タイトル:【G3P】銀河の胎動マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/04/25 20:10

●オープニング本文


 銀河重工・KV開発の裏側――
 『R−01を機動性で大きく上回る新型機』の名の下に『G−43 ハヤブサ』を開発し市場へ送り出した銀河重工だったが‥‥その結果は、惨敗。傭兵には不評であった。
 軽量化による装甲の脆弱性、ペイロードの少なさ、50%の確率で機体が制御不能になるという、特殊能力の危険性(後に若干改善されたが)。
 何より問題となったのは『不慣れなパイロットではまっすぐ飛ばす事も難しい』という扱い難さである。
 ‥‥現在も愛用している傭兵も中にはいるが、ULTショップでは販売停止になってしまった。
 旧軍の艦上戦闘機のような設計思想は‥‥現代戦、ひいては対バグア戦において、もはや時代遅れだったのである。

 『S−01G』――
 そこで、自社の存続を危ぶんだ銀河重工の経営陣はある決断を下す。
 ‥‥ドローム社製汎用KV『S−01』のライセンス生産である。
 ドロームとの交渉は難航を極めたが、根気強い説得によりライセンス使用の許可が降りることとなった。
 これにより銀河重工は汎用機開発のノウハウ得ることになる。
 しかし、旧日米同盟の恩恵はあったものの、ドロームからもたらされたのはS−01の特殊能力『ブレス・ノウ』のシステムを除いたモンキーモデルであった。
 銀河重工の技術者達はそれでもへこたれず独自の改良を施すことにする。元が町工場の職人気質だったのだ。優れた技術を取り入れ、更に優れたものを生み出すという日本人魂の表れだった。
 特殊能力のシステムを省き軽くなった重量の分、装甲を強化し、誕生したのがS−01の銀河重工モデル『S−01G』である。
 現存するのは数機のみで、本社に研究用として保管されている本機であるが、これは発表時に各国のメガコーポを震撼させた『XF−08D 雷電』開発の土台にもなった。
 ハヤブサのような軽戦闘機しか造ることの出来なかった銀河重工が高出力高性能の機体を生み出せたのは、このS−01Gによる技術蓄積があってこそのことである。

 そして現在――銀河重工本社ビル。
 照明の落とされた会議室においてプレゼンを行っている一人の開発者。
「これが、我が社が現在開発中の新型汎用機、GFX−01です」
 プロジェクターから大スクリーンに映し出されている機体の姿。
 外見は雷電に比べるとスマートでミカガミに近い。頭部の片側から突き出したセンサーマストが特徴的だ。
「クルメタルのシュテルン発売に始まった高性能汎用機開発競争に対する我が社の答えになります」
 こほんと咳払いすると開発者は続けた。
「価格は、中価格帯で勝負したいと思っております」
 すると‥‥聴衆からざわめきが起こった。
「KVの高コスト化は今や大問題です。このまま見過ごしてはおけない」
 現場の傭兵達からも中価格、および低価格帯の機体を増やして欲しいとの要望が多数寄せられている。
「我々KV開発部はそれに歯止めをかけるべく、GFX−01を開発中です。奉天のような超低価格は難しいですが‥‥我が社、銀河重工製品の最大の売りはその信頼性の高さにあると考えます。目新しい技術はあえて取り入れず、今までに培った技術の粋を結集することで堅実性を高め、コストを抑えております」
「‥‥売れるのかね」
 重役の一人が低い声で尋ねた。
「はい。そうなるよう、最大限努力しております。‥‥そこで最新の開発データを元にした、シミュレーターを使ったテストを行いたいのですが」
「うむ。よく解った。許可しよう。君には期待している」
 重役はほんの少しだけ口元に笑みを浮かべ、言った。
「ありがとうございます」
 深々と頭を下げる開発主任。
「早速、ULTに連絡して傭兵の手配を‥‥」
 こうして、銀河重工製新型汎用KVのテストが行われる運びとなった。


銀河重工製新型汎用KV
GFX−01

GFとは『GINGA Fighter』の略。
Xは試作機を示す。

仮名称はシラヌイ。

暫定性能(詳細な数値は社外秘)
・攻撃>命中>知覚>回避>防御=抵抗>生命=練力
 装備・副兵装スロット・行動は標準。
 アクセサリスロットは多め。移動は高め。

機体特殊能力
・超伝導アクチュエータ?
 雷電に搭載されていた超伝導アクチュエータを省エネ、小型化した物。
 練力を20消費することにより1ターンの間、命中と回避に+40の修正を受ける。

●参加者一覧

夕凪 春花(ga3152
14歳・♀・ER
潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
葵 コハル(ga3897
21歳・♀・AA
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
守原有希(ga8582
20歳・♂・AA
エレノア・ハーベスト(ga8856
19歳・♀・DF
九条・嶺(gb4288
16歳・♀・PN
ルーイ(gb4716
26歳・♂・ST
千早・K・ラムゼイ(gb5872
18歳・♀・FC

●リプレイ本文

●新型汎用機
 銀河重工本社を訪れた傭兵達――
「是非とも良い物にしたいですねっ」
 にぱっと微笑む可憐な少女、夕凪 春花(ga3152)。彼女はXF−08D雷電のテストにも参加したことがあり、GFX−01も雷電のような素晴らしい機体にしたいと考えていた。
「電ちゃんの会社の新型機なんだよね! どんなのかな? 楽しみ!」
 潮彩 ろまん(ga3425)は見るからにわくわくしていた。ちなみに電ちゃんとは彼女の愛機、雷電のことである。
「良いねイイね新機体。最近は落ち着いてきたけど、一時期はホンっとお財布に優しくない機体ばっかりだったしね。って、まーディアブロに乗ってるあたしが言うセリフじゃーないか」
 たははーと笑うのは葵 コハル(ga3897)。彼女は新型と、新型機開発に興味を惹かれてやって来たようだ。
「阿修羅使いとしては興味が尽きませんね」
 続いて口を開いたのは井出 一真(ga6977)。彼はKV好きが高じて整備士資格まで取得した猛者である。
「良ければシラヌイの調整に役立てて下さい」
 そう言って銀河重工の担当者に一枚のディスクを手渡す。それには彼が独自に蓄積した戦闘データと、整備データが入っていた。全てXA−08B阿修羅の物である。阿修羅のバージョンアップを期待する彼であったが担当者に「開発部署が違いますのでなんとも」と言われてしまった。だが、一応話は伝えてくれるらしい。
「ここでもG3Pか、前の試作水中エンジンやMSIの発表会と接点が見えねえなあ‥」
 雷電の乗りの龍深城・我斬(ga8283)はうーむと唸っていた。G3Pの全貌はそのうち明らかになるだろう‥。
「不知火か、惑う事無くその真価見極めますか」
 一際真剣な表情なのは守原有希(ga8582)。彼は多くのKV開発に関わってきた傭兵である。
「今回は模擬戦闘でもって機体の粗を探すんやろか」
 エレノア・ハーベスト(ga8856)が流暢な京都弁で話す。動く度にしなやかな銀髪が揺らめいた。そう、今回は現在のデータでどれだけ戦闘可能かを調べる為のテストだ。
「実は私、依頼でKVに関わるのって今回が初めてなんです。実機に乗ったのも一度だけですし‥。なので、思いつくままにやらせて頂きますね」
 九条・嶺(gb4288)はKVには不慣れなようであったが、意気込みは十分だ。
「ああ、どうしよう。少し気持ち悪くなってきた‥」
 ルーイ(gb4716)も新型機のテストは初めてで、緊張した様子。大丈夫なのだろうか
 とちょっぴり不安になる担当者。
「本日はよろしくお願いしますね」
 巫女服姿の神代千早(gb5872)が淑やかにお辞儀したところで、傭兵達はシミュレータールームに通されるのだった。

●シミュレーション・前半戦
 学校の教室二つ分ほどもあろうかという広い部屋。そこに並ぶシミュレーターに搭乗する傭兵達。内部はKVのコクピットそのままだ。‥全員、操縦桿を握る。
 ――そして、いよいよ模擬戦がスタート。

 敵ゴーレム五機との距離、50。十機のシラヌイは前進を開始。
 距離20でエレノア機が動いた。ブーストと超伝導アクチュエータ?を使用。
「模擬戦の相手はゴーレムかいな、出来るなら圧倒したいけど不慣れな機体やと、どうやろねぇ」
 Sライフルを構え、中央の1機に向かって射撃。しかし砲弾は逸れてしまった。リロードしつつ移動。距離15で再び射撃。だがまた外れてしまう。
 距離10。ここで全機が動く。先ほどエレノア機が狙った中央の1機に向けてSライフルを一斉射撃。十条もの火線がゴーレムを襲った。3発が命中し装甲を抉る。ゴーレムもただ撃たれているわけではない。反撃の滑腔砲がエレノア機に集中。だがアクチュエータを起動していたエレノア機は難なく全弾避けてみせた。
 集中砲火を警戒したゴーレムは散開を開始。‥思惑通りだ。傭兵達はツーマンセルで各個撃破に向かう。

 1班:春花、有希
 二機はゴーレムを追い、距離を詰めながらSライフルを放つ。双方命中。二つの弾痕が刻まれる。
 春花機がレーザーを掃射。ゴーレムの装甲を焼き焦がす。その隙に有希機がアクチュエータを使用、突進。ディフェンダーでゴーレムを斬りつける。飛び散る装甲の破片。ゴーレムも負けじとディフェンダーを振るう。切っ先が有希機を掠めた。
 ゴーレムは続けて春花機に滑腔砲で砲撃。春花機はアクチュエータを使用し、避ける。そしてSライフルに切り替え、カウンタースナイプを見舞う。
「お返しですよっ」
 砲弾がゴーレムの装甲に突き刺さった。体勢を崩したゴーレムへ有希機が再びアクチュエータを使用し斬りかかる。斬撃を受け露出した内部から火花が散る。
 春花機、アクチュエータを使用。レーザーの雨を浴びせる。ゴーレムは大きくよろめいた。そこで有希機がブーストとアクチュエータを併用。一気に畳み掛ける。
「全力ば見せろ、不知火!」
 その声に応えるかのように鋭い一撃を加えるシラヌイ。更に返しの刃を打ち込むと、ゴーレムは静かに機能を停止した‥。

 2班:コハル、エレノア
「そーれじゃ、張り切っていってみよー♪」
 言いながらレーザーを射撃するコハル機。ゴーレムの動きを制限してエレノア機の射線へ押し出す。エレノア機、Sライフルを放つも回避されてしまう。リロード。ゴーレムは滑腔砲をコハル機へ撃ち込む。‥普通なら回避行動を取る所だが、コハル機は動かなかった。シミュレーターでしかできない荒技、「わざと被弾」である。当然砲弾は直撃。大きく機体を揺るがした。正面のディスプレイに警告の表示が出る。
「うわわっ!?」
 慌てるコハル。損傷率45%。当たり所が悪かったようだ。‥シミュレーターとはいえ肝が冷える。
 コハル機、気を取り直してアクチュエータを使用し、レーザーを射撃。エレノア機もリロードを挟み二度射撃。ゴーレムに大ダメージを与えた。ゴーレムは滑腔砲でエレノア機を狙う。回避行動を取るも避け切れず2発被弾。
 コハル機、レーザーで様々な方向から射撃を試みる。エレノア機、アクチュエータを使用。Sライフルを放つ。着実にゴーレムにダメージを与えてゆく。ゴーレムの滑腔砲がまたもエレノア機を狙う。避けようとするが1発被弾してしまう。
「くっ‥うちの運が悪いんやろか‥」
 しかしゴーレムも満身創痍の状態。このままいく! コハル機、ブーストとアクチュエータを併用。レーザーを撃ち込む。エレノア機もアクチュエータを使用、Sライフルを射撃。二機の攻撃を受け、ゴーレムはついに爆散した。

●シミュレーション・後半戦
 3班:ろまん、嶺
「よしっ、シーちゃん(仮)発進だっ!」
 ろまん機は移動しながらSライフルで射撃。
「新型の力、見せてもらいます」
 嶺機はブーストとアクチュエータを併用。一気に距離を詰め、ディフェンダーで二度斬りつけた。ゴーレム、3分の1ほどダメージを受ける。ゴーレムの反撃の滑腔砲が嶺機を襲う。しかし回避が大幅に上昇している嶺機に命中することはなかった。
 ろまん機も追いつき、ディフェンダーを振るう。嶺機、アクチュエータを再び使用し、僚機と連携して連続攻撃。ゴーレムの生命を大幅に削る。ゴーレムは態勢を立て直しつつディフェンダーでろまん機を斬りつける。ろまん機はアクチュエータを使用。
「超伝導パワーON!」
 ろまんはそんなことを叫びながらぽちっとな。しかし回避を試みるも胸部を損傷してしまう。
 お返しとばかりにろまん機は再びアクチュエータを使用。ディフェンダーで何度も斬撃を繰り出す。嶺機も続けて攻撃を加える。機能停止寸前まで追い詰められたゴーレムは必死にディフェンダーを振るった‥ように見えた。が、ろまん機は避ける。
「シーちゃん(仮)、お前の力を見せるんだ!」
 ろまん機はそのままゴーレムにディフェンダーを叩きつけ、トドメを刺した‥。

 4班:我斬、ルーイ
「流石に雷電よりは軽いな‥前に急場で乗ったハヤブサに近いか?」
 少し動かしてみた我斬の感想である。しかしシラヌイはハヤブサと違い、扱い易さを最優先に設計されている。教訓というやつだ。
 我斬機はレーザーで牽制しつつ距離を詰めていく。
「さてと、当たるかな? 当たらないかな?」
 ルーイ機のほうはアクチュエータを使用し、間接などを狙い、レーザーによる精密射撃を試みる。命中。ゴーレムの姿勢を崩すことに成功。
 ゴーレムはなんとか持ち直し我斬機に向けてディフェンダーを薙ぐ。我斬機はアクチュエータを使用しギリギリで避ける。
 我斬機のディフェンダーによる連続攻撃がゴーレムの装甲に深々と傷を付ける。ルーイ機は後退しつつレーザーによる精密射撃を継続。この距離でもまだ当たる。
「なんだ、意外と当たるものなんだね」
 ゴーレムもディフェンダーで斬りつけてくる。我斬機はアクチュエータを使用。回避しようとするが一撃をもらってしまった。しかし損傷は軽微。
 我斬機、尚もディフェンダーで斬撃を繰り出す。ルーイ機はSライフルに持ち替え、アクチュエータを使用して射撃、命中。ゴーレムの滑腔砲が飛んでくる。ルーイ機は機体を逸らして回避。
 敵の損傷は目に見えて大きい。我斬は勝負に出ることにした。ブーストとアクチュエータを併用。突撃して斬りつける。避けることの叶わなかったゴーレムは膝を突いた。

 5班:一真、千早
「人型のKVで陸戦するのも久しぶりだなあ」
 一真が呟く。彼は先の一斉射撃前に挙動のテストを行っていた。反応性、照準精度、切返しの速さなど‥特に問題は見られない。
 一真機はレーザーで射撃しつつ移動。ディフェンダーで斬りかかる。千早機はそれをレーザーで援護射撃。無数のレーザーと斬撃を食らったゴーレムはかなりのダメージを受けつつもディフェンダーで反撃してくる。一真機は一度回避を試みるも失敗。二度目は武器で受ける。損傷率30%。
 一真機、アクチュエータを使用。ディフェンダーで攻撃。しかし避けられてしまう。レーザーで2回攻撃。こちらは命中。千早機もアクチュエータを使用。レーザーを浴びせる。ゴーレムは致命傷を負いつつもディフェンダーによる斬撃を一真機に繰り出してくる。避けようとするが遅かった。攻撃を受けてしまう一真機。損傷率40%。
 一真機と千早機は連携してレーザーを掃射。生命が残り僅かだったゴーレムは火を吹き、動きを止めた。
 そこで――
 テスト終了を告げるブザーが鳴り、キャノピーの外の景色が暗転。変わってコクピット内の照明が灯される。
「ゴーレム全機の撃破を確認。戦闘シミュレーション終了です。お疲れ様でした」
 若い女性オペレーターの声で、傭兵達は操縦桿を握る手を緩めるのだった。

●シラヌイ(仮)への期待
 テストが終了し、今度は会議室に場所を移した傭兵達――
 出されたコーヒーやジュースを口にしながら銀河重工の開発スタッフと意見を交わす。
 いの一番に手を上げたのはろまんであった。
「はーい! ボク、この子のお名前考えてきたよ‥飛燕か月光がいい!」
 ろまんが提案したのは機体の名称について。理由を聞けば「格好いいから!」だそうな。
 他にもコハルからは雷凰(らいほう)、黒鷹(こくよう)、蒼燕(そうえん)。有希からは紫電、鬼丸。エレノアからは鋼牙、陽炎。嶺からは御剣(ミツルギ)という名称が挙がった。メモを取っていくスタッフ。
「KVの価格高騰は問題になっていたので中価格帯と言うのは大変ありがたいのではありますが‥中価格帯って今や激戦区ですからね。特にプチロフのロジーナは色んな意味で恐ろしい相手です」
 続いて出たのは価格帯の問題である。言ったのは春花だ。
「ああ、採算度外視のロジーナが居る中価格帯のKV市場は厳しいぞ」
 我斬もそれに同意する。
「確かに激戦区ではありますが、元々、我々銀河重工が得意とするのは中価格帯の機体なのです」
 とスタッフは答える。なお、採算度外視のロジーナに関しては、このまま販売を続ければいずれ自滅するだろうということでライバルとは見ていないようだった。それにGFX−01は知覚を捨てていないこともあり差別化も出来る。
「この機体の立ち位置は、R−01に対するディアブロの様なポジションなのか? それとも誰にでも入手できるS−01Hの様なポジションなのか? 或いはその両方なのか? どういう位置を目指しているのでしょう?」
 怒涛の質問を繰り出したのは嶺。それにスタッフは「どちらかといえば後者ですね」と答える。
 嶺はその後「S−01Hと同等以上の性能で200万±20万C位の価格に仕上げてください」と要望を出した。メモを取るスタッフ。
 続いては‥最も重要な部分、機体性能について。
「防御面の数値が軒並み低く汎用機としては生存性が欠如していることは問題です」
 そのように述べたのは千早。また、雷電より消費の少ないアクチュエータも練力低下から回避を特殊能力頼りにはできない点や、継戦能力の低下に懸念を示していることを伝えた。
「とりあえず汎用機として欲しいのは、安定した機体性能、信頼性、生存性あたりですね。アクチュエータの特性から言って回避系になるのは良いのですが、装甲を削りすぎるとマイナス印象なので注意です」
 と春花。
「防御が低めな分、回避は高くして欲しいです」
 一真も一言。
 我斬からの意見は‥回避の優先順位を高めに。錬力は多い方が良い。知覚の優先順位は低めで良い。アクセサリより武装スロットの方を優先すべき。‥以上である。彼は最後に「俺が雷電からアレに乗り換えない理由の一つだ」と言った。
 有希からも副兵装スロットの増加と回避の優先順位の向上の要望が出る。そして千早から攻撃か知覚の一方を削っての回避の向上の提案。
 ‥‥結論として、回避性能の向上が図られることが決まった。
「今回も推奨武器とかあるんやろか? 出来たら店売りにして欲しいんやけど」
 そう言ったのはエレノア。最後の議題は推奨武器だ。
「量産型機刀など似合いそうです。店売りに出来ませんかね?」
 一真からも同じ要望が上がる。
 スタッフは「ショップに流通できるよう最大限努力します」と答えた。
 ‥こうして意見交換は終了となるが――
「英国工廠さんは社員食堂の割引券をくれたんだ‥銀河重工さんの社員食堂は美味しいのかなぁ」
 期待の眼差しでスタッフを見つめるろまん。
 ‥食券はもらえなかったが、代わりにはやぶさのぬいぐるみが皆に配られた。
 モフモフしながら帰るろまん。ちなみに一真にはあしゅらのぬいぐるみが渡された。
 幸せそうにモフモフしながら帰る一真であったそうな。