タイトル:その温泉、日輪マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/08/08 21:32

●オープニング本文


 九州某所。キメラプラント。
「ついに完成しました! この夏の新作キメラ!」
 異形の生物‥‥培養が完了したキメラを前に、白衣を着た人物が喜びを露に飛び跳ねる。
「願わくば太陽のように、熱さで女子のタオルを脱がすような‥‥。このキメラの名前は――」
 両手を胸に当て、白衣の人物はそっと呟いた。
「さて、ではさっそくテストですね」


 季節は夏。梅雨が開け、連日ギラギラとした太陽が照りつける。いよいよ夏本番だ。
 そんなある日のこと。

 阿蘇山のふもとに佇む、一部の者にのみ秘湯として知られている場所。
 女将と数名の従業員で切り盛りしている小さな温泉宿。名を『湯万寿』という。

 その自慢の露天風呂で昼間から優雅にお湯を楽しもうとしている客の姿があった。
 1組のOLだ。片方はツリ目でショートカット。もう片方はセミロングで可愛い系。
 2人とも、かなりの美人である。バスタオルの巻かれた肢体が実にセクシー!
「今日もあっついねー」
「そうねぇ」
 眩しそうに手を掲げ、降り注ぐ日差しを遮る2人。
「だからこそ、温泉に入ってさっぱりしたいわ」
「お風呂上りのキンキンに冷えたコーヒー牛乳も最高だし! ‥‥ん?」
 セミロングの女性が何かに気付いた。
 ‥‥風呂場のど真ん中に、大きな向日葵が咲いていたのだ。
 黄色い大輪の花が燦燦とした太陽の光を浴びて気持ち良さそう。
「女将さんが植えてくれたのかな?」
「いかにも夏、って感じでいいわね」
 あからさまに不自然なのだが、気にしない2人。そのまま洗い場へ歩き出すが――
 もそもそもそ。
「‥‥ん?」
「どうしたの?」
「今、あの向日葵が動いたような気が」
「何言ってるの。そんなわけないでしょ」
「あはは、そうだよね」
 歩を進める2人。しかし――
 もそもそもそ。
「‥‥んん?」
 セミロングの女性がまた立ち止まり、振り返った。
「もう、どうしたのよ」
「やっぱり動いたような‥‥」
「もしかして暑さで頭がやられちゃった?」
「ひどーい! そんなことないもーん!」
「さっさと背中を流して、温泉に入るわよ」
「うん‥‥」
 セミロングの女性はこくりと頷く。
(「動いたように見えたんだけどなぁ‥‥見間違いだったのかなぁ」)
 そのとき――キラン! と向日葵の花が光った。
 しゅぼぼぼっと、急にバスタオルを巻いたショートカットの女性の背中が発火する。
「えっ?」
「ちょ、燃えてる! 燃えてる!!」
 セミロングの女性が声を上げる。
「タオル脱いで! 早く脱いで!」
「きゃあああああ」
 ショートカットの女性は慌ててタオルを取り払い、脱ぎ捨てる。
「な、なんなの?」
「あれ‥‥見て‥‥」
 セミロングの女性が指差す方向へ顔を向ける。
 向日葵が根っこをウネウネと動かし、じりじりとこちらに向かって移動してきていた。
 直後、1株の向日葵の花がキラッと発光。次の瞬間、セミロングの女性のバスタオルも発火!
「きゃーーー!?」
 慌ててバスタオルを脱ぎ捨てるセミロングの女性。
 そして動く向日葵達は生まれたままの姿となった2人の女性に対して触手を伸ばした。
 手足に巻きつき、束縛する。残りの触手が2人の素肌を撫で回す。
「いやぁぁぁ!」
「だめぇ、助けてぇぇぇ!」
 そこへ‥‥現れる影。ふぁさっとはためく灰色の髪。
 振るわれる短剣。ぼたりと落ちる触手。
「ご無事ですか‥‥?」
 解放され、床にへたり込んだ2人の女性が顔を上げると、長身の美少女が佇んでいた。
 均整の取れたモデル並のスレンダーな肉体。控えめな胸。
 彼女の名は智覇。ダークファイターの智覇。
「智覇さん‥‥」
「あ、ありがとう‥‥」
 湯万寿の常連であるOL2人組と智覇は顔見知りであった。
「またキメラですか」
 動く向日葵を睨みつけ、短剣を構え直す智覇。
「気をつけて‥‥そいつら、光線を撃ってくるから‥‥」
 言っているそばから向日葵の花が発光。
「!?」
 智覇は直前に危険を察知し、横っ飛びに避けた。
 見ると、智覇が今まで立っていた床が少し焦げている‥‥。
「状況は不利ですね‥‥今は退きましょう」
 女性2人をを連れ、智覇は風呂場を後にした。
 OL達を先に部屋へ帰した後、脱衣場で一息つく。
「ぶはー!?」
 偶然居合わせる男性客。
 気付けば、智覇のバスタオルが床に落ちていた。端の部分が焼け焦げている。
 まさか、避け切れていなかった‥‥? いや、今はそんなことより。
「‥‥見ましたね」
 片手で大事な処を隠しつつ、智覇は短剣を煌かせた。

「――というわけです」
 風呂場で起こったことをありのままに話し終えた智覇が座敷でお茶を啜る。
「‥‥またですか。またなんですか‥‥」
 しくしくと涙を流す湯万寿の女将。今年は無事に梅雨が明けたと思ったらこれか‥‥。
 湯万寿にはこれまで幾度となく変なキメラが出現している。原因は一切不明。
「貴女にお願いするわけには‥‥」
 ちらっと智覇の端整な顔を見る女将。しかし智覇はぷいっと顔を背けた。
 智覇はオンとオフをきっちり切り替える人なのだ。今は休暇でここにいる。
「‥‥いきませんよね。わかっています‥‥」
 涙を流しつつ、女将は古式ゆかしい黒電話の受話器を取るのだった。

●参加者一覧

相沢 仁奈(ga0099
18歳・♀・PN
勇姫 凛(ga5063
18歳・♂・BM
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
白銀 楓(gb1539
17歳・♀・HD
六道 菜々美(gb1551
16歳・♀・HD
二条 更紗(gb1862
17歳・♀・HD
五十嵐 八九十(gb7911
26歳・♂・PN
来栖・繭華(gc0021
11歳・♀・SF

●リプレイ本文

●湯万寿へいらっしゃーい
 温泉に出現したキメラを討伐にやって来た能力者達!
「触手キメラと聞いて来ました! ‥‥せやけど、ホンマここってようキメラが出るよねぇ‥‥それも、えっちぃのばっかり。バグアがこの近くでキメラ作ったりしとんねやろか?」
 触手大好き(?)な相沢 仁奈(ga0099)が元気に言った。
 キメラがどこで作られているかは一切不明である。
「凛、湯万寿の温泉すっかり気に入っちゃったから、温泉を荒らすキメラは絶対に許せない! ‥‥べっ、別に、キメラが現れたから、かこつけて温泉に来れたなんて、思ってないんだからなっ」
 お気に入りの温泉の為に気合を入れる勇姫 凛(ga5063)。しかし本音が出ている。
「女将さん、こんにちは。凛、また温泉に入らせて貰いに来たから。‥‥でも、ほんとに一度、お祓いとかした方かいいと思うよ」
 湯万寿の女将、湯野・華子に挨拶。
 彼女は「相手はキメラですから‥‥お祓いをしても効くかどうか‥‥」と、困った様子。
「女将さんも大変だねー。ここまで頻繁だとやっぱり変態バグアに狙われてるとしか思えないね‥‥ここ‥‥」
 うむむと考え込む香坂・光(ga8414)。
「また出たんですね‥‥やはり狙われているんでしょうか‥‥」
「‥‥キメラは結局、何の為に、来るのでしょう‥‥? 今までのを、思い返しても‥‥目的が、よく分からないですけど‥‥」
 メイプル・プラティナム(gb1539)と六道 菜々美(gb1551)も首をかしげている。
「とにかく、この温泉は私達が守らなくては‥‥! 頑張りましょう、菜々美さん!」
「は、はい。頑張りましょう‥‥!」
 謎の使命感に燃えるメイプルの言葉に頷く菜々美。そのやる気が空回りしなければ良いが‥‥。
「ふにゅ。お姉ちゃん、こんにちはですの。繭華達が来たからには安心ですの。悪いキメラさんなんか‥‥す、すぐに追い払っちゃいますの」
「すみません、お願いしますね」
 女将を元気付ける来栖・繭華(gc0021)。女将は深々と頭を下げた。
「にゅ、智覇お姉ちゃん‥‥こんにちはですの。お仕事終わったら一緒に温泉入りましょうですの」
 続いて繭華は智覇に挨拶。智覇は座敷でお茶を啜りながら「お久しぶりです、繭華さん。構いませんよ」と答えた。
 その後、繭華はキメラの特性について尋ねる。その結果――
「あのキメラの主な攻撃方法は光線‥‥恐らく光。回避するのは困難です。ただ、事前にモーションを見極めれば‥‥あるいは‥‥」
 との情報を聞き出すことが出来た。また、キメラは真っ先にタオルを狙ってくるらしい。
(「タオルを攻撃する向日葵? それとも人体に巻かれたタオルのみを攻撃する向日葵なら、攻撃前に脱いだ場合はどうするのかな‥‥試してみますか」)
 二条 更紗(gb1862)は何やら策を練っている。
「なんとまぁ‥‥こないだ生死を賭けて戦った緊張感が一気に‥‥」
 包帯と絆創膏だらけで痛々しい姿の五十嵐 八九十(gb7911)。
 彼は前回の依頼で負傷してしまっていた為、温泉での養生も兼ねての参加である。
「人知れぬ秘湯は、傷に良く効くって聞きますしね」
 しくしくと痛む傷にそっと手を添える。
「では、行って参りますの」
 そして繭華が言い、一行は問題の風呂場へと向かう。

●VSサンフラワー1
 脱衣場でタオルに着替える能力者達。
「‥‥」
 凛は周りをちらちらと気にしながらバスタオルを胸までしっかりと巻く。
 今回も参加者は女性の方が多い。年頃の男の子としては気になって仕方が無い。
 その可憐な容姿ゆえ、凛は女性陣から特に気にされていなかったが。
「八九十さんはあまり無理をなさらないでくださいね。後はその‥‥出来るだけ戦闘中こちらを見ないで頂けると‥‥」
 着替えながら八九十を気遣いつつも、釘を刺すメイプル。
「見ません! 見ませんから!」
 女性陣に背を向けて腰にタオルを巻く八九十。
 着替えも一緒とは‥‥嬉しいやら、困るやら。心臓がばっくんばっくんいっている。
 実に、傷に優しくない‥‥。
「ふにゅ! ふにゅ!」
 繭華は大人用のバスタオルでは大きすぎる為、子ども用のバスタオルを一生懸命巻く。
 しかしこちらにも問題が‥‥。
「いつものことながら皆大きくて羨ましい‥‥」
 光は周囲と自分を見比べ、その格差に凹んでいる。
「淑女の嗜みとして殿方に裸体を晒すのも何ですし、それに試したい事もあるし」
 更紗も一応バスタオルを巻き‥‥
「念の為、戦闘前に手当てさせて下さい」
 八九十へ近づき、持参した救急箱から怪しげな薬を取り出していきなり背中へ塗りたくった。
「ぅわぁっ!?」
 突然の出来事にびくぅんっ! となる八九十。
「なっ、何を‥‥!」
「ですから、手当てです。じっとしていて下さい」
 この薬とやらは‥‥ひんやりしていて‥‥ぬめぬめしていて‥‥そして何より‥‥更紗の手つきがヤバい!
(「ふおおおおお!!」)
 八九十は懸命に理性を押し留めた。
「タオル? そないなモン温泉には無粋や! ちゅうワケで最初から全裸で突撃。え、男の子が二人おる? 気にしない! 寧ろウチのこのボディを存分に見たってや♪」
 仁奈は衣服を脱いだ後、何も着けずに堂々としている。
 羞恥心など犬にでも食わせろ! と言った感じだ。男性二人には目の毒である。

 約一名を除いてタオルに着替え終わった一行はキメラの待ち受ける風呂場に足を踏み入れる。
「今回こそ‥‥恥ずかしい目に、会う前に‥‥っ!」
 最初に突入したのは菜々美! 一気に肉薄し決着をつけるつもりだったが‥‥!
 しゅぼぼぼっと彼女のタオルが発火。
「えっ?! きゃっ!」
 慌ててタオルを脱ぎ捨てる。――その隙を逃すキメラではなかった。
 複数の触手が伸び、菜々美の身体が絡め取られ、捕まってしまう。
「きゃあああああっ!!」
「くっ! ビーム攻撃‥‥ならこれでッ! ディフレクトウォォールッ!」
 スキルと盾を使って光線を防ごうとするメイプル。しかし‥‥連続して発光。
 光線は盾を貫通し、菜々美と同じ様にしゅぼぼぼっと発火。
「ふえーん、やっぱり駄目でした〜!」
 メイプルはタオルを脱ぎ捨て、穴の開いた盾で身体を隠そうとする。
「た、助けてぇ‥‥!」
 菜々美の悲鳴。
「菜々美さん! 今助けま‥‥ひゃわっ!」
 救出しようと足を踏み出そうとするが、何も無い所で躓いて転ぶ。
 当然、彼女も触手に捕まってしまった。
 キメラは続いて光の方に花(顔)を向ける。発光。光のタオルが発火。
「うきゃー!?」
 急いでタオルを脱ぎ捨て、仁奈の背中に身を隠す。
「ふ、触手なんて怖くないのだ♪ 仁奈さんの盾〜♪」
「ややっ!? ずるいっ! ウチもー!」
 だが仁奈はヒャアもう我慢できねぇ! といった風にキメラに向かって吶喊。捕まる。
「これで後は‥‥え? わきゅ!?」
 盾としていた仁奈が居なくなったので、光もあっさり捕まった。
「ふにゅ、このタオル、裾が短いですの」
 繭華は歩く度にタオルの中身が見えそうになっている。
 それというのも、たぷんたぷんと揺れる彼女の大きな水蜜桃がタオルを引っ張ってしまっている所為だ。
「にゅ、危ないですの!」
 花が発光するのとほぼ同時に超機械で竜巻を発生させるが‥‥光線は普通に命中し発火。慌ててタオルを脱ぐ繭華。触手に捕まる。
 キメラは花を更紗に向ける。発射前のモーションだ。
「‥‥!」
 それを確認すると、更紗はバサァっとタオルを脱ぎ捨てた。
 身体に巻かれたタオルが無くなったので、キメラは光線の発射を中断。
 代わりに触手を伸ばしてきた。更紗は槍で触手を切り払いながら突撃。
「委細構わず突貫、刺し、穿ち、貫け!」
 ‥‥更紗は奮戦するも、触手の数が多すぎた。捕まってしまう。
「日輪の力を拝借していいのは、執事さんだけなんだからなっ!」
 絶えず動き回って何とか光線を回避している凛。しかし。
「!? 凛、恥ずかしくなんか、ないんだからなっ‥‥わわっ!? タオル、燃やしちゃ駄目だっ」
 余所見をした隙に発火。タオルを脱いでいる間に触手に捕まった。

「このままでは‥‥」
 残すは八九十、一人だけ。助けに動くも、キメラの触手が鞭の様に彼の身体を激しく打ちつける。
「ぐわあああっ!?」
 床に倒れこむ八九十。キメラは、野郎には興味が無いらしい(但しショタを除く)。

 触手に捕まっている女性陣(+凛)――。
「あぁ、何や普通の触手と違てちょっとゴツゴツしとるんが堪らへん‥‥♪」
 身体中を這い回る触手を堪能している仁奈。
 根っこの先端を口に入れてしゃぶったり、舌で舐めたりしている。
「結局こうなるのー!? ひゃ、ちょ、どこ触って‥‥こら、これじゃ丸見え!?」
 同様に触手の餌食となっている光。脚を大股開きで固定されてしまっている。
「凛、こんなくらい平気なんだぞっ。あ、そっ、そこは‥‥!」
 あらぬ処に触手が巻きつく。更に太い触手から生える細い根っこがブラシの様な役割をし、その下の大事な部分にまで刺激を加えてくる。
「あぁ‥‥あああっ!!」
「わ‥‥意外と大きいね‥‥」
 その様子を見て、ぽっと頬を赤らめる光。
 メイプルと菜々美も触手に弄ばれている‥‥。
「や、ふあ‥‥そんな所…駄目ですっ‥‥」
「あ、あぅ‥‥や、だ、だめぇ‥‥っ!?」
 二人の敏感な部分を触手が責める。びくびくと背を逸らす二人。
「‥‥っ! な、何、今の‥‥っ?」
 触手の束縛から逃げ出そうともがいている内に、心の奥底から恥ずかしさや痛みとは違った感覚が湧き出してくる。困惑する菜々美。間もなく‥‥振り解こうとする力は弱まり、いつしか彼女はされるがままになっていた。
「はあぁぁ‥‥あぁぁぁ‥‥アァァ!」
「らめぇ‥‥ひゃあああっ‥‥らめなのぉ‥‥」
 呂律が回っていない。二人の瞳から光が失われ、口端からは甘い蜜が垂れ出していた‥‥。
「あぁん‥‥! いけませんの‥‥そこはいけませんのぉ‥‥!」
 繭華はたわわに実った果実を中心に攻め立てられ、息も絶え絶えだ。
 二つの果実それぞれに触手が巻きついている。
「幼児体型なわたくしでも殿方の一人や二人魅了出来ます。‥‥ぅんっ」
 更紗も四肢を拘束され、滑らかな肌の上を触手が這い回る。

 能力者達はこのままキメラに敗北してしまうのか‥‥。

●VSサンフラワー2
「アレは母ちゃんの裸! アレは母ちゃんの裸! アレは母ちゃんの裸ッ!!」
 女性陣のあられもない姿を前にし、八九十は激しい葛藤に見舞われていた。
 早く助けなくては! でも‥‥もう少し見ていたい! 二つの気持ちが激しくぶつかる。
 両手で目を覆っているが、指の隙間からしっかり見ている。
 暫くして――彼はついに、煩悩に打ち勝った!
「あんまりこの怪我で無理はしたくないんですが‥‥仕方無ぇ‥‥一気に駆けるッ!」
 一回限りの瞬天速を使用。更紗の元へ駆けつけ、爪で触手をぶった斬る! 解放される更紗。
「助かりました。少しは男らしい所があるじゃないですか」
「すみません、後は頼みます」
 練力を使い果たし、八九十は床に転がっている。
 更紗は頷き、覚醒。槍を構えキメラに抉りこむ様に突き刺し、斬り上げ、引き裂く。
「爆ぜろ」
 それを合図に、片手が自由になっている仁奈が爪で触手を斬り、脱出。
「おやぁ、そろそろか」
 自分を弄んでいたキメラを切り刻んだ後、束縛されていた全員を解放。
「これ以上は、好きかってさせないんだからなっ!」
「はぁはぁ、よくもやってくれたなー!」
 凛と光も武器を構えて攻撃。
「うぅ、またこんな、恥ずかしい目にっ‥‥!」
「はぅ‥‥凄かったですの‥‥」
「はぁ‥‥ふっ、あなた達にっ‥‥この温泉は‥‥渡さないっ‥‥!」
 菜々美、繭華、メイプルは立ち上がり、跳躍し、大きな岩の上に降り立つ。
 眩しく輝く真夏の太陽を背にして。
「甘く香る、白銀の花! メイプル・プラティナム!」
「夏陽にも溶けぬ、凛々しき六花! 六道 菜々美!」
「妖精の集う、幻惑の花‥‥。来栖・繭華‥‥!」
 三人は両手で蕾が花開く様を表現。決めポーズを取る。
 メイプルが剣で斬り込み、菜々美が専用のグローブに組み込まれた超機械からエネルギー弾を射出、繭華が指揮棒型の超機械を振るって電磁波を発生させ、一気に止めを刺した。

●真夏の温泉
 キメラの殲滅に成功した能力者達はお礼に貸し切りとなった温泉を楽しむ。
 お湯に浸かってまったりとしているメイプルと菜々美。
「はふー。こうして温泉の平和は守られたのでしたー」
(「また大きくなってる気がします‥‥この間測った時はきゅうじゅ‥‥」)
 視線を下にやり、成長著しい自分の胸を見つめるメイプル。
(「あぅ‥‥あ、あんな格好、見られて‥‥へ、変な声も、出ちゃってたし‥‥。か、顔が熱いのは、温泉の所為、ですよね。うん‥‥」)
 菜々美はそうやって自分を納得させた。
 一方、女性陣に混じってお湯に入っている凛。例によって全く警戒されていない。
「‥‥だから、凛は男なのに‥‥」
「とぉりゃー!」
 そこへ現れる影。‥‥光だった。皆のタオルを向いていく。巻き起こる悲鳴。
「キメラさえいなくなれば温泉は極楽ー♪ でも‥‥温泉にタオルは厳禁なのだ♪」
 そして仁奈の横にちゃぷんと入る。
「うー、大きくていいなー。なんでこんなに大きくっ」
 小麦色の豊満な膨らみを見つめ‥‥ツンツンと指で突付いてみる。
「んー? またぁ、そんなに気になるんね」
 仁奈は光を捕まえてマッサージ開始。いつぞや見た光景だ。
「キメラに一杯刺激されたやろし、ここで仕上げをしとけばきっと胸も大きくなるやろ♪」
「わきゃっ!? ひゃあああっ!!」
 嬌声が上がる。
「堂々と見れるんですから混浴っていいですね」
 お湯を楽しみながら呟く更紗。
「見てません! 見てませんよ!」
「凛も見てないんだからなっ!」
 八九十と凛から抗議。
 その後、更紗は女性陣のバストについて検証を始める。また悲鳴が巻き起こった。
 『結果:繭華>仁奈>メイプル≒菜々美>光≒更紗』
 繭華は最初の約束通り、智覇と背中の洗いっこ。
「うんしょ、うんしょ」
「繭華さん、ありがとうございます。次は私が」
「はい、ありがとうですの」
 智覇が繭華と入れ替わる。
「‥‥」
 繭華の背中に泡を纏った手を這わせる、無言の智覇。
「どうしましたの? 智覇お姉ちゃん」
(「一体何を食べればここまで‥‥」)
 後ろから見ても大きな膨らみが確認できる。
 智覇はつい揉んでみた。ふにゅふにゅふにゅ。
「く、くすぐったいですの!」
「あ、すみません」
 その様なほのぼのとしたやり取りがあった。
「ふう‥‥」
 八九十は少し離れた所で、湯に浸かりながら酒をちびちびとやる。
 乙なものだ‥‥。しかし今日は眼福だったなぁ。などと考える。

 そんなこんなで、キメラ退治は無事に終了したのだった。