タイトル:うわばみ退治マスター:トーゴーヘーゾー

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/06/05 14:24

●オープニング本文


 通報してきたのは造り酒屋を営んでいる酒田さん(48歳・男)だった。

 それは午後11時頃のこと。

 醸造中の酒の状態を確認しようと、酒蔵の一つを訪れた彼は、奇妙な物音を耳にする。

 ガリガリと何かをひっかくような音だ。

 音の発生源は酒蔵の壁。

 続いて、ドンドンと大きな何かがぶつかるような音に変わる。

 壁の外に何かあったか‥‥?

 そう思案する彼の目の前で、コンクリート製の壁が砕け、50cmほどの穴が開いた。

 飛び込んできたものが、反対側の壁に激突して弾ける。その正体は水のようで、バケツ数杯分をぶちまけたようにそこら中がびしょぬれになっていた。

 彼の驚きはそれだけでは終わらない。

 脆くなった壁を、何かが押し入ろうとして、軋ませている。

 ボコッ、ガコッ、ドコッ。

 壁が割れ、落ち、砕ける。

 そこに現れたのは、赤い目を持ち、ぬめぬめと黒光りする蛇の頭だ。それも2匹。いや、3匹。違う。さらに多い。

 1匹がガスを吐き出したのを見て、ようやく彼は出口へ向かって走った。

 振り返った彼が見た時、壁から生えている蛇の頭は、全部で八つあった。




「‥‥というわけで、依頼内容はキメラ退治よ。敵は八つの首を持つ蛇のキメラ。つまり、ヤマタノオロチってことね」

 オペレーターのしのぶが説明を始める。

「キメラは完成直前の酒を飲み干して、悠々と帰っていったみたいね。酒田さんの連絡を受けて、警察が調査したところ、大きな蛇の這った跡が、古い防空壕の入口まで続いていたわ」

 彼女は街の地図を広げて、酒蔵と郊外にある地下壕の位置関係を示した。

「それと、こっちが防空壕内の図面よ。役場に残っていたわ」

 次に取り出したのは、色あせた古い図面だ。

 出入り口から20mほど廊下が延びて、広いスペースに辿り着く。大部屋にいくつかの小部屋がくっついたような構造だ。

「高さが5mほどで、広さは一般的な体育館ぐらいよ。防空壕の中もそうだけど、キメラは夜行性みたいだし、暗闇での戦闘に備えた方がいいと思うわ」

 頷いた傭兵達に、しのぶが一言だけ付け足す。

「酒田さんは、また襲われるんじゃないかって心配しているから、早くキメラを倒して安心させてあげて。仕事の後には地酒を振る舞ってくれるらしいわよ。‥‥でも、未成年者の飲酒は禁止されてるのを忘れないで」

●参加者一覧

鬼非鬼 つー(gb0847
24歳・♂・PN
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
黒羽 空(gb4248
13歳・♀・FC
周太郎(gb5584
23歳・♂・PN
龍鱗(gb5585
24歳・♂・PN
フィルト=リンク(gb5706
23歳・♀・HD
佐月彩佳(gb6143
18歳・♀・DG
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN

●リプレイ本文

●持ち込み

「暗いところなんだよね。持ってきた提灯使って明るくするよ」
 佐月彩佳(gb6143)の取り出した提灯は、周太郎(gb5584)とまったく同じ物だ。
「俺には黒猫のキャンドルもあるし、この提灯は持ってきてない人に貸そうかな」
「提灯の数も問題だが、照射距離が1.5mというのは少し足りないな。松明も準備しておいた方がよさそうだ」
 そう判断した龍鱗(gb5585)は林に転がっている枯れ木を物色し始めた。
「キメラの吐くガスが可燃性でなければいいんですけど‥‥」
 彼を手伝うフィルト=リンク(gb5706)が心配そうにつぶやく。
「その場合は、持参した照明だけが頼りになるか」
「‥‥はい」
 フィルトの不安はそれだけにとどまらない。
 彼女は毒ガスだった場合に備えて、人数分のマスクまで手配済みだった。ガスマスクほどの効果は期待できないが、ないよりはましだろう。
「何考えてんだそのキメラは‥‥酒に酔いたければ独りでやれ、と」
 こぼした周太郎は鬼非鬼 つー(gb0847)の言葉を思い出した。
「そう言えば、鬼非鬼さんが奴と飲み比べするとか」
「‥‥キメラの討伐って話じゃなかったでしたっけ?」
 御守 剣清(gb6210)が困惑するのも仕方のない事だろう。
 つーの運転してきたジーザリオに積み込まれているのは、彼の兵舎にあった日本酒やワインだった。今回のために彼は根こそぎ持ち出してきたのだ。
「鬼の祖先と言われる八岐大蛇を騙るキメラを成敗せねば」
「本音は?」
「オロチ酒を兵舎の新メニューにする」
 ぽろりと本音をこぼしてしまい、合いの手をいれた黒羽 空(gb4248)が思わず笑ってしまった。
 つーだけでなく、彼等はキメラを退治して食材にしようと考えていたのである。
「キメラの分際で『うわばみ』を名乗るなんていい度胸じゃない‥‥」
 酒好きを自認する冴城 アスカ(gb4188)が対抗心を露わにすると、龍鱗によるツッコミが入った。
「元々、うわばみの語源は大蛇のはずだ」
「そうなの?」
「大酒飲みの事を、大蛇が丸飲みする様子に例えたらしいな」
「それは知らなかったわ」
 思わず感心するアスカだった。

●飲み比べ

 夜行性のキメラが目を覚ますであろう日没後を狙って彼等は行動を開始した。
 持参した酒や必要な装備を防空壕の中へと運び込む。
 真っ暗な防空壕の中で、提灯の灯りがヤマタノオロチを浮かび上がらせた。
 八つの大杯を並べると、皆で日本酒やワインを注いでいく。
 酒の香りにつられたのか、床に転がっていた頭部が次々と起きあがり、爛々と光る赤い瞳を大杯へ向けた。
「やぁ、我こそは鬼のつーだ。貴様らと我、どちらが本物のうわばみか、呑み比べと行こうじゃないか」
 ねぐらへ侵入してきた傭兵達を威嚇するでもなく、八つの頭は酒に口をつけはじめた。どうやら、人間よりも酒の方が好みのようだ。
 キメラとの飲み比べに挑むのは、つー、アスカ、龍鱗、剣清の4名である。
「酒は腐るほどある、遠慮するな」
 陽気に語りかけるつーに、フィルトが根本的な質問をぶつけてみた。
「肝心の言葉は通じているのでしょうか?」
「なに。言葉は通じずとも、同じ酒飲みとして気持ちは通じるはずだ」
 手酌をしながら、つーは豪快な主張を押し通した。
 言葉が通じるなら八つの首を煽ろうと考えていた龍鱗だったが、間近で見ると人語を解しているとは思えなかった。
「しかし貴様らの中で誰が一番強いのだ?」
 つーの挑発に乗ったわけでもないだろうが、キメラ達は競うように酒を舐めすする。
「あら? その程度? うわばみも大した事ないのね」
 アスカは空になった大杯を見つけては、ウォッカを注いでいく。
 オロチ料理を期待してる彩佳も熱心にキメラへ酒を勧めていた。
「これ、この辺では最高のお酒、特別な大吟醸‥‥」
 小声で『らしいよ』と付け足したのは、未成年で酒の知識を持たないからだ。
「皆さん‥‥飲み過ぎには注意しましょうね? 分かってるとは思いますけど、一応‥‥」
 控えめに注意しつつ、剣清自身も杯を重ねていく。
 つーは酒の飲めない人間にも配慮してくれたため、ノンアルコール飲料もこの場に準備されている。
「お、ありがとフィルトさん」
 空が受け取った紙コップに入っているのは甘酒だ。
「それにしても、キメラと一緒に酒飲んだのって俺たちが初めてじゃないか?」
「だと思います」
 香水に口をつけながらフィルトが頷く。
「鬼と蛇、どちらがより飲めるか楽しみにするかな」
 その勝負を見届けるべく、周太郎は盛り上げ役に加わった。

 ペースがきつくなってきたため、龍鱗はすでにノンアルコールに切り替えていた。
 剣清は一番好きな日本酒をちびちびと頂いている。
 四番首の大杯が空になり、五番首の大酒に舌を伸ばした一幕もあったが、傭兵達から酒を奪う素振りをみせたので、アスカが慌ててつぎ足した。
「お見事! いい呑みっぷりだねぇ! 酒は腐るほどある、遠慮するな」
 ご機嫌のつーが高いテンションを維持して煽り立てる。
 キメラが前後不覚で倒れるまで呑み比べを止めない。彼はそう思い定めてこの場に臨んだのだが‥‥それが仇となった。
「おや?」
 自分の頭がふらりと揺れて、ようやく彼も事態を把握する。
「ここで下りるわけにはいかん。こんなんじゃあ一本角の赤鬼の名が泣くぞ」

 例えば、体長が6m程の象でも1日に100リットルの水を飲むという。人間には不可能な量だ。
 また、毒の致死量というのは、対象となる動物の体重から算出される。重ければ重いほど、大量に必要となるのだ。
 アルコールの分解能力も関わってくるので断言はできないが、全長20mのキメラと飲み比べするのはさすがに分の悪い賭けと言えるだろう。

●宴

「どうやら、飲み比べはお開きのようだな」
 龍鱗がつぶやく。
 傭兵達もキメラも健在だったが、酒が尽きてしまったのだ。
 シャーッ!
 舌を出して威嚇するキメラは明確に主張している。
 まだ酒が足りないと。酒を飲みに行くからそこをどけと。
 その様子を見てアスカが呆れる。
「こいつは確かにうわばみだよ。認めるしかないね」
 酒量だけを考えるなら、飲み比べは人間側の負けであった。
「酒を差し入れておけば、こいつはずっとここで飲んだくれてるんじゃないか?」
 剣清の想像は的を射ているように思えた。
「それはなかなか幸せな生き方かも知れんなぁ」
 つーがのんきな感想を漏らす。
 牙を剥き出したキメラの八つ首が傭兵達へ襲いかかった。

 アスカは壱番首と弐番首に襲われていた。
 ジャンプや瞬天速を活用して、敵が狙いを絞れないように翻弄していく。
 その最中にも、彼女の2丁拳銃が火を噴き銃弾を叩き込む。
「ほらほら、そんな動きじゃ私は捕まえられないわよ?」
 その挑発に応えたわけではないだろうが、壱番首がアスカに向けてガスを吐き出していた。
 疾風脚を駆使して彼女はそれをかわす。
 どうやら、これは毒ガスではなく、非物理攻撃に類するものだろうと彼女は推測した。

 アスカを狙おうとして跳ね上がった尻尾は、竜の鱗を使用した彩佳が受け止められた。
「首を相手にしてるみんなの邪魔はさせない‥‥!」
 リンドヴルムを装着した彼女は、真っ先に竜の翼で後方へ駆けつけていたのだ。
 だが、提灯だけでは灯りが乏しく、突然視界に現れる尻尾が鞭のように彩佳を殴りつける。
「龍鱗さん。ガスは可燃性ではありません」
 吐き出されたガスで空のキャンドルが反応しなかったのを、フィルトは見逃さなかった。
 龍鱗は彼女の言葉を耳にして松明に火をつける。龍鱗や剣清が染み込ませたスブロフによって松明は明々と燃え上がった。
 ふたりが周囲へ投げつけた松明によって、ようやく尻尾の動きを掴めるようになった。
 竜の爪を使用した彩佳が反撃に転じる。
「なるべく早く終わらせよう。美味しい珍味も待ってる‥‥」
 尻尾の切断を狙った龍鱗が、先端から7m辺りを狙ってスマッシュを仕掛ける。
 暴れる尻尾の先端をフィルトが竜の鱗で受け止めている間に、龍鱗と彩佳が同じ箇所へ攻撃を叩き込んでいく。
 龍鱗が再び放ったスマッシュはついに尻尾を切断した。

「うーん‥‥一緒に酒飲んだ相手を斬るのも、ちょっと気が引けるけどなぁ」
 そうこぼしたものの、空自身はお酒を飲んでいない。そこは気分というものだ。
 攻撃が浅くなるとしても、彼女は回避を優先して行動している。
 仲間割れを誘うべく、敵の攻撃の射線上に別の首を誘導しようと、彼女は位置取りを工夫していた。
 参番首の放つ水弾が、計算通り四番首に命中する。
「やった!」
 思わず喜びの声を上げたのだが、四番首はあくまでも空を狙ってきた。
「さすがに、そこまではバカじゃないか‥‥」

 五番首の牙を避けた時に、剣清はフラリとバランスを崩していた。皆に合わせて飲んでいた酒が、思いのほか効いていた。
 さらに六番首にまで狙われたが、周太郎の援護射撃によって、ひとまず間合いを取る事に成功する。
 酔っている事を自覚した彼は、手にしたアーミーナイフを自分の太股に突き立てた。
「痛ゥ‥‥目ぇ醒めた。よしっ」
 七番首までが加わったため、周太郎は一時的に3本の首に攻め立てられる事となった。
「随分あちこちから攻撃してくれるな‥‥節操無しか、やれやれだ」
 その時、死角に回った五番首の吐き出した水弾が周太郎に命中する。
 さらなる追撃を狙う五番首に剣清が襲いかかった。
「その首もらったっ!」
 円閃による一撃が、五番首を斬り落とした。

 ユラリと、その場にいた皆は視界が揺れたように感じた。
 それが確信に変わったのは、弐番首と参番首の攻撃が外れたためだ。
「もしかして?」
 空が視線を向けるとアスカが頷いた。
「ようやく、酒が回って来たみたいね」
 キメラの全身が揺れたのはそれが原因なのだろう。
「鬼非鬼さんが俺達に託してくれたチャンスってわけか」
 感慨深そうに剣清がつぶやいた。
「私が死んだみたいな言い方はやめてくれんか?」
 八番首と対峙するつーが思わず指摘した。
 これを好機と見て、傭兵全員が攻勢に転じていた。

 七番首のむき出した牙をかわす周太郎。
「周りに被害を出した酔っ払いは、しっかり大人しくさせないとな」
 円閃とスマッシュを同時に発動させて、彼は七番首を断ち切った。
「酒は飲んでも、飲まれるな‥‥ってな」

 参番首の牙をゲイルナイフで受け流しつつ、空が愛用の菫を振り上げる。
「悪いな、その首貰った!」
 円閃による一撃が、参番首を跳ね飛ばした。

「ホラホラこっちだ、酔っ払い」
 壱番首と弐番首を挑発し、剣清が注意を引こうとする。
 彼の目的も知らずに、弐番首が剣清に向けて水弾を射出した。
 アスカが狙っていたのはその隙だ。
 彼女の急所突きを受けて、弐番首が沈黙する。
 驚きを見せた壱番首を、剣清のスマッシュで断ち割った。

 尻尾を担当していた3人は標的を胴体へ移していた。
 胴体を守ろうとした反り返った六番首だったが、それを警戒していたフィルトが迎え撃つ。
 目を狙って、グロリア改の銃弾を叩き込んだ。
 視界を奪われてのたうち回る六番首は、周太郎のパラノイアで切り伏せられた。

 手間取っていたつーも、ようやく劣勢を挽回し始めた。
 酔いの回り始めた八番首とは逆に、彼の方は酔いから醒め始めているのだ。
 ふらついている敵に向かって、つーは瞬即撃を使用する。
 目にもとまらぬ速さで突き出された鬼金棒は、八番首の口へ潜り込んで後頭部まで貫いた。

 まだ動いているのは四番首だけだ。
 しかし、動かない7本の首を引きずって逃げる事もできず、傭兵達の攻撃に晒されたキメラに生き残る事など不可能だった。

●乾杯

 アスカは持参した救急セットで、負傷者の治療を行っていく。
 その間に、空はヤマタノオロチの尻尾を切り開いて確認してみたが、残念ながら伝説にある草薙剣は出てこなかった。
「ちぇー。‥‥やっぱり無かったか」
 製造したバグアも、そこまで気前は良くなかったらしい。
 フィルトが転がっていたスブロフの空き瓶を見つけて拾い上げる。
「これのアルコール濃度が99%なら、これを飲ませれば簡単に酔い潰せたのでしょうか?」
『‥‥あっ!』
 彼女の疑問は皆の盲点を突いていた。少なくともワインに比較して9分の1の量で間に合った計算となる。
「だ、だけどほら、酔い潰すほどの量が集まるとも限らないわ」
 思わず弁解するアスカに、つーも同調する。
「に、日本酒好きのキメラがスブロフを気に入るとも思えんからな」
「‥‥まあ、済んだ事を言っても仕方がないさ」
 そう告げて、龍鱗は会話を締めくくった。
「まさか、こんなことにスキルを使うとは思わなかった‥‥」
 キメラを切り分けるために二連撃まで使用した空がこぼす。
「一応捌いてみましたけど、キメラを食って大丈夫なんですかねぇ? まぁ、腹壊す時はみんな一緒にってことで‥‥」
 剣清は不安な様子だ。
 周太郎が切り分けた大きめの肉は食材に使用されない。
「いい酒になるんだぞ」
 巨大樽に入れたつーは、オロチ酒のできあがりを想像して笑みを浮かべる。
 酒を積んで来たジーザリオは、オロチの肉を積んで帰る予定だった。

 持ち帰った肉を、依頼者の台所を借りて傭兵達が調理している。
 料理に自信のある人間が多いのか、台所で傭兵達がせわしなく働いていた。
 つーは、鬼包丁で小さく捌きながら、小麦粉を塗して油で揚げていく。
 周太郎はその傍らで蒲焼きに挑戦し、龍鱗は鍋を借りて酒蒸しをしていた。
 アスカは持参した野菜と八丁味噌と特製ダシを入れて、鍋をかき回している。
「美味しいご飯、幸せ。どんなものでも、美味しく食べるのが私の正義」
 彩佳がお箸とお茶碗持ってワクワクしていると、テーブル上に料理が並べられていく。
 依頼人の酒田が差し入れたのは10本の一升瓶だ。
「お、地酒っ! コレだけは持って帰らにゃあ‥‥」
 涎を垂らしそうな剣清に、酒田が嬉しそうに応じる。
「これがあんた達の守ってくれたもんだ。新しく開発した酒を楽しんでくれ」
 新酒やソフトドリンクを配り終えると、皆が唱和する。
『かんぱーい!』
 銘々が箸をつけて料理を堪能し始めた。
「んん〜♪ やっぱり地酒を飲みつつ鍋をつつくのは最高ね♪」
 丁寧な下処理を行っただけに、アスカとしても自慢のデキだ。
「むぅ‥‥お酒飲みすぎ。体に悪い、よ」
 声をかけた彩佳だけでなく、周太郎や龍鱗も彼女が暴れないか密かに警戒していた。
 飲み比べをした4人は、キメラ戦の前から酒を飲んでいたのだから心配するのも仕方がない。
「まだ呑み足らないぞー!!」
 つーの雄叫びが皆を驚かせる。
「汗をかいたらアルコールが抜けてなぁ。まだまだ飲むぞっ!」
 持久力勝負で飲み比べをしていたなら、もしかすると彼は勝っていたのかも知れない‥‥。

 今回の事件をもとに、この新酒は『すさのお』と名づけられた。