タイトル:シラヌイドライバー2マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/12/06 20:45

●オープニング本文


 UPC東アジア軍某基地――
 KVハンガーに佇む一人の女性の姿。
 彼女の名はミラージュ・イスルギ。階級は中尉である。
「‥‥」
 ミラージュは歩行形態で固定された愛機、シラヌイ・S型を見つめる――。
「お、これが中尉のシラヌイですか。さすがは指揮官機、威風堂々としていますね」
 ふと、背後から声が聞こえた。ミラージュは振り向く。
 ‥‥そこには士官用の軍服を身に纏った3名の女性の姿。
「来たわね、シラヌイドライバー」
「はっ! サニー・リー少尉、レイン・アンダーソン少尉、フロスト・バード少尉、以上3名、只今着任致しました!」
 ミラージュが不敵な笑みを浮かべると、3名は一斉にびしっと敬礼。
「我々はシラヌイのみで構成される第7独立航空戦術飛行隊『アイリス』として機能することになるわ。まだ小規模な実験部隊みたいなものだけれど‥‥今後、増員の可能性もある。気を引き締めて、ね」
「「「了解!!」」」
「‥‥期待しているわ、シラヌイドライバーの諸君」
 再度敬礼する3人に返礼するミラージュ。そのとき‥‥
 突然、警報が鳴り響く。
『エマージェンシー! エマージェンシー! 当基地に向けて敵部隊が接近中。総員、ただちに第一種戦闘態勢へ移行せよ。繰り返す、当基地に向けて敵部隊が接近中――』
「敵!?」
「さっそく出番みたいね。行きましょう、矜持を見せるのよ」
 サニー少尉の肩に手を置くミラージュ。4人は視線を交わした後、駆け出した。


 基地付近上空――
 編隊を組んで飛行するHWと、それに混じる一機の人型。
 新型ゴーレム、タロス。パイロットのパーソナルカラーなのか、水色に塗られている。
「シュネー、機体の状態はどうだ」
「はい、お兄様。問題ありません」
 随伴する漆黒の本星型HWから通信。タロスに搭乗する少女は静かに答える。
「そうか。今回は新型のテストも兼ねている。無理はするなよ」
「わかりました、お兄様」
 そう言うと、通信が切れた。
 お兄様はこんな私を気にかけてくれる‥‥お兄様の期待に‥‥答えねば‥‥。
 少女は小さな決意を胸に秘め、機体を躍らせた。

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
九条・縁(ga8248
22歳・♂・AA
紅 アリカ(ga8708
24歳・♀・AA
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
新村・美香(gb7427
15歳・♀・FT
五十嵐 八九十(gb7911
26歳・♂・PN

●リプレイ本文

●アイリス隊
 蒼穹を翔る12機のKV――
「基地防衛ということを常に頭に入れて‥‥。アイリス隊の方々も、宜しくお願いしますね」
 丁寧に挨拶するのはノエル・アレノア(ga0237)。
 こうして色々な人達と共に戦えることに、彼の愛機『ゼロ』もきっと喜んでいるだろう。
「初めましてアイリスの皆さん、今回は宜しくお願いします、ですよ」
 五十嵐 八九十(gb7911)が続く。
「久々の空戦ですが気を抜かず確り仕事をこなしましょ。そうすりゃ仕事の後の酒も美味くなるってもんです」
 戦闘前だというのに、八九十はあくまで飄々とした態度である。
「仕事の後の一杯か、いいね」
 サニー機から通信。
「お、リー少尉もいける口ですか?」
「ああ。でも今は仕事中。続きは終わってからだな」
 八九十は「了解」と答える。
「シラヌイだけで構成された部隊、か‥‥。どれほどの腕前か拝見させてもらいますよ」
 周防 誠(ga7131)は挑戦的な言葉を投げかける。だが――
「といっても、その余裕は無いかもしれませんが‥‥」
 敵編隊には本星型HWやタロスといった新鋭機も確認されており、苦戦が予想される。
「シラヌイドライバーか。値段もスペックも良い機体だし、イーグルドライバーの様なポジションに収まりそうだな。余程のブレイクスルーが無い限り」
 ディアブロ乗りの九条・縁(ga8248)が言う。シラヌイはバランスの取れた機体ではあるが‥‥技術の進歩が目覚しい昨今、1年後にはどうなっているかわからない。
(「‥‥前のようにいくかしら‥‥」)
 タロスと交戦経験のある紅 アリカ(ga8708)が心の中で呟く。
 敵が新型の性能を過信していれば、あるいは‥‥。
「俺のシラヌイの空戦でのデビュー戦か。同じシラヌイのアイリス隊に負けないような戦い方を見せないとな」
 見目麗しい美少年、Anbar(ga9009)が言う。同型機ゆえ、ライバル心があるようだ。
「戦果を期待しています、シラヌイドライバー」
 レイン機から通信。
「勿論!」
 彼の琥珀色の瞳がキャノピー越しに蒼空を見据える。
(「本星型HW‥‥奴か?」)
 堺・清四郎(gb3564)は思案する。敵編隊に含まれる本星型HWは、前回姿を現した漆黒の機体である可能性が高い。
(「ならば‥‥やることは一つ」)
 清四郎は表情を引き締めた。
(「訓練は続けてるし、空を飛ぶのにも少し慣れてきたかも。‥‥戦闘は自信無いっすけど。皆や中尉さん達の足引っ張らなきゃいいっすが‥‥」)
 操縦桿を握りつつ、考え込んでいるのは新村・美香(gb7427)。
 新米の自分が新鋭機を含む敵と戦えるだろうか‥‥。
(「ま、今考えたって仕方ないっすね。やれるだけの事をやるだけっす」)
 そう、自分を納得させる。そこへ――
「この前と同じ様にやればいいのよ。貴女なら大丈夫」
 ミラージュ機から通信。
「中尉さん、ありがとうっす! ‥‥っし、今日も気合入れて行くっすよ、シラヌイ!!」
 気合充填完了。なんとかいけそうだ。

 12機のKVは増速。敵は近い。

●激戦・苦戦
 ほどなく、敵編隊をレーダーで捕捉。今回は電子戦機が居ないためジャミングがややキツイが‥‥戦闘に支障は無い。
 まずは距離を詰めるべく、全機増速。

 反応した強化型HW4機が前に出て先制攻撃を仕掛けてきた。プロトン砲の火線が飛ぶ。
「ぐあああっ!?」
 4発のプロトン砲を受け、縁機の装甲が高熱により融解。大ダメージを受けてしまう。
「当たらん!」
 清四郎機は易々と回避。
「っ‥‥アクチュエータ起動っ! 避けてみせるっ!」
 美香機も余裕を持って回避。

「ぐうっ‥‥」
 ダメージによりスパークする縁機。このままでは‥‥まずい。
「突っ込んでK−02を使う! 花火をぶち上げてやる!」
 縁は仲間に通信を送る。
「‥‥待って、その機体状況では無謀よ」
 アリカが止めようとするが‥‥
「何もしないまま落とされるよりマシだ! 行くぜ! 後は‥‥頼んだ」
 ブーストを使用し敵中に吶喊する縁機。後方にいるタロスと爆撃型をロックオン。K−02ミサイルを発射。
「死んで俺の経験値になれぇぇぇぇぇ!!」
 白煙の尾を引き舞い踊るミサイル郡。しかしタロスは軽々と避け、爆撃型HWはファランクスによる迎撃と共にFFを前面に集中展開。着弾。爆炎が巻き起こる。
 煙が晴れると‥‥爆撃型HW4機は健在であった。
「‥‥なんだと?!」
 装甲が吹き飛んでいる辺り、大ダメージを受けた様子ではあるが、K−02を耐え凌ぐとは‥‥。そしてタロス‥‥!

 誠機、その間にブーストとマイクロブーストを併用し、敵編隊側面に回り込む。
「捉えた!」
 5機のHWをロックオン。ミサイルレリーズを押し込み、K−02ミサイルを一斉発射。
 青空に紅蓮の火球が幾つも広がる。それに飲み込まれ、5機は爆発。強化型3機、爆撃型2機が塵となった。
「誠さんのワイバーン‥‥すごい」
 ノエル機、誠機に追いつくべく増速。

「あれは!」
 清四郎は目を見開く。――漆黒のボディに黄金のラインが入った本星型HW――。
「奴だ!!」
 清四郎機は本星型HW目掛けて一直線に突っ込んでいく。

 アリカ機、増速。
「‥‥黒鳥(ブラックバード)、いく!」
 アハト・アハトで強化型HW一機を狙撃。装甲を貫き、大ダメージを与えた。

 Anbar機、増速。強化型HWに向け、連続で放電。電撃を受け、HWは黒煙を吹き上げる。
「ついでだ、こいつも持ってけぇっ!」
 美香は増速し、Anbar機と同じ強化型HWにAAMを発射。着弾。しかしファランクスの迎撃によりダメージが減衰。
 同じシラヌイである二機はエレメントを組んで対応していた。

「さて、宴の開始だ! 『バッカナーレ!!』」
 八九十機、ワインの神を称える酒宴の踊りの名を冠したS−01H『バッカナーレ』、増速。長距離砲で強化型HWに砲撃を加え、大ダメージを与える。

 アイリス隊の4機は2機の強化型HWと交戦中。

「落ちろ」
 本星型HW、若い男の声と共に誠機に対しプロトン砲を連射。
「オープン回線? くっ!」
 全弾命中。誠機は中程度のダメージ。見るからに他のHWとは出力が違う。誠機だからこそ、この程度で済んだのだ。
 本星型HWは続いてノエル機にもプロトン砲を発射。
「くううう!」
 ノエル機、被弾。肩翼が融解し消失。大ダメージを受けてしまった。

 白銀のハルバードを携えた、光沢のある水色の巨人――タロス。
 プロトン砲を清四郎機に向け連続で放つ。命中。清四郎機は大ダメージを受けた。
「邪魔をするなぁ!!」
 水を差されたことに激怒する清四郎。

 爆撃型HW2機はアリカ機の頭上に移動、下部のランチャーから無数の小型爆弾をばら撒いた。それは命中するが、アリカ機の装甲表面を削ったのみ。

 強化型HW、増速。プロトン砲でAnbar機に2度砲撃。アクチュエータを起動し1発目は避けるが2発目は‥‥避け切れない! Anbarは咄嗟に試作型AECを展開。直撃するも、ほぼ無効化した。
「ふう、AEC‥‥試作型とは言え意外と頼りになるな」

 もう一機の強化型HW、美香機にプロトン砲を放つが命中せず。
 続いて八九十機に攻撃。プロトン砲が命中。耐久力の低い八九十機は大ダメージを受けてしまった。
「やりますね‥‥」

 強化型HW3機、縁機を包囲し、プロトン砲で一斉砲撃を行った。
 無数の光条が縁機を襲う。‥‥耐久力が限界に達した縁機は力なく墜落していき‥‥爆発四散。
「‥‥九条ーーー!!」
 アリカが、叫ぶ。

●燃ゆる翼
 縁機が撃墜されたことに動揺する傭兵達。
 初撃でK−02ミサイルを用い、敵を分断し、後は各班で対応するという作戦だったが‥‥敵は分かれなかった。
 タロス対応のアリカ機は爆撃型に張り付かれているため、タロスと強化型HW数機は自由となっており‥‥状況は芳しくない。
 K−02に頼りすぎたのが原因か‥‥。しかし――
「縁君の脱出を確認しました!」
 八九十機からの通信。安堵する一同。そして、強化型HW2機をアイリス隊が撃墜したとの報告。
 一同は状況を打開するべく攻撃に移る。

「狙いは外さない!」
 誠機、本星型HWをSライフルD−02でリロードを挟みつつ3度狙撃。
 全弾命中。砲弾が突き刺さり、確実にダメージを与える。
「この機体、中々出来るようだな‥‥」
 本星型HWのパイロットが呟く。
「パニッシュメントフォース起動! 行くよ!」
 ノエル機、D−01ミサイルを発射。しかし本星型HWには命中せず。
「会いたかった。会いたかったぞ、ルフト・シュピーゲルング!」
 本星型HWに急速に接近する機影――清四郎機。オープン回線で通信を送る。
「‥‥」
 だがパイロット‥‥ルフトからの返答は無い。
「俺は堺・清四郎! 貴様を地に叩きつける男だ! この間の借りを返させてもらう!」
 スラスターライフルで猛烈な射撃を加えるが、機体を掠めるのみで本星型HWに決定打を与えることはできない。
「ふ、この間の奴か。口だけは達者と見える」
「貴様ぁ! 舐めるな!」
 ドッグファイトを繰り広げる二機。

「‥‥煩わしいわね」
 アリカ機、張り付いている爆撃型HWを先に排除することにする。
「‥‥邪魔なのよ!」
 スラスターライフルで射撃。チェーンガンの機構から砲弾が吐き出される。爆撃型HW1機、撃墜。

 Anbar機、放電装置で強化型HWに攻撃。
「弾切れか‥‥なら!」
 スラスターライフルに切り替え、再度攻撃。蜂の巣にされた強化型HW1機は爆散。
「もらった! 逃がしませんよ」
 八九十機、R−P1マシンガンでもう1機の強化型HWで射撃を加える。同様に穴だらけにされたHWは小爆発を起こしながら墜落してゆく。
「やっぱりファランクスを積んでるっすか‥‥」
 美香機は兵装をショルダーキャノンに切り替え。
「いけぇ! シラヌイ!」
 美香機は増速し、アリカ機に張り付いている爆撃型HWに砲撃。‥‥砲弾は装甲にぶち当たり、亀裂を生じさせ、大ダメージを与えた。

「貴様、その未熟な機体で俺に挑むか」
「な、何を‥‥!」
「腕は悪くない‥‥しかし!」
 本星型HW、バグア式チェーンガンでノエル機に射撃。
「その程度で生き残れるほど戦いは甘くは無い!」
 猛烈な射撃を喰らい、凄まじい速度で装甲を削られる。そして‥‥耐久が限界に達し――
「すみません! 脱出します!」
 ノエルは脱出レバーを引いた。ベイルアウト。メトロニウムに包まれたコクピットブロックが射出される。
(「ゼロ‥‥ごめん‥‥!!」)
 愛機が四散する爆音を聞きながら、ノエルは奥歯を噛み締めた。

「わたくしはシュネー・シュトゥルム。お兄様の行く手を阻むものはわたくしが排除します‥‥!」
 タロスのパイロットがオープン回線でアリカ機に通信を送ってくる。
「なに‥‥? お兄様? 本星型のパイロットのこと?」
 しかし返答は無く、タロスはプロトン砲を連射してきた。
「くっ‥‥!」
 回避行動を取るも、その狙いは恐ろしく正確で、全部もらってしまう。アリカ機は中程度のダメージ。
「‥‥前に戦ったタロスとは感じが違うわね。とにかく、油断は出来ない‥‥!」

 爆撃型が爆弾の雨を降らせ、強化型2機が美香機に向けてプロトン砲を放ってくる。
「うおおお!! 当たらねえっす!!」
 美香機はアクチュエータを起動し全力で回避。
 機体と一体になる感覚‥‥当たる気がしない。これなら‥‥!

●屈辱の咆哮
 アイリス隊から強化型HW2機を撃墜したとの報告。敵の数は大分減った。

「援護するぜ!」
 Anbar機、美香機の後ろに付き、SライフルRで狙撃。装甲が吹き飛んだ部位に命中。爆撃型HWに致命的なダメージを与える。
「感謝っす! これで‥‥終わりっす!」
 美香機、ショルダーキャノンを連射。それは爆撃型HWを貫き、爆散させる。
「やったっす!」
「グッドキル。やるわね」
 ミラージュ機から通信が送られた。
「ありがとうっす! 中尉さん達もすごいっす!」
 笑みを浮かべる美香。
「もう一機‥‥もらう!」
 八九十機、増速。強化型HWの背後に付き、長距離砲で砲撃。
 狙い違わず砲弾は命中し、HWは爆発した。
「ふう‥‥これで最後‥‥」
「中々の戦果だ」
「あなたもやりますね」
「‥‥でもまだまだ」
 サニー、レイン、フロスト機から通信。
「これは手厳しい」
 苦笑する八九十。
「お喋りもいいけど、本星型とタロスの方はかなり苦戦している様子よ」
 言ったのはミラージュ。
「了解、ほっとくわけにはいかないしな」
 Anbarが答える。
 強化型・爆撃型を片付けた7機のKVは旋回、増速。救援に向かう。

 本星型HW、距離を取る。
「そろそろ終わらせるか‥‥。目標――マルチロック」
 機体各部に搭載されたミサイルコンテナからミサイルが一斉に射出され、誠機と清四郎機に襲い掛かった。
 誠機、ブーストとマイクロブーストを使用。被弾しつつも大きく迂回。
「ぐううう!!」
 清四郎機、ファランクス・テーバイによる迎撃を頼りに一気に距離を詰める。だが全てのミサイルを落とすことは不可能だ。何発も被弾し、装甲の破片が乱れ飛ぶ。
「速度良し‥‥喰らえ!」
「‥‥馬鹿なこと、だからこそやる価値がある! 落ちろルフト!!」
 誠機のソードウィングと清四郎機のブレードウィングによる斬撃。
 ソードウィングは本星型HWの装甲を浅く抉ったが、ブレードウィングは機体を掠めたのみ。
 そして誠機と清四郎機は‥‥無茶が祟ったか、耐久力が限界に達し、黒煙を吹き上げて墜落してゆく‥‥。
「残念だったな、人間共」
 嘲笑う声。
「ルフトぉぉぉっ!!」
 落下する機体の中で、清四郎は悔しげに叫ぶのだった。

(「‥‥能力強化は使用していない? なら‥‥!」)
 アリカ機、増速。スラスターライフルで射撃しつつ接近。
「‥‥喰らいなさい!!」
 ソードウィングで近接戦を仕掛ける――が。
「当たりません」
 タロスはバグア機ならではの慣性制御‥‥回り込むような動きで回避し、カウンターのハルバードを振るう。
 アリカ機は斬撃により翼を何枚か切断され、バランスを崩した。中程度のダメージ。
「‥‥このパイロット!」

 そこへ、7機のKVが救援に駆けつける。
 本星型HWのパイロット、ルフトはこれまでのオープン回線ではなく専用回線でタロスのパイロット、シュネーに通信を送る。
「シュネー、充分にデータは取れたな? 頃合だ。撤退する」
「わかりました、お兄様」
 本星型HWとタロスは反転、撤退して行った‥‥。


 撤退中のバグア2機――
「お兄様、あの者達‥‥どう思われますか」
「ふふ、奴らか‥‥俺の機体に傷を付けるとは‥‥面白い」
「退屈せずに済みそうですね」
「ああ、そうだな。お前の方はどうだ」
「ええ、一人ほど」
「‥‥新型のテストの他に、思わぬ収穫といったところか」
 ルフトは血の気の多いミカガミのパイロットの声を思い出すのだった。