タイトル:【DEAB】シラヌイD4マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/07/31 01:04

●オープニング本文


 UPC東アジア軍某基地。
 第7独立航空戦術飛行隊『アイリス』のメンバーがブリーフィングルームに集められていた。
「これを読んで頂戴」
「指令書‥‥ですか?」
 アイリス小隊の隊長、ミラージュ・イスルギ中尉がサニー・リー少尉他2名に書類を手渡す。
「‥‥‥‥召集」
 ぽつりと呟くフロスト・バード少尉。
「そうよ。我々『アイリス』は中国戦線に出兵する事になる」
「大規模作戦‥‥なのでしょうか‥‥」
 少し不安そうな表情でレイン・アンダーソン少尉が言う。
「いいえ、そこまではいかないわ。けれども大掛かりな作戦になるのは確か。詳しい説明は現地に到着してからされるそうよ。各自準備を始めて」
「「「了解!」」」


 GDAB(ゴビ砂漠航空基地)。
 包頭から北に50km。内モンゴル市との境にある山の山腹にある
 バグア爆撃によって出来た砂の盆地を利用して作られたUPC軍の半地下基地。

 ――その滑走路へ4機のシラヌイが降り立った。
 エレベーターで地下格納庫に降り、機体をハンガーに固定。
 その後、アイリス小隊の4名は休む間もなく司令室に通される。
「よく来てくれた」
 中年の将校が口を開いた。
「早速だが‥‥我々は現在、北京包囲環状壁撃破作戦を展開中である。諸君らにはその一翼を担って貰いたい」
「はっ」
 ミラージュ中尉以下3名は口を揃える。
「包囲環状壁攻撃には、当然このGDABからも兵力を回す事になる。そこで懸念されるのが‥‥ここだ」
 中年の将校はモニターに表示された地図をポインターで指し示す。
「烏拉特前旗空軍基地‥‥」
 言ったのはミラージュ中尉。
「うむ。当基地への攻撃最前線基地となっているバグアの拠点だな。当基地から戦力を抽出すれば、防御が薄くなる。その機を逃すバグアではないだろう」
「‥‥」
 じっとモニターを見つめるアイリス隊の4名。
「包囲環状壁へ注意が向いている隙に背後からグサリ、とやられる訳にはいかん。故に、先手を打つ事にした」
「つまり‥‥」
 ミラージュ中尉は将校の顔を見据える。
「こちらから攻撃を仕掛け、烏拉特前旗空軍基地を叩く」
 やはり‥‥そういう事か。ミラージュ中尉はあごに手を当てた。
「当基地から爆撃部隊を出す。諸君らは傭兵部隊と協力し、これを護衛して貰いたい。それが今回の任務だ」
「了解しました」
 アイリス小隊の4名は敬礼。
「最低でも敵の航空戦力を削りたい所だ‥‥。戦果を期待する」

●参加者一覧

河崎・統治(ga0257
24歳・♂・FT
須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
伊藤 毅(ga2610
33歳・♂・JG
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
ローゼ・E・如月(gb9973
24歳・♀・ST
レインウォーカー(gc2524
24歳・♂・PN

●リプレイ本文

●アイリス小隊
 編隊を組んで飛行する8機のKV。搭乗しているのは8名の傭兵。
 目指すは人類の敵、バグアの拠点、ウラド前旗空軍基地。
「さて、久々の依頼だし、確実にこなすとしよう」
 ディアブロ改『烈火』に乗る河崎・統治(ga0257)がぽつりと言う。
「俺もシラヌイを使っている身分である故に‥‥」
 続いて口を開いたのは須佐 武流(ga1461)。言葉の通り、乗機はシラヌイ。
 今回はアイリス小隊――シラヌイのみで構成された部隊と作戦を共にする。
 彼にはどこか思うところがあるようだ。
「A−OK、骸龍のお守は慣れている」
 フェニックスA3型に搭乗する伊藤 毅(ga2610)は電子戦機、骸龍に搭乗する夢守 ルキア(gb9436)の直衛に付く。
 電子戦機は戦闘において重要な役割を担うため、敵に狙われやすい。また、骸龍は装甲が極端に削ぎ落とされているので護衛機が必須である。
「KVミッションか。さて、足を引っ張らねばいいが」
 夜十字・信人(ga8235)が言った。機体はシュテルン・G『幽霊憑き(ゲシュペンスト)』。
「久しぶりだな、アイリス小隊。共にバグアどもの基地へ強烈なプレゼントの押し売りに出かけるか」
 ミカガミB型『剣虎』を駆る堺・清四郎(gb3564)が後方に位置するアイリス小隊へ通信を送った。
 隊長のミラージュ中尉から「ええ、キツイのをお見舞いしてあげましょう」との返答。
「即席の相棒、レインウォーカーだ。よろしく頼むよぉ」
 レインウォーカー(gc2524)は今回エレメントを組む信人に通信。
 数拍置いて「‥‥ああ」というそっけない返事が返ってくる。
 続いてレインウォーカーはルキアへ通信。
「お前と一緒に仕事をするのは初めてだなぁ。よろしく頼むよぉ」
「うん。ヨロシク、レーちゃん!」
「レーちゃんはやめて欲しいなぁ」
「むうう、じゃあ撃墜数の少ない方が、相手を乗せてKV飛行ね!」
「撃墜数を競う、ねぇ。愉しそうだねぇ、それは」
 などと二人は会話。
「‥‥」
 その後、彼は自分の手をじっと見つめる。
 不利な状況での戦闘‥‥正直言って怖い。
 だが――それ以上に愉しみで仕方が無い。
 壊れている自覚はある。狂っている自覚もある。
 だから自分は道化なのだ。
 そのように考えるレインウォーカー。
 彼の機体はペインブラッド『リストレイン』。
(「さて、久しぶりの空戦と行こうか‥‥とは言え、あまり良い思い出はないんだがな、怪我してばかりで」)
 サイファーに搭乗するローゼ・E・如月(gb9973)は過去の戦闘を振り返っていた。
「まぁ、良い。今回は‥‥とりあえず怪我しないようにするか」

●戦闘開始
「どうやら歓迎委員会のお出ましみたいだぜ」
「そのようだね。レーダーに敵影を確認。数15」
 統治が言った直後、管制を担当するルキアから報告。
「こちらでも確認した。数が多いな。電子戦機、悪いのだが、敵機のナンバリングを頼んでも良いかな?」
 信人からルキアへ通信。
「了解。ナンバリング完了。データを転送するね」
 ルキア機から各機へ情報が送られる。
「ありがたい」
 礼を言う信人。
(「さて、アイリス小隊と組んだが‥‥今回あいつは出てくるか‥‥?」)
 清四郎は漆黒の本星型HWを思い浮かべる。
 全機増速。接敵に備える。

 やはり先手を取ったのは射程に勝るバグアだった。
 HW1は統治機を射程に捉えると、プロトン砲を放ってきた。命中。装甲が焼ける。中程度のダメージ。
「くっ‥‥!」
 HW2とHW3は増速、清四郎機と武流機にプロトン砲で砲撃。二機は回避運動。命中せず。
「所詮は無人機! そんな攻撃に当たるものか!」
 清四郎が機体を躍らせながら叫ぶ。
 HW4〜15、増速。

 武流機、HW2をロックオン。スナイパーライフルSG−01でHW2を狙撃、リロード、狙撃。2発とも命中。HW2の装甲を撃ち抜き、致命的なダメージを与える。
 信人機、増速。
「夜十字だ。3番に仕掛ける!」
 HW3をロックオン。ミサイルレリーズを押し込み、ホーミングミサイルFI−04を2発発射。命中。ファランクスの迎撃を受けるも、大ダメージを与える。
 レインウォーカー機、レーザー砲を撃つには距離があるため、FI−04ミサイルをHW13に3発発射、全弾命中。しかしファランクスの迎撃により少々装甲を傷つけた程度。
「夜十字から全機へ。HWはファランクスを標準装備している模様。ミサイルは効きが悪い。銃器での対応を」
「チッ、案の定ミサイル迎撃装置持ちか。厄介な」
 舌打ちするローゼ。傭兵にK−02を代表とするマルチロック系ミサイルが普及している現在、バグア側でも当然、対策がなされている。
 清四郎機、HW12をロックオン。
「増援が来る前にコイツを一気に片付けるぞ、うおらあああ!!」
 ミサイルレリーズを一気に押し込み、I−01「パンテオン」発射。コンテナから100ものミサイルが一斉に射出される。着弾。爆炎が立ち昇る。続いて8.8cm高分子レーザーライフル――通称アハト・アハトで狙撃、リロード、狙撃、リロード。二つの光条がHW12を貫き、撃墜。
 統治機、ブーストを使用。
「‥‥」
 ヘッドアップディスプレイに表示される円が敵機に重なる。HW11をロックオン。
「今だ、いけぇ!」
 UK−10AAEMを3発発射。‥‥全弾命中。致命的なダメージを与える。
「正面はレーちゃん‥‥じゃなかった、ウォーカー君達、右翼は統治君達に任せて大丈夫そうだね。私達は左翼へ」
「ドラゴン1了解」
「こちらローゼ。了解した」
 後衛のルキア機、毅機、ローゼ機は増速、旋回し左翼に出る。

 HW1〜3、清四郎機、武流機、信人機にそれぞれプロトン砲で3度砲撃するも命中せず。
 HW4と5、増速。プロトン砲を統治機に向けて2度砲撃、命中。高熱により装甲が融解していく。
「ぐうううっ!」
 HW6、清四郎機にプロトン砲で3度砲撃するが命中せず。
 HW7と8、増速。毅機にプロトン砲で砲撃、命中。装甲表面を焼き焦がす。小程度のダメージ。
 HW9、増速。ローゼ機にプロトン砲で砲撃、命中。
「ッツ‥‥損傷は軽微だ。私は気にせず戦ってくれ」
 毅機と同様に小程度のダメージ。
 HW10と11、プロトン砲で統治機に集中砲火。統治機は回避運動を取るも、避け切れずに何度も浴びてしまう。致命的な損傷。被撃墜寸前。
「こちら河崎‥‥すまない‥‥ここまでのようだ‥‥撤退する」
 1機も落せずに戦線離脱とは‥‥。警告音の鳴り響くコクピットで、統治は悔しさに奥歯を噛み締める。
「河崎、お前はよく戦った。気にするな。後は俺達に任せて、早く下がれ」
 僚機である清四郎機からの通信。
「堺‥‥すまない」
 統治機は黒煙を吹き上げながら反転、後退して行った‥‥。
 HW13、プロトン砲でレインウォーカー機に3度砲撃、命中。高熱と衝撃で表面装甲が吹き飛ばされる。レインウォーカー機、大ダメージ。
「‥‥!」
 HW14と15はすかさずチェーンガンでレインウォーカー機に砲弾を浴びせてくる。
 動揺を抑えつつ、レインウォーカーは必死に操縦桿を操り、弾幕を掻い潜る。
「罰ゲームを愉しむためにも‥‥死ぬわけにはいかないねぇ‥‥ここでは」

 武流機、増速。距離を詰め、エナジーウィングでHW1を2度斬りつけ、撃墜。旋回。
「くっ‥‥」
 僚機であるレインウォーカー機は被弾し、更に多数のHWに包囲されている。
 ここは‥‥虎の子を使うしかあるまい。
 信人機は旋回、PRMシステム改を起動。レインウォーカー機を囲んでいるHW7、13、14、15をマルチロック。
「おれの天使様からの借り物だ」
 ミサイルレリーズを押し込み、K−02小型ホーミングミサイルを全弾発射。爆音と共に無数の紅蓮の火球が蒼穹に浮かび上がる。
「夜十字より電子戦機へ。ミサイルの効果はどうだ?」
「HW4機とも中破というところかな」
 ルキアから返答。‥‥撃破できずとも、これで多少は‥‥。
「夜十字、援護感謝するよぉ。今度はこっちの番だぁ」
 レインウォーカー機、強化型SES増幅装置『ブラックハーツ』使用。フォトニック・クラスターをHW15に向けて2度照射。高熱量のフラッシュを浴び、HWの装甲は融解、爆散する。
「1機撃破。次はどいつだぁ?」
 続いてHW14をロックオン。G−193レーザー砲で射撃、命中。HW14に大ダメージを与える。
 清四郎機、旋回。アハト・アハトでHW5を狙撃、リロード、狙撃、リロード。高出力のレーザーがHWを貫き、撃墜。
「必ず勝てる証拠も、必ず負ける証拠も無い」
 ルキア機、ピアッシングキャノンでHW8に3度砲撃、命中。大ダメージを与える。
「エネミータリホー、ドラゴン1エンゲイジ。――エネミーガンレンジ、FOX3」
 毅機、十式高性能長距離バルカンでHW7に3度射撃、命中。HW7の装甲を砲弾が削ってゆく。HW7は火を噴き、致命的なダメージ。
「捕らえた‥‥!」
 ローゼ機、ピアッシングキャノンでHW9に3度砲撃、命中。大ダメージ。

 HW2と3、信人機にプロトン砲で3度砲撃、命中せず。
 HW4、清四郎機にプロトン砲で3度砲撃、命中せず。
 HW6、チェーンガンで武流に3回射撃、命中せず。
 HW7、チェーンガンで毅機に射撃を浴びせてくる。毅機、中程度のダメージ。
 HW8、プロトン砲でルキア機に3度砲撃、命中せず。
「援護ダケじゃない、私達はワイルド・カード」
 HW9、チェーンガンでローゼ機に3度射撃、命中。フィールドコーティングを使用するが、ローゼ機は大ダメージを受けてしまう。
「ぐ、少し甘く見ていたか‥‥」
 HW10と11、清四郎にプロトン砲で3度砲撃、命中せず。
 HW13、チェーンガンでレインウォーカー機に3度射撃、命中せず。
「‥‥っ。当たるわけにはいかないよぉ」
 HW14、レインウォーカー機にプロトン砲を連射――命中。レインウォーカー機、致命的な損傷。被撃墜寸前。
「悪いけど、撤退させて‥‥もらうよぉ‥‥」
 ボロボロの機体。ダメージはコクピット内にも及んでいるようだ。
「ウォーカー君‥‥約束したのに!」
 ルキアが心配そうに声を上げた。レインウォーカー機はふらふらと後退していく。

●殲滅
 武流機、エナジーウィングでHW6を2度斬りつけ、撃墜。旋回、増速。
「弾幕を張るのは向かないらしいが‥‥」
 信人機、増速。GPSh−30mm重機関砲に切り替えてHW14に2度射撃。それは敵機を蜂の巣にし、撃墜。爆散。
「アイリス小隊の連中の手を煩わせんぞ!」
 清四郎機、アハト・アハトでHW11を狙撃、命中。撃墜。リロード。続いてHW4を狙撃、リロード、狙撃、命中。撃墜。一気に2機を葬った。
 ルキア機、ピアッシングキャノンでHW8に2度砲撃、リロード。命中。HW8、致命的ダメージ。
「味方機はカバー、それが私の戦い方」
 毅機、高性能バルカンでHW7に3度射撃、命中。HW7、撃墜。
「ビンゴ、スプラッシュ1」
 ローゼ機、ピアッシングキャノンでHW9に2回砲撃、リロード、命中。HW9、撃墜。
「敵機撃墜、と。さて、次は」

 残存のHWからプロトン砲とチェーンガンによる反撃が来るが、傭兵達は全て回避。

 武流機、増速。エナジーウィングでHW3の機体を切り裂く。撃墜。
 信人機、増速。距離を詰め、ソードウィングでHW13を二度斬りつける。
 側面を割られたHW13は火を噴き、墜落していく。
「トドメだ!」
 清四郎機、リロード、HW10をロックオン。アハト・アハトで狙撃、命中。撃墜。再度リロード。旋回、アハト・アハトでHW2を狙撃、命中。撃墜。HW2機が空に散った。
 ルキア機、ピアッシングキャノンでHW8に砲撃、命中。HW8、撃墜。爆散。

●吶喊
 しばし間を置いて、ルキア機のレーダーに敵影が映った。その数は――15。先ほどと同じ規模の編隊だ。
「第二波のお出ましだよ‥‥」
 ルキアは苦笑いを浮かべる。第一波との戦闘でこちらは疲弊している。分が悪い‥‥。
「まだ、出るのか‥‥バグアも大概に戦力を持ってる」
 表情をゆがめるローゼ。ウラド前旗空軍基地にはGDABから頻繁に攻撃を仕掛けていると聞いたが、これほどの戦力が残っているとは‥‥これがバグアの物量‥‥。
 傭兵達に疲労の色が漂い始める――そこで、信人機から全機に通信。
「我々は2機を欠いて、戦力が低下している状態だ。まともにやり合えば被害が増える。バイパー隊の護衛があるため、アイリス小隊に応援を頼むわけにもいかない。‥‥そこで、だ」
 信人はある提案をする。その内容とは‥‥比較的損傷が軽微な武流機、信人機、清四郎機が突撃し、敵をかく乱。損傷が大きい毅機とローゼ機、管制を担当するルキア機は後方からそれを援護するというものであった。
「あまり賛成は出来ないけど‥‥それしかなさそうだね」
「ドラゴン1、了解。グッドラック」
「援護は任せてくれ。‥‥武運を」
 ルキア、毅、ローゼから通信。
「では第二ラウンドといこうか、諸君」
「ふっ、臨むところだ。奴に比べればこの程度‥‥」
「‥‥須佐 武流、シラヌイ、吶喊する」
 龍神の灯火と、亡霊と、猛虎が刃たる翼を煌かせて敵陣へ突撃を敢行する――。

 そして激戦の後、傭兵部隊は敵航空戦力の掃討に成功。
 アイリス小隊に護衛されたバイパー隊による爆撃が行われ、ウラド前旗空軍基地に大打撃を与えたのだった。