●オープニング本文
前回のリプレイを見る インド南部。バンガロール。都市郊外に位置する施設。
【MTP】――モルディブタワー計画のイメージキャラクター(アイドル)を務める、月日星・イカル(gz0493)が表敬訪問に訪れていた。
敏腕女性『美人』マネージャーも同伴。‥‥当然、歌手でもあるイカルであるからして、ライブも行われることになっている。
現在、イカルとマネージャーの二人は施設内を見学中。
「ここでは軌道エレベータの建設に使用される素材の研究・開発を行っているのよ」
「ほへ〜」
マネージャーの説明を聞きながら、イカルは研究室の窓に両手を当てて、気の抜けた顔で中を覗き込んでいた。
室内では白衣の研究者達が何やら実験らしきものを行っている。
「すごいですねえ。よく解らないですけど」
「‥‥はあ。あなたはお気楽ねえ。まあ別に難しいことは知らなくても良いけど」
二人はそんな会話をしながら真っ白な廊下をコツコツと靴音を鳴らして歩いてゆく。
このときはまだ‥‥研究開発施設に居る者全員が、間もなく自分達が危険に晒されることになるなど、想像もしていなかった。
戦争は終わった。バグアの脅威は去った。そう誰もが信じ込んでいた‥‥。
***
UPC軍バンガロール駐屯基地。司令室。
「ヴァダーナフ一個中隊が全滅!? 全滅だと!?」
「正確には大破二、中破四、小破六、だそうです。作戦の続行は不可能」
「展開中の戦車隊、次々突破されています!」
「敵部隊はバンガロール付近の山中に潜伏していた模様!」
次々と上げられるオペレーターからの報告を頭の中で整理しつつ、司令官は汗を垂らす。
こんな目と鼻の先に強力な敵が潜んでいたとは‥‥。
「敵の目標はどこだ?」
「都市郊外の研究施設です。‥‥MSI社所有と登録されています。恐らく軌道エレベータ関連かと」
「バグアめ‥‥討ち死に覚悟でそれを潰そうというのか‥‥」
人類の未来を担う一角である軌道エレベータ建設‥‥その妨害‥‥。
しかし、そんなことは。
「至急研究施設と連絡を取り、シェルターへの退避を促せ。それからULTに緊急連絡。すぐに動ける傭兵の手配を!」
***
バンガロール郊外。研究施設周辺。バグア軍残党部隊。
遠距離より飛来した光線に貫かれ、最後のM1戦車が爆散した。
「状況を報告しろ」
愛機、狙撃型カスタムゴーレムのコクピットで、端整な顔立ちをした長髪の男が部下へ通信を送った。
「はい、ニイル様。強襲型HWが四機大破。それ以外はさしたる損害はありません」
「了解した。予定通り作戦を開始する。陣形は変わらず。前衛はHW部隊、中衛はA分隊、後衛はB分隊。その後ろに俺だ」
ニイルと呼ばれた美男はふう、と一呼吸。甘いマスクをしているが‥‥その眼は狩人のようにギラギラと光っていた。
余裕など一切無い。この作戦で自分は確実に死ぬだろう。そうと解っていても、部下達は付いて来てくれた。最後に一花くらい咲かせてやる。
「B分隊、お前らが作戦の要だ、しっかりやれよ。A分隊、B分隊をしっかり護衛しろ。作戦の成否はお前らに掛かってる」
部下全員から「了解!」との心強い返答。‥‥ニイルは一度目を閉じた後、ぱっと見開き、
「さぁて、行くとしますか!」
声を上げた。
(――俺達の戦争はまだ終わっちゃいない。こんな歪んだ世界を、認めはしない)
●リプレイ本文
●未だ終わらぬ戦い‥‥
インド南部、バンガロール。モルディブタワー計画に関わる研究開発施設。
そこへ進攻中のバグア軍残党部隊を迎撃するべく、緊急招集を受けた傭兵のKV部隊が敵の進攻ルート上に展開中。
ノエル・アレノア(
ga0237)の機体はヴァダーナフ『ゼロ』。
(まだまだ戦いは終わらない、ね‥‥。ん、でも僕は自分を信じて突き進みたい)
戦争が終わったと言ってもバグア軍の残党は未だ世界各地に潜伏しており、こういった依頼はまだ暫く減らないのだろう‥‥と、ノエルは考える。
しかし悲観はせず、自分は自分の信じた道を行く。大切な人と共に‥‥。
ノエルはパネルを操作してメインモニターにウィンドウを開き、その人が乗る機体を表示した。
その人――ノエルと相思相愛の恋人、ティリア=シルフィード(
gb4903)の機体はスピリットゴースト・ファントム『Merkabah』。
「インドに来るのは‥‥解放作戦の最終決戦の時以来だから、もう一年半以上経つんですね」
モニターに映る、久々に訪れたインドの地を眺め、ティリアはしばし感慨に耽る。
「今回の敵はあの時戦った敵戦力とは手合いは違うみたいだけど、まだこれだけの戦力が残っていたなんて‥‥」
先に敵部隊と交戦したUPC軍からの情報を表示。敵はカスタムゴーレムが複数に、カスタムHWが多数。
「研究施設は軌道エレベータの事もそうだけど、イカルさん達も居るって聞いた‥‥手出しはさせない!」
両手で頬をパチンと叩き、気合を入れ直す。モルディブタワー計画のシンボルであるイカル‥‥必ず守らなければならない。
ソーニャ(
gb5824)の機体はロビン改『エルシアン』。
(軌道エレベータ。遠くから見れば天から降りたか細い蜘蛛の糸の様なんだろうね人の負の感情でたやすく切れてしまうような、ね)
【MTP】関連の依頼という事で、ソーニャは思いをめぐらす。
(君達に生き延びる気があったら、この蜘蛛の糸の完成を待ち、これを伝って天に帰る事もあったかもね。ボクはその手伝いをしてたかも)
彼女は、今はもう失われてしまった敵との和解の可能性を想う。
――いや、敵は本気で研究施設の破壊を目論んでいる。‥‥最初から、和解の可能性など無かったのかもしれないが‥‥。
夢守 ルキア(
gb9436)の機体は骸龍改『イクシオン』。
(味方の戦力不足を、埋める)
それがルキアの依頼への参加理由。今回の依頼‥‥防衛作戦、数の上では敵のほうが有利だ。
電子支援、及び砲撃支援で数の上での不利を埋めるべく、彼女は行動するつもりである。
「敵機ナンバリング‥‥完了、戦域データリンク構築‥‥完了」
これよりルキア機が収集したデータは味方全機と共有される。各機のレーダーにも敵機を示す接近中の赤い光点が表示された。
「防衛ラインを設定したよ。私はここから出来るダケ動かないから」
戦域マップ上、研究施設の手前に赤いラインを表示。その中心にルキア機は陣取る。
樹・籐子(
gc0214)の機体はマリアンデール・フロリバンダ『マリーゴールド』。
(【MTP】――モルディブタワー計画は、もちろん華やかなところばかりでなく、こうした地道な研究開発も大切なのよねー)
籐子の言う事は尤もである。軌道エレベータ建設に使用される素材は、大まかに言えばメトロニウムであるが、使用部位等によって性質が異なってくる。
そういった細かな素材の研究開発を行っているのが今回の依頼の防衛対象である施設なのだ。
(だからこそ、この施設を狙う理由は解るのだけれど、そのまま受け入れる訳にはいかないから、襲撃者はちょちょいのちょいで撃破撃退してあげるのよねー)
「丁度イカルちゃんも居る事だし、皆の勇姿を見せてあげるのも良いわねー」
彼女もやはり、意識するのはイカルの存在。皆のアイドルを守るとなれば士気も上がる。
「‥‥ふむり。今回は、生憎と苦手な格闘戦もありそうな陸戦なのだけれど、こういう状況では好き嫌いは言えないし、仕方ないわねー」
搭乗しているのはティリア機と同じスピリットゴースト系列の大型の砲撃機、マリアンデールの改良型。重装甲ではあるが格闘戦にはあまり向かない。
彼女は機体を操作し、ルキア機続いて防衛ライン上に陣取る。
高林 楓(
gc3068)の機体はアッシェンプッツェル。
「まだまだバグアの残党は残っているのだな。だが‥‥騎士の名にかけて、これ以上行かせる訳にはいかない」
『聡明の騎士』の称号を持つ楓はコクピットにて操縦桿を動かし、彼女の心性を体現したかのような騎士然とした機体に槍を構えさせる。
今回、彼女は敵の目標がイカルの居る研究施設だという事で召集を受け、急ぎ参戦した次第。
【MTP】関連の依頼で行動を共にした際に何度も目にした、イカルの天使と見紛う笑顔を思い浮かべる。
‥‥必ず、守り通さなければ。無論、そこに居る他の皆も。
秋姫・フローズン(
gc5849)の機体はアンジェリカ『シルフィ』。
「‥‥希望は‥‥崩させません‥‥。行きますよ‥‥シルフィ‥‥!」
人類の未来への希望の一角たる軌道エレベータ建設計画に支障を出す事はあってはならない。
なんとしても研究施設を守り切る‥‥! 秋姫は愛機のコクピットでピンと眉を吊り上げた。
BEATRICE(
gc6758)の機体はロングボウII『ミサイルキャリア』。
「‥‥被害は無いに越した事はありませんから‥‥」
他の傭兵のKV七機が地上で迎撃態勢を敷く中、BEATRICE機は離陸し、戦闘機形態で上空から警戒に当たる。
そして、元々の施設守備隊であるディアブロ改四機が後詰めとして研究施設に張り付いている。‥‥という布陣。
それから暫くして、ルキア機を通し全機に敵部隊の接近警報が響いた。
●研究施設防衛戦 前半
予想通り、最初に突出して来たのは強襲型のHWだった。
ノエル機と楓機は率先して前に出て、その迎撃に当たる。
「万が一の場合、こちらが取りこぼしたHW等を迎撃してくれれば助かります。でも、敵の捨て身攻撃には注意して下さい」
機関砲で射撃しつつ、ノルは守備隊のディアブロ改四機へ通信。
(彼らの目的は『自分たちの命を賭して、何を巻きこめるか』なんだ‥‥きっと)
高速で突っ込んで来るHWへ正確に照準を合わせて射撃し、確実に撃破。
(やはり突破が最優先か‥‥)
楓は表情を歪ませる。
「お前の相手は俺だ。少々付き合って貰うぞ‥‥!」
ノエル機の砲撃を掻い潜った敵へ槍を何度も突き刺し、撃破。
ティリア機もまずはHWの対応。
機関砲と対空機関砲で弾幕を展開。
「‥‥!」
例の砲撃ゴーレムが射程内に入った。
ティリアはすぐさま兵装を狙撃砲に切り替える。
「‥‥くぅっ!?」
プロトン砲の光条が飛ぶ。砲撃型の護衛、一般ゴーレムからの砲撃だった。
ソーニャ機は中衛に位置し、とにかく敵の突破を阻止する。
(君達は死に場所を求めたんだね。ボクはそれを否定しないよ。それも生きるって事だよね)
ブーストと機体特殊能力を常時起動。滑るような動きで敵機の妨害しつつ、
(人は死ぬ。死ぬ為に生きる。例え叶わぬ夢、望みであろうと。一瞬先に死にが迫ろうと。それに向かって生きる。そこに絶望はない。ただ意思があるだけ)
知覚砲と爪で確実に仕留める。
(それは能天気で前向きな、希望に満ちた言葉に思えるよ)
ルキア機は管制役をこなしながらHWの対応を行い、隙あらば長射程の狙撃砲で砲撃ゴーレムへ攻撃。
「砲撃ゴーレムも厄介だケド、HWの突破も怖いよね」
セミオートの狙撃砲を連射してHWを撃ち抜き、撃破。
(有人機なら、煙幕弾も有効だよね)
ゴーレムの砲撃が強まれば煙幕弾を発射。敵を撹乱。
「おっと、残念だったね」
施設を狙ったプロトン砲は空を切った。
籐子機と秋姫機は協力して砲撃ゴーレムの対応。籐子機は施設防衛優先。
「お姉ちゃんは機体と配置的に射撃重視になるから、最大脅威と思われる砲撃ゴーレムを優先的に排除するわねー」
だが、まだ有効射程内に砲撃型は居ない。籐子機はHWを知覚砲で牽制。
「狙撃‥‥開始します‥‥」
秋姫機は籐子機のやや前方に位置。
エンハンサーを使用。知覚砲でやや突出する一般ゴーレムを狙う。
***
BEATRICE機は低空を旋回し、砲撃ゴーレムのミサイル発射に備えて警戒中。
「強い人達が居ますから‥‥何とかしてくれます‥‥。私達は‥‥無理のない範囲で‥‥自分の出来る事をしていきましょう‥‥?」
施設守備隊を励ますように通信を送る。その時。
ルキア機よりミサイルの発射警報。――大型ミサイルの発射を確認。
即座に誘導システムを使用したK−02ミサイルを一斉発射し、対地攻撃。大型ミサイルの撃墜を試みる。地上で大量の爆炎。
‥‥大型ミサイルの撃墜に成功。安堵するBEATRICE。しかし――地上から昇った光条が彼女の機体を貫いた。
(地上からの砲撃‥‥!?)
機体はバランスを崩し、黒煙を上げて地面へ墜落した。
●研究施設防衛戦 後半
ノエル機と楓機は残るHWを味方に任せ、一般ゴーレムと戦闘中。
双機刀と練剣の打ち合い、槍と練剣の打ち合い。火花が散り、スパークが飛ぶ。白熱する近接戦。
(敵指揮官機は狙撃仕様‥‥? 味方の射撃機に気を取られている間に接近したいけど‥‥この護衛が厄介!)
撃墜されたBEATRICE機を見て、ノエルは思考をめぐらす。未だ指揮官機は視認出来ていないが、ルキア機の索敵と先程の砲撃で大方の位置は特定した。
「やぁっ!!」
連続の斬撃を喰らわせ、一般ゴーレム一機を撃破。そのままブーストを噴かして突っ込む。
「ノエルは指揮官機へと向かったか‥‥」
もう片方のの一般ゴーレムと交戦しつつ、楓はノエル機へカメラを向ける。
「ならば俺も援護に向かわねばな。この突撃、食らうがいい‥‥!」
【パンプチャリオッツ】を使用。ゴーレムを巻き込んで突撃を行う。
籐子機と秋姫機――。
砲撃ゴーレムが有効射程内に入った。
「いくわよ!」
籐子機はFスナイプ改を使用した荷電粒子砲で砲撃。
「射抜け‥‥必中一閃‥‥!」
秋姫機は砲撃型のミサイル発射装置を狙って射撃。
‥‥だが特定部位を撃ち抜くには相当の技量が必要とされる。
知覚砲の光条は上方へ逸れてしまった。そして。
ミサイルの発射警報。再び砲撃型二機から施設へ向けて大型ミサイルが発射された。
「――っ!!」
籐子機が咄嗟に動き、施設を守るように大型ミサイルの射線上に立ちはだかる。
ファランクスが起動。無数の弾丸がばら撒かれる。同時に大爆発が巻き起こった。
「籐子さん‥‥!」
声を上げる秋姫。
「つつ、大丈夫よ。結構ダメージを受けちゃったけど、ミサイルは破壊したわ」
ティリア機、FスナイプBを起動。
「ボク達は未来に進む‥‥お前達の玉砕覚悟に付き合う訳には行かないんだッ!」
砲撃ゴーレムへ四連砲を向け、一斉に砲弾を叩き込む。
ルキア機は砲撃ゴーレムに肉薄。ブーストを噴かせて低空飛行しつつ防御の薄い背後へ回り込む。
(弱い場所を攻める、常識だよね)
銃剣で近接戦を仕掛けるが――ゴーレムはくるりと反転。プロトン砲を連射してきた。
この距離では避けきれない。ルキア機は被弾。大ダメージ。
ゴーレムにも慣性制御がある。ここは二機以上で攻撃を仕掛けるべきだった。
「く、この!」
ルキア機は反撃。そこへソーニャ機が支援に入る。
(最後の一瞬まで精一杯生きよう。夢や希望、理想郷を胸に、生きた証しをボクに刻め)
BEATRICE機は墜落したものの、戦闘の続行は可能。
人型形態に変形し、地上での防衛戦に移行した。
「接近戦は苦手なのですが‥‥」
残存のHWに対し刀で斬撃を加える。
***
突撃を敢行した楓機。しかし指揮官機が発射した多数のミサイルをまともに受け、途中で停止してしまった。
直後、後方から追って来た一般ゴーレムからの射撃が被弾。
「ぐあっ!? くっ、だが攻撃を受け止める事さえ出来れば‥‥この機体を舐めないで貰いたいな」
何とかリアクティブアーマーで防御。
その隙にノエル機がついに指揮官ゴーレムとの距離を詰め、接近戦に。
「これ以上、他の命を巻き込むような戦い方しかできないというのなら、僕が相手になる!」
機関砲とプロトン砲の撃ち合いの後、ノエル機は更に肉薄し、双機刀と練剣による格闘戦へ突入。
楓機も一般機との格闘戦を繰り広げる。
「ゼロ、フォース・アセンション‥‥フルドライブで行くよ」
ノエルは勝負に出た。高威力の斬撃。指揮官機は練剣で受け止め銃を捨て二刀流に。カウンターでノエル機の片腕を斬り落とす。
「ぐぅぅ! 今、こんな事をしても、何も残らないのに‥‥!」
だがノエルは退かなかった。片手の刀で斬撃を繰り返す。
‥‥その執念とも言える攻撃に、指揮官機はついに沈黙。スパークした後、爆発四散した。
「終わったな」
楓機も、損傷しつつもゴーレムを撃破。
「ええ‥‥」
返事をするノエルの表情は、どこか寂しげだった。
程無く残敵を全て排除。ルキア機が入念に索敵して確認。
「外の敵の殲滅を完了した。そちらに問題はないか?」
楓が研究施設へ通信を入れると、イカルのマネージャーが応答した。後ろでイカルの声も聞こえる。
「イカルも無事だったようだな。怪我も無いようで良かった‥‥」
ホッと胸を撫で下ろす楓。
流れ弾で若干、施設の外壁が傷ついたものの、依頼は無事完了となった。
●戦闘後‥‥
作戦を成功させた傭兵達はKVを降り、研究施設内のラウンジで一息つく。
傭兵の希望でイカルも同席。外へ出かけたいという傭兵も居たのだが、スケジュール的に無理だったので研究施設内にて談笑。
ソーニャはイカルとデート(?)。一緒にパフェを食べる。
(可愛いなぁ。女の子だけどデートしたいの。利己心や猜疑心でたやすく切れる蜘蛛の糸。それは夢や希望、優しさで出来ているんだろうね)
パフェをぱくぱくと口へ運ぶイカルの横顔を眺める。
(あなたならきっとその糸を紡ぐ事ができるよ。ボクはそれを守りたいと思うの)
‥‥その横で、楓はさり気なくイカルの護衛に付いていた。
その後、お腹を休めてからイカルは秋姫と即興のデュエット。
「新たに生まれ変わった‥‥世界への‥‥プレゼント‥‥ですよ。私もアイドル‥‥ですから‥‥ね‥‥。アイドルは‥‥皆に夢を与える存在‥‥です‥‥」
籐子のギターの伴奏付きで、二人は一般の成人男性ならばきゅんきゅんしそうなアイドルソングを歌う。
「だから今は‥‥ここにいる人達に夢を‥‥」
可愛らしい歌声を聴きながら、ティリアとノエルは一緒にお茶をする。
「ボク達‥‥これを守れたんですね‥‥」
「うん。これからも守り続けなきゃ」
ルキアとBEATRICEもお茶でまったり。
こうして傭兵達の活躍により、モルディブタワー計画は守られたのであった。