タイトル:その温泉、紅葉マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/11/05 15:32

●オープニング本文


 季節は秋。そろそろ山の木々も色づいてくる頃である。
 そんなある日のこと。

 阿蘇山のふもとに佇む、一部の者に秘湯として知られる『湯万寿』という名の温泉宿――
 その自慢の露天風呂で優雅にお湯を楽しもうとしている二人の客の姿。
 ‥‥一組のOLだ。片方はツリ目でショートカット。もう片方はセミロングで可愛い系。
 二人とも、かなりの美人である。バスタオルの巻かれた肢体が実にセクシー!
「もうすっかり秋ねー」
「これからどんどん寒くなっていくのね。本格的な温泉シーズン到来ね♪」
 などと会話しながら脱衣場の戸を開け、二人は風呂場へ足を踏み入れる。すると――
 風呂場のど真ん中に、色づいた楓の木がどっしりと構えていた。
「あら、もみじじゃない」
「うわ〜、綺麗〜」
 思わず見とれてしまう二人。春先に似たようなことがあった気がするがきっと気のせいだろう。
「女将さんが気を利かせて植えてくれたのかしら」
「そうかもね〜」
 二人は湯船へと向かう。そこへ突然‥‥異形の者達が現れた!
 それは巨大な松茸に手足が生えた物と、巨大な茶色の毬栗に出足が生えた物、そしてでっかい栗鼠。
「な、なに!?」
「わあ、大きなリスだあ。可愛い〜」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
 ショートカットの女性が声を上げる。頬を伝う汗。嫌な――予感。
 そしてそれは的中した。異形の者共が一斉に飛び掛ってきたのだ! 見れば楓の木の根っこもウネウネ蠢いている。
「「き、きゃー!!」」
 二人は当然、一目散に逃げ出した‥‥。

「――と、いうことだそうです」
 座敷でお茶を啜りながら、女将に報告する智覇(gz0258)。
「またですか‥‥」
 それを聞き、がくりとうなだれる女将。
 智覇は例によって休暇で湯万寿を訪れており、OL二人組みがキメラに襲われているところにまた偶然出くわし、助けたそうだ。
「貴女にお願いするわけには――」
 女将はちらりと智覇の顔を見る。‥‥ふるふると首を横に振る智覇。
「‥‥いきませんよね‥‥やっぱり」
 しくしくと泣きながら黒電話の受話器を取る女将であった‥‥。

●参加者一覧

相沢 仁奈(ga0099
18歳・♀・PN
皇 千糸(ga0843
20歳・♀・JG
百瀬 香澄(ga4089
20歳・♀・PN
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
白銀 楓(gb1539
17歳・♀・HD
六道 菜々美(gb1551
16歳・♀・HD
黒羽 空(gb4248
13歳・♀・FC
胡桃 楓(gb8855
15歳・♂・FC

●リプレイ本文

●湯万寿へいらっしゃーい
 温泉に出現したという珍妙なキメラを退治にやってきた能力者ご一行様!
「エロいキメラがよく現れる温泉って噂は聞いとったけど、これは! 目一杯愉しまなあかんね、皆! ‥‥や、勿論ちゃんと退治はするよ? 愉しんだ後で」
 出現したキメラの詳細を女将から聞き、ごくりと生唾を飲み込む相沢 仁奈(ga0099)。
 小麦色の肌にFカップのバスト‥‥なんというか、健康的な色気を感じさせる。
「また現れちゃったか。これはもう完全にバグアの中でも話題の秘湯になっちゃってるわね、多分」
 話題の秘湯って変な響きだけど‥‥と、和服美人な皇 千糸(ga0843)は心の中で呟く。
「智覇ちゃんお久し。元気してるようで何よりだ。ま、積もる話は後にするとして‥‥まず温泉掃除だな」
 華やかな雰囲気の女性、百瀬 香澄(ga4089)の声に座敷でお茶を啜っていた智覇はぺこりとお辞儀をした。
 香澄の心中は下心でいっぱい。噂に聞くアレでアレな事になるのだろうが‥‥香澄にはむしろウェルカムであった。
「毎度毎度、変態なキメラがよくもまぁ‥‥本気で製作者はどんな変態さんなんだか」
 と、汗を垂らすのは香坂・光(ga8414)。
「何故狙われるんだろうね。‥‥えっと、女将さんは色んな意味でお疲れ様」
 その言葉に女将は「お気遣いありがとうございます」と涙を流す。
「お仕事で温泉に入れるのはいいんですけど‥‥。やっぱりここ、キメラを引きつける何かがあるんでしょうか?」
 可憐な少女、メイプル・プラティナム(gb1539)も疑問を浮かべる。
 キメラの生態は未知の部分が多い。つまり、気にしないでおこう!
(「ここに来るのも、久しぶり‥‥。温泉を楽しむ為にも‥‥頑張って戦わないと、です。‥‥変なキメラも、少し慣れてきた、かも?」)
 ぐっと拳を握る大人しそうな美少女、六道 菜々美(gb1551)。彼女はこの温泉の常連と言ってもいい。
「うーん‥‥ある意味キメラも惹かれる名湯っていえるのか、嬉しくないな」
 言ったのは黒羽 空(gb4248)。ボーイッシュな容姿の少女である。
(「にしても‥‥あいつ、何であんないい笑顔で『折角イくなら楽しんできてね』とか言ってたんだろ? なんかニュアンスに違和感あったような‥‥」)
 あいつ、とは彼女の従姉のことである。それが何かは、身を持って知ることになるだろう‥‥。
「触手付き楓キメラ!? それじゃまるで、ボクがエッチな奴みたいじゃないですか! 許せないですね!!」
 自分と同じ名のキメラに憤りを隠せない様子で居るのは胡桃 楓(gb8855)。しかし――
(「最高だ、楓キメラ! ボクと最強楓コンビで、女体の神秘を暴こうではありませんか! だがお前の触手には負けない! ボクにもマグナムがありますからね!」)
 それは建前で、本音はこっちであった。見た目は女の子で男の娘な楓だが‥‥中身は相当に助平なようである。
「智覇さんはオフで来てるんだし、手伝わせる訳にはいかないわよね。私達だけで頑張るわ!」
 意気込む千糸。智覇は「健闘を祈ります」とだけ言った。
「私、キメラを片付けたら智覇さんと身体を洗いっこするんだ‥‥」
 千糸が何かのフラグを立てたところで、一行は脱衣場へと向かう。

●VS秋キメラ
「タオルだけ‥‥。女性のみ(?)とはいえ少し恥ずかしいですね」
「私はちょっぴり、慣れました」
 衣服を脱ぎ、タオルを巻くメイプルと菜々美。タオルの上からでも二人の豊満な胸の膨らみはしっかりと確認できる。

「水着がOKな時もあればNGだったり‥‥何か基準があるのかしら? まぁ今回はNGな訳だけど」
 疑問を口にする千糸。
「それはあれやね。きっとぬるぬる系のキメラのときは水着が許されるんと違う?」
 過去の報告書をチェック済みの仁奈が答えた。
「あ、そっかー」
 成る程と千糸は頷きつつ、大事な処に絆創膏を貼っていくが――
「ルール違反発見! こういうのもダメなんだゾ♪」
 光に見つかり、ぺりっと剥がされてしまう。そう、今回は『タオル以外着用禁止』である。ニップレスだろうが絆創膏だろうが例外は認められない。まあ、怪我をしていた場合は別だが。
「あぁん♪」
 千糸は思わず艶っぽい声を漏らしてしまう。
(「ふおおお!!」)
 その様子を間近で見ていた楓は思わず興奮。しかし声は上げない。ばっちり記憶に焼き付けるのみ。

 タオルに着替え終わった一行は、いよいよ風呂場へ足を踏み入れる――。
「いやあああっ!!?」
 するといきなり、悲鳴が上がった。‥‥菜々美だ。菜々美が例によって待ち構えていた楓キメラの触手に捕まったのだ。
「菜々美さん!? すぐに助けまひゃあっ!」
 メイプルは菜々美を助けようとするが、床を這っていた根っこに足を引っ掛けて盛大にすっ転ぶ。
 その隙に楓キメラの触手に絡まれ、捕まってしまった。

「なんということです。救出しなければ!」
 ちょっと棒読みの楓と‥‥
「これ以上の犠牲が出る前に変態キメラを倒すのだー!」
 光が武器を手に飛び出す。だが――
「‥‥って、やっぱり捕まるしー!?」
 二人も同様に触手の餌食となってしまう。

「‥‥!」
 その光景を見て、驚愕する仁奈。これは‥‥想像していた以上だ。
「じゅるり。‥‥おっと、早く助けなあかんね! とりゃー!」
 仁奈は捕まえてくれと言わんばかりに、無防備に吶喊。その表情は何故か嬉しそうであり、期待に満ちていた。
「この変態キメラめ!」
「早く終わらせて智覇さんと‥‥!」
 空と千糸も続く。だがしかし――
「あーん♪」
「「きゃー!?」」
 三人も同じ運命となった。

「これは‥‥どうするべきかね‥‥」
 槍を手に、汗を垂らす香澄。自分以外は全員捕まってしまった‥‥。

 触手に捕まっている菜々美とメイプル。両手は頭の上で交差するように縛られ、足は大股開きのまま固定されている。触手が巻きついた、むっちりとした白い太腿がなんとも‥‥。タオルは既に取れており、二人は生まれたままの姿になっている。
「み、見ないでぇ‥‥!」
「ふえぇ‥‥もうお嫁にいけない‥‥」
 滑らかな肌を触手が撫で回す。その度に、二人はびくびくと背を反らせた。
 そして、毬栗キメラと松茸キメラが動きを見せる。一体ずつ、二人の前にやって来た。
「や、来ないでくださぃ‥‥!」
「な、なに‥‥? なにをするの‥‥?」
 もがく二人。しかし触手の呪縛からは逃れられない。
 まず毬栗キメラが、菜々美に向かって表面の棘を伸ばした。
「だめぇ‥‥! そんなところ、ツンツンしないでぇ‥‥!!」
 棘が敏感な部分をピンポイントで突いてくる。痛みと快楽が同時に押し寄せ、菜々美は気がおかしくなりそうだった。
「ひゃう!? 無理‥‥そんなに大きいの、入らないよぉ‥‥!」
 続いて松茸キメラがメイプルに向かって頭をぐいぐい押し付ける。
「んむううう!!」
 ――勿論、口に、だ。まあ流石に入らなかったが。
 その後、触手の先端からねばねばした液体が飛び出し、放心状態の菜々美とメイプルの全身を汚した。‥‥甘い香りが漂う‥‥。
「‥‥!!」
 その一部始終を横目で見ていた楓。当然、一部が反応してしまっていた。中身はれっきとした男の子だから仕様が無い。ちなみにねばねばとした液体というのはメープルシロップである。

「寄るな! お前らはノーセンキューなんだよ!」
 その頃、松茸キメラに追われている香澄。生粋の百合娘である彼女には天敵だった。これでは仲間の救出どころではない。
 また一方では――
「なっ、何こいつ動きが、ひぃっ‥‥やぁ‥‥っ」
 触手に弄ばれている空。ふと、触手の動きが止まる。
「なん、だ‥‥?」
 栗鼠キメラが姿を現す。栗鼠キメラは舌を出し、空の身体をチロチロと舐め始めた。
「ひゃあああ!?」
 くすぐったいやらなんやら。空は天国と地獄を同時に味わった。
 そこへ松茸キメラから逃げてきた香澄がやってくる。そして――
 どっかーん! と、二人は衝突。
「あいたたた‥‥お?」
 香澄が起き上がると、目の前にはあられもない空の姿。
「よ、良かった‥‥助かった」
 安堵する空。でもそうはいかない。香澄の瞳がきゅぴーんと光る。
「たまには、ボーイッシュな娘もいいよね」
 舌なめずり。
「えっ‥‥?」
「大丈夫、悪いようにはしないから‥‥さあ、私に身を委ねて」
 じりじりと迫る香澄。空に、黒い影が覆い被さった――。

「ひぃぃ、あぁぁっ!! らめえぇ‥‥! 智覇さぁん‥‥!」
 嬌声を上げる千糸。タオルなど当の昔に落ちていた。スレンダーな肉体を‥‥触手が、松茸キメラが、毬栗キメラが、栗鼠キメラが、弄ぶ。

「あ、あかん、これ以上は‥‥! 頭が‥‥真っ白になってしまいそ‥‥♪」
「ちょ、やん! 何処触ってるのさっ! そこは、ダメだってば‥‥!」
 仁奈の豊満な身体と、光の発展途上な身体の上を触手が這い回る。敏感な部分を何度も刺激され、二人はもう惚けた表情になっていた。特に仁奈は自ら触手を求め続け、堪能している。
「お二人とも‥‥!」
 声を上げる楓。彼は二人の真ん中で拘束されていた。身体は持ち上げられ、宙に浮いている。助けたくても、助けられない。もどかしい‥‥!
 という表情を作ってはいたが、実際はガン見していた。内心では楽しみまくっている。そんなとき‥‥楓のタオルが‥‥はらりと落ちた。
「「「あっ」」」
 三人の声が重なる。
「可愛い松茸発見‥‥」
 頬をぽっと赤らめる光。
「なんやぁ、可愛い顔してこないな立派なモノを持ってるとは‥‥」
 一点を見つめる仁奈。
「‥‥ぎゃー!!」
 叫ぶ楓だったが時既に遅し。隠そうにも捕まっているので動けない。どうしようもない。
 そしてこれまで仁奈と光を弄んでいた触手が一斉に楓へ向かう。
「!?」
 あらぬ処に触手が巻き付き、全身を這う。触手の先からはメープルシロップが分泌され、べとべとのぬとぬとだ。
「うわぁ‥‥」
「えらいことに‥‥」
 二人の視線が突き刺さる。凄まじい恥ずかしさと快楽で――楓は――
「あぁ‥‥! ふあぁぁ‥‥!!」
 びくびくと震えた後、がくりと気を失った。

 それからしばらくして。
「ふう‥‥」
 満足そうな表情の香澄。お肌もツヤツヤだ。彼女の前には放心状態の空の姿。
「さぁて、そろそろ片付けるとしますか!」
 槍を手にキメラへ向かう。無事な能力者も合流して、ほどなく、キメラは全滅した。

●温泉と紅葉
 風呂場の清掃を終えた能力者達は早速温泉を楽しむ!
「ふぁ‥‥きもちいい、ですね‥‥」
「そうですねー。もみじも綺麗ー」
 並んで湯に浸かる菜々美とメイプル。もみじとは楓キメラの死骸だが、綺麗なことには違いない。紅色に色づいた葉が一枚はらりと落ち、湯に浮かぶ‥‥。
(「胸、大きくなるの‥‥もしかして、この温泉の効果、なのかな‥‥?」)
 菜々美は自分とメイプルの胸を見回して、そんなことを考える。
「どうしました?」
「な、なんでも、ないです‥‥」
 メイプルの問いに頬を染め、菜々美はぶくぶくと湯に身を沈めた。

「あれ? ‥‥え!? 胡桃って男ぉ!? 嘘だ、ありえない‥‥俺より可愛いしこんな女の子っぽいのに」
「えへへ、すみません」
 うな垂れる空と、ぽりぽりと頬をかく楓。当初は性別を偽っていた楓だったが、キメラの攻撃(?)により、あっさり露呈してしまった。しかも最悪な形で。あまり思い出したくない。
 そこへ――しゅばっと通り過ぎる影。菜々美、メイプル、空、楓のタオルが奪われる。悲鳴が上がった。
「ふっふー♪ タオルは禁止なのだ♪」
 それは光の仕業だった。勝ち誇ったように仁王立ちする光。あの、見えてるんですけど‥‥。
「しかし、すごいよねー。どうやったらここまで大きくなるの?」
 光は仁奈の隣にちゃぷんと浸かり、胸をまじまじと見る。
「ん、光ちゃんてばウチの胸が羨ましいんかな? ふふ、せやったら思いっきり揉ませてあげよっか。ほらほら♪」
 ノリノリな様子で胸を押し付けてくる仁奈。光は少し圧倒された。
「皆も、興味あんねやったらヤってもええんよー? ほらほらー♪」
 仁奈はこれ見よがしに胸を両手で持ち上げ強調する。Fカップは伊達ではない。
「きゃー! きゃー!」
 両手で目を覆っている楓であったが、指の隙間からしっかり見ていた。

「智覇さーん、私、頑張ったよー。褒めてー」
「‥‥頑張りましたね」
 洗い場に座って話す二人。智覇が千糸の頭を撫でる。
「はふ、ありがと」
 嬉しそうな千糸。今回も凄くアレな目に遭ってしまったが‥‥まあいいだろう。
「よーっし!」
 千糸は手にボディソープを取り、泡立てる。
「‥‥?」
 頭にはてなマークを浮かべる智覇。
「ひゃっはー、身体の隅々まで洗いっこだー!」
「!?」
 泡を纏った手で、丹念に智覇の身体を洗う千糸。
「わお、智覇さんのお肌スベスベ! 羨ましいなー」
 千糸が楽しそうにしていると、うっかり手を滑らせてあらぬ処にタッチ!
「!!? ど、どこを触って‥‥」
「あ、ごめん! じゃあ、今度は智覇さんがお願い!」
「‥‥」
 こくりと頷く智覇。同じ様にボディソープを泡立て、千糸の身体に手を這わせる。
「ふああ。智覇さん上手!!」
「千糸さんの肌も、スベスベです」
 和気藹々となる二人。そんなところへ――
「私も混ぜてもらおうかな」
 香澄がやってきて智覇の左隣に座る。右隣には千糸がいるので挟む形だ。
「楽しそうなことやってるじゃないか。‥‥ふふ、どうだい? 皇のより気持ちいいだろ?」
 智覇の手を取り、自分の胸に当てる香澄。
「ちょちょちょ、ちょっと! 私の智覇さんになにしてるんですか!!」
「いいじゃないか。どうせなら三人で――」
 そして、当然の如く智覇の取り合いになった‥‥。

●秋の味覚
 湯上りの能力者達――
「女は度胸! なんでも試してみるもんさ。ということで女将さん、厨房借りるわね」
 千糸はそう言い、倒したキメラを使って料理をすることに。
 しばらくして‥‥浴衣姿で座敷に座る皆の前に出されたのは‥‥松茸ご飯、焼き松茸、土瓶蒸し、栗ご飯などなど、秋の味覚のフルコースであった。千糸のアルティメット包丁が冴え渡った結果である。
「私、松茸って食べたことないですっ。えと、百万Cくらいするんですよね?」
 メイプルが言うと、周りがシーンとなった。
「あ、あれ? 私何か変なこと言いました?!」
「そ、それは、違うと思います‥‥」
 隣に座る菜々美が、静かに突っ込む。
「‥‥まあともかく、どうぞ召し上がれ!」
 千糸がぱんと手を鳴らした。皆は「いただきまーす」と箸を取って口に運ぶ。
「ど、どうかしら?」
 沈黙に耐えられず、尋ねる千糸。
「美味しい!」
「旨い、旨いよ!」
「絶品やね!」
 との声が上がった。千糸はほっと胸を撫で下ろす。
 ‥‥そうして紅葉を眺めながら温泉を楽しみ、秋の味覚に舌鼓を打った一行は、存分に秋を満喫したそうな。