の岩龍に対してキメラの現在位置を報告しながら戦闘を行え」
「威龍さん、倒す気マンマンだねぇ。それはいいけど、大破されないようにね。ボクは皆が連携が取りやすいように行動するよ。進行ルートとしては、鯨の下方から水面に追い立てる感じで行動かな? クジラの行動、特に顔の向きや尾びれの動向に注目して、気がついた事があれば水中班の皆や空中で支援しているレイヴァーさんの岩龍にデーターを送るよ」
 覚醒した燐は、狩猟本能に目覚めたのか性格が攻撃的、饒舌になっている。
「さあ、クジラ狩りと行くにゃー! お前を倒しても某環境保護団体から苦情は来ないから覚悟するにゃ!」
 語尾に『にゃー』が付くのが可愛らしい。
 燐の戦法は、ホーミングミサイルとガウスガンでの距離をとっての支援に専念。

 空中班は、唯一の岩龍搭乗者のレイヴァーと管制に従い波間を縫って水中班に追随する真帆、近伊 蒔(ga3161)、公司の4名。
「うわっ、でかっ! あれ俺らが倒すのか!?」
 空中から見ても、ニタリクジラはかなりの大きさがある。
「俺は出来るだけ低空飛行するよ。レイヴァーさんの岩龍から情報が届くまでは作戦区域を巡回するから」
 水中班の現在地が把握出来る場合はその付近を巡回し、水弾が飛んでくる可能性があるので警戒はしつつ飛行しながらニタリクジラの情報が届き次第そのポイントへ急行する行動方針を立てている蒔だった。
「海上はナイトフォーゲルを用いず、用意された船上から射撃に頼りましょう。ここが目標に一定以上のダメージを与えてから参戦しましょう」
 山陰UPC軍の船には、トリストラムとアプサラス、兵士数名が待機している。

「皆、退治始めるよ! 準備はいいかい!?」
『了解!』 
 水中戦に長けた昼寝の号令により、皆、一斉に持ち場についた。

●水中戦
「巨大な体躯のクジラというのは、それだけで大きな体力を有している証明だ。生半可の打撃を与えたんじゃ意味ない、空中ナイトフォーゲル班の助力が不可欠になるよ。そこで考えたのが、ニタリクジラのを海面へ誘導し、可能であれば空中ジャンプさせたいんだけどどうだい?」
 水中班が、昼寝の案をやってみよう! と実行に移すことに。
「いくよっ!」
 昼寝はニタリクジラの下側、深部にポジショニングして各射撃兵装で攻撃し、他機体と連動して誘導ミサイルをはじめとした弾幕を張り、鯨を海面へと追い立てる行動を。
 その際、いくらかダメージを与えることに成功したものの、まだ体力があるように見える。
「更に追い打ちするしかないようだね」
 距離を詰めつつ、昼寝は徹底的に射撃攻撃。
 シメイは戦闘機形態のままブーストで近付き、ニタリクジラの下に潜り込み、その後人型形態へ変形し、キメラに攻撃。キメラが海面へ上っていくような攻撃を仕掛けようとしたが、胴体部分が骨なので、その作戦は失敗に終わった。
「これでどうですか?」
 直接海上浮上が駄目なら、集中砲火で浮上させるしかない。口から吐かれる水弾には十分に注意したのだが、真正面から喰らってしまった。
「くっ‥‥!」
 ナイトフォーゲルの衝撃は、搭乗している能力者に伝わるのでシメイは軽いダメージを受けた。
「頭部攻撃は、正面からはまずかったようですね。『高分子レーザークロー』よる突き刺しと引っ掻き、『水中用ディフェンダー』で防御と行きますか」
 近距離戦は危険と判断したシメイは、ニタリクジラから距離を取り『試作型水中用ガウスガン』による中距離戦を行った。

 威龍が、シメイと共に水中戦闘を行っている。
 無理に水中戦のみで決着を付ける必要はない。海上にも仲間が待機しているので、岩龍に対してキメラの現在位置の報告を待ちながら戦闘を行うことに。
 遠距離は『魚雷』、銃器の間合いに入ったら『ガウスガン』で、接近戦の必要ありなら『ディフェンダー』でダメージを与えることにしたが、接近しすぎたのか水弾、牙、体当たり、尻尾をもろに食らった。
「接近しすぎたか‥‥。いや、ニタリクジラが早すぎるっ!」
 戦いにおいては慎重派な威龍は、己の実力を過信したりはしない。それなのに連続攻撃を喰らうということは、水中ではニタリクジラの動きが勝っているということだ。
「こちら威龍、海上にニタリジラが現れたたか? どうやら逃げ出してしまったようなんでな」
「レイヴァーだ。今のところ、ニタリクジラは海面上に出ていない」
 だとしたら、ニタリクジラはまだ水中にいることになる。

 ヴァシュカは、最初の3ターンはブースト行動、距離5まで近づいたら目標を尾びれを狙い『魚雷』2発発射。その後、休み無く近接攻撃を挑み『SESエンハンサー』を使用し腹部辺りから顔の間に位置取り、尾びれの攻撃範囲外に居るように位置づけ。
「流石にあの巨体で体当たり貰ったら、やばそうですからね‥‥。このクロー結構‥‥痛いです‥‥よ?」
 鯨がジャンプして海中から出たのを見計らい、レイヴァーにニタリクジラの飛行ルートのデーターを貰い、予想着水地点を予測して先回り。着水後、側面辺りに攻撃できるよう移動開始。
「燐は『ホーミングミサイル』と『ガウスガン』で距離をとっての支援に専念にゃー。なるべく下に回りこんで、上に追い込むように攻撃するにゃー。ジャンプした所を攻撃され落ちてきたら、体勢の崩れているところが攻撃のチャンスかもしれないにゃー! 胴体は朽ち果てているので、背骨に攻撃を集中して頭と尻尾を分断してしまえば攻撃力ダウンかもにゃー。尾だけで自律行動はしないと思う‥‥かもしれないにゃー」
 隙を見て『アグレッシブ・フォース』を乗せた攻撃を行う燐。
「やられっぱなしでたまるか!」
 威龍が、燐の援護を行い、その後にシメイ、ヴァシュカも援護。

 水中での攻撃に耐えられなくなったニタリクジラは、海上に浮上した。

●海上戦
 蒔は、攻撃の直前に『超伝導アクチュエータ』を発動し『ヘビーガトリング』の射程に入るまでは『ホーミングミサイル』『ロケットランチャー』で迎撃。『ヘビーガトリング』の射程内に入ったら、破壊神の如く猛攻開始!
「徹・底・粉・砕! そのボロボロの体、もっとボロボロにしてやるっ!」
 その言葉通り、尾びれ付近の骨は砕け散った。
「やったね! でもまだまだだよ!」
 弾切れになるまで『ガトリング砲』『20mm高性能バルカン』の順で攻撃しつつ、接近、通過、旋回を繰り返して行っている最中、水弾が飛んで来た。
「うわっ!」
 寸でのところで回避成功。
「練力残っているようだから『超伝導アクチュエータ』使用といくか!」
 蒔は、雷電の機体依存特殊能力『超伝導アクチュエータ』を発動させ、命中と回避をアップさせた。

 岩龍による僚機の位置管制を行っているレイヴァーは、各機のレーダーをリンクし、水中班と空中班の連携を補佐し、鯨の浮上タイミングと位置を空中班に通達。その頃、ちょうど鯨周辺に大波が発生。
「えげつないなぁ‥‥。こちらレイヴァー機岩龍、リンク開始完了。皆さん、捕鯨開始ですよ。水中班はそのまま海面へ誘導を。空中班はそこから総攻撃できます。そろそろ出てきますよ。それと、波が高いので気をつけてください!」
『了解!』
 各機は、レイヴァーの指示に従った行動。レイヴァーはニタリクジラの攻撃に当たらないよう注意しつつ、偵察に徹している。
「トリス、アプサラス教官と乗員は皆、無事か?」
「山陰UPC軍乗員、トリストラムさんは無事です。私達に構わず、一斉攻撃を仕掛けてください!」
 無線機でアプラサスが代返。

 真帆は、水弾を掌を返す様にロールで避け、ジャンプしたニタリクジラを斜め後から攻め、追い越す様にレーザーで背面を掃射し離脱。『ホーミングミサイルG−01』は温存し、正対した時に開いた口へ一気に叩き込む作戦だ。
 鯨と水面の間に隙が生じたので一撃撃離脱し、自機前方で跳躍を開始したので水平方向に突入し、降下し相対速度を合わせ『スナイパーライフルD−02』『3.2cm高分子レーザー砲』で背、腹部を畳み掛けた。
「汚いものは、レーザーで消毒してやるわ! この世からリセットされなさい!」
 水撃戦中のシメイが水弾に襲われそうになったのを目撃した真帆は、隙を突いて遠距離兵器で威嚇攻撃。
 鯨が海面に浮上すると、上空からリロード可能武器と残弾を叩き込み、機体依存特殊能力『ブースト空戦スタビライザー』を併用し突撃!
「焼却焼尽! 綺麗さっぱり無くなれっ!」
 渾身の一撃だったが、ニタリクジラはまだ倒れない。
 
 公司は、予想される海域をやや大きめに旋回している途中で真帆とニタリクジラの戦闘を見かけた。
 目標が浮上してくる予測地点と予想時間から、攻撃に最適なポジションを取るように機体位置を調整し、後方から命中率を優先した『H12ミサイルポッド』『20mmバルカン』で攻撃。
「次の予測ポイントは‥‥30秒後にそこですか。ここで撃ってくるのは読めています。判りきった攻撃は脅威ではありません」 
 艦船が鯨に接近したので、船上にダメージを与えないよう援護射撃。

「水戦班・空戦班共に作戦成功したようですね。後は山陰UPC軍と俺、アプサラス教官で倒しましょう! 狙撃を試みます!」
 船に接近したキメラは既に弱っていたので、『狙撃眼』使用の『ライフル』でしとめることが出来たが、念には念をと『影撃ち』を併用。
 
 ニタリクジラ撃破:成功!

●その後
 帰還した全員が負傷していたので、アプサラスが『練成治療』でナイトフォーゲル戦の能力者を治療した。
「あなたが醸し出す音は、余り気持ち良いものではありません。どちらかと言えば悪夢です。悪夢は流すもの‥‥夢祓いの船と共に早く去りなさい‥‥」
「他力本願は、バグアやキメラが弱い人の心を悪用したのでしょうか? 私はそう思いたいです‥‥」
 アプサラスに治療されながら、ニタリクジラを見て呟くヴァシュカと真帆。
   
 キメラサンプルを入手すべく、トリストラムは積極的にUPC軍の手伝いを。サンプル入手成功!

「赤潮の原因になるかと心配したが、軍が責任を持って後始末するなら安心だな」
「‥‥これで‥‥魚も取れるようになり‥‥魚料理が食べれます‥‥」
 一安心する威龍と燐だった。

 出雲の海も落ち着き、漁業は再び盛んになるだろう。